説明

貝殻焼成カルシウム粉末、貝殻焼成カルシウム水溶液、および貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置

【課題】水溶液に含有された際に粒子が残存してしまうこと防止することができ、高い殺菌効果、抗菌効果を有する他、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮することができるとともに、取扱いが容易である。
【解決手段】二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる平均粒径が0.3〜5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末が、エマルジョン化されて飽和含有されており、アルカリ度数が12.0pH以上である貝殻焼成カルシウム水溶液をドライミストとして噴霧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二枚貝の殻を用いた貝殻焼成カルシウム粉末、貝殻焼成カルシウム水溶液、および貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ほたて貝等の貝殻を粉砕して得られる貝殻粉末が、殺菌効果や抗菌効果を有する等の種々の観点から、例えば野菜等の洗浄や、水質・土壌の改善、消臭剤、殺菌剤、抗菌剤等の種々の分野において用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ほたて貝等の貝殻粉末を含有する殺菌性付与剤について、この殺菌性付与剤を水に接触させることにより、殺菌性を有する水を得ることができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−233720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の貝殻粉末は粒子が粗く、例えば水に混ぜて使用する場合であっても、完全に溶解せずに粒子が残留して、水が濁ってしまうことがあった。このような場合、貝殻粉末の粒子が残留してしまっている水を用いて野菜等を洗浄すると、その粒子が野菜の表面に付着してしまったり、野菜を傷つけてしまうおそれがあった。また、貝殻粉末の粒子が粗いと、貝殻粉末が水に溶解しづらいので、貝殻粉末の含有量を増やすことができず、このため、殺菌効果等が低下してしまっていた。
【0006】
また、従来の貝殻粉末は、アルカリ度数が高いと刺激が強く、取扱いが困難となってしまう等の観点から、アルカリ度数が高くならないように調整して使用していたが、アルカリ度数を低下させると、殺菌効果や抗菌効果等も低下してしまうこととなっていた。
【0007】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、水溶液に含有された際の粒子の残存を防止することができ、高い殺菌効果、抗菌効果を有する他、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮することができるとともに、取扱いが容易な貝殻焼成カルシウム粉末、この貝殻焼成カルシウム粉末を含有する貝殻焼成カルシウム水溶液、およびこの貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末の特徴は、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られ、平均粒径が0.3〜5.0μmである点にある。
【0009】
この請求項1に記載の発明によれば、平均粒径が0.3〜5.0μmと微細であるので、液体に溶解しやすい。このため、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末を用いることにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末が含有された貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持しつつ、この貝殻焼成カルシウム水溶液中における貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことが可能となる。また、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、ミスト、さらにはドライミストとして噴霧することが可能である。さらに、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、この貝殻焼成カルシウム粉末自体、または水に混入されて水溶液化した場合であっても、人体等に対して刺激を及ぼさずさらに発熱しないので、取扱いが容易である。
【0010】
ここで、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を0.3μmより小さくすると、製造が困難となり、貝殻焼成カルシウム粉末の製造コストが上がってしまうこととなる。一方、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を5.0μmより大きくすると、貝殻焼成カルシウム粉末を液体に溶解させることが困難となり、また、このような貝殻焼成カルシウム粉末を含有する水溶液を噴霧した場合、噴霧装置における目詰まりの発生や、噴霧した貝殻焼成カルシウム粉末の被対象物に付着してしまうことを防止してしまうおそれがある。
【0011】
また、前記本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、アルカリ度数が12.0pH以上であることが好ましい。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、人体等に対して刺激を及ぼさずさらに発熱することがないという性質を維持しつつ、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮することが可能となる。
【0012】
さらに、前記本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、酸化カルシウムのみからなることが好ましい。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、高いアルカリ度数となり、人体等に対して刺激を及ぼさずさらに発熱することがないという性質を維持しつつ、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮することが可能となる。
【0013】
本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の特徴は、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる平均粒径が0.3〜5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末が、飽和点以下の割合によって含有されており、アルカリ度数が12.0pH以上である点にある。
【0014】
本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液によれば、飽和点以下の割合で含有される貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径が0.3〜5.0μmと微細であるため、貝殻焼成カルシウム粉末が溶解しやすい。このため、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、透明性を維持しつつ、貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことができる。また、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、貝殻焼成カルシウム粉末が目詰まりをおこすことなくミスト、ドライミストとして噴霧することが可能である。さらに、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、アルカリ度数が12.0pH以上であるにもかかわらず、人体等に対して刺激を及ぼさずさらに発熱しないので、取扱いが容易である。
【0015】
また、前記本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、前記貝殻焼成カルシウム粉末がエマルジョン化されていることが好ましい。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、温度変化に基づく飽和点の変化によって貝殻焼成カルシウム水溶液中における貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が不均一になってしまうことを防止することができる。
【0016】
さらに、前記本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、前記貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されていることが好ましい。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、透明性を維持することができるとともに、アルカリ度数を上げることができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0017】
本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置の特徴は、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる平均粒径が0.3〜5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末が、飽和点以下の割合によって含有されており、アルカリ度数が12.0pH以上である貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧する点にある。
【0018】
本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置によれば、 貝殻焼成カルシウム水溶液中に飽和点以下の割合で含有される貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径が0.3〜5.0μmと微細であるため、貝殻焼成カルシウム粉末を確実に溶解させることができる。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、貝殻焼成カルシウム粉末が目詰まりをおこすことなく、水滴、ミスト、さらにはドライミストとして貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することが可能となる。また、本噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液における貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を有する貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することが可能であるとともに、貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧する対象物に貝殻焼成カルシウム粉末が付着してしまうことを確実に防止することができる。さらに、本噴霧装置によって噴霧する貝殻焼成カルシウム水溶液は、アルカリ度数が12.0pH以上であるにもかかわらず、人体等に対して刺激を及ぼさずさらに発熱しないので、本噴霧装置は、取扱いが容易である。
【0019】
また、前記本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、前記貝殻焼成カルシウム水溶液をドライミストとして噴霧することが好ましい。これにより、貝殻焼成カルシウム水溶はドライミストとして噴霧されると、噴霧直後に蒸発するので、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置を、例えば、被服の上から噴霧したり、屋内において使用する場合等、貝殻焼成カルシウム水溶液の液滴を被対象物に付着させたくない種々の用途に用いることができる。
【0020】
さらに、前記本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、前記貝殻焼成カルシウム水溶液中で、前記貝殻焼成カルシウム粉末がエマルジョン化されていることが好ましい。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、温度変化にかかわらず貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が均一な貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することができ、かつノズルにおける目詰まりを確実に防止することができる。
【0021】
さらにまた、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、前記貝殻焼成カルシウム水溶液中に、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されていることが好ましい。これにより、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持することができるとともに、アルカリ濃度を上げることができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を有する貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末によれば、この貝殻焼成カルシウム粉末が含有された貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持しつつ、この貝殻焼成カルシウム水溶液中における貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことが可能となる。これにより、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を得ることができる。また、この貝殻焼成カルシウム粉末を用いた貝殻焼成カルシウム水溶液は、ミスト、さらにはドライミストとして噴霧することが可能となる。さらに、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、この貝殻焼成カルシウム粉末自体、または水に混入されて水溶液化した場合であっても刺激や熱が発生しないので、取扱いが容易である。
【0023】
また、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液によれば、透明性を維持しつつ、貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことが可能となり、これにより、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を発揮することができる。また、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、貝殻焼成カルシウム粉末が目詰まりをおこすことなくミスト、ドライミストとして噴霧することが可能である。さらに、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、アルカリ度数が12.0pH以上であるにもかかわらず、人体等に対して刺激を及ぼさずさらには発熱しないので、取扱いが容易であり、食べ物の洗浄や人体等にも利用することが可能である。
【0024】
さらに、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム粉末が目詰まりをおこすことなく、水滴、ミスト、さらにはドライミストとして貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することが可能となる。また、本噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液における貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を有する貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することが可能となる。さらに、本噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧する対象物に貝殻焼成カルシウム粉末が付着してしまうことを確実に防止することができる。さらにまた、本噴霧装置によって噴霧する貝殻焼成カルシウム水溶液は、アルカリ度数が12.0pH以上であるにもかかわらず、人体等に対して刺激を及ぼさずさらには発熱しないので、本噴霧装置は、取扱いが容易であり、例えば、人体や食べ物に直接貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧する用途にも使用することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉末、貝殻焼成カルシウム水溶液および貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置の実施形態を説明する。
【0026】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより製造される。この貝殻焼成カルシウム粉末は、平均粒径が0.3〜5.0μmである。ここで、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を0.3μmより小さくすると、製造が困難となり、貝殻焼成カルシウム粉末の製造コストが上がってしまうこととなる。一方、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を5.0μmより大きくすると、貝殻焼成カルシウム粉末を液体に溶解させることが困難となり、また、このような貝殻焼成カルシウム粉末を含有する水溶液を噴霧した場合、噴霧装置における目詰まりの発生や、噴霧した貝殻焼成カルシウム粉末の被対象物に付着してしまうことを防止してしまうおそれがある。本実施形態においては、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いて説明する。
【0027】
材料として用いられる二枚貝としては、アサリ、シジミ、ハマグリ、カキ、ホッキ等の種々の二枚貝を利用することが可能であるが、高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を有する等の観点からは、特にホタテ貝を用いることが好ましい。
【0028】
この貝殻焼成カルシウム粉末は、アルカリ度数が12.0pH以上であることが好ましい。これにより、貝殻焼成カルシウム粉末は、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果および抗ウイルス効果等を発揮することができる。
【0029】
また、この貝殻焼成カルシウム粉末は、焼成処理により酸化カルシウムのみからなることが好ましい。これにより、貝殻焼成カルシウム粉末は、アルカリ度数を上昇させることができ、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果および抗ウイルス効果等を発揮することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末の製造方法について、より具体的に説明する。
【0031】
まず、二枚貝の貝殻を所定時間煮沸する殺菌・洗浄処理を行う。本実施形態の殺菌・洗浄処理工程では、殺菌洗浄処理においてホタテ貝の貝殻を110℃の真水で1時間ほど煮沸する。これにより、ホタテ貝の貝殻と身を分離するとともに、貝殻および身の殺菌・洗浄を行う。
【0032】
続いて、この貝殻を粗く粉砕する第1粉砕処理を行う。本実施形態の第1粉砕処理工程では、平均粒径が5〜10mm程度となるように粉砕する。これにより、被粉砕貝殻を得る。
【0033】
次に、前記被粉砕貝殻を焼成する焼成処理を行った後、焼成した被粉砕貝殻を所定の温度下において放置することにより熟成させる熟成処理を行う。本実施形態の焼成処理工程では、電気炉を3時間で昇温して温度を1100℃として、被粉砕貝殻を2時間程度焼成する。このような焼成処理の条件により、前記被粉砕貝殻は、酸化カルシウムとなる。続いて、熟成処理工程において、電気炉内の温度を下げながら焼成した被粉砕貝殻をそのまま4時間ほど放置して熟成させる。これにより、電気炉の温度は200℃程度まで下がることとなる。この焼成処理および熟成処理により、被粉砕貝殻は、灰となって砕ける状態となる。さらに、熟成処理後の被粉砕貝殻を、常温において所定時間放置する。
【0034】
さらに、この被粉砕貝殻をさらに細かく粉砕する第2粉砕処理を行う。本実施形態の第2粉砕処理工程では、まず、前記被粉砕貝殻を粒径が15.0μm以下程度となるように粉砕して貝殻粉末原料を得る。この貝殻粉末原料をビーズミル等の微粉砕機を用いてさらに粉砕することにより、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を得る。
【0035】
例えば、ビーズミルを用いる場合、まず、液体としての精製水4.5lに対して貝殻粉末材料500gの割合によって、前記液体および前記貝殻粉末材料をミキサーによって混合・撹拌してスラリーとする。続いて、セラミックス、ガラス、金属等の材料からなる直径が0.03〜3mm程度の粉砕媒体となるビーズを粉砕室に所定の割合で充填させた後、この粉砕室の中央に配置されている回転軸を回転させ、この粉砕室の内部に前記スラリーを供給する。すると、粉砕室内に供給されたスラリーに含有される被粉砕貝殻とビーズとが衝突し、液体中において被粉砕貝殻がさらに微細化されて平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末となる。さらに、粉砕室からスラリーを排出する排出口に設けられている分離手段としての遠心分離装置やスクリーン等によって貝殻焼成カルシウム粉末が含有された液体とビーズとを分離することにより、貝殻焼成カルシウム粉末が含有された液体を得ることができる。この貝殻焼成カルシウム粉末が含有された液体を乾燥することにより、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末を得ることができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、第2粉砕処理において用いられる微粉砕機としてビーズミルを利用しているが、これに限定されるものではなく、貝殻粉末原料を平均粒径が0.3〜5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末に粉砕することができればよい。
【0037】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末によれば、平均粒径が5.0μmと微細であるので、液体に溶解しやすい。
【0038】
したがって、この貝殻焼成カルシウム粉末を用いることによって、この貝殻焼成カルシウム粉末が含有された貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持しつつ、この貝殻焼成カルシウム水溶液中における貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことが可能となる。これにより、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を得ることができる。また、この貝殻焼成カルシウム粉末を用いた貝殻焼成カルシウム水溶液は、ミスト、さらにはドライミストとして噴霧することが可能となる。さらに、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末は、この貝殻焼成カルシウム粉末自体、または水に混入されて水溶液化した場合であっても刺激や熱が発生しないので、取扱いが容易である。
【0039】
また、アルカリ度数が12.0pH以上である場合には、本貝殻焼成カルシウム粉末の殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果をより高めることができる。さらに、貝殻焼成カルシウム粉末を酸化カルシウムのみから構成することにより、アルカリ度数を上げることが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態においては、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いて説明したが、平均粒径が0.3μm以上であって5.0μmより小さい貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合であっても、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合と同等の効果を奏することができ、さらには、例えば貝殻焼成カルシウム粉末を液体に溶解させる場合に、貝殻焼成カルシウム粉末が溶解しやすいので、貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増加させることができる。
【0041】
この貝殻焼成カルシウム粉末の利用例としては、貝殻焼成カルシウム粉末を液体に含有させてアルカリ度数の高い貝殻焼成カルシウム水溶液を得るほか、貝殻焼成カルシウム粉末自体をマスクや空調等のフィルタ内に混入させて利用することができる。これにより、フィルタ内に混入された貝殻焼成カルシウム粉末は、空気中や呼吸による水分に反応して、殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮する。
【0042】
また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末を農地等へ散布することにより、酸性雨や黄砂対策、また土壌の改良等に利用することもでき、さらには、農地の連作障害を防止することもできる。
【0043】
〔試験例1〕本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末のトリインフルエンザに対する殺ウイルス効果、抗ウイルス効果について説明する。
【0044】
試験方法は、二枚貝としてホタテ貝の殻を用い前述の製造方法によって製造された貝殻焼成カルシウム粉末100mgと、高病原性トリインフルエンザウイルス(H7N1)100μlとを混合し、室温(約25℃)において8時間感作させた後、細胞維持培地900μlを加えて前記高病原性トリインフルエンザウイルスを水相に回収した。この高病原性トリインフルエンザウイルスの残存ウイルス量(力価)を、MDCK細胞を用いて50%組織培養感染量(TCID50/ml)によって測定した。また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末を混合しない高病原性トリインフルエンザウイルスについて、前述の試験方法と同様の工程によって残存ウイルス量(力価)をMDCK細胞を用いて50%組織培養感染量によって定量した。
【0045】
この結果、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末を混合しない場合の残存ウイルス量は、106.5TCID50/mlであった。これに対し、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウムを混合した場合の残存ウイルス量は、101.5TCID50/ml未満となり、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末を混合しない場合と比較して、残存ウイルス量が105.0TCID50/ml以上低下した。このことから、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉末には、高病原性トリインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果が認められた。
【0046】
続いて、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の一実施形態について説明する。
【0047】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる貝殻焼成カルシウム粉末が含有されている。貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径は、0.3〜5.0μmである。ここで、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を0.3μmより小さくすると、製造が困難となり、貝殻焼成カルシウム粉末の製造コストが上がってしまうこととなる。一方、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を5.0μmより大きくすると、貝殻焼成カルシウム粉末を液体に溶解させることが困難となり、また、このような貝殻焼成カルシウム粉末を含有する水溶液を噴霧した場合、噴霧装置における目詰まりの発生や、噴霧した貝殻焼成カルシウム粉末の被対象物に付着してしまうことを防止してしまうおそれがある。本実施形態においては、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合について説明する。また、本貝殻焼成カルシウム水溶液は、前記貝殻焼成カルシウム粉末が飽和点以下の割合によって含有されており、アルカリ度数が、12.0pH以上である。
【0048】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の製造方法は、前述の貝殻焼成カルシウム粉末の製造方法とほぼ同様であり、殺菌・洗浄処理、第1粉砕処理、焼成処理、熟成処理、第2粉砕処理を得て得られた貝殻焼成カルシウム粉末が含有されている液体が、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の原液となる。この貝殻焼成カルシウム粉末が含有された液体を、殺菌水等の希釈液によって、貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が飽和点以下であってアルカリ度数が12.0pH以上となるように希釈することにより、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液を得ることができる。具体的には、例えば、20℃の空気中において、貝殻焼成カルシウム水溶液中における貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が0.1%であれば、透明性を維持しながらアルカリ度数が12.5pHとなる。
【0049】
本実施形態における貝殻焼成カルシウム水溶液において、貝殻焼成カルシウム粉末は飽和含有されていることが好ましい。これにより、貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持することができるとともに、貝殻焼成カルシウムの水溶液中におけるアルカリ濃度を上げることができるので、より殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果の高い貝殻焼成カルシウム水溶液を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態における貝殻焼成カルシウム水溶液において、貝殻焼成カルシウム粉末はエマルジョン化されていることが好ましい。貝殻焼成カルシウム水溶液中において貝殻焼成カルシウム粉末をエマルジョン化させる方法としては、例えば、食品添加物の分散剤等を添加する方法を用いることができる。食品添加物を使用することにより、たとえば、この貝殻焼成カルシウム水溶液を、菌、ウイルス対策として人や動植物等に使用することも可能となる。
【0051】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液によれば、飽和点以下の割合で含有される貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径が5.0μmと微細であるため、貝殻焼成カルシウム粉末が溶解しやすい。
【0052】
したがって、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、透明性を維持しつつ、貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことが可能となり、これにより、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を発揮することができる。また、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、貝殻焼成カルシウム粉末が目詰まりをおこすことなくミスト、ドライミストとして噴霧することが可能である。さらに、この貝殻焼成カルシウム水溶液は、アルカリ度数が12.0pH以上であるにもかかわらず、刺激や熱が発生しないので、取扱いが容易であり、食べ物の洗浄や人体等にも利用することが可能である。
【0053】
また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液によれば、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されている場合には、貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持することができるとともに、アルカリ度数を上げることができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を発揮することができる。
【0054】
さらに、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液において、貝殻焼成カルシウム粉末がエマルジョン化されている場合には、例えば温度変化に基づく飽和点の変化によって貝殻焼成カルシウム水溶液中における貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が不均一になってしまうことを防止することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いて説明したが、平均粒径が0.3μm以上であって5.0μmより小さい貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合であっても、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合と同等の効果を奏することができ、さらには、例えば貝殻焼成カルシウム水溶液において、貝殻焼成カルシウム粉末が溶解しやすいので、貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増加させることができる。
【0056】
このような貝殻焼成カルシウム水溶液の利用例としては、例えば、野菜等の食べ物の洗浄をあげることができる。これにより、貝殻焼成カルシウム水溶液の殺菌効果や抗菌効果を利用して野菜を洗浄し、鮮度を維持することができるとともに、貝殻焼成カルシウム粉末によって野菜の表面を傷つけたり、溶解しきらなかった貝殻焼成カルシウム粉末が野菜の表面に付着してしまうことを確実に防止することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果、刺激や熱が発生しない特性、さらには、ミスト、ドライミストとして噴霧可能な性質やアルカリ度数が高いという性質等を利用して、殺菌剤、抗菌剤、殺ウイルス剤、抗ウイルス剤、消臭剤、薬剤、酸中和剤等の様々な用途に用いることが可能である。
【0058】
例えば、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液をマスクや空調等のフィルタに吹き付けたり、この貝殻焼成カルシウム水溶液を直接人体や動物に噴霧し、さらには、人が多く集まる屋内や屋外、入国ゲート、出国ゲート、さらには、鶏舎、豚舎、牛舎等の各所に噴霧することにより、菌、ウイルス対策に利用することができる。さらに、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液は、農地等に噴霧することにより、酸性雨や黄砂対策、また土壌の改良等に利用することもでき、さらには、農地の連作障害を防止することもできる。
【0059】
〔試験例2〕本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液のサルモネラ菌に対する殺菌効果について説明する。
【0060】
試験方法は、二枚貝としてホタテ貝の殻を用い前述の製造方法によって製造され、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されている前記貝殻焼成カルシウム水溶液40mlをチューブに入れ、この貝殻焼成カルシウム水溶液にサルモネラ菌5,800個/mlを添加した後、この貝殻焼成カルシウム水溶液中におけるサルモネラ菌の数を経時的に測定した。使用培地としてDHL寒天培地を使用した。試験結果を、表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示すように、この結果、前記貝殻焼成カルシウム水溶液にサルモネラ菌を添加した後45秒経過した時点からサルモネラ菌は検出されなかった。このことから、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液には、極めて短時間でのサルモネラ菌に対する殺菌効果が認められた。
【0063】
〔試験例3〕本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果について説明する。
【0064】
試験方法は、二枚貝としてホタテ貝の殻を用い前述の製造方法によって製造され、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されている前記貝殻焼成カルシウム水溶液40mlをチューブに入れ、この貝殻焼成カルシウム水溶液に黄色ブドウ球菌1.5×10個/mlを添加した後、この貝殻焼成カルシウム水溶液における黄色ブドウ球菌の数を経時的に測定した。使用培地として、卵黄加マンニット食塩寒天培地を使用した。試験結果を、表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表2に示すように、この結果、前記貝殻焼成カルシウム水溶液に黄色ブドウ球菌を添加した後15秒経過した時点で菌数が低下したことが認められ、7分経過した時点から黄色ブドウ球菌は検出されなかった。このことから、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液には、黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果が認められた。
【0067】
〔試験例4〕本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の大腸菌に対する殺菌効果について説明する。
【0068】
試験方法は、二枚貝としてホタテ貝の殻を用い前述の製造方法によって製造され、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されている前記貝殻焼成カルシウム水溶液40mlをチューブに入れ、この貝殻焼成カルシウム水溶液に大腸菌10,600個/mlを添加した後、この貝殻焼成カルシウム水溶液中における大腸菌の数を経時的に計測した。使用培地としてデオキシコレート寒天培地を使用した。試験結果を、表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
表3に示すように、この結果、前記貝殻焼成カルシウム水溶液に大腸菌を添加した後15秒経過した時点で菌数が低下したことが認められ、1分45秒経過した時点から大腸菌は検出されなかった。このことから、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液には、極めて短時間での大腸菌に対する殺菌効果が認められた。
【0071】
続いて、本発明に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置の一実施形態について説明する。
【0072】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる貝殻焼成カルシウム粉末が、飽和点以下の割合によって含有されており、アルカリ度数が12.0pH以上である貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧するようになっている。この貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径は0.3〜5.0μmである。ここで、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を0.3μmより小さくすると、製造が困難となり、貝殻焼成カルシウム粉末の製造コストが上がってしまうこととなる。一方、貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径を5.0μmより大きくすると、貝殻焼成カルシウム粉末を液体に溶解させることが困難となり、また、このような貝殻焼成カルシウム粉末を含有する水溶液を噴霧した場合、噴霧装置における目詰まりの発生や、噴霧した貝殻焼成カルシウム粉末の被対象物に付着してしまうことを防止してしまうおそれがある。本実施形態においては、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合について説明する。
【0073】
前記噴霧装置は、図示はしないが、前記貝殻焼成カルシウム水溶液を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧するノズルと、貯留部に貯留された貝殻焼成カルシウム水溶液をノズルに供給する配管とを備えている。本噴霧装置によって噴霧される貝殻焼成カルシウム水溶液は、前述の貝殻焼成カルシウム水溶液の製造方法と同様の製造方法によって得ることができる。
【0074】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置において用いられるノズルとしては、貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧直後に蒸発する微粒状のドライミストとして噴霧することが可能なノズルを用いることが好ましい。このドライミストは噴霧直後に蒸発してしまうので、本噴霧装置においてドライミストとして噴霧可能なノズルを用いることにより、この噴霧装置を、例えば、被服の上から噴霧したり、屋内において使用する場合等、貝殻焼成カルシウム水溶液の液滴を被対象物に付着させたくない種々の用途に用いることができる。貝殻焼成カルシウム水溶液をドライミストとして噴霧可能なノズルの一例としては、例えば、特許第3584289号に記載された液体微粒化ノズルがあげられる。この液体微粒化ノズルによれば、液滴の大きさが均一であって超微細な粒径のドライミストを低圧で噴霧することが可能である。
【0075】
なお、前記ノズルとしては、前述のドライミストの他、例えば、貝殻焼成カルシウム水溶液を水滴やミストとして噴霧可能な種々のノズルを用いることが可能である。
【0076】
また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置においては、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されている貝殻焼成カルシウム水溶液を用いることが好ましい。これにより、貝殻焼成カルシウム水溶液中において貝殻焼成カルシウム粉末が飽和する限界であるので、ノズルにおける貝殻焼成カルシウム粉末による目詰まりの発生を防止することができとともに、貝殻焼成カルシウムの水溶液におけるアルカリ濃度を上げることができ、より殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果の高い貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置において、貝殻焼成カルシウム粉末が貝殻焼成カルシウム水溶液中においてエマルジョン化されていることが好ましい。これにより、本噴霧装置によれば、温度変化にかかわらず貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が均一な貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することができるとともに、ノズルにおける目詰まりを確実に防止することができる。
【0078】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液中に飽和点以下の割合で含有される貝殻焼成カルシウム粉末の平均粒径が5.0μmと微細であるため、貝殻焼成カルシウム粉末を確実に溶解させることができる。
【0079】
したがって、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置は、貝殻焼成カルシウム粉末が目詰まりをおこすことなく、水滴としての他、ミスト、さらにはドライミストとして貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することが可能となる。また、本噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液における貝殻焼成カルシウム粉末の含有量を増やすことができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、および抗ウイルス効果を有する貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することが可能となる。さらに、本噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧する対象物に貝殻焼成カルシウム粉末が付着してしまうことを確実に防止することができる。さらにまた、本噴霧装置によって噴霧する貝殻焼成カルシウム水溶液は、アルカリ度数が12.0pH以上であるにもかかわらず、人体等に対する刺激が無くさらには発熱しないので、本噴霧装置によれば、取扱いが容易であり、例えば、人体や食べ物に直接貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧する用途にも使用することが可能である。
【0080】
また、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液中に貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されている場合には、貝殻焼成カルシウム水溶液の透明性を維持することができるとともに、アルカリ濃度を上げることができるので、より高い殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果を有する貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することができる。
【0081】
さらに、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液において貝殻焼成カルシウム粉末がエマルジョン化されている場合には、温度変化にかかわらず貝殻焼成カルシウム粉末の濃度が均一な貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することができるとともに、ノズルにおける目詰まりを確実に防止することができる。
【0082】
さらにまた、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置によれば、貝殻焼成カルシウム水溶液をドライミストとして噴霧することにより、例えば、被服の上から噴霧したり、屋内において使用する場合等、貝殻焼成カルシウム水溶液の液滴を被対象物に付着させたくない種々の用途に用いることができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いて説明したが、平均粒径が0.3μm以上であって5.0μmより小さい貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合であっても、平均粒径が5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末を用いた場合と同等の効果を奏することができ、さらに、例えば噴霧装置における目詰まりについて、より確実に防止することが可能となる。
【0084】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置の利用例としては、本噴霧装置によって噴霧される貝殻焼成カルシウム水溶液の殺菌効果、抗菌効果、殺ウイルス効果、抗ウイルス効果、刺激や熱が発生しない特性、さらにはアルカリ度数が高いという性質等を利用して、殺菌剤、抗菌剤、殺ウイルス剤、抗ウイルス剤、消臭剤、薬剤、酸中和剤等の噴霧装置等、様々な用途に用いることが可能である。
【0085】
例えば、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置について、菌、ウイルス対策として、前記貝殻焼成カルシウム水溶液を、マスクや空調等のフィルタに噴霧したり、直接人体や動物に噴霧し、さらには、人が多く集まる屋内や屋外、入国ゲート、出国ゲート、さらには、鶏舎、豚舎、牛舎等の各所に噴霧する噴霧装置に利用することができる。さらに、本噴霧装置は、酸性雨や黄砂対策、また土壌の改良等、さらには、農地の連作障害の防止を目的として、貝殻焼成カルシウム水溶液を農地等に噴霧する噴霧装置として利用することもできる。
【0086】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られ、平均粒径が0.3〜5.0μmであることを特徴とする貝殻焼成カルシウム粉末。
【請求項2】
アルカリ度数が12.0pH以上であることを特徴とする請求項1に記載の貝殻焼成カルシウム粉末。
【請求項3】
酸化カルシウムのみからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貝殻焼成カルシウム粉末。
【請求項4】
二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる平均粒径が0.3〜5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末が、飽和点以下の割合によって含有されており、アルカリ度数が12.0pH以上であることを特徴とする貝殻焼成カルシウム水溶液。
【請求項5】
前記貝殻焼成カルシウム粉末がエマルジョン化されていることを特徴とする請求項4に記載の貝殻焼成カルシウム水溶液。
【請求項6】
前記貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の貝殻焼成カルシウム水溶液。
【請求項7】
二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる平均粒径が0.3〜5.0μmの貝殻焼成カルシウム粉末が、飽和点以下の割合によって含有されており、アルカリ度数が12.0pH以上である貝殻焼成カルシウム水溶液を噴霧することを特徴とする貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置。
【請求項8】
前記貝殻焼成カルシウム水溶液をドライミストとして噴霧することを特徴とする請求項7に記載の貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置。
【請求項9】
前記貝殻焼成カルシウム水溶液中において、前記貝殻焼成カルシウム粉末がエマルジョン化されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置。
【請求項10】
前記貝殻焼成カルシウム水溶液中において、貝殻焼成カルシウム粉末が飽和含有されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の貝殻焼成カルシウム水溶液の噴霧装置。

【公開番号】特開2011−26254(P2011−26254A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174615(P2009−174615)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(509211343)日本シェルテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】