説明

負圧増大式チェック・バルブ

【課題】ブレーキ・ブースターへ利用可能な負圧を高めるようにする。
【解決手段】車両ブレーキ・ブースターへの直接接続のための負圧増大形チェック・バルブ10が、そこに供給される部分負圧を増大させ、ブレーキ・ブースターへ可能な空気の逆流を制限する。バルブは、車両のエンジンの吸気マニフォールドにおける部分負荷により、第1吸気ポート18と排気ポート20との間の流れに吸引される空気の圧力を低下させるベンチュリ(第1及び第2部分36,38)を有する。ベンチュリは、ブレーキ・ブースターへ直接取り付け可能な第2吸気ポート62とも空気連通し、第2吸気ポートにおける空気圧が、ベンチュリ内で増大した部分負荷に向かうようにする。バルブ内のバルブ・シート42,44,74,76とシール部材60,61とが協働して、第2吸気ポートからの空気の流れがベンチュリに向かうのを許容するが、反対方向には許容しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、チェック・バルブと車両制動システムに関し、より具体的には、車両制動システムのブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両制動システムの殆どが、その動作を補助するために、車両の内燃機関の吸気マニフォールドにおいて作り出される負圧を利用する。そのような車両制動システムは、一般的に、前チャンバーと、移動可能な壁により前チャンバーから分離された後チャンバーとを囲むハウジングを持つブレーキ・ブースターを含む。吸気マニフォールドにおいて作り出された負圧は、移動可能壁を支持する前チャンバー及び後チャンバー内に部分的な負圧を生成するために、通路により前チャンバーへと連通される。その後で、車両のドライバーが制動のために車両のブレーキ・ペダルを踏込むときに、後チャンバーへ供給される負圧が中断されて、後チャンバーが大気圧へと開放され、それにより、移動可能壁前後の圧力差を生成する。その圧力差は、移動可能壁を前チャンバーの方に移動させ、それにより、ブレーキ・ブースターに接続されたマスター・ブレーキ・シリンダーへプッシュ・ロッドにより力が伝達される。その力は、ブレーキ液を高圧化し、ブレーキ液が車両の前後の車輪に配置されたブレーキ・アクチュエーターへ管路を介して供給されるようにし、そして車両の制動を起こす。
【0003】
車両のドライバーが、車両のブレーキ・ペダルから圧力を抜くと、大気圧にある空気が、後チャンバーから前チャンバーへ向けて流れるのが許容される。その空気は、吸気マニフォールドにおいて作り出された負圧により前チャンバーから排出され、それにより、前チャンバー内に再び部分負圧を生成し、移動可能壁がそれの支持位置に向けて戻されるようにする。ブレーキ・ブースター・ハウジングの外側に取り付けられることも、ブレーキ・ブースター・ハウジング内に位置することもあり得るチェック・バルブが、前チャンバーからの空気の流れを許容する。
【0004】
米国運輸省規定の安全基準によれば、移動可能壁前後の圧力差を車両特有の値未満とすることはできない。不幸なことに、吸気マニフォールドにおいて作り出される部分負圧は、一定の状態においてより低くなることがあり得て、車両の運転中常時、車両が上記のような基準に合致するのに充分な圧力差とはなり得ない。例えば、冷間始動中又は、車両の変速機、パワーステアリング又は空調装置のコンプレッサーが連動しているとき、ブレーキ・ブースターにおける負圧の喪失が起こり得る。更に、車両は、空調用ブレンド・ドア、パーキング・ブレーキのリリース作動、エンジン・マウント・モジュレーションそして燃料パージ、のような他の多くの目的又はシステムに、負圧アシストを用いることがあり得る。結論として、車両のブレーキ・ブースターに利用可能な負圧がより小さくなることがあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それで、この分野には、ブレーキ・ブースターへ固定可能で、ブレーキ・ブースターから空気を吸入し、ブレーキ・ブースターへ利用可能な負圧を高めるように作動が可能で、現在又は将来存在するこれらのそして他の問題又は困難に対処するチェック・バルブに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
全体的に述べると、本発明は、車両ブレーキ・ブースターへの直接の接続のための、ブレーキ・ブースターへ供給される部分負圧を増大し、そしてブレーキ・ブースターへの空気の逆流を制限する負圧増大形チェック・バルブを有する。例示の実施形態によれば、負圧増大形チェック・バルブは、車両内燃機関の吸気部へ管路を介して接続される第1吸気ポート、車両制動システムのブレーキ・ブースターへ直接接続される第2吸気ポート、及び、車両内燃機関の吸気マニフォールドへ管路を介して接続される排気ポートを持つバルブ・ボディを有する。バルブ・ボディは、吸気マニフォールドに存在する部分負圧に応答して第1吸気ポートと第2吸気ポートとの間で空気が流れるのを可能とするベンチュリを有し、そのベンチュリは、それの喉部分における空気圧が吸気マニフォールドにおける空気圧よりも低くなるように、喉部分において空気流の圧力を最低値に低下させる。喉部分が第2吸気ポートと空気連通していることにより、第2吸気ポートにおける空気圧は、喉部分において存在する部分負圧に向かい、それにより、車両ブレーキ・ブースターへの部分負圧をそうでなければ吸気マニフォールドから得ることのできる負圧よりも高める。
【0007】
一例の実施形態によれば、バルブ・ボディは更に、ベンチュリと第2吸気ポートとの間に介装されるバルブ・シートを規定する。バルブ・シート内に配置されるシール部材は、ベンチュリの喉部分における空気圧の低下により空気が第2吸気ポートからベンチュリに向けて流れるように吸引される第1位置と、空気がベンチュリから第2吸気ポートに向けて流れるのが制限される第2位置と、の間で移動するように適応される。
【0008】
本発明の負圧増大形チェック・バルブは、車両制動システムのブレーキ・ブースターへ直接接続し、ブレーキ・ブースターの前チャンバーからの空気の流れを可能とするが、前チャンバーへの空気の流れは許容しない。それで、負圧増大形チェック・バルブは、ブレーキ・ブースター内に位置するチェック・バルブが同じ働きをする必要性を排除する。本発明の負圧増大形チェック・バルブはまた、車両の制動システムそして潜在的には負圧アシストを必要とする他の車両装置又はシステムにより用いられる車両の内燃機関の吸気マニフォールドにより生成される部分負圧を増大させるアスピレーターとしても機能する。以前は、そのような負圧増大は、吸気マニフォールドと車両の制動システムとの間の管路内に位置するアスピレーターにより実行された。それで、負圧増大形チェック・バルブはまた、管路内に配置されたアスピレーターの必要性と、アスピレーターとブレーキ・ブースターとの間を延びる管路の必要性を、無くす。それで、負圧増大形チェック・バルブは、車両内の少なくとも3個の部品に代わり、それにより、車両のコストと複雑さを削減し、車両の信頼性を向上させる。更に、負圧増大形チェック・バルブの吸気ポートと排気ポートとの相対的な方向は、第2吸気ポートを直接ブレーキ・ブースターへ容易に挿入するのを可能とし、そのような挿入前後に取り付けられる管路との干渉を無くす。
【0009】
本発明の他の目的、構成及び効果は、添付の図面と関連してこの明細書を読みそして理解することにより、明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照すると、複数の図面中、同様の部分を表すのに同様の符号が用いられており、図1は、本発明の例示的な実施形態による負圧増大形チェック・バルブ10の側面視立面図である。負圧増大形チェック・バルブ10は、第1バルブ部分14と第2バルブ部分16から形成された実質的にワンピースのバルブ・ボディ12を有する(図3参照)。バルブ部分14,16は、車両のエンジン・ルーム内の制動システム・ブースターに取り付けられて使用されるときに存在する荷重、圧力及び温度に耐えることのできる、射出成形された耐熱性高硬度樹脂から製造されるのが好ましい。バルブ部分14,16は、超音波溶接、加熱又は他の適切な方法又は技術により、製造中に互いに強固に接合される。バルブ部分14,16は、他の適切な樹脂材料又はそれらの組合せから、製造してもよい。
【0011】
第1バルブ部分14は、第1吸気ポート18及び対向する排気ポート20を持つ。それらは、図1及び2に示されるように、そこの間を延びる長軸22に沿って同心状に配列される。第1バルブ部分は、第1吸気ポート18において第1開口26を規定し、そして排気ポート20において第2開口28を規定する、壁24を有する。第1及び第2開口26,28は、全体として円形の断面を持つ。壁24は、第1吸気ポート18及び排気ポート20においてそれぞれ複数、第1及び第2開口26,28回りに延びるかえし部30,32を持つ。第1吸気ポート18における複数のかえし部30は、負圧増大形チェック・バルブ10が使用中に第1吸気ポート18と車両の吸気シュノーケルとの間を延びて第1吸気ポート18において負圧増大形チェック・バルブ10に取り付けられる管路若しくはホースを保持する助けをする。同様に、排気ポート20における複数のかえし部30は、排気ポート20と車両のエンジン・ブロックの吸気マニフォールドとの間を延びて排気ポート20において負圧増大形チェック・バルブ10に取り付けられる管路若しくはホースを保持する助けとなる。
【0012】
壁24はまた、図3の断面図に示されるように、第1及び第2開口26,28との間を第1バルブ部分14内を延びる通路34を規定する。通路34の存在ゆえに、第1及び第2開口26,28(そして更に第1吸気ポート18及び排気ポート20)が、直接の空気流通状態にある。通路34は、第1部分36、第2部分38、及び、第1及び第2部分36,38の間の空気連通のためにそれらを接続する喉部分40を含む。第1部分36は、第1開口26と喉部分40との間を延び、そして、断面積が第1開口26において最大となるように、テーパー状となる。同様に、第2部分38は、第1部分バルブ・シート42(後述)の第2ボア48(後述)と喉部分40との間で断面積がテーパー状となり、そして、第2部分の最大断面積を持つ喉部分が第2ボア48近くになる。第1部分36、第2部分38及び喉部分40は一緒に、圧力を低下させながら、そこを通過する空気の速度を加速する集合分離部、若しくはベンチュリ・ノズルを構成する。最大空気速度及び最小空気圧力は、ほぼ、喉部分40に存在する。
【0013】
第1バルブ部分14は更に、第1部分バルブ・シート42,44を含み、それらはそれぞれ、壁24により規定される第1及び第2ボア46,48を含む。第1及び第2ボア46,48は、全体として円形断面を持つ。壁24は更に、第1ボア46と通路34の喉部分40との間を延びて、第1ボア46と通路34との間(そして更に、第1部分バルブ・シート42と通路34との間)の連通を可能とするチャンネル50を規定する。第2ボア48は、通路34と直接の空気連通状態にある。壁24はまた、第1及び第2バルブ部分14,16が互いに接合する間に第1部分バルブ・シート42,44の第2部分バルブ・シート74,76(後述)との係合性を向上し可能とする舌部52,54を持つ。壁24は更に、図4の底面図において最もよく示されるように、柔軟な移動可能シール部材60,61を支持するために離間した半径に沿って第1及び第2ボア46,48内へ部分的に延びる突出指部56,58を持つ。全体として、シール部材60,61は、比較的薄く、円形状を持つ。
【0014】
第2バルブ部分16は、負圧増大形チェック・バルブ10の製造中に第1バルブ部分14と係合するようにされる。第2バルブ部分16は、図1及び図3に示されるように、横断軸64回りに配列された第2吸気ポート62を持つ。本発明の例示的な実施形態によれば、横断軸64は、長軸22に対して垂直である。第2吸気ポート62を横断軸64回りに配列し、第1吸気ポート18と排気ポート20を長軸22に沿って同心状に配列することにより、第2吸気ポート62を後述のように、第1吸気ポート18に取り付けられた管路と排気ポート20に取り付けられた管路を用いて、何れの管路とも干渉なしに、ブレーキ・ブースター96のハウジング100内に挿入することができる。また、そのような配列により、第2吸気ポート62のブレーキ・ブースター96のハウジング内への挿入後に、管路を第1吸気ポート18と排気ポート20に用意に取り付けることもできる。同様に、そのような配列により、負圧増大形チェック・バルブ10は、ブレーキ・ブースターから容易に取除くことができる。それで、第1及び第2吸気ポート18,62及び排気ポート20の相対的な配列が、車両のブレーキ・ブースターとの間の負圧増大形チェック・バルブ10の挿入及び取外しを実質的に自由度のあるものとする。
【0015】
第2バルブ部分16は、第2吸気ポート62においてその中に開口68を規定する壁66を有する。開口68は、後述のように、負圧増大形チェック・バルブ10が使用中に、車両ブレーキ・ブースター96の開口104及びグロメット108内の第2吸気ポート62の保持と固定を改良するために、第2吸気ポート62にブレーキ・ブースター・インターフェース70を持つ。例示の実施形態において、ブレーキ・ブースター・インターフェース70は、第2吸気ポート62において突出し、開口68の回りを延びる複数のかえし部を有する。壁66はまた、ブレーキ・ブースター・インターフェース70の内部において第2吸気ポート62回りに延びる肩部72を持つ。肩部72は、車両ブレーキ・ブースター96のハウジング100の開口104及びグロメット108内への第2吸気ポート62の挿入中の第2吸気ポート62の移動を制限するストッパーとして機能する。
【0016】
図3に示されるように、第2バルブ部分16は更に、それぞれ、第1及び第2ボア78,80は、全体として円形断面を持つ。壁66は更に、第1及び第2ボア78,80の間を延びるチャンバー82を規定し、そして、チャンバー82と開口68との間で第2吸気ポート62内で横断軸64周りに延びる通路84を規定する。チャンバー82は、第1及び第2ボア78,80そして通路84と空気連通し、それにより、第1及び第2ボア78,80と通路84との間で(そして第2部分バルブ・シート74,76と通路84との間で)空気が通過するのを可能とする。第2部分バルブ・シート74,76における壁66は、シール部材60,61の直径よりも僅かに小さい外径を持つ第1及び第2凹部86,88を持つ。壁66は更に、その中において第2部分バルブ・シート74,76において第1及び第2溝90,92を規定し、それらは、負圧増大形チェック・バルブ10の製造中に第1及び第2バルブ部分14,16が接合されるときに、第1バルブ部分14の壁24の舌部52,54に対して相補的であり、そして舌部52,54を受ける。
【0017】
本発明の他の例示実施形態において、壁66が、チャンバー82と空気連通する別の吸気ポートを規定してもよい。別の吸気ポートは、限定するものではなく例えば、空調用コンプレッサー、空調用エア・ブレンド・ドア、変速機、クルーズ・コントロール・システム、パーキング・ブレーキ・リリース・アクチュエーター、エンジン・マウント・モジュレーター、燃料パージ・システムなどの負圧又は負圧アシストを必要とする他の車両装置又はシステムに結合することもできる。
【0018】
負圧増大形チェック・バルブ10は、壁24の舌部52,54が壁66の第1及び第2溝90,92と並ぶように、第1部分バルブ・シート42,44及び第2部分バルブ・シート74,76を配列することにより、組立てられる。シール部材60,61はそして、壁24の突出指部56,58と接触し、その上に載るように、配置される。第1及び第2バルブ部分14,16は、その後一緒に圧迫されて、音波溶接、加熱、又は他の適切な方法又は手法により、接合される。第1及び第2バルブ部分14,16を接合するために用いられる特定の方法又は技術は、それらが形成される元の材料により変わる。
【0019】
負圧増大形チェック・バルブ10は、図5及び図6の上面図及び左側立面図に示されるようにそこで共に用いられるように適応されたブレーキ・ブースター96及びマスター・シリンダー98の組立体を持つ車両制動システム94と関連させて用いられるのが普通である。そのようなブレーキ・ブースター96は、前後のチャンバーを少なくとも部分的に取囲むハウジング100を有する。前後のチャンバーは、通常の車両制動システムに見られるものと実質的に類似のものであり、そして実質的に同様の態様で動作する。ハウジング100は、その中に開口104を、そしてそこを貫通して通路(図示せず)を規定する壁102を持つ。通路(図示せず)は、空気が通路(図示せず)を介して開口104と前チャンバーとの間を進むように、開口104と前チャンバーとの間を延びる。グロメット108は、負圧増大形チェック・バルブ10の第2吸気ポート62の受けと保持のために、開口104内に位置する。
【0020】
使用中に、負圧増大形チェック・バルブ10が、図5及び図6に示されるように、第2吸気ポート62を開口104及びグロメット108へ挿入することにより、車両のブレーキ・ブースター96のハウジング100に直接固定される。グロメット108は、第2吸気ポート62と開口104との間のエンジン・ルームからブレーキ・ブースター96の前チャンバーへ空気が入らないように、第2吸気ポート62がハウジング100から外れるのを防止する一助となる。第2吸気ポート62が開口104とグロメット108内に配置された後、第1管路の第1端における開口を第2吸気ポート62の複数のかえし部30上に押し込み、第1管路の第1端を負圧増大形チェック・バルブ10へ固定することにより、第1管路若しくはホースが、第1吸気ポート18において負圧増大形チェック・バルブ10に取り付けられる。第1管路の第2端は、車両の吸気シュノーケル又は他の吸気装置に取り付けられ、それにより、負圧増大形チェック・バルブ10の第2吸気ポート62と吸気シュノーケル又は装置との間の空気の流れを可能とする。次に、第2管路の第1端を排気ポート20の複数のかえし部32上に凹圧し、第2通路の第1端を負圧増大形チェック・バルブ10へ固定することにより、第2管路若しくはホースが、排気ポート20において、負圧増大形チェック・バルブ10に取り付けられる。第2通路の第2端はそして、車両のエンジン・ブロックの吸気マニフォールドにおけるフィッティングに固定され、それにより、負圧増大形チェック・バルブ10の排気ポート20と吸気マニフォールドとの間で空気が流れるのを許容する。
【0021】
上述のように負圧増大形チェック・バルブ10が組み込まれた車両の動作中に、車両のエンジンは、それの吸気マニフォールドにおいて部分負圧を生成し、第1及び第2管路を通り、そして第1吸気ポート18及び排気ポート20を通り、空気を流れさせる。空気が第1吸気ポート18を通り排気ポート20に向けて吸い込まれるとき、空気が通路34を通るときに加速されて、それの速度は増加されて、圧力は通路34のベンチュリにより更に低下させられる。ベンチュリにより起こされる圧力の更なる低下により、車両のエンジンにより生成される部分負圧が、負圧増大形チェック・バルブ10により大幅に高められる。通路34内の圧力の更なる低下(つまり部分負圧の大幅な増大)は、第1部分バルブ・シート42,44の第1及び第2ボア46,48内を延びる突出指部56,58に対向してシール部材60,61が引かれるようにする。そのような位置にあるシール部材60,61により、チャンバー82から通路34へ第1及び第2部分バルブ・シート42,44,74,76を介して空気が流れるのが許容される。結果として、空気が第2吸気ポート62を介してチャンバー82内へも引き込まれ、それにより、第2吸気ポート62内の部分負荷を生成し、ブレーキ・ブースター96に対する(そして、車両の制動システムに対する)負圧アシストを行う。
【0022】
通常の車両内燃機関は典型的に、動作中にその吸気マニフォールドに約178 mm Hg(水銀柱で7インチ)の負圧を生成する。本発明の負圧増大形チェック・バルブ10は、第2吸気ポート62における部分負荷が約457 mm Hg(水銀柱で18インチ)となるように、この部分負圧を増大する。この増大は、少なくとも部分的には、通路34のベンチュリ構成による部分負荷の157%の増加を構成する。
【0023】
何らかの理由により、流れの方向がチャンバー82と第2吸気ポート62内で反転させられたときには、シール部材60,61が第2部分バルブ・シートの第1及び第2凹部86,88に対して引かれる。それで、負圧増大形チェック・バルブ10はまた、多くの車両制動システムのブレーキ・ブースターで用いられる又はそこに取り付けられるチェック・バルブと同様のチェック・バルブとしても機能する。
【0024】
本発明は、例示の実施形態に関して詳細に上述してきたが、前述のそして請求項に規定の本発明の思想及び範囲内において、変更及び改良をなすことができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の例示の実施形態による負圧増大形チェック・バルブの側面視立面図である。
【図2】図1の負圧増大形チェック・バルブの上面図である。
【図3】明確化のために第1及び第2部分が分解された図2の負圧増大形チェック・バルブのIII-III線断面図である。
【図4】図1の負圧増大形チェック・バルブの第1部分の底面図である。
【図5】図1の負圧増大形チェック・バルブを備えた車両制動システムの一部の平面図である。
【図6】図5の車両制動システムの一部の左側立面図である。
【符号の説明】
【0026】
18 第1吸気ポート
20 排気ポート
62 第2吸気ポート
12 バルブ・ボディ
14 第1バルブ部分
16 第2バルブ部分
42,44 第1部分バルブ・シート
74,76 第2部分バルブ・シート
60,61 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃機関の吸気部へ管路を介して接続する第1吸気ポートと、
車両制動システムのブレーキ・ブースターへ直接接続されるようにされた第2吸気ポートと、
大気圧より低い空気圧を持つ上記車両の内燃機関の吸気マニフォールドへ管路を介して接続されるようにされた排気ポートとを持ち、
上記吸気マニフォールドの空気圧力に応答して上記第1吸気ポートから上記排気ポートへ空気が流れるのを可能にするために、上記第1吸気ポートと上記排気ポートとの間を延び、
上記第1吸気ポートから上記排気ポートに向け流れる空気の圧力を低下させ、そこにおいて上記第1吸気ポートから上記排気ポートに向け流れる空気の圧力がそこで最低となり、上記吸気マニフォールドの空気圧力よりも低い喉部を持つベンチュリを持つ通路を規定し、
更に、上記第2吸気ポート及び上記ベンチュリの上記喉部分と連通するバルブ・シートを規定するバルブ・ボディと、
上記バルブ・シート内に配置され、上記第2吸気ポートから上記ベンチュリの上記喉部分へ上記バルブ・シートを介して上記ベンチュリの上記喉部分の低下した圧力により流れるように空気が吸引される第1位置と、上記ベンチュリの上記喉部分から上記第2吸気ポートへ流れるのを空気が制限される第2位置との間で移動するようにされたシール部材とを有することを特徴とする車両制動システムの負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項2】
上記第2吸気ポートが、上記ブレーキ・ブースターの開口により、受入れのためのブレーキ・ブースター・インターフェースを持つことを特徴とする請求項1の負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項3】
上記負圧増大形チェック・バルブが、通常の車両制動システムにおいて見られるアスピレーターとチェック・バルブに代わる働きが可能なことを特徴とする請求項1又は2の負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項4】
内燃機関の吸気部への接続のための第1吸気ポート及び上記内燃機関の吸気マニフォールドへの接続のための排気ポートを持ち、
上記吸気マニフォールドの圧力に応じて上記第1吸気ポートから上記排気ポートへ向けて空気が流れるのを可能にし、
上記第1吸気ポートから上記排気ポートに向け流れる空気の圧力を低下させ、そこにおいて上記第1吸気ポートから上記排気ポートに向け流れる空気の圧力がそこで最低となり、上記吸気マニフォールドの空気圧力よりも低い喉部を持つベンチュリを規定し、
更に、上記ベンチュリの上記喉部分と空気連通するバルブ・シートを規定する第1バルブ部分と、
車両制動システムのブレーキ・ブースターへ直接接続されるようにされた第2吸気ポートを持ち、上記第2吸気ポートと空気連通するバルブ・シートを規定する第2バルブ部分と、
上記第1バルブ部分の上記バルブ・シートに対抗して位置可能で、上記第2吸気ポートにおける空気の圧力が上記ベンチュリの上記喉部分における空気の低下した圧力に向かい、そして空気が上記第2吸気ポートから上記喉部分へ流れる、のを可能とし、上記第2吸気ポートと上記ベンチュリの上記喉部分との間の空気の流れを少なくとも部分的に阻止するように上記第2バルブ部分の上記バルブ・シートに対抗して位置可能であるシール部材とを有することを特徴とする車両制動システムの負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項5】
上記負圧増大形チェック・バルブが、空気のブレーキ・ブースターへの逆流を制限するためのチェック・バルブに代用されることを特徴とする請求項4の負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項6】
上記負圧増大形チェック・バルブが、ブレーキ・ブースターへの取り付けを確実にするための、ブレーキ・ブースター・インターフェースを持つことを特徴とする請求項4又は5の負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項7】
長軸回りに実質的に同軸状に配列される第1吸気ポートと排気ポートとの間に空気連通するために介装され、上記長軸と実質的に横断方向の軸回りに配列された第2吸気ポートと上記排気ポートとの間に更に介装され、車両の機関の吸気マニフォールドに存在する部分負圧を増大させる働きができるベンチュリと、
上記第2吸気ポートと上記排気ポートとの間の空気通路内に介装されたバルブ・シートと、
上記バルブ・シートと相互作用し、上記第2吸気ポートにおいて増大した部分負圧が利用可能とされる第1位置と上記第2吸気ポートを出る空気の流れが実質的に制限される第2位置との間で移動可能なシール部材とを有することを特徴とする車両制動システムの負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項8】
上記第2吸気ポートが、上記第1吸気ポートに接続される管路によりブレーキ・ブースターへ挿入されるのを可能とするように、上記第1吸気ポートに対して配置されることを特徴とする請求項7の負圧増大形チェック・バルブ。
【請求項9】
上記負圧増大形チェック・バルブをブレーキ・ブースターへ固定するブレーキ・ブースター・インターフェースを更に有することを特徴とする請求項7又は8に記載の負圧増大形チェック・バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−36188(P2006−36188A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209466(P2005−209466)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(503136222)フォード グローバル テクノロジーズ、リミテッド ライアビリティ カンパニー (236)
【Fターム(参考)】