説明

負荷制御装置

【課題】運転者等の手間をかけずに、電池切れを未然に防ぐ。
【解決手段】雨モードか否か、夜モードか否か、発電機温度が閾値を越えているか否かを各判定部11,11A,11Bで判定し、雨である、夜である又は発電機温度が閾値を越えていると判定した場合に、負荷制御部21で負荷19a〜19fの制限制御を自動的に行う。運転者等の手間をかけずに電池13からの放電を自動的に抑制することができ、確実に電池切れを防止することができる。又、雨や夜等の時に負荷19a〜19fの駆動を制限しても、自動車の運行安全上、差し支えない場合が殆どである。従って、効率良く且つ支障無く、電池の過放電を防止できる。この場合、電池13のSOCを併せて検出し、温度による補正や暗電流の考慮を行いながら、負荷19a〜19fの制限制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された負荷の駆動制御を行う負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、図5の如く、エンジン1が回転しているときに、発電機3によってエンジン1の回転力を電流エネルギーに変換し、ここで発生した電力を各種の負荷5に供給するとともに、余剰の電力を用いて電池(バッテリ)7の充電を図る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、電池7の状態が満充電に近い状態であれば、自動車内の各種負荷5を動作させる上で問題はないが、電池7が過放電状態の場合は、そのままエンジン1をオフにすると、次にスタータキーをオンにしても、スタータの駆動電圧に満たないくらいに電池7の電圧が低下してしまい、いわゆる電池切れの状態が発生するおそれがある。
【0004】
かかる事態を防止するため、例えば電池切れの状態が発生しそうな場合に、負荷5の一部をオフにすることが考えられる。
【0005】
例えば、自動車の負荷5には、走る、曲がる、止まる等の制御系電子ユニットと、車室内の快適性を確保するなどの付加機能系電子ユニットとがあり、自動車走行の安全性等を考慮すると、制御系電子ユニットは重要度が高いのに対して、付加機能系電子ユニットは緊急性が低いものがほとんどである。したがって、必要に応じて付加機能系電子ユニットを遮断しても差し支えない場合が多い。
【0006】
この場合、電池切れの状態が発生しそうな場合に、運転者等が手作業で付加機能系電子ユニットをオフにしてもよいが、同時に、運転者等の手間をできるだけ軽減することか望ましいとも言える。
【0007】
そこで、本発明の課題は、運転者等の手間をかけずに、電池切れを未然に防止し得る負荷制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る負荷制御装置は、自動車が走行している際の天候が雨であるか否かを判定する晴/雨判定部と、前記晴/雨判定部での判定結果に基づいて、負荷の遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る負荷制御装置は、自動車が走行している際の時間帯が夜であるか否かを判定する昼/夜判定部と、前記昼/夜判定部での判定結果に基づいて、負荷の遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る負荷制御装置は、自動車が走行している際の発電機の温度を判定する発電機温度判定部と、前記発電機温度判定部での判定結果に基づいて、負荷の遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の負荷制御装置であって、電池の充電状態を検出する電池状態検出部と、前記電池周辺の温度を検出する温度検出部とをさらに備え、前記負荷制御部が、前記温度検出部での温度検出結果に応じて、前記電池状態検出部での検出結果を補正しながら、前記負荷の遮断制御または出力制限制御を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の負荷制御装置であって、前記負荷制御部が、前記自動車の放置期間における暗電流の値を予め保持し、当該暗電流に基づいて、前記電池状態検出部での検出結果を補正しながら、前記負荷の遮断制御または出力制限制御を行うことを特徴とする。
【0013】
以下、この発明の主題の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明の負荷制御装置は、天候が雨モードにあるか否かに応じて負荷の制限制御を行うようになっているので、雨モード時に、電池からの電力の持ち出しを容易に低減でき、その際、雨モード時に、雨モード走行時に必要なユニットを除いて、車室内の快適性を確保する等の、雨モード走行時に不可欠では無い付加機能系電子ユニットの駆動を制限しても、自動車の運行安全上、差し支えない場合が殆どである。したがって、効率良く且つ運行の支障無く、雨モード時に於ける電池の過放電を自動的に防止できる。
【0015】
請求項2に記載の発明の負荷制御装置は、走行時の時間帯が夜モードにあるか否かに応じて負荷の制限制御を行うようになっているので、夜モード時に、電池からの電力の持ち出しを容易に低減でき、その際、夜モード時に、夜モード走行時に必要なユニットを除いて、車室内の快適性を確保する等の、夜モード走行時に不可欠では無い付加機能系電子ユニットの駆動を制限しても、自動車の運行安全上、差し支えない場合が殆どである。したがって、効率良く且つ運行の支障無く、夜モード時に於ける電池の過放電を自動的に防止できる。
【0016】
請求項3に記載の発明の負荷制御装置は、走行時の発電機の温度の値に応じて負荷の制限制御を行うようになっているので、走行時に、電池からの電力の持ち出しを容易に低減でき、その際、走行時に、走行に必要なユニットを除いて、車室内の快適性を確保する等の、走行時に不可欠とは言えない付加機能系電子ユニットの駆動を制限しても、自動車の運行安全上、差し支えない場合が殆どである。したがって、効率良く且つ運行の支障無く、走行時に於ける電池の過放電を自動的に防止できる。
【0017】
請求項4に記載の発明の負荷制御装置は、上記負荷の制限制御と併せて、電池状態に応じても負荷の制限制御を行い、特に温度に応じて、電池状態検出部での検出結果を補正しながら、負荷の制限制御を行うので、電池の過放電を確実に防止できる。
【0018】
請求項5に記載の発明の負荷制御装置は、暗電流を考慮しながら負荷の制限制御を行うので、電池の過放電を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<原理>
自動車においては、雨天走行時には、ワイパー等の負荷を駆動することが不可欠である。又、夜の運転時には、ライト等の負荷を駆動することが必要である。更に、雨天走行又は夜間走行ではなくても、発電機が生成・出力する回生電流値は発電機の温度に依存する(当該温度が増大すれば回生電流は減少する)。
【0020】
そこで、運転モードが夜間走行モードである時や雨天走行モードである場合には、あるいは、それらのモードに該当しない場合であっても発電機の温度が所定の閾値を超える際には、不必要な負荷のカット制御を自動的に行う様にすれば、バッテリからの電力の持ち出しを低減できると言える。
【0021】
しかも、雨天走行モードや夜間走行モード等において、不可決では無い負荷を、例えば車室内の快適性を確保するなどの付加機能系電子ユニットの駆動を制限しても、自動車の運行安全上、差し支えない場合が殆どである。
【0022】
このことを考慮し、本発明の一の実施の形態においては、走行モードが(1)雨天モードであるか、又は(2)夜モードであるか、あるいは、(3)発電機の温度が異常に上昇していないか(閾値を超えていないか)を自動的に判定して、SOCが一定の閾値以下になっている際に上記(1)〜(3)の何れかに該当する状態であれば、自動的に負荷のカット制御を行う。
【0023】
<構成>
図1は、本発明の一の実施の形態に係る負荷制御装置10とその周辺部とを示すブロック図である。この負荷制御装置10は、図1の如く、自動車の走行時の天候が雨天であるか否かを判定する晴/雨判定部11と、自動車の走行時の時間帯が夜間であるか否かを判定する昼/夜判定部11Aと、自動車の発電機の温度を検出して所定の閾値と比較する発電機温度判定部11Bと、電池(バッテリ)13の充電状態(SOC)を検出する電池状態検出部15と、電池(バッテリ)13周辺の温度を検出する温度検出部17と、各判定部11,11A,11Bにおける判定結果と電池状態検出部15及び温度検出部17での各検出結果とから負荷19a〜19fの遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部21とを備える。
【0024】
電池状態検出部15は、電池13の開放電圧や回生電流及び放電電流等の所定の値を電圧センサー及び電流センサー(シャント抵抗等)等の所定の計測手段25を用いて計測し、その計測結果に基づいて、電池13の充電状態(SOC)を検出する。
【0025】
温度検出部17は、一般的なサーミスタ等の電池13周辺の温度を検出するセンサー26からの情報を受信して、その都度、電池13周辺の温度を判断する。
【0026】
例えばワイパーを駆動させているか否かの信号の有無あるいは雨検出器(レインセンサ)の検出結果等から得られる天候に関する情報は情報元23に格納され、晴/雨判定部11は、情報元23が与える情報に基づいて、走行時の現在の天候が雨天であるか否かの判断を行う。
【0027】
又、例えば各種ライトの点灯の有無あるいは明暗検知器の検出結果等から得られる走行時の時間帯ないしは周囲の明るさに関する情報は情報元23Aに格納され、昼/夜判定部11Aは、情報元23Aが与える情報に基づいて、走行時の現在の時間帯が昼間であるかそれとも夜であるかの判断、つまり、夜間走行をしているか否かの判断を行う。
【0028】
又、例えば車のボディ等に設けられた外気の温度を検出する温度センサーの値から推測される発電機33の温度あるいは発電機33の周囲に設けた温度センサーにより得られる発電機33の温度に関する情報は情報元23Bに格納され、発電機温度判定部11Bは、情報元23Bが与える情報に基づいて、走行時の発電機33の現温度が所定の閾値を越えているか否かの推定判断を実行する。
【0029】
負荷制御部21は、(1)電池状態検出部15で検出された電池状態(SOC)を、温度検出部17での検出結果に基づいて補正しながら、その補正された電池状態(SOC)に基づいて、各負荷19a〜19fの遮断制御または出力制限制御を行う機能と、(2)スイッチ等の所定の操作手段27の操作結果に基づいて、各負荷19a〜19fの遮断制御または出力制限制御を行う機能と、(3)各判定部11,11A,11Bにおいて雨モードである、夜モードである、あるいは発電機33の温度が閾値以上に達していると判定された場合に、一部の負荷19a〜19fの遮断制御または出力制限制御を行う機能とを有する。この負荷制御部21での制御手順については後述する。
【0030】
ここで、上記機能(3)に於ける、負荷制御部21で遮断制御または出力制限制御を行う対象となる負荷19a〜19fの制御例としては、例えば、車載空気調和機(カーエアコン)のインバータの出力を低減したり、ブロアの回転数を低減するなどの出力低減制御がある。あるいは、負荷19a〜19fの制御例として、リアデフォッガへの給電をオフにしてもよく、あるいは、カーナビゲーション装置やオーディオ機器の電源をオフにしてもよい。
【0031】
ここで、上記各判定部11,11A,11B、電池状態検出部15、温度検出部17及び負荷制御部21は、ROMおよびRAM等が接続されたマイクロコンピュータチップやコンピューティング機能を備えた電子制御ユニット(ECU)といった各種のコンピューティング装置のCPU(マイクプロセッサ)内において、所定のソフトウェアプログラムによって動作する機能部品である。このソフトウェアプログラムは、フラッシュROM等の所定の記録媒体に記録された形態で提供される。
【0032】
<動作>
上記構成の負荷制御装置の動作を説明する。一般に、電池(バッテリ)13の充電状態(SOC)は、時間の経過とともに、例えば図2に示した例のように変化する。
【0033】
即ち、まずイグニションスイッチ(メインスイッチ)がオンになり、電池13が自動車内の回路に接続されると、この電池13の放電が行われ、電池13のSOCが低下する。そして、電池13のSOCが所定のSOC下限閾値Amin以下となった時点T1で、負荷19a〜19fの制限(遮断制御または出力制限制御)を行って、電池13の放電を抑制する。尚、SOC下限閾値Aminは、図1に示したスタータ30が始動可能な電圧値及び電流値に基づいて予め決定された値であり、自動車の放置期間における暗電流により電池13が長期間に亘って弱放電することをも考慮して設定された値である。
【0034】
この場合に、図1に示したエンジン31が回転していると、発電機33によってエンジン31の回転力を電流エネルギーに変換するため、負荷19a〜19fの制限を行いながら、余剰の電力を用いて電池(バッテリ)13の充電を行う。したがって、電池13のSOCは、時間の経過とともに上昇する。
【0035】
電池13のSOCがSOC下限閾値Aminよりも大きくなり、ある程度上昇した時点T2で、負荷19a〜19fの制限(遮断制御または出力制限制御)を解除する。その結果、電池13からの放電電流と発電機33からの回生電流との不均衡によって、電池13のSOCが低減するか増大するかが決まる。例えば、電池13からの放電電流が発電機33からの回生電流よりも強ければ、図2の時点T2以降のように、電池13のSOCは再び低減する。
【0036】
ただし、当該電池13の内部抵抗値が温度によって影響を受けるため、電池13のSOCは温度によって大きく変化することが分かっている。したがって、この実施の形態では、上記した下限閾値Aminや後述の上限閾値Amaxを、予め求めておいた温度に対する相関関係に基づいて補正する。このSOC及び下限閾値Amin等の温度に対する相関関係を図3に示す。この相関関係は、近似的な演算式またはデータテーブル等のデータとされて、フラッシュROM等の所定の記録媒体に予め記録される。
【0037】
このような方法を採用して、この実施の形態の負荷制御装置10が動作する。この負荷制御装置10の具体的動作例を図4に示す。
【0038】
まず、イグニションスイッチ(メインスイッチ)がオンになり、電池13が自動車内の回路に接続された時点で、負荷制御装置10の電池状態検出部15は、電池13の電圧(初期電圧値)を計測手段25のひとつである電圧センサーで計測する。そして、図4中のステップS01において、負荷制御部21は、例えば、その電池13の初期電圧値(即ち、開放電圧値)と、スタータ30の駆動時に電圧降下した際の下限電圧値とから、当該電池13の劣化状態を判定する。また、その劣化状態に応じて、自動車の始動時における電池13のSOCを判定する。そして、電池13の劣化状態とSOCのいずれかが、それぞれについての一定閾値等に満たない場合に、ステップS02に進む一方、電池13の劣化状態とSOCのいずれもが、それぞれについての一定閾値を満たしている場合に、次のステップS03に進む。
【0039】
ステップS02では、負荷19a〜19fの制限制御を行う。具体的には、スタータ30が始動する瞬間には、ほとんどの負荷19a〜19fの駆動を一瞬だけ停止させても差し支えない場合が殆どである。したがって、例えばステップS02では、スタータ30以外の全ての負荷19a〜19fに対する電源供給を遮断する。これにより、電池13の電圧が上昇し、スタータ30を始動させることが可能となる。ステップS02の後、再びステップS01に戻る。
【0040】
ステップS03では、負荷制御装置10の電池状態検出部15において、電池13の開放電圧や回生電流及び放電電流等の所定の値を電圧センサー及び電流センサー(シャント抵抗等)等の所定の計測手段25を用いて計測し、その計測結果に基づいて、電池13の充電状態(SOC)を検出する。そして、負荷制御部21は、検出されたSOCと、所定のSOC上限閾値Amaxとを比較する。
【0041】
この場合、一般に電池13のSOCは温度によって大きく変化することを考慮し、温度検出部17で検出された電池13の周囲温度情報に基づいて、SOC上限閾値Amaxを補正しながら、SOCとSOC上限閾値Amaxとを比較する。
【0042】
そして、SOCがSOC上限閾値Amaxよりも大きいと判断された場合、電池13の過充電を防止するため、ステップS04に進み、負荷19a〜19fの制限制御を行わないようにする。これにより、電池13の過充電による劣化を防止できる。その後、一定時間経過後に、再びステップS01に戻る。
【0043】
また、ステップS03において、SOCがSOC上限閾値Amax以下であると判断された場合、ステップS05に進む。
【0044】
ステップS05では、運転者等の操作者が、スイッチ等の所定の操作手段27を通じて所定の手操作を行い、各負荷19a〜19fの制限制御(遮断制御または出力制限制御)を選択したときには、ステップS06に進み、その操作結果に基づいて、各負荷19a〜19fの制限制御(遮断制御または出力制限制御)を行う。その後、一定時間経過後に、再びステップS01に戻る。
【0045】
一方、ステップS05において、運転者等の操作者が、スイッチ等の所定の操作手段27を通じて各負荷19a〜19fの制限制御(遮断制御または出力制限制御)を選択しなかったときには、ステップS07に進む。
【0046】
ステップS07では、各種センサー等の自動車内の様々な情報元23,23Aから得られる各情報に基づいて、各判定部11,11Aにより、「走行モードが雨モードであるか否か」、「走行モードが夜モードであるか否か」が判断される。例えば、情報元23が与える情報が「雨天」に関するものである場合には、晴/雨判定部11は、現在の走行時における天候は雨(雨モード)であると、判断する。逆に晴/雨判定部11が「晴モード」(雨が降っていない)であると判断しても、更に、情報元23Aが与える情報が「夜間」に関するものである場合には、昼/夜判定部11Aは、現在の走行は夜間走行(夜モード)であると、判断する。尚、晴/雨判定部11の上記判断と昼/夜判定部11Aの上記判断との順序は逆になっていても良い。
【0047】
このように、ステップS07に於いて、走行モードが「雨モード又は夜モードである」と判断された場合には、負荷制御部21はステップS08に進み、各負荷19a〜19fの制限制御(遮断制御または出力制限制御)を行う。この場合、制限制御の対象とされる負荷には、「雨モード」であるならば、雨天走行に支障の無い負荷(例えばカーオーディオ等)が選択され、又、「夜モード」であるならば、夜間走行に支障の無い負荷(例えばワイパー等)が選択される。ここで、留意すべき点は、ステップS08の「雨モード又は夜モード」に於いて制限制御対象とされる負荷は、既述した各ステップS02,S06や後述する各ステップS10,S12に於いて制限制御対象とされる負荷とは異なると言うことである。換言すれば、各ステップS02,S06,S08,S10,S12毎に、当該ステップに於いて制限するのに好ましい種類の負荷が選択されて、その駆動制限制御が行われる。その後、一定時間経過後に、再びステップS01に戻る。
【0048】
他方、ステップS07に於いて、走行モードが「雨モード又は夜モードではない」と判断された場合には、ステップS09に進み、今度は、情報元23Bから得られる情報に基づいて、発電機温度判定部11Bにより、「発電機33の温度が閾値以上に上昇しているか否か」が判断される。ステップS09において、発電機温度判定部11Bが「発電機33の温度が閾値以上である」と判断した場合には、負荷制御部21はステップS10に進み、各負荷19a〜19fの制限制御(遮断制御または出力制限制御)を行う。その後、一定時間経過後に、再びステップS01に戻る。これに対して、ステップS09において、発電機温度判定部11Bが「発電機33の温度は閾値未満である」と判断した場合には、ステップS11へと進む。
【0049】
ステップS11では、負荷制御装置10の電池状態検出部15で計測手段25を用いて電池13の充電状態(SOC)を検出し、また、負荷制御部21により、検出されたSOCと、所定のSOC下限閾値Aminとを比較する。
【0050】
この場合、一般に電池13のSOCは温度によって大きく変化することを考慮し、温度検出部17で検出された電池13の周囲温度情報に基づいて、SOC下限閾値Aminを補正しながら、SOCとSOC下限閾値Aminとを比較する。
【0051】
そして、SOCがSOC下限閾値Aminよりも小さいと判断された場合、電池13のSOCを上昇させるため、ステップS12に進み、各負荷19a〜19fの制限制御(遮断制御または出力制限制御)を行う。その後、一定時間経過後に、再びステップS01に戻る。
【0052】
一方、ステップS11において、SOCがSOC下限閾値Amin以上と判断された場合、ステップS13に進み、各負荷19a〜19fの制限制御は行われず、その後、一定時間経過後に、ステップS01からの処理が繰り返し実行される。
【0053】
以上の様に、「雨モード」である場合、「夜モード」である場合、あるいは、「発電機33の温度が閾値以上に上昇している」場合の何れかにおいては、自動的に負荷19a〜19fの制限制御が行われることになっているので、運転者等の手間をかけずに電池13からの放電を自動的に抑制することができ、確実に電池切れを防止することができる。
【0054】
また、電池13のSOCが上限閾値Amaxよりも大きくなった状態で、負荷19a〜19fの制限制御を行わない、即ち、負荷19a〜19fの制限制御を解除するので、電池13の過充電による劣化をも容易に防止できる。
【0055】
また、SOC下限閾値Amin等の閾値として、温度変化を考慮して補正を行ってSOCと比較しているので、その時々の温度環境に応じた正確なSOCの判定を行うことができる。
【0056】
また、SOC下限閾値Aminとして、暗電流を考慮して設定されているので、自動車を長期間放置しても、次に自動車のスタータ30を支障無く始動できる。
【0057】
尚、上記実施の形態の動作に加えて、電池13の劣化状態を判断し、この劣化状態に応じて、SOC下限閾値Amin等の閾値を補正するなどして、その時々の電池13の劣化状況に応じた正確なSOCの判定を行うようにしてもよい。
【0058】
又、負荷制御部21は、自動車の発電機の温度が所定の閾値以上であるかの判断と、当該判断結果に基づき負荷の遮断制御または出力制限制御を行う処理とを、図4のステップS07の処理とは別個独立に行う様にしても良い。例えば、図4のステップS09及びS10に代えて、ステップS05からステップS07へと移行する間に、ステップS09及びS10に相当するステップを設ける様にしても良い。
【0059】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る負荷制御装置を示すブロック図である。
【図2】一般的な電池のSOCの変化の例を示す図である。
【図3】温度によってSOC及び下限閾値等が変化する様子を示す図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る負荷制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】電池と発電機と負荷との一般的な関係を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
10 負荷制御装置
11 晴/雨判定部
11A 昼/夜判定部
11B 発電機温度判定部
13 電池
15 電池状態検出部
17 温度検出部
19a〜19f 負荷
21 負荷制御部
23,23A,23B 情報元
25 計測手段
26 センサー
27 操作手段
30 スタータ
31 エンジン
33 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車が走行している際の天候が雨であるか否かを判定する晴/雨判定部と、
前記晴/雨判定部での判定結果に基づいて、負荷の遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部とを備えることを特徴とする、
負荷制御装置。
【請求項2】
自動車が走行している際の時間帯が夜であるか否かを判定する昼/夜判定部と、
前記昼/夜判定部での判定結果に基づいて、負荷の遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部とを備えることを特徴とする、
負荷制御装置。
【請求項3】
自動車が走行している際の発電機の温度を判定する発電機温度判定部と、
前記発電機温度判定部での判定結果に基づいて、負荷の遮断制御または出力制限制御を行う負荷制御部とを備えることを特徴とする、
負荷制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の負荷制御装置であって、
電池の充電状態を検出する電池状態検出部と、
前記電池周辺の温度を検出する温度検出部とをさらに備え、
前記負荷制御部が、前記温度検出部での温度検出結果に応じて、前記電池状態検出部での検出結果を補正しながら、前記負荷の遮断制御または出力制限制御を行うことを特徴とする、
負荷制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の負荷制御装置であって、
前記負荷制御部が、前記自動車の放置期間における暗電流の値を予め保持し、当該暗電流に基づいて、前記電池状態検出部での検出結果を補正しながら、前記負荷の遮断制御または出力制限制御を行うことを特徴とする、
負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−149022(P2006−149022A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333064(P2004−333064)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】