説明

負荷素子駆動回路装置

【課題】 基準クロック信号が高速化した場合でも、確実にシフトレジスタのシフトデータを誤り無くラッチ回路でラッチさせること。
【解決手段】 負荷素子駆動回路装置10Aは、基準クロック信号CLKのクロックパルスの計数値が48になったときに、1クロック周期に相当する期間だけイネーブル信号enableを出力するカウンタ16Aと、シフトレジスタ12とラッチ回路14との間に挿入された選択回路22と有する。選択回路22は、イネーブル信号が無いときには、第1乃至第48のラッチセルの内容をそれぞれ第1乃至第48の選択データとして選択し、イネーブル信号が有るときには、第1乃至第48のシフトデータをそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択する。ラッチ回路14は、基準クロック信号CLKに同期して第1乃至第Nの選択データを第1乃至第NのラッチセルLA〜LA48にラッチする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタのLED(発光ダイオード)等の負荷素子を駆動するための負荷素子駆動回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印字用のサーマルヘッド、LEDプリントヘッド等の印字素子を駆動する印字素子駆動回路装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された印字素子駆動回路装置は、複数個の印字素子と、IC回路装置とを備える。IC回路装置は、印字すべきデータを入力に受け、外部からのクロック信号とともに前記データをビットシリアルにシフトして記憶するシフトレジスタと、このシフトレジスタのパラレル出力をラッチ信号により取込むラッチ回路と、このラッチ回路にラッチされたデータを受けて、印字素子を駆動する駆動素子とを有する。前記IC回路装置に、前記クロック信号を計数するカウンタを備え、このカウンタの所定のカウントアップ出力に基づいて得られる信号を前記ラッチ信号として前記ラッチ回路に入力するようにしている。
【0003】
以下、図1を参照して、従来の負荷素子駆動回路装置10について説明する。図1は従来の負荷素子駆動回路装置10を示すブロック図である。図示の例では、各データが12ビットの並列データから成っている。各データの12ビットのうち、6ビットは、2すなわち、64階層の電流値を表し、残りの6ビットは、64種類の電流の流す時間を規定する。また、負荷素子駆動回路装置10は、N個の負荷素子(LED)(図示せず)を駆動するための装置であるとする。ここでは、Nは48に等しいとする。したがって、本例においては、負荷素子駆動回路装置10は、第1乃至第48の負荷素子を駆動するための装置である。
【0004】
図示の負荷素子駆動回路装置10は、シフトレジスタ12と、ラッチ回路14と、カウンタ16と、パルス変調回路18と、定電流出力回路20とから構成されている。
【0005】
シフトレジスタ12は、シリアルに接続された第1乃至第48のシフトセルS、S、S、…、S46、S47、S48から成る。各シフトセルS(1≦n≦48)は、12ビットのレジスタから成る。シフトレジスタ12は、基準クロック信号CLKに同期して、12ビットから成る各入力データDATAをシフト(図示の例では、右シフト)し、最終的には、第1乃至第48の入力データPO1、PO2、PO3、…、PO46、PO47、PO48がそれぞれ第1乃至第48のシフトセルS〜S48に第1乃至第48のシフトデータPO1〜PO48として保持される。
【0006】
ラッチ回路14は、第1乃至第48のシフトセルS〜S48にそれぞれ接続された第1乃至第48のラッチセルLA、LA、LA、…、LA46,LA47、LA48から成る。各ラッチセルLAも、12ビットのレジスタから成る。ラッチ回路14は、後述するカウンタ16から供給されるラッチクロック信号latch-clkに応答して、シフトレジスタ12に保持されているシフトデータをラッチデータとしてラッチする。すなわち、ラッチ回路14の第1乃至第48のラッチセルLA〜LA48は、ラッチクロック信号latch-clkに応答して、第1乃至第48のシフトセルS〜S48に保持されている第1乃至第48のシフトデータPO1〜PO48を、それぞれ、第1乃至第48のラッチデータPO1〜PO48としてラッチする。
【0007】
カウンタ16は、基準クロック信号CLKの48個(48番目)のクロックパルスを計数すると、カウントアップして、上記ラッチクロック信号latch-clkを出力する。カウンタ16の具体例については後述する。
【0008】
尚、ラッチ回路14にラッチされた第1乃至第48のラッチデータPO1〜PO48は、パルス変調回路18および定電流出力回路20を介して、第1乃至第48の負荷素子(LED)に供給される。パルス変調回路18では、第1乃至第48のラッチデータPO1〜PO48の各々に対して、12ビットの内の6ビットを使用して、上記64種類の電流の流す時間の1つの種類を選択して出力する。定電流出力回路20は、第1乃至第48のラッチデータPO1〜PO48の各々に対して、12ビットの内の残りの6ビットを使用して、上記64階層の電流値の1つの階層を選択して出力する。
【0009】
換言すれば、パルス変調回路18は、第1乃至第48のラッチデータをそれぞれ第1乃至第48のパルス幅変調信号に変換する。定電流出力回路20は、第1乃至第48のパルス幅変調信号をそれぞれ第1乃至第48の定電流出力信号に変換して、第1乃至第48の定電流出力信号をそれぞれ第1乃至第48の負荷素子(LED)へ供給する。
【0010】
図2に図1に示した負荷素子駆動回路装置10のタイムチャートを示す。図2に示されるように、基準クロック信号CLKのクロックパルス数が48になるまで、第1乃至第48の入力データPO1〜PO48はシフトレジスタ12でシフトされ、カウンタ16は、基準クロック信号CLKのクロックパルス数として48を計数した後の49番目のクロックパルスでラッチクロック信号latch-clkをラッチ回路14に供給して、シフトデータをラッチ回路14にラッチさせている。
【0011】
図3は図1の負荷素子駆動回路装置10に使用されるカウンタ16を示す回路図である。図示のカウンタ16は、特許文献2に開示されたカウンタ回路を利用したものであって、49進カウンタである。
【0012】
図示のカウンタ16は、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF、T−FF、T−FF、T−FF、T−FF、およびT−FFと、DフリップフロップD−FFと、インバータゲート(位相反転回路)INVと、第1乃至第3のアンドゲート(論理積回路)AND1、AND2、およびAND3とから構成されている。
【0013】
第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFは、64進カウンタを構成する。第1のアンドゲート(第1の論理積回路)AND1は、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFの非反転出力を48のタイミングで検出して、第1の論理積出力信号を検出信号eとして出力する。インバータゲート(位相反転回路)INVは、基準クロック信号CLKを位相反転して、位相反転クロック信号eを出力する。DフリップフロップD−FFは、検出信号eを受ける遅延端子Dと、位相反転クロック信号eを受けるクロック端子cpとを持ち、出力端子Qから遅延出力信号eを出力する。第2のアンドゲート(第2の論理積回路)AND2は、遅延出力信号eと位相反転クロック信号eとの論理積を取り、第2の論理積出力信号をリセット信号eとして出力する。このリセット信号eは、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFのリセット端子Rに供給される。第3のアンドゲート(第3の論理積回路)AND3は、基準クロック信号CLKと検出信号eとの論理積を取り、第3の論理積出力信号をラッチクロック信号latch-clkとして出力する。
【0014】
図4は図3に示したカウンタ16の動作を説明するためのタイムチャートである。図4において、第1行目はクロックサイクルを示し、第2行目は基準クロック信号CLKを示す。第3乃至第8行目は、それぞれ、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q、Q、Q、Q、Q、およびQを示す。第9行目は第1のアンドゲートAND1から出力される検出信号eを示し、第10行目はインバータゲートINVから出力される位相反転クロック信号eを示し、第11行目はDフリップフロップD−FFから出力される遅延出力信号eを示し、第12行目は第2のアンドゲートAND2から出力されるリセットパルスeを示し、第13行目は第3のアンドゲートAND3から出力されるラッチクロック信号latch-clkを示す。
【0015】
第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜F−FFの出力信号Q〜Qは、図4のQ〜Qのように変化する。基準クロック信号CLKの32番目のクロックパルスが計数された時点で、第6のTフリップフロップT−FFの出力信号Qのみが論理ハイレベルHとなり、残りの第1乃至第5のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q〜Qは論理ロウレベルLとなる。基準クロック信号CLKの48番目のクロックパルスが計数された時点で、第5及び第6のTフリップフロップT−FFおよびT−FFの出力信号QおよびQのみが論理ハイレベルHとなり、残りの第1乃至第4のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q〜Qは論理ロウレベルLとなる。このとき、第1のアンドゲートAND1の出力信号である検出信号eが論理ロウレベルLから論理ハイレベルHに遷移する。したがって、第3のアンドゲートAND3は、基準クロック信号CLKの49番目のクロックの立上り時に、ラッチクロック信号latch-clkを出力する。
【0016】
一方、DフリップフロップD−FFのクロック端子cpには、基準クロック信号CLKがインバータゲートINVにより位相反転されたクロック信号eが入力され、遅延入力端子Dには、第1のアンドゲートAND1の出力(検出信号)eが印加されている。したがって、DフリップフロップD−FFのQ出力である遅延出力信号eは、基準クロック信号CLKの48番目のクロックパルスが計数されるまでは論理ロウレベルLのままであり、49番目のクロックパルスの立上り時に論理ハイレベルHに遷移する。このときのDフリップフロップD−FFのQ出力(遅延出力信号)eと位相反転クロック信号eとの論理積を第2のアンドゲートAND2でとると、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFで構成される64進カウンタが48を計数した直後の基準クロック信号CLKのクロックパルス(49番目のクロックパルス)の消滅と同時に、第2のアンドゲートAND2よりリセットパルスeが発生する。このリセットパルスeは、基準クロック信号の50番目のクロックパルスが到来すると同時に消滅するために半ビット期間のみであり、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFをすべてリセットする。したがって、このカウンタ16は49進カウンタとして動作する。
【0017】
なお、ラッチクロック信号latch-clkも、基準クロック信号CLKの49番目のクロックパルスの期間のみ出力されるので、半ビット期間である。
【0018】
また、図3に示すカウンタ16では、第1のアンドゲート(第1の論理積回路)AND1が、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q〜Qの全てを使用しているが、第5のTフリップフロップF−FFの出力信号Qと第6のTフリップフロップT−FFの出力信号Qとの論理積を取る回路から構成されても良い。
【0019】
【特許文献1】特許第3062314号公報
【特許文献2】特公昭56−2458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述した従来の負荷素子駆動回路装置10では、シフトレジスタ12で入力データをシフトするタイミングと、ラッチ回路14がシフトレジスタ12のシフトデータをラッチするタイミングとが実質的に重なってしまい、カウンタ16から出力されるラッチクロック信号latch-clkのタイミングが基準クロック信号CLKに対して少しでも遅れてしまうと、ラッチ回路14は間違った内容をラッチしてしまう可能性がある。これは、基準クロック信号CLKが高速化した場合に特に顕著となる。
【0021】
したがって、本発明の課題は、基準クロック信号が高速化した場合でも、確実にシフトレジスタのシフトデータを誤り無くラッチ回路でラッチさせることができる、負荷素子駆動回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、第1乃至第N(Nは2以上の整数)の負荷素子を駆動するための負荷素子駆動回路装置(10A)であって、前記第1乃至第Nの負荷素子に対応する第1乃至第Nの入力データ(PO1〜PO48)を順次受け、基準クロック信号(CLK)に同期して前記第1乃至第Nの入力データ(PO1〜PO48)をシリアルにシフトしてそれぞれ第1乃至第Nのシフトデータ(PO1〜PO48)として記憶する第1乃至第Nのシフトセル(S〜S48)から成るシフトレジスタ(12)と、前記第1乃至第Nのシフトデータ(PO1〜PO48)をそれぞれ第1乃至乃至第Nのラッチデータ(PO1〜PO48)としてラッチするための第1乃至第Nのラッチセル(LA〜LA48)から成るラッチ回路(14)と、前記基準クロック信号(CLK)のクロックパルスを計数して、該計数値がNになったときに、当該基準クロック信号(CLK)の1クロック周期に相当する期間だけイネーブル信号(enable)を出力するカウンタ(16A)と、前記シフトレジスタ(12)と前記ラッチ回路(14)との間に挿入されて、前記イネーブル信号が無いときには、前記第1乃至第Nのラッチセルの内容をそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択し、前記イネーブル信号が有るときには、前記第1乃至第Nのシフトデータをそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択する選択回路(22)とを有し、前記ラッチ回路(14)は、前記基準クロック信号(CLK)に同期して前記第1乃至第Nの選択データを前記第1乃至第Nのラッチセル(LA〜LA48)にラッチし、これにより、前記ラッチ回路(14)は、前記イネーブル信号が無いときには、前記第1乃至第Nのラッチセルの内容を前記基準クロック信号(CLK)に同期して自己保持し、前記イネーブル信号が有るときには、前記第1乃至第Nのシフトデータ(PO1〜PO48)をそれぞれ前記第1乃至第Nのラッチセル(LA〜LA48)に前記第1乃至第Nのラッチデータ(PO1〜PO48)としてラッチすることを特徴とする負荷素子駆動回路装置が得られる。
【0023】
上記本発明に係る負荷素子駆動回路装置において、前記第1乃至第Nのラッチデータをそれぞれ第1乃至第Nのパルス幅変調信号に変換して、該第1乃至第Nのパルス幅変調信号をそれぞれ前記第1乃至第Nの負荷素子へ供給するパルス変調回路(18)を更に有しても良い。その代わりに、上記負荷素子駆動回路装置は、前記第1乃至第Nのラッチデータをそれぞれ第1乃至第Nの定電流出力信号に変換して、該第1乃至第Nの定電流出力信号をそれぞれ前記第1乃至第Nの負荷素子へ供給する定電流出力回路(20)を更に有しても良い。或いは、上記負荷素子駆動回路装置(10A)は、前記第1乃至第Nのラッチデータをそれぞれ第1乃至第Nのパルス幅変調信号に変換するパルス変調回路(18)と、前記第1乃至第Nのパルス幅変調信号をそれぞれ第1乃至第Nの定電流出力信号に変換して、該第1乃至第Nの定電流出力信号をそれぞれ前記第1乃至第Nの負荷素子へ供給する定電流出力回路(20)と、を更に有しても良い。
【0024】
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0025】
本発明による負荷素子駆動回路装置は、基準クロック信号のクロックパルスを計数して、計数値がNになったときに、基準クロック信号の1クロック周期に相当する期間だけイネーブル信号を出力するカウンタと、シフトレジスタとラッチ回路との間に挿入されて、イネーブル信号が無いときには、第1乃至第Nのラッチセルの内容をそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択し、イネーブル信号が有るときには、第1乃至第Nのシフトデータをそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択する選択回路とを備え、ラッチ回路は、基準クロック信号に同期して第1乃至第Nの選択データを第1乃至第Nのラッチセルにラッチしているので、基準クロック信号が高速化した場合でも、確実にシフトレジスタのシフトデータを誤り無くラッチ回路でラッチさせることができる。これにより、タイミング設計を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図5を参照して、本発明の一実施の形態に係る負荷素子駆動回路装置10Aについて説明する。図示の負荷素子駆動回路装置10Aは、カウンタが後述するように変更されると共に、シフトレジスタ12とラッチ回路14との間に選択回路22が挿入されている点を除いて、図1に示した従来の負荷素子駆動回路装置10と同様の構成を有する。したがって、カウンタに16Aの参照符号を付してある。また、図1に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のためにそれらの説明については省略する。
【0027】
カウンタ16Aは、基準クロック信号のクロックパルスを計数して、その計数値が48になったときに、当該基準クロック信号CLKの1クロック周期に相当する期間だけイネーブル信号enableを出力する。カウンタ16Aの具体例については後で図面を参照して説明する。
【0028】
選択回路22は、シフトレジスタ12とラッチ回路14との間に挿入されている。選択回路22は、イネーブル信号enableが無いときには、第1乃至第NのラッチセルLA〜LA48の内容をそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択し、イネーブル信号enableが有るときには、第1乃至第NのシフトデータPO1〜PO48をそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択する。
【0029】
ラッチ回路14は、基準クロック信号CLKに同期して第1乃至第Nの選択データを第1乃至第NのラッチセルLA〜LA48にラッチする。これにより、ラッチ回路14は、イネーブル信号enableが無いときには、第1乃至第NのラッチセルLA〜LA48の内容を基準クロック信号CLKに同期して自己保持し、イネーブル信号enableが有るときには、第1乃至第NのシフトデータPO1〜PO48をそれぞれ第1乃至第NのラッチセルLA〜LA48に第1乃至第NのラッチデータPO1〜PO48としてラッチする。
【0030】
図6に図5に示した負荷素子駆動回路装置10Aのタイムチャートを示す。図6に示されるように、基準クロック信号CLKのクロックパルス数が48になるまで、第1乃至第48の入力データPO1〜PO48はシフトレジスタ12でシフトされる。カウンタ16Aは、基準クロック信号CLKのクロックパルス数として48を計数した直後に1クロック周期のイネーブル信号enableを選択回路22に供給する。選択回路22は、イネーブル信号enableに応答して、第1乃至第NのシフトデータPO1〜PO48をそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択する。ラッチ回路14は、基準クロック信号CLKの49番目のクロックパルスに応答して、第1乃至第Nの選択データ(すなわち、第1乃至第NのシフトデータPO1〜PO48)をラッチする。
【0031】
図7に図5の負荷素子駆動回路装置10Aに使用されるカウンタ16Aの構成を示す。図示のカウンタ16Aは、第3のアンドゲート(論理積回路)AND3が省略されている点を除いて、図3に示したカウンタ16と同様の構成を有する。したがって、図3に示されているものと同様の構成を有するものには同一の参照符号を付して、簡略化のためにそれらの説明の説明については省略する。
【0032】
図7に示されるように、カウンタ16Aは、第1のアンドゲート(論理積回路)AND1から出力される検出信号eをそのままイネーブル信号enableとして出力する。
【0033】
図8は図7に示したカウンタ16Aの動作を説明するためのタイムチャートである。図8において、第1行目はクロックサイクルを示し、第2行目は基準クロック信号CLKを示す。第3乃至第8行目は、それぞれ、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q〜Qを示す。第9行目は第1のアンドゲートAND1から出力される検出信号eを示し、第10行目はインバータゲートINVから出力される位相反転クロック信号eを示し、第11行目はDフリップフロップD−FFから出力される遅延出力信号eを示し、第12行目は第2のアンドゲートAND2から出力されるリセットパルスeを示し、第13行目はイネーブル信号enableを示す。
【0034】
第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜F−FFの出力信号Q〜Qは、図8のQ〜Qのように変化する。基準クロック信号CLKの32番目のクロックパルスが計数された時点で、第6のTフリップフロップT−FFの出力信号Qのみが論理ハイレベルHとなり、残りの第1乃至第5のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q〜Qは論理ロウレベルLとなる。基準クロック信号CLKの48番目のクロックパルスが計数された時点で、第5及び第6のTフリップフロップT−FFおよびT−FFの出力信号QおよびQのみが論理ハイレベルHとなり、残りの第1乃至第4のTフリップフロップT−FF〜T−FFの出力信号Q〜Qは論理ロウレベルLとなる。このとき、第1のアンドゲートAND1の出力信号である検出信号eおよびイネーブル信号enableが論理ロウレベルLから論理ハイレベルHに遷移する。
【0035】
このイネーブル信号enableが論理ハイレベルHの間、選択回路22は、シフトレジスタ12で保持されている第1乃至第48のシフトデータPO1〜PO48をそれぞれ第1乃至第48の選択データとして選択し出力する。そして、基準クロック信号CLKの49番目のクロックパルスの立上りで、ラッチ回路14は第1乃至第48の選択データPO1〜PO48をそれぞれ第1乃至第48のラッチデータとしてラッチする(図6参照)。すなわち、ラッチ回路14は、従来のようなラッチクロック信号latch-clkではなく、基準クロック信号CLKに同期してラッチ動作を行うので、たとえ基準クロック信号CLKが高速化された場合でも、誤り無く、シフトレジスタ12に保持されている第1乃至第48のシフトデータPO1〜PO48をそれぞれ第1乃至第48のラッチデータとしてラッチすることが出来る。
【0036】
一方、DフリップフロップD−FFのクロック端子cpには、基準クロック信号CLKがインバータゲートINVにより位相反転されたクロック信号eが入力され、遅延入力端子Dには、第1のアンドゲートAND1の出力(検出信号)eが印加されている。したがって、DフリップフロップD−FFのQ出力である遅延出力信号eは、基準クロック信号CLKの48番目のクロックパルスが計数されるまでは論理ロウレベルLのままであり、49番目のクロックパルスの立上り時に論理ハイレベルHに遷移する。このときのDフリップフロップD−FFのQ出力(遅延出力信号)eと位相反転クロック信号eとの論理積を第2のアンドゲートAND2でとると、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFで構成される64進カウンタが48を計数した直後の基準クロック信号CLKのクロックパルス(49番目のクロックパルス)の消滅と同時に、第2のアンドゲートAND2よりリセットパルスeが発生する。このリセットパルスeは、基準クロック信号の50番目のクロックパルスが到来すると同時に消滅するために半ビット期間のみであり、第1乃至第6のTフリップフロップT−FF〜T−FFをすべてリセットする。したがって、このカウンタ16Aは49進カウンタとして動作する。
【0037】
なお、イネーブル信号enableは、基準クロック信号CLKの1クロック周期の間、論理ハイレベルHの信号である。
【0038】
以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、負荷素子駆動回路装置10Aは、パルス変調回路18と定電流出力回路20とを備えているが、必ずしも両方とも備える必要がなく、どちらか片方のみ備えていても良い。また、上述した実施の形態では、各入力データが12ビットの場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、各入力データは任意のビット数から構成されて良い。各入力データが1ビットから成る場合、負荷素子駆動回路装置10Aは、パルス変調回路18と定電流出力回路20とが不要である。また、負荷素子駆動回路装置に使用されるカウンタは、図7に示されたような非同期式カウンタに限定されず、同期式カウンタ等の種々の構成のものを採用して良いのは勿論である。更に、負荷素子はLEDに限定されず、発熱抵抗体やLCD(液晶表示器)であっても良い。また、負荷素子の個数Nは48に限定されず、2以上であれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の負荷素子駆動回路装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した負荷素子駆動回路装置の動作を説明するための動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図3】図1に示した負荷素子駆動回路装置に使用されるカウンタの構成を示す回路図である。
【図4】図3に示したカウンタの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態に係る負荷素子駆動回路装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示した負荷素子駆動回路装置の動作を説明するための動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】図5に示した負荷素子駆動回路装置に使用されるカウンタの構成を示す回路図である。
【図8】図7に示したカウンタの動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0040】
10A 負荷素子駆動回路装置
12 シフトレジスタ
14 ラッチ回路
16A カウンタ
18 パルス変調回路
20 定電流出力回路
22 選択回路
〜S48 シフトセル
LA〜LA48 ラッチセル
T−FF〜T−FF Tフリップフロップ
D−FF Dフリップフロップ
AND1、AND2 アンドゲート(論理積回路)
INV インバータゲート(位相反転回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第N(Nは2以上の整数)の負荷素子を駆動するための負荷素子駆動回路装置であって、
前記第1乃至第Nの負荷素子に対応する第1乃至第Nの入力データを順次受け、基準クロック信号に同期して前記第1乃至第Nの入力データをシリアルにシフトしてそれぞれ第1乃至第Nのシフトデータとして記憶する第1乃至第Nのシフトセルから成るシフトレジスタと、
前記第1乃至第Nのシフトデータをそれぞれ第1乃至第Nのラッチデータとしてラッチするための第1乃至第Nのラッチセルから成るラッチ回路と、
前記基準クロック信号のクロックパルスを計数して、該計数値がNになったときに、当該基準クロック信号の1クロック周期に相当する期間だけイネーブル信号を出力するカウンタと、
前記シフトレジスタと前記ラッチ回路との間に挿入されて、前記イネーブル信号が無いときには、前記第1乃至第Nのラッチセルの内容をそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択し、前記イネーブル信号が有るときには、前記第1乃至第Nのシフトデータをそれぞれ第1乃至第Nの選択データとして選択する選択回路とを有し、
前記ラッチ回路は、前記基準クロック信号に同期して前記第1乃至第Nの選択データを前記第1乃至第Nのラッチセルにラッチし、これにより、前記ラッチ回路は、前記イネーブル信号が無いときには、前記第1乃至第Nのラッチセルの内容を前記基準クロック信号に同期して自己保持し、前記イネーブル信号が有るときには、前記第1乃至第Nのシフトデータをそれぞれ前記第1乃至第Nのラッチセルに前記第1乃至第Nのラッチデータとしてラッチすることを特徴とする負荷素子駆動回路装置。
【請求項2】
前記第1乃至第Nのラッチデータをそれぞれ第1乃至第Nのパルス幅変調信号に変換して、該第1乃至第Nのパルス幅変調信号をそれぞれ前記第1乃至第Nの負荷素子へ供給するパルス変調回路を更に有する、請求項1記載の負荷素子駆動回路装置。
【請求項3】
前記第1乃至第Nのラッチデータをそれぞれ第1乃至第Nの定電流出力信号に変換して、該第1乃至第Nの定電流出力信号をそれぞれ前記第1乃至第Nの負荷素子へ供給する定電流出力回路を更に有する、請求項1に記載の負荷素子駆動回路装置。
【請求項4】
前記第1乃至第Nのラッチデータをそれぞれ第1乃至第Nのパルス幅変調信号に変換するパルス変調回路と、
前記第1乃至第Nのパルス幅変調信号をそれぞれ第1乃至第Nの定電流出力信号に変換して、該第1乃至第Nの定電流出力信号をそれぞれ前記第1乃至第Nの負荷素子へ供給する定電流出力回路と、
を更に有する、請求項1に記載の負荷素子駆動回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−141305(P2008−141305A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323277(P2006−323277)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】