説明

負荷駆動回路

【課題】 負側共通負荷も正側共通負荷も、高信頼性を保ちつつ低コストで駆動する。
【解決手段】 直流電源8の正電極10に接続可能な正の電源端子4と、直流電源8の負電極12に接続可能な負の電源端子6と、負荷接続端子20a、20bとを、負荷駆動回路2は有している。負荷接続端子20a、20bと対応して、正負の電源端子4、6間に並列にスイッチング回路14a、14bが接続されている。スイッチング回路14a、14bでは、正の電源端子4側に位置する吐き出しトランジスタ16a、16bと、負の電源端子6側に位置する吸い込みトランジスタ18a、18bとを直列に接続してある。吸い込みトランジスタと吐き出しトランジスタとの相互接続点が、対応する負荷接続端子20a、20bに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を駆動する負荷駆動回路に関し、特に、正側共通負荷及び負側共通負荷のいずれにも使用することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
負荷の駆動回路としては、例えば特許文献1に開示されているように、吸い込みトランジスタのコレクタを負荷の一端に接続し、負荷の他端を直流電源の正側に、吸い込みトランジスタのエミッタを直流電源の負側に接続し、負荷を駆動する際には、吸い込みトランジスタのベースに制御信号を供給して、吸い込みトランジスタを導通させ、負荷を流れた電流を吸い込みトランジスタに吸い込むものがある。また、負荷の駆動回路として、吐き出しトランジスタのエミッタを直流電源の正側に接続し、コレクタを負荷の一端に接続し、負荷の他端を直流電源の負側に接続し、負荷を駆動する際には、吐き出しトランジスタのベースに制御信号を供給して、吐き出しトランジスタを導通させ、吐き出しトランジスタから吐き出された電流を負荷に流して、負荷を駆動するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54042号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような駆動回路は、例えば船舶のデジタル出力回路において使用されることがあり、複数の負荷を駆動する場合、吸い込みトランジスタの使用時には複数の負荷の正側を共通に接続した正側共通負荷が使用され、吐き出しトランジスタの使用時には、複数の負荷の負側を共通に接続した負側共通負荷が使用される。日本では、上述した正側共通負荷が使用されることが多く、ヨーロッパでは、上述した負側共通負荷を用いたシステムが多く使用されている。しかし、近年、吸い込み型の駆動回路と負側共通負荷回路とを混在させる必要が生じることがあり、このような今まで日本(吸い込み方式)しか装備していない場合、吸い込み型トランジスタによってリレー回路を駆動し、このリレー回路のリレー接点と負側共通負荷回路とを直列に接続して直流電源に接続する複雑な回路を採用している。しかし、この手法では、コストアップとなる上に、半導体に対して信頼性が劣るリレー回路を使用しなければならない。
【0005】
本発明は、負側共通負荷も正側共通負荷も、高信頼性を保ちつつ低コストで駆動することができる負荷駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の負荷駆動回路は、正負の電源端子を有している。正の電源端子は、直流電源の正電極に接続可能であり、負の電源端子は、前記直流電源の負電極に接続可能である。さらに、負荷駆動回路は、複数の負荷接続端子を有している。これら負荷端子と対応して、複数のスイッチング回路が、前記正負の電源端子間に並列に接続されている。前記各スイッチング回路では、前記正の電源端子側に位置する正側半導体スイッチング手段と、前記負の電源端子側に位置する負側半導体スイッチング手段とを、直列に接続している。正側半導体スイッチング手段としては、電流吐き出しトランジスタを、負側半導体スイッチング手段としては、電流吸い込みトランジスタを使用することができるし、他に正側半導体スイッチング素子にPチャンネルの電界効果トランジスタを、負側半導体スイッチング素子にNチャンネルの電界効果トランジスタを使用することもできる。前記正及び負側半導体スイッチング手段の相互接続点が、対応する前記負荷接続端子に接続されている。各スイッチング回路は、前記正側半導体スイッチング手段が導通しているとき、対応する前記負荷接続端子へ電流を出力し、前記負側半導体スイッチング手段が導通しているとき、対応する前記負荷接続端子から電流を流入させる。前記各負荷接続端子には、正側が共通に接続された正側共通負荷の複数の負荷の負側または、負側が共通に接続された負側共通負荷の複数の負荷の正側を、それぞれ接続することができる。
【0007】
このように構成された負荷駆動回路では、各負荷接続端子に正側共通負荷の各負荷の負側を接続し、正側共通負荷の共通の正側を正側電源端子に接続する。この状態で、少なくとも1つの負側半導体スイッチング手段を導通させると、正側電源端子から正側共通負荷の共通の正側、導通させた負側半導体スイッチング手段に対応する負荷、その負荷の負側、導通させた負側半導体スイッチング手段に対応する負荷接続端子、導通させた負側半導体スイッチング手段、負の電源端子に電流が流れる。また各負荷接続端子に負側共通負荷の各負荷の正側を接続し、負側共通負荷の共通負側を負側電源端子に接続する。この状態で、少なくとも1つの正側半導体スイッチング手段を導通させると、正の電源端子、導通させた正側半導体スイッチング手段、これに対応する負荷接続端子、導通させた正側半導体スイッチング手段に対応する負荷、共通負側に電流が流れる。このように、正側共通負荷及び負側共通負荷のいずれであっても、新たな回路を何ら負荷することなく、駆動することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、正側共通負荷も負側共通負荷も駆動することが可能であり、しかも、その駆動のために新たな部品を追加する必要が無く、低コストを維持することができ、さらに使用する部品は半導体スイッチング手段であり、高信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施形態の駆動回路によって正側共通負荷を駆動する状態の回路図である。
【図2】本発明の1実施形態の駆動回路によって負側共通負荷を駆動する状態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1実施形態の駆動回路2は、船舶のデジタル出力回路に使用されたもので、図1に示すように、正の電源端子4と負の電源端子6とを有している。正の電源端子4は、直流電源8の正電極10に接続され、負の電源端子6は、直流電源8の負電極12に接続されている。
【0011】
正の電源端子4と負の電源端子6との間には、複数、例えば2つのスイッチング回路14a、14bが並列に接続されている。これらスイッチング回路14a、14bは、正側半導体スイッチング素子、例えば吐き出しトランジスタ(PNPトランジスタ)16a、16bを有し、それらの共通電極、例えばエミッタが正の電源端子4に接続されている。また、吸い込みトランジスタ(NPNトランジスタ)18a、18bも、スイッチング回路14a、14bは有し、それらの出力電極、例えばコレクタが、吐き出しトランジスタ16a、16bの出力電極、例えばコレクタにそれぞれ接続され、共通電極、例えばエミッタがそれぞれ負の電源端子6に接続されている。
【0012】
各スイッチング回路16a、16bにおける吐き出しトランジスタ16a、16bのコレクタと吸い込みトランジスタ18a、18bのコレクタとの相互接続点が、負荷接続端子20a、20bに接続されている。
【0013】
吐き出しトランジスタ16a、16b、吸い込みトランジスタ18a、18bは、それらの制御電極、例えばベースに制御信号、例えばオン信号が、図示しない制御手段、例えば制御回路から供給されたとき、導通する。
【0014】
この駆動回路2が駆動する負荷としては、図1に示す正側共通負荷22と、図2に示すよう負側共通負荷24とがある。正側共通負荷22は、共通端子26と、2つの負荷端子30a、30bを有し、負側共通負荷24は、共通端子28と、2つの負荷端子32a、32bを有している。
【0015】
正側共通負荷22では、共通端子26には、電流制限抵抗器34a、34bを介して負荷、例えばLED36a、36bのアノードが共通に接続されている。LED36aのカソードが負荷端子30aに、LED36bのカソードが負荷端子30bに、それぞれ接続されている。
【0016】
負側共通負荷24では、共通端子28には、負荷、例えばLED38a、38bのカソードが共通に接続されている。LED38aのアノードは電流制限抵抗器40aを介して負荷端子32aに接続され、LED38bのアノードは電流制限抵抗器40bを介して負荷端子32bに接続されている。
【0017】
図1に示す正側共通負荷22を使用する場合には、共通端子26を正電極10に接続し、各負荷端子30a、30bを、負荷接続端子20a、20bに接続する。そして、例えばLED36aを点灯させる場合には、吸い込みトランジスタ18aが導通するように、ベースに制御回路からオン信号を供給する。これによって、正電極10、共通端子26、電流制限抵抗34a、LED36a、負荷端子30a、負荷接続端子20a、吸い込みトランジスタ18a、負の電源端子6、負電極12と電流が流れ、LED36aが点灯する。同様に、LED36bを点灯させる場合には、吸い込みトランジスタ18bを導通させる。
【0018】
図2に示す負側共通負荷24を使用する場合には、共通端子28を負電極12に接続し、負荷端子32a、32bを負荷接続端子20a、20bに接続する。LED38aを点灯させる場合には、吐き出しトランジスタ16aを導通させるように制御回路からオン信号を吐き出しトランジスタ16aのベースに供給する。これによって、正電極10、正電源端子4、吐き出しトランジスタ16a、負荷接続端子20a、負荷端子32a、電流制限抵抗器40a、LED38a、共通端子28、負電極12に電流が流れ、LED38aが点灯する。LED38bを点灯させる場合には、同様に吐き出しトランジスタ16bを導通させる。
【0019】
なお、誤って同じスイッチング回路の吐き出しトランジスタと吸い込みトランジスタ、例えばスイッチング回路14aの吐き出しトランジスタ16aと吸い込みトランジスタ18aとが同時に導通することがないように、制御回路ではインターロックをかけてオン信号を例えばトランジスタ16a、18aに供給する。スイッチング回路14bにおいても同様である。
【0020】
このように、この負荷駆動回路2によれば、負荷駆動回路2に部品の追加等を行うことなく、正側共通負荷22でも、負荷側共通負荷24でも駆動することができる。従って、日本仕様の正側共通負荷でも、ヨーロッパ仕様の負側共通負荷でも使用することができる。
【0021】
上記の実施形態では、2つのスイッチング回路14a、14bを設けたが、さらに多くのスイッチング回路を設けることもできる。その場合、使用される正側共通回路及び負側共通回路の負荷の数も、スイッチング回路の数に対応させて増加させる。上記の実施形態では、PNP及びNPNトランジスタを吐き出しトランジスタ及び吸い込みトランジスタとして使用したが、これに限ったものではなくPチャンネル及びNチャンネルの電界効果トランジスタを吐き出しトランジスタ及び吸い込みトランジスタとして使用することもできる。また、上記の実施形態では、負荷としてLEDを使用したが、これに限ったものではなく、例えばリレー回路を使用することもできる。
【符号の説明】
【0022】
2 負荷駆動回路
4 正の電源端子
6 負の電源端子
8 直流電源
14a 14b スイッチング回路
16a 16b 吐き出しトランジスタ(正側スイッチング手段)
18a、18b 吸い込みトランジスタ(負側スイッチング手段)
20a、20b 負荷接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の正電極に接続可能な正の電源端子と、
前記直流電源の負電極に接続可能な負の電源端子と、
複数の負荷接続端子と、
前記各負荷接続端子と対応して、前記正負の電源端子間に並列に接続された複数のスイッチング回路とを、
具備し、前記各スイッチング回路は、前記正の電源端子側に位置する正側スイッチング手段と、前記負の電源端子側に位置する負側スイッチング手段とを、直列に接続してなり、前記正及び負側スイッチング手段の相互接続点が、対応する前記負荷接続端子に接続され、前記正側スイッチング手段が導通しているとき、対応する前記負荷接続端子へ前記正の電源端子側から電流を出力し、前記負側スイッチング手段が導通しているとき、対応する前記負荷接続端子から前記負の電源端子側に電流を流入させる
負荷駆動回路。
【請求項2】
請求項1記載の負荷駆動回路において、前記各負荷接続端子には、正側が共通に接続された正側共通負荷の複数の負荷の負側または、負側が共通に接続された負側共通負荷の複数の負荷の正側が、それぞれ接続される負荷駆動回路。
【請求項3】
請求項1記載の負荷駆動回路において、前記正側スイッチング手段が電流吐き出しトランジスタで、前記負側スイッチング手段が電流吸い込みトランジスタである
負荷駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−66753(P2011−66753A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216795(P2009−216795)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】