説明

貨物自動車用変速機モジュール

貨物自動車1は、変速機モジュール5を経由して切り替え可能なギヤの設定を有する自動変速機9の入力軸7に接続される燃焼機関3を有する。変速機9の出力軸11は差動装置13を経由して貨物自動車の車輪15に接続される。変速機モジュール5は、互いに接続され得る2つのクラッチ部品17Aおよび17Bを含むクラッチ17を有する。変速機モジュール5はさらに、入力21および出力23を含む部分モジュール19を有する。部分モジュール19は、3つの回転部材27、29、31を持つバイパス変速機25を有し、このうちの第3回転部材31はブレーキ33を介してしっかりした物35に接続され得る。この変速機モジュールを用いて、クラッチおよびブレーキを操作することにより、トルク伝達の中断無しに1対1のギヤ比とバイパス変速機のギヤ比との間を切り替えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続され得る2つのクラッチ部品を含むクラッチを有し、このクラッチの第1クラッチ部品は車両の駆動源に接続できるとともにこのクラッチの第2クラッチ部品は車両の変速機の入力軸に接続できる、車両用、特に貨物自動車用変速機モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車用のこの種の変速機モジュールは一般に知られている。この変速機モジュールは、貨物自動車に適用される場合、貨物自動車の駆動源と変速機との間に配置される。変速機は2つの相互に協働する歯車およびクラッチ手段により形成された少なくとも1つの切り替え可能な変速機を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は既知の変速機モジュールを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明による変速機モジュールは、変速機モジュールがさらに入力と出力とを有する部分モジュールを有することを特徴とする。この部分モジュールは、変速機および変速機に接続されたさらなるクラッチまたはブレーキを有し、部分モジュールの入力は第1クラッチ部品に接続されるおよび/または車両の駆動源に接続でき、部分モジュールの出力は第2クラッチ部品に接続されるおよび/または車両の変速機の入力軸に接続でき、変速機は部分モジュールの入力および出力軸の回転方向が互いに同じになるように構成される。
【0005】
本発明による変速機モジュールを用いて、クラッチおよびさらなるクラッチを操作することによりトルク伝達の中断無しに1対1のギヤ比と部分モジュールの変速機のギヤ比との間を切り替えることが可能である。結果として、貨物自動車に使用された場合、本発明による変速機モジュールを用いて、この変速機モジュールのないものの2倍多くのギヤ比を作り出すことができる。
【0006】
既知の変速機に対する本発明の変速機の利点は以下の通りである:
− このモジュールはトルク伝達を伴う最高速ギヤから低いギヤへの変速を可能にする。これは特に、より出力を必要とする僅かな坂道が選ばれることになっているため、最高速ギヤ(直結)のときにシフトダウンしなければならないので、重要である。
− このモジュールはまた、追加のギヤが最低速ギヤの下に作られることを可能にする。この追加の低速ギヤは、より低い回転数で駆動することを可能にするように車輪への端部の減速を変更することを可能にし、これは燃料消費を削減する。
− ブレーキの能動冷却の可能性の結果として、第1段ギヤでの(ブレーキを滑らせることを伴った)クリープ中の適切かつ長い放熱が可能である。これはより低いクリープ速度を可能にする。
− 1−2、2−4、および5−6のギヤシフトの間でパワーシフトが可能である。
− メインクラッチはパワーシフトのためにのみ使用されもはや車両の発進のためには使用されない。結果として、より軽い構造を有し得るとともに磨耗が大幅に減少する。車両の全寿命に対するクラッチ板の設計の可能性がある。
【0007】
クラッチを操作することにより、さらなるクラッチまたはブレーキが除苛され得るまたはシンクロされ得るので、より簡単に開放または閉鎖され得る。
【0008】
部分モジュールをコスト効率良く保つために、さらなるクラッチまたはブレーキは、クラッチと比べて如何なる大きな出力も消散することが出来ないように設計される。さらなるクラッチは好ましくは、かみ合いクラッチまたはシンクロメッシュとして、或いは、クラッチと比べて如何なる大きな出力も消散することが出来ない摩擦クラッチまたは摩擦ブレーキとして構成される。
【0009】
変速機は好ましくは、歯車および、歯車の少なくとも1つを配置された軸に接続するためのかみ合いクラッチまたはシンクロメッシュ等のクラッチ手段を有する、少なくとも1つの切り替え可能な変速機を含む。
【0010】
変速機は好ましくは、プッシュベルトまたはチェーンバリエータ等の無段変速機要素を含む。
【0011】
クラッチは好ましくは、操作されていない場合に閉じられるように(常時閉に)構成される。さらに、さらなるクラッチまたはブレーキは操作されていない場合に開くように(常時開に)構成される。
【0012】
クラッチは好ましくは、クラッチを開くためにクラッチのダイヤフラムスプリングを引くプルアクチュエータにより、またはクラッチを開くためにクラッチのダイヤフラムスプリングを押すプッシュアクチュエータにより操作される。
【0013】
クラッチは好ましくは、乾板摩擦クラッチとして構成されるとともにさらなるクラッチまたはブレーキは乾板摩擦クラッチとして構成され、またはクラッチは湿板摩擦クラッチとして構成されるとともにさらなるクラッチまたはブレーキは湿板摩擦クラッチとして構成される。
【0014】
本発明による変速機モジュールの実施形態は、変速機が、入力に接続される第1回転部材、出力に接続される第2回転部材、およびさらなるクラッチまたはブレーキを介してしっかりした物体に接続され得る第3回転部材の少なくとも3つの回転部材を持つバイパス変速機により形成されることを特徴とする。しっかりした物体は例えば変速機ハウジングである。
【0015】
第1回転部材は好ましくはリングギヤにより形成され、第2回転部材は遊星歯車がベアリングで取り付けられる遊星歯車キャリアにより形成され、第3回転部材はサンギヤにより形成される、または、第1回転部材はサンギヤにより形成され、第2回転部材は第2サンギヤにより形成され、第3回転部材は遊星歯車がベアリングで取り付けられる遊星歯車キャリアにより形成される。
【0016】
好ましくはトーションダンパが第1回転部材と第1クラッチ部品の一部を形成するクラッチカバーとの間に配置される。
【0017】
さらに、好ましくは中間ハウジング部分がクラッチと変速機の変速機ハウジングとの間に配置される。
【0018】
好ましくは、回転シールが第1回転部材と中間ハウジング部分との間に存在する。さらに、好ましくは、回転シールが第1回転部材と変速機のプライマリ軸との間に存在する。
【0019】
クラッチカバーと第1回転部材との間の接続は好ましくは接続スリーブを経由してクラッチアクチュエータの下を通る。
【0020】
さらに、好ましくは第1および第3回転部材は、変速機のプライマリ軸に直接ベアリングで取付けられる。
【0021】
変速機がバイパス変速機により形成される上述の実施形態の代替を形成する本発明による変速機モジュールの他の実施形態は、それぞれが入力軸および出力軸を有する2つの部分変速機を有し、部分変速機の第1の部分変速機の入力軸は入力に接続され、部分変速機の第2の部分変速機の出力軸は出力に接続され、第1の部分変速機の出力軸と第2の部分変速機の入力軸とがさらなるクラッチにより互いに接続され得る、ことを特徴とする。部分変速機は例えばギヤトレーン、チェーン伝動装置またはベルト伝動装置であり得る。
【0022】
本発明による変速機モジュールのさらなる実施形態は、出力の方向において第1の部分変速機が加速するとともに第2の部分変速機が減速することを特徴とする。結果として、作動中にさらなるクラッチにより伝達されるトルクは減少されるので、さらなるクラッチはより低い程度に負荷がかけられる。
【0023】
本発明による変速機モジュールのさらなる実施形態は、出力の回転数により除された運転中の入力の回転数により規定される部分モジュールのギヤ比が1より大きいことを特徴とする。好ましくは部分モジュールのギヤ比は1.3以上である。
【0024】
部分モジュールは貨物自動車の既存の駆動系に組み込まれ得る独立したモジュールとして構成され得る。この目的のために、部分モジュールの入力および出力は好ましくは第1クラッチ部品および/または駆動源または貨物自動車の変速機の入力軸および/または第2クラッチ部品にそれぞれ接続するための歯を備える。歯は例えばスプラインであり得る。次に、出力は好ましくは第2クラッチ部品に接続される延長軸により形成される。この延長軸は、変速機モジュールが貨物自動車に使用されるときに貨物自動車の変速機の入力軸を延長するために使用されるので、この入力軸は第2クラッチ部品に接続され得る。
【0025】
好ましくは、クラッチを操作するための操作手段および/またはさらなるクラッチを操作するためのさらなる操作手段が部分モジュールの一部を形成する。操作手段およびさらなる操作手段は好ましくは圧縮空気が供給される。この空気の供給は好ましくは中間ハウジング部分を経由して操作手段およびさらなる操作手段に導かれる。
【0026】
本発明はまた、本発明による変速機モジュールに適用され得る部分モジュールに関する。
【0027】
クラッチを操作(駆動)することにより、単純な方法で開放または閉鎖され得るように、さらなるクラッチまたはブレーキが除苛され得るまたはシンクロされ得る。
【0028】
クラッチおよびさらなるクラッチまたはブレーキを操作(駆動)することにより、トルクの中断無しに、1:1と、駆動軸および変速機の入力軸の間の伝動との間で、ギヤを切り替えることが可能である。
【0029】
さらなるクラッチまたはブレーキを操作(駆動)することにより、車両は前方あるいは後方に発進し得る。
【0030】
さらなるクラッチまたはブレーキを操作(駆動)することにより、車両は前方あるいは後方に発進し得るとともに次にクラッチを操作(駆動)することにより、車両の車輪のトルクの中断無しにより高いギヤに変速することができる。
【0031】
本発明は、図に示された本発明にしたがって変速機モジュールの実施形態の例に基づいてより詳細に以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、貨物自動車に使用された本発明による変速機モジュールの第1実施形態の図式的な表示を示す。
【図2】図2は、貨物自動車に使用された本発明による変速機モジュールの第2実施形態の図式的な表示を示す。
【図3】図3は、湿式板クラッチを備える図1に示された変速機モジュールの構造的な実施形態の図式的な表示を示す。
【図4】図4は、乾式板クラッチを備える図1に示された変速機モジュールの図式的な表示を示す。
【図5】図5は、湿式板クラッチを備える図2に示された変速機モジュールの構造的な実施形態の図式的な表示を示す。
【図6】図6は、乾式板クラッチを備える図2に示された変速機モジュールの構造的な実施形態の図式的な表示を示す。
【図7】図7は、別の実施形態の図を示す。
【図8】図8は、別の実施形態の図を示す。
【図9】図9は、別の実施形態の図を示す。
【図10】図10は、別の実施形態の図を示す。
【図11】図11は、別の実施形態の図を示す。
【図12】図12は、別の実施形態の図を示す。
【図13】図13は、別の実施形態の図を示す。
【図14】図14は、別の実施形態の図を示す。
【図15】図15は、別の実施形態の図を示す。
【図16】図16は、別の実施形態の図を示す。
【図17】図17は、別の実施形態の図を示す。
【図18】図18は、別の実施形態の図を示す。
【図19】図19は、別の実施形態の図を示す。
【図20】図20は、別の実施形態の図を示す。
【図21】図21は、別の実施形態の図を示す。
【図22】図22は、別の実施形態の図を示す。
【図23】図23は、別の実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、貨物自動車に使用された本発明による変速機モジュールの第1実施形態の図式的な表示を示す。貨物自動車1は、変速機モジュール5を経由して例えば切り替え可能な伝動装置を有する自動変速機9の入力軸7に接続される燃焼機関3を有する。変速機9の出力軸11は差動装置13を用いて貨物自動車の車輪15に接続される。
【0034】
変速機モジュール5は、互いに接続され得る2つのクラッチ部品17Aおよび17Bを有するクラッチ17を有する。変速機モジュール5はさらに、入力21および出力23を含む部分モジュール19を有する。入力21はクラッチ部品17Aに接続され、出力23はクラッチ部品17Bに接続される。
【0035】
部分モジュール19は、入力21に接続される第1回転部材27、出力23に接続される第2回転部材29およびブレーキ33を介して例えば変速機のハウジング等により形成されたしっかりした物体35に接続され得る第3回転部材31の3つの回転部材を持つバイパス変速機25を有する。バイパス変速機25は、第1回転部材27および第2回転部材29の回転方向が互いに等しくなるように作られる。ブレーキ33はクラッチ17と比べて大きな出力を消散することが出来ない。
【0036】
図2は、貨物自動車に使用された本発明による変速機モジュールの第2実施形態の図式的な表示を示す。第1実施形態のものと同じ全ての部品は同様の符号により示される。
【0037】
この変速機モジュール37の部分モジュール39は、それぞれ入力軸45、49および出力軸47、51を有する2つの部分変速機41および43を有する。部分変速機は歯車対により形成される。入力軸45は入力21に接続され、出力軸51は出力23に接続される。出力軸47および入力軸49はさらなるクラッチ53を用いて互いに接続され得る。さらなるクラッチ53は、クラッチ17と比べて大きな出力を消散することが出来ず、かみ合いクラッチまたはシンクロメッシュとして、或いは、クラッチと比べて大きな出力を消散することが出来ない摩擦クラッチまたは摩擦ブレーキとして構成される。部分変速機41は加速効果を有するとともに部分変速機43は出力23の方向に減速効果を有する。
【0038】
出力23の回転数により除された入力21の運転中の回転数により規定される変速機モジュール5および37のギヤ比は、約1.3である。
【0039】
図3は、図1に示された変速機モジュールの構造的な実施形態の図式的な表示を示す。この実施形態に与えられたクラッチ17は、湿式板クラッチである。
【0040】
図4は、図1に示された変速機モジュールの別の構造的な実施形態の図式的な表示を示す。ここではクラッチ17は、乾式板クラッチとして与えられる。入力は、スプライン歯57または他の機械的な接続を介してクラッチカバーにより形成されたクラッチ部品17Aに接続される接続板55により構成される。出力は、同様にスプライン接続61または他の機械的な接続を介してクラッチ板により形成された第2クラッチ部品17Bに接続される延長軸59により形成されるとともに、変速機9の入力軸7にスプライン接続63を介して接続される。
【0041】
部分モジュール19はクラッチ17を操作するための操作手段を有する。ブレーキを操作するためのさらなる操作手段(図示せず)もまた部分モジュール19の一部を形成する。
【0042】
図5は、図2に示された変速機モジュールの構造的な実施形態の図式的な表示を示す。クラッチ17は再び湿式板クラッチとして構成される。
【0043】
図6は、図2に示された変速機モジュールの他の構造的な実施形態の図式的な表示を示す。図4に示された第1実施形態のものと同じ全ての部品は同様の符号により示される。クラッチ17はここでは乾式板クラッチとして構成される。部分モジュールの一部を形成するさらなる操作手段(ここではさらなるクラッチのための)はここにも示されていない。
【0044】
図7乃至10は、乾式板クラッチおよび乾式板ブレーキを持つ実施形態の図を示す。図7に示された実施形態は、バイパス変速機への特定の接続およびシール(ペレット)の特定の構造を有する。71が接続板72のトーションばねおよびクラッチカバーへの接続を示すために使用される。ブレーキアクチュエータおよびクラッチアクチュエータはそれぞれ73および74により示され、バイパス変速機は75によりそしてクラッチは76により示される。入力軸はスプライン接続77を経由してクラッチ板に接続される。図8では、バイパス変速機はクラッチハウジング内に配置される。
【0045】
図9および10は、クラッチアクチュエータが変速機ハウジングから直接駆動され得るように配置された実施形態の図を示す。これは2つの軸方向ベアリングおよび貫通接続を必要とする。貫通接続が、ライマリ軸とバイパス変速機との間で接続板を貫通する歯/スプライン/キー接続として構成される。貫通接続78は接続板と同じ速度で回転するが、この接続板に対して軸方向にスライド可能である。
【0046】
図11乃至18は、乾式板クラッチおよび湿式板ブレーキ82を持つ実施形態の図を示す。図12は図11に図式的に示された実施形態の具体的な設計であり、図14は図13に図式的に示された実施形態の具体的な設計である。ここで、中間部材は79として示されるとともに変速機ハウジングは80として示される。クラッチアクチュエータ74と第1クラッチ部品のレバーとの間にはスラストベアリング81が配置される。変速機のプライマリ軸83はここでは延長されているが、一体で(分離した軸延長部無しに)作られる。図15はさらなる変形を示す。
【0047】
図16および17に示された実施形態では、クラッチアクチュエータ74は、変速機ハウジングから直接駆動され得るように配置される。これは2つの軸方向ベアリングおよび貫通接続を必要とする。貫通接続78が、ライマリ軸とバイパス変速機との間で接続板を貫通する歯/スプライン/キー接続として構成される。貫通接続は接続板と同じ速度で回転するが、この接続板に対して軸方向にスライド可能である。図18は再び図17に図式的に表示の具体的な設計である。
【0048】
図19および20は、湿式板クラッチおよび乾式板ブレーキを持つ実施形態を示す。84は乾いた空間を示し85は湿った空間を示す。駆動力はベアリング86を介して支持される。図19に示された実施形態は、発進要素(ブレーキ)が乾式であるとともにパワーシフト要素(クラッチ)が湿式であるという利点を有する。クラッチおよびブレーキアクチュエータの支持力は中間ハウジング部分に直接支持されることができ、これは有利である。図20に示された実施形態では、プライマリ軸が延長される。
【0049】
図21、22および23に示された実施形態では、湿式板クラッチおよび湿式板ブレーキを持つ実施形態が示される。パワーシフトモジュールがここではトルクコンバータの代替として構成される。変速機の変速比の範囲はしたがって、切り替え可能な事前減速により減少され得る。この事前減速は(トルクコンバータが持たない)高効率をもたらす。接続(ロックアップ)は90として示されブレーキは91として示される。遊星ギヤセットは参照符号として92を有しハウジングは93を有する。オイルポンプへの接続は94として示される。図22では、変速機サンプが95として示され、96はオイルを使用するための接続を示す。サンプモジュールは97として示されるとともに98は遊星ギヤセットの潤滑および冷却のための電動オイルポンプである。変速機のオイルサンプはパワーシフトモジュールのオイルサンプに接続される。パワーシフトモジュールのオイルサンプでは、湿式ブレーキまたはクラッチがオイル内で継続的に回転する必要がないように仕切壁/容器が設置され、これは摩擦損失を減少させる。図23では、ブレーキが少ないスリップ損失を有するようにオイルをブレーキから遠ざけるための仕切壁は99として示される。
【0050】
本発明は図面に基づいて前述されているが、本発明は、図面に示された実施形態に決して限定されないことに留意すべきである。本発明はまた、請求項により規定された精神および範囲内で図面に示された実施形態から離れる全ての実施形態に広がる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続され得る2つのクラッチ部品を含むクラッチを有し、前記クラッチの第1クラッチ部品は車両の駆動源に接続できるとともに前記クラッチの第2クラッチ部品は前記車両の変速機の入力軸に接続できる、車両用、特に貨物自動車用変速機モジュールであって、
前記変速機モジュールはさらに入力と出力とを有する部分モジュールを有し、前記部分モジュールは変速機および前記変速機に接続されたさらなるクラッチまたはブレーキを有し、前記部分モジュールの前記入力は前記第1クラッチ部品に接続されるおよび/または前記車両の前記駆動源に接続でき、前記部分モジュールの前記出力は前記第2クラッチ部品に接続されるおよび/または前記車両の前記変速機の前記入力軸に接続でき、前記変速機は前記部分モジュールの前記入力および前記出力の回転方向が互いに同じになるように構成される、ことを特徴とする、
変速機モジュール。
【請求項2】
前記変速機は、歯車および、前記歯車の少なくとも1つを配置された軸に接続するためのかみ合いクラッチまたはシンクロメッシュ等のクラッチ手段を有する、少なくとも1つの切り替え可能な変速機を含む、ことを特徴とする、
請求項1に記載の変速機モジュール。
【請求項3】
前記変速機は、プッシュベルトまたはチェーンバリエータ等の無段変速機要素を含む、ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の変速機モジュール。
【請求項4】
前記さらなるクラッチまたはブレーキは、前記クラッチと比べて大きな出力を消散することが出来ない、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項5】
前記さらなるクラッチは、かみ合いクラッチまたはシンクロメッシュとして、或いは、前記クラッチと比べて如何なる大きな出力を消散することが出来ない摩擦クラッチまたは摩擦ブレーキとして構成される、ことを特徴とする、
請求項4に記載の変速機モジュール。
【請求項6】
前記クラッチは、操作されていない場合に閉じられるように(常時閉に)構成される、ことを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項7】
前記さらなるクラッチまたはブレーキは、操作されていない場合に開くように(常時開に)構成される、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項8】
前記クラッチは、前記クラッチを開くために前記クラッチのダイヤフラムスプリングを引くプルアクチュエータにより操作される、ことを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項9】
前記クラッチは、前記クラッチを開くために前記クラッチのダイヤフラムスプリングを押すプッシュアクチュエータにより操作される、ことを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項10】
前記クラッチは、乾板摩擦クラッチとして構成されるとともに、前記さらなるクラッチまたはブレーキは、乾板摩擦クラッチとして構成される、ことを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項11】
前記クラッチは、湿板摩擦クラッチとして構成されるとともに、前記さらなるクラッチまたはブレーキは、湿板摩擦クラッチとして構成される、ことを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項12】
前記変速機が、前記入力に接続される第1回転部材、前記出力に接続される第2回転部材、および前記さらなるクラッチまたはブレーキを介してしっかりした物体に接続され得る第3回転部材の少なくとも3つの回転部材を持つバイパス変速機により形成される、ことを特徴とする、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項13】
前記第1回転部材はリングギヤにより形成され、前記第2回転部材は遊星歯車がベアリングで取り付けられる遊星歯車キャリアにより形成され、前記第3回転部材はサンギヤにより形成される、ことを特徴とする、
請求項12に記載の変速機モジュール。
【請求項14】
前記第1回転部材はサンギヤにより形成され、前記第2回転部材は第2サンギヤにより形成され、前記第3回転部材は遊星歯車がベアリングで取り付けられる遊星歯車キャリアにより形成される、ことを特徴とする、
請求項12に記載の変速機モジュール。
【請求項15】
前記第1回転部材と前記第1クラッチ部品の一部を形成するクラッチカバーとの間にトーションダンパが配置される、ことを特徴とする、
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項16】
中間ハウジング部分が前記クラッチと前記変速機の変速機ハウジングとの間に配置される、ことを特徴とする、
請求項12乃至15のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項17】
回転シールが前記第1回転部材と前記中間ハウジング部分との間に存在する、ことを特徴とする、
請求項16に記載の変速機モジュール。
【請求項18】
回転シールが前記第1回転部材と前記変速機のプライマリ軸との間に存在する、ことを特徴とする、
請求項12乃至17のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項19】
前記クラッチカバーと前記第1回転部材との間の接続は接続スリーブを経由してクラッチアクチュエータの下を通る、ことを特徴とする、
請求項12乃至18のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項20】
前記第1回転部材および前記第3回転部材は、前記変速機の前記プライマリ軸に直接ベアリングで取付けられる、ことを特徴とする、
請求項12乃至19のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項21】
前記変速機はそれぞれが入力軸および出力軸を有する2つの部分変速機を有し、前記部分変速機の第1の部分変速機の前記入力軸は前記入力に接続され、前記部分変速機の第2の部分変速機の前記出力軸は前記出力に接続され、前記第1の部分変速機の前記出力軸と前記第2の部分変速機の前記入力軸とが前記さらなるクラッチにより互いに接続され得る、ことを特徴とする、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項22】
前記出力の方向において前記第1の部分変速機が加速するとともに前記第2の部分変速機が減速する、ことを特徴とする、
請求項21に記載の変速機モジュール。
【請求項23】
前記変速機は、オイルが留まることが可能である独自のサンプを有する独立したハウジングに収容される、ことを特徴とする、
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項24】
前記出力の回転数により除された運転中の前記入力の回転数により規定される前記部分モジュールのギヤ比が1より大きい、ことを特徴とする、
請求項1乃至23のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項25】
前記部分モジュールの前記ギヤ比が1.3以上である、ことを特徴とする、
請求項24に記載の変速機モジュール。
【請求項26】
前記部分モジュールの前記入力および前記出力が歯を備える、ことを特徴とする、
請求項1乃至25のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項27】
前記出力は前記第2クラッチ部品に接続される延長軸により形成される、ことを特徴とする、
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項28】
前記部分モジュールは前記クラッチを操作するための操作手段を有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至27のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項29】
前記部分モジュールは前記さらなるクラッチを操作するためのさらなる操作手段を有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至28のいずれか1項に記載の変速機モジュール。
【請求項30】
前記操作手段および前記さらなる操作手段は圧縮空気が供給される、ことを特徴とする、
請求項28または29に記載の変速機モジュール。
【請求項31】
前記空気の供給は、前記中間ハウジング部分を経由して前記操作手段および前記さらなる操作手段にもたらされる、ことを特徴とする、
請求項30に記載の変速機モジュール。
【請求項32】
請求項1乃至31のいずれか1項に記載の変速機モジュールに使用することができる部分モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2012−530890(P2012−530890A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517424(P2012−517424)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/NL2010/000101
【国際公開番号】WO2010/151113
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(507130624)ディーティーアイ グループ ビー.ブイ. (11)
【Fターム(参考)】