説明

貯湯式給湯装置

【課題】複数の給湯端から各々設定された温度の湯を給湯可能とすると共に、貯湯タンク内の中温水を有効に使用可能な貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】出湯管8からの高温水と前記中温水出湯管29からの中温水と前記給水管9から分岐された第1バイパス管31からの低温水との三流体を任意の第1給湯設定温度に混合して第1給湯端4から給湯させる第1給湯混合弁30と、前記出湯管8からの高温水と前記中温水出湯管29からの中温水と前記給水管9から分岐された第2バイパス管34からの低温水との三流体を任意の第2給湯設定温度に混合して第2給湯端36から給湯させる第2給湯混合弁33とを備えたので、複数の給湯端から良好に給湯することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は貯湯タンク内に生成される中温水を積極的に使用して、エネルギー消費効率(COP)の向上を図る貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものにおいては、高温水と中温水とを先ず中温水混合弁で混合した後に、給湯混合弁でこの混合水と給水とを給湯設定温度に混合して給湯するものであり、又風呂混合弁でこの混合水と給水とを風呂設定温度に混合して湯張りするものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特許3977382号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、給湯と風呂の湯張りの同時使用時では、中温水混合弁の混合水温度は、給湯設定温度と風呂設定温度の高い方の温度より所定温度高くなるように設定されるので、例えば使用中の給湯が低い設定温度の方であった場合には、給湯中に急にお湯の温度が上がって危険であったり、使用者に不安感や不信感を抱かせる原因にもなるものであり、又湯張り中の風呂が低い設定温度の方であった場合には、湯張り温度が上がり入浴に支障を来すと言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題を解決するために、特にその構成を、給水管が下端部に接続されていると共に貯湯している高温水を流出させる出湯管が上端部に接続されている貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を高温に加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの前記出湯管よりも低い位置に接続され、中温水を前記貯湯タンクから流出させるための中温水出湯管と、前記出湯管からの高温水と前記中温水出湯管からの中温水と前記給水管から分岐された第1バイパス管からの低温水との三流体を任意の第1給湯設定温度に混合して第1給湯端から給湯させる第1給湯混合弁と、前記出湯管からの高温水と前記中温水出湯管からの中温水と前記給水管から分岐された第2バイパス管からの低温水との三流体を任意の第2給湯設定温度に混合して第2給湯端から給湯させる第2給湯混合弁とを備えたものである。
【発明の効果】
【0005】
以上のようにこの発明によれば、第1給湯混合弁と第2給湯混合弁とが、それぞれ独立して出湯管、中温水出湯管、給水管と連通しているので、関連することなくまったく自由に温度設定した給湯水を得ることが出来、従来のように急に給湯温度が上がる危険や、不安感や不信感を与える心配が無く、常に安心して使用出来るものであり、しかも中温水混合弁が不要となりその分安価で済むものであり、更に2つの混合弁で中温水が使用されることで、従来より多量に消費されてCOPを向上も図られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次にこの発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づき説明する。なお、図面中の貯湯タンク内にハッチングした斜線は低温水、二重斜線は中温水、三重斜線は高温水を示し、矢印は湯水の流れ方向を示すものである。
【0007】
この貯湯式給湯装置は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いるもので、1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段を構成するヒートポンプユニット、4は台所や洗面所等に設けられた第1給湯端たる給湯栓、5はこの給湯栓4の近傍に設けられた給湯リモコン、6は浴槽、7は浴室に設けられた風呂リモコンである。
【0008】
前記貯湯タンクユニット1の貯湯タンク2は、上端に出湯管8と、下端に給水管9とが接続され、さらに、下部にヒーポン往き管10と、上部にヒーポン戻り管11とか接続され、前記ヒートポンプユニット3によってヒーポン往き管10から取り出した貯湯タンク2内の湯水を沸き上げてヒーポン戻り管11から貯湯タンク2内に戻して貯湯され、給水管9からの給水により貯湯タンク2内の湯水が押し上げられて貯湯タンク2内上部の高温水が出湯管8から押し出されて給湯されるものである。
【0009】
前記ヒートポンプユニット3は、圧縮機12と凝縮器としての冷媒−水熱交換器13と電子膨張弁14と強制空冷式の蒸発器15で構成された加熱手段としてのヒートポンプ回路16と、貯湯タンク2内の湯水を前記ヒーポン往き管10およびヒーポン戻り管11を介して冷媒−水熱交換器13に循環させるヒーポン循環ポンプ17と、それらの駆動を制御するヒーポン制御部18とを備えており、ヒートポンプ回路16内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。なお、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。
【0010】
ここで、前記冷媒−水熱交換器13は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の冷媒−水熱交換器13入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記減圧器14または圧縮機12を制御することで、被加熱水の冷媒−水熱交換器13の入口温度が5〜20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)が3.0以上のとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0011】
19は前記浴槽6の湯水を加熱するための熱交換器で、その一次側には貯湯タンク2上部に接続された高温水往き管20と貯湯タンク2下部に接続された中温水戻り管21とが接続されて熱交循環回路22を構成し、中温水戻り管21途中に設けられた熱交循環ポンプ23の作動により貯湯タンク2から取り出した高温水を熱交換器19に循環させ、熱交換により温度低下した中温水を再び貯湯タンク2内に戻すものである。
【0012】
前記熱交換器19の二次側には、浴槽6の湯水を循環可能に風呂往き管24と風呂戻り管25より構成される風呂循環回路26が接続され、風呂戻り管25途中に設けられた風呂循環ポンプ27の作動により浴槽6の湯水が熱交換器19に循環されて、一次側の高温水により加熱されて浴槽6内の湯水の保温あるいは追焚きが行われるものである。なお、28は風呂戻り管25を循環する浴槽6の湯水の温度を検出する風呂温度センサである。
【0013】
29は前記中温水戻り管21より高く前記出湯管8より低い貯湯タンク2の中間位置に接続された中温水出湯管で、前記熱交換器19で二次側と熱交換して温度低下した中温水を貯湯タンク2から出湯するものである。
【0014】
30は前記中温水出湯管29からの中温水と、貯湯タンク2上端に接続された出湯管8からの高温水と、給水管9からバイパスした第1バイパス管31からの低温水との三流体を混合する第1給湯混合弁で、この第1給湯混合弁30の下流には混合水温度を検知する給湯温度センサ32が備えられ、給湯リモコン5の給湯設定温度(第1給湯設定温度)になるように第1給湯混合弁30の混合を制御し、設定温度の混合水を第1給湯端である給湯栓4から給湯として供給する。
【0015】
33は前記第1給湯混合弁30より中温水出湯管29の下流側に備えられた第2給湯混合弁で、中温水出湯管29からの中温水と、出湯管8からの高温水と、給水管9からバイパスした第2バイパス管34からの低温水との三流体を、風呂リモコン7の風呂設定温度(第2給湯設定温度)になるように第2給湯混合弁33下流の風呂温度センサ35で混合水温度を検知しながら混合し、この混合水を第2給湯端たる湯張り管36に給湯して風呂の湯張りが行われるものである。
【0016】
前記湯張り管36には、風呂循環回路26を介した浴槽6への湯張りの開始/停止を行う湯張り弁37と、浴槽6への湯張り量をカウントするふろ流量カウンタ38が設けられているものである。
【0017】
39は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度センサで、この貯湯温度センサ39が検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけの熱量や中温水が残っているかを検知し、そして貯湯タンク2内の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0018】
40は貯湯タンクユニット1内の各センサの入力を受け各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを有した給湯制御部で、この給湯制御部40に前記給湯リモコン5及び風呂リモコン7が無線または有線により接続されユーザーが任意の給湯設定温度及び風呂設定温度を設定できるようにしているものであり、中温水貯湯部付近の貯湯温度センサ39からの中温水温度及び、給湯温度センサ32による給湯温度及び、風呂温度センサ35による湯張りの湯水温度が入力され、第1給湯混合弁30と第2給湯混合弁33とをそれぞれ独立して駆動制御する出力が出されるものである。
【0019】
なお、41は貯湯タンク2の過圧を逃す過圧逃し弁、42は給水の温度を検出する給水温度センサ、43は給水の圧力を減圧する減圧弁、44は給湯する湯水の量をカウントする給湯流量カウンタである。
【0020】
前記第1、第2給湯混合弁30、33は、給湯リモコン5の給湯設定温度或いは、風呂リモコン7の風呂設定温度より、中温水温度が高い場合には、図3(イ)に示すように、中温水出湯管29からの中温水と、第1バイパス管31或いは第2バイパス管34からの低温水とを混合して、給湯或いは風呂設定温度の混合水として、中央に連通する給湯栓4或いは湯張り管36から給湯するものである。
【0021】
更に第1、第2給湯混合弁30、33は、給湯リモコン5の給湯設定温度或いは、風呂リモコン7の風呂設定温度と、中温水温度が同等の場合には、図3(ロ)に示すように、中温水出湯管29からの中温水のみをそのまま中央に連通する給湯栓4或いは湯張り管36から給湯するものである。
【0022】
又第1、第2給湯混合弁30、33は、給湯リモコン5の給湯設定温度或いは、風呂リモコン7の風呂設定温度より中温水温度が低い場合には、図3(ハ)に示すように、出湯管8からの高温水と、第1バイパス管31或いは第2バイパス管34からの低温水とを混合して、給湯或いは風呂設定温度の混合水として、中央に連通する給湯栓4或いは湯張り管36から給湯するものである。
【0023】
従って、給湯と風呂の同時使用の時でも、第1給湯混合弁30と第2給湯混合弁32とはそれぞれ独立しているので、給湯設定温度に混合された給湯や、風呂設定温度に混合された湯張りが、設定温度の変動なく確実に行われるものであり、又中温水の方が設定温度より高い場合には、給湯と風呂の両方で使用されることとなり、中温水の使用量が増えてCOPの向上を図ることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の貯湯式給湯装置の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】同要部の電気回路のブロック図。
【図3】(イ)、(ロ)、(ハ)は同第1、第2給湯混合弁の作動状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0025】
2 貯湯タンク
4 給湯栓(第1給湯端)
8 出湯管
9 給水管
16 ヒートポンプ回路(加熱手段)
29 中温水出湯管
30 第1給湯混合弁
31 第1バイパス管
33 第2給湯混合弁
34 第2バイパス管
36 湯張り管(第2給湯端)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管が下端部に接続されていると共に貯湯している高温水を流出させる出湯管が上端部に接続されている貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を高温に加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの前記出湯管よりも低い位置に接続され、中温水を前記貯湯タンクから流出させるための中温水出湯管と、前記出湯管からの高温水と前記中温水出湯管からの中温水と前記給水管から分岐された第1バイパス管からの低温水との三流体を任意の第1給湯設定温度に混合して第1給湯端から給湯させる第1給湯混合弁と、前記出湯管からの高温水と前記中温水出湯管からの中温水と前記給水管から分岐された第2バイパス管からの低温水との三流体を任意の第2給湯設定温度に混合して第2給湯端から給湯させる第2給湯混合弁とを備えた事を特徴とする貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−127999(P2009−127999A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307353(P2007−307353)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】