説明

貯留構造物の漏水位置探査システム及び貯留構造物の漏水位置探査方法

【課題】
遮水工に特別な設備がなくても遮水工の漏水の有無及びその漏水位置の特定が、容易、かつ、確実に可能となる貯留構造物の漏水位置探査システム及び貯留構造物の漏水位置探査方法を提供すること。
【解決手段】
廃棄物11の保有水中にその保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度を有する物質例えば塩水18を投入することで周りの比抵抗と異なる比抵抗領域16を生成し、この比抵抗領域16を一種の電気的マーカーとして廃棄物表面の測線20から遮水工としての遮水シート10までの鉛直断面での該比抵抗領域16を検出可能な検出手段としての検出装置7を具備することとしたので、漏水位置探査システムの完備していない既存の処分場の漏水箇所等を容易に探査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を貯留する貯留構造物、特に最終処分場の貯留構造物の漏水位置探査システム及び貯留構造物の漏水位置探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を貯留する貯留構造物、例えば最終処分場等においては浸出水が漏水しないように処分場の底や斜面等に遮水工が施され、その遮水工の一般的なものとして遮水シートがあった。
【0003】
ところが、その遮水シートも長期間の使用により、自然劣化やゆがみによる応力発生、外力付加等による破損が生じることがあり、かかる破損箇所から浸出水が漏水し、重大な環境破壊となるおそれがあった。
【0004】
そこで、浸出水の漏水の発見及びその漏水箇所の特定を速やかに行える提案がされている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−109375号公報(段落[0007]から[0013]、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の提案により浸出水の漏水の発見及びその漏水箇所の特定を速やかに行えるようになったが、例えば最終処分場の施工時に予め上述したような遮水シートを処分場の底や斜面に敷設しなければならず、既存の最終処分場でそのような設備がない場合に浸出水の漏水の発見及びその漏水箇所の特定を速やかに、かつ、確実に行えないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされるもので、遮水工に特別な設備がなくても遮水工の漏水の有無及びその漏水位置の特定が、容易、かつ、確実に可能となる貯留構造物の漏水位置探査システム及び貯留構造物の漏水位置探査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の主たる観点に係る貯留構造物の漏水位置探査システムは、廃棄物を貯留する凹部と該凹部表面に設けられた遮水工とを有する貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、前記廃棄物の保有水の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質を投入して生成された前記保有水の比抵抗と異なる比抵抗領域を、電気探査法または電磁探査法で得られる、前記廃棄物表面の測線から前記遮水工までの鉛直断面での電気的情報に基づき検出可能な検出手段と、前記検出手段により検出された前記比抵抗領域に関する情報を出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
ここで、「測線」とは、例えば電気探査法であれば電極が一直線上に並んで配置されている当該直線のことであり、電磁探査法であれば例えば送信ループと受信ループとの中間の測定ポイントを結んだ直線等をいう。また、「電気的情報」とは、例えば電気探査法であれば電位情報であり、電磁探査法であれば電流情報等をいう。
【0009】
本発明は、廃棄物の保有水中にその保有水の電気伝導度と異なる電気伝導度を有する物質例えば塩水を投入することで周りの比抵抗と異なる比抵抗領域を生成し、この比抵抗領域を一種の電気的マーカーとして廃棄物表面の測線から遮水工までの鉛直断面での該比抵抗領域を検出可能な検出手段を具備することとしたので、当該被抵抗領域に関する情報により漏水検知システムの完備していない既存の処分場の漏水及びその位置を容易に知ることが可能となる。
【0010】
本発明の一の形態によれば、前記測線は、前記廃棄物表面に複数有するものであることを特徴とする。これにより、比抵抗領域を検出する鉛直断面を複数設定して検出装置により夫々の鉛直断面の当該比抵抗領域を検出でき、その情報に基づき該比抵抗領域が移動しているのか否か、更には移動しているとしてどこに移動しているのかを判断することが可能となる。この比抵抗領域の移動は、その周囲の保有水の流れでもあるので結局、貯留構造物の漏水の有無及びその漏水箇所を判断することが可能となる。
【0011】
本発明の一の形態によれば、前記複数の測線は、異なる方向の測線を有することを特徴とする。これにより、2方向から該比抵抗領域の移動に関する情報を得ることが可能となり、より該比抵抗領域が移動しているのか否か、更には移動しているとしてどこに移動しているのかの正確な判断をすることが可能となる。
【0012】
本発明の一の形態によれば、前記電気的情報は、前記物質を前記廃棄物表面上の少なくとも二つの地点から前記保有水中に投入して夫々測定したものであることを特徴とする。これにより、一の投入地点のすぐそばに遮水工の漏水箇所が在って廃棄物表面の測線から遮水工までの鉛直断面での比抵抗領域を検出できない場合でも、その他の投入地点での該物質の投入により生成された比抵抗領域を検出することが可能となり、より正確な該比抵抗領域を検出することができる。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする。これにより、保有水中に生成された比抵抗領域を周りの保有水と区別でき検出手段で検出できる。より好ましくは、周りの保有水の電気伝導度の5倍以上であり、これにより更に明確に比抵抗領域を特定できる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下の塩水であり、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする。これにより、保有水の電気伝導度の1.5倍以上となるように0.1重量%以上20重量%以下で塩水を適宜選択して用いることができ、塩水等の物質を環境中に無用に流出させることなく保有水中に生成された領域を明確に周りの保有水と区別することが可能となる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記物質の投入は、連続的に投入するものであることを特徴とする。これにより、例えば高電気伝導度の物質の投入により生成された比抵抗領域の移動を遮水工の漏水箇所まで一つの流路とすることができ、より精査に各鉛直断面で該比抵抗領域を検出することができる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、前記電気的情報に基づき前記検出手段により検出された情報を演算処理し、前記遮水工の漏水の有無及びその漏水箇所を判断する判断手段を更に具備することを特徴とする。これにより、電気的情報の収集からその分析まで一貫したシステムとすることができ、より漏水の有無及びその漏水箇所の判断が容易かつ迅速となる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、前記判断手段は、少なくとも前記保有水への前記物質の投入位置と異なる一つの前記鉛直断面で前記比抵抗領域が検出された場合に前記遮水工に漏水が有ると判断することを特徴とする。これにより、比抵抗領域が漏水箇所に移動していると判断することが可能となり、より容易かつ迅速に漏水の有無の判断ができる。
【0018】
本発明の一の形態によれば、前記判断手段は、前記遮水工に漏水が有ると判断した場合に二つの隣り合う前記鉛直断面の一の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出され、他の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出されない場合に該隣り合う鉛直断面間に前記遮水工の漏水箇所が存在すると判断することを特徴とする。これにより、比抵抗領域が一の鉛直断面と他の鉛直断面との間で漏水により消滅したものと判断でき、より容易かつ迅速に漏水箇所の判断が可能となる。
【0019】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであることを特徴とする。これにより、生成された比抵抗領域に関する情報から大まかな漏水箇所の範囲を特定し、その範囲の廃棄物を開削して染料、顔料及び蛍光材等の流れの跡から具体的に漏水箇所と特定できるので、作業を効率的にすることができると共に地形等の理由から正確な漏水箇所の特定が難しい場合にも正確に漏水箇所を特定できる。
【0020】
本発明の他の観点に係る貯留構造物の漏水位置探査方法は、廃棄物を貯留する凹部と該凹部表面に設けられた遮水工とを有する貯留構造物の漏水位置探査方法において、前記凹部に貯留された前記廃棄物の保有水中に、該保有水の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質を投入することにより、該保有水中に周囲の該保有水の比抵抗と異なる比抵抗領域を生成するステップと、前記廃棄物表面上の複数の測線から前記遮水工までの複数の鉛直断面における前記比抵抗領域を電気探査法または電磁探査法により探査するステップと、前記探査により得られた前記比抵抗領域に関する情報を出力するステップとを具備することを特徴とする。
【0021】
本発明は、凹部に貯留された廃棄物の保有水中に該保有水の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質を投入することにより該保有水中に周囲の該保有水の比抵抗と異なる比抵抗領域を生成することとしたので、漏水箇所へ向かって移動する当該比抵抗領域を電気探査法や電磁探査法等により容易に検出することができ、この比抵抗領域の移動は、その周囲の保有水の流れでもあるので結局、貯留構造物の漏水の有無及びその漏水箇所を判断することが可能となり、漏水検知システムの完備していない既存の処分場の漏水の有無及びその位置を容易に判断することができる。
【0022】
本発明の一の形態によれば、前記探査の結果に基づき、少なくとも前記保有水への前記物質の投入位置と異なる一つの前記鉛直断面で前記比抵抗領域が検出された場合に、前記遮水工に漏水が有ると判断する第1の判断のステップを更に具備することを特徴とする。これにより、比抵抗領域が漏水箇所に移動していると判断することが可能となり、より容易かつ迅速に漏水の有無の判断ができる。
【0023】
本発明の一の形態によれば、前記第1の判断により前記遮水工に漏水が有ると判断された場合に、二つの隣り合う前記鉛直断面の一の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出され、他の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出されない場合に、該隣り合う鉛直断面間に前記遮水工の漏水箇所が存在すると判断する第2の判断のステップを更に具備することを特徴とする。これにより、比抵抗領域が一の鉛直断面と他の鉛直断面との間で漏水により消滅したものと判断でき、より容易かつ迅速に漏水箇所の判断が可能となる。
【0024】
本発明の一の形態によれば、前記複数の測線は、異なる方向の測線を有することを特徴とする。これにより、2方向から該比抵抗領域の移動に関する情報を得ることが可能となり、より該比抵抗領域が移動しているのか否か、更には移動しているとしてどこに移動しているのかの正確な判断をすることが可能となる。
【0025】
本発明の一の形態によれば、前記探査は、前記物質を前記廃棄物表面上の少なくとも二つの地点から前記保有水中に投入して夫々探査するものであることを特徴とする。これにより、一の投入地点のすぐそばに遮水工の漏水箇所が在って廃棄物表面の測線から遮水工までの鉛直断面での比抵抗領域を検出できない場合でも、その他の投入地点での該物質の投入により生成された比抵抗領域を検出することが可能となり、より正確な該比抵抗領域を検出することができる。
【0026】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする。これにより、保有水中に生成された比抵抗領域を周りの保有水と区別でき検出可能となる。より好ましくは、周りの保有水の電気伝導度の5倍以上であり、これにより更に明確に比抵抗領域を特定できる。
【0027】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下の塩水であり、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする。これにより、保有水の電気伝導度の1.5倍以上となるように0.1重量%以上20重量%以下で塩水を適宜選択して用いることができ、有害な物質を環境中に流出させることなく保有水中に生成された領域を明確に周りの保有水と区別することが可能となる。
【0028】
本発明の一の形態によれば、前記物質の投入は、連続的に投入するものであることを特徴とする。これにより、例えば高電気伝導度の物質の投入により生成された比抵抗領域を遮水工の漏水箇所まで一つの流路とすることができ、より精査に各鉛直断面で該比抵抗領域を検出することができる。
【0029】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであることを特徴とする。これにより、電気探査等が不十分な場合も廃棄物を開削して染料、顔料及び蛍光材等の流れの跡から具体的に漏水箇所を特定できる。
【0030】
本発明の一の形態によれば、前記物質は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであり、前記第2の判断による前記漏水箇所を含む所定の範囲を開削して前記染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つの前記比抵抗領域の流れの跡により前記漏水箇所を特定するステップを更に具備することを特徴とする。これにより、生成された比抵抗領域に関する情報から大まかな漏水箇所の範囲を特定し、その範囲の廃棄物を開削して染料、顔料及び蛍光材等の流れの跡から具体的に漏水箇所と特定できるので、作業を効率的にすることができると共に地形等の理由から電気探査法等では正確な漏水箇所の特定が難しい場合にもより正確に漏水箇所を特定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下実施形態を説明するにあたっては、貯留構造物の漏水位置探査システムとして電気探査法を用いた廃棄物処分場の漏水位置探査システムを中心に説明するが、これに限られるものではない。また、以下の図面においては各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0032】
(第1の実施形態)
【0033】
図1は本発明の第1の実施形態に係る廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図及び図2は測線下の鉛直断面の電気探査の説明図である。
【0034】
(貯留構造物の漏水位置探査システムの構成)
【0035】
貯留構造物としての廃棄物処分場の漏水位置探査システム1は、例えば図1に示すように廃棄物処分場2、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物の保有水中に後述する物質を投入するための注入井戸3、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物表面下に配置された複数の電極4、その複数の電極4から後述する電流電極及び電位電極を夫々選択する電極選択装置5、その電流電極に所定の信号電流を供給する電源装置6、その電位電極により測定された電気的情報としての電位情報に基づき後述する比抵抗領域を検出する検出手段としての検出装置7及びその検出装置7により検出された情報を出力する出力手段としての出力装置8等から構成されている。
【0036】
また、廃棄物処分場2は例えば図1に示すように四方が傾斜壁で囲まれ略平らな底部を有する凹部9、その凹部表面に設けられた遮水工としての遮水シート10、その遮水シート10内に貯留された廃棄物11、その廃棄物11の底近く例えば凹形状の遮水シート10の底部付近に溜まっている保有水12等を有する。
【0037】
ここで、凹部9は丘陵地帯等を所定の深さ及び形状、例えば図1に示すように上方の開口部より底部の面積が小さい略台形状に造成されており、底部は略矩形に形成されている。また、凹部9は該底部の4辺から夫々外側に傾斜する4つの傾斜壁を有し、底部及び4つの傾斜壁表面には遮水シート10が配置されている。勿論、凹部9は上述の形状に限られるものではなく、例えば底部が矩形状ではなく円形や三角形状等であってもよい。
【0038】
また、遮水シート10は例えば合成ゴム系・合成樹脂系、アスファルト系及びベントナイト系等あり、合成ゴム系・合成樹脂系であれば高弾性タイプの高密度ポリエチレン等や繊維補強タイプ、低弾性タイプ及び中弾性タイプ等が用いられており、当該遮水シート10により廃棄物11からの保有水等が廃棄物処分場2から漏れ出して地下の土壌や地下水を汚染することを防止するものである。
【0039】
更に遮水シート10は凹部9の底部表面に底面13と、凹部9の4つの傾斜側壁の表面に夫々傾斜面14a,14b,14c,14dとが連続的に形成されている。
【0040】
また、廃棄物11は図1に示すように遮水シート10で覆われた凹部9内に貯留されており、廃棄物としては産業廃棄物や不燃ごみ等がある。
【0041】
更に保有水12には、例えば図1に示すように遮水シート10に漏水箇所15が存在するときは、後述する注入井戸3から保有水12中に投入された物質により該保有水12中に生成される比抵抗領域16が移動する流路17等が形成される。
【0042】
尚、保有水12の電気伝導度は、例えば自治体の処分場では500〜5000μS/cm程度であるが、産業廃棄物関係では30000μS/cmとなることもある。更に保有水12は、例えば底の遮水シート10の表面から約30cm以上の高さに溜まっていることが好ましい。これにより、比抵抗領域16の流路17をより明確に形成させることができる。必要があれば廃棄物表面から水を投入することにより必要な保有水12を確保する。尚、約30cm以上としたのは、30cmより高さが低いと十分な水圧が得られず比抵抗領域16の流路17をより明確に形成できないおそれがあるためである。
【0043】
次に、注入井戸3は例えば廃棄物11の表面から保有水12に届くぐらいの深さに設けてあり、この注入井戸3を用いて保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質、例えば保有水12の電気伝導度の1.5倍以上の電気伝導度を持つ物質を当該保有水12中に投入することができる。
【0044】
ここで、当該物質の電気伝導度を保有水12の電気伝導度の1.5倍以上とした理由は、保有水12の1.5倍より小さいと比抵抗領域16が周囲の保有水12から区別化し難くなるからである。より好ましくは5倍以上あることが好ましい。これにより、より正確に比抵抗領域の有無及びその位置を特定できる。
【0045】
また、当該物質としては具体的には、例えば塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下の塩水18あり、保有水12の電気伝導度の1.5倍以上となるものである。勿論より好ましくは、この場合も保有水12の電気伝導度の5倍以上あることが好ましい。
【0046】
ここで、塩の濃度を0.1重量%以上の塩水18とした理由は、当該物質は保有水12の電気伝導度とリンクするので、保有水12の電気伝導度が一番小さい500μS/cmであればその2倍以上の電気伝導度の差とするには約1000μS/cm以上必要となり、塩水濃度としては1000μS/cmであるためには0.1重量%必要となるためである。
【0047】
勿論、一番大きい30000μS/cmであればその2倍以上の電気伝導度の差とするには、投入する当該物質の電気伝導度は約60000μS/cm以上となり、塩水濃度としては6重量%以上必要となる。
【0048】
また、塩の濃度を20重量%以下の塩水18とした理由は、上述したように電気伝導度が約60000μS/cm以上必要となる場合もあることと、自然界への負担をより少なくしてより比抵抗領域を正確に特定するために種々の状況を考慮し、最大20重量%までとしたものである。なお、より好ましくは塩の濃度が0.1重量%以上であって10重量%以下の塩水18が好ましい。10重量%あれば上述の約60000μS/cm以上必要となる場合にも対応でき、かつ、より低コストで自然界への負担も軽減できるからである。
【0049】
尚、物質は上述に限られるものではなく、例えば保有水12の電気伝導度が高い場合は逆に電気伝導度の低いものを用いるとよい。これにより、より多種多様な廃棄物及び保有水に対応できる。
【0050】
また、複数の電極4は例えば比抵抗領域を検出する廃棄物の鉛直断面19と該廃棄物表面との交線である測線20上に等間隔に配置されており、例えば金属(ステンレス等)製の棒を用い、その打ち込み深さは例えば30cmから40cmである。
【0051】
また、電極4は夫々電極選択装置5に電線等により電気的に接続されており、ダイポール・ダイポール(Dipole-Dipole)法による場合は、当該電極4の内の隣合う2本の電極4を保有水12を含む廃棄物11に所定の電流を流す電流電極21a,21bと、他の隣合う2本の電極4をその電流電極21a,21bによる電位分布を測定する電位電極22a,22bとして該電極選択装置5により選択される。
【0052】
更に電極選択装置5により選択された電流電極21a,21bは夫々電源装置6に電気的に接続され、電位電極22a,22bは夫々検出装置7に電気的に接続される。これにより、電流電極21a,21bには該電源装置6から所定の信号電流が供給され、電位電極22a,22bからは検出装置7に所定の電位情報が供給される。
【0053】
次に、電極選択装置5は電線等により電気的接続された複数の電極4から電流電極21a,21b及び電位電極22a,22bを選択するもので、例えば予め入力された情報に基づき図2に示すようにX軸方向で一番左端にあるA1,A2の電極を2本の電流電極21a,21bとして選択し、A3,A4の電極4を2本の電位電極22a,22bとして選択する。これにより、電極A1,A2から所定の電流が廃棄物11中に流され、それにより生成された電場による電位電極間の電位情報が電位電極22a,22bから電極選択装置5を介して検出装置7に供給される。
【0054】
以下同様に、電極選択装置5はA1,A2の電極を2本の電流電極21a,21bとして選択し、2本の電位電極22a,22bとして電極を一本ずつ右側にずらして例えば電極A4,A5からA14,A15まで選択し、夫々の電位電極間の電位情報を検出装置7に供給する。
【0055】
更に電極選択装置5は、例えば図2の電極A14,A15まで終了したときは電流電極21a,21bとしてA2,A3を選択し、電位電極22a,22bとしてA4,A5からA15,A16間での電極4を選択し、夫々の電極間の電位情報を検出装置7に供給する。
【0056】
以上の選択を電極選択装置5は、電流電極21a,21bとしてA25,A26の電極を選択し、電位電極22a,22bとしてA27,A28(図2中一番右端の電極)の電極を選択するまで続けることとなる。
【0057】
次に、電源装置6は例えば図1に示すように電極選択装置5を介して電流電極21a,21bが電気的に接続されており、該電流電極21a,21bに所定の定電流例えば100mAを供給する。
【0058】
また、検出装置7は電線等により電極選択装置5を介して電位電極22a,22bに電気的に接続されており、所定の電流電極及び電位電極の配置における当該電位電極22a,22b間の電位情報が供給される。
【0059】
これにより、検出装置7は電極選択装置5により例えば図2に示すように電流電極21a,21bとして電極A1,A2が選択され、電位電極22a,22bとして電極A3,A4が選択されたときの図2中のP1での見掛比抵抗(ρ)をρ=πan(n+1)(n+2)V/Iの式により導き出す。ここで、ρは見掛比抵抗(Ω・m)、aは電極間隔(m)、nは離隔係数、Vは測定電位(mV)及びIは電流値(mA)である。
【0060】
同様に、図2中のP2からP12を含め測線20下の鉛直断面19中の所定の箇所の見掛比抵抗が導かれる。これにより、保有水12の比抵抗と予め設定されていた異なる比抵抗の比抵抗領域を探索し検出する。
【0061】
更に出力装置8は、検出装置7により検出された比抵抗領域に関する情報として例えば比抵抗領域の有無及や該比抵抗領域が存在する場合にその鉛直断面中の位置に関する情報等を画像ディスプレーやプリンター等により出力する。
【0062】
(貯留構造物の漏水位置探査方法)
【0063】
次に、以上のように構成された廃棄物処分場の漏水位置探査システム1を用いた貯留構造物の漏水位置探査方法について説明する。
【0064】
図3は貯留構造物の漏水位置探査方法のフローチャート、図4は塩水の投入状態の説明図、図5は比抵抗領域が流れる状態の説明図、図6は電気探査を行う複数の鉛直断面の説明図、図7はB1鉛直断面における比抵抗領域の説明図、図8はB7鉛直断面における比抵抗領域の説明図、図9は初めて比抵抗領域が出現しないB8鉛直断面の説明図、図10は鉛直断面が異なる方向(YZ平面)場合の廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図、図11は異なる方向の鉛直断面における比抵抗領域の説明図、図12はC1鉛直断面における比抵抗領域の説明図、図13はC2における比抵抗領域の説明図、図14はC3鉛直断面における比抵抗領域の説明図、図15は比抵抗領域の流れを示す廃棄物処分場の概略平面図、図16は図15と漏水箇所が異なる場合の説明図、図17は図15及び図16と漏水箇所が異なる場合の説明図、図18は漏水箇所が注入井戸の近くにある場合の説明図及び図19は注入井戸の設置場所を変えた場合の説明図である。
【0065】
まず、図1に示すように廃棄物処分場2に貯留されている廃棄物表面の所定の位置から鉛直下に掘られた注入井戸3を設置する。例えば廃棄物表面から鉛直下に掘られ、遮水シート10の略矩形の底面13でその四隅の内の一つの内側付近の保有水12に届くように廃棄物表面のB地点に注入井戸3を設置する。
【0066】
次に、図1及び図6に示すように注入井戸3のB地点から遠い方の遮水シート10の傾斜面14aに向く方向に直交する鉛直断面(図1中のXZ平面)19を注入井戸3に近い側から例えばB1からB9の等間隔に想定する。そして、B1の鉛直断面上の測線上に所定の等間隔で複数の電極4を廃棄物表面から30cmから40cmの深さに挿し込んで設置し、当該電極4を電極選択装置5に電線等で電気的に接続する。
【0067】
その後、保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質、例えば保有水12の電気伝導度の1.5倍以上、具体的には塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下の塩水であり、保有水12の電気伝導度の1.5倍以上となる塩水18を製造し、図4及び図5に示すようにB地点の注入井戸3に連続的に投入する(ST101)。例えば保有水12の電気伝導度が2500μS/cmであれば塩の濃度は0.5重量%となる。
【0068】
これにより、図4に示すように注入井戸3の下端から保有水12中に周りの保有水12より電気伝導度の大きい塩水18が入り込み、比抵抗領域16が保有水中に生成される。このとき例えば遮水シート10が漏水箇所15で漏水しているとすると廃棄物処分場2の遮水シート10の底面上に溜まった保有水12は、図4に示す矢印Eのように漏水箇所15に向かって流れることとなる。
【0069】
また、保有水中に入り込んだ塩水18による比抵抗領域16は周りの保有水12の流れに導かれ、例えば図5に示すように漏水箇所15に向かう流路17を形成することとなる。
【0070】
次に、電極選択装置5に例えば電流電極21a,21bとして図2に示すようにA1,A2を、電位電極22a,22bとしてA3,A4を選択させて、電源装置6から所定の定電流例えば100mAを電極A1,A2に供給させる。このときの電位電極22a,22bにより得られる電位情報が電極選択装置5を介して検出装置7に供給され(ST102)、検出装置7は例えば図2のP1の位置情報とその位置における見掛比抵抗(ρ)等から比抵抗を算出し、図示しない内部記録装置にそのデータを記録する(ST103)。
【0071】
以下、電極選択装置5により電流電極21a,21b及び電位電極22a,22bを選択させ図2に示すB1の鉛直断面の他のP2等の電位情報を検出装置7に供給し、該検出装置7は位置情報とその位置における見掛比抵抗(ρ)等から比抵抗を算出し、そのデータを記録する。
【0072】
更にB1の鉛直断面の全ての比抵抗のデータを出力装置8により画像データ等にして出力させ、その中に注入井戸3から注入された塩水18による比抵抗領域16に該当するものがあるか判断する(ST104)。例えば図7に示すように保有水12の中でP21が周りの比抵抗より異常に小さい場合、例えば投入した塩水18の比抵抗程度であれば当該P21の領域を注入井戸3から投入された塩水18による比抵抗領域16と判断し、当該鉛直断面に比抵抗領域16があると判断し、保有水中にそのような塩水18の比抵抗程度の領域がなければ当該鉛直断面に比抵抗領域16がないと判断する。
【0073】
ここで、比抵抗領域16があると判断されたときは例えば注入井戸3の下端に生成された比抵抗領域16が図6のB1の鉛直断面19にも存在することとなり、当該比抵抗領域16が移動したこと、すなわち当該保有水12に流れがあることとなる。また、保有水12の流れは遮水シート10のどこかに漏水箇所15があってそこに向かって流れることを意味することになり、結局、遮光シートには漏水箇所があることとなる(ST105)。
【0074】
更にST105で漏水有りと判断されたときは、B1と同様にB2等のBnの鉛直断面19で電位を測定し(ST106)、その鉛直断面19の比抵抗を算出し記録する(ST107)。そして、Bnの鉛直断面19で比抵抗領域16があると判断されたときは、図3に示すようにST105の後に戻り次の鉛直断面19の電位を測定し、その鉛直断面19の比抵抗を算出し記録する。これを鉛直断面19で最初に当該比抵抗領域16が当該鉛直断面から存在しなくなるまで遮水シート10の傾斜面14aに向かって次々に各鉛直断面の測線上に電極4を配置し直し夫々の測線下の鉛直断面19の電位を測定し、比抵抗を算出し、記録する。
【0075】
一方、Bnの鉛直断面19で初めて比抵抗領域16が存在しないと判断されたとき(ST108)は、例えば図6に示すB7の鉛直断面19では図8に示すようにP26での比抵抗が周りの保有水12の比抵抗(図中のP27,P28等)より塩水18と同程度に小さく、比抵抗領域16が存在したが、B8の鉛直断面では図9に示すように比抵抗領域16を検出できなかったこととなる。
【0076】
このことは、塩水18の注入井戸3への投入による比抵抗領域16がB8の鉛直断面19を通過できずその手前で止まってしまったことになり、その原因としてはB7の鉛直断面19とB8の鉛直断面19との間で比抵抗領域16が漏水箇所15により外部に漏れ、それより先に該比抵抗領域16が流れなくなったものと考えることができる。
【0077】
以上から、B7の鉛直断面19とB8の鉛直断面19との間の領域に遮水シート10の漏水箇所15が存在することが予想されることとなり、漏水箇所15の特定がある程度可能となる。
【0078】
次に、図10及び図11に示すようにST102からST108までの鉛直断面19に対し略直交し、注入井戸3に近い側から例えばC1からC4の等間隔に鉛直断面(図中のYZ平面)23を想定する。そして、C1の鉛直断面上の測線上に所定の等間隔で複数の電極4を廃棄物表面から例えば30cmから40cmの深さで挿し込んで設置し、当該電極4を電極選択装置5に電線等で電気的に接続する。
【0079】
その後、保有水12に注入井戸3から塩水18を連続的に投入し、電極選択装置5に例えば複数の電極から所定の電流電極21a,21b及び電位電極22a,22bを選択させて電源装置6から例えば100mAの定電流を電流電極21a,21bに供給する。このとき電位電極22a,22bにより得られる電位情報が電極選択装置5を介して検出装置7に供給され(ST109)、検出装置7は該鉛直断面23の所定の位置の位置情報とその位置における見掛比抵抗(ρ)等から比抵抗を算出し、内部記録装置にそのデータを記録する(ST110)。
【0080】
以下、電極選択装置5により電流電極21a,21b及び電位電極22a,22bを選択させ図11に示すC1の鉛直断面23の他の位置の電位情報を検出装置7に供給し、該検出装置7は位置情報とその位置における見掛比抵抗(ρ)等から比抵抗を算出し、そのデータを記録する。
【0081】
更にC1の鉛直断面の全ての比抵抗のデータを出力装置8により画像データ等にして出力させ、その中に注入井戸3から注入された塩水18による比抵抗領域16に該当するものがあるか判断する(ST111)。例えば図12に示すように保有水12の中でP31がその周りの比抵抗(P32,P33等)より異常に小さい場合、例えば投入した塩水18の比抵抗程度であれば当該P31の領域をB地点の注入井戸3から投入された塩水18による比抵抗領域16と判断し、当該鉛直断面23に比抵抗領域があると判断し、保有水中にそのような塩水18の比抵抗程度の領域がなければ当該鉛直断面23に比抵抗領域16がないと判断する。
【0082】
また、ST111で比抵抗領域有りと判断されたときは、C1と同様にC2等のCnの鉛直断面23で電位を測定し(ST112)、その鉛直断面23の比抵抗を算出し記録する(ST113)。そして、Cnの鉛直断面23で比抵抗領域16があると判断されたときは、図3に示すようにST111の後に戻り次の鉛直断面23の電位を測定し、その鉛直断面23の比抵抗を算出し記録する。これを鉛直断面23で最初に当該比抵抗領域16が当該鉛直断面から存在しなくなるまで遮水シート10の傾斜面14dに向かって次々に各鉛直断面の測線上に電極4を配置し直し、夫々の測線下の鉛直断面23の電位を測定し、比抵抗を算出し、記録する。
【0083】
一方、Cnの鉛直断面23で初めて比抵抗領域16が存在しないと判断されたときは、例えば図11に示すC2の鉛直断面では図13に示すようにP36で周りに比較し比抵抗が極めて低く比抵抗領域16が存在したが、C3の鉛直断面では図14に示すように周りに比べ極めて低い比抵抗の領域である比抵抗領域16を検出できなかったときは、C2の鉛直断面とC3の鉛直断面との間の領域に遮水シート10の漏水箇所15が存在することが予想されることとなり、ST108での結果と合わせて漏水箇所15の特定が可能となる。
【0084】
具体的には図15に示すようにST108ではB7の鉛直断面19とB8の鉛直断面19との間の範囲内に漏水箇所15が特定され、更にST114ではC2の鉛直断面とC3の鉛直断面との間の範囲内に漏水箇所(図15中の斜線部分)が絞り込まれることとなる。
【0085】
次に、上述のように例えば電気探査法により漏水箇所15が所定の領域に特定された後、その領域の廃棄物11を開削して遮水シート10を露出させ漏水箇所15を具体的に目視により特定する。
【0086】
尚、ST108で初めてB8の鉛直断面19に比抵抗領域16がないと判断され、更にST111でC1の鉛直断面23に比抵抗領域16がないと判断されたときは図16に示す斜線部分が漏水箇所24の存在する領域となる。すなわち、C1の鉛直断面23に比抵抗領域16が存在しない以上該鉛直断面より図中上方の傾斜面14c側の遮水シート上に漏水箇所24があることとなり、結局図16の斜線部分に示すようにB7の鉛直断面19とB8の鉛直断面19との間の領域であり、かつ、C1の鉛直断面23から傾斜面14cまでの保有水中の遮水シート上に漏水箇所24の位置が絞り込まれ特定されることとなる(ST115)。
【0087】
また、ST104でB1の鉛直断面19に比抵抗領域16が存在しないと判断されたときは、遮水シート上には漏水箇所が無いのか、それともB1の鉛直断面19より傾斜面14b側の領域にあるかのいずれかであり、図中のYZ平面の鉛直断面23により比抵抗領域の有無を判断する必要がある。
【0088】
そこで、まずST109に進み図11及び図15に示すC1の鉛直断面23での全ての電位を測定し(ST109)、そのデータを検出装置7に供給しC1の鉛直断面23での比抵抗の算出と記録をして(ST110)、該C1の鉛直断面23に比抵抗領域16が存在するか判断する(ST111)。
【0089】
そして、ST111の判断で比抵抗領域16が存在すると判断されたときはST116に進み、遮水シート10に漏水個所が存在することとなる。
【0090】
例えば注入井戸3の下端に生成された比抵抗領域16がC1の鉛直断面23にも存在することとなり、当該比抵抗領域16が移動したこと、すなわち当該保有水12に流れがあることとなる。また、保有水12の流れは遮水シート10のどこかに漏水箇所25があってそこに向かって流れることを意味することになり、結局、遮水シートには漏水箇所があることとなる(ST116)。
【0091】
次に、図3のST112に進みC1と同様にC2等のCnの鉛直断面23で電位を測定し(ST112)、その鉛直断面23の比抵抗を算出し記録する(ST113)。そして、Cnの鉛直断面23で比抵抗領域16があると判断されたときは、図3に示すようにST111の後に戻り次の鉛直断面23の電位を測定し、その鉛直断面23の比抵抗を算出し記録する。これを鉛直断面23で最初に当該比抵抗領域16が当該鉛直断面から存在しなくなるまで遮水シート10の傾斜面14dに向かって次々に各鉛直断面の測線上に電極4を配置し直し、夫々の測線下の鉛直断面23の電位を測定し、比抵抗を算出し、記録する。
【0092】
一方、C3の鉛直断面23で初めて比抵抗領域16が存在しないと判断されたときは、C2の鉛直断面とC3の鉛直断面との間の領域に遮水シート10の漏水箇所25が存在することが予想されることとなり、ST104での結果と合わせて漏水箇所25の特定が可能となる。
【0093】
例えば図17の斜線部分に示すようにC2の鉛直断面23とC3の鉛直断面23との間の領域であり、かつB1の鉛直断面19から傾斜面14bまでの保有水中の遮水シート上に漏水箇所24の位置が絞り込まれ特定されることとなる(ST115)。
【0094】
次に、ST104でB1の鉛直断面19に比抵抗領域16が存在しないと判断され、ST111でもC1の鉛直断面23に比抵抗領域16が存在しないと判断されたときは、例えば図18に示すようにB1の鉛直断面19から傾斜面14bまでの保有水中の遮水シート領域であり、かつ、C1の鉛直断面23から傾斜面14cまでの保有水中の遮水シート領域である斜線部分に漏水箇所26が有るのか、または漏水個所が遮水シート10には全くないのかのいずれかとなる。
【0095】
そこで、更に塩水18を廃棄物11の保有水12中に投入する注入井戸3の設置場所を例えば図19に示すようにB1の鉛直断面から傾斜面14bまでの保有水中の遮水シート領域内で、少なくともC1の鉛直断面23から傾斜面14dの側でB地点と離れたF地点に移動させて廃棄物表面から鉛直下に掘り、遮水シート上の保有水12に届くように廃棄物表面の該F地点に注入井戸3を設置する。
【0096】
次に、図19に示すように注入井戸3のF地点から傾斜面14cに向く方向に直交する鉛直断面(図1中のXZ平面)27を注入井戸3に近い側から例えばD1からD2等の等間隔に想定する。
【0097】
そして、D1の鉛直断面上の測線上に所定の等間隔で複数の電極4を設置し、当該電極4を電極選択装置5に電線等で電気的に接続する。
【0098】
その後、保有水12に注入井戸3から塩水18を連続的に投入し(ST117)、電極選択装置5に例えば複数の電極から所定の電流電極21a,21b及び電位電極22a,22bを選択させて電源装置6から例えば100mAの定電流を電流電極21a,21bに供給する。このとき電位電極22a,22bにより得られる電位情報が電極選択装置5を介して検出装置7に供給され(ST118)、検出装置7は該鉛直断面27の所定の位置の位置情報とその位置における見掛比抵抗(ρ)等から比抵抗を算出し、内部記録装置にそのデータを記録する(ST119)。
【0099】
以下、電極選択装置5により電流電極21a,21b及び電位電極22a,22bを選択させD1の鉛直断面27の他の位置の電位情報を検出装置7に供給し、該検出装置7は位置情報とその位置における見掛比抵抗(ρ)等から比抵抗を算出し、そのデータを記録する。
【0100】
更にD1の鉛直断面の全ての比抵抗のデータを出力装置8により画像データ等にして出力させ、その中に注入井戸3から注入された塩水18による比抵抗領域16に該当するものがあるか判断する(ST120)。
【0101】
ST120で比抵抗領域有りと判断されたときは、少なくともD1の鉛直断面27までは比抵抗領域16の流れ(流路)が存在することとなり、その流れは遮水シート10に漏水個所が存在するために保有水12が外部に漏れ出し、その保有水12に流れが生じたことによると考えられ、少なくともB1の鉛直断面から傾斜面14bまでの保有水中の遮水シート10領域に漏水箇所26が存在することとなる(ST121)。
【0102】
そこで、D1と同様にD2等のDnの鉛直断面27で電位を測定し(ST122)、その鉛直断面27の比抵抗を算出し記録する(ST123)。そして、Dnの鉛直断面27で比抵抗領域16があると判断されたとき(ST124)は、図3に示すようにST121の後に戻り次の鉛直断面27の電位を測定し、その鉛直断面27の比抵抗を算出し記録する。これを鉛直断面27で最初に当該比抵抗領域16が当該鉛直断面から存在しなくなるまで遮水シート10の傾斜面14cに向かって次々に各鉛直断面の測線上に電極4を配置し直し、夫々の測線下の鉛直断面23の電位を測定し、比抵抗を算出し、記録する。
【0103】
一方、Dnの鉛直断面27で初めて比抵抗領域16が存在しないと判断されたとき(ST124)は、例えば図19に示すD2の鉛直断面では比抵抗領域16が存在したが、D3の鉛直断面では比抵抗領域16を検出できなかったときは、D2の鉛直断面とD3の鉛直断面との間の領域に遮水シート10の漏水箇所26が存在することが予想されることとなり、ST104での結果と合わせて漏水箇所26の特定が可能となる(ST115)。
【0104】
具体的には図19に示すようにST104では少なくともB1の鉛直断面19から傾斜面14aまでの保有水中の遮水シート領域には漏水個所は存在せず、更にST121では遮水シート10の何処かには漏水個所が存在することが確かめられ、ST124によりD2の鉛直断面とD3の鉛直断面との間の範囲内に漏水箇所(図19中の斜線部分)が絞り込まれることとなる。
【0105】
ここで、便宜上図19ではD1,D2の符号を用い鉛直断面27の位置を示したが当該D1,D2の鉛直断面の位置は図18のC2,C1の鉛直断面23の位置と同じ位置に設けるものとする。
【0106】
次に、ST104でB1の鉛直断面19に比抵抗領域16が存在しないと判断され、ST111でもC1の鉛直断面23に比抵抗領域16が存在しないと判断され、更にST120でもD1の鉛直断面27に比抵抗領域16が存在しないと判断されたときは、最初の注入井戸3を設置したB地点では漏水個所を検出できないとされた図18に示すB1の鉛直断面19から傾斜面14bまでの保有水中の遮水シート領域であり、かつ、C1の鉛直断面23から傾斜面14cまでの保有水中の遮水シート領域である斜線部分にも漏水個所が存在しなかったこととなる。結局、少なくとも保有水中の遮水シート10には漏水は無いこととなる(ST125)。
【0107】
以上で廃棄物処分場の漏水位置探査システム1を用いた貯留構造物の漏水位置探査方法の説明を終了する。
【0108】
尚、上述の説明では説明の都合上、図2や図12等において廃棄物処分場2の凹部9の傾斜面14a,14b,14c,14dを測定ポイントP12等から離れるように記載したがこれに限定されるものではなく、実際には例えば当該傾斜面は図に示す傾斜面側の測定ポイントを結ぶ直線の傾斜より緩やかで全ての鉛直断面中での測定が可能である。
【0109】
このように本実施形態によれば、廃棄物11の保有水中にその保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度を有する物質例えば塩水18を投入することで周りの比抵抗と異なる比抵抗領域16を生成し、この比抵抗領域16を一種の電気的マーカーとして廃棄物表面の測線20から遮水工としての遮水シート10までの鉛直断面での該比抵抗領域16を検出可能な検出手段として検出装置7を具備することとしたので、漏水位置探査システムの完備していない既存の処分場の漏水箇所等を容易に探査することができる。
【0110】
また、測線20は、廃棄物表面に複数に有するものであるとしたので、比抵抗領域16を検出する鉛直断面を複数設定して検出装置7により夫々の鉛直断面の当該比抵抗領域16を検出でき、その情報に基づき該比抵抗領域16が移動しているのか否か、更には移動しているとしてどこに移動しているのかを判断することが可能となる。この比抵抗領域16の移動は、その周囲の保有水12の流れでもあるので結局、貯留構造物の漏水の有無及びその漏水箇所を判断することが可能となる。
【0111】
更に複数の測線20は、異なる方向の測線20を有することとしたので、例えば2方向から該比抵抗領域16の移動に関する情報を得ることが可能となり、より該比抵抗領域16が移動しているのか否か、更には移動しているとしてどこに移動しているのかの正確な判断をすることが可能となる。
【0112】
また、電位電極22a,22bから得られる電位情報は、塩水等の物質を廃棄物表面上の少なくとも二つの地点から保有水中に投入して夫々測定できることとしたので、一の投入地点(例えば図19中のB地点)のすぐそばに遮水シート10の漏水箇所が在って廃棄物表面の測線20から遮水シート10までの鉛直断面での比抵抗領域16を検出できない場合でも、その他の投入地点(例えば図19中のF地点)での該物質の投入により生成された比抵抗領域16を検出することが可能となり、より正確な該比抵抗領域16の有無及びその位置を検出することができる。
【0113】
更に検出装置7の検出結果に基づき、遮水シート上の保有水12への塩水等の投入位置と異なる少なくとも一つの鉛直断面で比抵抗領域16が検出された場合に遮水シート10に漏水が有ると判断する第1の判断のステップを具備することとしたので、例えば電気探査法により容易かつ迅速に漏水の有無の判断ができる。
【0114】
また、遮水シート10に漏水が有ると判断された場合に、二つの隣り合う鉛直断面の一の鉛直断面には比抵抗領域16が検出され、他の鉛直断面には比抵抗領域16が検出されない場合に、該隣り合う鉛直断面間に遮水シート10の漏水箇所が存在すると判断する第2の判断のステップを具備することとしたので、例えば電気探査法により容易かつ迅速に漏水箇所の判断が可能となる。
【0115】
(変形例1)
【0116】
次に、本発明に係る貯留構造物の漏水位置探査システムの第1の実施形態の変形例1について説明する。本変形例1においては検査装置と出力装置との間に判断装置が設けられている点が第1の実施形態と異なるのでその点を中心に説明する。尚、第1の実施形態の構成要素と共通する構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同一の符号を付しその説明を省略する。
【0117】
図20は変形例1の廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図である。
【0118】
(貯留構造物の漏水位置探査システムの構成)
【0119】
貯留構造物としての廃棄物処分場の漏水位置探査システム101は、例えば図20に示すように廃棄物処分場2、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物の保有水中に塩水等の物質を投入するための注入井戸3、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物表面下に配置された複数の電極4、その複数の電極4から後述する電流電極及び電位電極を夫々選択する電極選択装置5、その電流電極に所定の信号電流を供給する電源装置6、その電位電極により測定された電位情報に基づき後述する比抵抗領域を検出する検出装置7、その検出装置7により検出された情報を演算処理し、廃棄物処分場2に漏水があるか否かまた、漏水があるとすればその漏水個所等の判断をする判断手段としての判断装置131及びその判断装置131により判断された判断情報等を出力する出力装置108等から構成されている。
【0120】
ここで、判断装置131は図示しない例えば演算と制御とをするCPU(Central Processing Unit)、必要に応じて一時的に各種データ及びソフト等を記録し、判断装置131の制御をより円滑に行なうRAM(Random Access Memry)、ROM(Read OnlyMemory)、検出装置7からのデータや漏水箇所等を記録するデータ格納部及び各種のソフトウエアが格納されたソフトウエア格納部等を有する。
【0121】
ソフトウエア格納部は、例えば検出装置7から受け渡された鉛直断面の比抵抗領域に関する情報に基づき、鉛直断面に比抵抗領域が存在するか判断することができる比抵抗領域判断機構、遮水シート10に漏水が存在するか判断することができる漏水判断機構、該漏水判断機構により漏水が存在すると判断された場合に検出装置7から受け渡された隣合う鉛直断面の比抵抗領域が一方にのみ存在するとの情報により当該隣合う鉛直断面間に漏水箇所が存在すると判断することができる漏水箇所判断機構等を有する。
【0122】
また、出力装置108は検出装置7により検出された比抵抗領域に関する情報、該比抵抗領域が存在する場合にその鉛直断面中の位置に関する情報及び判断装置131により判断された遮水シート等の漏水の有無、その漏水箇所に関する情報等を例えば画像ディスプレーやプリンター等により出力することができる。
【0123】
(貯留構造物の漏水位置探査方法)
【0124】
次に、以上のように構成された廃棄物処分場の漏水位置探査システム101を用いた貯留構造物の漏水位置探査方法については第1の実施形態と略同様であるが、例えば図3のST104,ST108等での比抵抗領域があるか否かの判断、ST105、ST116等での漏水が存在するとの判断、更にはST115の漏水箇所の特定、ST125の遮水シートに漏水は存在しないとの判断等を観測者や観測者の手助けによらず判断装置131により判断する点が異なる。その点について簡単に説明する。
【0125】
例えば判断装置内のCPUは、検出装置7から判断装置131に送られた比抵抗領域に関するデータにより比抵抗領域判断機構に当該鉛直断面に比抵抗領域があるか判断させる(ST104)。比抵抗領域が存在すると判断されたときは、その情報を漏水判断機構に送り当該漏水判断機構に遮水シート10に漏水が存在するとの判断をさせる。
【0126】
更に判断装置内のCPUは、図3のST114で比抵抗領域判断機構が比抵抗領域が存在しないと判断したときは、その情報を漏水箇所判断機構に送り当該漏水箇所判断機構に遮水シート10の漏水箇所を判断させ特定させる。
【0127】
このように本変形例によれば、電位電極22a,22bから供給された電位情報に基づき検出手段としての検出装置7により検出された情報を演算処理し、遮水工としての遮水シート10の漏水の有無及びその漏水箇所を判断する判断装置131を具備することとしたので、電位情報の収集からその分析まで一貫したシステムとすることができ、より漏水の有無及びその漏水箇所の判断が容易かつ迅速となる。
【0128】
また、判断装置131は少なくとも保有水12への塩水等の投入位置と異なる一つの鉛直断面で比抵抗領域16が検出された場合に遮水シート10に漏水が有ると判断することとしたので、より容易かつ迅速に漏水の有無の判断ができる。
【0129】
更に判断装置131は、遮水シート10に漏水が有ると判断した場合に二つの隣り合う鉛直断面の一の鉛直断面には比抵抗領域16が検出され、他の鉛直断面には比抵抗領域16が検出されない場合に比抵抗領域が一の鉛直断面と他の鉛直断面との間で漏水により消滅したものと判断し、該隣り合う鉛直断面間に遮水シート10の漏水箇所が存在すると判断することとしたので、より容易かつ迅速に漏水箇所の判断が可能となる。
【0130】
(第2の実施形態)
【0131】
次に、本発明に係る貯留構造物の漏水位置探査システムの第2の実施形態について説明する。本実施形態においては比抵抗領域を生成する物質に例えば染料を混合している点が異なるのでその点を中心に説明する。尚、第1の実施形態の構成要素と共通する構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同一の符号を付しその説明を省略する。
【0132】
(貯留構造物の漏水位置探査システムの構成)
【0133】
貯留構造物としての廃棄物処分場の漏水位置探査システム201は、例えば図1に示すように廃棄物処分場2、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物の保有水中に後述する塩水等の物質を投入するための注入井戸203、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物表面下に配置された複数の電極4、その複数の電極4から後述する電流電極及び電位電極を夫々選択する電極選択装置5、その電流電極に所定の信号電流を供給する電源装置6、その電位電極により測定された電位情報に基づき比抵抗領域を検出する検出装置7及びその検出装置7により検出された情報を出力する出力装置8等から構成されている。
【0134】
ここで、注入井戸203は例えば廃棄物11の表面から保有水12に届くぐらいの深さに設けてあり、この注入井戸203を用いて保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質、例えば保有水12の電気伝導度の1.5倍以上高い電気伝導度を持つ物質を当該保有水12中に投入することができる。当該物質としては、具体的には塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下で、保有水12の電気伝導度の1.5倍以上となる塩水218であり、当該塩水に染料、顔料及び蛍光材等のうち少なくとも一つを混合したものである。例えば保有水12の電気伝導度が2500μS/cmであれば塩の濃度は0.5重量%となる。尚、より好ましくは5倍以上あることが好ましい。これにより、より正確に比抵抗領域の有無及びその位置を特定できる。
【0135】
これにより、電気探査法である程度の漏水箇所15が存在すると思われる領域を特定し、その特定された領域を開削して塩水218に混合された染料等によるトレース跡を追跡し、遮水シート10の漏水箇所15を具体的に特定できる。
【0136】
尚、物質は上述の塩水に限られるものではなく、例えば保有水12の電気伝導度が高い場合は逆に電気伝導度の低いものを用いるとよい。これにより、より多種多様な廃棄物及び保有水に対応できる。
【0137】
(貯留構造物の漏水位置探査方法)
【0138】
次に、以上のように構成された廃棄物処分場の漏水位置探査システム201を用いた貯留構造物の漏水位置探査方法について説明する。本実施形態においては比抵抗領域を生成する物質に例えば染料を混合して、電気探査を行なう鉛直断面を第1の実施形態の半分程度にしている点が異なるのでその点を中心に説明する。
【0139】
図21は本発明の第2の実施形態に係る鉛直断面における比抵抗領域の説明図、図22は本実施形態の異なる方向の鉛直断面における比抵抗領域の説明図及び図23は本実施形態の比抵抗領域の流れを示す廃棄物処分場の概略平面図である。
【0140】
まず、図1に示すように廃棄物処分場2に貯留されている廃棄物表面の所定の位置から鉛直下に掘られた注入井戸203を設置する。例えば廃棄物表面から鉛直下に掘られ、遮水シート10の略矩形の底面13でその四隅の内の一つの内側付近の保有水12に届くように廃棄物表面のB地点に注入井戸203を設置する。
【0141】
次に、図1、図3及び図21に示すように注入井戸203のB地点から遠い方の遮水シート10の傾斜面14aに向く方向に直交する鉛直断面(図1中のXZ平面)19を注入井戸203に近い側から例えばB1からB5の等間隔、図中のL2の間隔であり第1の実施形態の鉛直断面19の間隔であるL1(図6中のL1)の略2倍に想定する。そして、B1の鉛直断面上の測線上に所定の等間隔で複数の電極4を廃棄物表面から30cmから40cmの深さで挿し込んで設置し、当該電極4を電極選択装置5に電線等で電気的に接続する。
【0142】
その後、保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質、例えば保有水12の電気伝導度の1.5倍以上、具体的には塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下で、保有水12の電気伝導度の1.5倍以上となる染料等が混合された塩水218を製造し、B地点の注入井戸203に連続的に投入する(ST101)。
【0143】
これにより、注入井戸203の下端から保有水12中に周りの保有水12より電気伝導度の大きい塩水218が入り込み、比抵抗領域16が保有水中に生成される。このとき例えば遮水シート10が漏水箇所15で漏水しているとすると廃棄物処分場2の遮水シート10の底面上に溜まった保有水12は、漏水箇所15に向かって流れることとなる。
【0144】
以下、図3に示すB1の鉛直断面19の電位の測定であるST102からBnの鉛直断面19で比抵抗領域16があると判断されたときであるST108までは、注入井戸3が注入井戸203に、塩水18は染料等が混合された塩水218となっている以外は第1の実施形態と略同様なのでその説明を省略する。
【0145】
一方、Bnの鉛直断面19で初めて比抵抗領域16が存在しないと判断されたとき(ST108)は、例えば図21に示すB4の鉛直断面19では比抵抗が周りの保有水12の比抵抗より塩水218と同程度に小さく、比抵抗領域16が存在したが、B5の鉛直断面では比抵抗領域16を検出できなかったこととなる。
【0146】
このことは、塩水218の注入井戸203への投入による比抵抗領域16がB5の鉛直断面19を通過できずその手前で止まってしまったことになり、その原因としてはB4の鉛直断面19とB5の鉛直断面19との間で比抵抗領域16が漏水箇所15により外部に漏れ、それより先に該比抵抗領域16が流れなくなったものと考えることができる。
【0147】
以上から、B4の鉛直断面19とB5の鉛直断面19との間の領域に遮水シート10の漏水箇所15が存在することが予想されることとなり、漏水箇所15の特定がある程度可能となる。
【0148】
次に、図22に示すようにST102からST108までの鉛直断面19に対し略直交し、注入井戸203に近い側から例えばC1及びC2の間隔、図中のM2の間隔であり第1の実施形態の鉛直断面23の間隔であるM1(図11中のM1)の略2倍に鉛直断面(図中のYZ平面)23を想定する。そして、C1の鉛直断面上の測線上に所定の等間隔で複数の電極4を廃棄物表面から30cmから40cmの深さで挿し込んで設置し、当該電極4を電極選択装置5に電線等で電気的に接続する。
【0149】
以下、図3に示すC1の鉛直断面23の電位の測定であるST109からCnの鉛直断面19で比抵抗領域16があると判断されたときであるST114までは、注入井戸3が注入井戸203に、塩水18は染料等が混合された塩水218となっており、鉛直断面23はC1とC2との二つしか想定していない以外は第1の実施形態と略同様なのでその説明を省略する。
【0150】
一方、Cnの鉛直断面23で初めて比抵抗領域16が存在しないと判断されたときは、例えば図22に示すC1の鉛直断面では周りに比較し比抵抗が極めて低く比抵抗領域16が存在したが、C2の鉛直断面では周りに比べ極めて低い比抵抗の領域である比抵抗領域16を検出できなかったときは、C1の鉛直断面とC2の鉛直断面との間の領域に遮水シート10の漏水箇所15が存在することが予想されることとなり、ST108での結果と合わせて漏水箇所15の特定(ST115)が可能となる。
【0151】
具体的には図23に示すようにST108ではB4の鉛直断面19とB5の鉛直断面19との間の範囲内に漏水箇所15が特定され、更にST114ではC1の鉛直断面とC2の鉛直断面との間の範囲内に漏水箇所(図23中の斜線部分)が絞り込まれることとなる。
【0152】
次に、例えば図23の斜線部分のように漏水箇所15がある程度の広さの領域、第1の実施形態の電気探査法で絞り込まれた領域(例えば図15の斜線部分)の略4倍の表面積の領域に特定された後、その領域の廃棄物11を開削して塩水218に混合されていた染料等のトレース跡を追跡して具体的な漏水箇所15を特定する。
【0153】
尚、ST108で初めてB4の鉛直断面19に比抵抗領域16がないと判断され、更にST111でC1の鉛直断面23に比抵抗領域16がないと判断されたとき、ST104でB1の鉛直断面19に比抵抗領域16が存在しないと判断されたとき、ST104でB1の鉛直断面19に比抵抗領域16が存在しないと判断され、ST111でもC1の鉛直断面23に比抵抗領域16が存在しないと判断されたとき、ST104でB1の鉛直断面19に比抵抗領域16が存在しないと判断され、ST111でもC1の鉛直断面23に比抵抗領域16が存在しないと判断され、更にST120でもD1の鉛直断面27に比抵抗領域16が存在しないと判断されたときの貯留構造物の漏水位置探査方法は、第1の実施形態と鉛直断面19,23が夫々略半分の数となっている点を除けば略同様であるのでその説明を省略する。
【0154】
以上で廃棄物処分場の漏水位置探査システム201を用いた貯留構造物の漏水位置探査方法の説明を終了する。
【0155】
このように本実施形態によれば、廃棄物中の保有水12に投入される塩水218は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであり、隣合う鉛直断面での比抵抗領域の有無による判断等で特定された漏水箇所を含む所定の範囲を開削して当該染料等の流れの跡により具体的に漏水箇所を特定することとしたので、生成された比抵抗領域の有無及びその位置に関する情報から大まかな漏水箇所の範囲を特定し、その範囲の廃棄物を開削して染料、顔料及び蛍光材等の流れの跡から具体的に漏水箇所を特定でき、作業を効率的、経済的にすることが可能となると共に、電気探査のみでは地形等の理由から正確な漏水箇所の特定が難しい場合にも正確に漏水箇所を特定できる。
【0156】
(第3の実施形態)
【0157】
次に、本発明に係る貯留構造物の漏水位置探査システムの第3の実施形態について説明する。本実施形態においては電磁探査法で漏水位置を探査している点が異なるのでその点を中心に簡単に説明する。尚、第1の実施形態の構成要素と共通する構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同一の符号を付しその説明を省略する。
【0158】
図24は本発明の第3の実施形態に係る廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図である。
【0159】
(貯留構造物の漏水位置探査システムの構成)
【0160】
貯留構造物としての廃棄物処分場の漏水位置探査システム301は、例えば図24に示すように廃棄物処分場2、その廃棄物処分場2に貯留された廃棄物の保有水中に塩水等の物質を投入するための注入井戸3、その廃棄物処分場2に貯留された例えば廃棄物上でその廃棄物表面に非接触に配置された渦電流発生用の送信ループ304、その渦電流を受信する受信ループ305、該送信ループ304に所定の周波数の交流電流を供給する送信装置306、該受信ループ305により測定された電流情報に基づき比抵抗領域を検出する検出装置307及びその検出装置307により検出された情報を出力する出力装置8等から構成されている。
【0161】
ここで、送信ループ304は例えば図24に示すように略矩形状の廃棄物表面の一つの辺の内側付近にループ形状に構成されており、送信装置306から所定の周波数の送信電流が供給されるように電線等で電気的に接続されている。
【0162】
更に受信ループ305は、例えば図24に示すように比抵抗領域を検出する廃棄物の鉛直断面19と該廃棄物表面との交線である測線20が丁度送信ループ304と当該受信ループ305との真ん中(図24で長さG/2となる位置)に来るように配置されている。
【0163】
これにより、例えば送信ループ304及び受信ループ305で所定の距離Gを保ちながら図24中の矢印H方向(例えば図24中のX軸方向)に傾斜面14d付近から傾斜面14c付近まで廃棄物表面に非接触で移動させることにより、図24中の測線下の鉛直断面19の所定の深さでの電流情報が受信ループ305により検出装置307に供給されることとなる。
【0164】
次に、送信装置306は例えば図24に示すように電線等で送信ループ304に電気的に接続されており、測定深度に合わせ適正な周波数を設定し交流電流を該送信ループ304に供給できる。
【0165】
また、検出装置307は送信装置306により周波数を変え検出深度を次の深度に変えて同様に測線20の端から端まで所定の間隔で測定ポイントの電流情報を受信ループ305より受取り、必要に応じ図示しない内部記録装置等に記録する。
【0166】
以上の測定、記録を当該鉛直断面19の全ての測定ポイントで行い、検出装置307は、供給、記録された電流情報からその測線20下の複数の測定ポイントの比抵抗を演算し、例えば保有水12の比抵抗と予め設定されていた異なる比抵抗の比抵抗領域を検出する。また、必要に応じて他の測線下の鉛直断面19でも同様に比抵抗領域を検出する。
【0167】
更に出力装置8は、検出装置307により検出された比抵抗領域に関する情報を例えば画像ディスプレーやプリンター等により出力する。
【0168】
尚、上述の説明では複数の測定ポイントとして検出したが連続的に受信ループ305から電流情報等を受けて、当該連続した情報として出力装置に出力させてもよい。
【0169】
(貯留構造物の漏水位置探査方法)
【0170】
次に、以上のように構成された廃棄物処分場の漏水位置探査システム301を用いた貯留構造物の漏水位置探査方法については、送信側に送られるのが所定の周波数の交流電流である点や各鉛直断面で測定されるのが電流である点等であることを除けば略第1の実施形態の電気探査法と同様であるので、その説明を省略する。
【0171】
このように本実施形態によれば、廃棄物処分場2の凹部9に貯留された廃棄物11の保有水中に該保有水12の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質、例えば塩水を投入することにより該保有水中に周囲の該保有水12の比抵抗と異なる比抵抗領域を生成することとしたので、漏水箇所へ向かって移動する当該比抵抗領域を電磁探査法により容易に検出することができ、この比抵抗領域の移動は、その周囲の保有水12の流れでもあるので結局、貯留構造物の漏水の有無及びその漏水箇所を判断することが可能となり、漏水検知システムの完備していない既存の処分場の漏水の有無及びその位置を容易に判断することができる。
【0172】
また、電磁探査法により保有水中の比抵抗を検出することとしたので、大量の電極を必要とせず、低コストでより容易に既存の処分場の漏水の有無及びその位置を判断することができる。
【0173】
尚、本発明は上述したいずれの実施形態にも限定されず、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更して実施できる。
【0174】
例えば上述した実施形態及び変形例では、既存の廃棄物処分場の漏水の有無及びその位置を検出するシステムとして説明したがこれに限られるものではなく、新設の廃棄物処分場例えば漏水の有無及びその位置を検出する設備のある処分場でも勿論用いることができる。これにより、更に漏水の有無及びその位置の検出を正確にすることができる。
【0175】
また、上述の実施形態及び変形例では物質である塩水等を注入井戸に連続的に投入するものとして説明したがこれに限られるものではなく、例えば一定の間隔で間欠的に投入してもよい。これにより、よりコストを低減でき環境への影響もより少なくできる。
【0176】
更に上述の実施形態及び変形例では、塩水等の投入のための注入井戸の設置場所として1箇所または2箇所として説明したがこれに限られるものではなく、例えば格子状、千鳥状、直列状等に3箇所以上設置してもよい。これにより、探査領域が広くて比抵抗領域が拡散してしまい正確に比抵抗領域を検出できなくなることを防止できる。
【0177】
また、上述の実施形態及び変形例では塩水等の投入のための注入井戸の設置場所として2箇所設ける場合は、該2箇所の注入井戸に同時には投入せず夫々1箇所ずつ塩水等を投入して電気探査法等を用いたがこれに限られるものではなく、例えば2箇所或は3箇所以上の設置場所の注入井戸で同時に塩水等を投入し保有水中の比抵抗領域を探索してもよい。これにより、より迅速に漏水の有無、漏水箇所の特定ができる。
【0178】
更に上述の実施形態及び変形例では、電気探査法としてダイポール・ダイポール(Dipole-Dipole)法によったがこれに限られるものではなく、例えばウェンナ(Wenner)法やエルトラン法等と組み合わせたものであってもよい。また、電磁探査法として地上電磁探査を説明したがこれに限られるものではなく空中電磁探査法であってもよい。これにより、地上電磁探査による受信データにノイズが含まれやすいという点を改善することができ、より均質なデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る側線下の鉛直断面の電気探査の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る貯留構造物の漏水位置探査方法のフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る塩水の投入状態の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る比抵抗領域が流れる状態の説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る電気探査を行う複数の鉛直断面の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るB1鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るB7鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る初めて比抵抗領域が出現しないB8鉛直断面の説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る鉛直断面が異なる方向(YZ平面)場合の廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る異なる方向の鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るC1鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るC2における比抵抗領域の説明図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るC3鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る比抵抗領域の流れを示す廃棄物処分場の概略平面図である。
【図16】図15と漏水箇所が異なる場合の説明図である。
【図17】図15及び図16と漏水箇所が異なる場合の説明図である。
【図18】本発明の第1の実施形態に係る漏水箇所が注入井戸の近くにある場合の説明図である。
【図19】本発明の第1の実施形態に係る注入井戸の設置場所を変えた場合の説明図である。
【図20】変形例1の廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る異なる方向の鉛直断面における比抵抗領域の説明図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る比抵抗領域の流れを示す廃棄物処分場の概略平面図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係る廃棄物処分場の漏水位置探査システムの概略図である。
【符号の説明】
【0180】
1,101,201,301 廃棄物処分場の漏水位置探査システム、 2 廃棄物処分場、 3,203 注入井戸、 4 電極、 5 電極選択装置、 6 電源装置、 7,307 検出装置、 8,108 出力装置、 9 凹部、 10 遮水シート、 11 廃棄物、 12 保有水、 13 底面、 14a,14b,14c,14d 傾斜面、 15,24,25,26 漏水箇所、 16 比抵抗領域、 17 流路、 18,218 塩水、 19,23,27 鉛直断面、 20 測線、 21a,21b 電流電極、 22a,22b 電位電極、 131 判断装置、 304 送信ループ、 305 受信ループ、 306 送信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を貯留する凹部と該凹部表面に設けられた遮水工とを有する貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記廃棄物の保有水の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質を投入して生成された前記保有水の比抵抗と異なる比抵抗領域を、電気探査法または電磁探査法で得られる、前記廃棄物表面の測線から前記遮水工までの鉛直断面での電気的情報に基づき検出可能な検出手段と、
前記検出手段により検出された前記比抵抗領域に関する情報を出力する出力手段と
を具備することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記測線は、前記廃棄物表面に複数有するものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項3】
請求項2に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記複数の測線は、異なる方向の測線を有することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項4】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記電気的情報は、前記物質を前記廃棄物表面上の少なくとも二つの地点から前記保有水中に投入して夫々測定したものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項5】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記物質は、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項6】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記物質は、塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下の塩水であり、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項7】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記物質の投入は、連続的に投入するものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項8】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記電気的情報に基づき前記検出手段により検出された情報を演算処理し、前記遮水工の漏水の有無及びその漏水箇所を判断する判断手段を更に具備することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項9】
請求項8に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記判断手段は、少なくとも前記保有水への前記物質の投入位置と異なる一つの前記鉛直断面で前記比抵抗領域が検出された場合に前記遮水工に漏水が有ると判断することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項10】
請求項9に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記判断手段は、前記遮水工に漏水が有ると判断した場合に二つの隣り合う前記鉛直断面の一の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出され、他の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出されない場合に該隣り合う鉛直断面間に前記遮水工の漏水箇所が存在すると判断することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項11】
請求項1に記載の貯留構造物の漏水位置探査システムにおいて、
前記物質は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査システム。
【請求項12】
廃棄物を貯留する凹部と該凹部表面に設けられた遮水工とを有する貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記凹部に貯留された前記廃棄物の保有水中に、該保有水の電気伝導度と異なる電気伝導度の物質を投入することにより、該保有水中に周囲の該保有水の比抵抗と異なる比抵抗領域を生成するステップと、
前記廃棄物表面上の複数の測線から前記遮水工までの複数の鉛直断面における前記比抵抗領域を電気探査法または電磁探査法により探査するステップと、
前記探査により得られた前記比抵抗領域に関する情報を出力するステップと
を具備することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項13】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記探査の結果に基づき、少なくとも前記保有水への前記物質の投入位置と異なる一つの前記鉛直断面で前記比抵抗領域が検出された場合に、前記遮水工に漏水が有ると判断する第1の判断のステップを更に具備することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項14】
請求項13に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記第1の判断により前記遮水工に漏水が有ると判断された場合に、二つの隣り合う前記鉛直断面の一の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出され、他の鉛直断面には前記比抵抗領域が検出されない場合に、該隣り合う鉛直断面間に前記遮水工の漏水箇所が存在すると判断する第2の判断のステップを更に具備することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項15】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記複数の測線は、異なる方向の測線を有することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項16】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記探査は、前記物質を前記廃棄物表面上の少なくとも二つの地点から前記保有水中に投入して夫々探査するものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項17】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記物質は、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項18】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記物質は、塩の濃度が0.1重量%以上であって20重量%以下の塩水であり、前記保有水の電気伝導度の1.5倍以上であることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項19】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記物質の投入は、連続的に投入するものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項20】
請求項12に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記物質は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであることを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。
【請求項21】
請求項14に記載の貯留構造物の漏水位置探査方法において、
前記物質は、染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つを混合したものであり、
前記第2の判断による前記漏水箇所を含む所定の範囲を開削して前記染料、顔料及び蛍光材のうち少なくとも一つの前記比抵抗領域の流れの跡により前記漏水箇所を特定するステップを更に具備することを特徴とする貯留構造物の漏水位置探査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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