説明

貼着式経時表示ユニット

【課題】ユーザの手を煩わせることなく簡易に期限日及びそれまでの期間等を確認することができ、ユーザが視覚的に確実に対象物の期限管理を行うことができる貼着式経時表示ユニットを提供する。
【解決手段】基台2から剥離するだけでタイマによる計時が開始され、タイマによって計時された結果に基づいて、基台2から剥離されてからの経過時間又は経過期間を表す表示が表示部47に表示される経時表示シート4を対象物に貼着可能に構成することにより、ユーザが経過時間又は経過期間を知りたい対象物に経時表示シート4を貼着するだけで、容易に期限管理等を行うことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼着式経時表示ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、資料作成の締切日やノート等の提出期限、食料品の賞味期限等は、ユーザが期限日等を手書きで記録し、管理することが一般的であった。しかし、単に紙等に書いただけでは忘れやすく、また、期限日等までにどのくらいの期間があるかについてはカレンダー等を参照して確認することが必要となり、煩わしい。そこで、期限日までどのくらいの期間があるかを自動的にカウントしてくれる装置が望まれる。
【0003】
この点、特許文献1には、時計を小型化、薄型化して対象物に接着できるように構成し、ユーザが身の回りの小物等に貼り付けて使用できるようにすることが記載されており、この時計にタイマ機能をもたせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3104391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、通常のタイマ機能付きの時計を対象物に接着できるようにしたものであるため、ユーザがこれを期限管理のために用いようとする場合には、期限管理したい対象物に当該時計を貼り付けた上で、ユーザ自身がタイマを設定し、作動させることが必要となる。このような設定作業はユーザにとって手間がかかり、煩わしいとの問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の時計に備えられているタイマ機能は、一般的な時計に備えられているタイマ機能と同様にあくまでも時分秒単位での使用を想定したものであり、例えばキッチンタイマーのように用いることはできるとしても、会議資料の締切期限やノート等の提出期限、食料品の賞味期限等のように、期限までに1日以上あるような場合には適用することができない。
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの手を煩わせることなく簡易に期限日及びそれまでの期間等を確認することができ、ユーザが視覚的に確実に対象物の期限管理を行うことができる貼着式経時表示ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の貼着式経時表示ユニットは、
基台と、この基台に対して剥離可能に装着されたシート状の経時表示装置と、を備え、
前記基台は、
基台側端子部と、
この基台側端子部と電気的に接続され、前記基台側端子部を介して前記経時表示装置に対して電力を供給するための基台側電源供給手段と、を備え、
前記経時表示装置は、
外部対象物に貼着可能な貼着層を有するとともに、
表示手段と、
前記基台側端子部に対応して設けられ前記基台側端子部と接続可能である装置側端子部と、
この装置側端子部と電気的に接続され、前記経時表示装置が前記基台に装着された状態において前記基台側電源供給手段から供給される電力により充電可能である装置側電源供給手段と、
前記経時表示装置が前記基台から剥離されたか否かを検知する剥離検知手段と、
この剥離検知手段により前記経時表示装置が前記基台から剥離されたと検知された時点から計時を開始する計時手段と、
この計時手段によって計時された結果に基づいて前記表示手段の表示を制御し、前記経時表示装置が前記基台から剥離されてからの経過時間又は経過期間を表す表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴とする貼着式経時表示ユニットである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貼着式経時表示ユニットにおいて、
前記経時表示装置を複数備えており、
前記基台は、前記経時表示装置の数に対応して複数の基台側端子部を備え、
これら複数の基台側端子部は、全て前記基台側電源供給手段と電気的に接続されていることを特徴とする貼着式経時表示ユニットである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の貼着式経時表示ユニットにおいて、
前記貼着層は、前記外部対象物に接着可能に構成された接着剤層であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の貼着式経時表示ユニットにおいて、
前記経時表示装置は、予め経時表示可能な経過時間又は経過期間が設定され、前記経時表示装置が前記基台上に装着されている初期状態において、前記表示手段には前記経時表示可能な経過時間又は経過期間が表示されており、
前記表示制御部は、前記経時表示装置が前記基台から剥離されてから前記経時表示可能な経過時間又は経過期間が経過するまでの時間又は期間を前記表示手段に減算表示させるものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、経時表示装置を基台から剥離するだけで計時手段による計時が開始され、計時手段によって計時された結果に基づいて、経時表示装置が基台から剥離されてからの経過時間又は経過期間を表す表示が表示手段に表示される。このため、ユーザがスイッチ操作等を行うことなく、簡易に経過時間又は経過期間を経時表示装置に表示させて確認することができる。
また、経時表示装置は、外部対象物に貼着可能な貼着層を有しているため、提出期限のある書類や賞味期限のある食料品等、ユーザが経過時間又は経過期間を知りたい外部対象物に経時表示装置を貼着するだけで、容易に期限管理等を行うことが可能となるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る貼着式経時表示ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す貼着式経時表示ユニットを表面側から見た平面図である。
【図3】(A)は、図2の貼着式経時表示ユニットから3つの経時表示シートを取り外した状態を示した平面図であり、(B)は、貼着式経時表示ユニットから取り外された経時表示シートの一例を示す平面図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】図1のV-V線に沿う断面図である。
【図6】(A)は、経時表示シートを表面から見た状態の一例を示す平面図であり、(B)は、経時表示シートの内部構成を示す平面図である。
【図7】図4に示す貼着式経時表示ユニットの基台から経時表示シートを剥離した状態を示す断面図である。
【図8】本実施形態における経時表示シートの制御構成を示すブロック図である。
【図9】本実施形態における経時表示シートの経時表示処理を示すフローチャートである。
【図10】貼着式経時表示ユニットの基台から1枚の経時表示シートを剥離した状態を示す説明図である。
【図11】(A)は、基台から剥離された経時表示シートを示す平面図であり、(B)は、(A)に示す経時表示シートの残日数が「3日」となった状態を示す平面図であり、(C)は、残日数が「0日」となった経時表示シートを示す平面図である。
【図12】(A)は、経時表示シートの一変形例の内部構成を示す平面図であり、(B)は、経時表示シートの一変形例の外観を示す平面図である。
【図13】(A)は、貼着式経時表示ユニットの一変形例から1枚の経時表示シートを剥離した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)に示す経時表示シートの残日数が「4日」となった状態を示す平面図であり、(C)は、残日数が「0日」となった経時表示シートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る貼着式経時表示ユニットの好適な実施形態について具体的に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における貼着式経時表示ユニットを示す斜視図であり、図2は、図1に示す貼着式経時表示ユニットを表面側から見た平面図であり、図3(A)は、図2の貼着式経時表示ユニットから3つの経時表示シートを取り外した状態を示した平面図であり、図3(B)は、貼着式経時表示ユニットから取り外された経時表示シートの一例を示す平面図である。また、図4は、図1のIV-IV線に沿う断面図であり、図5は、図1のV-V線に沿う断面図である。
【0016】
図1から図5に示すように、貼着式経時表示ユニット1は、基台2と、基台上に剥離可能に装着された経時表示装置としての複数の経時表示シート4を備えている。なお、図2では、基台2上に3つの経時表示シート4(図2等において、経時表示シート4aから4c)が配置されている例を示しているが、基台2上に配置される経時表示シート4の数はこれに限定されない。さらに多くの経時表示シート4が配置されていてもよいし、経時表示シート4が1つだけ配置されているものでもよい。また、本実施形態において単に「経時表示シート4」というときは、「経時表示シート4aから4c」の全てを指すものとする。
【0017】
基台2は、例えばプラスチック(合成樹脂)等で形成された板状の部材である。なお、基台2を形成する材料は特に限定されない。
基台2には、基台側電源21と、この基台側電源21と電気的に接続される複数の基台側端子部22とが設けられている。
【0018】
基台側電源21は、基台側端子部22と電気的に接続され、この基台側端子部22を介して、経時表示シート4のシート側電源41に電力を供給するための基台側電源供給手段である。
基台側電源21は、基台2に設けられている電源収容部23に収容されており(図2、図4、図5参照)、この電源収容部23に収容された状態において全ての基台側端子部22と電気的に接続されるようになっている。
すなわち、図3(A)に示すように、基台2の内部であって基台側電源21と各基台側端子部22との間には、プラス極側の基台側端子部22a同士をつなぐプラス側リード線24aと、マイナス極側の基台側端子部22b同士をつなぐマイナス側リード線24bとが設けられており、プラス側リード線24aの一端部は、電源収容部23において基台側電源21のプラス極と接続され、マイナス側リード線24bの一端部は、電源収容部23において基台側電源21のマイナス極と接続されるようになっている。
基台側電源21としては、例えば、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、ニッケル系一次電池等の乾電池や、アルカリボタン電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等のボタン電池、リチウム電池等の一次電池が適用される。なお、基台側電源21はここに例示したものに限定されず、充電可能な二次電池や太陽電池等が用いられてもよい。
【0019】
基台側端子部22は、経時表示シート4が基台2に装着された状態において後述する経時表示シート4のシート側端子部42と電気的に接続される端子部である。
基台側端子部22は、基台側電源21のプラス極側と接続されるプラス極側の基台側端子部22aと、基台側電源21のマイナス極側と接続されるマイナス極側の基台側端子部22bとが一対で1組となっており、この基台側端子部22の組が、基台2に装着される経時表示シート4の数に応じて複数組設けられている。なお、本実施形態において単に「基台側端子部22」というときは、「プラス極側の基台側端子部22a」「マイナス極側の基台側端子部22b」の双方を含むものとする。
本実施形態では、3つの経時表示シート4(経時表示シート4aから4c)に応じて3組6つの基台側端子部22が、各経時表示シート4のシート側端子部42に対応する位置にそれぞれ配置されている。
前述のように、プラス極側の基台側端子部22a同士はプラス側リード線24aにより、マイナス極側の基台側端子部22b同士はマイナス側リード線24bにより、それぞれ接続されており、このプラス側リード線24a及びマイナス側リード線24bの一端部が基台側電源21のプラス極、マイナス極とそれぞれ接続されることにより、全ての基台側端子部22が基台側電源21と電気的に接続されるようになっている。
【0020】
図6(A)は、経時表示シート4を表面から見た状態の一例を示す平面図であり、6(B)は、経時表示シート4の内部構成を示す平面図である。
各経時表示シート4は、初期状態において、上記基台2の表面に装着されており、使用時には、それぞれ個別に基台2から剥離するように構成されたシート状の経時表示装置である。
【0021】
経時表示シート4における基台2との接触側の面には貼着層としての接着剤層41が設けられており、経時表示シート4は、この接着剤層41を介して基台2上に配置(装着)されている。
各経時表示シート4は、基台2から剥離した後は、接着剤層41を所望の場所に接着することにより、例えば各種容器やファイル、書類の表紙上等、経時表示シート4によって時間や期間の経過を表示させたい外部対象物に貼着することが可能に構成されている。
なお、経時表示シート4を形成する材料は特に限定されないが、各種の外部対象物に貼着可能なように、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されていることが好ましい。
【0022】
各経時表示シート4の表面(図4、図5において上側の面)には、日数や時間等を表示する表示手段として液晶表示部47が設けられている。なお、経時表示シート4の表面であって液晶表示部47が設けられていない部分には、図6(A)に示すように、イラスト等が描かれていてもよい。
本実施形態において、液晶表示部47は、液晶パネルを用いた液晶ディスプレイである。なお、表示手段は、液晶ディスプレイに限定されず、例えば有機EL(Electro Luminescence)パネルを用いたディスプレイ等、各種表示方式のものを適用することも可能である。液晶表示部47は、後述する制御装置5によって制御される液晶駆動回路45(図8参照)により駆動するようになっている。
【0023】
本実施形態では、各経時表示シート4は、予めそれぞれ経時表示可能な経過時間又は経過期間が設定されており、経時表示シート4が基台2の上に装着されている初期状態において、各経時表示シート4の液晶表示部47には、それぞれの経時表示シート4ごとの経時表示可能な経過時間又は経過期間(すなわち、カウント可能な日数等)が表示されている。
すなわち、例えば、図2等に示す経時表示シート4aは10日間の期間(日数)の経過をカウントすることができるように設定されており、基台2の上に装着されている初期状態においては、液晶表示部47に「10日」と表示されている。同様に、経時表示シート4bであれば「3日」、経時表示シート4cであれば「5日」がカウント可能な期間(日数)として設定され、それぞれの日数が液晶表示部47に表示されている。
【0024】
そして、後述するように、個々の経時表示シート4が基台2から剥離されると、剥離されてからの経過時間が制御装置5においてカウントされるようになっており、1日(すなわち24時間)経過するごとに液晶表示部47に表示される残日数が1日ずつ少なくなるように減算表示(すなわち、1日ずつのカウントダウン表示)を行うように液晶表示部47による表示が制御されるようになっている。なお、本実施形態では、経時表示シート4が基台2から剥離されカウントが開始されると、基台2上に装着されていたときとは異なる色で残日数が液晶表示部47に表示されるようになっている。
【0025】
また、本実施形態では、カウント可能な日数が経過するまでの時間又は期間(残日数)が「0」になると、液晶表示部47に表示される文字の色が変化するようになっている。すなわち、例えば、カウント可能な日数が「10日」である場合に、基台2から剥離した際には液晶表示部47に黒色の文字で残日数(10日)が表示され(例えば、図11(A)では「10日」)、その後、1日経過するごとに残日数が減算表示されていき(例えば、図11(B)では「3日」と表示され、7日間経過後の状態を示している。)、カウント可能な日数が経過するまでの時間又は期間(残日数)が「0」になると赤色の文字で残日数「0日」(例えば、図11(C)参照)が表示される。
なお、本実施形態では、カウント可能な日数が経過するまでの時間又は期間(残日数)が「0」になり、その日を経過しても、液晶表示部47はシート側電源44の充電容量がある限り「0」を表示し続けるようになっており、シート側電源44の充電容量がなくなったときに液晶表示部47の表示が消える。
【0026】
経時表示シート4における基台2との接触側の面であって、基台側端子部22に対応する位置には、それぞれ装置側端子部としてのシート側端子部42が設けられている。シート側端子部42は、基台2のプラス極側の基台側端子部22a、マイナス極側の基台側端子部22bに対応して、プラス極側のシート側端子部42a、マイナス極側のシート側端子部42bが一対1組となって配置されている。なお、本実施形態において単に「シート側端子部42」というときは、「プラス極側のシート側端子部42a」「マイナス極側のシート側端子部42b」の双方を含むものとする。
【0027】
また、経時表示シート4内には、柔軟性を有するシート状に形成されたフレキシブルな配線基板43が設けられており、シート側端子部42は、この配線基板43上に配置されている。
配線基板43上には、経時表示シート4の各部に電力を供給するシート側電源44、液晶表示部47を動作させる液晶駆動回路、経時表示シート4の各部を制御する制御装置5等、各種の電子部品が実装されている。
【0028】
シート側電源44は、リード線48を介して液晶駆動回路45や、制御装置5等、経時表示シート4の各部と電気的に接続されて、経時表示シート4の各部に電力を供給する装置側電源供給手段である。
シート側電源44は、シート側端子部42とリード線49を介して電気的に接続されており、経時表示シート4が基台2に装着された状態において基台側端子部22を介して基台側電源21から供給された電力がシート側端子部42及びリード線49を介してシート側電源44に供給され、この電力により充電されるようになっている。
経時表示シート4は、基台2上に装着されている間は、基台側電源2から供給される電力によって液晶表示部47等の駆動が行われるとともに、シート側電源44の充電が行われる。そして、経時表示シート4が基台2から剥離されると、経時表示シート4の各部は、シート側電源44の充電容量がなくなるまでシート側電源44の電力によって動作する。
【0029】
シート側電源44は、例えば基準電圧が2.5V程度のものであり、例えば、ニッカド電池、ニッケル水銀電池、リチウムイオン電池、アルカリ蓄電池等の各種二次電池や、コンデンサ等で構成されている。なお、シート側電源44は、小型で充電可能なものであればよく、ここに例示したものに限定されない。
【0030】
次に、図8を参照しつつ、本実施形態の制御構成について説明する。図8は、本実施形態における経時表示シート4の制御構成を示す要部ブロック図である。
【0031】
本実施形態の制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)等を備える制御部51と、記憶部としてのROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53等を備えてなるコンピュータである。
ROM52等の記憶手段には、例えば液晶表示部47の表示を制御するための表示制御プログラム等、経時表示シート4の各部を動作させるための各種プログラムが格納されている。また、ROM52には、液晶表示部47に表示させる残日数等の画像のデータ(以下「数字・文字データ52a」という。)や、剥離検知部56が経時表示シート4の基台2からの剥離を検出する際の基準(閾値)となる値等が記憶されている。なお、ROM52に記憶されているデータはこれに限定されず、例えば、液晶表示部47に数字や文字のみならず、背景やキャラクタ画像等も表示させる場合には、これらの画像データも記憶される。
また、RAM53は、各種処理を行うために必要なデータ等を一時的に保存する記憶領域と、各種処理を行う際に制御部がプログラム等を展開する作業領域とを備えている。
【0032】
本実施形態において、各経時表示シート4の制御装置5には、それぞれ、前述の液晶表示部47、シート側電源44の他に、液晶駆動回路45、剥離検知部56、タイマ57等が接続されており、制御装置5は、ROM52等に記憶されている各種プログラムを実行することによりこれらの動作を制御するようになっている。
【0033】
剥離検知部56は、例えば、シート側電源44の電圧値を検知する電圧計である。剥離検知部56による検知結果は制御装置5に出力されるようになっている。制御装置5の制御部51は剥離検知部56から送られたシート側電源44の電圧値が基準電圧である2.5Vを下回ったか否かを判断し、下回った場合には経時表示シート4が基台2から剥離されたと判断する。
本実施形態では、このように、剥離検知部56と制御装置5によって、経時表示シート4が基台2から剥離されたか否かを検知する剥離検知手段が構成されている。
なお、剥離検知部56が経時表示シート4の基台2からの剥離の有無を検知する手法は特に限定されず、例えば基台側端子部22とシート側端子部42との接触・非接触を物理的に検出することによって経時表示シート4が基台2から剥離されたか否かを検知するものであってもよい。
【0034】
タイマ57は、剥離検知手段により経時表示シート4が基台2から剥離されたと検知されると、その時点から計時を開始する計時手段である。
タイマ57は、別途も受けられているものに限定されず、制御装置5に組み込まれているタイマ機能を用いてもよい。
【0035】
液晶駆動回路45は、リード線46を介して液晶表示部47と接続され、液晶表示部47に各種表示を行わせるためにその動作を制御する回路である。液晶駆動回路45は、例えばLSI(Large Scale Integration)等により構成されている。
本実施形態において、液晶駆動回路45は、制御装置5からの制御信号に従って液晶表示部47の動作を制御するようになっており、液晶駆動回路45と制御装置5とにより、表示制御手段が構成されている。
すなわち、計時手段であるタイマ57によって計時された結果(すなわち、剥離検知手段が経時表示シート4の基台2からの剥離を検知してからの経過時間)が制御装置5に送られると、制御装置5は、この結果に基づいて、経時表示シート4が基台2から剥離されてからの経過時間又は経過期間を表す表示を液晶表示部47に表示させるように液晶駆動回路45に対して制御信号を出力する。
【0036】
例えば、図10に示すように、カウント可能日数(すなわち経時表示可能な経過時間又は経過期間)が「10日」に設定された経時表示シート4aがユーザにより基台2から剥離されると、剥離されたことを剥離検知手段が検知して、その瞬間からタイマ57による計時が開始される(図11(A)参照)。タイマ57による計時結果は随時制御装置5に送られ、制御装置5は、計時結果が24時間(すなわち1日)を経過するごとに液晶表示部47の表示を1日ずつ減算表示するように液晶表示部47の表示を制御する指示信号を液晶駆動回路45に出力する。液晶駆動回路45は、制御装置5から送られた指示信号に従って、液晶表示部47の表示が変化するように適宜液晶を駆動させる。例えば経時表示シート4aが基台2から剥離されてから7日が経過すると、カウント可能日数満了まで残り3日であり、液晶表示部47には残日数として「3日」と表示される(図11(B)参照)。そして、経時表示シート4aが基台2から剥離されてから10日が経過し、カウント可能日数が「0日」となると、制御装置5は、液晶表示部47に赤字等それまでとは異なる色で「0日」を表示させるように液晶駆動回路45に指示信号を出力する。液晶駆動回路45はこれにしたがって液晶表示部47の液晶を駆動させ、液晶表示部47に赤字で「0日」を表示させるようになっている(図11(C)参照)。
【0037】
次に、本実施形態における貼着式経時表示ユニット1の作用について説明する。
【0038】
まず、貼着式経時表示ユニット1を製造するときには、基台2に基台側電源21を収容する電源収容部23と、基台2上に配置される経時表示シート4の数に応じた基台側端子部22とを設ける。そして、プラス極側の基台側端子部22a同士をプラス側リード線24aでつなぎ、マイナス極側の基台側端子部22b同士をマイナス側リード線24bでつなぐ。プラス側リード線24a及びマイナス側リード線24bの一端部は電源収容部23内に配置し、電源収容部23内に基台側電源21が収容された際に、プラス側リード線24aの端部が基台側電源21のプラス極に、マイナス側リード線24bの端部が基台側電源21のマイナス極にそれぞれ接続されるようにする(図3(A)参照)。
次に、それぞれカウント可能日数が設定された経時表示シート4aから4cを、各経時表示シート4のプラス極側のシート側端子部42aが対応する基台2のプラス極側の基台側端子部22aと接触し、マイナス極側のシート側端子部42bが対応する基台2のマイナス極側の基台側端子部22bと接触するように位置を合わせて基台2上に配置する(図2参照)。
そして、電源収容部23に基台2の裏面側から基台側電源21を収容する。これによって、当該基台2上に配置された各経時表示シート4aから4cのシート側電源44に基台側電源21から電力が供給され、シート側電源44の充電が開始される。また、基台側電源21から供給される電力によって各経時表示シート4aから4cの液晶表示部47等が動作し、それぞれ当該経時表示シート4について予め設定されているカウント可能日数を液晶表示部47に表示させる。これにより、ユーザは各経時表示シート4のカウント可能日数を目視にて確認することができる。
【0039】
次に、図9から図11(A)〜(C)を参照しつつ、本実施形態における経時表示処理について説明する。経時表示処理は、制御装置5とROM52等に格納されている各種プログラムとが協働することにより実行されるものである。
【0040】
個々の経時表示シート4を使用する場合には、ユーザは、所望のカウント可能日数の経時表示シート4を選んで基台から剥離する(図10参照)。例えば、10日後に提出期限となる会議資料に経時表示シート4を貼着して期限管理に用いたい場合には、カウント可能日数が「10日」である経時表示シート4aを基台2から剥離して、図示しない外部対象物である資料ファイルの表紙等に接着剤層41を貼り付けることにより貼着する。
【0041】
図9に示すように、制御装置5は、経時表示シート4が基台2から剥離されたか否かを常に判断する(ステップS1)。具体的には、シート側電源44の電圧値が剥離検知部56により検知されて制御装置5に送られるようになっており、制御装置5は、その検知結果が所定の閾値(本実施形態では例えば2.5V)を下回っているか否かを判断する。そして、剥離された(すなわち、剥離検知部56による検知結果が所定の閾値を下回っている)と判断した場合(ステップS1;YES)には、タイマ57を作動させ、経時表示シート4が基台2から剥離された時点からの経過時間を計時させる(ステップS2)。それと同時に、液晶駆動回路45に指示信号を出力して、液晶表示部47に経時表示(カウントダウン表示)を開始させるように液晶表示部47の表示を制御する。経時表示が開始されると、液晶表示部47に表示される残日数表示の文字色が基台2上に載置されていたときとは異なる色に変化する(ステップS3、図10及び図11(A)参照)。なお、このような文字色の変化は本発明の必須の要素ではなく、文字色を変化させない構成とすることもできる。
他方、経時表示シート4が基台2から剥離されていないと判断した場合(ステップS1;NO)にはステップS1の判断を繰り返す。
【0042】
経時表示シート4が基台2から剥離されたと判断されて液晶表示部47による経時表示(カウントダウン表示)が開始されると、制御装置5は、経時表示シート4が基台2から剥離されてから24時間(すなわち1日)が経過したかを常に判断する(ステップS4)。具体的には、制御装置5はタイマ57による計時結果から経過時間を判断する。そして、24時間経過していないとき(ステップS4;NO)はこの判断を繰り返す。
他方、経時表示シート4が基台2から剥離されてから24時間経過したと判断した場合(ステップS4;YES)には、制御装置5は、さらに経時表示シート4が基台2から剥離されてから当該経時表示シート4のカウント可能日数(すなわち、経時表示シート4aであれば「10日」)が経過したかを常に判断する(ステップS5)。具体的には、制御装置5はタイマ57による計時結果から経時表示シート4が基台2から剥離されてからの経過時間を判断し、これが当該経時表示シート4のカウント可能日数に達しているかを判断する。
そして、当該経時表示シート4のカウント可能日数を経過していないとき(ステップS5;NO)は、液晶表示部47に残日数を1日減算して表示させるように液晶駆動回路45に指示信号を出力し、液晶表示部47の表示を制御する(ステップS6)。この場合には、制御装置5は、さらに24時間(すなわち1日)が経過したかを常に判断し(ステップS7)、24時間経過していないとき(ステップS7;NO)はこの判断を繰り返す。なお、図11(B)には、このように経時表示シート4aの液晶表示部47に表示される残日数を順次減算していき、残日数が「3日」となった状態を示している。
他方、液晶表示部47に表示させる残日数を1日減算してからさらに24時間(すなわち1日)が経過したと判断した場合(ステップS7;YES)には、制御装置5は、ステップ5に戻って、経時表示シート4が基台2から剥離されてから当該経時表示シート4のカウント可能日数(すなわち、経時表示シート4aであれば「10日」)が経過したかを常に判断する。
そして、経時表示シート4が基台2から剥離されてから当該経時表示シート4のカウント可能日数が経過したと判断する場合(ステップS5;YES)には、液晶表示部47に表示させる残日数を「0日」とし、この「0日」を液晶表示部47に赤字で表示させるように液晶駆動回路45に指示信号を出力し、液晶表示部47に残日数「0日」を赤字で表示させ(ステップS8)、一連の処理を終了する。
残日数「0日」の表示は、カウント可能日数が経過した後もシート側電源44の充電容量がなくなるまで続けられ、シート側電源44の充電容量がなくなったときに表示が消える。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、経時表示シート4を基台2から剥離するだけでタイマ57による計時が開始され、タイマ57によって計時された結果に基づいて、経時表示シート4が基台2から剥離されてからの経過時間又は経過期間を表す表示、すなわち、カウント可能日数経過までの残日数が液晶表示部47に表示される。このため、ユーザはスイッチ操作やタイマのセット操作等を行うことなく、簡易に経過時間又は経過期間を経時表示シート4の液晶表示部47に表示させて確認することができる。
また、経時表示シート4は、提出期限のある会議資料や賞味期限のある食料品等の外部対象物に貼着することができる貼着層として接着剤層41を有しているため、ユーザが経過時間又は経過期間を知りたい対象物に経時表示シート4を貼着することができる。このため、ユーザは経時表示シート4を基台2から剥離して対象物に貼り付けるという簡単な動作をするだけで、当該対象物の期限日までの残日数を知ることができ、容易に期限管理等を行うことが可能となる。
また、経時表示シート4を複数備えており、基台2には、この経時表示シート4の数に対応してその全てが基台側電源21と電気的に接続と接続されている複数の基台側端子部22が設けられているため、各種の対象物について複数の期限を管理したいときにも1つの貼着式経時表示ユニット1で対応することができる。
また、経時表示シート4は、それぞれ予め経時表示可能な経過時間又は経過期間(すなわち、カウント可能な日数)が設定され、経時表示シート4が基台2上に装着されている初期状態において、液晶表示部47に当該経時表示シート4の経時表示可能な経過時間又は経過期間(カウント可能な日数)が表示されている。このため、ユーザは、貼着式経時表示ユニット1を見るだけで、期限管理を行いたい対象物の期限までの日数に応じた適切な経時表示シート4を選択することができる。
そして、経時表示シート4を基台2から剥離すると、剥離されてから当該経時表示シート4の経時表示可能な経過時間又は経過期間(カウント可能な日数)が経過するまでの時間又は期間(残日数)が液晶表示部47に減算表示されるため、ユーザは何ら煩雑な操作を行うことなく、期限までの残日数を知ることができる。
【0044】
なお、本発明が上記本実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【0045】
例えば、本実施形態では、経時表示シート4に貼着層として接着剤層41を備える構成を例示しているが、貼着層は接着剤層41に限定されず、例えば貼着層としてシート状のマグネット等を備え、外部対象物としての金属製品に貼着可能に構成されていてもよい。このように、貼着層としてマグネットシート等を用いた場合には、経時表示シート4の貼り替えや移動等を容易に行うことができて便宜である。
【0046】
また、本実施形態では、カウント可能な日数が経過するまでの時間又は期間(残日数)が「0」になったときに、液晶表示部47に表示される文字の色を変化させる場合を例としたが、液晶表示部47に表示される残日数を表す文字の色の変化はここに例示したものに限定されない。例えば、カウント可能な日数が「10日」である場合に、基台2から剥離した際には黒色の文字で残日数が表示され、カウント可能な日数の半分である5日が経過するとオレンジ色の文字になり、カウント可能な日数が経過するまでの時間又は期間(残日数)が「0」になると赤色の文字になる等、一定の日数が経過するごとに少しずつ色が変化するようにしてもよい。また、文字の色だけでなく、文字の大きさ、レイアウト等が変化するように構成してもよい。さらに、カウント可能な日数が経過するまでの時間又は期間(残日数)が「0」になると文字が点滅するようにしてもよい。また、期間の経過とともに、残日数以外の背景画像が変化するように構成してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、各経時表示シート4は使い捨てとされ、シート側電源44の充電容量がなくなると液晶表示部47等が動作しなくなる構成となっているが、例えば、一端基台2から剥離し、外部対象物に貼着して使用した後も再度基台2上に装着し基台側端子部22を介して基台側電源21から電力を供給すると、液晶表示部47の表示等がリセットされて、再使用可能となるように構成してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、1日単位で減算表示(カウントダウン)が行われるようにしたが減算表示(カウントダウン)の単位はこれに限定されない。
例えば、1週間や1ヶ月単位としてもよいし、1日単位で減算表示(カウントダウン)を行う場合でも、残日数が「1日」となった場合等、期限日が迫ってくると、時間単位で減算表示(カウントダウン)が行われるようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、貼着式経時表示ユニット1として基台2上にほぼ四角形状の同形の経時表示シート4が複数装着されている例を示したが、経時表示シート4の形状は四角形状に限定されず、例えば、図12(A)に示すような家の形状をしたものや、図12(B)に示すようなカエル等のキャラクタの形状をしたものであってもよい。また、1つの基台2上に装着される経時表示シート4はそれぞれ異なる形状をしていてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、貼着式経時表示ユニットとして基台上に複数の経時表示シート4が一列に3つ並んで配置されている例を示したが、経時表示シート4の配置や数、大きさ等は特に限定されない。
例えば、図13(A)に示す貼着式経時表示ユニット10のように、基台6上に互い違いに複数の経時表示シート7が配置されていてもよい。
また、本実施形態では、経時表示シート4の表面の一部に液晶表示部が設けられている場合を例としたが、液晶表示部の設けられる範囲や大きさ、形状等は特に限定されない。
例えば、図13(A)から図13(C)に示すように、経時表示シート7の表面全面に液晶表示部が設けられていてもよい。この場合も、経時表示シート7を基台6から剥離すると、経時表示シート7の液晶表示部71には、基台6に装着されていたときとは異なる色の文字でカウント可能日数が表示され(図13(A)参照)、剥離から日数が経つにしたがって液晶表示部71に表示される残日数が減算されていく(図13(B)参照)。そして、残日数が「0日」となると、液晶表示部71に赤字等の異なる色の文字で「0日」が表示される(図13(C)参照)。
【0051】
なお、その他、本発明が上記各実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 貼着式経時表示ユニット
2 基台
4 経時表示シート
5 制御装置
21 基台側電源
22 基台側端子部
41 接着剤層
42 シート側端子部
44 シート側電源
45 液晶駆動回路
47 液晶表示部
56 剥離検知部
57 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、この基台に対して剥離可能に装着されたシート状の経時表示装置と、を備え、
前記基台は、
基台側端子部と、
この基台側端子部と電気的に接続され、前記基台側端子部を介して前記経時表示装置に対して電力を供給するための基台側電源供給手段と、を備え、
前記経時表示装置は、
外部対象物に貼着可能な貼着層を有するとともに、
表示手段と、
前記基台側端子部に対応して設けられ前記基台側端子部と接続可能である装置側端子部と、
この装置側端子部と電気的に接続され、前記経時表示装置が前記基台に装着された状態において前記基台側電源供給手段から供給される電力により充電可能である装置側電源供給手段と、
前記経時表示装置が前記基台から剥離されたか否かを検知する剥離検知手段と、
この剥離検知手段により前記経時表示装置が前記基台から剥離されたと検知された時点から計時を開始する計時手段と、
この計時手段によって計時された結果に基づいて前記表示手段の表示を制御し、前記経時表示装置が前記基台から剥離されてからの経過時間又は経過期間を表す表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴とする貼着式経時表示ユニット。
【請求項2】
前記経時表示装置を複数備えており、
前記基台は、前記経時表示装置の数に対応して複数の基台側端子部を備え、
これら複数の基台側端子部は、全て前記基台側電源供給手段と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の貼着式経時表示ユニット。
【請求項3】
前記貼着層は、前記外部対象物に接着可能に構成された接着剤層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼着式経時表示ユニット。
【請求項4】
前記経時表示装置は、予め経時表示可能な経過時間又は経過期間が設定され、前記経時表示装置が前記基台上に装着されている初期状態において、前記表示手段には前記経時表示可能な経過時間又は経過期間が表示されており、
前記表示制御部は、前記経時表示装置が前記基台から剥離されてから前記経時表示可能な経過時間又は経過期間が経過するまでの時間又は期間を前記表示手段に減算表示させるものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の貼着式経時表示ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−127880(P2012−127880A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281100(P2010−281100)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】