説明

赤外線放射源調整法及びその調整法を使用する装置

経時的に変化する周期的な電圧信号を赤外線放射源に加える過程と、電圧信号の媒介変数を測定する過程と、電圧信号を調整して赤外線放射源に供給されるほぼ一定の電力を保持する過程とを含む赤外線(IR)供給源を調整する方法。電圧パルスの測定された媒介変数と赤外線放射源の抵抗との間の予め決められた関係と、測定された媒介変数とに基づいて電圧信号が調整される。別法として、方法は、電圧パルスを印加する過程と、電圧パルスの第1の媒介変数と、電圧パルスを加える過程により赤外線放射源を流れる電流の第2の媒介変数とを測定する過程と、第1の媒介変数及び第2の媒介変数に基づいて電圧パルスを調整して、赤外線放射源に供給されるほぼ一定の電力を保持する過程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2004年6月29日に出願された米国特許出願番号第60/583,761号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、赤外線放射源の抵抗又は赤外線放射源に印加される電圧若しくは供給される電流が変化しても、赤外線放射源から出力される一定の赤外線出力を保持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療用途に広く使用される気体分析器は、(1)「分岐式」又は「副流式」気体採取装置と、(2)「非分岐式」又は「主流式」気体測定装置との2つの異なる型式に一般的に大別される。主流気体測定装置は、患者の呼吸気体流量が流れる呼吸回路の主経路に沿って配置される試料セルと、試料セルに連結されかつ呼吸気体の成分を測定する気体検出装置とを備える。副流式の気体測定装置は、通常、患者の気道に連結される呼吸回路である採取位置から採取された又は患者の気道から直接採取された気体の一部を試料採取管を通じて試料セルまで移送し、試料セルに連結される気体検出装置により呼吸気体成分が測定される。気体検出装置は、赤外線(IR)供給源及び検出器を含む呼吸気体を監視するのに必要な要素を備える。従来の主流気体測定装置の例は、下記特許文献1に開示される。従来の副流式の気体採取装置の例は、下記特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に開示される。
【特許文献1】米国特許第4,914,720号公報(ノードルその他名義)
【特許文献2】米国特許第4,692,621号公報(パサロその他名義)
【特許文献3】米国特許第4,177,381号公報(マックラッチー名義)
【特許文献4】米国特許第5,282,473号公報(ブラッグその他名義)
【特許文献5】米国特許第5,932,877号公報(ブラッグその他名義)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
赤外線を発生する赤外線放射源(「放出器」ともいう)は、気体検出装置に非常に重要である。特許文献1に開示される非分散気体分析器では、放出器は、低い熱伝導率を有する材料から成る基体に接着されて単極性又は両極性方式により電気パルスが印加される電気抵抗インクを有する。放出器の電気抵抗インク部から放出される高強度の赤外線エネルギは、鏡により平行に反射されるか又はレンズにより直接平行に偏向される。従来の赤外線放射源では、電圧調整器により印加される放出器電圧(Ve)を厳密に調整して供給源出力を安定化しなければならない。周知の電圧調整器には、線形モード方式又は切替モード方式がある。線形モード方式の電圧調整器は、供給される電力の30%以上を消費し、放出器の駆動に利用する電力の多くとも70%程度が残存するだけである。切替モード方式の電圧調整器は、供給される電力の10〜15%程度を消費するだけであるが、装置が複雑かつ高価である。
【0005】
製造過程での変化により、一連の放出器の中で各放出器の抵抗が一定値にならない点で更に問題が複雑化する。製造者は、気体検出装置の検出器部が初期段階で受信する信号に、より広い入力動作範囲を使用して、放出器の出力の変化に適応することができる。また、放出器の抵抗は、時間経過に従って徐々に変化し、その結果、放出器から赤外線が出力される。放出器(Ie)に流れる電流の変化を監視することにより、放出器の抵抗の変化を測定できる。前記変化の結果として、放出器の電圧又は電流が製造時の調整状態と異なれば、気体分析器が所定の規格から外れる可能性がある。
【0006】
既存の赤外線放射源が有する前記問題に対し、赤外線放射源の抵抗の変化を含むがこれに限らず、赤外線放射源の性質による入力駆動電圧の相違に適応できると共に、赤外線放射源から出力される赤外線の赤外線強度及びスペクトル力分布をほぼ一定に保持できる赤外線放射源を提供することが望ましい。また、費用、複雑性及び浪費電力を増加させる電圧調整器又は電流調整器を利用する必要がなく、適応可能な赤外線放射源の全ての長所を備えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の目的は、赤外線放射源を調整する従来法の欠点を克服する赤外線放射源の調整法を提供することにある。経時変化する周期的な電圧信号を赤外線放射源に加える過程と、電圧信号の媒介変数(パラメータ)を測定する過程と、電圧信号を調整して、赤外線放射源に供給されるほぼ一定の電力を保持する過程とにより本発明の前記目的を達成できる。電圧信号の測定された媒介変数と、赤外線放射源の抵抗との間の予め決められた関係と測定された媒介変数とに基づいて電圧信号を調整できる。
【0008】
本発明の別の実施の形態では、100%未満のデューティサイクルを有する電圧パルスを赤外線放射源に加える過程と、電圧パルスの第1の媒介変数を測定する過程と、赤外線放射源に電圧パルスを加える過程により得られる赤外線放射源を流れる電流の第2の媒介変数を測定する過程と、第1の媒介変数及び第2の媒介変数に基づいて電圧パルスを調整して、赤外線放射源に供給される電力をほぼ一定に保持する過程とにより、前記目的を達成できる。
【0009】
更に、本発明の他の実施の形態では、100%未満のデューティサイクルを有する電圧パルスを赤外線放射源に加える過程と、赤外線放射源に電圧パルスを加える過程により得られる赤外線放射源に応答して基準検出器に発生する信号の媒介変数を測定する過程と、基準検出器により測定しながら、電圧パルスを調整して、放出される一定の電力を保持する過程とにより、本発明の目的を達成できる。
【0010】
種々の図面で同一の部分には、同様の参照符号を付し、全て本明細書の一部を構成する添付図面、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲を考慮すれば、本発明の前記目的及び他の目的、特徴並びに特性に加えて、操作法、構造の関連要素及び組合せ部品の機能並びに製造の経済性は、明らかとなろう。しかしながら、例示及び図示の目的に過ぎない図面は、本発明の限界の定義を意図しないものであることを明瞭に理解すべきである。明細書及び特許請求の範囲に使用するように、別途明記しない限り、「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」の単数形は、複数の表示を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、主流気体検出装置及び副流気体検出装置の両方に適用できる。しかしながら、説明の簡素化のため、主流気体検出装置のみを図示して本明細書で説明する。図1及び図2は、ハウジング26及び気道アダプタ22を備える主流気体検出装置24を示す。ハウジング26は、赤外線放射源(ソース)28及び検知器ユニット30を収容し、主流気体検出装置24の台座を備える気道アダプタ22の中央部34に選択的に赤外線放射源28を取り付けることができる。図に例示する実施の形態では、主流気体検出装置24は、U字状のケース部材42により気道アダプタ22上に一体にかつ確実に配置される。図1の矢印44は、気道アダプタ22に対し主流気体検出装置24を選択的に着脱する方向を示す。
【0012】
気道アダプタ22の中央部34に開口部46及び48が形成される。気道アダプタ22に主流気体検出装置24を連結すると、開口部46, 48は、図2の符号50で示す光路に整合する。光路50は、変換器24内の赤外線放射源28から気道アダプタ22を横断し、気道アダプタ22を流れる気体(複数種の気体)中を通過し、赤外線放射源(即ち、放出器)28を含む脚部とは反対側の主流気体検出装置24の脚部に配置される赤外線検知器ユニット30に延伸する。
【0013】
主流気体検出装置24のハウジング26の壁76及び78に備えられる開口部72及び74に光学的に透明な窓68及び70が光路50に沿って取り付けられる。主流気体検出装置24の第1の部分(端部)58を成すハウジングに配置される赤外線放射源28から発生する赤外線が窓68,70を通じて気道アダプタ22を通過すると共に、気道アダプタ22を通過した赤外線は、主流気体検出装置24の第2の部分(端部)60を成すハウジングに配置される検知器ユニット30内に入射する。
【0014】
例示する図示の実施の形態では、検知器ユニット30は、箱状のハウジング234を備える。一体構造で熱伝導性形成されかつ一定温度に保持され又は温度が変化しない等温性の検出器支持体238がハウジング234に取り付けられる。相関する波長の電磁エネルギへの感度を有するセレン化鉛により形成した検出器258及び260をハウジング234内に配置するのが好ましい。検出器258及び260は、分光器(ビームスプリッタ)272と共に、熱伝導性の検出器支持体238により支持される。
【0015】
分光器272は、相関する波長の電磁エネルギに対して本質的に透明なケイ素又はサファイヤ等の光透過性材料より、ほぼ平行六面体形状に形成される。分光器272の受光前面262は、選択値より短い波長を有しかつ分光器262に照射される赤外線を情報検出器258に反射するコーティング(図示せず)により完全に被覆される。図に例示する実施の形態では、分光器272は、図2の矢印274で示すように、約4ミクロンより短い波長を有するエネルギを情報検出器258に向かって反射する。その代わりに、同図の矢印276で示すように、より長い波長のエネルギは、分光器262を通過して基準検出器260に伝送される。光帯域通過(バンドパス)フィルタ278及び280は、情報検出器258及び基準検出器260の前方で等温性の検出器支持体238に取り付けられる。
【0016】
図3は、ハウジング26の第1の部分58に適切に取り付けられる赤外線放射源28の一例を示す。赤外線放射源28は、厚膜状の赤外線放出部材80と、基体88に組み立てられて赤外線放出部材80を支持する放射放出器(エミッタ)組立体82とを備える。一実施の形態では、赤外線放射源28は、長さ6.350mm(0.250インチ)、幅1.016mm(0.040インチ)及び厚さ0.127mm(0.005インチ)を有する基板90を備える。しかしながら、厚さ0.076mm(0.003インチ)〜0.127mm(0.005インチ)の範囲で低熱伝導率を有する材料により基板90を形成することができる。赤外線放出部材80を動作温度まで加熱するのに要する電力を顕著に減少できるので、これは重要である。適切な電源から赤外線放出部材80の放射層92に電流を流すことにより、赤外線放出部材80は、適切な範囲の帯域幅で赤外線を放出する動作温度まで加熱される。
【0017】
上記のように、本発明は、赤外線放射源28に供給される電力を制御又は調整して、主流気体測定装置を使用する間に赤外線放射源28のエネルギ出力をほぼ一定レベルに保持できる。赤外線放出部材80は、パルス時間幅Teの放出電圧(Ve)等の電力を赤外線放出部材80に供給したときに加熱される抵抗Reを有する抵抗部材を備えことを理解すべきである。電力の定義(電力(ワット)=電圧×電流)及びオームの法則(電圧=電流×抵抗又は電流=電圧/抵抗)を使用して、一定の矩形波電圧で駆動される赤外線放出部材80に供給されるエネルギを、持続時間Teを乗算して(Ve*Ve*Te)/Reで表すことができる。赤外線放出部材80に既知量のエネルギ又は電力を供給することにより、温度が上昇して赤外線エネルギが放出される。赤外線放射の波長の関数としても変化する温度依存性の赤外線放射のスペクトル強度は、黒体放射に関するプランクの法則により説明される。抵抗Reが既知数で電圧Veを測定すれば、例えば、パルス幅W、持続期間Te、パルス波形、振幅、デューティサイクル又はこれらの何れかを組み合わせて変化させることにより、適切に電圧を変化させて、供給されるパルス化エネルギ、即ち、制御して放出される放射線をほぼ一定に保持することができる。要するに、本発明は、赤外線放射源28から放出される放射線に影響を与えれば、赤外線放射源28に印加される電圧信号の全ての特性を企図する。
【0018】
製造工程が変化すると、赤外線放出部材80の抵抗値が著しく変化するので、製造工程間に抵抗Reを測定して、後の比較のため記憶される。抵抗Reがパルス幅に関連する本発明を更に検討すると、製造工程間に関連性を決定して、後の比較のために記憶される。別法として、動作間に電圧及び電流の両方を測定して、反復して変化するパルス幅、形状、持続期間、振幅又は他の媒介変数を比較のために記憶することができる。
【0019】
赤外線放出部材80の抵抗値の変動への補償又は補正に加え、赤外線放出部材80の温度と放出される放射線との間に非線形特性があるため、本発明の調整法は、赤外線出力に対して拡大する影響を持つ赤外線放出部材80に印加される電圧の小さな変動に修正することができる。修正しなければ、電圧変動が赤外線放射の分光出力の変動に反映して、気体測定の精度が低下する。
【0020】
本発明は、経時変化する周期的な電圧信号290を赤外線放射源28に印加して、電圧信号290の媒介変数を計測することを企図する。図7Aを参照されたい。適切な媒介変数の一例は、赤外線放出部材80に印加される電圧レベルである。赤外線放射源28に供給される電力をほぼ一定に保持するように、電圧信号290が調整される。測定した電圧信号290の媒介変数と赤外線放射源28の抵抗との間の予め決められた関係と、測定した媒介変数とに基づいて電圧信号290が調整される。予め決められた関係は、例えば、製造間に赤外線放出部材80に決定される赤外線放出部材80の電圧対抵抗特性である。本発明では、電圧信号290の調整は、期間Fを有する電圧信号290の幅Wを調整する過程を含むことを企図する。他の種々の方法により電圧信号290を調整できかつ/又は説明できることを本発明が企図することは、理解できよう。例えば、電圧信号290のデューティサイクルに換算して電圧パルスの幅Wを説明することができる。
【0021】
本発明の更なる実施の形態は、100%未満のデューティサイクルを有する電圧パルスを赤外線放射源28に加える過程と、電圧パルスの第1の媒介変数を計測する過程とにより、赤外線放射源28からの赤外線放射出力を制御することを企図する。前記実施の形態と同様に、第1の媒介変数は、赤外線放出部材80の赤外線出力を変化させる電圧信号290の全ての特性である。本発明の調整法は、赤外線放射源28に電圧パルスを加えることにより赤外線放射源28に流れる電流の第2の媒介変数を測定する過程を更に含む。電流の適切な媒介変数の一例は、赤外線放射源28に流れるアンペア単位の電流量である。最後に、本発明の調整法は、電圧パルスを調整して、第1の媒介変数及び第2の媒介変数に基づいて赤外線放射源28に供給されるほぼ一定の電力を保持する過程を含む。
【0022】
本発明は、単極性(ユニポーラ)電源又は両極性(バイポーラ)電源を使用して、上記技術に従って放出器28に電力を供給することを企図する。図4は、放出器28を付勢する直流+5ボルトの単一電源を有する供給源駆動回路を例示する実施の形態を示す。図4に示すように、ローサイドスイッチとして構成されるNチャネルMOSFET224は、赤外線放射源28にパルス信号を供給する。放射源パルス信号は、ANDゲート220に供給される。電流制限抵抗器226は、ローサイドスイッチに供給される最大電力を制限する作用がある。MOSFET224の接地側のソース端子又はドレイン端子に検出抵抗222が接続される。赤外線放出部材80への通常のオン時間は、100Hzの周波数に等しい10ミリ秒周期で3500マイクロ秒である。赤外線放射源28の赤外線放出部材80の抵抗値(低温時)は、10から15オーム間で変化してもよい。測定回路200に接続される検出抵抗222に誘起される電圧を測定することにより、赤外線放射源28の電流210の値を決定できる。測定した電圧信号は、アナログ−デジタル変換器により増幅され、サンプリングされる。
【0023】
別法として、+Vp/-Vp電圧を発生する両極性電源を使用して赤外線放出部材80の動作を制御する供給源駆動回路228を例示する実施の形態を図5に示す。本実施の形態では、処理装置により制御されるタイミング回路232は、供給源駆動回路228にタイミング(同期)信号を出力する。工場での較正時に、赤外線放出部材80の電流とパルス幅との間の予め決められた関係を決定するので、通常運転時に赤外線放射源28の電流210を測定する必要はない。
【0024】
赤外線放出部材80の性能は、放出されるエネルギの波形に直結するので、抵抗への変動、赤外線放出部材80に印加される電圧、流れる電流又はパルス幅若しくはデューティサイクル等のタイミングへの変動は、赤外線放出部材80の性能を達成するものである。比較的単純なパルス波形が赤外線放出部材80に電力を供給するのに極めて有効であるから、本発明は、矩形の電圧パルス又は電流パルスを使用して赤外線放出部材80に電力を供給することを企図する。しかしながら、本発明は、矩形波の電圧又は電流による駆動に制限されない。
【0025】
本発明の目標は、赤外線放射源28の変化する電圧の下で、赤外線放射源28に供給される一定の電力を保持することである。本実施の形態では、赤外線放射源28に供給される各パルス出力は、ほぼ矩形であり、電力定義及びオームの法則を使用して赤外線放射源28に供給されるエネルギを下式(1)に表すことができる。
【0026】
【数1】

【0027】
ここで、Eは、赤外線放射源28に供給されるエネルギ値、Vは、赤外線放射源28に印加される電圧値、Rは、赤外線放射源28の抵抗値、Tは、パルス幅(図7AのW)又はパルスのオン時間である。同様の展開式を非矩形波パルスに記載してもよい。赤外線放射源28/赤外線放出部材80の抵抗値は、下式(2)から得られる。
【0028】
【数2】

【0029】
赤外線放射源(特に厚膜型の赤外線放射源)28の特性により、赤外線放射源28の抵抗値がパルス幅に依存する関係が生じる。種々の数学関係式を使用して前記2変数を関連付けられるが、mをスロープ値(時間と共に変動する抵抗値)、kをオフセット値(基準抵抗値)として、単純な線形(比例)関係を選択して抵抗値RをmT+kに置換できれば、式(2)を下式で表すことができる。
【0030】
【数3】

【0031】
式(3)のパルス幅は、下記の解を与える。
【0032】
【数4】

【0033】
生産/製造工程時に較正手順を実行して、各赤外線放射源28と主要な媒介変数に対する抵抗値とパルス幅との関係式を確立しかつ記憶して、主流気体検出装置24の動作間に後で関係式を使用することができる。図8は、赤外線放射源28の若干異なる特性とパルス幅の演算値とを有する2つのセンサを示す。線300及び線302は、それぞれ第1のセンサ及び第2のセンサを示す。
【0034】
本発明では、性能仕様を維持しつつ、製造過程及び設計過程で赤外線放出部材80の抵抗及び電圧を従来法よりより大きく変動させることができる。本発明の調整法では、再校正が通常要求される前に、気体測定の安定性を増加しかつ主流気体検出装置24の精密な動作期間を拡張することができる。本発明の更なる長所は、追加の電圧調整を要せず、付随する電圧調整の複雑性、費用及び電力を省略できることである。
【0035】
明らかに安定な調整された光出力を供給しながら、電圧が著しく変動する状態でも、赤外線放出部材80を順調に作動できることが実験の結果判明した。図7Bの表は、本発明の効果のみならず、赤外線放射源28のパルス幅が変動したときの最高温度(ピーク温度)の変化を示す試験データである。赤外線放射源28に電圧5ボルトを印加し、3800マイクロ秒の持続期間(パルス幅)で250mA=0.0048J/パルスを付与すると、1つにつき赤外線放射源28の相当最高温度680℃を発生する。従来の装置では、赤外線放射源28の電圧が4.75と5.25ボルトとの間で変動すれば、最高温度は、110.4℃と125.5℃との間で15℃変動する(図7Bの表2)。本発明の装置では、仕様が赤外線放射源28即ち、赤外線放出部材80の電圧Vsrcに5%変動を許容しても、5ボルトの電圧は、4.75〜5.25ボルトの間で変動するので、パルス幅が適切に変化して、最高変調温度がほぼ一定に保持される(図7Bの表1)。
【0036】
処理装置を介するのみならず、電気回路を含む種々の手段により、パルスタイミングを調整することができる。図9は、処理装置(マイクロプロセッサ)430で制御される主流気体検出装置24の電気回路図である。処理装置430は、線445上に単極性パルスを発生する。供給源放出器監視部420は、スイッチ440がイネーブル(導通)状態のときに、供給源放出器組立体410のみにパルスの付与を保証する安全装置となる。電流検出回路を使用して、各パルス間に赤外線放出部材80の最高(ピーク)電流値を測定することができる。電圧測定回路は、各パルス間に赤外線放出部材80に印加される最高(ピーク)電圧値を測定する。処理装置430は、電圧測定値を使用して各パルスの持続期間(パルス幅)を調整し、一定のエネルギ供給を保持する。較正過程間に電流値を使用しかつ赤外線放出部材80の変動又は変化の監視及び修正にも電流値を使用することができ、較正過程を反復せずに装置の寿命を延長することができる。
【0037】
本明細書に記載される好適な実施の形態では、矩形の電圧パルスを使用して、赤外線放出部材80を付勢し、赤外線放出部材80に供給する電力を制御する方法で、パルスの持続期間(パルス幅)を変更することができる。別法として、周期的な正弦波信号又はあらゆる波形状の周期的な正弦波信号を使用することができる。本明細書に記載される1つ又は2つ以上の媒介変数の測定値に基づいて、付勢信号の持続期間又は波形状を変更又は調整することにより、赤外線放出部材80に供給される電力を制御して、赤外線放出部材80に供給される電力を一定に保持するか又は赤外線放出部材80から放射される赤外線を一定の強度に保持してもよい。
【0038】
現在最も実用的で及び好適と思われる実施の形態を図示して詳述したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。例えば、何れかの実施の形態の1つ又は2つ以上の特徴を何れかの他の実施の形態の1つ又は2つ以上の特徴に可能な範囲内で組み合わせることができることを本発明が企図することは、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】分析すべき気体の流路を形成する気道アダプタと、混合気体中の一種の気体濃度を示す信号及び基準信号を出力する主流気体検出装置との分解斜視図
【図2】図1の気道アダプタ/主流気体検出装置の光学系を示す断面図
【図3】赤外線放出部材を支持しかつ電気的に接続するのに使用されるフレーム支持リングの分解斜視図
【図4】赤外線放出素子に使用される単極性電子駆動回路の電気回路図
【図5】赤外線放出素子に使用される両極性電子駆動回路の電気回路図
【図6】680℃の最高温度を有する2周期間の赤外線放出素子の温度変化を表すグラフ
【図7A】F期間の一連のパルスを示す波形図
【図7B】定電圧でパルス幅を変化させたときの最高温度の変化を示す表1と、放出器の電圧を±5%で変化させてもほぼ一定に維持される最高温度を示す表2とから成る2つの表
【図7C】定電圧でパルス幅の変化に対する温度変化を示すグラフ
【図8】2つの異なるセンサのパルス幅と放出器の電圧との関係を示すグラフ
【図9】本発明の原理に従い、マイクロプロセッサにより駆動される赤外線放射源を備えた気体測定装置の電気回路図
【符号の説明】
【0040】
(28)・・赤外線放射源、 (200)・・電流センサ、 (200)・・電圧センサ、 (224)・・電気的パルス、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経時変動する周期的な電圧信号を赤外線放射源に加える過程と、
電圧信号の媒介変数を測定する過程と、
電圧信号を調整して、赤外線放射源に供給される電力をほぼ一定に保持する過程とを含み、
電圧信号の測定された媒介変数と赤外線放射源の抵抗値との間の予め決められた関係と、測定された媒介変数とに基づいて電圧信号を調整することを特徴とする赤外線放射源からの赤外線出力を調整する方法。
【請求項2】
電圧信号は、単極性又は両極性の電圧パルスである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電圧信号の媒介変数は、振幅値である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
電圧信号の電圧パルス幅を調整する電圧信号の調整を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
100%未満のデューティサイクルを有する電圧パルスを赤外線放射源に加える過程と、
電圧パルスの第1の媒介変数を測定する過程と、
赤外線放射源に電圧パルスを加える過程により得られる赤外線放射源を流れる電流の第2の媒介変数を測定する過程と、
第1の媒介変数及び第2の媒介変数に基づいて電圧パルスを調整して、赤外線放射源に供給されるほぼ一定の電力を保持する過程とを含むことを特徴とする赤外線放射源からの赤外線出力を調整する方法。
【請求項6】
電圧信号は、単極性又は両極性の電圧パルスである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電圧信号の媒介変数は、振幅値である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
電圧信号の電圧パルス幅を調整する電圧信号の調整を含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
赤外線放射源と、
赤外線放射源に作動接続されかつ赤外線放射源に流れる電流を測定する電流センサと、
赤外線放射源に接続されかつ赤外線放射源に印加される電圧を測定する電圧センサと、
赤外線放射源に電気的パルスを加えて、赤外線放射源にほぼ一定の電力を供給する供給手段とを備えることを特徴とする赤外線パルス発生装置。
【請求項10】
赤外線放射源は、赤外線放射性の電気抵抗材料を備える請求項9に記載の装置。
【請求項11】
電気パルスを印加する供給手段は、単極性の電源電圧を含む請求項9に記載の装置。
【請求項12】
電圧センサは、単極性の電源電圧を測定する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
電気パルスを印加する供給手段は、両極性の電源電圧を含む請求項9に記載の装置。
【請求項14】
電圧センサは、両極性の電源電圧を測定する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
電流センサは、検出抵抗と、検出抵抗に印加される電圧を測定する測定回路とを備える請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−505342(P2008−505342A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520351(P2007−520351)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/022953
【国際公開番号】WO2006/091218
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】