説明

赤外線測定装置、及び、製造工程への赤外線測定装置のオンライン適用方法

測定システムの光源(22)がInGaAsシステム検出器(68a〜68d)の標準化/校正及び正規化のために必要最小限の時間だけ遮断されるように、単一羽根(46,48)から成るシャッターフラッグ(38)が非同期的に制御される。半球状の光源光/検出器光ホモジナイザー(50,62)又は直列に連結されたランダム配向光ファイバー束(132)が、各検出器素子へ通される光を均質化する。光源のテストは、複数の光源パワーレベルでスペクトルパワー分布を測定し、それらの測定値を光源のために確定された基線特性と比較することによって実施される。校正用サンプルの寿命は、標準光レベルが供給されている短い校正時間以外には光源を遮蔽するようにシャッターフラッグを制御することによって延長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線測定装置及び方法に関し、特に、ウエブ製品の水分、繊維含量、温度等の特性を測定するための多重(多数の)インジウムガリウム砒素(InGaAs)検出器(センサー)を有する赤外線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、プラスチックフィルム、布地等の平らなシート製品の製造において、現行の技術の測定デバイスは、それらが測定したパラメータに基づいて、プロセス制御システムに用いられる情報のフィードバックを可能にする構成とされている。この情報は、手動プロセス制御システムでも、自動プロセス制御システムでも用いることができる。この種のプロセス制御システムに用いられるセンサーは、高湿度の、汚れた、高温の、及び、又は濡れた環境下で作動する場合、高速で移動し、羽ばたき振動(フラッター)するウエブに関して正確な測定情報を提供することが求められる。そのようなセンサーは、通常、測定プラットホーム上に設置され、測定プラットホームは、プロセス(製造中の)ウエブがプロセス(加工)方向に相対的に速い速度で移動する間、センサーを交差プロセス方向(プロセス方向に対して横断する方向)にゆっくりと走査する。
【0003】
赤外線分光センサーは、この種の制御システムにおいて一般的な測定デバイスである。これらのセンサーは、固有の特性の有無及び、又は強さを表す特定波長帯域の赤外線の吸収度を測定する。センサーが測定することができる特性は、製品の水分、ポリマー、セルロース及びその他の成分等の特性である。一般的なアプリケーション(応用例)の1つは、製造工程中移動する紙ウエブの水分割合(重量)(含水率)の測定である。
【0004】
赤外線分光センサーによる測定は、製品に含まれる水及びその他の成分による、近赤外線領域のほぼ0.75μm〜10.0μmのいろいろな波長帯域の吸収度の差を利用する。プロセス制御装置は、1つ又は複数の基準波長の赤外線エネルギーの透過率及び、又は反射率の測定値を1つ又は複数の吸収波長の赤外線エネルギーの透過率及び、又は反射率の測定値と比較する。これらの基準波長は、製品の成分のうちのできるだけ多くの成分別に比較的低い吸収係数のものが選択され、吸収波長は、成分別に比較的高い吸収係数のものが選択される。幾つかの異なる波長の測定値を用いることによって、例えば光の散乱の結果として製品中を通過する光の光路長のような他の干渉(妨害)パラメータを測定、及び、又は排除することができる。これらのセンサーは、移動するプロセスウエブ上の同じ区域を代表する幾つかのスペクトルバンドの赤外線エネルギーをすべて同時に測定することを求められる。そのような同時測定を行うには、通常、各々対象スペクトルバンドの赤外線エネルギーを検出する多重検出器即ちセンサーが必要とされる。いろいろな異なる赤外線波長に影響を及ぼすウエブの特性は、ウエブ上の短い距離の間で変化することがあるので、各検出器に対して露呈されるウエブの区域が異なると、測定エラーを招くことになる。単に個々の検出器を互いに近接させて置くだけでは、精度要件を充足するには、通常は不十分である。所要の測定を展開するためにこれらの検出器からの信号を数学的に組み合わせることができる。
【特許文献1】米国特許第5,870,926号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、測定システムには、硫化鉛(PbS)又はセレン化鉛(PbSe)等の鉛塩の検出器が用いられてきたが、インジウムガリウム砒素(InGaAs)センサーを用いる測定システムは、鉛塩検出器を用いた場合に遭遇する複雑さの一部を克服することができる。InGaAs検出器は、光ファイバー通信の分野では普通に用いられており、製品の含水量を測定するためにInGaAsデバイスと組み合わせて赤外線発光ダイオードを用いることは周知である(米国特許第5,870,926号参照)。InGaAsセンサーは、鉛塩検出器とは異なり、光起電性であるから、光を吸収すると、鉛塩検出器におけるように抵抗を変化させるのではなく、電圧を変化させる。鉛塩検出器も、InGaAs検出器も、27゜C前後の室温近傍の温度で良好な性能を発揮するが、鉛塩検出器の場合は、温度に対する感受性が高いため、所望の測定精度を達成するには許容差0.001゜C以内の安定した検出器温度を維持しなければならない。鉛塩検出器は、温度に対してそのように敏感であるため、多重鉛塩検出器を用いるシステムでは、温度ドリフト及びセンサーの暗電流によって惹起されるエラーを修正するためにしばしば「標準化」を行わなければならない。従って、鉛塩センサーの中には、温度ドリフトや暗電流の影響がすべての被測定波長にとって共通となり、信号処理中に相殺されるように、1個だけのセンサーを用いるものがある。しかしながら、このように単一の検出器を用いた場合は、いろいろな異なる波長を時間をおいて別々に測定しなければならない。これに対して、InGaAsセンサーは、温度に対する感受性が極めて低く、鉛塩検出器のそれの1/3000以下である。鉛塩センサーのもう1つの周知の難点は、時定数が比較的長く、ミリ秒のレンジであるため、測定速度が遅くなることである。
【0006】
多重検出器を利用する既存のセンサーには、すべての検出器にウエブの同じ区域を露呈させるために光ビームスプリッターを用いているものがある。一般的なタイプのビームスプリッターは、部分的に又は選択的に反射性のミラーである。部分反射器は、入射光エネルギーの何分の1かを透過させ、残りの大部分を反射する。多重検出器が適正に整列されていれば、反射された光に露呈される検出器と、透過された光に露呈される検出器とは、ウエブの同じ区域を「見る」。しかしながら、部分反射型ビームスプリッターの1つの欠点は、各ビームスプリッターで信号の振幅が減少されるため、実際に使用可能な検出器の数が制限されることである。選択的反射型ビームスプリッターは、入力光ビームをその振幅の何分の1かの部分として分割するのではなく、特定の波長を透過させ、他の波長を反射させるので、入力光ビームをそのスペクトル分布に従って分割する。部分反射型ビームスプリッターは45%の効率を越えることは希であるのに対して、実用可能な波長選択性(選択的反射型)ビームスプリッターは80%に近い効率を達成することができる。しかしながら、波長選択性ビームスプリッターは、部分反射型ビームスプリッターより高価であり、光エネルギーの入射角に非常に敏感で、その設計入射角を中心として僅かな範囲の入射角でしか機能しない。又、反射性ビームスプリッターを使用した場合、すべての検出器を正確に位置づけすることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、これらの問題を克服又は軽減する赤外線分光測定デバイスを求める要望がある。
【0008】
この要望は、赤外線分光測定デバイスを提供する本出願の発明によって充足される。
【0009】
本発明の一側面によれば、製造工程中のウエブの特性を測定するために光源からの光を用いる赤外線分光測定デバイスにおいて、光源を遮断するためのシャッター機構が提供される。このシャッター機構は、出力軸を有するモーターと、該モーターの出力軸に結合されており、該モーターの作動によって前記光源を完全に遮蔽する位置へ回転されるようになされたシャッターフラッグ(遮光幕板)と、該光源を遮断するために該モーターを非同期的に制御するための制御器とから成る。
【0010】
本発明の別の側面によれば、製造工程中のウエブの特性を測定するために光源からの光を検出するための少くとも1つのセンサーを備えた赤外線分光測定デバイスにおいて、光源を遮断するための方法が提供される。この方法は、出力軸を有するモーターを設ける工程と、該モーターの出力軸にシャッターフラッグを連結する工程と、該シャッターフラッグを、前記光源を完全に遮蔽する位置へ回転させるために該モーターを作動する工程と、該光源を遮断するために該モーターを非同期的に制御する工程とから成る。
【0011】
本発明の更に別の側面によれば、製造工程中のウエブの複数の特性を同時に測定するために該ウエブの単一のサンプル部分からの光を混合し、分配するための装置が提供される。この装置は、前記サンプル部分から光を受け取り、その光を出力端を被って均一に分配する検出器光ホモジナイザーと、該検出器光ホモジナイザーの出力端から光を受け取り、その光の複数の部分を複数の分割された出力端へ分配する光分配器とから成る。
【0012】
本発明の更に別の側面によれば、分光検出システムに使用するための赤外線光源をテストするための方法が提供される。
【0013】
本発明の更に別の側面によれば、測定システムを校正するために製品サンプルの少くとも1つの特性を測定する方法が提供される。この方法は、該サンプルを平常の製品測定強度で作動する光源で照射する工程と、該光源をテスト時間の所定の何分の1かの時間の間遮蔽する工程と、該光源が遮蔽されていないとき前記サンプルからの光を測定する工程とから成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の利点は、以下に添付図を参照して記述する本発明の実施例の説明から明らかになろう。
【0015】
最初に、添付図(各図を通して同様な要素には同じ参照符号が付されている)、特に、ウエブ製品の特性を測定するための本発明の赤外線測定装置10の一実施形態を示す図1A、1B及び図2を参照して説明する。本発明は、一般に、製造中のいろいろなタイプのウエブ製品の測定に適用することができるが、ここでは紙ウエブ90に適用した場合に関連して説明する。赤外線測定装置10は、光源組立体20と、検出器組立体60を含む。
【0016】
光源組立体20は、光源に印加される電圧レベルによって制御される光強度を有する広帯域幅の、又は、白色光の光源信号(以下、「光源」と称する)22を用いる。光源22は、金メッキ反射器26と、ハロゲンガスによって囲まれたタングステンフィラメントを備えたタングステンハロゲン金メッキ反射器ランプのような収束投光ランプ(1点に焦点を合わせて投光するランプ)から成る。検出器組立体60は2μmの波長範囲又はその近傍の波長域の光を検出するので、光源22に供給される電圧は、ランプを冷却し、ランプの放射曲線を可視スペクトルからシフトさせる、即ち、約3500Kの設計「色温度」から約2600Kの目標温度にまでシフトさせるために設計電圧以下に低下させることができる。かくして、光源22は、主として赤外線を放出するようにすることが好ましい。又、光源22は、多重赤外線波長を含む高エネルギー密度を反射器26の縁から制御された焦点距離のところに位置する直径約1cmの焦点スポット上に放出するようにすることが好ましい。光源22は、そのランプ寿命を延長し、測定システムに及ぼす熱作用を軽減するために空冷シュラウド28を用いて空冷するか、又は、その他の方法で冷却することができる。光源組立体20は、又、光源からの光を導くための光導波管30を備えている。必要ならば、感湿性を低くするために光導波管30の光源22から遠い側の端部にディフューザー32を設けることもできる。
【0017】
光源組立体20は、又、シャッター機構34を備えている。シャッター機構34は、シャッターモーター36と、シャッターフラッグ38と、シャッター制御器82から成る。シャッターフラッグ38は、光源22を完全に遮蔽する位置へ回動させることができるようにシャッターモーター36の出力軸42に結合されている。シャッターフラッグ38は、適正なシャッター機能を果たすことができ、かつ、その角運動の慣性モーメントを小さくするような形状とされる。この目的のために、シャッターフラッグ38は、単一の羽根として形成され、光源22より幅の狭い基軸部分を構成する第1セクション46と、光源22を完全に遮断することができるように基軸部分より幅広にされた第2セクション48から成る。シャッターフラッグ38は、その角運動の慣性モーメントを小さくするためにその第1セクション46に少くとも1つのアパーチャー44が穿設されている。シャッターフラッグ38の第1セクション46が、シャッターモーター36の出力軸42に連結される。シャッターフラッグ38の第2セクション48は、第1セクション46の基軸部分からフラッグの先端まで拡開して切頭扇形をなしている。シャッターフラッグ38は、金属、例えばチタン、アルミニウム又はその他の適当な金属で形成することが好ましい。又、シャッターフラッグ38は、放射率を低くするために光源22とは反対側の面を磨き仕上げとし、光源22に面する側の面には吸光性コーチングを被覆することが好ましい。吸光性コーチングは、つや消しの黒色ペイントであってよく、発生する熱を周囲大気及び軸42へ伝動するのを助成するものとすることができる。
【0018】
シャッターモーター36は、シャッターフラッグ38をそれが光源22を周期的に又は選択的に遮断するように移動させるステップモーター又はその他の適当な駆動デバイスである。シャッター制御器82は、印刷回路板で構成することができ、シャッターモーター36の作動を非同期的に制御するための調節可能な角度加速度パラメータ及び最大角速度パラメータを有するチョッパー又はシャッターモーター制御器760を含む。シャッター制御器82は、システムプロセッサー80からデジタル制御メッセージ(信号)を受け取るための直列通信ポート83を有する。デジタル制御メッセージは、光源の強度と、シャッター設定を含み、診断プログラムを実行する。又、光源組立体20は、その温度、「電源OK」及びその他の条件をモニターするためのトランスジューサ(図示せず)を備えたものとすることもできる。
【0019】
又、光源組立体20は、光源の光を均質化する光源光ホモジナイザー50と、光源窓52を備えている。光源光ホモジナイザー50は、光源組立体20と検出器組立体60との間に延在するウエブ90の単一のサンプル部分に向けて光を反射させるための反射性内側面を有するほぼ半球状のキャビティから成る。光源窓52は、光源光ホモジナイザー50の開口を覆っており、本発明の測定装置に用いられる波長において低い吸収率を有する規格「パイレックス(登録商標)」ガラスで形成することができる。光源光ホモジナイザー50は、光源窓52を光源光ホモジナイザー50とベースプレート56に密封結合させるO−リング54,54と共に光源窓52を位置づけすることができるように切頭半球の形に付形される。光源組立体20のベースプレート56は、光源組立体の構成部品を取り付けることを可能にするとともに、ウエブ90がプロセス方向に移動する間に光源組立体20を交差プロセス方向にウエブ90を横切って走査させるための適正な表面を提供する。
【0020】
図1A及び図2を参照して説明すると、検出器組立体60は、光源22の光源光ホモジナイザー50と実質的に同じように、光源組立体20と検出器組立体60との間に延在するウエブ90の単一のサンプル部分に向けて光を反射させるための反射性内側面を有するほぼ半球状のキャビティから成る検出器光ホモジナイザー62を有する。図示の検出器組立体60は、検出器ハウジング69内に6つの光検出器素子68a〜68f(総体的に符号68で示される)を収容する容量を有しており、それらの光検出器素子のうちの1つは、同期化のために用いることができる。即ち、それは、後述するように、他の光検出器素子によって発生された信号を処理するための「同期」検出器として機能させることができる。図3には、2つの検出器素子68a,68cと、1つのダミー素子即ち空素子68eが示されている。(これらの2つの検出器素子68a,68cと1つの空素子68eの真後にそれぞれ検出器素子又は空素子68b,68d,68fが配置されているが、図3では見えない。)もちろん、6つの光検出器素子より多くの、あるいは、それより少ない素子を収容するハウジングを設けることができる。光検出器素子(単に「検出器素子」又は「検出器」とも称する)68は、InGaAs検出器であることが好ましいが、検出すべき対象特性によっては他のタイプの検出器とすることもできる。例えば、比較的長い波長を測定したい場合は、セレン化鉛又は珪化白金の検出器を用いることができる。後述する光伝送構造体は、図1Aでは、図示を簡略にするために、前側の3つの光検出器素子68のための伝送構造体だけしか示されていないが、実際には、図1Aの検出器ハウジング69に収容されている後側の3つの光検出器素子68についても同じ光伝送構造体が設けられている。
【0021】
本発明の実用実施例では、4つの検出器素子68a〜68d、即ち、3つの吸収波長検出器素子68a,68b,68c(上述したように、検出器素子68bは図3において検出器素子68aの真後に配置されているが,図示されていない)と1つの基準波長検出器素子68d(上述したように、検出器素子68dは図3において検出器素子68cの真後に配置されているが,図示されていない)を使用し、本物の検出器素子を受容するために利用することができる部位にダミー素子即ち空素子68e,68fを配置した。(上述したように、空素子68fは図3において空素子68eの真後に配置されているが,図示されていない。)検出器素子68a〜68fのうちの1つは、同期化のために、即ち、「同期」検出器として用いることができるが、図示の例では、可視光スペクトル並びに1.1μmまでの赤外線スペクトルに対して感受性を有するシリコン「同期」検出器67(図1A及び図2参照)を検出器光ホモジナイザー62の同期ポートに挿入して用いた。シリコン「同期」検出器は、いかなる狭帯域測定検出器よりも感受性が高く、シャッターが開放しているか、閉鎖しているかを寄り正確に判定するのに用いられる。
【0022】
これらの検出器素子は、本明細書を通して詳述されているが、検出器の個数及びそれらの配置は、本発明の範囲内においていろいろに変更することができる。例えば、温度測定波長を検出するための追加の検出器素子68を設けることができる。検出器素子68a〜68cのような個別の波長検出器素子を用いることにより、本発明の測定装置がウエブ90の同一のサンプル部分からのそれぞれ対応する波長のエネルギーを実質的に同時に測定することを可能にし、それによってウエブ90の複数の特性の同時検出を可能にする。検出器光ホモジナイザー62の開口を覆う検出器窓78は、本発明の測定装置に用いられる波長において低い吸収率を有する規格「パイレックス(登録商標)」ガラスで形成することができる。検出器光ホモジナイザー62は、検出器窓78を検出器光ホモジナイザー62とベースプレート89に密封結合させるO−リング88,88と共に検出器窓78を位置づけすることができるように切頭半球の形に付形される。検出器組立体60のベースプレート89は、検出器組立体の構成部品を取り付けることを可能にするとともに、ウエブ90がプロセス方向に移動する間に光源組立体20を交差プロセス方向にウエブ90を横切って走査させるための適正な表面を提供する。
【0023】
図1A及び2に示された実施例では、検出器光ホモジナイザー62は、ほぼ半球状のキャビティから成り、反射性材のコーチングを被覆されており、ウエブ90を透過した光のための光混合キャビティとして機能する。検出器光ホモジナイザー62は、ウエブ90のサンプル部分から光を受け取り、その光を光入力ポート64とも称される検出器光ホモジナイザー62の出力端を被って均一に分配する。検出器光ホモジナイザー62は、ウエブ90に対して実質的に直角をなす軸線62aを有し、この検出器軸線62aは、やはりウエブ90に対して直角をなす光源光ホモジナイザー50の軸線50aと心合させてもよく、あるいは、心違い距離(オフセット)Oだけ光源光ホモジナイザー50の軸線50aからオフセットさせ(偏倚させ、即ち、ずらせ)てもよい(図2A参照)。図2Aの概略図は、本発明の変型実施例として、検出器光ホモジナイザー62の反対側に配置された斜めに向けられた光源22aと光ポート64aを示す。検出器光ホモジナイザー62は、又、その中心にシリコン「同期」検出器67を備えている。
【0024】
以下に説明するように、光ポート64は、ウエブ90に対して直角をなす検出器光ホモジナイザー62の軸線62aから約0゜〜約70゜、好ましくは、約45゜〜約65゜オフセット(偏心、即ち、偏倚)した角度に向けられる。又、複数の光ポート64を検出器光ホモジナイザー62の軸線からオフセットした角度に向けて配置することもできる。例えば、4つの光入力ポート64を検出器光ホモジナイザー62の半球形状の周に沿って90゜の間隔を置いて、かつ、ウエブ90に対して約45゜の角度をなすように配置することができる。
【0025】
図3に示されるように、均質化(ホモジナイズ)された光のうちの光入力ポート64に集められた部分は、光ファイバー66の束に入力される。これらの光ファイバー66は、入力された光を何分の1づつの部分に分割するように分割されており、従って、光入力ポート64で受け取られた光部分は、それぞれ分割された光ファイバー66を通して複数の分配された出力端70a〜70f(図3には出力端70b,70d,70fは示されていない)へ分配される。かくして、分割された光ファイバー66によって構成される光ビームスプリッター76は、光分配器として機能する。詳述すれば、光ファイバー66は、ランダムに分配又は配向された光ファイバーの束66aから成り、それらの分配された光ファイバーは、光ポート64で受け取った光を個々の検出器素子68a〜68fへ伝送するために光ポート64に結合されている。ランダムに分配された光ファイバーの束66aは、複数の小束(分割束)66bに分割され、それらの小束66bが、各々、検出器素子68a〜68fの対応する1つに結合されている。光ファイバーの束66aは、何百本もの個別光ファイバーを束ねたものとすることができる。
【0026】
図4は、図1A、1B、2及び2Aの半球状キャビティ50,62の1つ又は両方に代えて、又は、それらを補助するものとして用いることができる、光ファイバーから成る変型光ホモジナイザー132を示す。この光ファイバー製光ホモジナイザー132は、直列に接続された光ファイバーの2つのセクション又は束から成る。即ち、ランダムに分配された光ファイバーの第1セクション又は束420が、第1セクションの光ファイバーとは独立してランダムに分配された光ファイバーの第2セクション又は束430に直列に接続されている。光は、光ホモジナイザー132の第1端420aで受け取られ、第1束420のランダム分配光ファイバーを通して第2束430のランダム分配光ファイバーへ搬送され、第2束を通して光ホモジナイザー132の第2端に位置する出力端430aへ搬送される。ランダム分配光ファイバーの第1束420は、ランダム分配光ファイバーの第2束430とは独立した、従って、異なるランダム化(無作為化)を有する。ファイバーの長さは、十分なランダム化を可能にする最小限にまで短くされ、好ましくは、特殊な赤外線伝送光ファイバー材で形成される。上述したどの実施例においても、特殊な赤外線伝送光ファイバー材は、ドイツのショット・ガラス社製であり、ニューヨーク州オーバーンのショット・フォステック社から入手することができる。
【0027】
図3に示されるように、光ファイバー66の分配出力端70a,70c,70e(70a〜70fのうち70a,70c,70eだけが示されている)からの光信号は、検出器ハウジング69内の検出器素子68a,68c及び空素子68eとそれぞれ組合わされた帯域フィルター72a,72c,72e(72a〜72fのうち72a,72c,72eだけが示されている)及び好ましくは円錐形の集光器74a,74c,74e(74a〜74fのうち74a,74c,74eだけが示されている)を通って進む。帯域(バンドパス)フィルター72は、集光器74に固定された保持具77及びO−リング75によって集光器74に保持される。あるいは別法として、集光器74の代わりにレンズを用いてもよい。各帯域フィルターは、各検出器素子が測定すべき特性に対して吸収特性を最適にするようにできるだけ精密に調整される。ビームスプリッター76は、光ファイバー66の分配出力端70a〜70fを帯域フィルター72に対して接近又は離隔する方向に移動させることができるように、検出器ハウジング69に対して調節自在に取り付けることが好ましい。かくして、フィルターからみた光ファイバーの立体角を変えることによってビームスプリッター76に入射する光の角度を制御することができる。
【0028】
信号検出器素子68は、それらの検出器素子によて発生された信号を処理するための回路(図示せず)を含む検出器基板84に取り付けられる。図示の実施例の検出器素子68b,68dと検出器素子68fは、図3に示されるは示されていないが、それらは、図に示された対応するそれぞれの素子と同じである。波長検出器素子68a〜68dからの信号は、測定された特性又は基準値の関数である電圧である。シリコン「同期」検出器67からの信号は、2進信号であることが好ましい。検出器基板84は、印刷回路板とすることができ、システムプロセッサー80、及び、システムプロセシング及び調節に必要とされるその他の追加のデバイスにリンクされる。検出器基板84は、システムプロセッサー80からデジタル制御メッセージを受け取るための通信ポートを有している。デジタル制御メッセージは、ゲイン(利得)、オフセット及び校正設定等を含み、各検出器について診断を行う。
【0029】
光源光ホモジナイザー50も、検出器光ホモジナイザー62も、紙ウエブ90を通しての多重反射を可能にすることによって紙の斤量及びセンサーの心ぶれ特性を最適化するのを助成する。光入力ポート64に向けてランダムには向けられていない紙ウエブ90の中央赤外線照射区域から散乱する光は、光源光ホモジナイザー50及び検出器光ホモジナイザー62によって紙ウエブ90の中央に向けて反射されるので、薄い紙ウエブの場合、検出された光の平均光路は、紙ウエブ90を何回か透過したものとなる。測定すべき紙ウエブが中程度、又は重い斤量のものであれば、光源光ホモジナイザー50を用いなくてもウエブを透過しての十分な光路が得られる場合がある。
【0030】
作動において、光源22からの送達赤外線は、光源光ホモジナイザー50と検出器光ホモジナイザー62の間に位置する紙ウエブ90の小さな区域(以下、「被測定区域」又は単一のサンプル部分と称する)上に投射される。紙ウエブ90の素材は、この入射赤外線光と相互作用し、測定される特性に応じていろいろな異なるスペクトル成分を吸収するか、又は透過させる。被測定特性としては、水分、ポリマー、セルロース等、特定の、明確に区別された赤外線吸収帯域を有する任意の特性が含まれる。送達された光成分は、一定範囲の角度で紙ウエブ90を透過する。
【0031】
図2に示されるように、検出器光ホモジナイザー62は、紙ウエブ90の光源22のある側とは反対側に配置されており、該検出器光ホモジナイザーの幾何学的中心がウエブ90の被測定区域上に位置するように光源光ホモジナイザー50と軸方向に整列(心合)するようになされている。この構成を用いると、紙ウエブ90から出射した光は、検出器光ホモジナイザー62に衝突してウエブの被測定区域に向けて反射される。この光の多くの部分は、紙ウエブ90と検出器光ホモジナイザー62との間で多数回反射される。この多数回の反射のうちの1回の反射ごとにこの光の小部分が検出器光ホモジナイザー62の縁近くにある光入力ポート64によって捕捉される。これらの多数回の反射は、少くとも2つの利点、即ち、光がウエブ90と相互作用する機会を多数回与えることによって測定の感度を高めることと、被測定光の徹底的な疑似ランダム混合を実施する、換言すれば、ウエブのサンプル区域の幾何学的パターンを実質的に完全に均質化することという利点を提供する。
【0032】
光源22からの光のうちの割合的に少量の光を検出するこの測定の感度は、ウエブを多数回透過した又はウエブによって多数回反射された光だけを検出し、対象特性を吸収するための機会を増加させることによって向上させることができる。光入力ポート64の位置を光源22からオフセット(偏倚即ち偏心)させることによってこの感度が増大される。オフセット角は、ウエブ90に対して直角をなす検出器光ホモジナイザー62の軸線62aから測定され、例えば約45°〜約65°のオフセット角とすることが好ましいが、所望ならば、約0°〜約70°のオフセット角を用いることができる。
【0033】
光入力ポート64に集められた光は、光ファイバー66の束66aに進入し、光ファイバーの分割束66b,66b・・・を通してそれぞれ対応する個々の検出素子68へ分配される。束66aの光ファイバー66は、図3にみられるようにランダムに混ぜ合わされている。多数の個別ファイバーが存在し、かつ、各ファイバーが各検出器素子の入力窓78に比して細く、しかも、それらの個々のファイバーが十分に混ぜ合わされている(好ましくは、ファイバーの分割均一性が1%以内である)場合は、光ファイバー66の束66aの端部から出力される光は、均一に分割され、各検出器素子68へ均一に分配される、即ち、各検出器素子68は、同じ被測定区域を「観察する」。光ファイバーのこのようなランダム化は、又、赤外線測定装置10の、移動する被測定ウエブのサンプル部分の羽ばたき振動に対する感受性を小さくする。
【0034】
光ファイバー束66aの入力端における入射光の幾何学的分布のいかなるパターンも、光ファイバーによって一層「ホモジナイズ」されるので、分割束66bからの出力光は幾何学的にみて均一である。各検出器素子68に対して同じ本数の細い光ファイバーを向けることは決定的な重要性を有するものではなく、各検出器素子68に対する光ファイバーの本数は、光の均一な分配を達成するのに十分な数とすべきである。光ファイバーの本数の差異は、各検出器素子68に向けられる光の振幅(amplitude)に影響することがある。上述したように、本発明の各実施形態では、光混合キャビティを提供する光源ホモジナイザー50及び検出器光ホモジナイザー62、及び、又は、ランダム化された光ファイバーの2つの直列に接続されたセクション即ち束から成る光ファイバー製光ホモジナイザー132を使用し、又、すべての検出器素子68にホモジナイズされた光を供給するためにランダム化光ファイバー製ビームスプリッター76を用いるので、すべての検出器素子68が、被測定区域の実質的に同じ幾何学的分割パターンから光を受け取る。
【0035】
図3の検出器素子68は、多数の拡張バンドギャップインジウムガリウム砒素(InGaAs)検出器素子68a〜68d(先に述べたように、検出器素子68b及び68dは、図3の断面図では見えないが、素子68dについて後述する点を除いては検出器素子68a及び68cと実質的に同じである)から成る。本発明には任意のサイズの検出器素子を用いることができるが、ほぼ1mmの直径を有するInGaAs検出器素子が好ましい。「波長」検出器素子68a,68b,68cは、異なる波長バンドパスに亙って光を実質的に同時に測定し、それぞれ対応する電圧を出力する。各特定のバンドパスは、紙又はプラスチックフィルムのような被測定製品の対象スペクトル吸収特性を表示するように選択される。既存のセンサーの場合と同様に、被測定周波数帯域は、収集された赤外線の広い帯域から調整された二色性干渉フィルター、図示の例では帯域フィルター72によって選択される。これらの二色性干渉フィルターは、通過帯域の中心波長をシフトさせるために傾斜させることができ、あるいは又、それらのフィルターを通過する光の角度を、集光器74の反射率を調節することによって、又は、光ファイバーに孔を開けることによって調節することができる。これらの二色性干渉フィルターは、異なる方向に偏光された光に対して異なる吸収係数を有する。検出器組立体60の「同期」検出器67は、後述するように、正確な測定を可能にするためにシャッター機構34の正確なタイミングを検出する。
【0036】
赤外線分光測定において周知のように、吸収率の高いところに第1の波長、即ち測定対象とする分光吸収波長が選択される。次に、吸収率の低いところに第1の波長に近接する第2の近接波長、即ち基準波長が選択される。被測定製品を透過した赤外線光のこれらの2つの波長においける比率の関数は、被測定光路における特性の重量に比例する。水分に関していえば、この測定値は、それを同じ被測定区域の製品の総重量で除することによって含水率(%)に換算される。本発明においては、この製品総重量は、被測定紙ウエブの紙繊維重量から推論される。赤外線光の実際の吸収量は、被測定製品を透過する光の標準単位の吸収量と、被測定製品を透過する光の光路長とによって測定される。例えば、繊維吸収波長(紙繊維によって吸収される波長)に対して第1のInGaAs検出器素子が用いられ、水分吸収波長(水分によって吸収される波長)に対して第2のInGaAs検出器素子が用いられる。
【0037】
従来慣用のInGaAs検出器素子は、約1.7μm以下の波長の赤外線に対して感受性を有し、10ナノ秒の領域では時定数が比較的短い。先に述べたように、測定すべきある種の特性には、比較的長い波長を検出することを必要とするものがある。パーキンエルマー社、エレクトロオプチックス社、浜松USA社等の幾つかのメーカーが、波長感受性を2.7μmにまで拡張された拡張InGaAs検出器素子を提供している。被測定波長範囲のこのような拡張の1つの特徴は、ある種の性能パラメータ、特に一般に「分路抵抗」と称される特性が劣化することである。検出器が発生する電荷を該デバイス(検出器)を通して逆流させる「分路抵抗」特性は、検出器の電圧信号にノイズを持ち込む。感受可能波長の限度を拡張させるにつれて、検出器の信号に入り込むノイズが大きくなる。分路抵抗は、検出器の温度の関数として変化し、検出器の温度が低下するにつれて急激に増大する。
【0038】
各検出器素子68の活動部品を熱電冷却することにより各検出器素子68を同様の分路抵抗で作動させることができる。従って、感受可能波長の拡張を増大させれば、それに応じて各検出器素子をより低い温度で作動させるべきである。すべての検出器素子68の作動「分路抵抗」を均等化することにより、すべての検出器信号の数学的関数組み合わせによって実行することができる測定全体のノイズ下限を最小にし、それによって最適な測定性能を得ることを可能にする。
【0039】
市販のInGaAs検出器素子の内蔵部品として、ペルチエ冷却器のような熱電冷却デバイスや、サーミスターのような温度測定デバイスが利用可能である(図7の温度冷却器/制御器740参照)。更に、InGaAs検出器素子は、所望の冷却温度を得るために、必要ならば、圧縮空気による熱吸収を用いることもできる。これらの冷却デバイスは、すべての検出器素子68をそれらの設定温度から3°C以内に維持することが好ましい。又、InGaAs検出器素子のうち拡張波長で作動する素子のような幾つかの素子は、温度制御されるが、不拡張波長で作動する素子のような他の素子は、温度制御されないようにすることが好ましい。本発明によれば、拡張InGaAs検出器素子の低下された温度感受性を正確に保証することを可能にすることにより、従来の測定装置とは異なり、多重InGaAs検出器素子が実質的に同時に信号を得ることができるようにする。
【0040】
次に、本発明の他の側面によるシャッター機構34の作動について説明する。シャッターフラッグ38は、周期的に光源22を遮蔽し、各検出器素子68の残留信号を光源からの照射の不在下でも測定することを可能にする。残留信号は、測定パラメータから生じない信号成分である。従来技術では、赤外線分光センサーは、測定時の低周波ノイズを減少させるために信号中断法を用いることがある。低周波ノイズ(DCからほぼ100Hzまでの範囲のノイズ)は、検出器の特性の遅速ドリフチングと、入射赤外線の制御されない外部源が原因で生じる。従来の赤外線分光センサーでは、一般に、信号中断は、通常、音又型シャッターを駆動する回転アパーチャー(絞り開口)ホイール又は共振発振器によって赤外線源の周期的な迅速中断によって行われる。
【0041】
しばしば「l/fノイズ」と称される低周波ノイズは、これらの従来デバイスにおいては、低周波成分を除去する複数の同調されたエレクトロニクス段(フィルター)によって減少される。例えば、直列キャパシタを通して信号を送る、容量結合を用いてのフィルター法は、DC及び低周波成分を効果的に遮断することができる。しかしながら、信号中断処理の使用は、信号発生源が遮断されている間検出器が被検査物体を測定しないという点で、望ましくない。音又に遮断されるデバイスのような周期的に中断するデバイスでは、遮断される信号は、利用可能な信号の50%以上にもなることがある。更に、周期的中断は、中断する周波数がセンサーのサンプリング(サンプル検査)周波数、及び測定サンプリングのノイズ又は疑似ランダムパターンと干渉するので、エイリアジング(折り返し)エラー(即ち、擬似信号の発生)を起こすことがある。
【0042】
本発明の測定装置10は、シャッター機構34による低い、可変レート(単位時間当たりの遮蔽動作の回数)での光源22の中断を実施する。検出器素子68は、光源22が完全に遮蔽されてゼロ測定値又は暗状態値として機能するときに測定を行う。暗状態値信号は、2つの主要成分として、各検出器素子68に固有の電子オフセットと、周囲赤外線によって創出された検出器素子68の信号を有する。静止状態下では、いかなる周囲成分も、不変状態に留まる傾向があり、検出器関連成分は、温度と、長期検出器ドリフトの関数として非常にゆっくりと変化する。スキャニングシステムにおいては、バックグラウンドが変化し、その結果として、相当に変化するバックグラウンド赤外線源をもたらし、従って、「暗状態」値の測定をより頻繁に行う必要がある。その場合、システムプロセッサー80は、光源22が遮蔽されていないときは、暗状態値を検出器素子信号からのDCオフセットとして除去する。
【0043】
シャッターレート(単位時間当たりのシャッターの遮蔽動作回数)は、連続回転動作ではなく、往復チョッピング動作により毎秒0回〜約30回のチョップ(遮断)の率で変更するように制御することができる。チョップ時間の割合は、リアルタイムのせいぜい5%以下とすることが好ましい。シャッターモーター36として用いられるステップモータは、非同期的に作動してシャッターフラッグ38を、光源22を完全に遮蔽する位置へ回動させ、加速度と最大速度を別個に制御することで回転角度精度を維持し、それによって、チョップ(遮蔽)レートが変更されても、実際の遮蔽ドエル時間を一定に維持することができる。この比較的遅いシャッターレートは、低周波成分を除去するために爾後の処理において高帯域フィルターを挿入する必要がないことを意味する。又、この比較的遅いシャッターレートは、従来の鉛塩検出器が用いる毎秒50回〜1000回の中断割合とは対照的である。名目でいえば、シャッターフラッグ38は、1秒当たり1回の遮断(チョップ)の割合で約3〜4ミリ秒間光源22を遮断する。毎秒1回の名目シャッターレートは、一般には、電子安定性を維持するのの十分であるが、このシャッターレートでは、バックグラウンド放射線の変動を補償するのには十分でない場合がある。例えば、毎秒1回のシャッターレートと、それに対応する暗状態値の測定は、急速に変化するバックグラウンド赤外線源(例えば、視野中に移動する高温発生源を有する工場環境などで起こる)が存在する場合には不十分であることがある。
【0044】
十分な、しかし、過度に頻繁ではないチョッピングを行うために、最初に毎秒1回のチョップというデフォルトレートを使用し、そのチョップレート(シャッターレート)が妥当である可動くぁお判定し、それによってシステムプロセッサー80がシャッターレートをモニターし、必要に応じて調節する。一般に、必要とされるシャッターレートは、現時点の暗状態又はそれに対応する基線ノイズ値をその前の暗状態又はそれに対応する基線ノイズ値と比較することによって決定される。図5のフローチャートを参照して説明すると、システムプロセッサー80は、インデックスカウンタnを初期化し、σnを所定の基線ノイズ値に設定する(図5の工程505参照)。次いで、工程510において、システムプロセッサー80は、1回のシャッター閉鎖即ちチョップのために各検出器素子68ごとに暗状態サンプルを収集する。シャッターフラッグ38が光源22遮蔽位置へ移動し、光源から離脱したとき「無効」と宣言されるデータがどれだけあるかに応じて異なるが、各1回のチョップにつきこれらのサンプルの10〜20個を収集すべきである。
【0045】
次に、工程520において、システムプロセッサー80は、各1つの検出器素子68についてこれらの暗状態サンプルの平均暗状態値を計算する。例えば、1回のシャッター開閉でN個の暗状態サンプルが収集されたとすると、それらの平均暗状態値は下式のようになる。
【0046】
【数1】


(ここで、Valは平均暗状態値、Sampはサンプルを表す。)
【0047】
次いで、工程530において、システムプロセッサー80は、現時点のノイズインデックス値又は現時点の基線ノイズ値RMSの変化を算出する。例えば、下式の通りである。
【0048】
【数2】


(ここで、Noiseはノイズ、Valは平均暗状態値、Sampはサンプルを表す。)
【0049】
次いで、システムプロセッサー80は、基線ノイズ値の変化が第1閾値即ちC係数より大きいかどうかを判定する。この判定は、以下に示すように、又、図5のフローチャートに示されるように、新しい基線ノイズ値を、前の基線ノイズ値にを乗じた値と比較することによってなされる。
【0050】
σn+1>C係数・σであるならば、
新シャッターレート=前シャッターレート・C係数となる。
【0051】
システムプロセッサー80は、基線ノイズ値の変化が第1閾値(C係数)より大きいと判定すると、工程550において第1の所定量だけ、例えばC係数だけシャッターレートが増大したことを信号で知らせる。かくして、シャッターモーター36が増速され、シャッターフラッグ38の単位時間当たりの遮断回数が増大する。シャッターを適当なシャッター遮断レートSIRで迅速に閉鎖するためには、第1閾値C係数を例えば2に設定することができる。基線ノイズのチェック時間間隔の短縮は、逐次の基線ノイズ値間の変化が許容しうる範囲に、即ち、C係数によって決定された制限範囲内になるまで継続される。システムプロセッサー80が順次の基線ノイズインデックス値の変化が第1閾値即ちC係数より大きくないと判定すると、工程595において現行のシャッターレートが維持される。
【0052】
あるいは別法として、システムプロセッサー80は、工程580において基線ノイズ値の変化が第2閾値即ちD係数)より小さいと判定すると、第2の所定量だけ、例えばD係数だけシャッターレートを減小させるように信号を送る。シャッターを適当なシャッター遮断レートSIRで迅速に閉鎖するためには、シャッターレートが例えば2倍増大されるように第2閾値D係数を例えば0.5に設定することができる。
【0053】
σn+1<D係数・σであるならば、
新シャッターレート=前シャッターレート・D係数となる。
【0054】
シャッターレートの減小は、逐次の基線ノイズ値間の変化が許容しうる範囲に留まるまで継続され、シャッターレートは、おそらく5秒又はそれ以上の時間ごとに1回のシャッター遮蔽に低下される。システムプロセッサー80が順次の基線ノイズインデックス値の変化が第2閾値即ちD係数より小さくないと判定すると、工程595において現行のシャッター遮断レートが維持される。C係数とD係数とは、制御シーケンスにおける振れ即ち「ハンチング 」を回避するために、実質的に同等の値としないことが好ましい。
【0055】
システムプロセッサー80が1つの判定を完了するたびに、工程560及び570において現行の基線ノイズ値がアップデートされ、システムインデックスが実行される。図5に示されるように、シャッター遮蔽レートをチェックし調節するこのシステムは、本発明の測定装置の作動中継続することができる。基線判定によるこのシステムは、各検出器素子自体のオフセット、電子オフセット及び周囲に存在するあらゆる赤外線光を測定するので、各検出器素子68ごとにその正規化を実施する。又、基線判定によるこのシステムは、測定いかなる影響事象をも補償するために各検出器素子68からの信号にリアルタイムの集成を行うことを可能にする。
【0056】
このシャッター機構34のシャッター遮蔽レートには、周期性や規則性を必要としないという点でも有利である。シャッターフラッグ38は、プロセッサ80のセンサー制御部によって各遮蔽動作ごとに個々に指令され、シャッターのレート、加速、及び持続時間について制御可能である。即ち、シャッターフラッグは、非同期的に制御される。シャッターフラッグ38の速度は、変更することができ、チェック中ゼロ速度にするこでさえでき、シャッターフラッグ38の位置も制御することができる。この制御性により、本発明の測定装置10は、広範囲の条件下において実質的に正確に測定している時間を最大限にすることが可能にされる。シャッターの制御は、検出器のサンプリング操作の制御とは独立しているサンプリング操作、サンプリング操作は、実質的に連続的に実施され、シャッターによる遮蔽操作は必要に応じて行われることが好ましい。
【0057】
本発明ではシャッターフラッグ38を回動するために慣用のACモーターではなく、ステップモータを用いることが、所望の正確な制御を達成する好ましい方法である。シャッターモーター36は、シャッターレートを高い時間分解能でゼロから約30ヘルツまで調節することを可能にする。シャッターモーター36は、連続的回転によるシャッター遮蔽ではなく、往復動によるシャッター遮蔽を毎秒30回の遮断動作レートで可能にするのに十分な応答性を有するものとすべきである。これは、所要の高速遮断動作を達成するために、通常、回転遮蔽ホイールや共振発進ビーム等の周期的遮蔽機構を用いる鉛塩センサーとは対照的である。かくして、シャッターフラッグ38は、光源22を長くも、短くも実際上必要とされる時間だけ(必要最小限の時間だけ)遮蔽する。
【0058】
更に、先に述べたように、本発明の測定装置10は、正確な測定を可能にするように、好ましくは、シャッター機構34の正確なタイミングを検出するための「同期」検出器を検出器モジュール60内に備えている。システムプロセッサー80は、このシリコン「同期」検出器67からの信号を信号処理に用いるために、又、必要に応じて用いるために受け取る。
【0059】
実際のシャッター遮蔽動作は、加速及び速度を予め設定することができるシャッターモーターを始動させるための指令から成る。シャッターモーター36は、シャッターフラッグ38を一定の回転角度に亘って加速し、次いで、光源22と光導波管30の間にアパーチャー(絞り開口)を挿入する(図2参照)。例えば、実用的実施例においては、シャッターフラッグ38は、約0.01秒の総シャッター通過時間を有し、約0.003秒間の光源完全遮蔽又は遮断時間を有する。検出器素子68からのサンプルが毎秒5000サンプルの割合で収集されるとすると、シャッターフラッグ38が光源22を遮蔽している間(0.003秒間)に約15のサンプルが収集されうる。本発明のInGaAs検出器素子は応答時間が速いので、これらの測定値は有効であると考えられるが、シャッターフラッグが光源アパーチャーのエッジに進入するときの測定値とシャッターフラッグが光源アパーチャーのエッジから離れていく時の測定値から各々追加の3つの測定値を廃棄することが許容される。従って、測定データを決定するために9つの暗状態サンプルを用いることができる。以上の数字を用いれば、測定装置10が紙ウエブ90の特性を測定していない時間は、測定装置10の作動時間の1%未満である
【0060】
図6は、シリコン「同期」検出器67からの信号S1、チョッパー(シャッター)位置信号S2及び有効データ信号S3を示す。チョッパー(シャッター)位置信号S2は、シャッターフラッグ38が光源22を遮蔽していないときは高く、シャッターフラッグ38が光源22を遮蔽しているときは低く、シャッターフラッグ38が光源22を遮蔽している位置から離れるにつれて高から低に変化し、シャッターフラッグ38が光源22を遮蔽している位置に向かって移動するにつれて低から高に変化する。シャッターフラッグ38が光源22のアパーチャーに進入するときと、アパーチャーから離脱するときに収集された測定値M1とM2は、無効であるとみなされ、以後の計算には使用されない。有効な測定値が用いられることを保証するために、各遷移エッジからの追加のデータを廃棄することができる。
【0061】
図7は、シャッター制御器82の印刷回路板、検出器基板84、及び、測定装置10に関連するその他の制御器に設けられている回路を示すブロック図である。図7にブロック750で示される光源強度制御器の一部として、光源22の電源基準電圧は、使用される特定の光源に適する基準レベルに好ましくは精細に制御され、光源強度は、選択可能なレベルがいずれも非常に安定したものとなるように、水晶制御カウンターでパルス幅変調されることが好ましい。光源22の電力は、最大限から最低限又は最低限から最大限への遷移時間が無視しうる程度に短くなるように、10KHzの方形波ACとして供給することが好ましい。光源22の強度を制御するために供給される電力の範囲は、ゼロボルトから使用される特定の光源のための最大限電圧までとし、ラッチされたデジタル指令を用いて光源強度制御器750によって制御するすることが好ましい(その場合、0−−0=0%、1−−1=100%)。
【0062】
光源22のランプは、高電力、即ち、その定格電力の100%近くで作動させると、ランプ寿命が短くなる。従って、光源22は、上述した光源強度制御器750からのデジタル制御信号によって制御することにより定格電力の名目で75%の電力で作動させることが好ましい。光源22の強度は、頻繁に変更すべきではない。なぜなら、強度を変更するたびに、例えば高温になっている反射器からの残留放射線が安定化させるための整定時間を必要とするからである。しかしながら、透過する赤外線を大幅に減衰させる重厚なウエブ製品の場合は、測定において必要とされるゲイン及び発生するノイズを小さくするために光源22の強度を高くすべき場合もある。光源22の強度は、本発明の測定装置において実施される静止サンプルの試験に基づいて選択されるウエブの品質等級コードによって決定することが好ましい。ウエブの厚さは、ウエブ製品の品質等級コード(目標重量、目標含水量、目標コーチング厚等のあらゆる品質等級関連パラメータを含むファイル)に対応し、本発明の赤外線測定装置10を特定の製品に対して最適の性能を発揮するように調整する。適正な振幅の信号を得るためにゲインを調節した場合、サンプル測定のためのノイズレベルが所定のレベルを超えることがあるので、その場合は、光源22の強度を強くするべきである。これは等級コードであるから、強度の変更は、等級変更があったときのみ行うべきであり、通常の同一等級ないでの作動中は強度変更は行うべきではない。
【0063】
「波長」検出器素子68からの信号は、システムプロセッサー80へ送られる前に、独立して制御される可変ゲインチャンネル増幅器710を通すことが好ましい。図示の例では、可変ゲインチャンネル増幅器710は、最大6個(710a〜710f)まで設けることができる。各検出器素子68のチャンネルは暗状態値又はDCオフセット除去手段を有しているので、各チャンネルのための予め測定されたオフセットは、リアルタイムでナル(ゼロ)にされる。実際のゲインは、構成部品の公差や電子ドリフトなどのため、名目値とは異なる場合がある。各検出器素子のチャンネルは、デジタル制御される増幅器710の1つを含む。好ましくは、増幅器710を各ゲインステップ(ゲイン増幅段階)において試験して、その結果をシステムプロセッサー80のゲイン修正表に記憶させ、直列ポートインタフェース(SPI)を通して検出器基板84へ送る。必要とされるのは各チャンネル間の相対的ゲインだけであるから、絶対基準レベルは必要とされない。本発明の実用的実施例においては、チャンネルゲインは、6つのdBステップにおいてゼロから90dBの間で調節可能とし、各ステップごとに2倍の増幅率とした。各チャンネルは、ゲインを1ステップ(1段階)増幅させるものと、ゲインを1ステップ(1段階)減小させるものとの、2つのゲイン制御線を有する。いずれの制御線も、ゲインを中心点へ押しやるものとした。各チャンネルを制御するビットは、2ビットとした。即ち、00=ラッチされたままで変更なし;01=6dB低いゲインへステップ;10=6dB高いゲインへステップ;11=中心ゲインへステップ。システムプロセッサー80に組み込まれているソフトウエアは、各チャンネルの名目ゲイン設定の経過を追跡し、記録する。実際のゲインは、設定操作中と、必要に応じて稼働中に中心点からスタートして測定され、システムプロセッサー80の「ルックアップ」(参照用)ゲイン表に記憶される。ゲイン表のゲイン値は、基準波長チャンネルを基準として計算される。
【0064】
ゲインは、光源22の強度を調節することによって決定することができる。測定間隙に空気だけが存在する(紙ウエブが存在しない)センサー(検出器)オフラインの状態から開始し、光源強度制御器750により光源22の初期強度を最大限の50〜75%の間に調節する。次いで、システムプロセッサー80により、各検出器素子68チャンネルのゲイン範囲を中心に合わせ、次いで、信号値を好ましい目標値を中心とする許容範囲にもたらすように各検出器素子68チャンネルのゲインを調節する。好ましい目標値は、基準位置とすることが好ましく、各検出器素子68チャンネルごとに異なるものとなることが多い。いずれかのチャンネルのゲインを変更すると、その結果として、そのチャンネルの測定信号が変化するが、チャンネル増幅器710を通る前の生の信号には影響しない。
【0065】
独立してゲインを調節することができるので、爾後のデジタイザー(デジタル化デバイス)ステージがその最適(大部分が線形の)範囲内で作動することを可能にする。例えば、低質量の被測定製品は、測定用波長を吸収するとしても、ごく僅かしか吸収しないので、個々の検出器素子68から得られる信号は、すべて、大きさが同じようなものになる。従って、低質量の製品の場合、すべての検出器素子68のための電子ゲインは、実質的に同じ値、即ち、各増幅器710からの出力信号をシステムプロセッサー80のデジタル化回路に対する入力範囲の中心近くに位置させる値に設定される。高質量の製品の場合は、測定用波長の大部分が吸収されるので、その検出器素子68のチャンネルから得られる信号は、僅かしか吸収されない波長からのものに比べてはるかに小さい信号になる。高質量の製品の場合は、各検出器素子68のチャンネルがやはりシステムプロセッサー80のデジタル化回路のための入力範囲の中心近くで各増幅器710から同じようなレベルの出力信号を発生するように各検出器素子チャンネルに対して異なるゲインが選択される。デジタイザーの出力は、各検出器素子68のチャンネルの既知のゲインと組合わされて、所要の測定精度を保持することができる。それぞれ独立した各検出器素子68チャンネルのこのゲイン設定方法は、どの検出器素子68チャンネルの電子飽和をも回避し、各検出器素子の作動を大部分が線形である入力範囲の中心目盛の近傍で強制的に行わせることによって本発明の測定装置10の「ダイナミックレンジ」を大幅に拡大することができる。
【0066】
各個々のチャンネル増幅器のための調節可能なゲインは、測定信号と一緒に増幅することができる電子オフセットを導入する。このオフセットによって惹起されるエラーを減らすために、システムプロセッサー80は、以下の電子修正を実行する。最初に、測定用波長検出器素子チャンネルのすべてをそれぞれの検出器素子から切断し、切断された入力端を接地へ短絡させるビットを設定する指令が発せられる。この接地された状態では、電子オフセットだけが増幅器にとって利用可能になる。各チャンネルに対してそれぞれ独立して特定の高いゲインが選択される。このゲインレベルが選択されると、自動オフセット修正ルーチンを始動させる指令が発せられる。この修正ルーチンは、チャンネルに利用可能な分解能の範囲内で最善の利用可能なオフセット修正を求めさせ、この修正をデジタル−アナログ変換器にラッチさせる。デジタル‐アナログ変換器は、そのオフセットをそれがリセットされるまで供給する。この修正ルーチンは、各測定波長チャンネルごとに独立して実施すべきである。修正ルーチンが終了したならば、各チャンネルの入力端を再接続し、チャンネルをその測定モードに復帰させる。修正用デジタル−アナログ変換器によって供給されたオフセットは、チャンネルのゲインによって作用され、ゲインが変更される間、オフセットは適正状態のままに留まる。
【0067】
電子オフセットが適正に測定修正されるのを更に確実にするために、各測定波長チャンネルに制御された電子基準信号を挿入することができる。この制御された電子基準信号は、それぞれ独立して決定し、各測定波長チャンネルに適用すべきである。既知の設定信号を挿入することにより、その結果として、各チャンネルに対する出力測定値も既知のものとなり、いかなる偏差もシステムプロセッサー80によって修正することができる。
【0068】
各検出器素子68の出力は、各測定チャンネルについて毎秒5000回の名目レートで連続的に測定することが好ましい。InGaAs検出器は応答速度が比較的速いので、同様に応答速度が速いエレクトロニクスシステムと協同して、毎秒20,000サンプル〜毎秒1,000,000サンプルの優れた測定速度が可能にされる。「波長」検出器素子68のチャンネルは、16ビットのアナログ−デジタル変換器を用いて測定される。各「波長」検出器素子68の算出された値は、その測定された出力に対応するチャンネル増幅器710のゲインを乗じた値である。
【0069】
「同期」検出器素子、図示の例ではシリコンの「同期」検出器67は、調節可能なゲイン増幅器を必要としないので、図示の例では増幅器711が用いられている。「同期」検出器素子チャンネルは、光源が中断又は遮蔽されていることを表す2ボルト未満から光源が開放されていることを表す4ボルト以上の範囲で変化する(図6参照)。
【0070】
可及的に密な(短い)時間間隔で順次に収集された各検出器素子68のそれぞれ単一の測定値がデータセット(1組のデータ)を構成する。16ビットのアナログ−デジタル変換器が、検出器素子68の信号の各々を1波長当たり毎秒5000サンプルの名目レートでサンプル検査する。従って、エイリアシングが起こるとしても、2500Hz以上の高い周波数でしか起こらない。エイリアシング信号であるかもしれないと考えられる信号が検出されたとすると、その信号がエイリアシングの結果生じたものであるかどうかを判定するために、シャッター中断レート及び、又は生のサンプリングレートを変更することによってその信号を検査することができる。先に述べたように、InGaAs検出器素子の時定数は比較的短いので、比較的速いサンプリングレートを可能にする。
【0071】
データ取得は、毎秒200,000回の期待頻度で行われ、各検出器素子の出力がルックアップ表によって決定された順序でサンプル検査されるので、各検出器素子68は、隣接する検出器素子からせいぜい1/200,000秒、即ち、5マイクロ秒だけ時間的にオフセットさせるべきである。非同時サンプリングに関連する難点を回避するために、サンプル及びホールド回路は、すべての検出器素子からの信号を同時に取得し、デジタル化を逐次に進行させる。かくして、4つの「波長」検出器素子68a〜68dと1つの「同期」検出器素子67を備えた図示の例のシステムのデータ取得時間は、20マイクロ秒である。これらのデータセットは、5000セット/秒のレートで流れる。通常の移動ウエブ含水量測定においては、このレベルの時間分解能を維持する必要がない場合があるので、順次に送られる一連のデータセットは、それらを赤外線測定装置10の局所プロセッサーから遠隔位置に接地されたマスター測定プロセッサーへ伝送する前に蓄積する必要がない場合がある。しかしながら、高分解能の光による重量測定が要求される場合は、全速力でのデータセット伝送が必要とされる。
【0072】
データ測定値の取り込みを開始するに当たって、システムプロセッサー80は、測定を正確に実行するために幾つかの定数とコードを使用する。通常製品の測定に対しても、重厚製品の測定に対しても、3つの二次定数が含まれる。各測定波長チャンネルについて、基準波長チャンネルに対する線形定数及び標準化定数が含まれる。更に、外部から入力される製品コードが、全体的オフセット値を供給し、被測定ウエブ製品ごとに異なる傾斜値を供給する。
【0073】
検出器基板84は、好ましくは、データを1ミリ秒間収集し、そのブロック(1かたまりのデータ)をタイムスタンプし(日付、時刻を記録し、次いで、そのブロックをシステムプロセッサー80へ送る。1個の1ミリ秒間ブロックには、通常、検出器基板84からの5セットのデータが含まれる。そして、各データセットは、「波長」検出器素子68a〜68d及び「同期」検出器素子67からのチャンネル信号を含む。サンプル及びホールド回路によってすべての検出器素子チャンネルを同時にサンプル検査することが好ましい。サンプル及びホールド回路は、データ取得のタイミングジッターを効果的に排除する。
【0074】
正確で信頼性の高い測定を確保するために、本発明の測定装置10は、標準化及び正規化手段を含む。標準化は、一般に、センサーの作動特性の周期的テストであり、デバイスが標準条件下で標準(所定の定常的な)測定を実施することができるようにするために必要とされる調節である。正規化は、一般に、センサーの作動特性のリアルタイムの判定であり、センサーの作動特性を特定の限度内にもたらすために必要とされる調節である。従って、上述した暗状態値測定/制御は、正規化プロセスである。
【0075】
本発明の測定装置10は、以下の標準化手段を有する。標準化の名目時間は、2時間とすることができるが、実際の標準化時間は、1時間に1回から8時間に1回の範囲でいろいろに変更することができる。標準化を行うには、測定装置10を「オフシート」状態にし、即ち、紙ウエブ90の縁から外して、サンプル測定位置に空隙が存在するようにする。次いで、上述したように、基準波長検出器素子の測定値と比較しての測定用波長検出器素子の値を計算する。標準化操作中、汚れたセンサー窓やチャンネルゲインの変動等の変数の修正が行われる。
【0076】
アナログ−デジタルフロントエンド変換器ハードウエアにおけるオフセット及び、又はゲインエラーを判定するために、入力を短絡し(期待値ゼロにし)、入力が既知の固定値(基準電圧)にされている間に測定を行う。各チャンネルに関して統計学的ノイズ数値を計算することができる。どれかのチャンネルにおけるノイズが所定の限度を超えていれば、警報メッセージが発せられるようにシステムプロセッサー80に設定しておくことができる。
【0077】
安定性をテストするには、光源22の強度を特定の電圧、例えば最大限の75%に設定し、次いで、すべての測定チャンネルのゲインを、目標範囲内で測定信号が得られるように設定する。測定データを収集した後、測定波長チャンネルの、基準波長チャンネルに対する比率を計算する。これらの計算された比率を所定の時間間隔で比較し、その変動が所定値を越えた場合は、更なるテストを実施することができる。最後に、標準化するために、安定性測定を繰り返して平均値を決定し、それらの平均値を所定の標準化されたノイズ限度と比較する。平均値が限度内であれば、システムプロセッサー80は、次の標準化事象が起こるまでこれらの平均値を用いる。
【0078】
光源22の強度(温度)は、光源22のスペクトル放射線曲線のシフトが、光源のフィラメントが加熱又は冷却するにつれてプランクの黒体曲線に基づく第1原理から予知しうるように、伸長に制御された態様で変更される。各波長バンドにおいて放出されるエネルギーの相対的分布のこのスペクトルシフト又は変化が、測定応答を創出する。シフトの度合は分かっているから、この測定応答は、各独立したチャンネル増幅器、光フィルター、電源等のいろいろな構成部品の性能変化の影響の修正、並びに、光学部品の汚れによる影響の修正を可能にする。光源22の強度を幾つかの異なる値に変更し、その結果生じるスペクトルシフトの変化を測定し、それらの測定値をシフト予測値と比較すれば、光源22のフィラメントの僅かな変化をも補償することができる。
【0079】
更に、これらの比較は、経時変化(老化)又はランプ交換によって生じるフィラメントの僅かな変化の影響を測定し、光源22のフィラメントの作動状態を表示する上で有用であると考えられる。フィラメントの作動状態は、光源22の残存寿命を予知するのに用いることができる。
【0080】
この点、タングステンフィラメントは、「黒体放射」によって光を発する。即ち、タングステンフィラメントは、電磁放射によって熱エネルギーを伝達する。放射パワーの分布は、電力又は温度の関数であるから、温度が変化するにつれて、放出される放射線のいろいろな異なる波長の相対的な量は、温度変化に比例して変化する。特定の電気特性のフィラメントの場合、その到達温度は、それが放散するパワー、放射による冷却、周囲環境への伝導及び対流によって決定される。フィラメントの有効全長の各部分ごとにわずかに異なる温度有し、例えば、フィラメントの端部は、それがフィラメント電極に取り付けられている部位で伝導によって多少冷却される傾向がある。更に、フィラメントは、その使用期間中時間が経つにつれて、ゆっくりと蒸発し、しかもその蒸発が不均一になる傾向があるので、一定期間使用後、フィラメントの断面積がその長手方向でみて変化する。即ち、フィラメントに太い部分(スポット)と細い部分(スポット)ができてくる。
【0081】
本発明に使用されるランプでは、フィラメントは、活性スカベンジャーハロゲンガスで包まれている。ハロゲンガスは、ある高い温度ではタングステン原子に結合し、それより高い温度ではタングステン原子を解放する。従って、フィラメントが蒸発すると、タングステンイオンと原子が、より低い温度の外囲器へ移動する傾向があり、外囲器上で凝縮して薄膜になる。熱いランプ外囲器に接触したハロゲンガスは、このタングステンに結合し、それをランプ内の雰囲気中へ放散する。ランプ内の雰囲気がそれよりはるかに高い温度のフィラメントに接触すると、ハロゲンガスと結合していたタングステンがフィラメント上に再被着される。これは、よく知られている「タングステン−ハロゲンサイクル」であり、ランプ外囲器の透明性を保持するとともに、フィラメントの寿命を延長させる。
【0082】
しかしながら、タングステンは、均一には再被着されない、あるいは、先に蒸発したときと必ずしも同じ場所に再被着されないので、最終的には、フィラメントは、タングステン「ホイスカー」を生やし、幾つかの非常に細いスポットを生じ、最後に1つの細いスポットのところで切断する。フィラメントのこのリディストリビューションが起きると、フィラメント全体及びフィラメントの個々の部分の抵抗が変化するので、フィラメントの温度も変化する。温度変化の結果、放射パワーのスペクトル分布が変化し、印加電圧を一定とすると、電流及びスペクトル出力がランプの使用期間とともに変化する。本発明のセンサー即ち測定装置は、被測定材料の特性を測定する手段としていくつかの異なる波長で相対電力を測定する。この測定装置は、設計により、スペクトル分布の僅かな変化にも極めて敏感である。なぜなら、この装置が測定を行うのは、スペクトル分布の変化を測定することに依存しているからである。従って、サンプルが挿入されておらず、空隙を横切って測定した場合、スペクトルパワーの分布に何らかの変化があったとすれば、それは、ランプ、エレクトロニクス、光学系及び検出器等のセンサー(測定装置)の構成部品の「ドリフト」の結果である。そのような変化は、いずれも、センサーの使用による老化と光学系の汚れによってゆっくりと生じる。
【0083】
スペクトルパワー分布を所与のランプ駆動電圧で測定し、その後直ぐに電圧を変更して再度スペクトルパワー分布を測定したとすると、スペクトルパワー分布の短期の変化は、主として、否、ほとんどもっぱら、ランプフィラメントの関数である。即ち、フィラメントが老化し、上述した物理的変化を受けるにつれて、スペクトルパワー分布も変化する。新しい、物理的に均一なフィラメントに印加する電圧を変更することによって生じる変化と、老化して不均一になったフィラメントに印加する電圧を変更することによって生じる変化との間には相当な差がある。ランプの基線特性を確定するためにランプが新しいうちに電圧変更によるスペクトルパワー分布の変化を測定し、次いで、その変化をランプが老化したときに測定した変化と比較すると、フィラメントの変化の度合の予測見積もりをすることができる。この見積もり(推定)により、システムプロセッサ80は、センサー(測定装置)のユーザーにフィラメントの劣化し、その破損が差し迫っていることを警告することができ、それに基づいて、ユーザーは、フィラメントをそれが実際に破損する前に交換することができる。
【0084】
本発明の別の側面は、所望の特性を測定するために用いられる赤外線光源22は被測定製品をも加熱してしまうので、校正のために静止サンプルの測定値を得るために分光測定装置を用いた場合従来遭遇していた難点に対処する。時間が経過すると、この熱が製品を乾燥させ、又は、昇温させ、その赤外線放出特性を変化させてしまう。製紙機上の紙ウエブの含水量を測定する場合のように、移動する製品では、この加熱及び、又は乾燥は、蓄積しないので、測定に有意に影響することはない。
【0085】
しかしながら、例えば上述したように標準化及び、又は正規化校正テストのために用いられる静止サンプルの測定は、迅速に測定装置を通らない。従って、乾燥及び、又は加熱は、製品及びその測定結果に有意の影響を及ぼすことがある。水不透過バリヤー内に密封された製品でさえ、温度が上昇すると、テスト中の区域から水分が抜けていくので、永久されることがある。
【0086】
そのような問題を回避するために、本発明の測定装置10は、先に述べたように光源22の強度を調節するのに用いることができる制御プログラミングを含む。しかしながら、光源22の実際の強度が低下されると、その結果として測定ノイズが起こりうるので、エラーが生じることがある。従って、本発明の測定装置10は、静止測定中光源22がサンプルを照射している時間を最小限にするような態様でシャッター機構34を作動させるための制御プログラミングを含む。測定方法は、光源22を平常製品測定強度で作動させ、製品サンプルを光源22からの光を受け取るための位置へ移動させることから始められる。かくして、サンプルは、平常製品測定強度で作動する光源22によって照射されるが、光源22は、テスト(測定)時間のうちの相当な割合(%)の時間シャッターフラッグ38によって遮蔽される。サンプルからの光の測定は、光源22が遮蔽されていないときに行われる。光源22は、シャッターフラッグ38を光源22とウエブ90のサンプルとの間へ非同期的に挿入することによって遮蔽される。テスト時間のうちの光源が遮蔽されている時間の割合は、約90%以上、好ましくは、約99%とすることができる。
【0087】
製品サンプルを用いて校正するための測定方法は、光源による製品サンプル照射時間を制御するためにシャッターフラッグ38を光源遮蔽位置と光源非遮蔽位置との間で移動させる操作を含む。かくして、製品サンプルは、該製品サンプルの少くとも1つの特性を測定するのに必要ではあるが、該少くとも1つの特性に実質的に影響することがないような限られた時間だけ平常製品測定強度で照射される。例えば、シャッターフラッグ38は、光源22をテスト時間のうちの約90%以上の時間遮蔽する。従って、総テスト時間のうち、光源22が製品サンプルを照射した状態で測定装置10が測定を行うのは、例えば僅か10回である。シャッターフラッグ38は、テスト時間のうち約99%の間は光源22を遮蔽するように設定することが好ましい。かくして、各々の測定は、全(フル)強度の光源22で行われるが、被測定製品への熱入力が、ほぼ99%削減される。この独特の方法を用いれば、標準化及び、又は正規化測定は、サンプルへの平均熱入力を最少限にする状態で、実質的に限定されない任意の時間の間実施することができる。
【0088】
光源22の強度を変更するためにシャッター機構34を制御するこの方法を用いて、本発明の測定装置10は、光源22の予想残存寿命等の状態を診断する。この診断方法は、いろいろな既知のシャッターレートで測定を行い、計算により、又は、ルックアップ表を用いて光源22の残存寿命を推定する工程を含む。この情報は、例えば予防的メンテナンス計画に用いることができる。本発明の赤外線測定装置及び方法は、光透過モード測定及び光反射モード測定のいずれにも適用することができる。
【0089】
上述の各実施例では、光源は、被測定製品に対して実質的に直角に向けられるものとして説明されているが、光源を被測定製品に対して角度をなして(斜めに)向けることも本発明の範囲内である。そのような傾斜角は、例えば検出器の光入力ポートの角度と反対向きの角度とすることができる(図2A参照)
【0090】
上述の各実施例では、光源組立体と検出器組立体とは、実質的に心合するように配置されるものとして説明されているが、両組立体をずらせて配置することも本発明の範囲内である(図2A参照)。
【0091】
以上、本発明を実施形態に関連して説明したが、本発明は、ここに例示した実施形態の構造及び形状に限定されるものではなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1A】図1Aは、本発明の赤外線測定装置の検出器組立体の一実施形態の分解透視図である。
【図1B】図1Bは、本発明の赤外線測定装置の光源組立体の一実施形態の分解透視図である。
【図2】図2は、図1A及び1Bの赤外線測定装置の側断面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の赤外線測定装置の別の実施形態の概略側面図であり、光源光ホモジナイザーが検出器光ホモジナイザーからオフセットさせて(ずらせて)配置されているところを示す。
【図3】図3は、図1Aの検出器組立体の一部断面による側面図である。
【図4】図4は、検出器光ホモジナイザーの一実施例の説明図であり、ランダムに分配された光ファイバー束の第1セクションがランダムに分配された光ファイバー束の第2セクションに直列に接続されているところを示す。
【図5】図5は、本発明によるシャッター機構においてシャッター遮蔽レートを決定するためのフローチャートである。
【図6】図6は、シャッター機構に対する同期化チャンネルのタイミング図である。
【図7】図7は、シャッター制御及び検出器制御のための回路、並びに、本発明の赤外線測定装置に関連したその他の制御回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0093】
10 赤外線測定装置、測定装置
20 光源組立体
22,22a 光源
26 反射器
28 空冷シュラウド
30 光導波管
32 ディフューザー
34 シャッター機構
36 シャッターモーター
38 シャッターフラッグ
42 出力軸
46 セクション
48 セクション
50 光源光ホモジナイザー
52 光源窓
54 リング
56 ベースプレート
60 検出器モジュール、検出器組立体
62 検出器光ホモジナイザー
64,64a 光入力ポート、光ポート
66 光ファイバー
66a 光ファイバー束
66b 分割束、小束
67 検出器、検出器素子
68 信号検出器素子、光検出器素子
68a,68b,68c 吸収波長検出器素子
68d 基準波長検出器素子
68b,68d,68e,68f 空素子
69 検出器ハウジング
70a,70c,70e 分配出力端
70b,70d,70f 出力端
72 帯域フィルター、フィルター
72a,72c,72e 帯域フィルター
74 集光器
74a,74c,74e 集光器
75 リング
76 ランダム化光ファイバー製ビームスプリッター、光ビームスプリッター
77 保持具
78 入力窓、検出器窓
80 システムプロセッサー
82 シャッター制御器
83 直列通信ポート
84 検出器基板
88,88 リング
89 ベースプレート
90 紙ウエブ、ウエブ
132 光ファイバー製光ホモジナイザー、光ホモジナイザー
420 束
420a 端
430a 出力端
430 束
710 可変ゲインチャンネル増幅器、チャンネル増幅器
711 増幅器
740 制御器
750 光源強度制御器
760 シャッターモーター制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造工程中のウエブ(90)の少くとも1つの特性を測定するために光源(22)からの光を用いる赤外線分光測定デバイスにおいて光源(22)を遮断するためのシャッター機構(34)であって、
出力軸(42)を有するモーター(36)と、
該モーターの出力軸(42)に結合されており、該モーターの作動によって前記光源を完全に遮蔽する位置へ回転されるようになされたシャッターフラッグ(38)と、
該光源を遮断するために該モーターを非同期的に制御するための制御器(82)と、
から成ることを特徴とするシャッター機構。
【請求項2】
前記シャッターフラッグ(38)は、その角運動のモーメントを小さくするように単一の羽根(46,48)として形成されている請求項1に記載のシャッター機構。
【請求項3】
前記単一の羽根(46,48)は、その角運動のモーメントを小さくするために少くとも1つのアパーチャー(44)を有する請求項2に記載のシャッター機構。
【請求項4】
前記単一の羽根(46,48)は、前記モーター(36)の前記出力軸(42)に連結された第1セクション(46)と、前記光源を遮断する第2セクション(48)を含む請求項2に記載のシャッター機構。
【請求項5】
前記羽根(46,48)の第1セクション(46)は、前記光源(22)より幅狭の基軸部分を構成し、該羽根の第2セクション(48)は、該光源を遮断するために前記基軸部分より幅広である請求項4に記載のシャッター機構。
【請求項6】
前記単一の羽根(46,48)の第2セクション(48)は、前記基軸部分から該単一の羽根の先端まで拡開して切頭扇形をなしている請求項5に記載のシャッター機構。
【請求項7】
前記単一の羽根(46,48)は、金属で形成されている請求項4に記載のシャッター機構。
【請求項8】
前記単一の羽根(46,48)は、チタンで形成されている請求項7に記載のシャッター機構。
【請求項9】
前記単一の羽根(46,48)は、アルミニウムで形成されている請求項7に記載のシャッター機構。
【請求項10】
前記単一の羽根(46,48)は、前記光源(22)とは反対側の面を磨き仕上げとされている請求項7に記載のシャッター機構。
【請求項11】
前記単一の羽根(46,48)は、前記光源(22)に面する側の面に吸光性コーチングを有する請求項7に記載のシャッター機構。
【請求項12】
吸光性コーチングは、つや消しの黒色ペイントである請求項11に記載のシャッター機構。
【請求項13】
前記モーター(36)は、ステップモータである請求項1に記載のシャッター機構。
【請求項14】
前記赤外線分光測定デバイスは、インジウムガリウム砒素検出器(68a〜68d)を含む請求項1に記載のシャッター機構。
【請求項15】
製造工程中のウエブ(90)の少くとも1つの特性を測定するために光源(22)からの光を検出するための少くとも1つのセンサー(68a〜68d)を備えた赤外線分光測定デバイスにおいて、光源(22)を遮断するための方法であって、
出力軸(42)を有するモーター(36)を設ける工程と、
該モーターの出力軸にシャッターフラッグ(38)を連結する工程と
該シャッターフラッグを、前記光源を完全に遮蔽する位置へ回転させるために該モーターを作動する工程と、
該光源を遮断するために該モーターを非同期的に制御する工程と、
から成ることを特徴とする光源遮断方法。
【請求項16】
前記光源を遮断するためにモーターを非同期的に制御する前記工程は、DCから0.02秒ごとに1回までの範囲のレートで行われる請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項17】
前記光源が前記シャッターフラッグ(38)によって遮断されているとき、前記センサー(68a〜68d)によって発せられた信号を測定する工程と、
前記光源が遮断されるたびに、前記信号からの基線ノイズ値を測定する工程と、
基線ノイズの変化値を測定するために前記基線ノイズ値をその前の基線ノイズ値と比較する工程と、
前記基線ノイズの変化値を第1閾値と比較する工程と、
前記基線ノイズの変化値が第1閾値を超えたならば、前記光源の遮断レートを高める工程を含む請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項18】
前記第1閾値は、前の基線ノイズ変化値の倍数として設定される請求項17に記載の光源遮断方法。
【請求項19】
前記倍数は、2である請求項18に記載の光源遮断方法。
【請求項20】
前記基線ノイズの変化値を第2閾値と比較する工程と、
前記基線ノイズの変化値が第2閾値より小さくなったならば、前記光源の遮断レートを低下させる工程を含む請求項17に記載の光源遮断方法。
【請求項21】
前記第2閾値は、前の基線ノイズ変化値の分数として設定される請求項20に記載の光源遮断方法。
【請求項22】
前記分数は、2分の1である請求項21に記載の光源遮断方法。
【請求項23】
前記光源が遮断されるたびに、前記信号からの平均暗状態値を計算する工程と、
該平均暗状態値を用いて前記基線ノイズを測定する工程を含む請求項17に記載の光源遮断方法。
【請求項24】
前記少くとも1つのセンサーは、インジウムガリウム砒素検出器(68a〜68d)である請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項25】
前記少くとも1つのセンサーは、セレン化鉛検出器である請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項26】
前記少くとも1つのセンサーは、珪化白金検出器である請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項27】
前記モーター(36)は、ステップモーターである請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項28】
光源を遮断するためにモーター(36)を非同期的に制御する(82)工程では、前記光源を1秒おきに約4〜10ミリ秒間遮断する請求項15に記載の光源遮断方法。
【請求項29】
製造工程中のウエブ(90)の少くとも1つの特性を測定するために光源(22)からの光を検出するための少くとも1つのセンサー(68a〜68d)を備えた赤外線分光測定デバイスにおいて、光源(22)を遮断するための方法であって、
出力軸(42)を有するステップモーター(36)を設ける工程と、
該モーターの出力軸にシャッターフラッグ(38)を連結する工程と
該シャッターフラッグを、前記光源を完全に遮蔽する位置へ回転させるために該モーターを作動する工程と、
前記光源が完全に遮蔽されている間に前記少くとも1つのセンサーから収集されたデータに基づいて暗状態の検査を実施する工程と、
連続して逐次に実施される暗状態の検査結果を比較する工程と、
前記暗状態の検査結果の比較に従って前記光源を遮断するために前記ステップモーターを非同期的に制御する(82)工程と、
から成ることを特徴とする光源遮断方法。
【請求項30】
製造工程中のウエブ(90)の複数の特性を同時に測定するために該ウエブの単一のサンプル部分からの光を混合し、分配するための装置であって、
前記サンプル部分から光を受け取り、その光を出力端(64,430a)を被って均一に分配する検出器光ホモジナイザー(62,132)と、
該検出器光ホモジナイザーの該出力端から光を受け取り、その光の複数の部分を複数の分割された出力端(70a〜70f)へ分配する光分配器(76,66)と、
から成ることを特徴とする光混合分配装置。
【請求項31】
前記検出器光ホモジナイザーは、反射性内側面を有するほぼ半球状のキャビティから成り、該検出器光ホモジナイザーの前記出力端は、該検出器光ホモジナイザーの軸線からオフセットされた角度に向けられた光ポートから成る請求項30に記載の光混合分配装置。
【請求項32】
前記光ポート(64)は、前記半球状のキャビティの軸線(62a)から約0〜70°の角度に向けられている請求項31に記載の光混合分配装置。
【請求項33】
前記光ポート(64)は、前記半球状のキャビティーの軸線(62a)から約45°〜65°の角度に向けられている請求項32に記載の光混合分配装置。
【請求項34】
前記ウエブ(90)の前記単一のサンプル部分に向けて反射させるための反射性内側面を有するほぼ半球状のキャビティから成る光源光ホモジナイザーを含む請求項31に記載の光混合分配装置。
【請求項35】
前記光源光ホモジナイザーの軸線(50a)は、前記半球状のキャビティーの軸線(62a)からオフセットされている請求項34に記載の光混合分配装置。
【請求項36】
前記検出器光ホモジナイザーの前記出力端(64)は、該検出器光ホモジナイザーの軸線からオフセットされた角度に向けられた複数の光ポート(64)を含む請求項31に記載の光混合分配装置。
【請求項37】
前記検出器光ホモジナイザー(132)は、ランダムに分配された光ファイバー束の第1セクション(420)と、該第1セクションに直列に接続された、ランダムに分配された光ファイバー束の第2セクション(430)とから成り、該第1セクションのランダムに分配された光ファイバー束は、該第2セクションのランダムに分配された光ファイバー束とは異なるランダム化を有しており、該直列に接続された第1及び第2セクションの光ファイバー束は、前記光を第1端(420a)で受け取り、該光を第2端に位置する前記出力端(430a)を被って均一に分配する請求項30に記載の光混合分配装置。
【請求項38】
前記光分配器(76,66)は、前記検出器光ホモジナイザー(62,132)の前記出力端(64,430a)に結合された、ランダムに分配された光ファイバー(66)の束から成り、該光ファイバーの束は、複数の小束(66b)に分割されており、該小束の各々は、前記分配された出力端(70a〜70f)の対応する1つに結合されている請求項30に記載の光混合分配装置。
【請求項39】
ランダムに分配された光ファイバー(66)の前記束は、被検出赤外線波長に対して高い透過率を有する請求項38に記載の光混合分配装置。
【請求項40】
最初は物理的に実質的に均一であるが、使用するにつれて漸進的に物理的に不均一になっていくランプフィラメントと、電球(24)と、該電球の内側面の黒化を防止するためのガスを有する分光検出システム用赤外線光源(22)をテストするための方法であって、
物理的に実質的に均一なランプフィラメントを有する前記赤外線光源に第1電圧を供給する工程と、
第1スペクトルパワー分布を測定するために複数の異なる波長での放射パワーを測定する工程と、
物理的に実質的に均一なランプフィラメントを有する前記赤外線光源に第2電圧を供給する工程と、
第2スペクトルパワー分布を測定するために前記複数の異なる波長での放射パワーを測定する工程と、
前記第1スペクトルパワー分布と第2スペクトルパワー分布に基づいてスペクトルパワー分布の第1の変化を計算する工程と、
物理的に実質的に均一なランプフィラメントを有する前記赤外線光源に前記第1電圧を供給する工程と、
第3スペクトルパワー分布を測定するために前記複数の異なる波長での放射パワーを測定する工程と、
物理的に実質的に均一なランプフィラメントを有する前記赤外線光源に前記第2電圧を供給する工程と、
第4スペクトルパワー分布を測定するために前記複数の異なる波長での放射パワーを測定する工程と、
前記第3スペクトルパワー分布と第4スペクトルパワー分布に基づいてスペクトルパワー分布の第2の変化を計算する工程と、
前記赤外線光源の推定残存有効寿命を予測するためにスペクトルパワー分布の前記第1の変化と前記第2の変化を比較する工程と、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項41】
前記複数の異なる波長での放射パワーを測定するための検出器は、InGaAs検出器(68a〜68d)である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の異なる波長は、近赤外線及び中間赤外線帯域の波長を含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記第1電圧は、0から前記赤外線光源のための最大限電圧までの範囲から選択される請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記第2電圧は、0から前記赤外線光源のための最大限電圧までの範囲から選択される請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記光源の電球の内側面の黒化を防止するためのガスは、ハロゲンである請求項40に記載の方法。
【請求項46】
第1電圧を供給する前記工程は、第2電圧を供給する前記工程の実質的に直後に実施される請求項40に記載の方法。
【請求項47】
測定システムを校正するために製品サンプルの少くとも1つの特性を測定する方法であって、
前記サンプルを平常の製品測定強度で作動する光源で照射する工程と、
該光源をテスト時間のうちの所定の何%かの時間の間遮蔽する工程と、
該光源が遮蔽されていないとき前記サンプルからの光を測定する工程と、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項48】
光源を遮蔽する前記工程は、シャッターを前記光源と前記サンプルの間へ非同期的に移動させることから成る請求項47に記載の方法。
【請求項49】
テスト時間のうちの前記所定の%は、約90%以上である請求項47に記載の方法。
【請求項50】
テスト時間のうちの前記所定の%は、約99%以上である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
測定システムを校正するために製品サンプルの少くとも1つの特性を測定する方法であって、
光源(22)を平常の製品測定強度で作動させる工程と、
前記サンプルを前記光源から光を受ける位置へ移動させる工程と、
前記光源とサンプルの間に介在する光遮蔽位置と、光非遮蔽位置との間で移動させることができるシャッターを設ける工程と、
前記製品サンプルの前記少くとも1つの特性が影響されることなく、該少くとも1つの特性を測定するのに必要な時間だけ該製品サンプルが平常の製品測定強度で照射されるように、前記光源による製品サンプルの照射時間を制御するために前記シャッターを前記光遮蔽位置と、光非遮蔽位置との間で移動させる工程と、
前記光源が遮蔽されていないとき前記サンプルの前記少くとも1つの特性を測定する工程と、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項52】
前記照射は、所定の時間の間だけ行われ、前記シャッター(34)は、該所定の時間のうちの相当な時間前記光遮蔽位置へ移動されている請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記所定の時間のうちの前記相当な時間の割合は、約90%以上である請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記所定の時間のうちの前記相当な時間の割合は、約99%以上である請求項53に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−502387(P2006−502387A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542019(P2004−542019)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031142
【国際公開番号】WO2004/031752
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(502234606)エイビービー インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】ABB INC.
【住所又は居所原語表記】579 EXECUTIVE CAMPUS, WESTERVILEE,OHIO 43082,USA
【Fターム(参考)】