走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像生成方法及び装置、並びに試料の観察方法及び観察装置
【課題】
SEMを用いた半導体パターンの画像の取得に関して、SEMの撮像に伴う電子線照射による試料へのダメージを抑えつつ、高分解能なSEM画像を取得することである。
【解決手段】
電子線の照射エネルギーを抑えて撮像した低分解能なSEM画像から形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)を複数抽出し、複数の前記領域の画像データから画像復元処理により一枚の高分解能な前記パターンの画像を生成することを特徴とする。また、設計データを用いて前記類似領域および画像復元処理が実行可能となるSEMの撮像位置および撮像範囲を決定することを特徴とする。
SEMを用いた半導体パターンの画像の取得に関して、SEMの撮像に伴う電子線照射による試料へのダメージを抑えつつ、高分解能なSEM画像を取得することである。
【解決手段】
電子線の照射エネルギーを抑えて撮像した低分解能なSEM画像から形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)を複数抽出し、複数の前記領域の画像データから画像復元処理により一枚の高分解能な前記パターンの画像を生成することを特徴とする。また、設計データを用いて前記類似領域および画像復元処理が実行可能となるSEMの撮像位置および撮像範囲を決定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡により撮像して取得した画像を画像処理により高分解能化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハの配線パターンは、ウェーハにフォトレジストと呼ばれる感光剤を塗布した後に、露光装置を用いてフォトマスク上のパターンをウェーハに露光・現像することで形成される。微細な構造を有する半導体ウェーハの配線パターンを形成するにあたって、形成されたパターンの寸法や形状がデバイス特性の設計仕様に収まっているか否かを検査する形状検査や、パターンのショートや欠けあるいは異物といったデバイスの不良要因となる欠陥を検査する欠陥検査が重要となっており、これらの形状検査や欠陥検査において走査荷電粒子顕微鏡の一つである走査電子顕微鏡(SEM)が用いられている。
【0003】
形状検査に関しては、SEMで撮像した半導体パターンの画像を処理してパターンの寸法を計測したり、画像から抽出した二次元的なパターンの輪郭線を設計データと比較することでパターン形状の検査が行われる。前記形状検査の結果を基に、半導体ウェーハ上に良好な配線パターンを形成できるように半導体製造装置を調整する。また、半導体の微細化に伴い露光時の光の回折現象がパターン形成に影響を及ぼすようになっている。これに対して、光の回折現象による影響を見込んでフォトマスクのパターンにOPC(Optical Proximity Correction)と呼ばれる補助パターンを加えることでウェーハ上に良好な配線パターンを形成する技術がある。
【0004】
欠陥検査に関しては、SEMで撮像して取得した検査画像と、検査画像と同様のパターンの外観を持ち、なおかつ欠陥を含まない参照画像と比較することで欠陥の有無を検査する。参照画像として検査画像のチップあるいはセルをずらして撮像した画像を用いることができるし、メモリセルといった繰り返しパターンの場合は1つのセルの画像データから検査画像に対応する参照画像を合成することもできる。また、欠陥の有無だけではなく欠陥の種別やサイズを判別する場合もある。欠陥検査により半導体デバイスの良否や不良原因となる欠陥の発生原因を解析することができる。
【0005】
半導体パターンの微細化に伴い、パターンの高精度な形状検査や微小欠陥の検査の必要性が増しており、高分解能な画像を取得することが重要となっている。
SEMで高分解能な画像を取得する従来技術として、(1)加速電圧を高くすることで電子ビーム径を絞って撮像する電子光学系の設計による分解能向上技術や、(2)同一箇所のパターンに対して撮像位置を微小量ずらして複数回撮像して得た複数のSEM画像から画像復元処理を用いて一枚の高分解能な画像を得る画像処理による分解能向上技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−139965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記(1)の従来技術に関しては、加速電圧を高くして電子ビーム径を絞ると高い分解能の画像は得られるものの、電子線による半導体ウェーハへのダメージが大きくなりパターンが変形するという問題がある。パターンの変形には、電子線照射によりパターンが縮むパターンシュリンクや、ウェーハ上に汚染物質が付着してパターンが太るコンタミネーションと呼ばれる現象が知られている。パターンが微細になるほど、このようなパターンの変形によるデバイス特性への影響が大きくなり問題となる。また、加速電圧を低くすると回折収差およびレンズ収差が大きくなるため分解能の低下が生じる。このように、電子光学系の設計による分解能向上に関しては、分解能と電子線照射による試料へのダメージはトレードオフが存在するため、分解能の向上と試料へのダメージの抑制を同時に満たすことは困難となる。
【0008】
また、上記(2)の従来技術に関しては、画像復元処理で十分な分解能を持つ画像を得るには画像復元処理に形状が類似するパターンを含む画像(類似画像)を多く入力する必要がある。しかしながら、試料へのダメージを考慮すると撮像する画像の枚数に制限が生じるため、画像復元処理に入力する類似画像の枚数が少なくなり、十分な分解能を持つ画像を得ることが難しくなる。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決し、走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像撮像時の電子線照射により試料へのダメージを抑えつつ、高い分解能の画像を取得する画像生成方法及びその装置、試料観察方法及びその装置を提供することにある。また、本発明の他の目的及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、以下のような特徴を有する走査荷電粒子顕微鏡ならびにそれを用いて半導体パターンの高分解能な画像を取得する方法とした。以下の説明では走査荷電粒子顕微鏡の例として、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、走査型イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope:SIM)又は走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)等の走査荷電粒子顕微鏡にも応用することが可能である。
【0011】
(1)本発明では、SEMを用いて半導体回路パターンの画像を撮像・取得して、前記画像から形状が類似するパターンを持つ領域を複数抽出し、複数の前記領域の画像を用いて画像復元処理を実行することを特徴とする。これにより、画像復元処理に形状が類似するパターンを含む画像を多数入力することが可能となり高分解能な前記パターンの画像を生成できる。
【0012】
しかしながら、前記画像復元処理を実行するにあたって、SEM画像から前記形状が類似するパターンを持つ領域の抽出が困難となる場合がある。例えば、メモリセルのようなパターンが周期的に繰り返している画像であればパターンの周期情報より容易に形状が類似する領域を抽出することができる。しかし、ロジックのように一部に特異なパターンを含んだり、非周期的な繰り返しパターンを含んだ場合は前記周期を用いた方法ではパターン形状が類似する領域を抽出できない。
【0013】
そこで、本発明では、さらに、入力画像に前記画像復元処理が適用可能となる形状が類似するパターンを二つ以上持つ領域(判別類似領域)と、持たない領域(判別非類似領域)を判別して、前記判別類似領域に対して画像復元処理を適用することも特徴の一つとする。これにより、画像中に特異なパターンを含んでいてもこれを避けて画像復元処理が実行できる。
【0014】
次に、画像復元処理において、前記判別類似領域から画像復元処理を施す領域群(類似領域群)を決定した後に、前記類似領域群の画像群(類似画像群)を用いて画像復元処理を行うことを特徴の一つとする。ここで、前記類似領域群はいずれも共通の類似するパターンを含むように決定する。画像復元処理においては、入力する類似画像群の数が多く、なおかつ前記類似画像群間が類似するほど高分解能の画像を生成することができる。これにより、メモリセルのような単純な周期的な繰り返しのパターンだけでなく、ロジックのような複雑なパターンを含む画像においても、部分的に類似するパターンが二つ以上存在すれば画像復元処理による高分解能化が可能となる。
【0015】
しかしながら、判別類似領域から類似領域群を抽出するためには、類似領域を抽出する単位となる領域の位置およびサイズの決定がそもそも困難である。そこで、本発明では、前記類似領域群を決定するために、前記類似領域群を探索するための基準となる領域(基準領域)を設定して、前記基準領域と前記判別領域とのパターンマッチングにより類似領域群を抽出する。その際、類似領域群の数が多くなり、なおかつ、前記類似領域群の画像間の類似度が高くなるように基準領域と類似領域群を決定することも特徴の一つとする。すなわち、本発明では画像復元処理がうまくいくように、基準領域のサイズと位置、および類似領域群の数、および類似領域群の画像間の類似度を指標値として、基準領域を最適化することも特徴の一つとする。
【0016】
また、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像をGUI上に表示することを特徴とする。また、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像に対して画像処理を用いてパターン寸法の計測、あるいはパターンの輪郭線を抽出することを特徴とする。例えば、ArFレジストのような電子線照射の耐性が低い試料に対して、電子線照射によるダメージを抑えるために低倍率で撮像してラインパターンやホールパターンの画像を取得した後に、画像復元処理により寸法を計測する領域の画像を高分解能化することが可能となり高精度な寸法の計測あるいは輪郭線の抽出が可能となる。
【0017】
(2)前述のとおり上記項目(1)の画像復元処理においては、形状が類似する画像群を多く入力するほど高い分解能の画像が生成できる。一般に半導体パターンは左右/上下対称なパターンを多く含む。そこで、本発明では入力SEM画像内の二つの類似領域間の画像の類似度を評価するにあたって、一方の類似領域の画像を回転あるいは反転して、もう一方の類似領域の画像と類似していれば、両類似領域間の画像の類似度を示す指標値を高くすることを特徴とする。
【0018】
また、SEMの撮像において電子線照射による帯電等の影響により画像の一部が多少歪む場合がある。しかし、このような場合においても画像処理により歪みを補正すれば画像復元処理に利用できる可能性がある。そこで、本発明では前述の回転や反転に加えてパターンの多少の歪みを許して形状の類似度を評価することを特徴とする。さらに、画像復元処理に入力する類似領域群の各画像(入力類似画像)に対して前述の回転、反転、微小歪みを加えてから画像復元処理を行う。このようにパターンの類似度をある程度の変形を許して評価することで、画像復元処理に入力類似画像の数を増やすことができる。
【0019】
(3)画像復元処理において、入力類似画像の数だけではなく入力類似画像間の類似度が高いことが望ましい。しかし、入力類似画像群の中にパターンの形状は類似していても明るさやノイズ量、あるいはパターンエッジの信号プロファイル(エッジプロファイル)などの画質が異なる画像が一部含まれる場合、最終的な復元画像がその一部の画像に大きな影響を受ける可能性がある。このような画質が変動する要因の1つに、SEMの撮像における電子ビームのスキャン方向がある。例えば、上記項目(2)で述べた左右反転させた画像はスキャン方向を反転させた時の画像のエッジプロファイルに近くなる。そこで本発明では、入力類似画像群の画質のばらつきに対して画像復元処理がロバストに動作するように、入力類似画像群それぞれに対してパターン形状あるいは画質の類似度を示す指標値(類似指標値)を算出し、前記類似指標値が高い類似画像ほど最終的に出力される高分解能画像に大きく反映されることを特徴とする。
【0020】
(4)前記高分解能画像を前記類似領域群が存在する位置に張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成することを特徴とする。
すなわち、上記項目(1)の画像復元処理は類似領域群の画像群から前記類似領域群を代表する一枚の高分解能画像を生成する処理であるが、得られた高解像度画像からは前記類似領域群のパターン間の位置関係はわからない。一方で、前記合成高分解能画像においては、高分解能化した類似領域群のパターン間の位置関係が容易に分かる。また、本処理に加えて高分解能化できなかった領域に関しては、入力画像または入力画像を補間拡大した画像を張り合わせることで入力画像全体を部分的に高分解能化した画像を生成することもできる。例えば、欠陥を含む検査画像と参照画像との比較により欠陥領域を抽出し、前記欠陥領域を除いた領域で高分解能化を行い、前記欠陥領域においては入力画像を補間拡大した欠陥部の画像を張り合わせることで検査画像を高分解能化することができる。
【0021】
また、前記入力画像において前記類似領域間で多少パターンの形状が異なっていても(類似領域として抽出される程度には形状が類似しているとする)、前述の方法で最終的に出力される合成高分解能画像では前記類似領域群のパターン形状は全て同一の外観となってしまう。そこで本発明では、前記類似領域ごとに上記項目(3)で述べた類似指標値を算出して画像復元処理を行うことを特徴とする。すなわち、前記類似領域群に含まれる第n番目の類似領域の高分解能画像(第n高分解能画像)を前記画像復元処理により生成する際には、前記第n番目の類似領域と他の類似領域群のパターン形状の類似度を示す指標値(類似指標値)を算出し、前記類似指標値が高い類似領域の画像が前記第n高分解能画像に大きく反映されることを特徴とする。これにより、各類似領域のパターン形状の特徴を保ちつつ入力画像全体を高分解能化することが可能となる。
【0022】
また、前記合成高分解能の画像をGUI上に表示することを特徴とする。また、前記合成高分解能の画像に対して画像処理を用いてパターン寸法の計測、あるいはパターンの輪郭線を抽出することを特徴とする。
【0023】
(5)上記項目(1)において、着目するパターン(着目パターン)を入力して、前記着目パターンを持つ領域の画像を高分解能化することを特徴とする。すなわち、パターン形状を評価する場合においては入力画像の一部を高分解能化すれば十分なケースがあり、その場合は高分解能化処理の簡略化・高速化ができる。具体的には、上記項目(1)の判別類似領域と判別非類似領域への分割、画像復元処理を施す領域の設定が省略できる。前記着目パターンは手動で入力したり、EDA(Electronic Design Automation)ツールで出力された欠陥が発生しうるHOTSPOTと呼ばれる危険箇所の付近のパターンを入力することを特徴とする。あるいは、形状を評価するパターンは入力画像の中央付近に来るように撮像される場合が多いため、着目パターンとして入力画像の中央付近のパターンを用いることもできる。また、画像復元処理により高分解能化した画像を処理してパターン寸法を計測したり、パターンの輪郭線を抽出することを特徴とする。
【0024】
(6)SEMで撮像する撮像位置および撮像範囲(撮像視野)を設定し、前記撮像視野を含む回路パターンの設計データを入力して、前記設計データを基に上記項目(1)の類似領域群を決定することを特徴とする。
【0025】
すなわち、上記項目(1)の方法では入力画像を撮像するまで入力画像内に形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)が存在するかどうか判らない。また、前記類似領域を抽出するにあたって、入力画像がぼやけていたり低分解能あるいは低S/Nの場合においては、テンプレートマッチングなどの画像情報を基にした類似領域の探索方法がうまくいかない場合がある。そこで本発明では、設計データを用いることで、オフライン(撮像装置不要)で前記類似領域を探索することを特徴とする。具体的には、設計データ上で形状が類似するパターンを含む領域群(類似領域群)を抽出して、抽出した類似領域群の情報をファイルに出力しておき、入力画像を撮像した後に前記ファイルから類似領域群の情報を読み込むことで、類似領域の探索処理と撮像処理が分離できる。また、類似領域の探索を設計データ上で行うことで、入力画像のぼけやS/N、量子化誤差にロバストな探索を行うことを特徴とする。
【0026】
また本発明では、設計データを用いて最初に入力された撮像視野を再設定することを特徴とする。再設定の方法として、最初に入力された撮像視野とその周辺の設計データを用いて、前記類似領域を撮像視野内に多く含むような撮像視野を探索する。これにより、画像復元処理に入力する類似領域の数を増やせる。また、画像復元処理においては類似領域の数だけではなく類似領域の画像間の類似度が高いほど高分解能の画像が復元できる。そこで、本発明では前記撮像視野の決定の際は、類似領域を多く含み、なおかつ前記類似領域の画像間の類似度を示す指標値が高くなるように撮像視野を決定することを特徴とする。
【0027】
しかしながら、前記類似領域群は設計データを用いて形状の類似度を判定して抽出していたが、ウェーハ上に形成される実パターン(実際に画像復元処理に用いるパターン)と設計データの形状が乖離する場合がある。例えば、設計データ上では同じ形状のパターンでも周囲のパターンの密度によって実パターン形状が変化する場合がある。また、異物などの欠陥によって設計データのパターンと実パターンの形状が部分的に大きく乖離する場合もありうる。そこで本発明では、設計データを用いて抽出した類似領域群の画像群を用いて類似領域間の類似度を再評価することを特徴とする。すなわち、前記類似領域群に含まれるそれぞれの類似領域内をさらに複数の領域(分割領域群)に分割し、前記分割領域群の画像間で類似する分割領域と類似しない分割領域(例外領域)とに判別し、前記類似領域群から前記例外領域を取り除いて画像復元処理を実行することを特徴とする。これにより、パターンの変形や異物などの欠陥にロバストな画像復元処理が実現する。
【0028】
(7)上記項目(1)および(6)において、複数のSEM画像を取得して入力することを特徴とする。すなわち、一枚の画像ではなく複数のSEM画像間に渡って類似領域を抽出することで、類似領域の数を増やして画像復元処理による高分解能化処理の性能を向上させる。そのためには、複数のSEM画像間で形状が類似するパターンを含む必要がある。本発明においてそのようなSEM画像の取得方法として、第一に撮像したSEM画像から隣接するチップあるいはセル上の同一の相対座標を持つ位置を撮像して第2のSEM画像を取得することを特徴とする。この方法が有効な例としては、OPCが付いた複雑なマスクパターンがある。この場合、類似する形状を持つパターンが少ないため一枚のSEM画像で画像復元処理を行うことが困難となる。そこで、最初に撮像したSEM画像と同じパターンを持つと予想される隣接するチップあるいはセルのSEM画像を撮像してこれを画像復元処理に用いることで、OPCが付いた複雑なマスクパターンに対しても画像の高分解能化が可能となる。
【0029】
その他の複数のSEM画像の取得方法として、これまで取得した画像をSEM装置に連結された画像データベースに格納しておき、入力画像の撮像位置と近い位置を撮像した画像が前記画像データベースに存在すれば、その画像を入力することを特徴とする。また、設計データが利用できる場合は、設計データ上で形状が類似するパターンを多く含む撮像視野を複数決定し、複数の前記撮像視野を撮像して得られる複数のSEM画像を用いることもできる。
【0030】
以下、本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に纏める。
【0031】
(a)走査荷電粒子顕微鏡を用いて回路パターンが形成された試料を観測する観測方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得するステップと、前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出するステップと、前記抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップと、前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測するステップと、を有する観測方法である。
【0032】
(b)(a)記載の観測方法であって、前記複数の領域を抽出するステップでは、前記所定の判断基準として、前記一の撮像画像から互いに形状が類似するパターンを含む領域をいくつ抽出できるか、及び、抽出しうる互いに形状が類似するパターンを含む領域の画像間でどれだけ類似しているか、を指標として判断し、前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法である。
【0033】
(c)回路パターンが形成された試料を観測する観測装置であって、前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得する走査荷電粒子顕微鏡と、前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出する手段と、前記抽出する手段により抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成する手段と、前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測する手段と、を有することを特徴とする観測装置である。
【0034】
(d)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別ステップと、前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であって、前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定されることを特徴とする画像生成方法である。
【0035】
(e)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成装置であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力手段と、前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別手段と、前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定手段と、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成手段を備えることを特徴とする画像生成装置であって、前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定することを特徴とする画像生成装置である。
【0036】
(f)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップと、前記類似領域群が存在する位置に前記類似領域群に対応する前記高分解能画像群をそれぞれ張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成する合成高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記高分解能画像生成ステップにおいて、前記類似領域群に含まれる第n番目の類似領域の高分解能な画像(第n高分解能画像)を前記画像復元処理で生成する際には、前記第n番目の類似領域と他の類似領域群の画像間の類似指標値を算出し、前記類似指標値が高い類似領域の画像が前記第n高分解能画像に大きく反映されることを特徴とする画像生成方法である。
【0037】
(g)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内で着目するパターン(着目パターン)を入力する着目パターン入力ステップと、前記着目パターンと形状が類似するパターンを持つ領域群(類似領域群)を前記入力画像内から決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から前記着目パターンを持つ領域の高分解能な画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップと、前記高分解能画像を処理して前記着目パターンの寸法を計測、あるいは前記着目パターンの輪郭線を抽出するパターン形状評価ステップを含むことを特徴とする画像生成方法である。
【0038】
(h)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを複数回撮像して取得した複数の画像(入力画像群)を入力する画像群入力ステップと、前記入力画像群間で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別ステップと、前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定されることを特徴とする画像生成方法である。
【0039】
(i)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡で撮像する視野位置および撮像範囲(撮像視野)を設定する撮像視野設定ステップと、前記撮像視野を少なくとも含む視野内の設計データを入力する設計データ入力ステップと、前記撮像視野を前記走査荷電粒子顕微鏡により撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記設計データを基に前記撮像視野内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群(類似画像群)から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記類似領域群に含まれる類似領域のいずれも前記設計データ上で形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記設計データを基に算出される類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値を基に決定することを特徴とする。
【0040】
(j)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡で撮像する撮像位置および撮像範囲(撮像視野)を複数入力する撮像視野群入力ステップと、複数の前記撮像視野を含む複数の視野内の設計データを入力する設計データ入力ステップと、複数の前記撮像視野を前記走査荷電粒子顕微鏡により撮像して取得した画像群(入力画像群)を入力する画像群入力ステップと、前記設計データを基に複数の前記撮像視野内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群(類似画像群)から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記類似領域群決定ステップにおいて、前記類似領域群のいずれも前記設計データ上で形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記設計データを基に算出される前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値を基に決定されることを特徴とする画像生成方法である。
【0041】
(k)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップと、前記類似領域群に含まれるそれぞれの類似領域内をさらに複数の領域(分割領域群)に分割し、前記分割領域群の画像間で類似する分割領域(類似分割領域)と類似しない分割領域(例外領域)とに判別する例外領域判別ステップと、前記類似分割領域が存在する位置に前記類似分割領域に対応する高分解能画像を張り合わせ、また、前記例外領域に対応する前記入力画像を補間拡大した画像を前記例外領域が存在する位置に張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成する合成高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれは、走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像撮像時の電子線照射により試料へのダメージを抑えつつ、高い分解能の画像を取得する画像生成方法及びその装置、試料観察方法及びその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を実現するためのSEM装置の構成を示す図である。
【図2】本発明におけるSEM画像を一枚入力して画像の高分解能化を行う場合の処理全体のフローを示す図である。
【図3】本発明における入力したSEM画像から類似するパターンの抽出を示す図である。
【図4】本発明における抽出した複数の類似パターンの画像からの高分解能な画像の生成を示す図である。
【図5】本発明における抽出した類似するパターンの領域毎に画像復元処理のパラメータを変更して高分解能な画像を生成した例を示す図である。
【図6】本発明における生成した高分解能画像からのパターンの形状評価を示す図である。
【図7】本発明における着目するパターンを高解像度化する場合の処理全体のフローを示す図である。
【図8】本発明における複数枚入力したSEM画像を用いて一枚の高分解能な画像を生成する場合の処理全体のフローを示す図である。
【図9】本発明における設計データを用いてSEM画像の高分解能化を行う場合の処理全体のフローを示す図である。
【図10】本発明における設計データを用いた形状が類似するパターンの抽出を示す図である。
【図11】本発明における設計データを用いた撮像視野決定を示す図である。
【図12】本発明における設計データとSEM画像上のパターンの乖離の例を示す図である。
【図13】本発明のラインパターンへの適用を示す図である。
【図14】本発明のホールパターンへの適用を示す図である。
【図15】本発明の複雑なマスクパターンへの適用を示す図である
【図16】本発明のダブルパターニングを経て得られたパターンへの適用を示す図である。
【図17】本発明の欠陥検査への適用を示す図である。
【図18】本発明におけるシステム全体を示す図である。
【図19】本発明における類似するパターンの抽出パラメータを設定するGUIを示す図である。
【図20】本発明における画像復元処理パラメータを設定するGUIを示す図である。
【図21】本発明における設計データを用いて撮像視野を決定するGUIを示す図である。
【図22】本発明における画像復元処理を行う領域の決定を示す図である。
【図23】本発明における画像復元処理を行う領域毎に画像復元処理に入力する画像の重みを変更して画像復元処理を実行するフローを示す図である。
【図24】本発明のパターンエッジへの適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡を用いて、高分解能な画像を生成する装置およびその方法に関する発明である。以下、本発明に係る実施の形態を、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)に適用した場合について説明する。
1. SEMの装置構成
図1に試料の二次電子像(Secondary Electron:SE像)あるいは反射電子像(Backscattered Electron:BSE像)を取得するSEMの構成概要のブロック図を示す。また、SE像とBSE像を総称してSEM画像と呼ぶ。また、ここで取得される画像は測定対象を垂直方向から電子ビームを照射して得られたトップダウン画像、あるいは測定対象に対して任意の傾斜角方向から電子ビームを照射して得られたチルト画像の一部または全てを含む。
【0045】
電子光学系102は内部に電子銃103を備え、電子線104を発生する。電子銃103から発射された電子線はコンデンサレンズ105で細く絞られた後、ステージ121上に載置された試料である半導体ウェーハ101上の任意の位置において電子線が焦点を結んで照射されるように、偏向器106および対物レンズ108により電子線の照射位置と絞りとが制御される。電子線を照射された半導体ウェーハ101からは、2次電子と反射電子が放出され、偏向器107によって照射電子線の軌道と分離された2次電子は2次電子検出器109により検出される。一方、反射電子は反射電子検出器110および111により検出される。反射電子検出器110と111とは互いに異なる方向に設置されている。2次電子検出器109および反射電子検出器110および111で検出された2次電子および反射電子はA/D変換機112、113、114でデジタル信号に変換され、処理・制御部115に入力されて、画像メモリ117に格納され、CPU116で目的に応じた画像処理が行われる。本発明においては画像メモリ117に格納されたSEM画像に対して画像復元処理を施し前記SEM画像の高分解能化を行う。あるいは、前記SEM画像をデータベース118に格納しておき、画像復元処理装置119を用いて前記SEM画像の高分解能化を行うこともできる。また、前記SEM画像あるいは高分解能化した前記SEM画像に対して形状計測・評価ツールサーバ120を用いてパターンの寸法や形状の評価を行うこともできる。116、117、119、120は処理端末122、123(ディスプレイ、キーボード、マウス等の入出力手段を備える)と接続されており、ユーザに対して処理結果等を表示する、あるいはユーザからの入力を受け付けるGUI(Graphic User Interface)を備える。
【0046】
なお、図1では反射電子像の検出器を2つ備えた実施例を示したが、前記反射電子像の検出器をなくすことも、数を減らすことも、数を増やすことも可能である。また、ここでは処理端末122、123が独立に存在する例を示したが、処理端末は一つであってもよく、ネットワークを介して遠隔に配置されていても構わない。
2.画像高分解能化処理
以下に本発明に係るSEMを用いて撮像したSEM画像を高分解能化する実施例について述べる。いずれの実施例においても、SEMを用いて撮像・取得した半導体回路パターンの画像から形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)を複数抽出し、抽出した複数の領域の画像データを用いて画像復元処理を実行することを特徴とする。これにより、撮像・取得した半導体回路パターンの画像が少なくとも、画像復元処理に多数の画像データを入力することが可能となり、試料へのダメージを抑えつつ画像の高分解能化を実現する。
【0047】
画像復元処理としては、例えば複数の類似するパターン形状を持つ画像群を入力して、それぞれの画像群をサブピクセルレベルで位置合せを行った後に、アップサンプリングした各画像の加算平均をとって一枚の高解像度画像を生成する処理を用いてもよい。あるいは、SEMの撮像による画像劣化モデル(SEMの電子ビームによる画像のぼけ、ノイズ、濃淡値の量子化、ダウンサンプリングなど)を用いて、撮像された画像群から前記画像劣化の影響を取り除いた画像を推定する方法を用いても良い。この場合、画像復元後の画像は数式1に記載したD(X)を最小化することで求めることができる。
【0048】
【数1】
【0049】
前記数式1のYiは撮像されたN枚の画像群のi番目の画像、Xは画像復元処理により推定する高分解能画像、Siは撮像されたi番目の画像のサブピクセルの位置ずれ量、Fは画像のぼけを示す作用で、Dは量子化による作用である。数式1の第1項は高分解能な画像Xが様々な画像劣化要因を受けて観測された画像Yiとの誤差を示す項で、第2項は復元する高分解能な画像Xに関する事前知識(例えば、Xの画素値の連続性など)を評価する項である。数式1を最小化して高分解能な画像を復元する処理は再構成型超解像処理とも呼ばれる。
【実施例1】
【0050】
図2に本発明に係るSEMを用いて撮像した一枚の画像を高解像度化するフローを示す。まず、SEMを用いて試料を撮像してSEM画像(入力画像)を取得する(ステップ201)。次に、画像復元処理に入力する形状が類似したパターンを含む領域群(類似領域群)を抽出する(ステップ203)。しかしながら、前記SEM画像に含まれるパターンによっては前記類似領域を抽出すること自体が困難となる場合がある。例えば、図17の1707に示すようなメモリセルの場合は1つのパターンが周期的に繰り返しているため、1周期分のパターンのテンプレート(図17の1708で示す領域内の画像データ)およびパターンの周期(X方向の周期1709、Y方向の周期1710)を入力すれば前記テンプレートを前記周期分だけずらして領域を切り出すことで容易に類似領域を抽出することができる。しかしながら、図17の1702に示すように、一部に特異なパターン(図17の1711、1712)を含んだ場合は前記類似領域の抽出自体が困難となる。そこで、ステップ203を実行する前に必要に応じて入力画像に前記画像復元処理が適用可能となる形状が類似するパターンを二つ以上持つ領域(判別類似領域)と、持たない領域(判別非類似領域)を判別する(ステップ202)。そして、前記判別類似領域のみから抽出した類似領域群に対して画像復元処理を適用する。ここで、前記判別類似領域と判別非類似領域との判別方法として、入力画像を細かい領域に分割して、分割した各領域の画像と類似する画像が入力画像中に存在するか否かを判定することで実行可能である。なお、細かい領域に分割する際には、例えば設計データを用いても、過去に同種ウェーハを処理した際に設定したデータを用いてもよく、ユーザが撮像画像を見ながら分割単位を設定するようにしても構わない。この判別処理により、入力SEM画像中に特異なパターンを含んでいてもこれを避けて画像復元処理が実行できる。
【0051】
次に、ステップ202で判別した判別類似領域内から前記類似領域群を抽出する方法について述べる。まず、前記類似領域群を探索するための基準となるテンプレート(基準テンプレート)を設定する(ステップ204)。そして、前記基準テンプレートと前記判別類似領域とのパターンマッチングを行い、基準テンプレートと類似する領域群(類似領域群)を抽出する(ステップ205)。次に、前記類似領域群の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を算出する(ステップ206)。前記類似指標値が低ければ、前記基準テンプレートの位置およびサイズを変更して再びステップ204に戻る(ステップ207)。このように、画像復元処理に入力する基準テンプレートおよび類似領域群の最適化を行う。具体的に、非周期パターンを含むSEM画像に対して基準テンプレートと類似領域群を決定する例を図22を用いて説明する。2201はSEM画像内のパターンである。まず、2202−1を基準テンプレートとして設定する。この場合、基準テンプレート2202−1のパターンと類似する2202−2と2202−3が類似領域群として抽出される。しかし、類似領域2202−2は基準テンプレート2202−1に含まれないパターン2205を含んでいるため、これらの類似領域群を用いて画像復元処理を行うと、得られる高分解能画像に2205のパターンが表れて不自然な結果となる恐れがある。そこで、前記基準テンプレートのサイズを少し小さくして第2の基準テンプレート2203−1を設定する。この場合、2203−2、2203−3が類似領域群として抽出される。これらの類似領域群を用いて画像復元処理を行うと、先ほどの場合のような2205のパターンが高分解能画像には表れない。なお、前記基準テンプレートは矩形に限らず、2204−1〜2204−3のように設定してもよく、任意の形状で設定可能である。また、ここでは基準テンプレート2202−1に含まれないパターン2205を含む場合の対策として、基準テンプレートを再設定する例を示したが、後に詳説するように、2202−2を用いず、2202−1と2202−3のみを類似領域群として抽出するようにしても構わない。このような基準テンプレートは、端末装置のGUI上に表示された入力画像を見ながら、ユーザがGUI上で適宜選択するなどして設定可能である。
【0052】
続いて、前記類似領域群の画像群(類似画像群)を用いて画像復元処理を行う(ステップ208)。前述のとおり画像復元処理においては、形状が類似する画像群を多く入力するほど高い分解能の画像が生成できる。一般に半導体パターンは左右/上下対称なパターンを多く含む。そこで、二つの類似領域間の画像の類似度を評価するにあたって、一方の類似領域の画像を回転あるいは反転した画像と、もう一方の類似領域の画像が類似すれば、両類似領域間の画像の類似度を高くする。また、SEMの撮像において電子線照射による試料への帯電等の影響により画像の一部が歪む場合がある。しかし、このような場合においても画像処理により歪みを補正すれば画像復元処理に利用できる可能性がある。そこで、前述の回転や反転に加えてパターンの多少の歪みを許して形状の類似度を評価する。また、画像復元処理においては入力する画像群に対して前述の回転、反転、微小歪みを加えてから画像復元処理を行うこともできる。このようにパターンの類似度をある程度の変形を許して評価することで、画像復元処理に入力する画像群の数を増やすことができる。
【0053】
図3に判別類似領域および類似領域群の抽出例を示す。301はSEMで撮像した入力画像で、パターン302−1〜302−15を含む。パターン302−4は異物303を含み、パターン302−5はパターンの一部が欠けており(304)、パターン302−8はパターンの一部が太っている(305)。また、パターン302−10は斜め方向に歪んでいる。パターン302−1、302−2、302−3、302−7、302−9、302−10、302−15はパターンの上下左右の反転、90度の回転、あるいは斜め方向の歪み補正を施せば形状が一致する。同様にパターン302−6、302−12、302−13、302−14もパターンの左右反転を行えば形状が一致する。また、パターン302−4、302−8、302−5は一部に異物303あるいはパターン欠陥304、305を含むがそれ以外のパターンが類似する。309は301と同一のSEM画像を示す。判別類似領域は309内の斜線で囲まれた領域306として抽出される。続いて、判別類似領域306から類似領域群を抽出すると、307−1〜307−10と308−1〜308−4の2種類のパターン形状を含む類似領域群が抽出される。画像復元処理ステップ208においては、第一の類似領域群307−1〜307−10、および第二の類似領域群308−1〜308−4それぞれに対して画像復元処理を施すことになる。
【0054】
また、画像復元処理ステップ208において、画像復元処理に入力する類似画像群に異物やパターン欠陥などが含まれた場合、最終的に出力される高分解能画像において前記異物やパターン欠陥の画像が反映され不自然な画像となる可能性がある。そこで、抽出した類似領域群からこれらの異物やパターン欠陥などの例外となる領域(例外領域)を抽出し、類似領域群から前記例外領域を取り除いた画像群を用いて画像復元処理を行うこともできる。図4を用いて例外領域の抽出例を説明する。図4の307−1〜307−10および308−1〜308−4は図3の入力画像301から抽出した類似領域群である。401〜403は図3の異物303、パターン欠陥304、305を含む領域を例外領域として抽出した結果である。具体的に例外領域の抽出方法としては、第一の類似領域群307−1〜307−10の画像を上下左右の反転、回転、あるいは微小歪みを加えて画像群を一致させた後に、それらの平均画像を生成する。そして、その平均画像と前記画像群それぞれの画像の差分値を算出して、その差分値が大きな画素を例外領域として抽出することができる。
【0055】
画像復元処理ステップ208において、前記例外処理により異物やパターン欠陥など画素値が大きく異なる領域を取り除いても、画像復元処理に入力する類似画像群において、パターンの形状は類似するものの明るさやノイズ量、パターンエッジの信号プロファイル(エッジプロファイル)などの画質が異なる類似画像が含まれる場合がある。この場合、最終的に復元した高解像度画像がその画質が異なる一部の類似画像に大きく影響を受ける可能性がある。このような画質が変動する要因として、SEMの撮像における電子ビームのスキャン方向などがある。そこで、画像復元処理に入力する画像群の画質のばらつきに対して画像復元処理がロバストに動作するように、画像復元処理に入力する類似領域画像群それぞれに対してパターンの形状・明るさ・ノイズ量・エッジプロファイル等を適宜加味したパターンの類似度を示す指標値(形状類似指標値)を算出し、前記形状類似指標値が高い類似画像ほど最終的に出力される高分解能画像に大きく反映させる。図4を用いて、前記形状類似指標値の算出例を説明する。パターン307−1を基準に画像復元処理を行うとして、パターン307−1の形状類似指標値を1とする(404−1)。パターン307−3はパターン307−1と形状がよく類似するので形状類似指標値0.8となっている(404−3)。パターン307−5は、例外領域402を取り除けばパターン307−1と形状がよく類似するので形状類似指標値は0.7となっている(404−5)。パターン404−2、404−4、404−6、404−7、404−8、404−9、404−10はパターンを上下左右の反転、回転、歪み補正を加えれば形状が類似するが、前述の電子ビームのスキャン方向によってパターンエッジの画像プロファイルが異なっている可能性があるため、低い形状類似指標値となっている。パターン308−1〜308−4に関しても同様に形状類似指標値を算出している(405−1〜405−4)。
【0056】
図4の406、および407はそれぞれ第一の類似領域群307−1〜307−10、および第二の類似領域群308−1〜308−4の画像群を画像復元処理により高解像度化した画像である。また、前記高分解能画像を前記類似領域群が存在する位置に張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成することもできる。すなわち、画像復元処理は複数の類似領域の画像から類似領域群を代表する一枚の高分解能画像を生成する処理であるが、得られた高解像度画像からは類似領域群のパターン間の位置関係はわからない。一方で、前記合成高分解能画像においては、類似領域群のパターン間の位置関係が容易に分かる。本処理に加えて、高分解能化できなかった類似領域に関しては単純に入力画像を補間拡大した画素を張り合わせることで入力画像全体を高分解能化した画像(合成高分解能画像)を生成することもできる。図4の408は図3の入力画像301全体を高分解能化した画像の左上部を示したものである。ここでは入力画像301の類似領域群307−1、307−2、307−6、308−1に対応する位置410−1〜410−4に高分解能化した画像406および407を張り合わせている(409−1〜409−4)。
【0057】
また、元の入力画像では前記類似領域間では多少パターンの形状が異なっていても、前述の方法では、最終的に出力される合成高分解能画像は全て同一のパターン形状となってしまう。このことを図5を用いて説明する。例えば入力画像501内のパターン502−1〜502−4はパターンエッジのラフネスがそれぞれ異なる。それに対して、類似領域群503−1〜503−4を抽出して画像復元処理を行うと一枚の高分解能な画像507が得られる。506は高分解能な画像507を類似領域群503−1〜503−4の位置に張り合わせて生成した合成高分解能画像である。510−1〜510−4は張り合わせた高分解能な画像507である。入力画像501全体を高分解能できているが、もともとあったパターン間の微妙な形状の違いがなくなっている。そこで、前記類似領域ごとに類似指標値を算出して画像復元処理を施す処理を行う。本処理のフローを図23を用いて説明する。
まず、類似領域群抽出処理でN個の類似領域を抽出する(ステップ2301)。次に、前記類似領域群に含まれる第n番目の類似領域(第n類似領域、n=1〜N)に着目する(ステップ2302)。前記第n類似領域と第i類似領域間の画像の類似指標値w[n][i](i=1〜N、i≠n)を算出する(ステップ2303)。そして、第n類似領域の高分解能画像(第n高分解能画像)を前記画像復元処理により生成する際には、前記類似指標値w[n][i]が高い類似領域の画像が前記第n高分解能画像に大きく反映するようにして画像復元処理を行う(ステップ2304)。例えば、各類似領域の画像を補間拡大して、それぞれを前記w[n][i]を重みとした画像の重みつき加算平均処理を施すことで第n高分解能画像を生成することができる。また、数式2で示すように数式1の再構成型超解像処理に前記w[n][i]を重みとして最小化することで高分解能画像を生成することもできる。
【0058】
【数2】
【0059】
ここで、数式2のXnは第n類似領域の高分解能画像を示す。以上の処理を各類似領域に対して繰り返す(ステップ2305)。そして、前記処理で生成した第n高分解能画像を前記第n類似領域に張り合わせる(ステップ2306)。これにより、各類似領域のパターン間の形状の特徴を保ちつつ入力画像全体を高分解能化することが可能となる。類似指標値の算出例を図5の510および511に示す。510および511内の類似領域511−1〜511−4および512−1〜512〜4は501内の類似領域503−1〜503−4に対応する。類似領域511−1に着目してこれを1としたとき(504−1)、511−2は511−1とパターンエッジのラフネスが類似しているため0.7と高い類似指標値となる(504−2)。一方で、パターン511−3、511−4はパターン511−1とパターンエッジのラフネスが異なるため低い類似指標値となる(504−3、504−4)。これら類似指標値504−1〜504−4を用いて画像復元処理を施すと高分解能画像509−1が得られる。同様に、類似領域512−3に着目した時の類似指標値は505−1〜505−4のようになり、この類似指標値505−1〜505−4を用いて画像復元処理を施すと高分解能画像509−3が得られる。このように、画像復元処理に同一の類似領域群を用いても、着目する類似領域毎に類似指標値を変更することで、パターン間の形状の違いを残しつつ入力画像全体を高分解能化することができる。
【0060】
以上を図2のフローに戻って説明すると、ステップ208では、類似領域群から例外となるパターン領域・欠陥領域を除外したり類似領域群の画像間の類似度を重み付けしたりして、画像復元処理により高分解能画像生成が行われる。必要な全ての高分解能化処理が終了しない場合には、判別非類似領域とされた領域内にて更に類似領域群抽出を試み、ステップ204〜ステップ209が繰り返され、必要な全ての高分解能化処理が終了すると、次は上記の通り入力画像全体の高分解能化を図るべく、判別類似領域に高分解能画像の貼り付け処理、判別非類似領域に入力画像を補間拡大して貼り付け処理等が適宜実行される(ステップ210)。
【0061】
さらに、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像をGUI上に表示することもできる(ステップ211)。また、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像に対して画像処理を用いてパターン寸法の計測(ステップ212)、あるいはパターンの輪郭線を抽出することもできる(ステップ213)。例えば、レジストパターンのような電子線照射の耐性が低い試料に対して、電子ビームの照射密度を抑えて低倍率で撮像したラインパターンやホールパターンの画像に対して、本処理により寸法を計測する領域の画像を高分解能化して高精度に計測することができる。また、欠陥を含む画像と同一パターンを持つ欠陥を含まない参照画像の一方又は両者を高分解能化し、これらの画像比較により欠陥を検出することもできる(ステップ214)。図6を用いて高分解能化した画像のパターン寸法の計測および輪郭線の抽出例を説明する。図6のパターン406は図3の類似領域307−1〜307−10の画像群から画像復元処理を施して高分解能化したパターンの画像である。601はパターン406の一部の寸法を計測した結果を示す。また、602はパターン406のパターンの輪郭線を抽出した結果である。これらは1つの類似領域を高分解能化した画像を用いて行っているが、高分解能画像を張り合わせた合成高分解能画像408に対しても同様の処理を行うことができる。この場合、603のように高分解能化したパターン間の寸法も計測することができるし、合成高分解能画像408全体のパターンの輪郭線を抽出することもできる。
【実施例2】
【0062】
実施例1においては入力画像から画像復元処理が実行できる領域を抽出しその領域を高分解能化する処理であったが、入力画像の一部のパターン形状のみを評価する場合においては入力画像の一部を高分解能化すれば十分なケースがある。その場合、入力画像を形状が類似するパターンを持つ領域群へ分割する処理が簡略化できる。この場合の処理フローについて図7を用いて説明する。なお、本実施例では説明を省略するが、実施例1および図2の処理フローにて説明した各種処理は必要に応じて適宜適用可能である。
【0063】
まず、SEMを用いて入力画像を撮像する(ステップ201)。次に、画像復元処理を実行するパターン(着目パターン)を入力する(ステップ701)。着目パターンはGUIに表示された入力画像を見ながらユーザが手動で入力してもよいし、EDA(Electronic Design Automation)ツールで出力された欠陥が発生しうるHOTSPOTと呼ばれる危険箇所の付近のパターンを入力してもよい。また、形状を評価するパターンは入力画像の中央付近に来るように撮像される場合が多いため、着目パターンとして入力画像の中央付近のパターンを用いてもよい。
【0064】
次に、前記着目パターンと形状が類似する領域群(類似領域群)を入力画像から抽出する(ステップ702)。この抽出処理は実施例1のステップ205と同様にして、着目パターンの画像と入力画像とのパターンマッチング等を適宜用いることができる。なお、実施例1に記載した処理の本実施例への適用例として、必要に応じて、着目パターンの領域を適宜修正する等しても構わない。
【0065】
次に、前記類似領域群の画像群から画像復元処理により着目パターンの1枚の高分解能画像を生成する(ステップ703)。その後、高分解能化した画像をGUI上に表示したり、パターン寸法を計測したり、パターンの輪郭線を抽出することができる(ステップ211〜213)。
【実施例3】
【0066】
実施例1においては、入力画像内から形状が類似するパターンの領域を探索し、その領域の高分解能化を図っていたが、半導体パターンが密に存在しない場合には1枚の入力画像内に類似するパターンが存在しない場合がある。そこで、複数のSEM画像を画像復元処理に用いることでそのような場合においても入力画像の高分解能化を図ることが可能となる。その具体的な実施例について図8を用いて説明する。この処理により、一枚の画像ではなく複数の画像間に渡って形状が類似するパターンを含む領域群をより多く抽出することで、画像復元処理による高分解能化処理の性能を向上させることができる。なお、本実施例では説明を省略するが、実施例1および図2の処理フローにて説明した各種処理は必要に応じて適宜適用可能である。
【0067】
まず、SEMを用いて試料を撮像して第1のSEM画像(第1の入力画像)を得る(ステップ201)。次に、第1の入力画像内に形状が類似するパターンが十分多く存在するか否かを判定する(ステップ801)。このとき、画像復元処理による高分解能化の効果が表れるほど十分な数の類似するパターンが存在しなければ、第2のSEM画像を取得して同様のステップ801の判定を行う。このような処理を繰り返して、複数の入力画像を取得する。ここで第2以降の入力画像の取得方法としては、第1の入力画像の撮像位置から隣接するチップあるいはセルの位置を撮像して取得してもよいし(ステップ802)、過去に撮像したSEM画像を格納した画像データベースから取得してもよい。画像データベースからの取得に関しては、第1の入力画像と撮像位置が近いSEM画像を画像データベースから取得しても良いし(ステップ803)、過去に撮像したSEM画像と第1の入力画像間で類似する形状を持つパターンが存在するか否かを判定して抽出してもよい(ステップ804)。
複数の入力画像により形状が類似するパターンが十分多く存在すると判定された場合には、図2のフローのステップ202に進み、以下同様の手順が適宜取られる。
【実施例4】
【0068】
実施例1〜3の方法では入力画像を撮像するまで入力画像内に形状が類似するパターンを持つ領域が存在するかどうか判らない。また、類似するパターンを抽出するにあたって、入力画像がぼやけていたり低分解能あるいは低S/Nの場合、テンプレートマッチングなどの画像情報を基にした方法ではテンプレートマッチング自体がうまくいかない場合がある。そこで、設計データを用いることで、類似領域をオフライン(撮像装置不要)かつSEM画像の画質にロバストに探索する。図9を用いて設計データを用いて画像復元処理を実行するフローを説明する。なお、本実施例では説明を省略するが、実施例1および図2の処理フローにて説明した各種処理は必要に応じて適宜適用可能である。
【0069】
まず、半導体回路パターンの設計データを入力する(ステップ901)。また、評価するパターンの座標値(評価座標)を入力する(ステップ902)。評価座標は、ユーザが設計データ上の座標をGUIで指定してもよいし、EDAツールなどから出力される欠陥が発生しうる危険箇所(HOTSPOT)を入力としてもよい。次に、前記評価座標を含むSEMの撮像位置および撮像範囲(撮像視野)を設定する(ステップ904)。撮像条件はユーザ要求入力ステップ903で入力した撮像範囲やフレーム加算数などを入力することができる。次に、設計データ901を用いて前記撮像視野内から画像復元処理を行うパターン(基準パターン)の設定を行う(ステップ905)。基準パターンは前記評価座標あるいは撮像視野の中央近辺のパターンから選択してもよいし、ユーザがGUI上で基準パターンを指定してもよいし、複数の基準パターンを設定してもよい。次に、基準パターンに対して設計データを用いて最初に入力された撮像視野を基に撮像視野を必要に応じて再設定する(ステップ906)。再設定の方法として、例えば設計データ上で前記基準パターンと形状が類似するパターンをもつ領域(類似領域)を多く含むように撮像視野を決定することができる。これにより、画像復元処理において類似領域を多く入力すること可能となり、画像復元処理を用いてより高分解能の画像の生成が期待できる。また、画像復元処理においては類似領域の数だけではなく類似領域の画像間の類似度が高いほど高分解能の画像が復元できる。そこで、前記撮像視野の決定の際は、類似領域を多く含み、なおかつ前記類似領域の画像間の類似度が高くなるように撮像視野を決定することもできる。次に、設計データを用いて再設定した撮像視野内で前記基準パターンと類似するパターンを持つ領域群(類似領域群)を抽出する(ステップ907)。このように、類似領域の探索を設計データ上で行うことで、入力画像の画質(例えば、S/Nや量子化誤差)の影響を受けない探索を行うことができる。また、類似領域の探索は実施例1と同様にパターンの上下左右の反転や回転を許して探索することもできる。なお、ステップ901〜907の処理はSEMを用いずにオフラインで実行することができる。ステップ901〜907で得られる撮像視野や抽出した類似領域群の情報をファイルに保存(ステップ908)して、そのファイルをSEMが読み出して実行することで、類似領域の探索処理とSEMによる画像の撮像処理が分離できる。次に、前記ファイルから撮像視野の情報を読み出して、前記撮像視野をSEMで撮像してSEM画像(入力画像)を得る(ステップ909)。次に、前記入力画像と設計データとの位置合せを行う(ステップ910)。すなわち、実際のSEMの撮像においてSEMのステージ移動の精度や電子ビームのスキャン位置の精度に依存して入力画像が視野ずれを起こす。これにより設計データのパターンと入力画像のパターン間でずれが生じる恐れがあるため、ステップ910の位置合せが必要となる。次に、前記ファイルから類似領域群の情報を読み出して前記位置合せを行った入力画像から前記類似領域群が存在する位置の画像群(類似画像群)を切り出す(ステップ911)。設計データを用いて類似領域群を探索した例を図10を用いて説明する。1001は設定した撮像視野で、斜線で囲まれた領域1002は前記撮像視野内の設計データのパターンを示す。1003−1は設定された基準パターンである。1003−2〜1003−10は基準パターンと形状が類似するものと判定されて抽出された類似領域群である。次に、設計データを用いて画像復元処理がうまくいくように撮像視野を再設定する例を図11を用いて説明する。同図の斜線で囲まれた領域1101は入力された設計データのパターンである。1102−1はステップ904で設定された第1の撮像視野である。第1の撮像視野1102−1の中央付近のパターン1103−1が画像復元処理を行う対象となる基準パターンとして抽出されている。しかし、基準パターン1103−1に画像復元処理を適用しようとしても第1の撮像視野1102−1内には類似する形状を持つパターンが存在しないため、画像復元処理の適用ができない。そこで、このような場合には、前記基準パターン1103−1を含み、なおかつ基準パターン1103−1と形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)を多く含むように撮像視野を再設定する。1102−3は基準パターン1103−1を含み、なおかつ類似領域の数が最大となるように撮像位置を変更した結果である。この場合、パターンの上下左右の反転、回転を許して前記類似領域を探索した結果、6つの類似領域1103−4〜1103−9を抽出することができている。つまり、撮像視野を1102−1から1102−3に変更したSEM画像を取得することで、基準パターン1103−1に形容が類似する画像群を画像復元処理に多数入力することが可能となり、基準パターン1103−1の高分解能な画像を生成することができる。
【0070】
また、実際のSEM画像は電子ビームのスキャン方向に依存してパターンエッジの画像プロファイルが変化する場合がある。すなわち、設計データ上ではパターン1103−4、1103−6〜1103−9は基準パターン1103−1を上下左右に反転させて一致させることができるが、SEM画像上では前記スキャン方向があるため単純に画像を上下左右に反転させても画像の類似度が低い場合がある。このため、類似領域の数に加えてパターンの反転、回転の有無を評価値として撮像視野の再設定を行うこともできる。例えば、撮像視野1102−2は、視野内に含まれる類似領域の数は4つと撮像視野1102−3に比べて少ないが、基準パターンを左右反転させなくとも類似するパターンを3つ(1103−2、1103−3、1103−5)含んでいる(撮像視野1102−3の場合は1103−5の1つのみ)。SEM画像が電子ビームのスキャン方向により大きく依存する場合は、撮像視野1102−2に再設定するほうがより高分解能な画像を生成できる可能性がある。また、再設定する撮像視野の候補を複数算出して、GUI上でユーザに選択させることもできる。
【0071】
また、前記類似画像群を用いて類似領域群のパターンの類似度の再評価を行うこともできる(ステップ912)。すなわち、前記類似領域群は設計データを用いて形状の類似度を判定して抽出していたが、ウェーハ上に形成される実パターンと設計データの形状が乖離する場合がある。例えば、設計データ上では同じ形状のパターンでも周囲のパターンや撮像位置によって変化する。また、異物などの欠陥によって設計データのパターンと実パターンが大きく異なる場合もありうる。そこで、設計データを用いて抽出した類似領域群に対応する画像データを用いて類似領域間の類似度を再評価する。この評価により、類似領域群間で類似するパターンを持つ領域群と持たない領域(例外領域群)に分割して、前記類似領域群から前記例外領域群を除外して画像復元処理を実行できる。SEM画像を用いて類似領域群のパターンの類似度を再評価する例を図12を用いて説明する。1201はステップ906で設定した撮像視野をSEMにより撮像して取得したSEM画像である。1202−1〜1202−7はステップ901で入力したパターンの設計データである。SEM画像1201はパターン1203−1〜1203−7を含む。1207−1〜1207−6はステップ907で抽出された類似領域群である。露光・現像・エッチングプロセスを経て形成されたパターン1203−1〜1203−7はコーナーの丸まり、パターンの細りなどの形状変形を含み、設計データのパターン形状と乖離が生じている。また、試料上の異物1204やパターンの欠け(1205)やパターンの広がり(1206)などのパターン欠陥を含み、パターンの一部の画像外観が大きく異なっている。このため、類似領域群1207−1〜1207−6の画像を用いて画像復元処理を行うと前記異物やパターン欠陥部の画像が最終的に出力される高分解能画像に大きく影響する可能性がある。そこで、部分領域群1207−1〜1207−6の画像を重ね合わせて画像比較を行い異物やパターン欠陥部を例外領域として抽出し、画像復元処理の際は類似領域群から前記例外領域を取り除いて画像復元処理を適用することで、これら欠陥部位の画像復元処理への影響を低減することができる。
上記のようにステップ912にて類似領域群のパターンの類似度を再評価した後、図2のフローのステップ208に進み、以下同様の手順が適宜取られる。
【実施例5】
【0072】
本発明におけるSEMで撮像したラインパターンの画像を高分解能化して高精度にパターン寸法を計測する実施例について図13を用いて説明する。まず、パターン寸法を計測するラインパターンを含む視野をSEMで撮像してSEM画像1301を得る。このとき、試料への電子線によるダメージを抑えるため電子ビームの照射量を抑えて低倍率で撮像する。このためSEM画像1301は低S/Nかつ画像分解能が低いため、画像処理を用いて高精度な寸法計測が困難となる。そこで、互いに形状が類似する領域1302−1〜1302−12を抽出して、前記領域1302−1〜1302−12内の画像間の位置合せを行って画像復元処理を施し、一枚の高分解能なSEM画像1303を得る。そして、前記高分解能なSEM画像1303に対してパターン寸法を計測する。ここで、パターン寸法を計測するラインパターンの領域はユーザがGUI上で第1の領域(例えば1302−1)を指定して、前記第1の領域のパターンと類似する領域をパターンマッチングによりSEM画像から抽出することができる(例えば1302−2〜1302−12)。あるいは、前記第1の領域を撮像したSEM画像の中央付近のラインパターンを含むように自動で設定(例えば1302−8)してもよい。ここで、1307−1、1307−2のラインパターンは左右のいずれかに広いスペース領域を持つため、1308のラインパターンと寸法が異なっており類似領域として抽出されていない。次に高分解能化したラインパターンのSEM画像1303に対して、二つの測長BOXと呼ばれる画像処理範囲1305−1、1305−2を割り当て、二つの測長BOX1305−1〜1305−2内でラインのエッジ位置を算出して両位置を比較することでラインパターンの寸法1304をより高精度に計測することができる。例えば、ラインのエッジ位置は測長BOX1305−1〜1305−2内に含まれる画像データに対して、ラインのエッジに対して垂直方向に画像の濃淡値のプロファイルデータを取得し、前記プロファイルデータの勾配が大きく変化する位置、あるいは濃淡値のピーク位置をエッジ位置として抽出できる。ここで、各測長BOXで複数のエッジ位置を求めておき、その平均値を各測長BOXのエッジ位置としても良い。
【0073】
次に、本発明におけるSEMで撮像したホールパターンの画像を高分解能化して高精度にホールパターン径を計測する実施例について図14を用いて説明する。まず、計測するホールパターンを含む視野をSEMで撮像してSEM画像1400を得る。この場合においても前述のラインパターンの場合と同様に、試料へのダメージを抑えて撮像したため、通常低S/N・低画像分解能の画像が得られている。次に、各ホールパターンの領域1401−1〜1401−16を抽出して、前記領域1401−1〜1401−16内の画像間の位置合せを行って画像復元処理を施し1つのホールパターンの高分解能な画像1402を取得する。続いて、前記高分解能な画像1402を用いてホールパターン径1403を計測する。ここで、画像復元処理に入力するホールパターンの領域群1401−1〜1401−16を分割して(例えば、1401−1〜1401−4、1401−5〜1401−8、1401−9〜1401−12、14013−1〜1401−16の4つのグループ)、分割した領域群毎に画像復元処理を施すことで複数の高解像度なホールパターンの画像1404−1〜1404−4を得ることもできる。前記複数のホールパターンの画像1404−1〜1404−4それぞれに対してホールパターン径1405−1〜1405−4を計測して、これらのホールパターン径1405−1〜1405−4の平均値やばらつきを評価することもできる。なお、上記グループ分けは4つに限れられず、適宜設定可能である。
【0074】
次に、本発明におけるSEMで撮像したOPC(Optical Proximity Correction)のついた複雑なマスクパターンの画像を高分解能化して高精度に形状を評価する実施例について図15を用いて説明する。1501で示すようなOPCのついた複雑なマスクパターンは類似する形状を持つパターンが少ないため画像復元処理を行うことが困難となる。そこで、類似する形状を持つパターンを含む複数のSEM画像1502−1〜1502−3を用いて画像復元処理を施して高分解能なSEM画像1503を得る。複数のSEM画像1502−1〜1502−3は、第1に撮像したSEM画像1502−1の撮像位置から隣接するチップあるいはセルの同一座標位置を撮像して取得することができる。生成した高分解能なSEM画像1503からパターンの輪郭線を抽出(1504)してマスクパターンの設計データ(1505)と比較して形状を評価することもできるし、前記輪郭線データを露光シミュレータに入力してウェーハ上に転写されるパターンの形状を予測することもできる。
【0075】
次に、本発明におけるSEMで撮像したダブルパターニングにより形成されたパターンの画像を高分解能化する実施例について図16を用いて説明する。ここでダブルパターニングとは、密集したパターンを二つの密集度の低いパターンに分割して露光する技術であり、この二つのパターンを組み合わせることにより最終的にパターンの密集度を高めることができる。1601−1〜1601−2はダブルパターニングにより形成されたパターンを含む2枚のSEM画像で、1602−1〜1602−4は1601−1〜1601−2に対応するパターンの設計データである。1603−1〜1603−4は1回目の露光で形成されたパターンで、1604−1〜1604−4は2回目の露光で形成されたパターンである。ダブルパターニングにおいて、露光装置の位置合せ精度に依存して1回目と2回目で露光したパターンで位置ずれが発生する。パターン1603−1〜1603−2は設計データ1602−1〜1602−2よりも下側に位置ずれをおこした例を示す。したがって、単純に類似する形状を持つパターンの領域を1605−1〜1605−4のように抽出して画像復元処理を施しても、前記の1回目と2回目で露光したパターンのずれがあるため画像復元処理がうまくいかない。そこで、本発明では1回目と2回目で露光したパターンそれぞれに対して、画像復元処理を適用して1回目と2回目で露光したパターンそれぞれの高分解能な画像を生成することを特徴とする。1606−1〜1606−4は入力したSEM画像から抽出した1回目に露光したパターンを含む領域の画像で、1607−1〜1607−4は同様に2回目に露光したパターンを含む領域の画像である。1608は1606−1〜1606−4から画像復元処理を用いて生成した1回目に露光したパターンの高分解能な画像で、1609は同様に1607−1〜1607−4から画像復元処理を用いて生成した2回目に露光したパターンの高分解能な画像である。また、1610は1608と1609の結果を組み合わせて生成した1605−1の高分解能化した画像である。
【0076】
また、画像処理によってエッジ位置を検出してパターンの寸法計測を行う場合は、パターンのエッジ周辺の画像プロファイルを高分解能化すれば十分である場合がある。そのような場合に対して、本発明を用いて入力画像からパターンのエッジ周辺の画像を高分解能する例を図24を用いて説明する。2401はラインパターン2402を含む入力SEM画像である。2403−1〜2403−8はラインパターン2402のエッジ周辺を含むように類似領域群を抽出した結果を示す。前記類似領域群2403−1〜2403−8を用いて、高分解能化した結果を2404に示す。前記高分解能化したラインパターンの画像2404を用いてラインパターン寸法2405を高精度に計測することができる。また、ラインパターンのみならず任意のパターンに対しても同様にパターンのエッジを高分解能化することができる。この例を図24の2406のSEM画像を用いて説明する。2408は単純なラインパターンではなく曲線のエッジを含むパターンであるが、前記類似領域群を2407−1〜2407−14で示すようにパターンのエッジ方向に垂直な領域として抽出することで、任意のパターン形状に対しても類似領域群の抽出が可能となりエッジ周辺の画像の高分解能化が実現する。2409は前記高分解能化したエッジ周辺の画像を前記類似領域群に対応する位置に張り合わせた結果である。2409を用いてパターン寸法を計測することもできるし、2409からパターンの輪郭線を抽出することもできる。このように、類似領域群を細かく設定することで、曲線に限らず、任意のパターンに対して高分解能化が可能である。
【実施例6】
【0077】
本発明を欠陥検査に適用した実施例について図17を用いて説明する。1701はSEMを用いて撮像した検査対象となる画像(検査画像)で、1702は1701と同様の外観を持ち、なおかつ結果を含まない参照画像である。欠陥検査においては検査画像1701と参照画像1702を比較することで、欠陥部位(1704)を含む領域を抽出することができる。参照画像としては検査画像の隣接するチップのチップ上の同一座標を撮像して取得することができる。1703は前述の比較により抽出した欠陥領域である。1705は検査画像1701に対して、画像復元処理が適応可能な領域において形状が類似するパターンの領域(類似領域)を複数抽出した後に画像復元処理を施して高分解能な画像を生成して前記類似領域に張り合わせ、類似するパターンが存在しないため画像復元処理が適応できない領域においては検査画像1701の画素値を補間拡大した画像を張り合わせて、生成した高分解能な参照画像である。このように、画像復元処理が適用できる領域とできない領域に分けて処理することで単純な繰り返しパターンではない検査画像に対しても高分解能な参照画像が生成できる。また、前記高分解能な参照画像を前記検査画像と同じサイズに縮小することで前記比較検査に用いることもできる。また、1706に示すように高分解能な参照画像に前記欠陥領域1703に対応する検査画像を補間拡大して張り合わせて生成した検査画像全体を高分解能化することもできる。
【実施例7】
【0078】
本発明におけるシステム構成の実施例を図18を用いて説明する。図18において1801はマスクパターン設計装置、1802はマスク描画装置、1803はマスクパターンのウェーハ上への露光・現像装置、1804はウェーハのエッチング装置、1805および1807はSEM装置、1806および1808はそれぞれ前記SEM装置を制御するSEM制御装置、1809はEDA(Electronic Design Automation)ツールサーバ、1810はデータベースサーバ、1811はデータベースを保存するストレージ、1813は画像復元処理装置、1814は生成したパターン形状の計測・評価ツールサーバであり、これらはネットワーク1815を介して情報の送受信が可能である。また、同図においては例として二台のSEM装置1805、1807がネットワークに接続されているが、本発明においては、任意の複数台のSEM装置において撮像したSEM画像をデータベースサーバ1811に格納して共有することが可能である。また、1806、1808、1809、1810、1812〜1814を一つの装置1816に統合することもできる。本例のように任意の機能を任意の複数台の装置に分割、あるいは統合して処理させることが可能である。
【実施例8】
【0079】
本発明における入力・出力情報の設定あるいは表示を行うGUIの例を図19〜図21に示す。図19〜図21中のウィンドウ内に描画された各種情報は任意の組合せでウィンドウに分割してディスプレイ等に表示することができる。また、図中の**はシステムに入力された、あるいは出力された任意の数値(あるいは文字列)や数値の範囲であることを示す。
【0080】
図19は、入力されたSEMの画像を高分解能化する際の処理設定を行うGUIの例である。1901は撮像したSEM画像で、SEM画像1901内の網掛けでハッチングされた領域1902は配線パターンである。SEM画像1901はボックス1903で示した撮像条件(撮像視野(FOV)1904、加速電圧1905、ビーム電流値1906、フレームか算数1907)で撮像された画像である。このとき入力するSEM画像を複数枚撮像してもよいし、GUI上に複数枚の入力SEM画像を表示してもよい。ボックス1908でSEM画像1901から類似する形状を持つパターンを抽出するためのパラメータを設定する。設定項目としては、例えばここでは、パターンの上下反転を許容して探索するか否か(1909)、パターンの左右反転を許容して探索するか否か(1910)、パターンの回転を許容して探索するか否か(1911)、パターンの微小な歪みを許容して探索するか否か(1912)がある。パターンの回転は90°、180°、270°の角度に限定して探索しても良いし、任意の角度で探索を行っても良い。微小な歪みとしてはアフィン変換などの線形な画像変換を用いてもよいし、二次変換などの多項式で表される歪みモデルを用いてもよい。ボタン1927を押すと、SEM画像1901から抽出した形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域群)を探索して抽出する。ボックス1913は、類似領域群を抽出する際のパターンの類似度のしきい値を設定する。ボックス1915およびボックス1916は、抽出された類似領域群であり、抽出された類似領域群の種類が分かるように、種類ごとに色分け等されて囲まれる。この場合、画像復元処理を行う対象となるパターン(基準パターン)の種類は二つとなり、それぞれの基準パターンを1917、1918に表示している。基準パターンはSEM画像1901から、類似するパターンが二つ以上となる領域を探索して自動で決定してもよいし、ユーザがGUI上で直接指定してもよい。ボックス1919、1920に各基準パターン1917、1918に対して抽出された類似領域群の画像を切り出して表示している(それぞれ、1921−1〜1921−10、1922−1〜1922−4)。抽出された類似領域群に番号をつけて、入力SEM画像上のパターンとの対応関係を表示することもできる(1923)。1924〜1926は、パターン上の欠陥部位の領域を抽出した結果である。欠陥領域は類似領域の画像と基準パターンあるいは類似領域の平均画像との画像の差分値をしきい値処理することで抽出可能である。欠陥抽出の際のしきい値はボックス1914で設定することができる。
【0081】
図20は画像復元処理の処理パラメータを設定するGUIの例である。1901は入力されたSEM画像で、図19と同様に探索に用いた基準パターン1917、1918と基準パターンに対応する類似領域群を表示している。ボックス2001で画像復元処理のパラメータを設定する。例えば、ボックス2002で画像の拡大率を設定することもできるし、ボックス2003でSEMで撮像された画像の劣化モデルのパラメータ値(SEM装置のビーム径などの点広がり関数のモデルパラメータ値など)を設定することもできる。ボタン2004を押すと、ボックス2001で設定されたパラメータに従って画像復元処理が実行される。2005、2006は基準パターン1917、1918それぞれに対して画像復元処理を施して得られる高分解能画像である。類似領域ごとに類似度を評価して表示することもできるし(2007−1〜2007−10、2008−1〜2008−4)、前記類似度を重みにして画像復元処理を実行することもできる。前記類似度は画像から自動で算出することもできるし、手動で設定することもできる。また、前記高分解能画像を類似領域群の存在する位置に張り合わせた結果を2009に表示することもできる。ここで、画像復元処理で高解像度化できなかった領域(形状が類似するパターンが1つしかないパターンの領域、あるいは欠陥領域など)の画像は、単純に補間拡大を行って張り合わせることで、入力画像全体を擬似的に高解像度化することができる。
【0082】
また、前記高分解能化した画像を処理してパターンの寸法を計測したり、輪郭線を抽出することもできる。パターンの寸法を計測する場合は、2010で示す測長BOXを指定して2011のボタンを押すことで指定したパターンの幅やギャップ、ピッチなどを計測することもできる。同様に2012のボタンを押して、入力画像全体あるいは指定したパターンの輪郭線を抽出することもできる。これらのパターンの形状評価は高解像度化した入力画像全体に適用できるし、基準パターンを高解像度化した画像2005、2006で行っても良い。
【0083】
図21は設計データを用いて画像復元処理を行う場合の処理設定を行うGUIの例である。斜線で囲んだ領域2101は入力した設計データのパターンを示す。また、リスト2102からパターンを評価する座標(Evaluation Point:EP)を選択してそれぞれの処理設定を行うこともできる。EPの入力はユーザが与えてもよいし、EDAツールなどから出力される欠陥が発生しうる危険箇所(HOTSPOT)を入力としてもよい。ボックス1903はSEMの撮像条件(撮像視野(FOV)1904、加速電圧1905、ビーム電流値1906、フレームか算数1907)を設定する。2103はEP座標値を中心とした撮像視野を示し、2104−1は形状を評価するパターン(基準パターン)を示す。基準パターンはユーザが与えても良いし、設計データを用いてEP座標値の近辺のパターンを抽出してもよい。ボタン2113を押すと撮像位置の最適化が行われる。2104−2〜2104−7は設計データを用いて基準パターン2104−1と類似するパターンを抽出した結果を示す。2105は設計データを用いて撮像視野内に基準パターンと類似するパターンを多く含むように最適した結果の撮像視野を示している。ボックス2106は、前記撮像視野最適化前後の撮像位置2107〜2108、撮像視野に含まれる基準パターン2104−1と形状が類似するパターンの領域数2109〜2110、抽出した類似領域群の平均類似度2111〜2112をそれぞれ表示している。また、類似するパターンの探索は図19の場合と同様に、パターンの上下/左右反転、回転、微小な歪みを許容するか否かを指定することもできる(1909〜1912)。また、撮像視野最適化により得られた撮像視野を採用するか否かをチェックボックス2114で指定することもできる。
【0084】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、本実施形態では、走査伝顕微鏡(SEM)を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、走査型イオン顕微鏡(SIM)又は走査型透過顕微鏡(STEM)等の走査荷電粒子顕微鏡にも応用可能である。また、各実施例を項目分けして説明したが、必ずしも互いに独立したものではなく、必要に応じて各実施例で記載された内容を組み合わせて用いても構わない。
【0085】
また、本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。すなわち、本発明によれば、走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像撮像時の電子線照射による試料へのダメージを抑えつつ、高い分解能の画像を取得できる。これによりレジストパターンのような電子線照射の耐性が低い試料においても高分解能なSEM画像の取得が可能となり高精度なパターンの形状評価が実現する。この形状評価を基に半導体製造プロセスの最適化やフォトマスクのパターン設計において適切な判断を下すことができる。
【符号の説明】
【0086】
101…半導体ウェーハ、102…電子光学系、103…電子銃、104…電子線(一次電子)、105…コンデンサレンズ、106…偏向器、107…ExB偏向器、108…対物レンズ、109…二次電子検出器、110、111…反射電子検出器、112〜114…A/D変換器、115…処理・制御部、116…CPU、117…画像メモリ、118…データベース(ストレージ)、119…画像復元処理装置、120…形状計測・評価ツールサーバ、121…ステージ、122、123…処理端末、
301、309…入力SEM画像、302-1〜302-15…パターン、303…異物、304、305…パターン欠陥、306…画像復元処理を実行可能な領域、307-1〜307-10…類似するパターンを持つ領域群、308-1〜308-4…類似するパターンを持つ領域群、
401〜403…欠陥部位を含む領域、404-1〜404-1、405-1〜405-4…領域間のパターンの類似度、406、407…画像復元処理により入力画像の一部を高分解能化した画像、408…入力画像全体を高分解能化した画像、409-1〜409-4…画像復元処理により入力画像の一部を高分解能化した画像を張り合わせた結果、
501…入力SEM画像、502-1〜502-4…パターン、503-1〜503-4…類似するパターンを持つ領域群、504-1〜504-4…503-1を基準とした領域間のパターンの類似度、505-1〜505-4…503-3を基準とした領域間のパターンの類似度、506…入力画像全体を高分解能化した結果、507…画像復元処理により高分解能化した画像、508…領域毎に画像復元処理のパラメータを変更して入力画像全体を高分解能化した結果、509-1〜509-4…領域毎の高分解能化した画像、510…503-1を基準とした類似指標値算出、511…503-3を基準とした類似指標値算出、
601…高分解能画像のパターンの寸法、602…高分解能画像のパターンの輪郭線、603…高分解能化したパターン間の寸法、
1001…撮像視野、1002…設計パターン、1003-1〜1003-10…類似するパターンを持つ領域群、
1101…設計パターン、1102-1〜1102-3…撮像視野、1103-1〜1103-9…類似するパターンを持つ領域群、
1201…入力SEM画像、1202-1〜1202-7…設計パターン、1203-1〜1203-7…SEM画像上の回路パターン、1204…異物、1205、1206…パターン欠陥、1207-1〜1207-6…類似するパターンを持つ領域群、
1301…入力SEM画像、1302-1〜1302-12…類似するパターンを持つ領域群、1303…高分解能化したラインパターン、1304…ラインパターンの寸法、1305、1306…ラインエッジ位置を検出するための画像処理範囲(測長BOX)、1307-1、1307-2…入力画像の中央のラインパターンと幅が異なるラインパターン、
1400…入力SEM画像、1401-1〜1401-16…ホールパターンを含む領域群、1402…高分解能化したホールパターンの画像、1403…ホールパターン径の測長値、1404-1〜1404-4…高分解能化したホールパターンの画像群、1405-1〜1405-4…ホールパターン径の測長値群、
1501…OPCつきマスクパターン、1502-1〜1502-4…入力SEM画像群、1503…入力SEM画像群を高分解能化した結果、1504…高分解能化した画像から抽出したマスクパターンの輪郭線、1505…マスクパターンの設計形状、
1601-1、1601-2…入力SEM画像、1602-1〜1602-2…1回目に露光するパターンの設計形状、1602-3〜1602-4…2回目に露光するパターンの設計形状、1603-1〜1603-4…1回目に露光されて形成されたパターン、1604-1〜1604-4…2回目に露光されて形成されたパターン、1605-1〜1605-4…類似するパターンを持つ領域群、1606-1〜1606-4…1回目に露光されたパターンの内類似するパターンを持つ領域群、1607-1〜1607-4…2回目に露光されたパターンの内類似するパターンを持つ領域群、1608…1回目に露光されたパターンの高分解能な画像、1609…2回目に露光されたパターンの高分解能な画像、1610…1回目および2回目に露光されたパターンの高分解能な画像、
1701…検査画像、1702…参照画像、1703…欠陥部位を含む領域、1705…高分解能化した参照画像、1706…高分解能化した検査画像、
1801…マスクパターン設計装置、1802…マスク描画装置、1803…露光・現像装置、1804…エッチング装置、1806、1807…SEM装置、1806、1808…SEM制御装置、1809…EDAツールサーバ、1810…データベースサーバ、1811…データベース、1812…撮像レシピ作成装置、1813…画像復元処理装置、1814…形状計測・評価ツールサーバ、1815…ネットワーク、1815…EDAツール、データベース管理、撮像レシピ作成、画像復元処理、形状計測・評価ツール、SEM制御用統合サーバ&演算装置、
1901…入力SEM画像、1902…パターン、1903…SEM撮像条件設定ボックス、1904…撮像範囲の設定ボックス、1905…加速電圧値の設定ボックス、1906…ビーム電流値の設定ボックス、1907…フレーム加算数の設定ボックス、1908…類似パターンの探索設定ボックス、1909…探索に上下反転を許容するか否かのチェックボックス、1910…探索に左右反転を許容するか否かのチェックボックス、1911…探索に回転を許容するか否かのチェックボックス、1912…探索に微小歪みを許容するか否かのチェックボックス、1913…類似パターンの判定しきい値設定ボックス、1914…例外パターン検出しきい値設定ボックス、1915、1916…類似するパターンをもつ領域、1917、1918…画像復元処理を行う単位のパターン(基準パターン)、1919、1920…基準パターンに対する類似領域群を表示するボックス、1921-1〜1921-10、1922-1〜1922-4…類似するパターンをもつ領域群、1923…類似領域の番号、1924〜1926…例外領域、1927…類似領域探索を実行するボタン、
2001…画像復元処理設定ボックス、2002…画像拡大率設定ボックス、2003…画像劣化モデルパラメータ入力ボックス、2004…画像復元処理実行ボタン、2005、2006…画像復元処理結果、2007-1〜2007-10、2008-1〜2008-4…類似領域間のパターンの類似度、2009…入力SEM画像全体を高分解能化した結果、2010…測長BOX、2011…寸法計測実行ボタン、2012…輪郭線抽出処理実行ボタン、
2101…設計パターン、2102…EP選択リストボックス、2103…第1の撮像視野、2104-1〜2104-7…類似領域群、2105…最適化により決定した第2の撮像視野、2106…撮像視野最適化した結果を表示するボックス、2107…最適化前の撮像位置、2108…最適化後の撮像位置、2109…最適化前の撮像視野内に含まれる類似領域の数、2110…最適化後の撮像視野内に含まれる類似領域の数、2111…最適化前の類似領域間の平均類似度、2112…最適化後の類似領域間の平均類似度、2113…撮像視野最適化実行ボタン、2114…撮像視野最適化結果の採択可否のチェックボックス、
2201…パターン、2202-1〜2202-3…第1の類似領域群、2203-1〜2203-3…第2の類似領域群、2204-1〜2204-3…任意の領域をもつ類似領域群、2205…パターン、
2401…入力SEM画像、2402…ラインパターン、2403-1〜2403-8…類似領域群、2404…高分解能化したラインパターン、2405…ラインパターンの寸法、2406…入力SEM画像、2407…ライン端パターン、2408-1〜2408-14…類似領域群、2409…高分解能化したパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡により撮像して取得した画像を画像処理により高分解能化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハの配線パターンは、ウェーハにフォトレジストと呼ばれる感光剤を塗布した後に、露光装置を用いてフォトマスク上のパターンをウェーハに露光・現像することで形成される。微細な構造を有する半導体ウェーハの配線パターンを形成するにあたって、形成されたパターンの寸法や形状がデバイス特性の設計仕様に収まっているか否かを検査する形状検査や、パターンのショートや欠けあるいは異物といったデバイスの不良要因となる欠陥を検査する欠陥検査が重要となっており、これらの形状検査や欠陥検査において走査荷電粒子顕微鏡の一つである走査電子顕微鏡(SEM)が用いられている。
【0003】
形状検査に関しては、SEMで撮像した半導体パターンの画像を処理してパターンの寸法を計測したり、画像から抽出した二次元的なパターンの輪郭線を設計データと比較することでパターン形状の検査が行われる。前記形状検査の結果を基に、半導体ウェーハ上に良好な配線パターンを形成できるように半導体製造装置を調整する。また、半導体の微細化に伴い露光時の光の回折現象がパターン形成に影響を及ぼすようになっている。これに対して、光の回折現象による影響を見込んでフォトマスクのパターンにOPC(Optical Proximity Correction)と呼ばれる補助パターンを加えることでウェーハ上に良好な配線パターンを形成する技術がある。
【0004】
欠陥検査に関しては、SEMで撮像して取得した検査画像と、検査画像と同様のパターンの外観を持ち、なおかつ欠陥を含まない参照画像と比較することで欠陥の有無を検査する。参照画像として検査画像のチップあるいはセルをずらして撮像した画像を用いることができるし、メモリセルといった繰り返しパターンの場合は1つのセルの画像データから検査画像に対応する参照画像を合成することもできる。また、欠陥の有無だけではなく欠陥の種別やサイズを判別する場合もある。欠陥検査により半導体デバイスの良否や不良原因となる欠陥の発生原因を解析することができる。
【0005】
半導体パターンの微細化に伴い、パターンの高精度な形状検査や微小欠陥の検査の必要性が増しており、高分解能な画像を取得することが重要となっている。
SEMで高分解能な画像を取得する従来技術として、(1)加速電圧を高くすることで電子ビーム径を絞って撮像する電子光学系の設計による分解能向上技術や、(2)同一箇所のパターンに対して撮像位置を微小量ずらして複数回撮像して得た複数のSEM画像から画像復元処理を用いて一枚の高分解能な画像を得る画像処理による分解能向上技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−139965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記(1)の従来技術に関しては、加速電圧を高くして電子ビーム径を絞ると高い分解能の画像は得られるものの、電子線による半導体ウェーハへのダメージが大きくなりパターンが変形するという問題がある。パターンの変形には、電子線照射によりパターンが縮むパターンシュリンクや、ウェーハ上に汚染物質が付着してパターンが太るコンタミネーションと呼ばれる現象が知られている。パターンが微細になるほど、このようなパターンの変形によるデバイス特性への影響が大きくなり問題となる。また、加速電圧を低くすると回折収差およびレンズ収差が大きくなるため分解能の低下が生じる。このように、電子光学系の設計による分解能向上に関しては、分解能と電子線照射による試料へのダメージはトレードオフが存在するため、分解能の向上と試料へのダメージの抑制を同時に満たすことは困難となる。
【0008】
また、上記(2)の従来技術に関しては、画像復元処理で十分な分解能を持つ画像を得るには画像復元処理に形状が類似するパターンを含む画像(類似画像)を多く入力する必要がある。しかしながら、試料へのダメージを考慮すると撮像する画像の枚数に制限が生じるため、画像復元処理に入力する類似画像の枚数が少なくなり、十分な分解能を持つ画像を得ることが難しくなる。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決し、走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像撮像時の電子線照射により試料へのダメージを抑えつつ、高い分解能の画像を取得する画像生成方法及びその装置、試料観察方法及びその装置を提供することにある。また、本発明の他の目的及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、以下のような特徴を有する走査荷電粒子顕微鏡ならびにそれを用いて半導体パターンの高分解能な画像を取得する方法とした。以下の説明では走査荷電粒子顕微鏡の例として、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、走査型イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope:SIM)又は走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)等の走査荷電粒子顕微鏡にも応用することが可能である。
【0011】
(1)本発明では、SEMを用いて半導体回路パターンの画像を撮像・取得して、前記画像から形状が類似するパターンを持つ領域を複数抽出し、複数の前記領域の画像を用いて画像復元処理を実行することを特徴とする。これにより、画像復元処理に形状が類似するパターンを含む画像を多数入力することが可能となり高分解能な前記パターンの画像を生成できる。
【0012】
しかしながら、前記画像復元処理を実行するにあたって、SEM画像から前記形状が類似するパターンを持つ領域の抽出が困難となる場合がある。例えば、メモリセルのようなパターンが周期的に繰り返している画像であればパターンの周期情報より容易に形状が類似する領域を抽出することができる。しかし、ロジックのように一部に特異なパターンを含んだり、非周期的な繰り返しパターンを含んだ場合は前記周期を用いた方法ではパターン形状が類似する領域を抽出できない。
【0013】
そこで、本発明では、さらに、入力画像に前記画像復元処理が適用可能となる形状が類似するパターンを二つ以上持つ領域(判別類似領域)と、持たない領域(判別非類似領域)を判別して、前記判別類似領域に対して画像復元処理を適用することも特徴の一つとする。これにより、画像中に特異なパターンを含んでいてもこれを避けて画像復元処理が実行できる。
【0014】
次に、画像復元処理において、前記判別類似領域から画像復元処理を施す領域群(類似領域群)を決定した後に、前記類似領域群の画像群(類似画像群)を用いて画像復元処理を行うことを特徴の一つとする。ここで、前記類似領域群はいずれも共通の類似するパターンを含むように決定する。画像復元処理においては、入力する類似画像群の数が多く、なおかつ前記類似画像群間が類似するほど高分解能の画像を生成することができる。これにより、メモリセルのような単純な周期的な繰り返しのパターンだけでなく、ロジックのような複雑なパターンを含む画像においても、部分的に類似するパターンが二つ以上存在すれば画像復元処理による高分解能化が可能となる。
【0015】
しかしながら、判別類似領域から類似領域群を抽出するためには、類似領域を抽出する単位となる領域の位置およびサイズの決定がそもそも困難である。そこで、本発明では、前記類似領域群を決定するために、前記類似領域群を探索するための基準となる領域(基準領域)を設定して、前記基準領域と前記判別領域とのパターンマッチングにより類似領域群を抽出する。その際、類似領域群の数が多くなり、なおかつ、前記類似領域群の画像間の類似度が高くなるように基準領域と類似領域群を決定することも特徴の一つとする。すなわち、本発明では画像復元処理がうまくいくように、基準領域のサイズと位置、および類似領域群の数、および類似領域群の画像間の類似度を指標値として、基準領域を最適化することも特徴の一つとする。
【0016】
また、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像をGUI上に表示することを特徴とする。また、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像に対して画像処理を用いてパターン寸法の計測、あるいはパターンの輪郭線を抽出することを特徴とする。例えば、ArFレジストのような電子線照射の耐性が低い試料に対して、電子線照射によるダメージを抑えるために低倍率で撮像してラインパターンやホールパターンの画像を取得した後に、画像復元処理により寸法を計測する領域の画像を高分解能化することが可能となり高精度な寸法の計測あるいは輪郭線の抽出が可能となる。
【0017】
(2)前述のとおり上記項目(1)の画像復元処理においては、形状が類似する画像群を多く入力するほど高い分解能の画像が生成できる。一般に半導体パターンは左右/上下対称なパターンを多く含む。そこで、本発明では入力SEM画像内の二つの類似領域間の画像の類似度を評価するにあたって、一方の類似領域の画像を回転あるいは反転して、もう一方の類似領域の画像と類似していれば、両類似領域間の画像の類似度を示す指標値を高くすることを特徴とする。
【0018】
また、SEMの撮像において電子線照射による帯電等の影響により画像の一部が多少歪む場合がある。しかし、このような場合においても画像処理により歪みを補正すれば画像復元処理に利用できる可能性がある。そこで、本発明では前述の回転や反転に加えてパターンの多少の歪みを許して形状の類似度を評価することを特徴とする。さらに、画像復元処理に入力する類似領域群の各画像(入力類似画像)に対して前述の回転、反転、微小歪みを加えてから画像復元処理を行う。このようにパターンの類似度をある程度の変形を許して評価することで、画像復元処理に入力類似画像の数を増やすことができる。
【0019】
(3)画像復元処理において、入力類似画像の数だけではなく入力類似画像間の類似度が高いことが望ましい。しかし、入力類似画像群の中にパターンの形状は類似していても明るさやノイズ量、あるいはパターンエッジの信号プロファイル(エッジプロファイル)などの画質が異なる画像が一部含まれる場合、最終的な復元画像がその一部の画像に大きな影響を受ける可能性がある。このような画質が変動する要因の1つに、SEMの撮像における電子ビームのスキャン方向がある。例えば、上記項目(2)で述べた左右反転させた画像はスキャン方向を反転させた時の画像のエッジプロファイルに近くなる。そこで本発明では、入力類似画像群の画質のばらつきに対して画像復元処理がロバストに動作するように、入力類似画像群それぞれに対してパターン形状あるいは画質の類似度を示す指標値(類似指標値)を算出し、前記類似指標値が高い類似画像ほど最終的に出力される高分解能画像に大きく反映されることを特徴とする。
【0020】
(4)前記高分解能画像を前記類似領域群が存在する位置に張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成することを特徴とする。
すなわち、上記項目(1)の画像復元処理は類似領域群の画像群から前記類似領域群を代表する一枚の高分解能画像を生成する処理であるが、得られた高解像度画像からは前記類似領域群のパターン間の位置関係はわからない。一方で、前記合成高分解能画像においては、高分解能化した類似領域群のパターン間の位置関係が容易に分かる。また、本処理に加えて高分解能化できなかった領域に関しては、入力画像または入力画像を補間拡大した画像を張り合わせることで入力画像全体を部分的に高分解能化した画像を生成することもできる。例えば、欠陥を含む検査画像と参照画像との比較により欠陥領域を抽出し、前記欠陥領域を除いた領域で高分解能化を行い、前記欠陥領域においては入力画像を補間拡大した欠陥部の画像を張り合わせることで検査画像を高分解能化することができる。
【0021】
また、前記入力画像において前記類似領域間で多少パターンの形状が異なっていても(類似領域として抽出される程度には形状が類似しているとする)、前述の方法で最終的に出力される合成高分解能画像では前記類似領域群のパターン形状は全て同一の外観となってしまう。そこで本発明では、前記類似領域ごとに上記項目(3)で述べた類似指標値を算出して画像復元処理を行うことを特徴とする。すなわち、前記類似領域群に含まれる第n番目の類似領域の高分解能画像(第n高分解能画像)を前記画像復元処理により生成する際には、前記第n番目の類似領域と他の類似領域群のパターン形状の類似度を示す指標値(類似指標値)を算出し、前記類似指標値が高い類似領域の画像が前記第n高分解能画像に大きく反映されることを特徴とする。これにより、各類似領域のパターン形状の特徴を保ちつつ入力画像全体を高分解能化することが可能となる。
【0022】
また、前記合成高分解能の画像をGUI上に表示することを特徴とする。また、前記合成高分解能の画像に対して画像処理を用いてパターン寸法の計測、あるいはパターンの輪郭線を抽出することを特徴とする。
【0023】
(5)上記項目(1)において、着目するパターン(着目パターン)を入力して、前記着目パターンを持つ領域の画像を高分解能化することを特徴とする。すなわち、パターン形状を評価する場合においては入力画像の一部を高分解能化すれば十分なケースがあり、その場合は高分解能化処理の簡略化・高速化ができる。具体的には、上記項目(1)の判別類似領域と判別非類似領域への分割、画像復元処理を施す領域の設定が省略できる。前記着目パターンは手動で入力したり、EDA(Electronic Design Automation)ツールで出力された欠陥が発生しうるHOTSPOTと呼ばれる危険箇所の付近のパターンを入力することを特徴とする。あるいは、形状を評価するパターンは入力画像の中央付近に来るように撮像される場合が多いため、着目パターンとして入力画像の中央付近のパターンを用いることもできる。また、画像復元処理により高分解能化した画像を処理してパターン寸法を計測したり、パターンの輪郭線を抽出することを特徴とする。
【0024】
(6)SEMで撮像する撮像位置および撮像範囲(撮像視野)を設定し、前記撮像視野を含む回路パターンの設計データを入力して、前記設計データを基に上記項目(1)の類似領域群を決定することを特徴とする。
【0025】
すなわち、上記項目(1)の方法では入力画像を撮像するまで入力画像内に形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)が存在するかどうか判らない。また、前記類似領域を抽出するにあたって、入力画像がぼやけていたり低分解能あるいは低S/Nの場合においては、テンプレートマッチングなどの画像情報を基にした類似領域の探索方法がうまくいかない場合がある。そこで本発明では、設計データを用いることで、オフライン(撮像装置不要)で前記類似領域を探索することを特徴とする。具体的には、設計データ上で形状が類似するパターンを含む領域群(類似領域群)を抽出して、抽出した類似領域群の情報をファイルに出力しておき、入力画像を撮像した後に前記ファイルから類似領域群の情報を読み込むことで、類似領域の探索処理と撮像処理が分離できる。また、類似領域の探索を設計データ上で行うことで、入力画像のぼけやS/N、量子化誤差にロバストな探索を行うことを特徴とする。
【0026】
また本発明では、設計データを用いて最初に入力された撮像視野を再設定することを特徴とする。再設定の方法として、最初に入力された撮像視野とその周辺の設計データを用いて、前記類似領域を撮像視野内に多く含むような撮像視野を探索する。これにより、画像復元処理に入力する類似領域の数を増やせる。また、画像復元処理においては類似領域の数だけではなく類似領域の画像間の類似度が高いほど高分解能の画像が復元できる。そこで、本発明では前記撮像視野の決定の際は、類似領域を多く含み、なおかつ前記類似領域の画像間の類似度を示す指標値が高くなるように撮像視野を決定することを特徴とする。
【0027】
しかしながら、前記類似領域群は設計データを用いて形状の類似度を判定して抽出していたが、ウェーハ上に形成される実パターン(実際に画像復元処理に用いるパターン)と設計データの形状が乖離する場合がある。例えば、設計データ上では同じ形状のパターンでも周囲のパターンの密度によって実パターン形状が変化する場合がある。また、異物などの欠陥によって設計データのパターンと実パターンの形状が部分的に大きく乖離する場合もありうる。そこで本発明では、設計データを用いて抽出した類似領域群の画像群を用いて類似領域間の類似度を再評価することを特徴とする。すなわち、前記類似領域群に含まれるそれぞれの類似領域内をさらに複数の領域(分割領域群)に分割し、前記分割領域群の画像間で類似する分割領域と類似しない分割領域(例外領域)とに判別し、前記類似領域群から前記例外領域を取り除いて画像復元処理を実行することを特徴とする。これにより、パターンの変形や異物などの欠陥にロバストな画像復元処理が実現する。
【0028】
(7)上記項目(1)および(6)において、複数のSEM画像を取得して入力することを特徴とする。すなわち、一枚の画像ではなく複数のSEM画像間に渡って類似領域を抽出することで、類似領域の数を増やして画像復元処理による高分解能化処理の性能を向上させる。そのためには、複数のSEM画像間で形状が類似するパターンを含む必要がある。本発明においてそのようなSEM画像の取得方法として、第一に撮像したSEM画像から隣接するチップあるいはセル上の同一の相対座標を持つ位置を撮像して第2のSEM画像を取得することを特徴とする。この方法が有効な例としては、OPCが付いた複雑なマスクパターンがある。この場合、類似する形状を持つパターンが少ないため一枚のSEM画像で画像復元処理を行うことが困難となる。そこで、最初に撮像したSEM画像と同じパターンを持つと予想される隣接するチップあるいはセルのSEM画像を撮像してこれを画像復元処理に用いることで、OPCが付いた複雑なマスクパターンに対しても画像の高分解能化が可能となる。
【0029】
その他の複数のSEM画像の取得方法として、これまで取得した画像をSEM装置に連結された画像データベースに格納しておき、入力画像の撮像位置と近い位置を撮像した画像が前記画像データベースに存在すれば、その画像を入力することを特徴とする。また、設計データが利用できる場合は、設計データ上で形状が類似するパターンを多く含む撮像視野を複数決定し、複数の前記撮像視野を撮像して得られる複数のSEM画像を用いることもできる。
【0030】
以下、本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に纏める。
【0031】
(a)走査荷電粒子顕微鏡を用いて回路パターンが形成された試料を観測する観測方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得するステップと、前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出するステップと、前記抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップと、前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測するステップと、を有する観測方法である。
【0032】
(b)(a)記載の観測方法であって、前記複数の領域を抽出するステップでは、前記所定の判断基準として、前記一の撮像画像から互いに形状が類似するパターンを含む領域をいくつ抽出できるか、及び、抽出しうる互いに形状が類似するパターンを含む領域の画像間でどれだけ類似しているか、を指標として判断し、前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法である。
【0033】
(c)回路パターンが形成された試料を観測する観測装置であって、前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得する走査荷電粒子顕微鏡と、前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出する手段と、前記抽出する手段により抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成する手段と、前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測する手段と、を有することを特徴とする観測装置である。
【0034】
(d)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別ステップと、前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であって、前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定されることを特徴とする画像生成方法である。
【0035】
(e)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成装置であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力手段と、前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別手段と、前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定手段と、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成手段を備えることを特徴とする画像生成装置であって、前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定することを特徴とする画像生成装置である。
【0036】
(f)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップと、前記類似領域群が存在する位置に前記類似領域群に対応する前記高分解能画像群をそれぞれ張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成する合成高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記高分解能画像生成ステップにおいて、前記類似領域群に含まれる第n番目の類似領域の高分解能な画像(第n高分解能画像)を前記画像復元処理で生成する際には、前記第n番目の類似領域と他の類似領域群の画像間の類似指標値を算出し、前記類似指標値が高い類似領域の画像が前記第n高分解能画像に大きく反映されることを特徴とする画像生成方法である。
【0037】
(g)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内で着目するパターン(着目パターン)を入力する着目パターン入力ステップと、前記着目パターンと形状が類似するパターンを持つ領域群(類似領域群)を前記入力画像内から決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から前記着目パターンを持つ領域の高分解能な画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップと、前記高分解能画像を処理して前記着目パターンの寸法を計測、あるいは前記着目パターンの輪郭線を抽出するパターン形状評価ステップを含むことを特徴とする画像生成方法である。
【0038】
(h)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを複数回撮像して取得した複数の画像(入力画像群)を入力する画像群入力ステップと、前記入力画像群間で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別ステップと、前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定されることを特徴とする画像生成方法である。
【0039】
(i)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡で撮像する視野位置および撮像範囲(撮像視野)を設定する撮像視野設定ステップと、前記撮像視野を少なくとも含む視野内の設計データを入力する設計データ入力ステップと、前記撮像視野を前記走査荷電粒子顕微鏡により撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記設計データを基に前記撮像視野内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群(類似画像群)から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記類似領域群に含まれる類似領域のいずれも前記設計データ上で形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記設計データを基に算出される類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値を基に決定することを特徴とする。
【0040】
(j)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡で撮像する撮像位置および撮像範囲(撮像視野)を複数入力する撮像視野群入力ステップと、複数の前記撮像視野を含む複数の視野内の設計データを入力する設計データ入力ステップと、複数の前記撮像視野を前記走査荷電粒子顕微鏡により撮像して取得した画像群(入力画像群)を入力する画像群入力ステップと、前記設計データを基に複数の前記撮像視野内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群(類似画像群)から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であり、前記類似領域群決定ステップにおいて、前記類似領域群のいずれも前記設計データ上で形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記設計データを基に算出される前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値を基に決定されることを特徴とする画像生成方法である。
【0041】
(k)走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、前記入力画像内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップと、前記類似領域群に含まれるそれぞれの類似領域内をさらに複数の領域(分割領域群)に分割し、前記分割領域群の画像間で類似する分割領域(類似分割領域)と類似しない分割領域(例外領域)とに判別する例外領域判別ステップと、前記類似分割領域が存在する位置に前記類似分割領域に対応する高分解能画像を張り合わせ、また、前記例外領域に対応する前記入力画像を補間拡大した画像を前記例外領域が存在する位置に張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成する合成高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれは、走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像撮像時の電子線照射により試料へのダメージを抑えつつ、高い分解能の画像を取得する画像生成方法及びその装置、試料観察方法及びその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を実現するためのSEM装置の構成を示す図である。
【図2】本発明におけるSEM画像を一枚入力して画像の高分解能化を行う場合の処理全体のフローを示す図である。
【図3】本発明における入力したSEM画像から類似するパターンの抽出を示す図である。
【図4】本発明における抽出した複数の類似パターンの画像からの高分解能な画像の生成を示す図である。
【図5】本発明における抽出した類似するパターンの領域毎に画像復元処理のパラメータを変更して高分解能な画像を生成した例を示す図である。
【図6】本発明における生成した高分解能画像からのパターンの形状評価を示す図である。
【図7】本発明における着目するパターンを高解像度化する場合の処理全体のフローを示す図である。
【図8】本発明における複数枚入力したSEM画像を用いて一枚の高分解能な画像を生成する場合の処理全体のフローを示す図である。
【図9】本発明における設計データを用いてSEM画像の高分解能化を行う場合の処理全体のフローを示す図である。
【図10】本発明における設計データを用いた形状が類似するパターンの抽出を示す図である。
【図11】本発明における設計データを用いた撮像視野決定を示す図である。
【図12】本発明における設計データとSEM画像上のパターンの乖離の例を示す図である。
【図13】本発明のラインパターンへの適用を示す図である。
【図14】本発明のホールパターンへの適用を示す図である。
【図15】本発明の複雑なマスクパターンへの適用を示す図である
【図16】本発明のダブルパターニングを経て得られたパターンへの適用を示す図である。
【図17】本発明の欠陥検査への適用を示す図である。
【図18】本発明におけるシステム全体を示す図である。
【図19】本発明における類似するパターンの抽出パラメータを設定するGUIを示す図である。
【図20】本発明における画像復元処理パラメータを設定するGUIを示す図である。
【図21】本発明における設計データを用いて撮像視野を決定するGUIを示す図である。
【図22】本発明における画像復元処理を行う領域の決定を示す図である。
【図23】本発明における画像復元処理を行う領域毎に画像復元処理に入力する画像の重みを変更して画像復元処理を実行するフローを示す図である。
【図24】本発明のパターンエッジへの適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡を用いて、高分解能な画像を生成する装置およびその方法に関する発明である。以下、本発明に係る実施の形態を、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)に適用した場合について説明する。
1. SEMの装置構成
図1に試料の二次電子像(Secondary Electron:SE像)あるいは反射電子像(Backscattered Electron:BSE像)を取得するSEMの構成概要のブロック図を示す。また、SE像とBSE像を総称してSEM画像と呼ぶ。また、ここで取得される画像は測定対象を垂直方向から電子ビームを照射して得られたトップダウン画像、あるいは測定対象に対して任意の傾斜角方向から電子ビームを照射して得られたチルト画像の一部または全てを含む。
【0045】
電子光学系102は内部に電子銃103を備え、電子線104を発生する。電子銃103から発射された電子線はコンデンサレンズ105で細く絞られた後、ステージ121上に載置された試料である半導体ウェーハ101上の任意の位置において電子線が焦点を結んで照射されるように、偏向器106および対物レンズ108により電子線の照射位置と絞りとが制御される。電子線を照射された半導体ウェーハ101からは、2次電子と反射電子が放出され、偏向器107によって照射電子線の軌道と分離された2次電子は2次電子検出器109により検出される。一方、反射電子は反射電子検出器110および111により検出される。反射電子検出器110と111とは互いに異なる方向に設置されている。2次電子検出器109および反射電子検出器110および111で検出された2次電子および反射電子はA/D変換機112、113、114でデジタル信号に変換され、処理・制御部115に入力されて、画像メモリ117に格納され、CPU116で目的に応じた画像処理が行われる。本発明においては画像メモリ117に格納されたSEM画像に対して画像復元処理を施し前記SEM画像の高分解能化を行う。あるいは、前記SEM画像をデータベース118に格納しておき、画像復元処理装置119を用いて前記SEM画像の高分解能化を行うこともできる。また、前記SEM画像あるいは高分解能化した前記SEM画像に対して形状計測・評価ツールサーバ120を用いてパターンの寸法や形状の評価を行うこともできる。116、117、119、120は処理端末122、123(ディスプレイ、キーボード、マウス等の入出力手段を備える)と接続されており、ユーザに対して処理結果等を表示する、あるいはユーザからの入力を受け付けるGUI(Graphic User Interface)を備える。
【0046】
なお、図1では反射電子像の検出器を2つ備えた実施例を示したが、前記反射電子像の検出器をなくすことも、数を減らすことも、数を増やすことも可能である。また、ここでは処理端末122、123が独立に存在する例を示したが、処理端末は一つであってもよく、ネットワークを介して遠隔に配置されていても構わない。
2.画像高分解能化処理
以下に本発明に係るSEMを用いて撮像したSEM画像を高分解能化する実施例について述べる。いずれの実施例においても、SEMを用いて撮像・取得した半導体回路パターンの画像から形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)を複数抽出し、抽出した複数の領域の画像データを用いて画像復元処理を実行することを特徴とする。これにより、撮像・取得した半導体回路パターンの画像が少なくとも、画像復元処理に多数の画像データを入力することが可能となり、試料へのダメージを抑えつつ画像の高分解能化を実現する。
【0047】
画像復元処理としては、例えば複数の類似するパターン形状を持つ画像群を入力して、それぞれの画像群をサブピクセルレベルで位置合せを行った後に、アップサンプリングした各画像の加算平均をとって一枚の高解像度画像を生成する処理を用いてもよい。あるいは、SEMの撮像による画像劣化モデル(SEMの電子ビームによる画像のぼけ、ノイズ、濃淡値の量子化、ダウンサンプリングなど)を用いて、撮像された画像群から前記画像劣化の影響を取り除いた画像を推定する方法を用いても良い。この場合、画像復元後の画像は数式1に記載したD(X)を最小化することで求めることができる。
【0048】
【数1】
【0049】
前記数式1のYiは撮像されたN枚の画像群のi番目の画像、Xは画像復元処理により推定する高分解能画像、Siは撮像されたi番目の画像のサブピクセルの位置ずれ量、Fは画像のぼけを示す作用で、Dは量子化による作用である。数式1の第1項は高分解能な画像Xが様々な画像劣化要因を受けて観測された画像Yiとの誤差を示す項で、第2項は復元する高分解能な画像Xに関する事前知識(例えば、Xの画素値の連続性など)を評価する項である。数式1を最小化して高分解能な画像を復元する処理は再構成型超解像処理とも呼ばれる。
【実施例1】
【0050】
図2に本発明に係るSEMを用いて撮像した一枚の画像を高解像度化するフローを示す。まず、SEMを用いて試料を撮像してSEM画像(入力画像)を取得する(ステップ201)。次に、画像復元処理に入力する形状が類似したパターンを含む領域群(類似領域群)を抽出する(ステップ203)。しかしながら、前記SEM画像に含まれるパターンによっては前記類似領域を抽出すること自体が困難となる場合がある。例えば、図17の1707に示すようなメモリセルの場合は1つのパターンが周期的に繰り返しているため、1周期分のパターンのテンプレート(図17の1708で示す領域内の画像データ)およびパターンの周期(X方向の周期1709、Y方向の周期1710)を入力すれば前記テンプレートを前記周期分だけずらして領域を切り出すことで容易に類似領域を抽出することができる。しかしながら、図17の1702に示すように、一部に特異なパターン(図17の1711、1712)を含んだ場合は前記類似領域の抽出自体が困難となる。そこで、ステップ203を実行する前に必要に応じて入力画像に前記画像復元処理が適用可能となる形状が類似するパターンを二つ以上持つ領域(判別類似領域)と、持たない領域(判別非類似領域)を判別する(ステップ202)。そして、前記判別類似領域のみから抽出した類似領域群に対して画像復元処理を適用する。ここで、前記判別類似領域と判別非類似領域との判別方法として、入力画像を細かい領域に分割して、分割した各領域の画像と類似する画像が入力画像中に存在するか否かを判定することで実行可能である。なお、細かい領域に分割する際には、例えば設計データを用いても、過去に同種ウェーハを処理した際に設定したデータを用いてもよく、ユーザが撮像画像を見ながら分割単位を設定するようにしても構わない。この判別処理により、入力SEM画像中に特異なパターンを含んでいてもこれを避けて画像復元処理が実行できる。
【0051】
次に、ステップ202で判別した判別類似領域内から前記類似領域群を抽出する方法について述べる。まず、前記類似領域群を探索するための基準となるテンプレート(基準テンプレート)を設定する(ステップ204)。そして、前記基準テンプレートと前記判別類似領域とのパターンマッチングを行い、基準テンプレートと類似する領域群(類似領域群)を抽出する(ステップ205)。次に、前記類似領域群の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を算出する(ステップ206)。前記類似指標値が低ければ、前記基準テンプレートの位置およびサイズを変更して再びステップ204に戻る(ステップ207)。このように、画像復元処理に入力する基準テンプレートおよび類似領域群の最適化を行う。具体的に、非周期パターンを含むSEM画像に対して基準テンプレートと類似領域群を決定する例を図22を用いて説明する。2201はSEM画像内のパターンである。まず、2202−1を基準テンプレートとして設定する。この場合、基準テンプレート2202−1のパターンと類似する2202−2と2202−3が類似領域群として抽出される。しかし、類似領域2202−2は基準テンプレート2202−1に含まれないパターン2205を含んでいるため、これらの類似領域群を用いて画像復元処理を行うと、得られる高分解能画像に2205のパターンが表れて不自然な結果となる恐れがある。そこで、前記基準テンプレートのサイズを少し小さくして第2の基準テンプレート2203−1を設定する。この場合、2203−2、2203−3が類似領域群として抽出される。これらの類似領域群を用いて画像復元処理を行うと、先ほどの場合のような2205のパターンが高分解能画像には表れない。なお、前記基準テンプレートは矩形に限らず、2204−1〜2204−3のように設定してもよく、任意の形状で設定可能である。また、ここでは基準テンプレート2202−1に含まれないパターン2205を含む場合の対策として、基準テンプレートを再設定する例を示したが、後に詳説するように、2202−2を用いず、2202−1と2202−3のみを類似領域群として抽出するようにしても構わない。このような基準テンプレートは、端末装置のGUI上に表示された入力画像を見ながら、ユーザがGUI上で適宜選択するなどして設定可能である。
【0052】
続いて、前記類似領域群の画像群(類似画像群)を用いて画像復元処理を行う(ステップ208)。前述のとおり画像復元処理においては、形状が類似する画像群を多く入力するほど高い分解能の画像が生成できる。一般に半導体パターンは左右/上下対称なパターンを多く含む。そこで、二つの類似領域間の画像の類似度を評価するにあたって、一方の類似領域の画像を回転あるいは反転した画像と、もう一方の類似領域の画像が類似すれば、両類似領域間の画像の類似度を高くする。また、SEMの撮像において電子線照射による試料への帯電等の影響により画像の一部が歪む場合がある。しかし、このような場合においても画像処理により歪みを補正すれば画像復元処理に利用できる可能性がある。そこで、前述の回転や反転に加えてパターンの多少の歪みを許して形状の類似度を評価する。また、画像復元処理においては入力する画像群に対して前述の回転、反転、微小歪みを加えてから画像復元処理を行うこともできる。このようにパターンの類似度をある程度の変形を許して評価することで、画像復元処理に入力する画像群の数を増やすことができる。
【0053】
図3に判別類似領域および類似領域群の抽出例を示す。301はSEMで撮像した入力画像で、パターン302−1〜302−15を含む。パターン302−4は異物303を含み、パターン302−5はパターンの一部が欠けており(304)、パターン302−8はパターンの一部が太っている(305)。また、パターン302−10は斜め方向に歪んでいる。パターン302−1、302−2、302−3、302−7、302−9、302−10、302−15はパターンの上下左右の反転、90度の回転、あるいは斜め方向の歪み補正を施せば形状が一致する。同様にパターン302−6、302−12、302−13、302−14もパターンの左右反転を行えば形状が一致する。また、パターン302−4、302−8、302−5は一部に異物303あるいはパターン欠陥304、305を含むがそれ以外のパターンが類似する。309は301と同一のSEM画像を示す。判別類似領域は309内の斜線で囲まれた領域306として抽出される。続いて、判別類似領域306から類似領域群を抽出すると、307−1〜307−10と308−1〜308−4の2種類のパターン形状を含む類似領域群が抽出される。画像復元処理ステップ208においては、第一の類似領域群307−1〜307−10、および第二の類似領域群308−1〜308−4それぞれに対して画像復元処理を施すことになる。
【0054】
また、画像復元処理ステップ208において、画像復元処理に入力する類似画像群に異物やパターン欠陥などが含まれた場合、最終的に出力される高分解能画像において前記異物やパターン欠陥の画像が反映され不自然な画像となる可能性がある。そこで、抽出した類似領域群からこれらの異物やパターン欠陥などの例外となる領域(例外領域)を抽出し、類似領域群から前記例外領域を取り除いた画像群を用いて画像復元処理を行うこともできる。図4を用いて例外領域の抽出例を説明する。図4の307−1〜307−10および308−1〜308−4は図3の入力画像301から抽出した類似領域群である。401〜403は図3の異物303、パターン欠陥304、305を含む領域を例外領域として抽出した結果である。具体的に例外領域の抽出方法としては、第一の類似領域群307−1〜307−10の画像を上下左右の反転、回転、あるいは微小歪みを加えて画像群を一致させた後に、それらの平均画像を生成する。そして、その平均画像と前記画像群それぞれの画像の差分値を算出して、その差分値が大きな画素を例外領域として抽出することができる。
【0055】
画像復元処理ステップ208において、前記例外処理により異物やパターン欠陥など画素値が大きく異なる領域を取り除いても、画像復元処理に入力する類似画像群において、パターンの形状は類似するものの明るさやノイズ量、パターンエッジの信号プロファイル(エッジプロファイル)などの画質が異なる類似画像が含まれる場合がある。この場合、最終的に復元した高解像度画像がその画質が異なる一部の類似画像に大きく影響を受ける可能性がある。このような画質が変動する要因として、SEMの撮像における電子ビームのスキャン方向などがある。そこで、画像復元処理に入力する画像群の画質のばらつきに対して画像復元処理がロバストに動作するように、画像復元処理に入力する類似領域画像群それぞれに対してパターンの形状・明るさ・ノイズ量・エッジプロファイル等を適宜加味したパターンの類似度を示す指標値(形状類似指標値)を算出し、前記形状類似指標値が高い類似画像ほど最終的に出力される高分解能画像に大きく反映させる。図4を用いて、前記形状類似指標値の算出例を説明する。パターン307−1を基準に画像復元処理を行うとして、パターン307−1の形状類似指標値を1とする(404−1)。パターン307−3はパターン307−1と形状がよく類似するので形状類似指標値0.8となっている(404−3)。パターン307−5は、例外領域402を取り除けばパターン307−1と形状がよく類似するので形状類似指標値は0.7となっている(404−5)。パターン404−2、404−4、404−6、404−7、404−8、404−9、404−10はパターンを上下左右の反転、回転、歪み補正を加えれば形状が類似するが、前述の電子ビームのスキャン方向によってパターンエッジの画像プロファイルが異なっている可能性があるため、低い形状類似指標値となっている。パターン308−1〜308−4に関しても同様に形状類似指標値を算出している(405−1〜405−4)。
【0056】
図4の406、および407はそれぞれ第一の類似領域群307−1〜307−10、および第二の類似領域群308−1〜308−4の画像群を画像復元処理により高解像度化した画像である。また、前記高分解能画像を前記類似領域群が存在する位置に張り合わせた画像(合成高分解能画像)を生成することもできる。すなわち、画像復元処理は複数の類似領域の画像から類似領域群を代表する一枚の高分解能画像を生成する処理であるが、得られた高解像度画像からは類似領域群のパターン間の位置関係はわからない。一方で、前記合成高分解能画像においては、類似領域群のパターン間の位置関係が容易に分かる。本処理に加えて、高分解能化できなかった類似領域に関しては単純に入力画像を補間拡大した画素を張り合わせることで入力画像全体を高分解能化した画像(合成高分解能画像)を生成することもできる。図4の408は図3の入力画像301全体を高分解能化した画像の左上部を示したものである。ここでは入力画像301の類似領域群307−1、307−2、307−6、308−1に対応する位置410−1〜410−4に高分解能化した画像406および407を張り合わせている(409−1〜409−4)。
【0057】
また、元の入力画像では前記類似領域間では多少パターンの形状が異なっていても、前述の方法では、最終的に出力される合成高分解能画像は全て同一のパターン形状となってしまう。このことを図5を用いて説明する。例えば入力画像501内のパターン502−1〜502−4はパターンエッジのラフネスがそれぞれ異なる。それに対して、類似領域群503−1〜503−4を抽出して画像復元処理を行うと一枚の高分解能な画像507が得られる。506は高分解能な画像507を類似領域群503−1〜503−4の位置に張り合わせて生成した合成高分解能画像である。510−1〜510−4は張り合わせた高分解能な画像507である。入力画像501全体を高分解能できているが、もともとあったパターン間の微妙な形状の違いがなくなっている。そこで、前記類似領域ごとに類似指標値を算出して画像復元処理を施す処理を行う。本処理のフローを図23を用いて説明する。
まず、類似領域群抽出処理でN個の類似領域を抽出する(ステップ2301)。次に、前記類似領域群に含まれる第n番目の類似領域(第n類似領域、n=1〜N)に着目する(ステップ2302)。前記第n類似領域と第i類似領域間の画像の類似指標値w[n][i](i=1〜N、i≠n)を算出する(ステップ2303)。そして、第n類似領域の高分解能画像(第n高分解能画像)を前記画像復元処理により生成する際には、前記類似指標値w[n][i]が高い類似領域の画像が前記第n高分解能画像に大きく反映するようにして画像復元処理を行う(ステップ2304)。例えば、各類似領域の画像を補間拡大して、それぞれを前記w[n][i]を重みとした画像の重みつき加算平均処理を施すことで第n高分解能画像を生成することができる。また、数式2で示すように数式1の再構成型超解像処理に前記w[n][i]を重みとして最小化することで高分解能画像を生成することもできる。
【0058】
【数2】
【0059】
ここで、数式2のXnは第n類似領域の高分解能画像を示す。以上の処理を各類似領域に対して繰り返す(ステップ2305)。そして、前記処理で生成した第n高分解能画像を前記第n類似領域に張り合わせる(ステップ2306)。これにより、各類似領域のパターン間の形状の特徴を保ちつつ入力画像全体を高分解能化することが可能となる。類似指標値の算出例を図5の510および511に示す。510および511内の類似領域511−1〜511−4および512−1〜512〜4は501内の類似領域503−1〜503−4に対応する。類似領域511−1に着目してこれを1としたとき(504−1)、511−2は511−1とパターンエッジのラフネスが類似しているため0.7と高い類似指標値となる(504−2)。一方で、パターン511−3、511−4はパターン511−1とパターンエッジのラフネスが異なるため低い類似指標値となる(504−3、504−4)。これら類似指標値504−1〜504−4を用いて画像復元処理を施すと高分解能画像509−1が得られる。同様に、類似領域512−3に着目した時の類似指標値は505−1〜505−4のようになり、この類似指標値505−1〜505−4を用いて画像復元処理を施すと高分解能画像509−3が得られる。このように、画像復元処理に同一の類似領域群を用いても、着目する類似領域毎に類似指標値を変更することで、パターン間の形状の違いを残しつつ入力画像全体を高分解能化することができる。
【0060】
以上を図2のフローに戻って説明すると、ステップ208では、類似領域群から例外となるパターン領域・欠陥領域を除外したり類似領域群の画像間の類似度を重み付けしたりして、画像復元処理により高分解能画像生成が行われる。必要な全ての高分解能化処理が終了しない場合には、判別非類似領域とされた領域内にて更に類似領域群抽出を試み、ステップ204〜ステップ209が繰り返され、必要な全ての高分解能化処理が終了すると、次は上記の通り入力画像全体の高分解能化を図るべく、判別類似領域に高分解能画像の貼り付け処理、判別非類似領域に入力画像を補間拡大して貼り付け処理等が適宜実行される(ステップ210)。
【0061】
さらに、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像をGUI上に表示することもできる(ステップ211)。また、前記画像復元処理で得られた高分解能の画像に対して画像処理を用いてパターン寸法の計測(ステップ212)、あるいはパターンの輪郭線を抽出することもできる(ステップ213)。例えば、レジストパターンのような電子線照射の耐性が低い試料に対して、電子ビームの照射密度を抑えて低倍率で撮像したラインパターンやホールパターンの画像に対して、本処理により寸法を計測する領域の画像を高分解能化して高精度に計測することができる。また、欠陥を含む画像と同一パターンを持つ欠陥を含まない参照画像の一方又は両者を高分解能化し、これらの画像比較により欠陥を検出することもできる(ステップ214)。図6を用いて高分解能化した画像のパターン寸法の計測および輪郭線の抽出例を説明する。図6のパターン406は図3の類似領域307−1〜307−10の画像群から画像復元処理を施して高分解能化したパターンの画像である。601はパターン406の一部の寸法を計測した結果を示す。また、602はパターン406のパターンの輪郭線を抽出した結果である。これらは1つの類似領域を高分解能化した画像を用いて行っているが、高分解能画像を張り合わせた合成高分解能画像408に対しても同様の処理を行うことができる。この場合、603のように高分解能化したパターン間の寸法も計測することができるし、合成高分解能画像408全体のパターンの輪郭線を抽出することもできる。
【実施例2】
【0062】
実施例1においては入力画像から画像復元処理が実行できる領域を抽出しその領域を高分解能化する処理であったが、入力画像の一部のパターン形状のみを評価する場合においては入力画像の一部を高分解能化すれば十分なケースがある。その場合、入力画像を形状が類似するパターンを持つ領域群へ分割する処理が簡略化できる。この場合の処理フローについて図7を用いて説明する。なお、本実施例では説明を省略するが、実施例1および図2の処理フローにて説明した各種処理は必要に応じて適宜適用可能である。
【0063】
まず、SEMを用いて入力画像を撮像する(ステップ201)。次に、画像復元処理を実行するパターン(着目パターン)を入力する(ステップ701)。着目パターンはGUIに表示された入力画像を見ながらユーザが手動で入力してもよいし、EDA(Electronic Design Automation)ツールで出力された欠陥が発生しうるHOTSPOTと呼ばれる危険箇所の付近のパターンを入力してもよい。また、形状を評価するパターンは入力画像の中央付近に来るように撮像される場合が多いため、着目パターンとして入力画像の中央付近のパターンを用いてもよい。
【0064】
次に、前記着目パターンと形状が類似する領域群(類似領域群)を入力画像から抽出する(ステップ702)。この抽出処理は実施例1のステップ205と同様にして、着目パターンの画像と入力画像とのパターンマッチング等を適宜用いることができる。なお、実施例1に記載した処理の本実施例への適用例として、必要に応じて、着目パターンの領域を適宜修正する等しても構わない。
【0065】
次に、前記類似領域群の画像群から画像復元処理により着目パターンの1枚の高分解能画像を生成する(ステップ703)。その後、高分解能化した画像をGUI上に表示したり、パターン寸法を計測したり、パターンの輪郭線を抽出することができる(ステップ211〜213)。
【実施例3】
【0066】
実施例1においては、入力画像内から形状が類似するパターンの領域を探索し、その領域の高分解能化を図っていたが、半導体パターンが密に存在しない場合には1枚の入力画像内に類似するパターンが存在しない場合がある。そこで、複数のSEM画像を画像復元処理に用いることでそのような場合においても入力画像の高分解能化を図ることが可能となる。その具体的な実施例について図8を用いて説明する。この処理により、一枚の画像ではなく複数の画像間に渡って形状が類似するパターンを含む領域群をより多く抽出することで、画像復元処理による高分解能化処理の性能を向上させることができる。なお、本実施例では説明を省略するが、実施例1および図2の処理フローにて説明した各種処理は必要に応じて適宜適用可能である。
【0067】
まず、SEMを用いて試料を撮像して第1のSEM画像(第1の入力画像)を得る(ステップ201)。次に、第1の入力画像内に形状が類似するパターンが十分多く存在するか否かを判定する(ステップ801)。このとき、画像復元処理による高分解能化の効果が表れるほど十分な数の類似するパターンが存在しなければ、第2のSEM画像を取得して同様のステップ801の判定を行う。このような処理を繰り返して、複数の入力画像を取得する。ここで第2以降の入力画像の取得方法としては、第1の入力画像の撮像位置から隣接するチップあるいはセルの位置を撮像して取得してもよいし(ステップ802)、過去に撮像したSEM画像を格納した画像データベースから取得してもよい。画像データベースからの取得に関しては、第1の入力画像と撮像位置が近いSEM画像を画像データベースから取得しても良いし(ステップ803)、過去に撮像したSEM画像と第1の入力画像間で類似する形状を持つパターンが存在するか否かを判定して抽出してもよい(ステップ804)。
複数の入力画像により形状が類似するパターンが十分多く存在すると判定された場合には、図2のフローのステップ202に進み、以下同様の手順が適宜取られる。
【実施例4】
【0068】
実施例1〜3の方法では入力画像を撮像するまで入力画像内に形状が類似するパターンを持つ領域が存在するかどうか判らない。また、類似するパターンを抽出するにあたって、入力画像がぼやけていたり低分解能あるいは低S/Nの場合、テンプレートマッチングなどの画像情報を基にした方法ではテンプレートマッチング自体がうまくいかない場合がある。そこで、設計データを用いることで、類似領域をオフライン(撮像装置不要)かつSEM画像の画質にロバストに探索する。図9を用いて設計データを用いて画像復元処理を実行するフローを説明する。なお、本実施例では説明を省略するが、実施例1および図2の処理フローにて説明した各種処理は必要に応じて適宜適用可能である。
【0069】
まず、半導体回路パターンの設計データを入力する(ステップ901)。また、評価するパターンの座標値(評価座標)を入力する(ステップ902)。評価座標は、ユーザが設計データ上の座標をGUIで指定してもよいし、EDAツールなどから出力される欠陥が発生しうる危険箇所(HOTSPOT)を入力としてもよい。次に、前記評価座標を含むSEMの撮像位置および撮像範囲(撮像視野)を設定する(ステップ904)。撮像条件はユーザ要求入力ステップ903で入力した撮像範囲やフレーム加算数などを入力することができる。次に、設計データ901を用いて前記撮像視野内から画像復元処理を行うパターン(基準パターン)の設定を行う(ステップ905)。基準パターンは前記評価座標あるいは撮像視野の中央近辺のパターンから選択してもよいし、ユーザがGUI上で基準パターンを指定してもよいし、複数の基準パターンを設定してもよい。次に、基準パターンに対して設計データを用いて最初に入力された撮像視野を基に撮像視野を必要に応じて再設定する(ステップ906)。再設定の方法として、例えば設計データ上で前記基準パターンと形状が類似するパターンをもつ領域(類似領域)を多く含むように撮像視野を決定することができる。これにより、画像復元処理において類似領域を多く入力すること可能となり、画像復元処理を用いてより高分解能の画像の生成が期待できる。また、画像復元処理においては類似領域の数だけではなく類似領域の画像間の類似度が高いほど高分解能の画像が復元できる。そこで、前記撮像視野の決定の際は、類似領域を多く含み、なおかつ前記類似領域の画像間の類似度が高くなるように撮像視野を決定することもできる。次に、設計データを用いて再設定した撮像視野内で前記基準パターンと類似するパターンを持つ領域群(類似領域群)を抽出する(ステップ907)。このように、類似領域の探索を設計データ上で行うことで、入力画像の画質(例えば、S/Nや量子化誤差)の影響を受けない探索を行うことができる。また、類似領域の探索は実施例1と同様にパターンの上下左右の反転や回転を許して探索することもできる。なお、ステップ901〜907の処理はSEMを用いずにオフラインで実行することができる。ステップ901〜907で得られる撮像視野や抽出した類似領域群の情報をファイルに保存(ステップ908)して、そのファイルをSEMが読み出して実行することで、類似領域の探索処理とSEMによる画像の撮像処理が分離できる。次に、前記ファイルから撮像視野の情報を読み出して、前記撮像視野をSEMで撮像してSEM画像(入力画像)を得る(ステップ909)。次に、前記入力画像と設計データとの位置合せを行う(ステップ910)。すなわち、実際のSEMの撮像においてSEMのステージ移動の精度や電子ビームのスキャン位置の精度に依存して入力画像が視野ずれを起こす。これにより設計データのパターンと入力画像のパターン間でずれが生じる恐れがあるため、ステップ910の位置合せが必要となる。次に、前記ファイルから類似領域群の情報を読み出して前記位置合せを行った入力画像から前記類似領域群が存在する位置の画像群(類似画像群)を切り出す(ステップ911)。設計データを用いて類似領域群を探索した例を図10を用いて説明する。1001は設定した撮像視野で、斜線で囲まれた領域1002は前記撮像視野内の設計データのパターンを示す。1003−1は設定された基準パターンである。1003−2〜1003−10は基準パターンと形状が類似するものと判定されて抽出された類似領域群である。次に、設計データを用いて画像復元処理がうまくいくように撮像視野を再設定する例を図11を用いて説明する。同図の斜線で囲まれた領域1101は入力された設計データのパターンである。1102−1はステップ904で設定された第1の撮像視野である。第1の撮像視野1102−1の中央付近のパターン1103−1が画像復元処理を行う対象となる基準パターンとして抽出されている。しかし、基準パターン1103−1に画像復元処理を適用しようとしても第1の撮像視野1102−1内には類似する形状を持つパターンが存在しないため、画像復元処理の適用ができない。そこで、このような場合には、前記基準パターン1103−1を含み、なおかつ基準パターン1103−1と形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域)を多く含むように撮像視野を再設定する。1102−3は基準パターン1103−1を含み、なおかつ類似領域の数が最大となるように撮像位置を変更した結果である。この場合、パターンの上下左右の反転、回転を許して前記類似領域を探索した結果、6つの類似領域1103−4〜1103−9を抽出することができている。つまり、撮像視野を1102−1から1102−3に変更したSEM画像を取得することで、基準パターン1103−1に形容が類似する画像群を画像復元処理に多数入力することが可能となり、基準パターン1103−1の高分解能な画像を生成することができる。
【0070】
また、実際のSEM画像は電子ビームのスキャン方向に依存してパターンエッジの画像プロファイルが変化する場合がある。すなわち、設計データ上ではパターン1103−4、1103−6〜1103−9は基準パターン1103−1を上下左右に反転させて一致させることができるが、SEM画像上では前記スキャン方向があるため単純に画像を上下左右に反転させても画像の類似度が低い場合がある。このため、類似領域の数に加えてパターンの反転、回転の有無を評価値として撮像視野の再設定を行うこともできる。例えば、撮像視野1102−2は、視野内に含まれる類似領域の数は4つと撮像視野1102−3に比べて少ないが、基準パターンを左右反転させなくとも類似するパターンを3つ(1103−2、1103−3、1103−5)含んでいる(撮像視野1102−3の場合は1103−5の1つのみ)。SEM画像が電子ビームのスキャン方向により大きく依存する場合は、撮像視野1102−2に再設定するほうがより高分解能な画像を生成できる可能性がある。また、再設定する撮像視野の候補を複数算出して、GUI上でユーザに選択させることもできる。
【0071】
また、前記類似画像群を用いて類似領域群のパターンの類似度の再評価を行うこともできる(ステップ912)。すなわち、前記類似領域群は設計データを用いて形状の類似度を判定して抽出していたが、ウェーハ上に形成される実パターンと設計データの形状が乖離する場合がある。例えば、設計データ上では同じ形状のパターンでも周囲のパターンや撮像位置によって変化する。また、異物などの欠陥によって設計データのパターンと実パターンが大きく異なる場合もありうる。そこで、設計データを用いて抽出した類似領域群に対応する画像データを用いて類似領域間の類似度を再評価する。この評価により、類似領域群間で類似するパターンを持つ領域群と持たない領域(例外領域群)に分割して、前記類似領域群から前記例外領域群を除外して画像復元処理を実行できる。SEM画像を用いて類似領域群のパターンの類似度を再評価する例を図12を用いて説明する。1201はステップ906で設定した撮像視野をSEMにより撮像して取得したSEM画像である。1202−1〜1202−7はステップ901で入力したパターンの設計データである。SEM画像1201はパターン1203−1〜1203−7を含む。1207−1〜1207−6はステップ907で抽出された類似領域群である。露光・現像・エッチングプロセスを経て形成されたパターン1203−1〜1203−7はコーナーの丸まり、パターンの細りなどの形状変形を含み、設計データのパターン形状と乖離が生じている。また、試料上の異物1204やパターンの欠け(1205)やパターンの広がり(1206)などのパターン欠陥を含み、パターンの一部の画像外観が大きく異なっている。このため、類似領域群1207−1〜1207−6の画像を用いて画像復元処理を行うと前記異物やパターン欠陥部の画像が最終的に出力される高分解能画像に大きく影響する可能性がある。そこで、部分領域群1207−1〜1207−6の画像を重ね合わせて画像比較を行い異物やパターン欠陥部を例外領域として抽出し、画像復元処理の際は類似領域群から前記例外領域を取り除いて画像復元処理を適用することで、これら欠陥部位の画像復元処理への影響を低減することができる。
上記のようにステップ912にて類似領域群のパターンの類似度を再評価した後、図2のフローのステップ208に進み、以下同様の手順が適宜取られる。
【実施例5】
【0072】
本発明におけるSEMで撮像したラインパターンの画像を高分解能化して高精度にパターン寸法を計測する実施例について図13を用いて説明する。まず、パターン寸法を計測するラインパターンを含む視野をSEMで撮像してSEM画像1301を得る。このとき、試料への電子線によるダメージを抑えるため電子ビームの照射量を抑えて低倍率で撮像する。このためSEM画像1301は低S/Nかつ画像分解能が低いため、画像処理を用いて高精度な寸法計測が困難となる。そこで、互いに形状が類似する領域1302−1〜1302−12を抽出して、前記領域1302−1〜1302−12内の画像間の位置合せを行って画像復元処理を施し、一枚の高分解能なSEM画像1303を得る。そして、前記高分解能なSEM画像1303に対してパターン寸法を計測する。ここで、パターン寸法を計測するラインパターンの領域はユーザがGUI上で第1の領域(例えば1302−1)を指定して、前記第1の領域のパターンと類似する領域をパターンマッチングによりSEM画像から抽出することができる(例えば1302−2〜1302−12)。あるいは、前記第1の領域を撮像したSEM画像の中央付近のラインパターンを含むように自動で設定(例えば1302−8)してもよい。ここで、1307−1、1307−2のラインパターンは左右のいずれかに広いスペース領域を持つため、1308のラインパターンと寸法が異なっており類似領域として抽出されていない。次に高分解能化したラインパターンのSEM画像1303に対して、二つの測長BOXと呼ばれる画像処理範囲1305−1、1305−2を割り当て、二つの測長BOX1305−1〜1305−2内でラインのエッジ位置を算出して両位置を比較することでラインパターンの寸法1304をより高精度に計測することができる。例えば、ラインのエッジ位置は測長BOX1305−1〜1305−2内に含まれる画像データに対して、ラインのエッジに対して垂直方向に画像の濃淡値のプロファイルデータを取得し、前記プロファイルデータの勾配が大きく変化する位置、あるいは濃淡値のピーク位置をエッジ位置として抽出できる。ここで、各測長BOXで複数のエッジ位置を求めておき、その平均値を各測長BOXのエッジ位置としても良い。
【0073】
次に、本発明におけるSEMで撮像したホールパターンの画像を高分解能化して高精度にホールパターン径を計測する実施例について図14を用いて説明する。まず、計測するホールパターンを含む視野をSEMで撮像してSEM画像1400を得る。この場合においても前述のラインパターンの場合と同様に、試料へのダメージを抑えて撮像したため、通常低S/N・低画像分解能の画像が得られている。次に、各ホールパターンの領域1401−1〜1401−16を抽出して、前記領域1401−1〜1401−16内の画像間の位置合せを行って画像復元処理を施し1つのホールパターンの高分解能な画像1402を取得する。続いて、前記高分解能な画像1402を用いてホールパターン径1403を計測する。ここで、画像復元処理に入力するホールパターンの領域群1401−1〜1401−16を分割して(例えば、1401−1〜1401−4、1401−5〜1401−8、1401−9〜1401−12、14013−1〜1401−16の4つのグループ)、分割した領域群毎に画像復元処理を施すことで複数の高解像度なホールパターンの画像1404−1〜1404−4を得ることもできる。前記複数のホールパターンの画像1404−1〜1404−4それぞれに対してホールパターン径1405−1〜1405−4を計測して、これらのホールパターン径1405−1〜1405−4の平均値やばらつきを評価することもできる。なお、上記グループ分けは4つに限れられず、適宜設定可能である。
【0074】
次に、本発明におけるSEMで撮像したOPC(Optical Proximity Correction)のついた複雑なマスクパターンの画像を高分解能化して高精度に形状を評価する実施例について図15を用いて説明する。1501で示すようなOPCのついた複雑なマスクパターンは類似する形状を持つパターンが少ないため画像復元処理を行うことが困難となる。そこで、類似する形状を持つパターンを含む複数のSEM画像1502−1〜1502−3を用いて画像復元処理を施して高分解能なSEM画像1503を得る。複数のSEM画像1502−1〜1502−3は、第1に撮像したSEM画像1502−1の撮像位置から隣接するチップあるいはセルの同一座標位置を撮像して取得することができる。生成した高分解能なSEM画像1503からパターンの輪郭線を抽出(1504)してマスクパターンの設計データ(1505)と比較して形状を評価することもできるし、前記輪郭線データを露光シミュレータに入力してウェーハ上に転写されるパターンの形状を予測することもできる。
【0075】
次に、本発明におけるSEMで撮像したダブルパターニングにより形成されたパターンの画像を高分解能化する実施例について図16を用いて説明する。ここでダブルパターニングとは、密集したパターンを二つの密集度の低いパターンに分割して露光する技術であり、この二つのパターンを組み合わせることにより最終的にパターンの密集度を高めることができる。1601−1〜1601−2はダブルパターニングにより形成されたパターンを含む2枚のSEM画像で、1602−1〜1602−4は1601−1〜1601−2に対応するパターンの設計データである。1603−1〜1603−4は1回目の露光で形成されたパターンで、1604−1〜1604−4は2回目の露光で形成されたパターンである。ダブルパターニングにおいて、露光装置の位置合せ精度に依存して1回目と2回目で露光したパターンで位置ずれが発生する。パターン1603−1〜1603−2は設計データ1602−1〜1602−2よりも下側に位置ずれをおこした例を示す。したがって、単純に類似する形状を持つパターンの領域を1605−1〜1605−4のように抽出して画像復元処理を施しても、前記の1回目と2回目で露光したパターンのずれがあるため画像復元処理がうまくいかない。そこで、本発明では1回目と2回目で露光したパターンそれぞれに対して、画像復元処理を適用して1回目と2回目で露光したパターンそれぞれの高分解能な画像を生成することを特徴とする。1606−1〜1606−4は入力したSEM画像から抽出した1回目に露光したパターンを含む領域の画像で、1607−1〜1607−4は同様に2回目に露光したパターンを含む領域の画像である。1608は1606−1〜1606−4から画像復元処理を用いて生成した1回目に露光したパターンの高分解能な画像で、1609は同様に1607−1〜1607−4から画像復元処理を用いて生成した2回目に露光したパターンの高分解能な画像である。また、1610は1608と1609の結果を組み合わせて生成した1605−1の高分解能化した画像である。
【0076】
また、画像処理によってエッジ位置を検出してパターンの寸法計測を行う場合は、パターンのエッジ周辺の画像プロファイルを高分解能化すれば十分である場合がある。そのような場合に対して、本発明を用いて入力画像からパターンのエッジ周辺の画像を高分解能する例を図24を用いて説明する。2401はラインパターン2402を含む入力SEM画像である。2403−1〜2403−8はラインパターン2402のエッジ周辺を含むように類似領域群を抽出した結果を示す。前記類似領域群2403−1〜2403−8を用いて、高分解能化した結果を2404に示す。前記高分解能化したラインパターンの画像2404を用いてラインパターン寸法2405を高精度に計測することができる。また、ラインパターンのみならず任意のパターンに対しても同様にパターンのエッジを高分解能化することができる。この例を図24の2406のSEM画像を用いて説明する。2408は単純なラインパターンではなく曲線のエッジを含むパターンであるが、前記類似領域群を2407−1〜2407−14で示すようにパターンのエッジ方向に垂直な領域として抽出することで、任意のパターン形状に対しても類似領域群の抽出が可能となりエッジ周辺の画像の高分解能化が実現する。2409は前記高分解能化したエッジ周辺の画像を前記類似領域群に対応する位置に張り合わせた結果である。2409を用いてパターン寸法を計測することもできるし、2409からパターンの輪郭線を抽出することもできる。このように、類似領域群を細かく設定することで、曲線に限らず、任意のパターンに対して高分解能化が可能である。
【実施例6】
【0077】
本発明を欠陥検査に適用した実施例について図17を用いて説明する。1701はSEMを用いて撮像した検査対象となる画像(検査画像)で、1702は1701と同様の外観を持ち、なおかつ結果を含まない参照画像である。欠陥検査においては検査画像1701と参照画像1702を比較することで、欠陥部位(1704)を含む領域を抽出することができる。参照画像としては検査画像の隣接するチップのチップ上の同一座標を撮像して取得することができる。1703は前述の比較により抽出した欠陥領域である。1705は検査画像1701に対して、画像復元処理が適応可能な領域において形状が類似するパターンの領域(類似領域)を複数抽出した後に画像復元処理を施して高分解能な画像を生成して前記類似領域に張り合わせ、類似するパターンが存在しないため画像復元処理が適応できない領域においては検査画像1701の画素値を補間拡大した画像を張り合わせて、生成した高分解能な参照画像である。このように、画像復元処理が適用できる領域とできない領域に分けて処理することで単純な繰り返しパターンではない検査画像に対しても高分解能な参照画像が生成できる。また、前記高分解能な参照画像を前記検査画像と同じサイズに縮小することで前記比較検査に用いることもできる。また、1706に示すように高分解能な参照画像に前記欠陥領域1703に対応する検査画像を補間拡大して張り合わせて生成した検査画像全体を高分解能化することもできる。
【実施例7】
【0078】
本発明におけるシステム構成の実施例を図18を用いて説明する。図18において1801はマスクパターン設計装置、1802はマスク描画装置、1803はマスクパターンのウェーハ上への露光・現像装置、1804はウェーハのエッチング装置、1805および1807はSEM装置、1806および1808はそれぞれ前記SEM装置を制御するSEM制御装置、1809はEDA(Electronic Design Automation)ツールサーバ、1810はデータベースサーバ、1811はデータベースを保存するストレージ、1813は画像復元処理装置、1814は生成したパターン形状の計測・評価ツールサーバであり、これらはネットワーク1815を介して情報の送受信が可能である。また、同図においては例として二台のSEM装置1805、1807がネットワークに接続されているが、本発明においては、任意の複数台のSEM装置において撮像したSEM画像をデータベースサーバ1811に格納して共有することが可能である。また、1806、1808、1809、1810、1812〜1814を一つの装置1816に統合することもできる。本例のように任意の機能を任意の複数台の装置に分割、あるいは統合して処理させることが可能である。
【実施例8】
【0079】
本発明における入力・出力情報の設定あるいは表示を行うGUIの例を図19〜図21に示す。図19〜図21中のウィンドウ内に描画された各種情報は任意の組合せでウィンドウに分割してディスプレイ等に表示することができる。また、図中の**はシステムに入力された、あるいは出力された任意の数値(あるいは文字列)や数値の範囲であることを示す。
【0080】
図19は、入力されたSEMの画像を高分解能化する際の処理設定を行うGUIの例である。1901は撮像したSEM画像で、SEM画像1901内の網掛けでハッチングされた領域1902は配線パターンである。SEM画像1901はボックス1903で示した撮像条件(撮像視野(FOV)1904、加速電圧1905、ビーム電流値1906、フレームか算数1907)で撮像された画像である。このとき入力するSEM画像を複数枚撮像してもよいし、GUI上に複数枚の入力SEM画像を表示してもよい。ボックス1908でSEM画像1901から類似する形状を持つパターンを抽出するためのパラメータを設定する。設定項目としては、例えばここでは、パターンの上下反転を許容して探索するか否か(1909)、パターンの左右反転を許容して探索するか否か(1910)、パターンの回転を許容して探索するか否か(1911)、パターンの微小な歪みを許容して探索するか否か(1912)がある。パターンの回転は90°、180°、270°の角度に限定して探索しても良いし、任意の角度で探索を行っても良い。微小な歪みとしてはアフィン変換などの線形な画像変換を用いてもよいし、二次変換などの多項式で表される歪みモデルを用いてもよい。ボタン1927を押すと、SEM画像1901から抽出した形状が類似するパターンを持つ領域(類似領域群)を探索して抽出する。ボックス1913は、類似領域群を抽出する際のパターンの類似度のしきい値を設定する。ボックス1915およびボックス1916は、抽出された類似領域群であり、抽出された類似領域群の種類が分かるように、種類ごとに色分け等されて囲まれる。この場合、画像復元処理を行う対象となるパターン(基準パターン)の種類は二つとなり、それぞれの基準パターンを1917、1918に表示している。基準パターンはSEM画像1901から、類似するパターンが二つ以上となる領域を探索して自動で決定してもよいし、ユーザがGUI上で直接指定してもよい。ボックス1919、1920に各基準パターン1917、1918に対して抽出された類似領域群の画像を切り出して表示している(それぞれ、1921−1〜1921−10、1922−1〜1922−4)。抽出された類似領域群に番号をつけて、入力SEM画像上のパターンとの対応関係を表示することもできる(1923)。1924〜1926は、パターン上の欠陥部位の領域を抽出した結果である。欠陥領域は類似領域の画像と基準パターンあるいは類似領域の平均画像との画像の差分値をしきい値処理することで抽出可能である。欠陥抽出の際のしきい値はボックス1914で設定することができる。
【0081】
図20は画像復元処理の処理パラメータを設定するGUIの例である。1901は入力されたSEM画像で、図19と同様に探索に用いた基準パターン1917、1918と基準パターンに対応する類似領域群を表示している。ボックス2001で画像復元処理のパラメータを設定する。例えば、ボックス2002で画像の拡大率を設定することもできるし、ボックス2003でSEMで撮像された画像の劣化モデルのパラメータ値(SEM装置のビーム径などの点広がり関数のモデルパラメータ値など)を設定することもできる。ボタン2004を押すと、ボックス2001で設定されたパラメータに従って画像復元処理が実行される。2005、2006は基準パターン1917、1918それぞれに対して画像復元処理を施して得られる高分解能画像である。類似領域ごとに類似度を評価して表示することもできるし(2007−1〜2007−10、2008−1〜2008−4)、前記類似度を重みにして画像復元処理を実行することもできる。前記類似度は画像から自動で算出することもできるし、手動で設定することもできる。また、前記高分解能画像を類似領域群の存在する位置に張り合わせた結果を2009に表示することもできる。ここで、画像復元処理で高解像度化できなかった領域(形状が類似するパターンが1つしかないパターンの領域、あるいは欠陥領域など)の画像は、単純に補間拡大を行って張り合わせることで、入力画像全体を擬似的に高解像度化することができる。
【0082】
また、前記高分解能化した画像を処理してパターンの寸法を計測したり、輪郭線を抽出することもできる。パターンの寸法を計測する場合は、2010で示す測長BOXを指定して2011のボタンを押すことで指定したパターンの幅やギャップ、ピッチなどを計測することもできる。同様に2012のボタンを押して、入力画像全体あるいは指定したパターンの輪郭線を抽出することもできる。これらのパターンの形状評価は高解像度化した入力画像全体に適用できるし、基準パターンを高解像度化した画像2005、2006で行っても良い。
【0083】
図21は設計データを用いて画像復元処理を行う場合の処理設定を行うGUIの例である。斜線で囲んだ領域2101は入力した設計データのパターンを示す。また、リスト2102からパターンを評価する座標(Evaluation Point:EP)を選択してそれぞれの処理設定を行うこともできる。EPの入力はユーザが与えてもよいし、EDAツールなどから出力される欠陥が発生しうる危険箇所(HOTSPOT)を入力としてもよい。ボックス1903はSEMの撮像条件(撮像視野(FOV)1904、加速電圧1905、ビーム電流値1906、フレームか算数1907)を設定する。2103はEP座標値を中心とした撮像視野を示し、2104−1は形状を評価するパターン(基準パターン)を示す。基準パターンはユーザが与えても良いし、設計データを用いてEP座標値の近辺のパターンを抽出してもよい。ボタン2113を押すと撮像位置の最適化が行われる。2104−2〜2104−7は設計データを用いて基準パターン2104−1と類似するパターンを抽出した結果を示す。2105は設計データを用いて撮像視野内に基準パターンと類似するパターンを多く含むように最適した結果の撮像視野を示している。ボックス2106は、前記撮像視野最適化前後の撮像位置2107〜2108、撮像視野に含まれる基準パターン2104−1と形状が類似するパターンの領域数2109〜2110、抽出した類似領域群の平均類似度2111〜2112をそれぞれ表示している。また、類似するパターンの探索は図19の場合と同様に、パターンの上下/左右反転、回転、微小な歪みを許容するか否かを指定することもできる(1909〜1912)。また、撮像視野最適化により得られた撮像視野を採用するか否かをチェックボックス2114で指定することもできる。
【0084】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、本実施形態では、走査伝顕微鏡(SEM)を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、走査型イオン顕微鏡(SIM)又は走査型透過顕微鏡(STEM)等の走査荷電粒子顕微鏡にも応用可能である。また、各実施例を項目分けして説明したが、必ずしも互いに独立したものではなく、必要に応じて各実施例で記載された内容を組み合わせて用いても構わない。
【0085】
また、本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。すなわち、本発明によれば、走査荷電粒子顕微鏡を用いた画像撮像時の電子線照射による試料へのダメージを抑えつつ、高い分解能の画像を取得できる。これによりレジストパターンのような電子線照射の耐性が低い試料においても高分解能なSEM画像の取得が可能となり高精度なパターンの形状評価が実現する。この形状評価を基に半導体製造プロセスの最適化やフォトマスクのパターン設計において適切な判断を下すことができる。
【符号の説明】
【0086】
101…半導体ウェーハ、102…電子光学系、103…電子銃、104…電子線(一次電子)、105…コンデンサレンズ、106…偏向器、107…ExB偏向器、108…対物レンズ、109…二次電子検出器、110、111…反射電子検出器、112〜114…A/D変換器、115…処理・制御部、116…CPU、117…画像メモリ、118…データベース(ストレージ)、119…画像復元処理装置、120…形状計測・評価ツールサーバ、121…ステージ、122、123…処理端末、
301、309…入力SEM画像、302-1〜302-15…パターン、303…異物、304、305…パターン欠陥、306…画像復元処理を実行可能な領域、307-1〜307-10…類似するパターンを持つ領域群、308-1〜308-4…類似するパターンを持つ領域群、
401〜403…欠陥部位を含む領域、404-1〜404-1、405-1〜405-4…領域間のパターンの類似度、406、407…画像復元処理により入力画像の一部を高分解能化した画像、408…入力画像全体を高分解能化した画像、409-1〜409-4…画像復元処理により入力画像の一部を高分解能化した画像を張り合わせた結果、
501…入力SEM画像、502-1〜502-4…パターン、503-1〜503-4…類似するパターンを持つ領域群、504-1〜504-4…503-1を基準とした領域間のパターンの類似度、505-1〜505-4…503-3を基準とした領域間のパターンの類似度、506…入力画像全体を高分解能化した結果、507…画像復元処理により高分解能化した画像、508…領域毎に画像復元処理のパラメータを変更して入力画像全体を高分解能化した結果、509-1〜509-4…領域毎の高分解能化した画像、510…503-1を基準とした類似指標値算出、511…503-3を基準とした類似指標値算出、
601…高分解能画像のパターンの寸法、602…高分解能画像のパターンの輪郭線、603…高分解能化したパターン間の寸法、
1001…撮像視野、1002…設計パターン、1003-1〜1003-10…類似するパターンを持つ領域群、
1101…設計パターン、1102-1〜1102-3…撮像視野、1103-1〜1103-9…類似するパターンを持つ領域群、
1201…入力SEM画像、1202-1〜1202-7…設計パターン、1203-1〜1203-7…SEM画像上の回路パターン、1204…異物、1205、1206…パターン欠陥、1207-1〜1207-6…類似するパターンを持つ領域群、
1301…入力SEM画像、1302-1〜1302-12…類似するパターンを持つ領域群、1303…高分解能化したラインパターン、1304…ラインパターンの寸法、1305、1306…ラインエッジ位置を検出するための画像処理範囲(測長BOX)、1307-1、1307-2…入力画像の中央のラインパターンと幅が異なるラインパターン、
1400…入力SEM画像、1401-1〜1401-16…ホールパターンを含む領域群、1402…高分解能化したホールパターンの画像、1403…ホールパターン径の測長値、1404-1〜1404-4…高分解能化したホールパターンの画像群、1405-1〜1405-4…ホールパターン径の測長値群、
1501…OPCつきマスクパターン、1502-1〜1502-4…入力SEM画像群、1503…入力SEM画像群を高分解能化した結果、1504…高分解能化した画像から抽出したマスクパターンの輪郭線、1505…マスクパターンの設計形状、
1601-1、1601-2…入力SEM画像、1602-1〜1602-2…1回目に露光するパターンの設計形状、1602-3〜1602-4…2回目に露光するパターンの設計形状、1603-1〜1603-4…1回目に露光されて形成されたパターン、1604-1〜1604-4…2回目に露光されて形成されたパターン、1605-1〜1605-4…類似するパターンを持つ領域群、1606-1〜1606-4…1回目に露光されたパターンの内類似するパターンを持つ領域群、1607-1〜1607-4…2回目に露光されたパターンの内類似するパターンを持つ領域群、1608…1回目に露光されたパターンの高分解能な画像、1609…2回目に露光されたパターンの高分解能な画像、1610…1回目および2回目に露光されたパターンの高分解能な画像、
1701…検査画像、1702…参照画像、1703…欠陥部位を含む領域、1705…高分解能化した参照画像、1706…高分解能化した検査画像、
1801…マスクパターン設計装置、1802…マスク描画装置、1803…露光・現像装置、1804…エッチング装置、1806、1807…SEM装置、1806、1808…SEM制御装置、1809…EDAツールサーバ、1810…データベースサーバ、1811…データベース、1812…撮像レシピ作成装置、1813…画像復元処理装置、1814…形状計測・評価ツールサーバ、1815…ネットワーク、1815…EDAツール、データベース管理、撮像レシピ作成、画像復元処理、形状計測・評価ツール、SEM制御用統合サーバ&演算装置、
1901…入力SEM画像、1902…パターン、1903…SEM撮像条件設定ボックス、1904…撮像範囲の設定ボックス、1905…加速電圧値の設定ボックス、1906…ビーム電流値の設定ボックス、1907…フレーム加算数の設定ボックス、1908…類似パターンの探索設定ボックス、1909…探索に上下反転を許容するか否かのチェックボックス、1910…探索に左右反転を許容するか否かのチェックボックス、1911…探索に回転を許容するか否かのチェックボックス、1912…探索に微小歪みを許容するか否かのチェックボックス、1913…類似パターンの判定しきい値設定ボックス、1914…例外パターン検出しきい値設定ボックス、1915、1916…類似するパターンをもつ領域、1917、1918…画像復元処理を行う単位のパターン(基準パターン)、1919、1920…基準パターンに対する類似領域群を表示するボックス、1921-1〜1921-10、1922-1〜1922-4…類似するパターンをもつ領域群、1923…類似領域の番号、1924〜1926…例外領域、1927…類似領域探索を実行するボタン、
2001…画像復元処理設定ボックス、2002…画像拡大率設定ボックス、2003…画像劣化モデルパラメータ入力ボックス、2004…画像復元処理実行ボタン、2005、2006…画像復元処理結果、2007-1〜2007-10、2008-1〜2008-4…類似領域間のパターンの類似度、2009…入力SEM画像全体を高分解能化した結果、2010…測長BOX、2011…寸法計測実行ボタン、2012…輪郭線抽出処理実行ボタン、
2101…設計パターン、2102…EP選択リストボックス、2103…第1の撮像視野、2104-1〜2104-7…類似領域群、2105…最適化により決定した第2の撮像視野、2106…撮像視野最適化した結果を表示するボックス、2107…最適化前の撮像位置、2108…最適化後の撮像位置、2109…最適化前の撮像視野内に含まれる類似領域の数、2110…最適化後の撮像視野内に含まれる類似領域の数、2111…最適化前の類似領域間の平均類似度、2112…最適化後の類似領域間の平均類似度、2113…撮像視野最適化実行ボタン、2114…撮像視野最適化結果の採択可否のチェックボックス、
2201…パターン、2202-1〜2202-3…第1の類似領域群、2203-1〜2203-3…第2の類似領域群、2204-1〜2204-3…任意の領域をもつ類似領域群、2205…パターン、
2401…入力SEM画像、2402…ラインパターン、2403-1〜2403-8…類似領域群、2404…高分解能化したラインパターン、2405…ラインパターンの寸法、2406…入力SEM画像、2407…ライン端パターン、2408-1〜2408-14…類似領域群、2409…高分解能化したパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて回路パターンが形成された試料を観測する観測方法であって、
前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得するステップと、
前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出するステップと、
前記抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップと、
前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測するステップと、
を有する観測方法。
【請求項2】
請求項1記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、前記所定の判断基準として、
前記一の撮像画像から互いに形状が類似するパターンを含む領域をいくつ抽出できるか、及び、抽出しうる互いに形状が類似するパターンを含む領域の画像間でどれだけ類似しているか、を指標として判断し、前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、
前記所定の判断基準に従って前記複数の領域を抽出する前に、前記取得した一の撮像画像内で形状が類似するパターンを少なくとも2つ以上もつ判別類似領域を判別し、
前記判別された判別類似領域の範囲内で前記所定の判断基準に従って前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の観測方法であって、
前記回路パターンを観測するステップでは、
前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を前記撮像画像の前記複数の領域に張り合わせ、前記張り合わされた画像を用いて前記回路パターンを観測することを特徴とする観測方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の観測方法であって、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、前記複数の領域の画像を加重平均することで一の画像を生成することを特徴とする観測方法。
【請求項6】
請求項4記載の観測方法であって、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、
前記複数の領域の数だけ前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を複数生成しており、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い複数の画像の各類似度指標値は、前記複数の領域の画像の各類似度指標値に対応していることを特徴とする観測方法。
【請求項7】
請求項1記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、
ユーザが指定する着目パターンを含む領域に対して、これと類似するパターンを含む領域を抽出することで前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項8】
請求項7記載の観測方法であって、
前記複数の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像として、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を生成し、
前記回路パターンを観測するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を用いて、前記着目パターンの寸法を測定することを特徴とする観測方法。
【請求項9】
請求項7記載の観測方法であって、
前記複数の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像として、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を生成し、
前記回路パターンを観測するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を用いて、前記着目パターンの輪郭線を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項10】
請求項1記載の観測方法であって、
前記撮像画像を取得するステップの前に、さらに、
前記走査荷電粒子顕微鏡で撮像する撮像視野を設定するステップと、
前記設定された撮像視野を少なくとも含む視野内の設計データを読み込むステップと、
を有し、
前記撮像画像を取得するステップでは、前記撮像視野を前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて撮像することにより前記撮像画像を取得し、
前記複数の領域を抽出するステップでは、前記設計データに基づいて前記撮像画像から前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項11】
請求項10記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、前記所定の判断基準として、
前記一の撮像画像から互いに形状が類似するパターンを含む領域をいくつ抽出できるか、及び、抽出しうる互いに形状が類似するパターンを含む領域の画像間でどれだけ類似しているか、を指標として前記設計データから判断し、前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の観測方法であって、
前記互いに形状が類似するパターンとは、上下左右の反転、約90度の回転又は斜め方向の歪み補正をすれば互いに類似するパターン同士を含むことを特徴とする観測方法。
【請求項13】
回路パターンが形成された試料を観測する観測装置であって、
前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得する走査荷電粒子顕微鏡と、
前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出する手段と、
前記抽出する手段により抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成する手段と、
前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測する手段と、
を有することを特徴とする観測装置。
【請求項14】
請求項13記載の観測装置であって、
さらに、前記抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像と、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像との両者を表示する表示手段を有することを特徴とする観測装置。
【請求項15】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、
前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、
前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別ステップと、
前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、
画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であって、
前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定されることを特徴とする画像生成方法。
【請求項16】
請求項15記載の画像生成方法であって、
前記類似領域群決定ステップにおいて、
前記類似領域群に含まれる類似領域の1つである第1の領域の画像を回転、あるいは反転、あるいは微小変形を施した画像と、前記類似領域群に含まれる類似領域の1つである第2の領域の画像が類似すれば前記第1の領域の画像と前記第2の領域の画像間の前記類似指標値を高くすることを特徴とする画像生成方法。
【請求項17】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成装置であって、
前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力手段と、
前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別手段と、
前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定手段と、
画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成手段を備えることを特徴とする画像生成装置であって、
前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定することを特徴とする画像生成装置。
【請求項1】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて回路パターンが形成された試料を観測する観測方法であって、
前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得するステップと、
前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出するステップと、
前記抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップと、
前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測するステップと、
を有する観測方法。
【請求項2】
請求項1記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、前記所定の判断基準として、
前記一の撮像画像から互いに形状が類似するパターンを含む領域をいくつ抽出できるか、及び、抽出しうる互いに形状が類似するパターンを含む領域の画像間でどれだけ類似しているか、を指標として判断し、前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、
前記所定の判断基準に従って前記複数の領域を抽出する前に、前記取得した一の撮像画像内で形状が類似するパターンを少なくとも2つ以上もつ判別類似領域を判別し、
前記判別された判別類似領域の範囲内で前記所定の判断基準に従って前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の観測方法であって、
前記回路パターンを観測するステップでは、
前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を前記撮像画像の前記複数の領域に張り合わせ、前記張り合わされた画像を用いて前記回路パターンを観測することを特徴とする観測方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の観測方法であって、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、前記複数の領域の画像を加重平均することで一の画像を生成することを特徴とする観測方法。
【請求項6】
請求項4記載の観測方法であって、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、
前記複数の領域の数だけ前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を複数生成しており、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い複数の画像の各類似度指標値は、前記複数の領域の画像の各類似度指標値に対応していることを特徴とする観測方法。
【請求項7】
請求項1記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、
ユーザが指定する着目パターンを含む領域に対して、これと類似するパターンを含む領域を抽出することで前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項8】
請求項7記載の観測方法であって、
前記複数の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像として、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を生成し、
前記回路パターンを観測するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を用いて、前記着目パターンの寸法を測定することを特徴とする観測方法。
【請求項9】
請求項7記載の観測方法であって、
前記複数の画像よりも分解能が高い画像を生成するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像として、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を生成し、
前記回路パターンを観測するステップでは、
前記複数の領域の画像よりも分解能が高い着目パターンの画像を用いて、前記着目パターンの輪郭線を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項10】
請求項1記載の観測方法であって、
前記撮像画像を取得するステップの前に、さらに、
前記走査荷電粒子顕微鏡で撮像する撮像視野を設定するステップと、
前記設定された撮像視野を少なくとも含む視野内の設計データを読み込むステップと、
を有し、
前記撮像画像を取得するステップでは、前記撮像視野を前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて撮像することにより前記撮像画像を取得し、
前記複数の領域を抽出するステップでは、前記設計データに基づいて前記撮像画像から前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項11】
請求項10記載の観測方法であって、
前記複数の領域を抽出するステップでは、前記所定の判断基準として、
前記一の撮像画像から互いに形状が類似するパターンを含む領域をいくつ抽出できるか、及び、抽出しうる互いに形状が類似するパターンを含む領域の画像間でどれだけ類似しているか、を指標として前記設計データから判断し、前記複数の領域を抽出することを特徴とする観測方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の観測方法であって、
前記互いに形状が類似するパターンとは、上下左右の反転、約90度の回転又は斜め方向の歪み補正をすれば互いに類似するパターン同士を含むことを特徴とする観測方法。
【請求項13】
回路パターンが形成された試料を観測する観測装置であって、
前記回路パターンを撮像して撮像画像を取得する走査荷電粒子顕微鏡と、
前記取得した一の撮像画像から所定の判断基準に従って互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域を抽出する手段と、
前記抽出する手段により抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像を用いて、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を生成する手段と、
前記生成された前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像を用いて前記回路パターンを観測する手段と、
を有することを特徴とする観測装置。
【請求項14】
請求項13記載の観測装置であって、
さらに、前記抽出された互いに形状が類似するパターンを含む複数の領域の画像と、前記複数の領域の画像よりも分解能が高い画像との両者を表示する表示手段を有することを特徴とする観測装置。
【請求項15】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成方法であって、
前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力ステップと、
前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別ステップと、
前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定ステップと、
画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成ステップを含むことを特徴とする画像生成方法であって、
前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定されることを特徴とする画像生成方法。
【請求項16】
請求項15記載の画像生成方法であって、
前記類似領域群決定ステップにおいて、
前記類似領域群に含まれる類似領域の1つである第1の領域の画像を回転、あるいは反転、あるいは微小変形を施した画像と、前記類似領域群に含まれる類似領域の1つである第2の領域の画像が類似すれば前記第1の領域の画像と前記第2の領域の画像間の前記類似指標値を高くすることを特徴とする画像生成方法。
【請求項17】
走査荷電粒子顕微鏡を用いて試料上の半導体回路パターンの画像を生成する画像生成装置であって、
前記走査荷電粒子顕微鏡を用いて前記半導体回路パターンを撮像して取得した画像(入力画像)を入力する画像入力手段と、
前記入力画像内で形状が類似するパターンを少なくとも二つ以上持つ領域(判別類似領域)と持たない領域(判別非類似領域)とを判別する類似領域判別手段と、
前記判別類似領域内から画像復元処理に用いる領域群(類似領域群)を決定する類似領域群決定手段と、
画像復元処理により前記類似領域群の画像群から1枚の高分解能な類似領域の画像(高分解能画像)を生成する高分解能画像生成手段を備えることを特徴とする画像生成装置であって、
前記類似領域群に含まれる類似領域はいずれも形状が類似する共通のパターンを含み、前記類似領域群は前記類似領域の数および前記類似領域群の画像間の類似度を示す指標値(類似指標値)を基に決定することを特徴とする画像生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
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【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−196731(P2011−196731A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61777(P2010−61777)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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