説明

走査露光装置

【課題】 記録画像の鮮鋭度を向上させることを可能とする走査露光装置を提供する。
【解決手段】 レーザ光源12から射出された緑色(G)レーザ光8bは、音響光学変調素子(AOM)24を通過する際に強度変調され、平面ミラー26で反射され、ポリゴンミラー29に照射される。ポリゴンミラー29は、時計周り方向Cに回転しており、Gレーザ光8bを反射するとともに、Gレーザ光8bを感光体5の主走査方向Xに走査露光する。AOM24は、AOMドライバ32によって駆動され、トランスデューサ24bは結晶体24a内に超音波の音波波束を、Gレーザ光8bの伝搬方向とほぼ垂直な方向Pに伝搬させる。Gレーザ光8bは、音波波束を通過する際に回折され、1次回折光として射出される。音波波束33の伝搬方向Pを仮想的に感光体5上へ投影した投影方向P″は、主走査方向Xに対してほぼ逆向きとなっており、記録画像の鮮鋭度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像濃度に応じて変調されたレーザ光を感光体上に走査露光する走査露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データの記録を行う写真プリンタとして、レーザ光を使用するレーザプリンタが知られている。レーザプリンタでは、シート状の感光体を副走査方向に搬送しながら、これに垂直な主走査方向にレーザ光を走査露光する。感光体には、例えば銀塩感材が使用され、走査露光が行われた感光体には画像が潜像として記録され、現像されることにより画像が顕在化する。
【0003】
このようなレーザプリンタに用いられる走査露光装置は、赤、緑、青の各色のレーザ光を発生する光源を備えており、カラー画像データに基づいて色ごとにレーザ光を変調し、変調されたレーザ光をポリゴンミラーによって主走査方向に偏向して走査露光を行うとともに、感光体を副走査方向に搬送する。
【0004】
このような走査露光装置において、例えば、赤色レーザ光及び青色レーザ光の光源には、半導体レーザが用いられ、緑色レーザ光の光源には、半導体レーザ励起型固体レーザに2次高周波発生(SHG:Second Harmonic Generation)素子を組み合わせて使用したSHGレーザが用いられる。上記半導体レーザでは、電流を制御したり(強度変調)、デューティを制御したり(パルス幅変調)することで画像濃度に応じた変調が可能であるが、SHGレーザでは、画像濃度に応じた変調を行うために、音響光学変調素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)等の外部変調器を使用している(例えば、特許文献1参照)。AOMは、音響光学回折を用いた光変調器であり、レーザ光に対して垂直方向に超音波を伝搬させ、その超音波の強度を制御することで回折光の強度を変調するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2001−281577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の走査露光装置では、AOMの超音波を伝搬させる方向についてはなんら考慮されておらず、記録画像は本来達し得る鮮鋭度(シャープネス)が達成されないことがあり、画質低下を招くといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、記録画像の鮮鋭度を向上させることを可能とする走査露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の走査露光装置は、第1レーザ光を射出する第1光源と、この第1光源から射出された前記第1レーザ光の伝搬方向とほぼ垂直な方向に超音波を通過させることによって前記第1レーザ光の強度変調を行う音響光学変調素子と、この音響光学変調素子から射出された前記第1レーザ光を偏向して被走査面上の所定方向に走査する偏向器とを備えた走査露光装置において、前記被走査面上へ仮想的に投影された前記超音波の伝搬方向が、前記偏向器による前記第1レーザ光の走査方向に対して逆向きであることを特徴とする。
【0009】
なお、前記第1光源は、半導体レーザ励起型の固体レーザと、この固体レーザから射出されたレーザ光を波長変換する波長変換素子とからなる光源などを用いる。
【0010】
また、前記第1レーザ光とは異なる波長の第2レーザ光を射出する第2光源が設けられており、前記偏向器によって前記被走査面上の前記所定方向に走査されることが好ましい。また、前記第2光源は、半導体レーザからなることが好ましい。
【0011】
また、前記第2レーザ光は、前記第2光源の駆動電流を制御することによって強度変調され、前記被走査面上における前記第2レーザ光のスポット径を、前記第1レーザ光のスポット径より小さくすることが好ましい。
【0012】
さらに、前記第2レーザ光は、前記第2光源の駆動電流を制御することによって強度変調され、前記被走査面上における前記第2レーザ光のスポット径と前記第1レーザ光のスポット径とをほぼ等しくしたまま、前記第2レーザ光を変調する画像信号パルスのデューティを、前記第1レーザ光を変調する画像信号パルスのデューティより小さくすることも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の走査露光装置は、被走査面上へ仮想的に投影された超音波の伝搬方向が、偏向器によるレーザ光の走査方向に対してほぼ逆向きとなるようにしたので、被走査面上に走査露光される1画素分の積分光量分布が走査方向に関して狭小化され、記録画像の鮮鋭度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、レーザプリンタ2を示す概略図であり、レーザプリンタ2は、各種画像処理を行う画像処理部3、走査露光装置4、シート状の感光体5を搬送する搬送ローラ6、搬送ローラ6を駆動するモータ7などからなる。画像処理部3には、写真フイルムのフイルム画像をCCDスキャナで読み取ることによって得られた画像データや、デジタルカメラの撮影での撮影によって得られた画像データが入力される。画像処理部3は、入力された画像データに対して補正等の各種画像処理を行って、記録用画像データとして走査露光装置4へ出力する。
【0015】
走査露光装置4は、詳しくは後述するが、赤、緑、青の各色に対応したレーザ光8a〜8cを発振する複数のレーザ光源を備えており、画像処理部3から入力された記録用画像データに応じて変調したレーザ光を感光体5に照射するとともに、主走査方向X(図2参照)に走査露光を行う。感光体5は、シート状であり、赤色(R)レーザ光8aに感光する赤色感光層5a、緑色(G)レーザ光8bに感光する緑色感光層5b、青色(B)レーザ光8cに感光する青色感光層5cが順に支持体5d上に積層されている。
【0016】
搬送ローラ6は、モータ7によって駆動され、感光体5を主走査方向Xと直交する副走査方向Yに一定速度で搬送する。このように、感光体5は、副走査方向Y(図2参照)に搬送されながら、走査露光装置4によって主走査方向Xに振られたレーザ光8a〜8cが照射され、1ラインずつ露光が行われる。なお、感光体5は、レーザプリンタ2によって走査露光されて、画像が潜像として各感光層5a〜5cに記録された後、現像されることにより画像が顕在化される。
【0017】
図3は、走査露光装置4の構成を示す。走査露光装置4は、レーザ光源11〜13を備えている。レーザ光源11は、例えば波長が680nmのRレーザ光8aを射出するR半導体レーザ14と、その射出側に配置された集光レンズ15とからなる。同様に、レーザ光源13は、例えば波長が410nmのBレーザ光8cを射出するB半導体レーザ16と、その射出側に配置された集光レンズ17とからなる。R半導体レーザ14及びB半導体レーザ16の発振を直接オン/オフするとともに、駆動電流を制御することで、Rレーザ光8a及びBレーザ光8cはそれぞれ変調される。
【0018】
レーザ光源12は、半導体レーザ18、その射出側に配置された集光レンズ19、及びレーザ結晶(レーザ活性媒質)20で構成される半導体レーザ励起型固体レーザ21と、その射出側に配置された波長変換素子としての2次高周波発生(SHG)素子22とを組み合わせてなるSHGレーザである。半導体レーザ励起型固体レーザ21は、例えば波長が1064nmのレーザ光を射出する。SHG素子22は、半導体レーザ励起型固体レーザ21から入射されたらレーザ光を半分の波長に変換し、波長が532nmのGレーザ光8bを射出する。
【0019】
レーザ光源12の射出側には、集光レンズ23及び、詳しくは後述する、外部変調器としての音響光学変調素子(AOM)24が順に配置されている。レーザ光源12から射出されたGレーザ光8bは、集光レンズ23を介してAOM24に入射すると音響光学効果が作用して回折が生じ、強度が変調されるとともに回折光として射出される。AOM24から射出された回折光のうち、1次回折光以外の回折光を遮蔽する遮蔽板25が設けられている。遮蔽板25によって1次回折光のみが選択的にAOM24から射出される。
【0020】
レーザ光源11,13及びAOM24の射出側には、平面ミラー26が配置されており、レーザ光源11,13から射出されたR及びBレーザ光8a,8c、AOM24の1次回折光として射出されたGレーザ光8bは、平面ミラー26によって反射される。平面ミラー26の射出側には、コリメータレンズ27、シリンドリカルレンズ28、及びポリゴンミラー(偏向器)29が順に配置されている。
【0021】
平面ミラー26によって反射された各レーザ光8a〜8cは、コリメータレンズ27及びシリンドリカルレンズ28を介してポリゴンミラー29の反射面上のほぼ同一位置に照射され、反射される。ポリゴンミラー29は図中C方向(時計回り方向)にほぼ一定の角速度で回転しており、各レーザ光8a〜8cを偏向し、感光体5に対して前述の主走査方向Xに走査を行う。ポリゴンミラー29の射出側には、感光体5の露光面(被走査面)上の走査速度を補正するfθレンズ30、及び副走査方向Y(図3では紙面に垂直方向)にレンズパワーを持つ面倒れ補正用のシリンドリカルレンズ31が配置されている。
【0022】
AOM24は、図4に示すように、音響光学媒質である直方形の結晶体24aと、結晶体24aの上面に配置されたトランスデューサ24bとによって構成されている。AOM24は、上記Gレーザ光8bが入射光として結晶体24aの一面から入射して、他面へ透過するように走査露光装置4内に配置されている。トランスデューサ24bには、AOMドライバ32が接続されており、AOMドライバ32は高周波信号をトランスデューサ24bへ入力する。トランスデューサ24bは、入力された高周波信号に応じた周波数(数百MHz)の超音波を生成し、この超音波を音波波束33として結晶体24a内に伝搬させる。この音波波束33の伝搬方向は、結晶体24a内の矢印Pで示された方向であり、Gレーザ光8bの入射方向とブラッグ条件を満たす角度で交差する。
【0023】
結晶体24a内で音波波束33が生成された部分は、その伝搬方向Pに沿って屈折率が周期的に変化している。結晶体24a内に入射したGレーザ光8bは、音波波束33を横切ると、音響光学効果が作用して回折が生じ、上記高周波信号の振幅に応じた強度の回折光として結晶体24aから射出される。前述のように、射出された回折光のうち1次回折光のみが遮蔽板25を通過して平面ミラー26へ向かう。従って、Gレーザ光8bは、結晶体24a内で音波波束33を横切ったときのみ1次回折光として平面ミラー26へ射出されることとなる。
【0024】
図5は、AOM24の音波波束33の伝搬方向Pと、感光体5上でのGレーザ光8bの主走査方向Xとの関係を簡易的に示した図である。音波波束33の伝搬方向P、ポリゴンミラー29の回転方向C、及び主走査方向Xは同図に示すような関係にある。同図中の矢印P′は、伝搬方向Pが平面ミラー26で仮想的に反射された方向を示し、同図中の矢印P″は、この方向P′がポリゴンミラー29で仮想的に反射され、感光体5に仮想的に投影された方向を示す。以下、伝搬方向Pと主走査方向Xとの関係を、投影方向P″と主走査方向Xとの関係によって表す。本実施形態では、伝搬方向Pの感光体5上への投影方向P″が主走査方向Xに対してほぼ逆向きになっている。
【0025】
図6は、AOM24の結晶体24a内において、Gレーザ光8bを音波波束33が通過する際の様子を示す図であり、Gレーザ光8bの伝搬方向に垂直な断面における時間的変化を示す。結晶体24a内に入射したGレーザ光8bは、音波波束33に重なった部分のみが変調されて1次回折光として射出される。Gレーザ光8bが部分的に変調され始めてから全てが変調されるまでの変調開始時(t0〜t3)に要される時間τは、音波波束33の伝搬速度をV、Gレーザ光8bのビーム径をDとしたとき、τ=D/Vの関係を満たす。また、変調終了時(t4〜t7)の期間も同様に、時間τが要される。
【0026】
なお、Gレーザ光8bのビーム強度が図7に示すようなガウス分布を有するとき、ビーム径Dは、例えば、相対強度が1/e2(e:自然対数の底)での分布の広がり(標準偏差σの4倍に相当する変位)と定義される。
【0027】
AOM24の結晶体24a内で1つの音波波束33により変調され、1次回折光として射出されたGレーザ光8bのビーム強度は、図8に示すように時間的に変化する。t0からt7までの経過時間が1画素当りの露光時間(10-7〜10-8sec程度)に相当し、この露光時間は画像信号パルス幅によって決定される。ビーム径Dが小さいほど、ビーム強度の立ち上がり及び立ち下がり時の応答時間τは短く、感光体5に投影されるビームの鮮鋭度は向上する。
【0028】
感光体5の露光面は、AOM24の位置(回折点)と光学的に共役な関係となる位置に配置されているため、AOM24によって変調されたGレーザ光8bは、ビーム形状が等しくそのまま露光面に投影され、露光面でのスポット径はビーム径Dにほぼ等しい。1画素分のGレーザ光8bは、図9に示すように、主走査方向Xに走査されながら感光体5の露光面に投影される。図5で示したように、音波波束33の伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとが互いに逆向きとなっているため、露光面に投影されたGレーザ光8bの1画素分の投影領域(図9でハッチングを施した領域)は、主走査方向Xに関する1画素分の走査幅W(ほぼ1画素当りの露光時間と主走査方向Xの走査速度との積)より狭くなる。これは、変調開始時(t0〜t3)には、Gレーザ光8bが部分的に変調され始めるとともに、変調部分が主走査方向Xの前方側に投影され、変調終了時(t4〜t7)には、変調部分が主走査方向Xの後方側に投影されるためである。
【0029】
図10は、ある特定条件下において、特定時間ごとに得られるGレーザ光8bのビーム強度分布を、1画素分重ねて示したものである。図11は、この各時間のビーム強度分布を重ね合わせて得られる1画素分の積分光量分布を示し、感光体5にはこの積分光量分布に基づいた露光が行われる。このように、レーザ光源12から射出される1画素分のGレーザ光8bは、AOM24での上記変調により、主走査方向Xに関する広がりが抑制される。
【0030】
Rレーザ光8a及びBレーザ光8cは、それぞれR半導体レーザ14及びB半導体レーザ16の発振を直接オン/オフするとともに、駆動電流を制御することによって変調(直接変調)され、感光体5の露光面に投影される。露光面での各レーザ光8a〜8cのスポット径を等しくした場合、Gレーザ光8bの積分光量分布が主走査方向Xに関して狭小化される効果を有するのに対し、Rレーザ光8a及びBレーザ光8cは、R半導体レーザ14及びB半導体レーザ16が画像信号パルス幅に基づいてオン/オフされることで露光時間の制御が行われるので、R及びBの積分光量分布は裾が広く、Gレーザ光8bのように狭小化されることはない。
【0031】
このようにR,G,Bによって積分光量分布が異なると、カラー画像パターンを感光体5に露光した場合、GとR,Bとの間の積分光量分布の差異に起因して、現像後の色が滲むことがある。これを防止するため、走査露光装置4は、レーザ光源11,13に対して、強度変調あるいはパルス幅変調のいずれかを行い、R及びBの積分光量分布を補正する。これにより色間差の低減が可能となる。
【0032】
強度変調の場合には、図12に示すように、R,G,Bの各色において画像信号パルスのデューティを等しく保ったまま(T1=T2)、直接変調されるRレーザ光8a及びBレーザ光8cのビーム径D2を、音響光学変調されるGレーザ光8bのビーム径D1より小さい適宜の値に設定される。これにより、主走査方向Xに関するGの積分光量分布幅w1と、R,Bの積分光量分布幅w2とがほぼ等しくなるように補正される。
【0033】
パルス幅変調の場合には、図13に示すように、R,G,Bの各色においてビーム径を等しく保ったまま(D1=D2)、直接変調されるRレーザ光8a及びBレーザ光8cの画像信号パルスのデューティT2を、音響光学変調されるGレーザ光8bの画像信号パルスのデューティT1より小さい適宜の値に設定される。ここで、レーザ光8a〜8cの各画像信号パルスの周波数はほぼ等しくしている。これにより、主走査方向Xに関するGの積分光量分布幅w1と、R,Bの積分光量分布幅w2とがほぼ等しくなるように補正される。
【0034】
次に、図14に示すように、音波波束33の伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとを同方向にしたときの特性を、伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとが逆方向である上記実施形態との比較例として説明する。伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xが同方向の場合、図15に示すように、感光体5の露光面に投影されたGレーザ光8bの1画素分の投影領域(図中でハッチングを施した領域)は、1画素分の走査幅Wとほぼ同等な広がりを有する。これは、上記実施形態とは逆に、変調開始時(t0〜t3)には変調部分が主走査方向の後方側に投影され、変調終了時(t4〜t7)には変調部分が主走査方向の前方側に投影されるためである。
【0035】
これにより、図16に示すように、音波波束33の伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとが同方向の場合は、逆方向の場合と比べ、Gレーザ光8bの主走査方向Xに関する1画素分の積分光量分布は裾が広がる。また、図17は、感光体5として銀塩感材を用いて1画素分の露光を行い、現像した場合の主走査方向Xに関する濃度分布を示す。このように、伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとが逆方向の場合は、同方向の場合と比べて、濃度分布が鋭く狭小化していることが分かる。
【0036】
また、連続した複数画素の走査露光を行ったとき(例えば300DPIの解像度とする)、図18に示すように、伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとが逆方向の場合は、同方向の場合と比べて、画素間の光量レンジに1桁程度の差が発生する。図19は、感光体5として銀塩感材を用いて連続した複数画素の走査露光を行い、現像した場合の記録画像の主走査方向Xに関する濃度分布を示す。このように、伝搬方向P(投影方向P″)と主走査方向Xとが逆方向の場合は、同方向の場合と比べて、コントラストが高く、鮮鋭度が向上する。
【0037】
上記実施形態において、Gレーザ光8bを外部変調器としてのAOM24によって音響光学変調を行い、Rレーザ光8a及びBレーザ光8cを直接変調するようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、Rレーザ光8a及び/又はBレーザ光8cをAOMを用いて音響光学変調するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態において、Gレーザ光8bのレーザ光源12を半導体レーザ励起型固体レーザとSHG素子とを組み合わせてなるSHGレーザとし、Rレーザ光8a及びBレーザ光8cのレーザ光源11,13を半導体レーザとして構成したが、本発明はこれに限られるものではなく、各レーザ光8a〜8cのレーザ光源として、半導体レーザ、固体レーザ、ガスレーザ等の各種レーザ光源を用いることができる。
【0039】
さらに、上記実施形態において、R,G,Bに関する3種類のレーザ光源11〜13を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、レーザ光源の数、各レーザ光の波長、及び音響光学変調するレーザ光源などは適宜変更してよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】レーザプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】レーザ光の主走査方向及び副走査方向を示す概略図である。
【図3】走査露光装置の構成を示す平面図である。
【図4】音響光学変調素子の構成を示す概略図である。
【図5】音波波束の伝搬方向とレーザ光の主走査方向との関係を簡易的に示す平面図である。
【図6】Gレーザ光が音響光学変調素子の音波波束によって変調される様子を説明する図である。
【図7】ビーム径の定義を説明する強度分布図である。
【図8】1画素分のGレーザ光のビーム強度の時間変化を示す図である。
【図9】1画素分のGレーザ光の露光面への投影図である。
【図10】特定時間ごとに得られるGレーザ光のビーム強度分布を重ねて示した図である。
【図11】1画素分のGレーザ光の積分光量分布を示す分布図である。
【図12】R及びBレーザ光の強度変調を説明する図である。
【図13】R及びBレーザ光のパルス変調を説明する図である。
【図14】音波波束の伝搬方向と主走査方向とを同方向にした比較例を示す平面図である。
【図15】図14の比較例における1画素分のGレーザ光の露光面への投影図である。
【図16】1画素分のGレーザ光の積分光量分布に関する本実施形態と比較例との差異を示す分布図である。
【図17】1画素分の濃度分布に関する本実施形態と比較例との差異を示す分布図である。
【図18】連続した複数画素分のGレーザ光の積分光量分布に関する本実施形態と比較例との差異を示す分布図である。
【図19】連続した複数画素分の濃度分布に関する本実施形態と比較例との差異を示す分布図である。
【符号の説明】
【0041】
2 レーザプリンタ
3 画像処理部
4 走査露光装置
5 感光体
8a 赤色レーザ光(第2レーザ光)
8b 緑色レーザ光(第1レーザ光)
8c 青色レーザ光(第2レーザ光)
11 レーザ光源(第2光源)
12 レーザ光源(第1光源)
13 レーザ光源(第2光源)
14 赤色半導体レーザ
16 青色半導体レーザ
21 半導体レーザ励起型固体レーザ
22 2次高周波発生素子(波長変換素子)
24 音響光学変調素子
24a 結晶体
24b トランスデューサ
29 ポリゴンミラー(偏向器)
33 音波波束


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を射出する第1光源と、この第1光源から射出された前記第1レーザ光の伝搬方向とほぼ垂直な方向に超音波を通過させることによって前記第1レーザ光の強度変調を行う音響光学変調素子と、この音響光学変調素子から射出された前記第1レーザ光を偏向して被走査面上の所定方向に走査する偏向器とを備えた走査露光装置において、
前記被走査面上へ仮想的に投影された前記超音波の伝搬方向が、前記偏向器による前記第1レーザ光の走査方向に対して逆向きであることを特徴とする走査露光装置。
【請求項2】
前記第1光源は、半導体レーザ励起型の固体レーザと、この固体レーザから射出されたレーザ光を波長変換する波長変換素子とからなることを特徴とする請求項1記載の走査露光装置。
【請求項3】
前記第1レーザ光とは異なる波長の第2レーザ光を射出する第2光源が設けられており、前記偏向器によって前記被走査面上の前記所定方向に走査されることを特徴とする請求項1又は2記載の走査露光装置。
【請求項4】
前記第2光源は、半導体レーザからなることを特徴とする請求項3記載の走査露光装置。
【請求項5】
前記第2レーザ光は、前記第2光源の駆動電流を制御することによって強度変調され、前記被走査面上における前記第2レーザ光のスポット径を、前記第1レーザ光のスポット径より小さくしたことを特徴とする請求項3又は4記載の走査露光装置。
【請求項6】
前記第2レーザ光は、前記第2光源の駆動電流を制御することによって強度変調され、前記被走査面上における前記第2レーザ光のスポット径と前記第1レーザ光のスポット径とをほぼ等しくしたまま、前記第2レーザ光を変調する画像信号パルスのデューティを、前記第1レーザ光を変調する画像信号パルスのデューティより小さくしたことを特徴とする請求項3又は4記載の走査露光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−53438(P2006−53438A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236086(P2004−236086)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】