説明

走行支援装置

【課題】走行支援装置において、自車両が旋回する場合に、安全に旋回できないことを早期に検出して自車両の走行を支援する技術を提供する。
【解決手段】CCDカメラ8で取得した路面ペイントの種類に基いて、自車両がこれから向かう交差点で右折又は左折の旋回を行う場合に限定できるか否かを判別する(S104)。自車両がこれから向かう交差点で右折又は左折の旋回を行う場合に限定できる場合に、ナビゲーション装置5から取得する交差点の情報と、車速センサ6が送信する自車両の速度と、に基いて、自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かを判別する(S106)。自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えていると判定された場合に、警報を発する(S107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両に搭載されたレーダやカメラを利用して、自車両に衝突する可能性のある障害物との距離や相対速度等の自車両の周辺に関する周辺情報を検出し、当該周辺情報に基いて自車両の障害物との衝突可能性を判別する技術が知られている。このような技術において、自車両の進行方向を考慮して、自車両と障害物との衝突判定を補正し、同判定の精度を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−227122号公報
【特許文献2】特開2006−273231号公報
【特許文献3】特開2005−157564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、交差点における左折や右折等のように自車両が旋回する場合に、自車両の速度が安全に旋回可能な速度でないことを早期に検出して自車両の走行を支援することが望まれる。また、自車両が旋回する進行方向に存在する横断歩道等の障害物通過区域上に歩行者等の障害物が存在する場合に、障害物を早期に検出して自車両の走行を支援することが望まれる。
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、本発明の目的は、走行支援装置において、自車両が旋回する場合に、安全に旋回できないことを早期に検出して自車両の走行を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
自車両の周辺に関する周辺情報に基いて、前記自車両がこれから向かう所定の旋回場所で前記自車両が旋回するか否かを予測する旋回予測手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、前記自車両の走行状態と予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報とに基いて、前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かを判別する速度判別手段と、
前記速度判別手段で前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えていると判定された場合に、警報を発する警報手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置である。
【0006】
本発明によると、自車両が所定の旋回場所で旋回する場合に、自車両が所定の旋回場所に到達する前に、自車両の速度が速すぎて所定の旋回場所で安全に旋回できないことを早期に検出できる。これにより、所定の旋回場所で安全に旋回できないことを早期に警報で知らせ、自車両が安全に旋回できるよう自車両の走行を支援できる。
【0007】
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
自車両の周辺に関する周辺情報に基いた前記自車両の周辺に障害物が存在すると高まる数値を用いて、前記数値が、前記自車両の周辺に障害物が存在するか否かの境界を規定する第1閾値よりも高い場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在すると判定し、前記数値
が、前記第1閾値以下の場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在しないと判定する障害物判別手段を備えた走行支援装置であって、
前記自車両の周辺に関する周辺情報に基いて、前記自車両がこれから向かう所定の旋回場所で前記自車両が旋回するか否かを予測する旋回予測手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報に基いて、前記自車両が旋回する方向に障害物通過区域が存在するか否かを判別する障害物通過区域判別手段と、
前記障害物通過区域判別手段によって前記障害物通過区域が存在すると判定された場合に、前記障害物通過区域を通過する際の、前記自車両の周辺に関する周辺情報に基く前記障害物判別手段の判別について、前記第1閾値を当該第1閾値よりも低い第2閾値に一時的に補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置である。
【0008】
本発明によると、自車両が所定の旋回場所で旋回する場合に、自車両が所定の旋回場所の障害物通過区域を通過する前に、障害物通過区域に障害物が存在することを早期に検出できる。これにより、障害物通過区域に障害物が存在することを、警報で知らせたり、自車両をブレーキ制御したりして、自車両の障害物との衝突を回避するよう自車両の走行を支援できる。
【0009】
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
自車両の周辺に関する周辺情報に基いた前記自車両の周辺に障害物が存在すると高まる数値を用いて、前記数値が、前記自車両の周辺に障害物が存在するか否かの境界を規定する第1閾値よりも高い場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在すると判定し、前記数値が、前記第1閾値以下の場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在しないと判定する障害物判別手段を備えた走行支援装置であって、
前記自車両の周辺に関する周辺情報に基いて、前記自車両がこれから向かう所定の旋回場所で前記自車両が旋回するか否かを予測する旋回予測手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、前記自車両の走行状態と予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報とに基いて、前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かを判別する速度判別手段と、
前記速度判別手段で前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えていると判定された場合に、警報を発する警報手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報に基いて、前記自車両が旋回する方向に障害物通過区域が存在するか否かを判別する障害物通過区域判別手段と、
前記障害物通過区域判別手段によって前記障害物通過区域が存在すると判定された場合に、前記障害物通過区域を通過する際の、前記自車両の周辺に関する周辺情報に基く前記障害物判別手段の判別について、前記第1閾値を当該第1閾値よりも低い第2閾値に一時的に補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置である。
【0010】
本発明によると、自車両が所定の旋回場所で旋回する場合に、自車両が所定の旋回場所に到達する前に、所定の旋回場所で安全に旋回できないことを早期に検出できる。これにより、所定の旋回場所で安全に旋回できないことを早期に警報で知らせ、自車両が安全に旋回できるよう自車両の走行を支援できる。加えて、自車両が所定の旋回場所で旋回する場合に、自車両が所定の旋回場所の障害物通過区域を通過する前に、障害物通過区域に障害物が存在することを早期に検出できる。これにより、障害物通過区域に障害物が存在することを、警報で知らせたり、自車両をブレーキ制御したりして、自車両の障害物との衝突を回避するよう自車両の走行を支援できる。
【0011】
前記所定の旋回場所は、交差点であるとよい。
【0012】
本発明によると、自車両が交差点で旋回する場合に、交差点で安全に旋回できないことを早期に検出して自車両の走行を支援できる。
【0013】
前記障害物は、歩行者であり、前記障害物通過区域は、横断歩道であるとよい。
【0014】
本発明によると、自車両が所定の旋回場所で旋回する場合に、自車両が所定の旋回場所の横断歩道を通過する前に、横断歩道上に歩行者が存在することを早期に検出できる。これにより、横断歩道上に歩行者が存在することを、警報で知らせたり、自車両をブレーキ制御したりして、自車両の歩行者との衝突を回避するよう自車両の走行を支援できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、走行支援装置において、自車両が旋回する場合に、安全に旋回できないことを早期に検出でき、自車両の走行を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係る走行支援装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施例1に係る走行支援装置の制御フローを示す図である。
【図3】実施例1に係る走行支援装置の制御の様子を示す図である。
【図4】実施例1に係る路面ペイントの例を示す図である。
【図5】実施例1に係るカーブRを算出する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
(走行支援装置)
図1に本発明の実施例1に係る走行支援装置1を示す。走行支援装置1は、車両(自車両)に搭載され、この自車両の走行を支援するものである。図1に示す走行支援装置1は、システムECU(Electronic Control Unit)2を備えている。システムECU2は、
電子制御する為のコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイス等
を備えて構成されている。
システムECU2には、スピーカ3、通信装置4、ナビゲーション装置5、車速センサ6、ミリ波センサ7、CCD(Charge Coupled Device)カメラ8、アクセルペダルセン
サ9、ブレーキペダルセンサ10、スロットルアクチュエータ11、及びブレーキアクチュエータ12が接続されている。
【0018】
スピーカ3は、自車両内で例えば警報等の音を出力する。
通信装置4は、ナビゲーション装置5で用いるVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の道路交通情報センタから送信された現況の交通
情報や一般情報等の各種情報を受信する。
ナビゲーション装置5は、データ記憶部5aに道路情報等の地図情報を予め記憶し、自車両の現在地情報を獲得することにより、地図情報を用いて自車両を案内する。地図情報には、これから向かう道路の、前方カーブ形状、前方道路幅、及び交差点の情報等が含まれる。ナビゲーション装置5は、データ記憶部5a、GPSセンサ、方位センサ、CPU、RAM、ROM、操作部、表示部、音声入力部、及び音声出力部等を有する。
車速センサ6は、自車両のホイール部分に取り付けられており、自車両の車輪速度を検出する。
ミリ波センサ7は、レーダ装置であり、自車両の周辺に関する周辺情報、例えば、自車
両の前方の水平方向に存在する対象物までの距離や相対速度や対象物の方向を検出する。ミリ波センサ7は、自車両の前端部に配置され、所定のビーム角の広がりを持ってミリ波を送受信する。
CCDカメラ8は、自車両の周辺に関する周辺情報、例えば、自車両が走行中の右折レーンや左折レーンを特定する路面ペイント、自車両の前方の交差点、路上標識、及び他車両や歩行者といった障害物等の被撮影物を撮影する。
アクセルペダルセンサ9は、自車両のアクセルペダルの踏み込み量を検出する。
ブレーキペダルセンサ10は、自車両のブレーキペダルの踏み込み量を検出する。
スロットルアクチュエータ11は、自車両のエンジンに設けられる電子スロットルバルブであり、自車両のエンジン出力を制御する。
ブレーキアクチュエータ12は、自車両のブレーキを制御する。
【0019】
(走行支援装置の制御)
図2に本実施例に係る走行支援装置1の制御フローを示す。図2に示すように、システムECU2では、まず、図3の(a)位置を走行する自車両で、ナビゲーション装置5による自車両の現在地情報と地図情報とによって、これから向かう交差点までの残距離を取得する(S101)。ここで本実施例では、これから向かう交差点が、本発明の所定の旋回場所に対応する。尚、所定の旋回場所は、自車両が旋回する場所であれば交差点に限られず、1本道のカーブや、分岐地点等であってもよい。
次に、図3の(b),(c),(d)位置を走行する自車両で、CCDカメラ8からこれから向かう交差点までの自車両が走行するレーン(車線)上の路面ペイントの種類を取得する(S102)。路面ペイントの種類としては、例えば図4に示すように、(a)直進、(b)右90°、(c)左90°、(d)直進又は左90°、(e)右45°等の路面ペイントがある。路面ペイントが、本発明の自車両の周辺に関する周辺情報に対応する。尚、当該周辺情報としては、路面ペイントに限られず、CCDカメラ8から路上標識等を取得するものでもよい。
次に、これから向かう交差点で右折又は左折の旋回を行う場合に限定できるか否かを判別する(S103)。例えば、自車両が走行するレーン上の路面ペイントが、右90°、左90°、右45°等であれば、自車両がこれから向かう交差点で右折又は左折の旋回を行う場合に限定できると判断できる。
ここで、S101〜S103のステップを処理するシステムECU2が、本発明の旋回予測手段に対応する。
S103において否定判定された場合には、自車両がこれから向かう交差点で右折又は左折の旋回を行う場合に限定できないので、そのまま走行支援装置1による制御を終了する。
一方、S103において肯定判定された場合には、自車両がこれから向かう交差点で右折又は左折の旋回を行う場合に限定できるので、ナビゲーション装置5から旋回先の交差点の情報を取得する(S104)。ナビゲーション装置5から取得する交差点の情報は、ナビゲーション装置5がデータ記憶部5aに予め記憶しているもので、交差点における、旋回先の道路幅情報、旋回先の道路への旋回角度情報、及び旋回先の道路の勾配情報等の情報である。この交差点の情報が、本発明の予め記憶された所定の旋回場所の地図情報に対応する。
次に、図3の(c)位置又は(d)位置を走行する自車両で、旋回先道路形状に対して、自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かを判別する(S105)。自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かの判断は、交差点における、旋回先の道路幅情報及び旋回先の道路への旋回角度情報に基き、図5に示すように自車両が旋回(ここでは左折)する際に最も緩やかに旋回できるカーブRを算出する。そして、交差点における旋回先の道路の勾配情報と、車速センサ6が送信する自車両の速度と、を考慮し、自車両にかかる遠心力が、安全に旋回可能か否かの境界を規定する閾値を超えるか否かで判断する。この際、アクセルペダルセンサ9からアクセルペダルの踏み込み量を取得
して考慮してもよい。
ここで、車速センサ6が送信する自車両の速度が、本発明の自車両の走行状態に対応する。本発明の自車両の走行状態は、自車両の速度以外のアクセルペダルセンサ9からアクセルペダルの踏み込み量やブレーキペダルセンサ10からブレーキペダルの踏み込み量等のパラメータを考慮するものでもよい。また、S104及びS105のステップを処理するシステムECU2が、本発明の速度判別手段に対応する。
S105において肯定判定された場合には、自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているので、自車両が交差点に進入する前に早期にスピーカ3から警報を発する(S106)。警報を発した後に、ブレーキペダルセンサ10からのブレーキペダルの踏み込み量を取得し、未だ自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超える場合には、さらに大きい警報や連続的な警報等を発するようにしてもよい。これにより、自車両が安全に旋回できるよう自車両の走行を支援でき、自車両は適正な速度で交差点へ進入できる。S106のステップを処理するシステムECU2が、本発明の警報手段に対応する。また、警報手段の警報の発し方は、スピーカ3以外の音出力装置で音を発してもよく、さらにサイン等の音以外の告知を行うものでもよい。
一方、S105において否定判定された場合には、S106のステップを飛ばす。
次に、ナビゲーション装置5から旋回先の交差点に横断歩道が存在するか否かの情報を取得し、旋回先の交差点で、自車両が旋回する方向に横断歩道が存在するか否かを判別する(S107)。横断歩道が、本発明の障害物通過区域に対応する。交差点に横断歩道が存在するか否かの情報が、本発明の予め記憶された所定の旋回場所の地図情報に対応する。そして、S107のステップを処理するシステムECU2が、本発明の障害物通過区域判別手段に対応する。
S107において否定判定された場合には、旋回先の交差点で、自車両が旋回する方向に横断歩道が存在しないので、そのまま走行支援装置1による制御を終了する。
一方、S107において肯定判定された場合には、図3の(c),(e)位置を走行する自車両で、自車両が旋回する方向に横断歩道が存在するので、横断歩道を通過する際の、ミリ波センサ7やCCDカメラ8から取得する情報に基く歩行者判別処理の判別について、通常走行時に設定されている第1閾値を当該第1閾値よりも低い第2閾値に一時的に補正する(S108)。第1閾値や第2閾値は、自車両の周辺に歩行者が存在するか否かの境界を規定する値である。これにより、旋回先の交差点で横断歩道を通過する際の歩行者判別を早期に判断できるようにしている。ここで、ミリ波センサ7やCCDカメラ8から取得する情報が、本発明の自車両の周辺に関する周辺情報に対応する。また、S108のステップを処理するシステムECU2が、本発明の補正手段に対応する。
次に、ミリ波センサ7やCCDカメラ8から取得する情報に基いた、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際に歩行者が存在すると高まる数値を用いて、この数値が、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際に歩行者が存在するか否かの境界を規定するS110で補正された第2閾値よりも高い場合に、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際に歩行者が存在すると判定し、この数値が、第2閾値以下の場合に、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際に歩行者が存在しないと判定する(S109)。この数値の取得方法としては、ミリ波センサ7の反射強度、CCDカメラ8の取得画像情報の処理結果、及びその他のセンサから取得する情報等から得られる。
ここで、S109の処理を通常走行時に行う場合には、S108のステップで補正しない第1閾値を用いて歩行者判別を行う。しかし、本実施例のように旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際だけ、第1閾値よりも低い第2閾値を用いるので、歩行者を短時間に検出でき、後述する回避動作を迅速に行わせることができる。また、本実施例のように第2閾値を用い判断時間を短縮するので、横断歩道上の歩行者の発見が遅れても、歩行者の検出が早期に行える。S109のステップ及び通常走行時に歩行者判別のステップを処理するシステムECU2が、本発明の障害物判別手段に対応する。尚、本実施例では、障害物判別手段は、判別を行う自車両の周辺に存在する障害物を歩行者だけに限定して処理の判断時間をより短縮させるようにしている。しかし、判別を行う障害物は、歩行者
だけに限定しなくてもよく、自転車や動物等でもよい。
S109において否定判定された場合には、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際に歩行者が存在しないので、そのまま走行支援装置による制御を終了する。
一方、S109において肯定判定された場合には、図3の(f)位置を走行する自車両で、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際に歩行者が存在するので、横断歩道に歩行者が存在することを、スピーカ3から早期に警報で知らせたり、スロットルアクチュエータ11及びブレーキアクチュエータ12を自動操作して自車両をブレーキ制御したりする(S110)。自車両のブレーキ制御は、警報を発した後、ブレーキペダルセンサ10からブレーキペダルの踏み込み量を取得し、未だブレーキ制御量が足りない場合に、衝突危険度に応じて強制的に行うようにしてもよい。また、このような制御と共に、自車両における乗員保護制御も同時に行ってもよい。これにより、自車両が横断歩道上の歩行者と衝突することを回避するよう自車両の走行を支援できる。そして、走行支援装置1による制御を終了する。
尚、本実施例では、S108の処理を、旋回先の交差点で自車両が横断歩道を通過する際だけの限られたタイミングで行うので、それ以外の走行中に歩行者判別の判断が緩過ぎてしまうことはなく、警報や自車両のブレーキ制御が不要に作動してしまうことも無い。
【0020】
以上のように走行支援装置1の制御を行うことにより、自車両がこれから向かう交差点で旋回する場合に、自車両が旋回先の交差点に到達する前に、旋回先の交差点で安全に旋回できないことを早期に検出できる。これにより、旋回先の交差点で安全に旋回できないことを早期に警報で知らせ、自車両が安全に旋回できるよう自車両の走行を支援できる。
加えて、自車両がこれから向かう交差点で旋回する場合に、自車両が旋回先の交差点の横断歩道を通過する前に、横断歩道に歩行者が存在することを早期に検出できる。これにより、横断歩道に歩行者が存在することを、警報で知らせたり、自車両をブレーキ制御したりして、自車両が歩行者と衝突することを回避するよう自車両の走行を支援できる。
【0021】
本発明に係る走行支援装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1…走行支援装置、2…システムECU、3…スピーカ、4…通信装置、5…ナビゲーション装置、5a…データ記憶部、6…車速センサ、7…ミリ波センサ、8…CCDカメラ、9…アクセルペダルセンサ、10…ブレーキペダルセンサ、11…スロットルアクチュエータ、12…ブレーキアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺に関する周辺情報に基いて、前記自車両がこれから向かう所定の旋回場所で前記自車両が旋回するか否かを予測する旋回予測手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、前記自車両の走行状態と予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報とに基いて、前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かを判別する速度判別手段と、
前記速度判別手段で前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えていると判定された場合に、警報を発する警報手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
自車両の周辺に関する周辺情報に基いた前記自車両の周辺に障害物が存在すると高まる数値を用いて、前記数値が、前記自車両の周辺に障害物が存在するか否かの境界を規定する第1閾値よりも高い場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在すると判定し、前記数値が、前記第1閾値以下の場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在しないと判定する障害物判別手段を備えた走行支援装置であって、
前記自車両の周辺に関する周辺情報に基いて、前記自車両がこれから向かう所定の旋回場所で前記自車両が旋回するか否かを予測する旋回予測手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報に基いて、前記自車両が旋回する方向に障害物通過区域が存在するか否かを判別する障害物通過区域判別手段と、
前記障害物通過区域判別手段によって前記障害物通過区域が存在すると判定された場合に、前記障害物通過区域を通過する際の、前記自車両の周辺に関する周辺情報に基く前記障害物判別手段の判別について、前記第1閾値を当該第1閾値よりも低い第2閾値に一時的に補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置。
【請求項3】
自車両の周辺に関する周辺情報に基いた前記自車両の周辺に障害物が存在すると高まる数値を用いて、前記数値が、前記自車両の周辺に障害物が存在するか否かの境界を規定する第1閾値よりも高い場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在すると判定し、前記数値が、前記第1閾値以下の場合に、前記自車両の周辺に障害物が存在しないと判定する障害物判別手段を備えた走行支援装置であって、
前記自車両の周辺に関する周辺情報に基いて、前記自車両がこれから向かう所定の旋回場所で前記自車両が旋回するか否かを予測する旋回予測手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、前記自車両の走行状態と予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報とに基いて、前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えているか否かを判別する速度判別手段と、
前記速度判別手段で前記自車両の速度が安全に旋回可能な速度を超えていると判定された場合に、警報を発する警報手段と、
前記旋回予測手段によって前記自車両が旋回すると予測された場合に、予め記憶された前記所定の旋回場所の地図情報に基いて、前記自車両が旋回する方向に障害物通過区域が存在するか否かを判別する障害物通過区域判別手段と、
前記障害物通過区域判別手段によって前記障害物通過区域が存在すると判定された場合に、前記障害物通過区域を通過する際の、前記自車両の周辺に関する周辺情報に基く前記障害物判別手段の判別について、前記第1閾値を当該第1閾値よりも低い第2閾値に一時的に補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置。
【請求項4】
前記所定の旋回場所は、交差点であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記障害物は、歩行者であり、
前記障害物通過区域は、横断歩道であることを特徴とする請求項2又は3に記載の走行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−129013(P2011−129013A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288788(P2009−288788)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】