説明

走行散布作業機

【課題】GPS信号に基づき走行散布作業機の位置情報を得て、隣接位置での重複した農作業を行なうことがないようにした走行散布作業機を提供すること。
【解決手段】GPSより得られる位置情報から機体の直進方位と、旋回開始位置から90度旋回して旋回戻し位置(e地点)に達した後、さらに90度旋回して直進する隣接作業方位を求め、肥料噴管からの粉粒体の散布幅を読込み、求めた直進方位と隣接作業方位から両方位間の移動距離d1を算出し、隣接作業方位から隣接作業方位と旋回戻し位置の移動距離d2を算出し、移動距離d1から隣接作業方位と前記旋回戻し位置の間隔を差し引いて前記間隔(移動距離d1−d2)を算出し、旋回開始位置と旋回戻し位置の間隔(移動距離d1−d2)を位置情報に変換して旋回戻し位置を求め、旋回を開始すると粉粒体散布装置を駆動停止させ、隣接作業位置(f地点)に達すると粉粒体肥料散布装置を駆動開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タンクに収容された粒状肥料や除草剤等の粉粒体を繰出装置で繰り出しながら、噴管によって圃場に散布する走行散布作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前部に散布ブームを左右ローリング自在に支持して設け、この散布ブームから散布する粒状物の散布方向を車幅方向に対して前側又は後側に傾斜させることができるので、機体進行方向に対して直交する方向の水平位置に散布ブームを広げることができない場合に散布ブームを機体の進行方向に対して傾斜させている場合でも、的確に粒状物を散布対象の作物に散布できるという走行散布作業機があり、該走行散布作業機の走行制御を行うためGPSを利用する構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−131880号公報
【特許文献2】特開平9−154355号公報
【特許文献3】特開平9−120314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の発明は、GPSアンテナと受信機を搭載してGPS信号に基づき目標経路と実際の機体位置とがずれている場合には、そのことを表示できる構成を備えている。
また、特許文献2記載の発明は、GPS信号に基づき作業地の外にはみ出した位置で薬剤散布などを行わないようする構成を備えている。
さらに、特許文献3記載の発明は、GPS信号に基づき作業機の車速を測定し、スリップしていても走行散布作業機が設定走行速度で走行できるようにした構成を備えている。
【0005】
そして、圃場での粒状物の散布作業は、散布ブームを左右に展開し、その適宜箇所から噴出する粒状物を圃場に散布するものであり、散布ブームの先端から噴出する粒状物の飛散距離を加えた散布幅に設定されている。
【0006】
このとき、往行程の散布作業から復行程の散布作業に移る旋回走行を行うが、往行程と復行程の間隔が広くなりすぎると無散布状態の区間が存在し施肥効果が薄れ、逆に狭くなりすぎると重複散布となって肥料やけなどの弊害を生じるため、適正間隔で往行程から復行程への移行が望まれる。しかしながら散布肥料は圃場面、作物面からは目視判定し難く、かつ、熟練者といえども散布ブームから更に飛散する粒状物の性状を把握し難いため、散布ブーム長さに加えて該ブーム先端からの飛距離をもって散布幅とするとき、前記散布幅を適正に把握し難く、旋回走行における走行距離の設定に苦慮するものであった。
【0007】
また、散布作業を旋回中も継続する作業形態を採用するときは、旋回操作を行なうために旋回ハンドル操作等を行なうがその旋回に入るタイミングの設定が遅れると、旋回中においても散布作業を継続して行なうため、長尺の散布ブームの先端側が隣接する圃場に達して粒状物を該隣接圃場に撒き散らしたり、該タイミングの設定が早過ぎると、逆に圃場の隅まで散布が行き届かない恐れがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、GPS信号に基づき走行散布作業機の位置情報と散布ブームの長さ情報を得て、隣接位置での重複した散布作業や無散布作業を行なうことがないようにした走行散布作業機を提供することであり、また、旋回中散布の場合において前記の隣接圃場への撒き散らしや圃場端部の無散布部の発生を無くし、効率的な散布作業を行うことができるようにした走行散布作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の課題を解決するために次のような解決手段を採用する。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体上に位置情報と速度情報をGPSから受信できるGPS受信機(78)と車輪(4又は5)への伝動部の回転数を検出する車速センサ(37)と、機体左右方向に伸びる粉粒体噴管(14)から粉粒体の散布を行う粉粒体散布装置(1)を備え、GPSから得られる位置情報から機体の直進方位と、旋回開始位置から90度旋回して旋回戻し位置(e地点)に達した後、さらに90度旋回して直進する隣接作業方位を求め、前記粉粒体噴管(14)からの粉粒体の散布幅(L)を読込み、前記求めた直進方位と隣接作業方位から両方位間の間隔(移動距離d1)を算出し、前記隣接作業方位から該隣接作業方位と前記旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d2)を算出し、算出した前記直進方位と隣接作業方位の間隔(移動距離d1)から前記隣接作業方位と前記旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d2)を差し引いて旋回開始位置(c地点)と旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d1−d2)を算出し、算出した旋回開始位置(c地点)と旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d1−d2)を位置情報に変換して旋回戻し位置(e地点)を求める制御装置(15)を備えた走行散布作業機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、設定した粉粒体散布量または粉粒体の比重に応じて旋回開始位置(c地点)と旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d1−d2)を算出補正して旋回戻し位置(e地点)を求める請求項1記載の走行散布作業機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、GPS受信機78で得た位置情報を検出して走行散布作業機2の旋回制御を行うとき、それぞれの走行散布作業機2に固有の設計値である所定の散布幅(L)により旋回時の次行程進入位置を変更することで、より精度の高い旋回戻し位置が決定ができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、設定した粉粒体散布量または粉粒体の比重を考慮に入れて旋回時の次行程進入位置を変更することができ、より精度の高い旋回戻し位置が決定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による散布装置を備えた走行散布作業機の平面図である。
【図2】図1の散布装置を備えた走行散布作業機の側面図である。
【図3】図1の走行散布作業機の散布装置の左右一対のタンクの背面図(図3(イ))と平面図(一部繰出部断面視図)(図3(ロ))と斜視図(図3(ハ))である。
【図4】図1の散布装置を備えた走行散布作業機の背面図である。
【図5】本発明の肥料散布装置の制御ブロック図である。
【図6】図1の走行散布作業機のGPS受信機と本機コントローラの制御ブロック図である。
【図7】図1の走行散布作業機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図8】図1の走行散布作業機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図9】図1の走行散布作業機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図10】図1の走行散布作業機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図11】図1の走行散布作業機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図12】図1の走行散布作業機の旋回時の走行イメージ図である。
【図13】図1の走行散布作業機の旋回時のフローチャートである。
【図14】図1の走行散布作業機の旋回時のフローチャートである。
【図15】図1の走行散布作業機の旋回時のフローチャートである。
【図16】図1の走行散布作業機の飛散距離の補正量に対する設定施肥量と比重の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいてこの発明の実施態様について説明する。
まず、図1の平面図と図2の側面図に示すように、粒状物散布装置1(以下、粒状物として肥料を例に説明するので肥料散布装置ということがある)は、走行散布作業機2の後部に装着される。前部にエンジン3を搭載し、エンジン回転を適宜に変速して前後車輪4,5を伝動する走行散布作業機2の機体の後部には、左右一対のタンク10,10を装着する。上記粒状物散布装置1は、該タンク10、繰出装置11、送風装置12、第1噴管13、第2噴管(ブーム)14、制御部15(図5)等からなる。但し図2には第2噴管14の図示を省略している。
【0015】
図3に左右一対のタンク10,10の背面図(図3(イ))と平面図(一部繰出部断面視図)(図3(ロ))と斜視図(図3(ハ))を示す。また、図4には粒状施肥装置を装着した走行散布作業機2の背面図を示す。前記一対のタンク10,10のそれぞれに該タンク10から所定量の散布粒剤を繰出す繰出装置11が設けられる。繰出装置11は複数形態のロール20をロール駆動軸21に構成する公知の構成であり、繰出凹部を同じ容量として周方向に複数形成している。第1ロール20a及び第2ロール20bは軸長が長く、第3ロール20c及び第4ロール20dは軸長が短い構成としている。
【0016】
そして、ロール駆動軸21が正転駆動するときは、ワンウェイクラッチ22,22の連動作用をもって第1,第4ロール20a,20dが駆動されるため、第1〜第4ロール20a〜20dの全部が駆動される構成である。逆にロール駆動軸21が逆転駆動するときは、第1,第4ロール20a,20dは停止し、第2ロール20b,又は第3ロール20cが駆動される。
【0017】
一方、前記タンク10内は平面視コ型の仕切壁10aを備え、繰出装置11の第1ロール20a及び第2ロール20bに対応する区画A(図3(ハ))と第3ロール20c及び第4ロール20dに対応する区画B(図3(ハ))とに前記仕切壁10aで区分される構成となっている。区画Aは一般的な施肥粒剤用として、区画Bは少量散布が要求される除草剤用として使用されるよう設けられている。従って、ロール駆動軸21が正転するときは、第1ロール20a及び第2ロール20bが回転連動し区画Aの粒剤が多量繰出状態とされ、逆転するときは区画Aの第2ロール20bのみの繰出し状態となる。なお、区画Bに除草剤を投入するときは、この正逆で繰出量が異なり特に逆転連動によって第3ロール20cのみの少量散布がなされる。
左右一対のロール駆動軸21,21はそれぞれに設けられたロール駆動モータ25L,25Rにて独立して駆動回転される構成であり、これらモータ25L,25Rは正・逆転切り替え連動する構成である。
【0018】
前記一対の繰出装置11,11の下方には機体進行方向に対して後側が互いに斜め内向きに延長された通気筒30,30をのぞませ、該通気筒30,30の連設部は送風装置12を備えた送風筒31(図2)に連通されている。そして各通気筒30,30の下流側他端、即ち機体前方側は第1噴管13に連通接続される構成である。
【0019】
上記送風装置12は、走行散布作業機2のPTO軸32に電磁クラッチ12bを介して連動する送風ファン12aによって構成され、その噴風は前記送風筒31を経由して通気筒30に入り繰出肥料を気流に乗せて移送し第1噴管13,13に至る構成である。
【0020】
前記左右各第1噴管13は、前記タンク10と走行散布作業機2機体の上部に設ける搭乗者用シート33との間の空間部に、筒状の軸芯が平面視において機体進行方向に対し外向きに傾斜するよう前記通気筒30に接続されており、左右それぞれの第1噴管13には蛇腹管40を介して屈曲自在に第2噴管14を接続する。
【0021】
即ち、蛇腹管40の先端に筒体42を設け、該筒体42はアーム体43を介して縦支軸44周りに回動自在に構成され、該アーム体43と機枠側から横に張り出して設ける支持ブラケット34との間に電動式の伸縮シリンダ45を介在し、電動モータ46の正転による短縮によって第2噴管14を作業姿勢となるよう横向きに拡げ、逆転による伸び出しによって第2噴管14を機体に沿う状態に収納する構成である。電動式伸縮シリンダ45による縦支軸44回りの回動支点を支持するブラケット35が機体に設けられている。
【0022】
電動モータ46の逆転に伴い、第2噴管(ブーム)14を機体に沿う状態に収納したとき、縦支軸44回りの回動支点が機体側に接近する位置に配置することによって、収納状態の第2噴管14を機体側に接近させることができるので、平面視において、機体側に設ける昇降ステップ36の内側に収納することができ、収納時の機体への昇降が容易である。
【0023】
なお、電動式伸縮シリンダ45や電動モータ46は後輪5とタンク10との間に配設されている。走行中泥土が跳ね上げられるが、後輪5の内側に位置するため跳ね上げ箇所から回避でき電動式伸縮シリンダ45や電動モータ46への泥土付着による弊害を生じ難い。
【0024】
上記筒体42には横支軸47を設け、第2噴管(ブーム)14はこの横支軸47を介して連結されていて、上記収納姿勢への動きのほか、該横支軸47周りに回動させることによって上下に回動し得る構成である。即ち、左右それぞれの第1噴管13,13に立設するマスト部18,18(図4)と第2噴管14L,14Rとの間に、電動式伸縮シリンダ48L,48Rを設け、該伸縮シリンダ48の伸縮に基づき第2噴管14が本機に対して該横支軸47の回りに上下回動できローリング作動しうる構成である。
【0025】
また、手元の図外の操作レバーの操作に基づき左側又は右側の第2噴管14L,14Rを垂直姿勢(非作業姿勢)又は水平姿勢(作業姿勢)に切り替えることができる。前記第2噴管14には所定間隔毎に所定口径の噴口50,50…を形成している。
【0026】
次に上記構成の肥料散布装置1の施肥用制御部15について説明する。
図5の制御ブロック図に示すように、施肥用制御部15は、ロール駆動モータ25L,25Rのそれぞれに散布スイッチ51(機能は後述する。)の操作情報、ファンスイッチ52による送風ファン12aの駆動情報、前記タンク10に設ける残量センサ54の検出信号等を入力する一方、ロール駆動モータ25L,25Rのそれぞれへモータ回転出力パルス信号、モータ回転方向切替信号等を出力する。
【0027】
なお、散布スイッチ51がONすると、車速の有無に関係なく、左右のモータ25L,25Rの回転出力パルスを予め設定した最低回転数で駆動し、しばらく経って正規に車速が入力されるようになるとモータ回転は車速に連動するよう回転制御される。従って、作業開始時に停止状態であっても少量の散布が行えて無散布区間をなくすことができる。 上記施肥用制御部15は走行散布作業機2の本機コントローラ19(図6)に接続され、後述のGPS速度データや車速センサ37からの速度データを受信できる構成としている。
【0028】
また、施肥用制御部15は、操作パネル(図示せず)に配設するスイッチ類の情報を入力する。図5の制御ブロックで示すが、操作パネルにおける液晶表示部56の近傍には、可変スイッチ57、施肥設定スイッチ58、増・減スイッチ59U,59D、累計リセットスイッチ60を配設し、これらの操作スイッチ信号は施肥用制御部15に入力される構成である。なお、液晶表示部56の表示内容は、施肥剤(又は除草剤)の散布に関する施肥量設定値、比重値、メモリー値、累計値をそれぞれ表示でき、表示切換スイッチ61のオン操作で順次切換表示すべく出力される。
【0029】
施肥用制御部15への入力により自動(制御)モードが作動する。即ち、キースイッチ62(図5)をオンすると共に前記散布スイッチ51をオンすると自動モードに入る。この自動モードは、単位面積当たりの施肥量が一定になるよう、施肥量設定値および車速に対応して繰出装置11のロール20を駆動する前記ロール駆動モータ25L,25Rそれぞれにモータ回転出力パルス(ロール駆動モータ回転信号)を出力する構成である。
【0030】
作業開始前に施肥設定スイッチ58をオンして現在設定の施肥量(反当り施肥量(kg))を表示させ、これからの作業に見合う施肥量であるか否か確認し、相違するときは増スイッチ59U又は減スイッチ59Dによって1kg単位で変更し、再度施肥設定スイッチ58を所定時間以上(例えば2秒以上)オンするとその値A(kg)が記憶される。
【0031】
次いで比重設定を行なう。表示切換スイッチ61をオンして「比重」を選択すると、現在の設定値が表示される。これからの作業に見合う比重値であるか否か確認し、相違するときは増スイッチ59U又は減スイッチ59Dによって0.01単位で変更し、再度施肥設定スイッチ58を所定時間以上(例えば2秒以上)オンするとその値D(g/cm3)が記憶される。
その後施肥用制御部15は、車速データを取り込みながら設定施肥量を散布するに必要な繰出装置11の繰出量制御を行う構成である。繰出量の増減制御は肥料散布量算出手段17により繰出ロール20の回転数を制御して行う。
【0032】
左ブーム散布レバー53Lと右ブーム散布レバー53Rにより、それぞれ左右の第2噴管14L,14Rが肥料又は除草剤の散布を行うために各第2噴管14L,14Rを肥料(又は除草剤)の散布すべき位置に移動させる。
前記図3の繰出装置11は、第1、第2の大ロール20a,20b、及び第3、第4の小ロール20c,20dからなり、通気筒30内における粉粒状物の繰出性の向上を図った改良構成を示すものである。すなわち、大ロール20a,20bと小ロール20c,20dによる散布を同時に行うことが可能であるが、このとき、タンク10内の仕切壁10a内に少量散布の除草剤を充填し、タンク10には大量散布の肥料を充填する。除草剤は比重が大で重く、大量散布の肥料は比較的比重の軽い成分からなっているため、通気筒30内における送風搬送の先側に除草剤を繰出させ、後側に肥料を繰出すように構成している。このように構成することにより詰りを少なくさせることができる。
【0033】
図6に示すように、走行散布作業機2の前記本機コントローラ19にはGPS受信機78が接続される。該GPS受信機78は、複数のGPS衛星からの信号を受信し、走行散布作業機2の現在位置データとして記憶すると共に、時計回路で計測する所定時間毎に現在位置データを更新しながら移動距離を算出し、該時計回路による所定時間おきに速度、即ち車速を本機コントローラ19にある車速算出手段16により算出する構成としている。
【0034】
走行散布作業機2に搭載して車速に連動して肥料を散布する肥料散布装置1において、設定施肥量と車速、散布剤の比重、散布幅設定、繰り出し用のロール20の単位吐出量等によりロール20の回転数を計算し、該ロール20a〜20dを左右に2セット設け、それぞれのロール20a〜20dを個別にモータ25L,Rで駆動して回転数制御を行うとき、走行散布作業機2には、GPS受信機78と車速センサ37を搭載し、施肥装置の施肥制御部15と前記本機コントローラ19とを接続することによって、GPS受信機78から得られる速度情報を車速算出手段16により車速としてロール回転数の計算に使用し、走行開始時にGPSからの速度情報が得られるまでは車速センサ37からの信号により車速を計算して使用する構成とする。
【0035】
なお、前記GPS受信機78はGPSからの車両速度情報と位置情報を得ることができる。このとき、第2噴管(ブーム)14を左右に広げて肥料などの散布を行うが、肥料などを搬送する送風ファン12aの動力は走行散布作業機2のPTO軸32からとり、施肥量設定値に基づき、走行散布作業機2の車速に応じて肥料繰り出し用のモータ25の回転速度(回転数)を変更する。
【0036】
前記肥料散布中にGPS受信機78からの車速データが得られないときは、車体のミッションケース内の走行伝動軸に組み込むギヤの歯数カウントにより車速パルスを出力する車速センサ37の該パルス出力を読み込んで車速計算を行い、その車速をロール回転数計算に使用する。
【0037】
また、GPS位置情報から速度計算ができるようになると、車速センサ37で得られる車速を補正し、該補正値(VS’)を次式から求め、前記GPSからの速度情報で得られた車速として用いる。
VS’=N×K×(1−VS/VG)
ここで、N:車輪の回転数、K:係数、VS:車速センサ37での車速測定値(平均値)、VG:GPSで得られる車速)である。
なお、ここで(1−VS/VG)は車輪が回っているが肥料散布装置1が前に進まないスリップ状態を表し、(1−VS/VG)×100をスリップ率とする。
【0038】
図7に以上の場合の車速制御時の肥料の繰り出しモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。また、図7等のフローチャートで「ロール判定」とあるのは設定した施肥量に応じて肥料の繰出量を変化させるために、図3のロール20a〜20dのうちのどれを使用するかを予め決めているので、それを識別するステップである。
【0039】
こうして、肥料などの散布途中でGPSからの車速データが得られなくなっても、GPS受信機78が捉えてGPS位置情報から速度計算ができるまでの間は、肥料散布スイッチ51がオンとなると、すぐに車速センサ37の測定値に基づき肥料の散布作業を行うことができる。
また、前記GPS受信機78からの車速データから得られる平均値と車速センサ37から得られる車速データの平均値を比較して補正係数(スリップ率)を求めて、その補正係数に基づいて補正車速を計算し、その車速でロール回転数を精度高く制御できる。
【0040】
なお、一定時間が経過してもGPSから車速情報が得られない時はブザー72で異常警報を出力する構成とする。
また、肥料の散布中にGPSからの車速情報が得られなくなった場合は、制御装置15のメモリに記憶している前回までの車速データを読み出し、該車速データに基づき繰り出しロール20の回転数を計算することで、肥料散布途中にGPSからの速度情報が得られなくなった場合でも作業を継続することが可能になる。
なお、前記前回までの車速データとは、肥料散布中にGPS受信機78からの速度情報から車速を計算したときの車速をメモリ内に保存しておいた車速データである。
【0041】
また、GPSからの車速情報を前記メモリに記憶しておき、GPSからの速度情報が得られないときの車速センサ37からの計算車速を補正する構成としても良い。この場合も、肥料散布途中にGPSからの速度情報が得られなくなっても肥料の散布作業を継続することが可能になり、かつ記憶しているGPS速度情報で車速パルスからの計算速度を補正することで速度の精度が向上する。
【0042】
なお、GPSからの速度情報が得られるようになると、当然、このGPSからの車速データを加味して補正した車速を求める。図8にこの場合の車速制御時の肥料の繰り出しモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。
【0043】
前記のように、(1−VS/VG)×100で得られるスリップ率を基に車速計算を行い、車速センサ37による車速計算時に、そのスリップ率を使用して車速計算を行う構成とすると、高精度の車速を算出できる。
【0044】
なお、スリップ率は、一定時間毎にGPSからの速度情報の平均値(VGA)と車速パルスからの車速測定値(VS)から算出し、その値で車速センサ37からの計算速度を補正することでより精度の高い車速が得られる。図9にスリップ率を求めた後に肥料繰り出し用のロール20のモータ回転出力を算出するフローチャートを示す。
【0045】
このように、GPS速度情報からの速度をそのまま使用しないため、廉価なGPS受信機78で構成可能になり、またGPS速度情報が検出できないときや誤差変動の影響を少なくすることができる。
【0046】
また、前記スリップ率が一定値(例えば20%)以上になった時は、該一定値に置き換えて車速計算を行う。これは、スリップ率が大きく、速度変化(車速遅くなる)してしまうので、車速に比例する肥料の散布量が適正でなくなる。そのため、スリップ率に制限をかけることにより、大きな速度変化を抑えて、ロール回転数の大きな変動を抑えることができる。
【0047】
また、前記スリップ率を考慮して肥料散布をしている途中でGPSからの車速情報が得られなくなったときはブザー72で警報を発して予め決めているスリップ率で車速を求め、該車速に基づき施肥量を決める。図10に、この場合の車速制御時の肥料繰出用のモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。
【0048】
また、肥料散布をしている途中でもGPSからの車速情報は得られるが、一定時間以上車速センサ37からの信号が得られなくなったときは車速センサ37が異常である旨の警報を発してオペレータにブザー72で異常を知らせ、該GPSから得られた車速に基づき施肥量を決める。図11にこの場合の車速制御時の肥料の繰り出しモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。図11のフローに示すように、車速センサ37に故障があると、それ以後はスリップ率を計算しないで車速を求める。
【0049】
前記図10,図11に示すフローではブザー72で警報を発することで、オペレータは異常を知ることができるので、それ以降の肥料散布作業状態を知り、その対策を講ずることができる。
【0050】
本実施例の走行散布作業機2の施肥用制御装置15は図12に走行散布作業機2の旋回時のイメージ図を示すように、圃場のa地点にいた走行散布作業機2が直進してb地点を経由して畦際などのc地点に達した後、180度旋回してf地点で隣接作業方位を向いて肥料などの散布作業を再開する場合に、180度旋回前の走行散布作業機2の所定の散布幅(L)を維持しながら、散布幅(L)が重複しないように肥料を散布できるように旋回後の散布開始位置(f地点)に走行散布作業機2を移動させることができる。
【0051】
このとき、走行散布作業機2が肥料などの散布中であるとGPSから走行散布作業機2のいる地点の位置情報を読み取り、次いで、図12に示すa地点からb地点へ移動する方向を直進する進行方位であるとして方位角(θa)を読みとる。
【0052】
なお、前記方位角θaは、a地点の経度・緯度情報と進行後のa’地点の経度・緯度情報に基づき、進行方向を特定すると共に、方位角θaを読む。すなわち、所定時間間隔でGPS信号を入力している前提で地点aの座標を読み所定時間後の地点a’の座標を確認した時点で方位角を算出し、その算出時点でのa’地点で得られた方位角が「θa」となる。この進行方位θaに対し、隣接作業位置方位θfは180°の方向であり、方位角θf=θa+180°により算出する。
【0053】
次いで進行方位(θa)と平行な方位である前記f地点の隣接作業方位として方位角(θf)を入力する。さらに走行散布作業機2の肥料などの所定の散布幅(L)を入力し、c地点とf地点との間の走行散布作業機2の直進方向に直交する方向の距離d1を上記散布幅(L)から算出し(d1≒L)、次に走行散布作業機2の平均旋回半径d2として予め入力している設定数値を読み取る。前記平均旋回半径d2はf地点に至る前の90度の旋回前の位置であるe地点(旋回戻し位置)とf地点との間の走行散布作業機2の直進方向に直交する方向の距離d2に相当する。
なお、上記の散布幅Lは、左右噴管の両端間距離Lsに左右噴管先端からの粒状物飛散距離Lmを加えた長さである(L=Ls+2Lm)。
【0054】
走行散布作業機2が旋回時に移動するこれらの距離d1、d2及び(d1−d2)を算出するために図12に示すa地点〜f地点の各地点の位置情報(緯度と経度)を求めておく。なお、2つの地点の緯度と経度から2つの地点間の距離を算出する場合は、緯度と経度を2次元座標のX軸とY軸に取り、特定のX軸上とY軸上の各位置情報の交点に距離を表示しておくテーブルを予め用意しておく。例えばc点の緯度経度を(Xc,Yc)、e点の緯度経度を(Xe,Ye)とすると、2点間距離F(L)=m(F(Xc,Yc)−F(Xe,Ye))で表わす。ここで、Fは関数、mは定数を表わす。
【0055】
こうして図12に示すc地点に達する前までにe地点(旋回戻し位置)の座標上の位置が容易に決定できるので、図12に示すa地点からc地点に達したことをオペレータに表示パネルなどの文字又は音声表示等で認識させながら走行散布作業機2の畦際などでの旋回を開始する。旋回開始をすると散布タンク10に設けた肥料繰出ロール駆動モータ25L,25Rの回転出力をオフとし、散布作業を中止し(本実施例ではa地点からc地点までの間は肥料を散布し、c地点からf地点までの間は散布しない。
【0056】
なお、旋回中も継続して散布する場合もあるが、e地点での切換えは行なわない。)、旋回と直進によりe地点(旋回戻し位置)に達したことがGPSからの受信信号により検知出来ると、ブザーを鳴らして旋回後の散布開始位置(f地点)を決定して旋回戻し位置を表示する。該旋回後の散布開始位置(f地点)は、例えば図12を表示パネルに表示することで行う。次いでe地点(旋回戻し位置)から90度旋回を行い、旋回後の散布開始位置(f地点)に到達すると旋回を終了して散布タンク10に設けた肥料繰出用モータ25の回転出力をオンして肥料などの散布作業を再開する。
【0057】
この場合の制御フローチャートを図13に示す。
走行散布作業機による粉粒体の散布中に地点a付近に達すると、GPSから読み取った位置情報(経度・緯度情報)から直進2点間の移動により進行方位としての方位角θaを判定する(S1〜S3)。ついで方位角θaに角度90°を加算して旋回方位の方位角θdを、角度180°を加算して隣接作業方位の方位角θeを算出する(S4,S5)。さらに予め設定入力してある散布幅Lm、設定施肥量A、比重σを読み込む(S6〜S8)。
【0058】
次いで、隣接作業位置との距離d1を、d1=(L/2)+(L/2)−αとして算出し(S9)、旋回戻し移動距離d2、旋回開始からの移動距離(d1-d2)をそれぞれ算出する(S10,S11)。なお、ここで、d2≒機体旋回半径、αは隣接作業における散布重複幅とする。
ここまでの処理はc地点に到達するまでに行う。そしてc地点においてオペレータの判断で旋回操作を行なうが、図外旋回センサからの旋回角度出力により、旋回開始の判定を行い(S12)、同時に繰出モータ回転出力をOFFにする(S13)。
【0059】
旋回開始判定と同時に、地点cの位置情報を読み込み(S14)、e地点の位置情報(経度・緯度情報)を算出し、それをe地点(旋回戻し位置)とする(S15,16)。すなわち、c地点であることの判定を行なった後、旋回戻し位置、すなわちe地点の座標(経度・緯度情報)を算出し、これを目標に機体を進行させ、e地点であることが判定されると、旋回戻し操作を行なう。
【0060】
そして、機体の進行方向が前記の旋回方位θdであるか否か判定しながら直進し(d地点からe地点)(S17)、戻し位置(e地点)に達するとブザーオンしてオペレータにその旨を報知し、戻し旋回操作を促す(S18〜S20)。
【0061】
機体の戻し旋回途中で、隣接作業位置情報(f地点の経度・緯度情報)を呼び出すと共に(S21)、表示画面などに隣接作業位置(f地点)を表示する(S22)。オペレータは表示画面を見ながら、旋回操作してGPSからの信号に基づき機体が隣接方位θfに達したか否かが判定され、この隣接方位に達することで、即ち旋回終了と判定するものである。旋回終了と共にロール繰出モータ25L,25Rには回転出力がなされ、駆動を行い散布作業を再開する。
【0062】
なお、車速に連動して肥料タンク10から肥料を散布する場合は設定施肥量、車速、散布剤の比重、散布幅設定及び繰出しロール20の単位吐出量等により繰出しロール20の回転数を計算し、繰出しロール20を左右に2セット設け、それぞれの繰出しロール20を個別に駆動モータ25で駆動して回転数制御を行うことができる。
【0063】
また、GPS受信機78から得られる速度情報を車速としてロール回転数算出の計算に使用するとき、粉状物散布中の位置情報(緯度、経度)に基づき、旋回後の位置情報(緯度、経度)を算出し、旋回時の次行程への旋回戻し位置(図12のe地点)をオペレータに知らせるとき、前記旋回戻し位置を設定散布幅(L)の長さに応じて変更することもできる。
【0064】
こうして、GPSで位置情報を検出して旋回制御を行うとき、走行散布作業機2により決まっている所定の散布幅(L)により旋回時の次行程進入位置を変更することにより、より精度の高い旋回戻し位置(e地点)が決定ができる。
【0065】
上記GPS受信機78と車速センサ37を搭載し、GPS受信機78から得られる速度情報を車速として散布タンク10のロール回転数算出の計算に使用するとき、肥料散布中の速度情報からスリップ率を算出し、旋回時の次行程への旋回戻し位置(走行距離)を計算するときの車速センサ37による計算車速をそのスリップ率で補正することで、より精度の高い肥料等の散布ができる。
【0066】
この場合の制御フローチャートを図14に示す。
走行散布作業機2が肥料散布作業中である場合に、車速パルス(車速センサ37の測定値)を用いて車速平均値(VS)(実測値の平均値)を計算し、走行散布作業機2の散布幅(L)を読み込み、GPSから走行散布作業機2の位置情報を読み取り、GPS受信機78で得られた車速(VG)からその平均値(VGA)を算出し、VGAとVSから得られるスリップ率(1−VS/VGA)をステップaで算出する。
【0067】
得られた前記スリップ率で補正して旋回時の走行距離を算出するために、ステップbで旋回が始まると、再び車速パルス(車速センサ37の測定値)を用いて旋回時の車速平均値(VS)を計算し、前記ステップaで得られたスリップ率で補正した旋回時の走行距離(走行距離(d1−d2))を求め、旋回戻し位置(図12のe地点)に来ると、ブザー72で警報を発し、表示部56に表示させ、旋回が終了すると繰出ロール20の駆動を再開して直進しながら肥料を散布する。
【0068】
このように、図14のフローチャートによる制御では旋回時の走行距離を計算するときに、走行中のGPS速度情報から計算したスリップ率を使用することで走行距離の計算精度が向上し、適切な旋回が可能となる。
【0069】
また、第2噴管14を左右に広げて肥料の散布を行う。肥料を搬送する送風ファン12aの動力は本機のPTO駆動軸32からとり、左右に広げた第2噴管14から散布する施肥量設定値Aと肥料の比重σに基づき、旋回戻し位置を補正する構成とすることができる。図15にこの場合の制御のフローチャートを示す。即ち、このフローチャートのうち、「散布幅判定」は以下の次のように行なわれる。設定施肥量A及び比重σを読み出し、飛散距離Lmを次式に当てはめて算出する。
Lm=Ls+f(A,σ)
ここでLsは基準飛散距離、f(A,σ)は設定施肥量Aと比重σに基づく関数で、飛散距離の調整距離である。
【0070】
また、上記のように設定施肥量Aと比重σの関数によって微調整量ΔLm(=f(A,σ))を算出したが、これに代えて、飛散距離Lmの微調整量ΔLmを任意に手動設定できる構成としてもよい。これを旋回調整入力として読込み、旋回戻し位置を補正する構成とすることもできる。
なお、飛散距離Lmの補正量に対する設定施肥量Aと比重σの間には図16に示すような関係がある。
こうして散布領域の重複や未散布領域の発生に対して精度の高い肥料散布領域の調整ができる。
【0071】
なお、図15には図示していないが走行散布作業機2の走行時のスリップ率で補正した車速に応じて繰出しロータ駆動モータ25の回転速度(回転数)を制御することができる。
【0072】
GPS受信機28から得た速度情報から前記旋回戻し位置情報を始め、隣接作業位置などの各種の位置情報を算出して、旋回時の走行制御をする際に、肥料散布時の前記位置情報(緯度、経度)を圃場位置情報として設定施肥量データ等とともに不揮発メモリに記憶しておくと、これを参照しながら走行散布作業機2が散布走行中の複数の位置情報により圃場位置を取得して、圃場の位置を判定する際の精度を向上させることができる。
【0073】
同様に散布作業中に異常が発生したときの位置情報(緯度、経度)を不揮発メモリに記憶し、この情報を基に作業再開時に圃場における位置の判定を行い、表示部に表示するとともにブザー出力で知らせる構成とすると、作業再開時にその位置から散布を行うことができ、無散布の区間をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、粒状物散布装置1を備えた肥料などを散布する走行散布作業機2に限らず、他の肥料などを散布する作業車にも利用可能性がある。
【符号の説明】
【0075】
1 粒状物散布装置 2 走行散布作業機
3 エンジン 4 前輪
5 後輪 10 タンク
10a 仕切壁 11 繰出装置
12 送風装置 12a 送風ファン
12b 電磁クラッチ 13 第1噴管
14 第2噴管(ブーム) 15 制御部(コントローラ)
16 車速算出手段 17 肥料散布量算出手段
18 マスト部 19 本機コントローラ
20 ロール 21 ロール駆動軸
22 ワンウェイクラッチ 25 ロール駆動モータ
30 通気筒 31 送風筒
32 PTO軸 33 搭乗者用シート
34 支持ブラケット 35 ブラケット
36 昇降ステップ 37 車速センサ
40 蛇腹管 42 筒体
43 アーム体 44 縦支軸
45 伸縮シリンダ 46 電動モータ
47 横支軸 48 電動式伸縮シリンダ
49 傾斜センサ 50 噴口
51 散布スイッチ 52 ファンスイッチ
53 ブーム散布レバー 54 タンク残量センサ
56 液晶表示部 57 可変スイッチ
58 施肥設定スイッチ
59U,59D 増・減スイッチ
60 累計リセットスイッチ
61 表示切換スイッチ 62 キースイッチ
72 ブザー 78 GPS受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体上に位置情報と速度情報をGPSから受信できるGPS受信機(78)と車輪(4又は5)への伝動部の回転数を検出する車速センサ(37)と、機体左右方向に伸びる粉粒体噴管(14)から粉粒体の散布を行う粉粒体散布装置(1)を備え、
GPSから得られる位置情報から機体の直進方位と、旋回開始位置から90度旋回して旋回戻し位置(e地点)に達した後、さらに90度旋回して直進する隣接作業方位を求め、
前記粉粒体噴管(14)からの粉粒体の散布幅(L)を読込み、
前記求めた直進方位と隣接作業方位から両方位間の間隔(移動距離d1)を算出し、
前記隣接作業方位から該隣接作業方位と前記旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d2)を算出し、
算出した前記直進方位と隣接作業方位の間隔(移動距離d1)から前記隣接作業方位と前記旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d2)を差し引いて旋回開始位置(c地点)と旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d1−d2)を算出し、
算出した旋回開始位置(c地点)と旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d1−d2)を位置情報に変換して旋回戻し位置(e地点)を求める制御装置(15)を備えたことを特徴とする走行散布作業機。
【請求項2】
設定した粉粒体散布量または粉粒体の比重に応じて旋回開始位置(c地点)と旋回戻し位置(e地点)の間隔(移動距離d1−d2)を算出補正して旋回戻し位置(e地点)を求めることを特徴とする請求項1記載の走行散布作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−233461(P2010−233461A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82217(P2009−82217)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】