説明

走行車輌

【課題】不整地を高速で走行する走行車輌ではブレーキ装置の冷却が重要であり、従来は、減速装置で回転するギア等によって油溜まりの潤滑油を飛散させ、少しずつ連絡通路を伝わせてブレーキ装置に供給して冷却していたが、供給効率が低く、ブレーキ装置に対する十分な冷却効果が得られない、という問題があった。
【解決手段】駆動入力軸11の外周側面に吐出口20を開口し、該吐出口20に連通する冷却油路18を前記駆動入力軸11に内設しており、該冷却油路18にはリダクションケース17内の油を導入手段25を介して供給し、前記吐出口20からブレーキ装置12に向かって油を吐出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荒れ地や草地、砂地、河原、圧雪された雪上など条件を選ばず走行可能なバギー車などの走行車輌に関し、特に、走行車輌におけるブレーキ装置の冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高速で使用され車軸への入力回転数が高い走行車輌においては、車軸への駆動入力軸にブレーキ装置が周設され、該ブレーキ装置、特にその構成部材である回転摩擦板は駆動入力軸と一緒に回転し、走行中は、該回転摩擦板によって下方の潤滑油が高速で攪拌され、潤滑油の攪拌抵抗による熱が発生する。更に、ブレーキ作動時には、回転摩擦板と固定摩擦板との間の摩擦抵抗による熱も発生する。このため、走行車輌のブレーキ装置を効果的に冷却するための技術が強く求められている。
そこで、例えば特許文献1に示すように、ブレーキ装置を収納するブレーキハウジングと減速装置等を収容するリダクションケースとの間に、上下部の連絡油路を設けた上で、該減速装置を構成するギア等の回転体の回転によって、リダクションケース内の油溜まりの潤滑油を攪拌し飛散させ、この飛散した潤滑油の一部は、前記上部連絡油路を通ってブレーキハウジングの上部に進入してブレーキ装置を冷却し、その後、ブレーキハウジングの下部に流下し、前記下部連絡油路を通って再びリダクションケース内の油溜まりに還流される、という技術が公知となっている。
【特許文献1】特許第3052075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記油溜まりから飛散した潤滑油の大部分は、強い遠心力によってリダクションケースの内壁に衝突した後、そのまま下方に流下して油溜まりに戻るため、前記上部連絡油路を伝ってブレーキハウジング内に進入する潤滑油は極めて少なく、その結果、ブレーキ装置に対する十分な冷却効果が得られない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジンと、該エンジンに駆動連結され車両の前後方向に延設される駆動入力軸と、該駆動入力軸に周設されるブレーキ装置と、車両の左右方向に延設される車軸駆動軸と、該車軸駆動軸と前記駆動入力軸間とを連結すると共に車軸への伝達動力を減速する減速装置と、該減速装置や前記車軸駆動軸を収容するリダクションケースとを備えた走行車輌において、前記駆動入力軸の外周側面に吐出口を開口し、該吐出口に連通する冷却油路を前記駆動入力軸に内設しており、該冷却油路には前記リダクションケース内の油を導入手段を介して供給し、前記吐出口からブレーキ装置に向かって油を吐出したものである。
請求項2においては、前記ブレーキ装置は、ブレーキハウジング内に収納され、該ブレーキハウジングジングと前記リダクションケースとは、上部に設けた通気孔を介して連結連通されるものである。
請求項3においては、前記導入手段は、前記冷却油路の車軸駆動軸側に開口した油路口と該車軸駆動軸との間に介設された掻き取り部材を備えており、該掻き取り部材により、回動する車軸駆動軸の外周側面に付着した油を掻き取って前記油路口から冷却油路内に導入するものである。
請求項4においては、前記導入手段は、排出口を前記冷却油路に連通したポンプ装置を備え、該ポンプ装置の吸入口は前記ブレーキ装置を収納するブレーキハウジングの下部空間に開口され、該下部空間は前記リダクションケースと連通されており、前記ポンプ装置により、リダクションケースから下部空間に流入した油を冷却油路内に導入するものである。
請求項5においては、前記ポンプ装置を前記ブレーキ装置が作動中にのみ動作させるための同期手段を備えるものである。
請求項6においては、前記同期手段は、前記吸入口から排出口までの経路の途中部にリークバルブを備え、該リークバルブは前記ブレーキ装置と連動連結されており、ブレーキ装置が非作動状態ではリークバルブが開となり、ブレーキ装置が作動状態ではリークバルブが閉となって油が吸入口から排出口まで流れるものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、エンジンと、該エンジンに駆動連結され車両の前後方向に延設される駆動入力軸と、該駆動入力軸に周設されるブレーキ装置と、車両の左右方向に延設される車軸駆動軸と、該車軸駆動軸と前記駆動入力軸間とを連結すると共に車軸への伝達動力を減速する減速装置と、該減速装置や前記車軸駆動軸を収容するリダクションケースとを備えた走行車輌において、前記駆動入力軸の外周側面に吐出口を開口し、該吐出口に連通する冷却油路を前記駆動入力軸に内設しており、該冷却油路には前記リダクションケース内の油を導入手段を介して供給し、前記吐出口からブレーキ装置に向かって油を吐出したので、前記冷却油路内の油を、遠心力によりブレーキ装置の中心部から外方に向かって放射状に勢いよく噴出させ、前記ブレーキ装置の構成部材の隅々まで行き渡らせることができ、ブレーキ装置に対して十分な冷却効果を得ることができる。
請求項2においては、前記ブレーキ装置は、ブレーキハウジング内に収納され、該ブレーキハウジングジングと前記リダクションケースとは、上部に設けた通気孔を介して連結連通されるので、該通気孔を通してブレーキハウジング内の空気をリダクションケース側に排出し、ブレーキハウジングの内圧上昇を抑制できるため、冷却油路からブレーキハウジング内への油の吐出を円滑に行うことができ、冷却効果の更なる向上が図れる。
請求項3においては、前記導入手段は、前記冷却油路の車軸駆動軸側に開口した油路口と該車軸駆動軸との間に介設された掻き取り部材を備えており、該掻き取り部材により、回動する車軸駆動軸の外周側面に付着した油を掻き取って前記油路口から冷却油路内に導入するので、複雑な装置を設けることなく簡単な構成でリダクションケース内の油を冷却油路内に導入することができ、製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項4においては、前記導入手段は、排出口を前記冷却油路に連通したポンプ装置を備え、該ポンプ装置の吸入口は前記ブレーキ装置を収納するブレーキハウジングの下部空間に開口され、該下部空間は前記リダクションケースと連通されており、前記ポンプ装置により、リダクションケースから下部空間に流入した油を冷却油路内に導入するので、ブレーキハウジング内の油量が少なくても前記ポンプ装置を使って油を冷却油路内に確実に導入できるため、車体の傾きが大きく変化し油面が変動しやすい走行中でも安定した冷却効果を得ることができ、更に、走行中の油面を予め低く設定し、ブレーキ装置が下部空間の油に浸漬しないようにできるため、ブレーキ装置で高速回転する摩擦板等が下部空間の油を攪拌する際の攪拌抵抗による伝達動力の損失や熱の発生を防止することができる。
請求項5においては、前記ポンプ装置を前記ブレーキ装置が作動中にのみ動作させるための同期手段を備えるので、ブレーキ装置が作動しない走行中は前記ポンプ装置は動作せず、走行中に高速回転する摩擦板等に油が吐出されることがないため、この吐出する油に起因した攪拌抵抗による伝達動力の損失や熱の発生も防止することができる。
請求項6においては、前記同期手段は、前記吸入口から排出口までの経路の途中部にリークバルブを備え、該リークバルブは前記ブレーキ装置と連動連結されており、ブレーキ装置が非作動状態ではリークバルブが開となり、ブレーキ装置が作動状態ではリークバルブが閉となって油が吸入口から排出口まで流れるので、複雑な装置を設けることなく簡単な構成で、前記ポンプ装置をブレーキ装置が作動中にのみ動作させることができ、製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に関わる走行車輌としてのバギー車の全体構成を示す平面図、図2は第一実施例に係わる後車軸駆動装置の側面一部断面図、図3は同じく平面一部断面図、図4は同じく図2のA−A断面図、図5は掻き取り部材の斜視図、図6は第二実施例に係わる後車軸駆動装置の側面一部断面図、図7は同じく平面一部断面図、図8は同じく図6のB−B断面図である。
【0007】
最初に、本発明に係わる走行車輌の一例としてバギー車の全体構成について、図1により説明する。
該バギー車1において、車体フレーム4の前部に前車軸駆動装置8が配設され、該前車軸駆動装置8からは、左右の前車軸駆動軸14L・14Rがそれぞれ左右方向に延出され、該前車軸駆動軸14L・14Rの外側端には前輪車軸26L・26Rが連結され、更に、該前輪車軸26L・26Rには前輪5L・5Rが旋回可能に支持されている。また、前記前車軸駆動装置8の内部には、左右の前車軸駆動軸14L・14R間を差動連結する差動装置7と、後方に前駆動入力軸10を延出した減速装置30とが収納されている。
【0008】
そして、前記車体フレーム4の前後略中央部には、エンジン2が載置され、該エンジン2からの出力軸2aが、変速装置3を介して前後のドライブシャフト28・29に駆動連結され、該前ドライブシャフト28の前端は、前記前駆動入力軸10の後端に連結されている。
【0009】
これにより、前記エンジン2からの駆動力が、変速装置3で変速された後、前ドライブシャフト28を介して前駆動入力軸10に入力され、減速装置30で減速されてから、前車軸駆動軸14を介して前輪車軸26L・26Rに伝達され、旋回可能な前記前輪5L・5Rを駆動するようにしている。
【0010】
また、前記車体フレーム4の後部には後車軸駆動装置9が配設され、該後車軸駆動装置9からは、左右の後車軸駆動軸15L・15Rがそれぞれ左右方向に延出され、該後車軸駆動軸15L・15Rの外側端には後輪車軸27L・27Rが連結され、更に、該後輪車軸27L・27Rには後輪6L・6Rが軸支されている。そして、前記後車軸駆動軸15L・15Rと、該後車軸駆動軸15L・15Rの内側端間を相対回転不能に連結する車軸連結筒15cとから、後車軸駆動軸15全体が構成されている。
【0011】
更に、前記後車軸駆動装置9では、車軸連結筒15cがリダクションケース17に軸受支持され、該リダクションケース17の前端にはブレーキハウジング16が一体的に連接されている。そして、該ブレーキハウジング16には、前後方向に延設され前端を前記後ドライブシャフト29後端と駆動連結した後駆動入力軸11と、該後駆動入力軸11に周設されたブレーキ装置12とが収納されると共に、前記リダクションケース17には、減速装置13が収納されている。
【0012】
これにより、前記エンジン2からの駆動力は、変速装置3で変速された後、後ドライブシャフト29を介して、ブレーキ装置12によって制動可能な後駆動入力軸11に入力され、減速装置13で減速されてから、前記後車軸駆動軸15を介して後輪車軸27L・27Rに伝達され、前記後輪6L・6Rを駆動する。
【0013】
次に、以上のような構成のバギー車1における、ブレーキ装置の冷却構造の第一実施例について、図2乃至図5により説明する。
まず、該冷却構造を有する後車軸駆動装置9の構成について、後部のリダクションケース17から前部のブレーキハウジング16の順に、図2乃至図4により説明する。
リダクションケース17は、後下部に油溜まり24を有するケース本体33の後部33bと、該ケース本体後部33bの開放された左端面にボルトで締結される左壁部材34とから構成され、該左壁部材34に装着されるボールベアリング36によって前記車軸連結筒15cの左端が支承される一方、該車軸連結筒15cの右端は、前記ケース本体後部33bの右端部に装着されるボールベアリング37によって支承される。すなわち、前記後車軸駆動軸15L・15Rは、車軸連結筒15cを介して前記左壁部材34とケース本体後部33bに支持されている。
【0014】
前記ケース本体後部33bには、前記後駆動入力軸11の後端外周面をニードルベアリング39を介して支承する軸受けブラケット40と、この後駆動入力軸11の中間部をボールベアリング38を介して支承するボス部41とが一体的に形成されており、該軸受けブラケット40とボス部41とによって後駆動入力軸11の後部が軸受支持されている。
【0015】
そして、前記減速装置13は、このような後駆動入力軸11と、該後駆動入力軸11の後部に一体的に形成される小径の駆動ベベルギア31と、該駆動ベベルギア31に噛合すると共に前記車軸連結筒15c外周にスプライン結合される大径の従動ベベルギア32とから成り、前記後ドライブシャフト29を介して後駆動入力軸11に入力された駆動力は、この減速装置13によって減速されてから車軸連結筒15cに伝達される。
【0016】
更に、前記左壁部材34には左後車軸駆動軸15Lの外周面に密接するオイルシール42が装着され、前記ケース本体後部33bには右後車軸駆動軸15Rの外周面に密接するオイルシール43が装着されており、該オイルシール42・43によってリダクションケース17は液密に構成される。そして、このように液密に構成されたリダクションケース17内に前記油溜まり24が形成されており、潤滑油44が、図示せぬ給油口から前記従動ベベルギア32の下部を浸漬させる油面レベルまで注入されている。
【0017】
また、このようなリダクションケース17の前部に連接されたブレーキハウジング16は、前記ボス部41の前端に一体的にフランジ状に形成された、ケース本体33の前部33aと、該ケース本体前部33aの開放端面にボルト46で着脱可能に固定される前壁部材35とから構成され、該前壁部材35の正面視略中央には、前記後駆動入力軸11の前部を支承するボールベアリング47と、該後駆動入力軸11の外周面に密接するオイルシール48とが装着されている。これにより、後駆動入力軸11が前記軸受けブラケット40とボス部41に加えて該前壁部材35によっても軸受支持されるようにすると共に、前記リダクションケース17から後述の如く供給される潤滑油44が、ブレーキハウジング16内から外に漏出しないように、ブレーキハウジング16も液密に構成されている。従って、該ブレーキハウジング16、前記リダクションケース17から成る後車軸駆動装置9は、全体が液密に構成され、潤滑油が内部で還流可能な構成となっている。
【0018】
該ブレーキハウジング16内のブレーキ装置12は、後駆動入力軸11のスプライン軸部11aに摺動自在で相対回転不能に接合された複数の回転摩擦板22と、該回転摩擦板22と交互に重ねられると共にケース本体前部33aの内周面に摺動自在で回転不能に接合して支持された複数の固定摩擦板23と、これら回転摩擦板22と固定摩擦板23の最後部の固定摩擦板23を受ける受圧部55と、該受圧部55に向かって回転摩擦板22と固定摩擦板23の最前部の固定摩擦板23を押圧するブレーキ作動機構54とを備える。
【0019】
該ブレーキ作動機構54は、前記最前部の固定摩擦板23に隣接して配置される環状の回転カム板49と、該回転カム板49と前記前壁部材35の対向面に形成されたボール溝49a・35aに係合するボール50とを備え、該ボール溝49a・35aは、周方向に延びると共に、それぞれの溝底が互いに反対側の端部に向けて浅くなるように形成されている。このような構成において、回転カム板49を所定方向に回転させると、該回転カム板49は、前記ボール溝49a・35aにガイドされながらボール50上を摺動し、前壁部材35から離間する方向、すなわち回転摩擦板22と固定摩擦板23を押圧する側へ移動するようにしている。
【0020】
前記回転カム板49には、外周面の半径方向に従動アーム49bが形成され、該従動アーム49bは、前記前壁部材35とケース本体前部33aによって前後方向に支承されたブレーキ作動軸51の駆動アーム52と係合している。該ブレーキ作動軸51の一端は、前壁部材35を貫通してブレーキハウジング16の外に突出され、該突出端には作動レバー53が接合され、該作動レバー53は、図示せぬブレーキワイヤを介して各種のブレーキレバーに連結されている。
【0021】
更に、前記回転摩擦板22と固定摩擦板23の最前後部に位置する固定摩擦板23・23のいくつかのスプライン歯23a・23aにはガイドピン57が摺動自在に取り付けられ、該ガイドピン57に外嵌されたレリーズばね56が前記スプライン歯23a・23a間に縮設されている。
【0022】
このような構成において、前記ブレーキ装置12が非作動状態にある場合は、対をなすボール溝49a・35aの最深部にボール50を係合させて前記回転カム板49を前壁部材35に最も近接した位置に配置させると共に、レリーズばね56の弾性力によって最前後部の固定摩擦板23・23間を相互に離間させるので、回転摩擦板22と固定摩擦板23との間に隙間が生じて摩擦抵抗が発生せず、前記駆動入力軸11の回動が阻害されない。
【0023】
一方、ブレーキ装置12を作動状態にする場合は、走行中に図示せぬ前記ブレーキレバーを操作してブレーキワイヤを牽引し、前記作動レバー53を回動させて、前記駆動アーム52と従動アーム49bを介して回転カム板49を回転させる。この際、該回転カム板49を、前記ボール溝49a・35aが互いに浅い側を対向する方向に回転させると、それに伴って、回転カム板49は、ボール50上を摺動して前記受圧部55側に移動し、該受圧部55と協動して回転摩擦板22と固定摩擦板23とを挟圧する。すると、該回転摩擦板22と固定摩擦板23との間に摩擦力が発生して、前記駆動入力軸11が制動されるのである。
【0024】
次に、このような構成から成る後車軸駆動装置9における、ブレーキ装置12の冷却構造について、図2乃至図5により説明する。
前記後駆動入力軸11の軸芯上に、前後方向途中部から後端にかけて冷却油路18が形成され、該冷却油路18の後端には、直交する前記後車軸駆動軸15に面して開放された油路口19が形成されている。更に、該冷却油路18の前部には、半径方向に複数の放射状の吐出油路59が形成され、該吐出油路59の吐出口20は、前記後駆動入力軸11のスプライン軸部11aにおいて開口されている。
【0025】
一方、リダクションケース17内で後車軸駆動軸15の外周最外部を構成する車軸連結筒15cには、ピックアップ部材58が外嵌固定され、該ピックアップ部材58は、前記後車軸駆動軸15が駆動回動中は一緒に図2の矢印方向に回動し、前記油溜まり24の潤滑油を含浸または付着させたままで後駆動入力軸11の方へ回動できるようにしている。
【0026】
そして、後駆動入力軸11の後端外周面を支承する前記軸受けブラケット40には、後駆動入力軸11後端面とピックアップ部材58外周側面との間に掻き取り室60が設けられ、該掻き取り室60内には掻き取り部材25が内挿固定されている。
【0027】
該掻き取り部材25は、円筒状の本体部25aと、該本体部25aの筒端から軸芯方向に突設した半円筒状のヘラ部25bとから構成され、前記後駆動入力軸11と同軸上となるように前記掻き取り室60内に配設される。そして、該掻き取り室60において、ヘラ部25bは、切り欠き部が上となるようにして前記ピックアップ部材58の前側面に当接される一方、本体部25aは、前記冷却油路18の油路口19と連通するように後駆動入力軸11の後端面に当接されている。
【0028】
このような構成において、走行中、前記後車軸駆動軸15が図2の矢印方向に回転すると、ピックアップ部材58が油溜まり24中の潤滑油44を含浸または付着させたままで回転し、該ピックアップ部材58が前記ヘラ部25bの筒端にまで来ると、潤滑油44が該ヘラ部25bの上端から内側に掻き取られる。掻き取られた潤滑油44は、本体部25aから油路口19に流れ込み、前記冷却油路18内を通過した後、高速で回転している吐出油路59内に流入し、前記吐出口20から勢いよく放射状に吐出される。潤滑油44は後駆動入力軸11の軸芯から半径方向に向かって吐出されるため、最も発熱の大きな回転摩擦板22と固定摩擦板23との間はもちろん、ブレーキ装置12全体に、潤滑油44を満遍なく行き渡らせることができるのである。
【0029】
すなわち、エンジン2と、該エンジン2に駆動連結され車両の前後方向に延設される駆動入力軸11と、該駆動入力軸11に周設されるブレーキ装置12と、車両の左右方向に延設される車軸駆動軸15と、該車軸駆動軸15と前記駆動入力軸11間とを連結すると共に車軸27への伝達動力を減速する減速装置13と、該減速装置13や前記車軸駆動軸15を収容するリダクションケース17とを備えたバギー車1において、前記駆動入力軸11の外周側面に吐出口20を開口し、該吐出口20に連通する冷却油路18を前記駆動入力軸11に内設しており、該冷却油路18には前記リダクションケース17内の油を導入手段である掻き取り部材25を介して供給し、前記吐出口20からブレーキ装置12に向かって油を吐出したので、前記冷却油路18内の油を、遠心力によりブレーキ装置12の中心部から外方に向かって放射状に勢いよく噴出させ、前記ブレーキ装置12の構成部材の隅々まで行き渡らせることができ、ブレーキ装置12に対して十分な冷却効果を得ることができる。
【0030】
更に、前記導入手段は、前記冷却油路18の車軸駆動軸11側に開口した油路口19と該車軸駆動軸11との間に介設された掻き取り部材25を備えており、該掻き取り部材25により、回動する車軸駆動軸11の外周側面に付着した油を掻き取って前記油路口19から冷却油路18内に導入するので、複雑な装置を設けることなく簡単な構成でリダクションケース17内の油を冷却油路18内に導入することができ、製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0031】
また、前記リダクションケース17の油溜まり24とブレーキハウジング16の下部空間62との間には連絡油路61が連通され、前述のようにして冷却油路18を介して吐出口20から吐出された潤滑油44は、ブレーキ装置12を冷却しながら流下したり、ブレーキハウジング16内壁面に衝突した後に該内壁面沿いに流下したりして、前記下部空間62に流入した後、前記連絡油路61を通ってリダクションケース17の油溜まり24に還流されるようにしている。
【0032】
該還流を更に促進させるため、前記リダクションケース17とブレーキハウジング16の内部の上方部を相互に連通する通気孔21を形成し、冷却油路18を介して吐出口20から吐出された潤滑油44の体積分の空気が、ブレーキハウジング16の内部空間からリダクションケース17の内部空間に迅速に排出されるようにしている。
【0033】
すなわち、前記ブレーキ装置12は、ブレーキハウジング16内に収納され、該ブレーキハウジングジング16と前記リダクションケース17とは、上部に設けた通気孔21を介して連結連通されるので、該通気孔21を通してブレーキハウジング16内の空気をリダクションケース17側に排出し、ブレーキハウジング16の内圧上昇を抑制できるため、冷却油路18からブレーキハウジング16内への油の吐出を円滑に行うことができ、冷却効果の更なる向上が図れる。
【0034】
次に、ブレーキ装置の冷却構造の第二実施例について、図6乃至図8により説明する。
まず、本第二実施例の冷却構造を有する後車軸駆動装置9の構成について説明する。なお、シール構造や軸受け構造の詳細については前記第一実施例と同様なので省略する。
リダクションケース107は、後下部に油溜まり24を有するケース本体104の後部104bと、該ケース本体後部104bの開放された左端面にボルトで締結される左壁部材34とから構成され、該左壁部材34とケース本体後部104bとに、前記後車軸駆動軸15L・15Rが車軸連結筒15cを介して支承されている。そして、前記ケース本体後部104bには、軸受けブラケット109とボス部110とが一体的に形成され、該軸受けブラケット109とボス部110に後駆動入力軸111の後部が軸受支持されている。該後駆動入力軸111の後部には小径の駆動ベベルギア112が一体的に形成され、該駆動ベベルギア112には、前記車軸連結筒15c外周にスプライン結合される大径の従動ベベルギア113が噛合して減速装置114を構成し、該減速装置114によって後駆動入力軸111の駆動力を減速して車軸連結筒15cに伝達するようにしている。
【0035】
このようなリダクションケース107の前部に連接されたブレーキハウジング106は、前記ボス部110の前端に一体的にフランジ状に形成されたケース本体104の前部104aと、該ケース本体前部104aの開放端面に複数のボルト46で着脱可能に固定される前壁部材105とから構成され、該前壁部材105の正面視略中央には後駆動入力軸111の前部が軸受支持されている。
【0036】
該ブレーキハウジング106内のブレーキ装置115は、複数の回転摩擦板22と、該回転摩擦板22と交互に重ねられる複数の固定摩擦板23と、これら回転摩擦板22と固定摩擦板23の最前部の固定摩擦板23を受ける受圧部116と、該受圧部116に向かって回転摩擦板22と固定摩擦板23の最後部の固定摩擦板23を押圧するブレーキ作動機構117とを備える。なお、本第二実施例の受圧部116は、後述するポンプ装置101のポンプケース125と兼用されている。
【0037】
該ブレーキ作動機構117は、第一実施例のブレーキ作動機構54とは異なり、ブレーキハウジング106後部のケース本体前部104a側に配設されており、後方から、前壁部材105側の受圧部116に向かって回転摩擦板22と固定摩擦板23を押圧するようにしている。これにより、前壁部材105の内側に広い設置空間を確保することができ、後述するポンプ装置101の取り付けを容易としている。
【0038】
このブレーキ作動機構117にも、第一実施例と同様に、環状の回転カム板49と、該回転カム板49と前記ボス部110前部のブレーキハウジング106内壁との対向面に形成されたボール溝49a・106aに係合するボール50とを備えており、該ボール溝49a・106aは、周方向に延びると共に、それぞれの溝底が互いに反対側の端部に向けて浅くなるように形成されている。このような構成で、該回転カム板49を所定方向に回転させると、該回転カム板49がボール溝49a・106aにガイドされながらボール50上を摺動し、回転摩擦板22と固定摩擦板23を押圧する側へ移動するようにしている。
【0039】
そして、該回転カム板49には、外周面の半径方向に従動アーム49bが形成され、該従動アーム49bは、前記前壁部材105とケース本体前部104aによって前後方向に支承されたブレーキ作動軸118の駆動アーム119と係合している。該ブレーキ作動軸118の一端は、前壁部材105を貫通してブレーキハウジング106の外に突出され、該突出端には作動レバー53が接合され、該作動レバー53は、図示せぬブレーキワイヤを介して各種のブレーキレバーに連結されている。更に、前記回転摩擦板22と固定摩擦板23の最前後部のスプライン歯23a・23aにはガイドピン57が摺動自在に取り付けられ、該ガイドピン57に外嵌されたレリーズばね56が前記スプライン歯23a・23a間に縮設されている。
【0040】
このような構成において、前記ブレーキ装置115が非作動状態にある場合は、前記回転カム板49をケース本体前部104aに最も近接した位置に配置させると共に、レリーズばね56の弾性力によって最前後部の固定摩擦板23・23間を相互に離間させるので、回転摩擦板22と固定摩擦板23との間に隙間が生じて摩擦抵抗が発生せず、前記駆動入力軸111の回動が阻害されない。
【0041】
一方、ブレーキ装置115を作動状態にする場合は、走行中に図示せぬ前記ブレーキレバーを操作してブレーキワイヤを牽引し、前記作動レバー53を回動させて、前記駆動アーム119と従動アーム49bを介して回転カム板49を回転させる。この際、該回転カム板49を、前記ボール溝49a・106aが互いに浅い側を対向する方向に回転させると、それに伴って、回転カム板49は、ボール50上を摺動して前記受圧部116側に移動し、該受圧部116と協動して回転摩擦板22と固定摩擦板23とを挟圧する。すると、該回転摩擦板22と固定摩擦板23との間に摩擦力が発生して、前記駆動入力軸111が制動される。
【0042】
次に、このような構成から成る後車軸駆動装置9における、ブレーキ装置115の冷却構造について説明する。
前記後駆動入力軸111の軸芯上に、前後方向途中部から前端にかけて、該前端が閉塞された構造の冷却油路120が形成され、該冷却油路120の後部には、半径方向に複数の吐出油路121が形成されている。そして、該吐出油路121の吐出口122は、前記回転摩擦板22が摺動自在で相対回転不能に接合されたスプライン軸部111aにおいて開口されている。
【0043】
更に、前記吐出油路121より前方の後駆動入力軸111上には、前面を前壁部材105の内側壁面に固設したトロコイド式のポンプ装置101が設けられている。該ポンプ装置101は、後駆動入力軸111上に外嵌固定されたインナーロータ123と、該インナーロータ123の外側に遊嵌されたアウターロータ124と、これらのトロコイドロータを収納するポンプケース125とから構成され、該ポンプケース125には吸入ポート126と排出ポート127とが開口されている。なお、本実施例では内接形ギアポンプの一種のトロコイド式ポンプを用いて説明するが、通常の外接形ギアポンプ等でもよく、設置体積が小さく、下部空間62からの吸い上げが可能なポンプであれば特に限定されるものではない。
【0044】
これらのうちの排出ポート127からは、ポンプケース125内に排出油路129が延設されて、該排出油路129の先端には排出口103が形成され、該排出口103は前記冷却油路120の途中部に連通されている。一方、前記吸入ポート126からは、ポンプケース125内に吸入油路128が垂設され、該吸入油路128下端には吸入口102が形成され、該吸入口102は前記ブレーキハウジング106の下部空間62に開口されている。
【0045】
そして、該下部空間62と、前記リダクションケース107の油溜まり24との間は、前述の第一実施例と同様に連絡油路61によって連通されており、該連絡油路61を介して、油溜まり24内の潤滑油44と下部空間62内の潤滑油44とが相互に行き来できるようにしている。
【0046】
このような構成において、走行中、前記後駆動入力軸111が回動すると、該後駆動入力軸111上のインナーロータ123が回転駆動され、前記下部空間62内の潤滑油44が吸入口102から吸い上げられ、吸入油路128を通って吸入ポート126からポンプ装置101内に吸い込まれる。この吸い込まれた潤滑油44は、排出ポート127から排出され、排出油路129を通って冷却油路120内を通過し、その後、高速で回転している吐出油路121内に流入し、前記吐出口122から勢いよく放射状に吐出される。
【0047】
この潤滑油44は後駆動入力軸111の軸芯から半径方向に向かって吐出されるため、第一実施例の場合と同様に、最も発熱の大きな回転摩擦板22と固定摩擦板23との間はもちろん、ブレーキ装置115全体に、潤滑油44を満遍なく行き渡らせることができる。加えて、前記吸入口102の高さを低く設定しておくことで、不整地走行中に車体の傾きが大きい場合等に、たとえ油面が低くなることがあっても、吸入口102を潤滑油44内に常に浸漬させておくことができ、潤滑油44を冷却油路120内に絶やさず供給することができる。加えて、潤滑油44を少なくして油面を予め低く設定しておくことで、走行中に高速で回転する回転摩擦板22が潤滑油44に浸漬しないようにすることができ、潤滑油による攪拌抵抗が生じないようにすることができる。
【0048】
すなわち、前記導入手段は、排出口103を前記冷却油路120に連通したポンプ装置101を備え、該ポンプ装置101の吸入口102は前記ブレーキ装置115を収納するブレーキハウジング106の下部空間62に開口され、該下部空間62は前記リダクションケース107と連通されており、前記ポンプ装置101により、リダクションケース107から下部空間62に流入した油を冷却油路120内に導入するので、ブレーキハウジング106内の油量が少なくても前記ポンプ装置101を使って油を冷却油路120内に確実に導入できるため、車体の傾きが大きく変化し油面が変動しやすい走行中でも安定した冷却効果を得ることができ、更に、走行中の油面を予め低く設定し、ブレーキ装置115が下部空間62の油に浸漬しないようにできるため、ブレーキ装置115で高速回転する摩擦板22等が下部空間62の油を攪拌する際の攪拌抵抗による伝達動力の損失や熱の発生を防止することができる。
【0049】
また、前記ポンプケース125内で前記排出油路129よりも低位置にリーク油路130を設け、該リーク油路130の一端を前記排出ポート127に連通し、リーク油路130の他端をブレーキハウジング106内の空間に連通させると共に、該リーク油路130の途中部にリークバルブ108を設けることができる。
【0050】
該リークバルブ108は前記ブレーキ作動軸118の一部に設けられ、該ブレーキ作動軸118の直径方向に切換油路108aを穿設し、該切換油路108aを前記リーク油路130と同軸上に設けて成るものであり、切換油路108aがリーク油路130と同軸上にある場合は、該リーク油路130がブレーキハウジング106の内部空間に連通され、ブレーキ作動軸118が回動して切換油路108aがリーク油路130と同軸上でなくなる場合は、リーク油路130はリークバルブ108によって途中部で遮断される。
【0051】
このような構成において、前記ブレーキ装置115が非作動状態にある場合には、切換油路108aがリーク油路130と同軸上となるようにブレーキ作動軸118が回動されて、リーク油路130が開状態となるため、前記下部空間62から吸入口102を介して吸い上げられた潤滑油44は、排出油路129に流れ込むことなく、そのまま該排出油路129よりも低位置にあるリーク油路130側に流れ込み、ブレーキハウジング106の内部空間に排出される。
【0052】
一方、走行中に図示せぬブレーキレバーの操作によってブレーキワイヤを牽引し作動レバー53を操作すると、ブレーキ作動軸118が回動され、駆動アーム119・従動アーム49bを介してブレーキ装置115が作動状態になる。それと同時に、図8に示すように、リークバルブ108がリーク油路130の途中部を遮断して閉状態とするため、前記下部空間62から吸入口102を介して吸い上げられた潤滑油44は、ブレーキハウジング106の内部空間にそのまま排出されることなく、排出油路129側に流れ込み、該排出油路129を通って冷却油路120内を通過し、その後、高速で回転している吐出油路121内に流入し、前記吐出口122から勢いよく放射状に吐出される。この吐出された潤滑油44は、ブレーキ装置115中に満遍なく行き渡り冷却しながら流下したり、あるいはブレーキハウジング106の内壁面に衝突した後に該内壁面沿いに流下したりして、前記下部空間に62に流入する。
【0053】
つまり、ブレーキ装置115が非作動状態にあって回転摩擦板22が高速で回転している走行中は、潤滑油44はブレーキ装置115に吐出されることがなく、ブレーキ装置115を作動させて初めて、潤滑油44がブレーキ装置115に吐出され、その結果、第一実施例とは異なり、吐出された潤滑油44は、高速回転する回転摩擦板22によって攪拌されることがない。
【0054】
すなわち、前記ポンプ装置101を前記ブレーキ装置115が作動中にのみ動作させるための同期手段を備えたので、ブレーキ装置115が作動しない走行中は前記ポンプ装置101は動作せず、走行中に高速回転する摩擦板22等に油が吐出されることがないため、この吐出する油に起因した攪拌抵抗による伝達動力の損失や熱の発生も防止することができる。
【0055】
更に、前記同期手段は、前記吸入口102から排出口103までの経路の途中部にリークバルブ108を備え、該リークバルブ108は前記ブレーキ装置115と連動連結されており、ブレーキ装置115が非作動状態ではリークバルブ108が開となり、ブレーキ装置115が作動状態ではリークバルブ108が閉となって油が吸入口102から排出口103まで流れるので、複雑な装置を設けることなく簡単な構成で、前記ポンプ装置101をブレーキ装置115が作動中にのみ動作させることができ、製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、同様な車軸駆動構成を有する、走行車輌以外で、潤滑油をブレーキ装置の冷却に使用するトラクター等の各種運搬車両にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に関わる走行車輌としてのバギー車の全体構成を示す平面図である。
【図2】第一実施例に係わる後車軸駆動装置の側面一部断面図である。
【図3】同じく平面一部断面図である。
【図4】同じく図2のA−A断面図である。
【図5】掻き取り部材の斜視図である。
【図6】第二実施例に係わる後車軸駆動装置の側面一部断面図である。
【図7】同じく平面一部断面図である。
【図8】同じく図6のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 走行車輌
2 エンジン
11 駆動入力軸
12、115 ブレーキ装置
13 減速装置13
15 車軸駆動軸
16、106 ブレーキハウジング
17、107 リダクションケース
18、120 冷却油路
19 油路口
20 吐出口20
21 通気孔
25 掻き取り部材
27 車軸
62 下部空間
101 ポンプ装置
102 吸入口
103 排出口
108 リークバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンに駆動連結され車両の前後方向に延設される駆動入力軸と、該駆動入力軸に周設されるブレーキ装置と、車両の左右方向に延設される車軸駆動軸と、該車軸駆動軸と前記駆動入力軸間とを連結すると共に車軸への伝達動力を減速する減速装置と、該減速装置や前記車軸駆動軸を収容するリダクションケースとを備えた走行車輌において、前記駆動入力軸の外周側面に吐出口を開口し、該吐出口に連通する冷却油路を前記駆動入力軸に内設しており、該冷却油路には前記リダクションケース内の油を導入手段を介して供給し、前記吐出口からブレーキ装置に向かって油を吐出したことを特徴とする走行車輌。
【請求項2】
前記ブレーキ装置は、ブレーキハウジング内に収納され、該ブレーキハウジングジングと前記リダクションケースとは、上部に設けた通気孔を介して連結連通されることを特徴とする請求項1記載の走行車輌。
【請求項3】
前記導入手段は、前記冷却油路の車軸駆動軸側に開口した油路口と該車軸駆動軸との間に介設された掻き取り部材を備えており、該掻き取り部材により、回動する車軸駆動軸の外周側面に付着した油を掻き取って前記油路口から冷却油路内に導入することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の走行車輌。
【請求項4】
前記導入手段は、排出口を前記冷却油路に連通したポンプ装置を備え、該ポンプ装置の吸入口は前記ブレーキ装置を収納するブレーキハウジングの下部空間に開口され、該下部空間は前記リダクションケースと連通されており、前記ポンプ装置により、リダクションケースから下部空間に流入した油を冷却油路内に導入することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の走行車輌。
【請求項5】
前記ポンプ装置を前記ブレーキ装置が作動中にのみ動作させるための同期手段を備えることを特徴とする請求項4記載の走行車輌。
【請求項6】
前記同期手段は、前記吸入口から排出口までの経路の途中部にリークバルブを備え、該リークバルブは前記ブレーキ装置と連動連結されており、ブレーキ装置が非作動状態ではリークバルブが開となり、ブレーキ装置が作動状態ではリークバルブが閉となって油が吸入口から排出口まで流れることを特徴とする請求項5記載の走行車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−24175(P2007−24175A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206972(P2005−206972)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】