説明

走行車

【構成】 走行車下部のフレームに前後のパイプを貫通させて、パイプの両端に設けた軸受けで走行軸を支持し、走行軸を走行輪と走行モータとに接続する。左右の走行軸を接続する中間軸をパイプ内に収容する。
【効果】 走行車の台車の構造を簡単化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスタッカークレーンや無人搬送車などの走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らは、前後2輪のスタッカークレーンの構造を提案した(特許文献1:特開2003−237909)。即ち、スタッカークレーンの前後のプレートを側枠で連結し、プレートの下部に走行車輪の軸受けを配置して、軸受けでプレートを支持する。
【0003】
しかしながらこの構造は前後各2輪のスタッカークレーンには適用できない。そこで発明者は、4輪の走行車の構造として、組立が簡単で低コストであり、しかも発塵を少なくできる構造を検討して、この発明に到った。
【特許文献1】特開2003−237909
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、走行車の組立を容易にすること、走行車のコストを小さくすること、走行車からの発塵を少なくすることにある。
請求項2の発明での追加の課題は、走行モータの取付を簡単にすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、走行車の台車構造を簡単にし、かつパイプの取付を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の走行車は、走行車のフレームを走行方向と水平面内で直交する方向である左右に貫通するパイプと、
該パイプの両端に設けた左右一対の軸受けと、
前記左右一対の軸受けに支持された走行軸と、
該走行軸に接続した左右一対の走行輪と、
前記走行軸を駆動する走行モータとを設けたものである。
【0006】
パイプは例えばフレームの前後に設けて、前後で例えば合計4輪の走行輪を設ける。
好ましくは、前記走行モータを前記左右一対の走行輪の、左右方向外側に左右一対設ける。
また好ましくは、前記フレームが、前記左右の方向に平行な鉛直方向断面で、左右一対の側板と側板の間を接続する上板とを備え、前記パイプが左右の側板を貫通する。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、フレームを貫通するパイプの両端に軸受けを設けて、走行輪の走行軸を支持するので、走行車の走行系の組立が簡単で、かつパイプを用いるので低コストである。また軸受けの内側はパイプに接続されており、軸受けの外側の走行輪をカバーなどで覆えば、比較的簡単に発塵を少なくできる。
【0008】
走行モータを走行輪の外側に配置すると、フレームの底部中央などに走行モータを設けて走行軸を駆動する場合に比べ、走行モータの接続が容易で、かつ走行輪の直ぐ付近に走行モータを配置できる。
さらにフレームを上板とその左右の側板とで構成し、左右の側板をパイプが貫通するようにすると、簡単な構造のフレームを用いることができ、またフレームへのパイプの取り付けも容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0010】
図1,図2に、スタッカークレーン2を例に実施例を示す。なお走行車の種類自体は任意である。4はフレームで、スタッカークレーン2の下部に設け、例えば前後一対のパイプ6,6をフレーム4の左右の側面を貫通させる。パイプ6の左右両端に一対の軸受け8,8を設け、各軸受け8により走行軸12を支持し、パイプ6の外側で走行軸12に走行輪10を取り付け、走行モータ14により走行軸12を駆動する。そして左右の走行軸12,12の間を中間軸16で接続し、中間軸16をパイプ6内に収容する。
【0011】
実施例ではパイプ6はフレーム4の前後に一対設け、各パイプ6の左右にそれぞれ軸受け8と走行輪10,走行モータ14を配置する。そして走行モータ14は走行輪10の左右方向外側に配置する。パイプ6は、取り付け具18により、フレーム4の側部を貫通するように取り付ける。20は車輪カバーで、走行輪10をその底部を除いて覆い、走行軸12の付近からなどの発塵を封じ込める。
【0012】
22は例えば前後一対のマスト、24は昇降モータで、例えばフレーム4の左右方向一方の前後に設け、26は昇降台で、28はスライドフォークである。そしてマスト22の内部に、図示しないタイミングベルトやロープ、チェーンなどの部材を設け、昇降モータ24により駆動して、昇降台26を昇降させる。
【0013】
30は走行レールで、例えばクリーンルームの床面に設ける。またフレーム4は平面視で長方形状で、上板31とその左右の側壁32,32とから成っている。そして前記の取り付け具18は側壁32に設けた穴に取り付ける。33はブラケットで、側壁32から下側に延び、ブラケット33を利用して、フレーム4の左右に付属ボックス34,36を設け、スタッカークレーン2の電源部や通信部などを収容する。またブラケット33内のスペースを利用して、配線37等を収容する。スタッカークレーン2にはこれ以外に、走行レール30によりスタッカークレーン2の左右方向位置をガイドするガイドローラや、給電線から非接触給電を受ける受電装置、通信装置などを設けるが、これらについては説明を省略する。
【0014】
実施例のスタッカークレーン2の組立について説明する。フレーム4は上板31と左右の側壁32とから成る簡単な構造で、これに穴を開けて、取り付け具18を介しパイプ6を取り付ける。パイプ6の左右両端に軸受け8を固定し、走行輪10や走行モータ14に接続した走行軸12を軸受け8で支持する。このままでは走行軸12の支持が不安定となるので、中間軸16により左右の走行軸12,12を連結する。走行モータ14は図示しないブラケットなどによりフレーム4などで支持しても、あるいはパイプ6で支持しても良い。なお左右の走行軸12,12と中間軸16とを1本の走行軸で構成しても良い。また前後一対のパイプ6,6の一方で、走行モータ14を走行輪10に接続せず、走行輪10を従動輪としても良い。
【0015】
側壁32に取り付け具18の固定用とは別の穴を設けて、昇降モータ24の駆動軸をフレーム4の内部へ引き出す。またマスト22や昇降台26などを取り付け、タイミングベルトやチェーン、ロープなどにより、昇降台26を昇降できるようにする。さらにその他の艤装品は、ブラケット33を介して付属ボックス34,36に設置する。なおブラケット33や付属ボックス34,36は設けなくても良い。
【0016】
スタッカークレーン2は、フレーム4やパイプ6の構造が簡単で、低コストで簡単に組み立てることができる。また軸受け8などでの発塵は、パイプ6の内側や車輪カバー20に封じ込めることができる。
【0017】
実施例ではフレーム4に前後左右合計4輪の走行輪10と、4個の走行モータ14を設けたが、4個の走行輪のうち例えば2個を駆動輪として走行モータに接続し、他の2個を従動輪として、走行モータを設けなくても良い。実施例では走行車の種類をスタッカークレーン2としたが、無人搬送車やその他任意の走行車にも、適用できる。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例のスタッカークレーンの部分切欠部付き平面図
【図2】実施例のスタッカークレーンの鉛直方向断面図
【符号の説明】
【0019】
2 スタッカークレーン
4 フレーム
6 パイプ
8 軸受け
10 走行輪
12 走行軸
14 走行モータ
16 中間軸
18 取り付け具
20 車輪カバー
22 マスト
24 昇降モータ
26 昇降台
28 スライドフォーク
30 走行レール
31 上板
32 側壁
33 ブラケット
34,36 付属ボックス
37 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車のフレームを、走行方向と水平面内で直交する方向である左右に貫通するパイプと、
該パイプの両端に設けた左右一対の軸受けと、
前記左右一対の軸受けに支持された走行軸と、
該走行軸に接続した左右一対の走行輪と、
前記走行軸を駆動する走行モータとを設けた走行車。
【請求項2】
前記走行モータを前記左右一対の走行輪の、左右方向外側に左右一対設けたことを特徴とする、請求項1の走行車。
【請求項3】
前記フレームが、前記左右の方向に平行な鉛直方向断面で、左右一対の側板と側板の間を接続する上板とを備え、前記パイプが左右の側板を貫通することを特徴とする、請求項1の走行車。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−46279(P2009−46279A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215664(P2007−215664)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】