説明

超広角レンズ

【課題】超広角、高解像度、小型軽量、かつ、低コストのいずれにも対応可能な超広角レンズを提供すること。
【解決手段】超広角レンズ10は、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ11、負のパワーを持つ単レンズ12、正のパワーを持つ単レンズ13、および正のパワーを有する接合レンズ15を備えた4群5枚構成である。メニスカス単レンズ11以外はプラスチックレンズであり、第3面、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計7面が非球面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画角が広い超広角レンズ(魚眼レンズを含む)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の監視用途や車載用途で使用されるレンズは、超広角、解像度の高いものが要求されている。ここで、高解像にするには倍率色収差を補正する必要があるため、複数枚のレンズを組み合わせて色収差補正をしている。例えば、4群5枚のレンズ構成で画角を広げたものが提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1、2に記載の構成では、画角が100°以下であるため、5群6枚のレンズ構成で100°以上の画角を実現したものが提案されている(特許文献3〜5参照)。
【特許文献1】特開2006−145770号公報
【特許文献2】特開平9−222558号公報
【特許文献3】特開2006−119368号公報
【特許文献4】特開2003−232998号公報
【特許文献5】特開2006−171597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の用途などで使用されるレンズには、小型軽量かつ低コストなもので100°を超えるものが要求されており、上記特許文献3〜5に開示のレンズでは対応できない。小型軽量かつ低コストという要求についてはプラスチックレンズを使用することにより解消できるが、画角が130°以上、さらには150°以上の超広角レンズ、さらには、画角が180°以上の魚眼レンズと称せられる超広角レンズとなると、プラスチックレンズの材料による組合せで色収差を補正しようにも、プラスチックレンズの材料がガラスに比べ少ないため、倍率色収差を補正しきれない。その結果、他の収差が補正できても解像度を高めることができず、その結果、色収差を取るために複数枚のガラスレンズを使用せざるを得ず、小型軽量化、低コスト化を図れないという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、超広角、高解像度、小型軽量、かつ、低コストのいずれにも対応可能な超広角レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の超広角レンズでは、4群5枚のレンズ構成を有し、5枚のレンズのうちの少なくとも4枚のレンズがプラスチックレンズからなり、少なくとも4つの面が非球面であることを特徴とする。
【0007】
本発明を適用した超広角レンズでは、4群5枚のレンズ構成を有し、かつ、5枚のレンズのうちの少なくとも4枚のレンズがプラスチックレンズからなるため、画角が130°以上、さらには150°以上の超広角レンズ、さらには、画角が180°以上の魚眼レンズと称せられる超広角レンズを構成した場合でも、小型軽量、かつ、低コストのいずれにも対応することができる。また、計9つの面のうち、少なくとも4つの面が非球面であるため、少ない枚数で収差を補正できるので、プラスチックレンズを多用しても高解像に対応できる。
【0008】
本発明において、前記非球面である少なくとも4つの面のうちの1面は接合レンズの接合面であることが好ましい。接合面に非球面を使用することによって、プラスチックレンズの接合でも、色収差を補正することが出来る。
【0009】
本発明において、前記接合面の有効径θにおける非球面量Xθ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式(1)
|Xθ/R|≧1.1 ・・・ 条件式(1)
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式(2)
|(θ/2)/R|≧1.2 ・・・ 条件式(2)
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面の有効径θにおける非球面量Xθは、以下の条件式(3)
|(θ/2)/Xθ|≦1.7 ・・・ 条件式(3)
を満たしている構成を採用することができる。
【0010】
本発明において、上記の条件式(1)および条件式(3)の双方を満たしている構成を採用してもよい。
【0011】
本発明において、上記の条件式(2)および条件式(3)の双方を満たしている構成を採用してもよい。
【0012】
本発明においては、上記の条件式(1)を満たしている構成、上記の条件式(2)を満たしている構成、あるいは上記の条件式(3)を満たしている構成を採用してもよい。
【0013】
本発明において、5枚のレンズのうち、最も物体側のレンズは、屈折率nおよびAbbe数νが以下の条件式(4)
≦1.55 かつ ν≧50 ・・・ 条件式(4)
を満たしていることが好ましい。このような条件を満たせば、最も物体側のレンズについてはガラス材料およびプラスチック材料のいずれをレンズ素材として用いてもよい。
【0014】
本発明において、前記5枚のレンズのうち、物体側から第1番目のレンズ、および物体側から第2番目のレンズは負のパワーを有し、物体側から第3番目のレンズは、正あるいは負のパワーを有し、物体側から第4番目のレンズと物体側から第5番目のレンズは、正のパワーを有するレンズと負のパワーを有するレンズが接合された接合レンズを構成している構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明を適用した超広角レンズでは、4群5枚のレンズ構成を有し、かつ、5枚のレンズのうちの少なくとも4枚のレンズがプラスチックレンズからなるため、画角が130°以上、さらには150°以上の超広角レンズ、さらには、画角が180°以上の魚眼レンズと称せられる超広角レンズを構成した場合でも、小型軽量、かつ、低コストのいずれにも対応することができる。また、計9つの面のうち、少なくとも4つの面が非球面であるため、少ない枚数で収差を補正できる。また、接合面に非球面を使用することによって、プラスチックレンズの接合でも、色収差を補正することができるので、プラスチックレンズを多用しても高解像に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照して、本発明を適用した超広角レンズを説明する。なお、以下の説明においては、特別な指示がない限り、その単位はmmである。
【0017】
本願発明者は、少ないレンズ枚数で超広角レンズを構成するにあたって、各種シミュレーションを行なった結果、少なくとも4つの面が非球面にすれば、5枚のレンズのうちの少なくとも4枚のレンズをプラスチックレンズとした4群5枚のレンズ構成であっても、画角が130°以上の広角レンズを得ることができるという知見を得た。
【0018】
また、本願発明者は、さらに、4つの面のうちの1面は接合レンズの接合面であって、以下の条件式を満たせば、画角が150°以上の広角レンズ、さらには、画角が180°以上の魚眼レンズと称せられる超広角レンズを構成することができるという知見を得た。すなわち、
接合レンズにおける接合面の有効径θにおける非球面量Xθ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式(1)
|Xθ/R|≧1.1 ・・・ 条件式(1)
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式(2)
|(θ/2)/R|≧1.2 ・・・ 条件式(2)
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面の有効径θにおける非球面量Xθは、以下の条件式(3)
|(θ/2)/Xθ|≦1.7 ・・・ 条件式(3)
を満たしている構成を採用すれば、画角が150°以上の広角レンズ、さらには、画角が180°以上の魚眼レンズと称せられる超広角レンズを構成することができる。
【0019】
ここで、上記の条件式(1)、(2)、(3)のうち、条件式(1)、(3)の双方を満たしている構成、条件式(2)、(3)の双方を満たしている構成を採用してもよい。さらには、上記の条件式(1)を満たしている構成、上記の条件式(2)を満たしている構成、あるいは上記の条件式(3)を満たしている構成を採用してもよい。
【0020】
また、上記の条件式(1)、(2)、(3)に代えて、以下の条件式(1a)、(2a)、(3a)
|Xθ/R|≧2.0 ・・・ 条件式(1a)
|(θ/2)/R|≧2.0 ・・・ 条件式(2a)
|(θ/2)/Xθ|≦1.5 ・・・ 条件式(3a)
を満たせば、さらに大きな画角、明るいFナンバーを設定した場合でも、色収差を解消することができる。
【0021】
また、5枚のレンズのうち、最も物体側のレンズは、屈折率nおよびAbbe数νが以下の条件式(4)
≦1.55 かつ ν≧50 ・・・ 条件式(4)
を満たしていることが好ましい。
【0022】
以下、本発明を適用した超広角レンズの具体的な構成例を説明する。以下に示す実施例1〜7に用いた接合レンズの接合面における中心曲率半径R0、接合面の有効径θにおける非球面量Xθ、接合面の有効径θ/2の値については表1にまとめて示してある。また、上記の条件式(1)〜(3)に示す以下の値
|Xθ/R
|(θ/2)/R
|(θ/2)/Xθ
についても、表1にまとめて示してある。なお、小数点下位6桁目の値については、計算の都合上、表2〜8に示す値を用いて計算した値と、表1に示す値が相違している場合がある。
【0023】
【表1】

【0024】
なお、以下に説明する実施例1〜7では、5枚のレンズのうち、物体側から第1番目のレンズ、および物体側から第2番目のレンズは負のパワーを有し、物体側から第3番目のレンズは、正のパワーを有し、物体側から第4番目のレンズと物体側から第5番目のレンズは、正のパワーを有するレンズと負のパワーを有するレンズが接合された接合レンズを構成しているが、物体側から第3番目のレンズは、負のパワーを有していてもよい。また、以下に説明する実施例1〜6では、物体側から第4番目のレンズと物体側から第5番目のレンズが構成する接合レンズにおいて、物体側から第4番目のレンズは負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズは正のパワーを有するが、実施例7のように、物体側から第4番目のレンズが正のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズは負のパワーを有する構成を採用してもよい。以下に説明する実施例1〜7では、非球面の数が6つ、あるいは7つであったが、4つ以上であればよい。
【0025】
また、以下に説明する実施例1〜7では、物体側から第3番目のレンズと第4番目のレンズの間に絞りが配置されているが、絞りについては、物体側から第2番目のレンズと第3番目のレンズの間に配置してもよい。
【0026】
さらに、射影方式については、立体射影方式、等距離射影方式、等立体射影方式、正射影方式のいずれにも対応でき、かつ、画角と像高が所定の関係式をもった射影方式にも対応することができる。
【0027】
(実施例1)
図1(a)、(b)は各々、本発明の実施例1に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。図1(a)には、レンズデータおよび非球面係数に対応する面ナンバーを括弧内に示してあり、面ナンバーの後ろに「*」を付した面は非球面であることを示す。また、図1(b)には、F線に対する収差については実線Fで示し、C線に対する収差については実線Cで示してある。
【0028】
図1(a)に示すように、本例の超広角レンズ10(魚眼レンズ)は、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ11からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ12からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ13からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ15からなる第4群とから構成されている。接合レンズ15において、物体側から第4番目のレンズ151は負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ152は正のパワーを有している。また、単レンズ13と接合レンズ15との間には絞り14が配置され、接合レンズ15の後方にはカバーガラス16が配置されている。
【0029】
本例の超広角レンズ10において、メニスカス単レンズ11(第1群)はガラスレンズであるが、単レンズ12(第2群)、および単レンズ13(第3群)はいずれも、プラスチックレンズである。また、接合レンズ15(第4群)を構成するレンズ151、152はいずれもプラスチックレンズである。
【0030】
ここで、メニスカス単レンズ11は、
屈折率n=1.5168
Abbe数ν=64.2
であり、条件式(4)を満たしている。
【0031】
かかる構成の超広角レンズ10における各レンズデータおよび非球面係数は、表2に示す通りであり、第3面、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計7面が非球面である。
【0032】
【表2】

【0033】
なお、表2に示す非球面係数は、下記の非球面関数
X=CY2/〔1+√{1−(K+1)C22}〕
+A44+A6DY6+A88+A1010
C=1/R
における各係数に相当する。従って、上式に有効径θ/2を代入すれば、接合レンズ15の接合面の有効径θにおける非球面量Xθを求めることができる。
【0034】
このように構成した超広角レンズ10では、接合レンズ15におけるレンズ151、152の接合面は、
中心曲率半径R=0.45113≒0.451
有効径θにおける非球面量Xθ=0.702016
有効径θ/2=0.8555
である。
【0035】
このため、|Xθ/R|=1.556128であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=1.896349であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=1.218634であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(3a)を満たしている。
【0036】
このように構成した超広角レンズ10の焦点距離は0.834であり、画角は190°である。このように本例の超広角レンズ10では、4群5枚のレンズ構成を有し、かつ、5枚のレンズのうちの少なくとも4枚のレンズがプラスチックレンズからなるため、画角が180°以上の魚眼レンズと称せられる超広角レンズを構成した場合でも、小型軽量、かつ、低コストのいずれにも対応することができる。また、計9つの面のうち、少なくとも4つの面が非球面であるため、図1(b)に示すように、少ない枚数で色収差を補正できるので、プラスチックレンズを多用しても、車載、住宅設備の周辺監視、セキュリティ用の光学センサに適用可能な1.3M程度の高解像を実現することができ、近赤外域の光線の焦点位置ずれを抑制できるので、近赤外域でも画質を大きく劣化させずに済む。
【0037】
また、実施例全てでセンサ面からの光学全長が14mm以下で物体側レンズの有効径がφ14mm以下であるので、撮像装置の小型化を図ることもできる。さらに、光学センサの視野角を190°とすることができるので、天井などに配置すると、死角が少なくなるので、光学センサ(監視カメラ)を動かすことなく、部屋全体を監視できる。
【0038】
(実施例2)
図2(a)、(b)は各々、本発明の実施例2に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。なお、以下に説明する実施例2〜7の広角レンズは、基本的な構成が実施例1と同様であるため、共通する部分の説明を省略する。
【0039】
図2(a)に示すように、本例の超広角レンズ20(魚眼レンズ)も、実施例1と同様、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ21からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ22からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ23からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ25からなる第4群とから構成されている。接合レンズ25において、物体側から第4番目のレンズ251は負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ252は正のパワーを有している。また、単レンズ23と接合レンズ25との間には絞り24が配置され、接合レンズ25の後方にはカバーガラス26が配置されている。
【0040】
本例の超広角レンズ20において、メニスカス単レンズ21(第1群)はガラスレンズであるが、単レンズ22(第2群)、単レンズ23(第3群)、および接合レンズ25(第4群)を構成するレンズ251、252はいずれもプラスチックレンズである。
【0041】
ここで、メニスカス単レンズ21は、
屈折率n=1.5168
Abbe数ν=64.2
であり、条件式(4)を満たしている。
【0042】
かかる構成の超広角レンズ20における各レンズデータおよび非球面係数は、表3に示す通りであり、第3面、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計7面が非球面である。
【0043】
【表3】

【0044】
このように構成した超広角レンズ20では、接合レンズ25におけるレンズ251、252の接合面は、
中心曲率半径R=0.700
有効径θにおける非球面量Xθ=0.796421
有効径θ/2=1.1185
である。
【0045】
かかる超広角レンズ20は、|Xθ/R|=1.137745であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=1.597857であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=1.404407であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(3a)を満たしている。
【0046】
このように構成した超広角レンズ20の焦点距離は0.8であり、画角は190°である。
【0047】
(実施例3)
図3(a)、(b)は各々、本発明の実施例3に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。図3(a)に示すように、本例の超広角レンズ30(魚眼レンズ)も、実施例1と同様、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ31からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ32からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ33からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ35からなる第4群とから構成されている。接合レンズ35において、物体側から第4番目のレンズ351は負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ352は正のパワーを有している。また、単レンズ33と接合レンズ35との間には絞り34が配置され、接合レンズ35の後方にはカバーガラス36が配置されている。
【0048】
本例の超広角レンズ30において、メニスカス単レンズ31(第1群)はガラスレンズであるが、単レンズ32(第2群)、単レンズ33(第3群)、および接合レンズ35(第4群)を構成するレンズ351、352はいずれもプラスチックレンズである。
【0049】
ここで、メニスカス単レンズ31は、
屈折率n=1.5168
Abbe数ν=64.2
であり、条件式(4)を満たしている。
【0050】
かかる構成の超広角レンズ30における各レンズデータおよび非球面係数は、表4に示す通りであり、第3面、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計7面が非球面である。
【0051】
【表4】

【0052】
このように構成した超広角レンズ30では、接合レンズ35におけるレンズ351、352の接合面は、
中心曲率半径R=0.400
有効径θにおける非球面量Xθ=1.045254
有効径θ/2=1.0255
である。
【0053】
かかる超広角レンズ30は、|Xθ/R|=2.613135であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=2.56375であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=0.981101であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(1a)、(2a)、(3a)を満たしている。
【0054】
このように構成した超広角レンズ30の焦点距離は1.09であり、画角は190°である。
【0055】
(実施例4)
図4(a)、(b)は各々、本発明の実施例4に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。図4(a)に示すように、本例の超広角レンズ40も、実施例1と同様、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ41からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ42からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ43からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ45からなる第4群とから構成されている。接合レンズ45において、物体側から第4番目のレンズ451は負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ452は正のパワーを有している。また、単レンズ43と接合レンズ45との間には絞り44が配置され、接合レンズ45の後方にはカバーガラス46が配置されている。
【0056】
本例の超広角レンズ40において、メニスカス単レンズ41(第1群)はガラスレンズであるが、単レンズ42(第2群)、単レンズ43(第3群)、および接合レンズ45(第4群)を構成するレンズ451、452はいずれもプラスチックレンズである。
【0057】
ここで、メニスカス単レンズ41は、
屈折率n=1.5168
Abbe数ν=64.2
であり、条件式(4)を満たしている。
【0058】
かかる構成の超広角レンズ40における各レンズデータおよび非球面係数は、表5に示す通りであり、第3面、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計7面が非球面である。
【0059】
【表5】

【0060】
このように構成した超広角レンズ40では、接合レンズ45におけるレンズ451、452の接合面は、
中心曲率半径R=0.453726≒0.454
有効径θにおける非球面量Xθ=0.783815
有効径θ/2=1.0285
である。
【0061】
かかる超広角レンズ40は、|Xθ/R|=1.727507であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=2.266788であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=1.312173であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(2a)、(3a)を満たしている。
【0062】
このように構成した超広角レンズ40の焦点距離は1.05であり、画角は160°である。
【0063】
(実施例5)
図5(a)、(b)は各々、本発明の実施例5に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。図5(a)に示すように、本例の超広角レンズ50(魚眼レンズ)も、実施例1と同様、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ51からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ52からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ53からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ55からなる第4群とから構成されている。接合レンズ55において、物体側から第4番目のレンズ551は負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ552は正のパワーを有している。また、単レンズ53と接合レンズ55との間には絞り54が配置され、接合レンズ55の後方にはカバーガラス56が配置されている。
【0064】
本例の超広角レンズ50においては、実施例1と違って、メニスカス単レンズ51(第1群)、単レンズ52(第2群)、単レンズ53(第3群)、および接合レンズ55(第4群)を構成するレンズ551、552はいずれもプラスチックレンズである。
【0065】
ここで、メニスカス単レンズ51は、
屈折率n=1.52996
Abbe数ν=55.8
であり、条件式(4)を満たしている。
【0066】
かかる構成の超広角レンズ50における各レンズデータおよび非球面係数は、表6に示す通りであり、第3面、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計7面が非球面である。
【0067】
【表6】

【0068】
このように構成した超広角レンズ50では、接合レンズ55におけるレンズ551、552の接合面は、
中心曲率半径R=0.400
有効径θにおける非球面量Xθ=1.139532
有効径θ/2=1.1935
である。
【0069】
かかる超広角レンズ50は、|Xθ/R|=2.84883であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=2.98375であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=1.04736であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(1a)、(2a)、(3a)を満たしている。
【0070】
このように構成した超広角レンズ50の焦点距離は0.82であり、画角は190°である。
【0071】
(実施例6)
図6(a)、(b)は各々、本発明の実施例6に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。図6(a)に示すように、本例の超広角レンズ60(魚眼レンズ)も、実施例1と同様、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ61からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ62からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ63からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ65からなる第4群とから構成されている。接合レンズ65において、物体側から第4番目のレンズ651は負のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ652は正のパワーを有している。また、単レンズ63と接合レンズ65との間には絞り64が配置され、接合レンズ65の後方にはカバーガラス66が配置されている。
【0072】
本例の超広角レンズ60において、メニスカス単レンズ61(第1群)はガラスレンズであるが、単レンズ62(第2群)、単レンズ63(第3群)、および接合レンズ65(第4群)を構成するレンズ651、652はいずれもプラスチックレンズである。
【0073】
ここで、メニスカス単レンズ61は、
屈折率n=1.5168
Abbe数ν=64.2
であり、条件式(4)を満たしている。
【0074】
かかる構成の超広角レンズ60における各レンズデータおよび非球面係数は、表7に示す通りである。
【0075】
【表7】

【0076】
このように構成した超広角レンズ60では、接合レンズ65におけるレンズ651、652の接合面は、
中心曲率半径R=0.464691≒0.465
有効径θにおける非球面量Xθ=0.601775
有効径θ/2=0.793
である。
【0077】
かかる超広角レンズ60は、|Xθ/R|=1.295001であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=1.706511であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=1.317767であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(3a)を満たしている。
【0078】
このように構成した超広角レンズ60の焦点距離は0.7であり、画角は190°である。
【0079】
(実施例7)
図7(a)、(b)は各々、本発明の実施例7に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。図7(a)に示すように、本例の超広角レンズ70も、実施例1と同様、物体側から順に負のパワーを持つメニスカス単レンズ71からなる第1群と、負のパワーを持つ単レンズ72からなる第2群と、正のパワーを持つ単レンズ73からなる第3群と、正のパワーを有する接合レンズ75からなる第4群とから構成されている。また、単レンズ73と接合レンズ75との間には絞り74が配置され、接合レンズ75の後方にはカバーガラス76が配置されている。
【0080】
本例の接合レンズ75においては、実施例1と違って、物体側から第4番目のレンズ751は正のパワーを有し、物体側から第5番目のレンズ752は負のパワーを有している。
【0081】
本例の超広角レンズ70において、メニスカス単レンズ71(第1群)はガラスレンズであるが、単レンズ72(第2群)、単レンズ73(第3群)、および接合レンズ75(第4群)を構成するレンズ751、752はいずれもプラスチックレンズである。
【0082】
ここで、メニスカス単レンズ71は、
屈折率n=1.5168
Abbe数ν=64.2
であり、条件式(4)を満たしている。
【0083】
かかる構成の超広角レンズ70における各レンズデータおよび非球面係数は、表8に示す通りであり、本例では、実施例1と違って、第4面、第5面、第6面、第8面、第9面および第10面の計6面が非球面である。
【0084】
【表8】

【0085】
このように構成した超広角レンズ70では、接合レンズ75におけるレンズ751、752の接合面は、
中心曲率半径R=−0.42
有効径θにおける非球面量Xθ=−1.62968
有効径θ/2=1.024
である。
【0086】
かかる超広角レンズ70は、|Xθ/R|=3.88019であり、条件式(1)を満たしている。また、|(θ/2)/R|=2.4381であり、条件式(2)を満たしている。さらに、|(θ/2)/Xθ|=0.62834であり、条件式(3)を満たしている。さらにまた、条件式(1a)、(2a)、(3a)を満たしている。
【0087】
このように構成した超広角レンズ70の焦点距離は1.3であり、画角は150°である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)、(b)は各々、本発明の実施例1に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【図2】(a)、(b)は各々、本発明の実施例2に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明の実施例3に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明の実施例4に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【図5】(a)、(b)は各々、本発明の実施例5に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【図6】(a)、(b)は各々、本発明の実施例6に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【図7】(a)、(b)は各々、本発明の実施例7に係る超広角レンズの説明図、およびこの超広角レンズの倍率色収差を示す収差図である。
【符号の説明】
【0089】
10、20、30、40、50、60、70 超広角レンズ
15、25、35、45、55、65、75 接合レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4群5枚のレンズ構成を有し、
5枚のレンズのうちの少なくとも4枚のレンズがプラスチックレンズからなり、
少なくとも4つの面が非球面であることを特徴とする超広角レンズ。
【請求項2】
前記非球面である少なくとも4つの面のうちの1面は接合レンズの接合面であることを特徴とする請求項1に記載の超広角レンズ。
【請求項3】
前記接合面の有効径θにおける非球面量Xθ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式
|Xθ/R|≧1.1
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式
|(θ/2)/R|≧1.2
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面の有効径θにおける非球面量Xθは、以下の条件式
|(θ/2)/Xθ|≦1.7
を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超広角レンズ。
【請求項4】
前記接合面の有効径θにおける非球面量Xθ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式
|Xθ/R|≧1.1
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面の有効径θにおける非球面量Xθは、以下の条件式
|(θ/2)/Xθ|≦1.7
満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超広角レンズ。
【請求項5】
前記接合面の有効径θ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式
|(θ/2)/R|≧1.2
を満たし、かつ、
前記接合面の有効径θ、および当該接合面の有効径θにおける非球面量Xθは、以下の条件式
|(θ/2)/Xθ|≦1.7
満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超広角レンズ。
【請求項6】
前記接合面の有効径θにおける非球面量Xθ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式
|Xθ/R|≧1.1
を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超広角レンズ。
【請求項7】
前記接合面の有効径θ、および当該接合面における中心曲率半径Rは、以下の条件式
|(θ/2)/R|≧1.2
を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超広角レンズ。
【請求項8】
前記接合面の有効径θ、および当該接合面の有効径θにおける非球面量Xθは、以下の条件式
|(θ/2)/Xθ|≦1.7
を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超広角レンズ。
【請求項9】
5枚のレンズのうち、最も物体側のレンズは、d線における屈折率nおよびAbbe数νが以下の条件式
≦1.55 かつ ν≧50
を満たしていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の超広角レンズ。
【請求項10】
前記5枚のレンズのうち、物体側から第1番目のレンズ、および物体側から第2番目のレンズは負のパワーを有し、
物体側から第3番目のレンズは、正あるいは負のパワーを有し、
物体側から第4番目のレンズと物体側から第5番目のレンズは、正のパワーを有するレンズと負のパワーを有するレンズが接合された接合レンズを構成していることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の超広角レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−63877(P2009−63877A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232568(P2007−232568)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(591021671)日本電産ニッシン株式会社 (13)
【Fターム(参考)】