説明

超電導磁石装置

【課題】この発明は、多段式蓄冷型冷凍機の交換性を容易にし、超電導コイルと多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージとの間の熱抵抗を低減できる超電導磁石装置を得る。
【解決手段】冷凍機取付シリンダ30は、第1および第2取付熱接続部33,35を熱シールド5および超電導コイルカートリッジ3に熱接続させて真空容器7に気密に取り付けられている。2段式蓄冷型冷凍機21Aは、第1および第2熱ステージ24,26を第1および第2取付熱接続部33,35に熱接続されて冷凍機取付シリンダ30に気密に取り付けられている。そして、ヘリウムガス60がヘリウム導入管40を介して2段式蓄冷型冷凍機21Aと冷凍機取付シリンダ30との間に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超電導コイルを多段式蓄冷型冷凍機で冷却する超電導磁石装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超電導磁石装置は、強い磁場を発生させるための装置で、超電導コイルを極低温に冷却し、電気抵抗がゼロで電流が流れる超電導状態として使用している。このため、ジュール発熱がなく、常電導磁石装置に比べて、強い磁場を少ない電力で発生させることが可能となる。
この種の超電導磁石装置においては、超電導コイルを冷却するために、従来液体ヘリウムが使用されていた。しかしながら、液体ヘリウムは、蒸発潜熱が非常に小さいので、取り扱いが難しく、また高価であった。そこで、冷凍機で直接超電導コイルを冷却する方式が提案されている。
【0003】
図9は例えば特許文献1に記載された従来超電導磁石装置を示す断面図である。
図において、超電導コイルカートリッジ3は、Nb3Sn製の超電導コイル2がアルミ等の金属で作製された支持体1に取り付けられて構成されている。この超電導コイルカートリッジ3は、真空容器7内に配設された熱シールド5内に収容されている。この真空容器7は、内部を高真空に保持されて、超電導コイルカートリッジ3や熱シールド5への熱侵入を低減している。そして、超電導コイルカートリッジ3は熱シールド5に第2断熱サポート4により断熱支持され、熱シールド5は第1断熱サポート6により真空容器7に断熱支持されている。
ここで、第2および第1断熱サポート4、6は熱伝導率が小さく、かつ、強度の大きな材料、例えばGFRP(Glass Fiber Resinforced Plastic)で作製されている。また、熱シールド5は熱伝導率が大きなアルミニウムや銅、あるいはそれらの合金で作製されている。
【0004】
2段式蓄冷型冷凍機21は、駆動部22、第1シリンダ23、第1熱ステージ24、第2シリンダ25、第2熱ステージ26、ガス配管27および圧縮機28から構成され、その第1および第2熱ステージ24、26により熱シールド5および超電導コイルカートリッジ3をそれぞれ50K程度および8K程度に冷却するものである。また、冷凍機取付シリンダ30は、2段式蓄冷型冷凍機21を着脱可能にし、その保守や交換を容易にするためのもので、取付フランジ31、第1取付シリンダ32、第1取付熱接続部33、第2取付シリンダ34および第2取付熱接続部35から構成されている。この取付シリンダ30は、その取付フランジ31を真空容器7に気密に取り付けられ、外部から真空容器7および熱シールド5を貫通して挿入されている。そして、第1取付熱接続部33が熱シールド5に熱接続され、第2取付熱接続部35が超電導コイルカートリッジ3に熱接続されている。さらに、2段式蓄冷型冷凍機21が、第1熱ステージ24を第1取付熱接続部33に熱接続され、第2熱ステージ26を第2取付熱接続部35に熱接続されるように、取付シリンダ30内に挿入されている。
【0005】
つぎに、従来の超電導磁石装置の動作について説明する。
2段式蓄冷型冷凍機21を運転すると、超電導コイルカートリッジ3の熱エネルギーは第2取付熱接続部35を介して第2熱ステージ26で吸収される。そこで、超電導コイルカートリッジ3は、2段式蓄冷型冷凍機21の第2熱ステージ26が吸収できる熱エネルギーの量、即ち冷凍能力と外部から伝導や輻射で侵入する熱エネルギーとがつり合う温度になる。この時、熱エネルギーを吸収するためには、熱抵抗に応じた温度勾配が必要であるので、超電導コイルカートリッジ3−第2取付熱接続部35−第2熱ステージ26の間の熱抵抗を小さくする必要がある。特に、第2取付熱接続部35−第2熱ステージ26は着脱可能に構成されているので、他の部分に比べて熱抵抗が大きくなる可能性があり、注意が必要である。超電導コイル2の運転温度は、超電導コイル2が安定して強い磁場を発生できるように、発生する磁場強度、超電導線の材質を考慮して設計される。この従来例では、超電導線にSn3Nbを選んでいるので、超電導コイルの運転温度は12K程度であり、冷凍能力特性から1K程度の温度勾配は許される。
【0006】
また、同様に、熱シールド5の熱エネルギーは、第1取付熱接続部33を通じて第1熱ステージ24で吸収される。そこで、熱シールド5は、2段式蓄冷型冷凍機21の第1熱ステージ24が吸収できる熱エネルギーの量、即ち冷凍能力と外部から伝導や輻射で侵入する熱エネルギーとがつり合う温度になる。この温度は、通常50K程度になるように設計されている。
また、上述の特許文献1には明記されていないが、その構造から2段式蓄冷型冷凍機21を取り付けて運転すると、取付シリンダ30と2段式蓄冷型冷凍機21との間の空気が冷却されて、ほぼ真空状態になると考えられるので、熱エネルギーの移動は熱伝導が主となる。そして、2段式蓄冷型冷凍機21を交換する際には、真空状態だと力を受けるので、超電導コイルカートリッジ3と熱シールド5の温度を常温まで上げる必要がある。
【0007】
従来の超電導磁石装置は、この状態で外部電源(図示せず)から電流を供給するパワーリード(図示せず)を用いて超電導コイル2に電流を流し、強い磁場を発生させる。この種の超電導磁石装置が用いられる代表的な例は医療用のMRI装置である。このような装置では、同じ強さの磁場を安定して発生させる必要があるので、超電導スイッチを用いて、永久電流状態で運転されている。そして、このような装置では、装置の安全性が人命に影響する場合も考えられるので、高い信頼性が要求される。
【0008】
上記従来の超電導磁石装置では、超電導コイル2としてNb3Snで作製された超電導線が用いられている。これは、蓄冷材に鉛を用いた2段式蓄冷型冷凍機21の到達温度が8K程度であり、NbTiの超電導線を用いた超電導コイルの冷却温度である4Kまで冷却できなかったからである。しかし、Nb3Snの超電導線は化合物であり、もろいため製作が難しく、また高価であるという課題があった。
【0009】
近年、磁性蓄冷材を用いて4Kでの冷凍発生を可能にした2段式蓄冷型冷凍機が開発され、Nb3Snに比べて作製しやすく安価なNbTiの超電導線を用いた超電導コイルを直接冷却する方式が提案されている。
図10は従来の超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
この図10に示された従来の超電導磁石装置では、伝熱板50がNbTiの超電導線を用いた超電導コイル2Aの周りに巻かれ、熱伝導部材51が2段式蓄冷型冷凍機21Aの第2熱ステージ26と伝熱板50との間に設置され、磁性蓄冷材を用いた2段式蓄冷型冷凍機21Aにより超電導コイル2Aを直接冷却するように構成されている。
また、4Kで冷凍を発生するのには多くの電力が必要となる。2段式蓄冷型冷凍機21Aの冷凍能力特性の一例を図11に示す。図11から、4K付近では冷凍能力が大きく変化していることが理解される。熱抵抗が大きく、温度差が1Kの場合は、超電導コイル2Aの温度を4.2Kにするためには、第2熱ステージ26の温度を3.2Kにする必要がある。図11から、冷凍能力は4.2Kでは0.5Wであるが、3.2Kでは0.1Wに激減していることが理解される。この結果、温度差が1Kつくと、5倍大きな冷凍機が必要となり、消費電力等の点から非常に不利となる。そこで、2段式蓄冷型冷凍機21Aを用いた超電導磁石装置においては、2段式蓄冷型冷凍機21を用いた超電導磁石装置に比べて、熱抵抗を極めて少なくし、超電導コイル2Aと第2熱ステージ26との温度勾配を少なくすることが肝要となる。
【0010】
そこで、従来、2段式蓄冷型冷凍機21Aの第2熱ステージ26を超電導コイルカートリッジ3に直接取り付ける方式が提案されている。しかし、この方式では、2段式蓄冷型冷凍機21Aを直接真空容器7に取り付けることになり、冷凍機の交換が困難となってしまう。また、超電導コイルカートリッジ3を構成する銅やアルミニウム、NbTi線材の比熱は4Kでは非常に小さくなる。このため、支持体1や超電導コイル2Aの4Kでの熱容量は小さく、2段式蓄冷型冷凍機21Aが停止すると、超電導コイル2Aの温度が容易に上昇してしまう。そこで、2段式蓄冷型冷凍機21Aは冷凍能力を安定して発生させるよう高い信頼性が要求される。
また、この種の超電導磁石装置が小物の物性測定装置等に使用される場合には、磁場を大きく変化させる必要があり、電源を接続した状態で使用される。このような場合には、頻繁に運転と停止を繰り返すので、MRI装置等に比べて信頼性に対する要求は小さいが、使いやすさと安全性が要求される。
【0011】
【特許文献1】特開平5−59568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図9に示される従来の超電導磁石装置では、2段式蓄冷型冷凍機21が、その第1および第2熱ステージ24、26を熱シールド5および超電導コイルカートリッジ3に熱接続されている第1および第2熱接続部33、35に熱接続するように取付シリンダ30内に挿入し、取り付けられているので、熱接続部での熱抵抗が大きくなり、大きな冷凍能力の2段式蓄冷型冷凍機21が必要となるとともに、消費電力の点から不利になるという課題があった。また、その運転状態において、取付シリンダ30と2段式蓄冷型冷凍機21との間が真空状態となっており、2段式蓄冷型冷凍機21を交換する際に、超電導コイルカートリッジ3と熱シールド5の温度を常温まで上げる必要があり、2段式蓄冷型冷凍機21の交換に時間を要するという課題もあった。
【0013】
また、図10に示される従来の超電導磁石装置では、2段式蓄冷型冷凍機21Aの第2熱ステージ26が熱伝導部材51および伝熱板50を介して超電導コイル2Aに熱接続されているので、熱接続部での熱抵抗が大きくなり、大きな冷凍能力の2段式蓄冷型冷凍機21Aが必要となるとともに、消費電力の点から不利になるという課題があった。また、2段式蓄冷型冷凍機21Aが真空容器7に直接取り付けられているので、2段式蓄冷型冷凍機21Aの交換に際しては、真空容器7内の真空状態を破らないように、シリンダ等の外筒部を残して内部構成部品を引き抜いての交換となり、2段式蓄冷型冷凍機21Aの交換が困難となるという課題もあった。さらに、超電導コイルカートリッジ3の4Kでの熱容量が小さいので、2段式蓄冷型冷凍機21Aが停止した際に超電導コイル2Aの温度が短時間に上昇し、超電導状態が容易に破られてしまうという課題もあった。
【0014】
また、図10に示される従来の超電導磁石装置の改良装置では、2段式蓄冷型冷凍機21Aの第2熱ステージ26が超電導コイルカートリッジ3に直接熱接続されているので、超電導コイルカートリッジ3の4Kでの熱容量が小さく、2段式蓄冷型冷凍機21Aが停止した際に超電導コイル2Aの温度が短時間に上昇し、超電導状態が容易に破られてしまうという課題があった。また、2段式蓄冷型冷凍機21Aが真空容器7に直接取り付けられているので、2段式蓄冷型冷凍機21Aの交換に際しては、真空容器7内の真空状態を破らないように、シリンダ等の外筒部を残して内部構成部品を引き抜いての交換となり、2段式蓄冷型冷凍機21Aの交換が困難となるという課題もあった。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、多段式蓄冷型冷凍機の交換性を容易にし、超電導コイルと多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージとの間の熱抵抗を低減できる超電導磁石装置を得ることを目的とする。
また、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際にも、超電導コイルの温度上昇を抑え、超電導状態を長時間維持できる超電導磁石装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、真空容器と、この真空容器内に配設された超電導コイルを有する超電導コイルカートリッジと、この超電導コイルカートリッジを囲繞するように上記真空容器内に配設された熱シールドと、複数の取付シリンダが各段の取付熱接続部を介して連結されて構成され、各段の取付熱接続部がそれぞれ上記熱シールドおよび上記超電導コイルカートリッジに熱的に接続されて上記真空容器に気密に取り付けられた冷凍機取付シリンダと、各段の熱ステージがそれぞれ上記冷凍機取付シリンダの各段の取付熱接続部に熱的に接続されて該冷凍機取付シリンダに取り付けられ、上記超電導コイルカートリッジを介して上記超電導コイルを略4Kまで伝導冷却する略4K冷却用の多段式蓄冷型冷凍機とを備えた超電導磁石装置において、上記冷凍機取付シリンダと上記多段式蓄冷型冷凍機との間の空間に、常温部からのヘリウムガスを供給可能にするヘリウムガス導入管を上記冷凍機取付シリンダに設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、多段式蓄冷型冷凍機の交換性を容易にし、超電導コイルと多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージとの間の熱抵抗を低減できるとともに、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際にも、超電導コイルの温度上昇を抑え、超電導状態を長時間維持できる超電導磁石装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る超電導磁石装置を示す断面図である。
図において、超電導コイルカートリッジ3は、NbTi製の超電導コイル2Aがアルミ等の金属で作製された支持体1に取り付けられて構成されている。この超電導コイルカートリッジ3は、真空容器7内に配設された熱シールド5内に収容されている。この真空容器7は、内部を高真空に保持されて、超電導コイルカートリッジ3や熱シールド5への熱侵入を低減している。そして、超電導コイルカートリッジ3は熱シールド5に第2断熱サポート4により断熱支持され、熱シールド5は第1断熱サポート6により真空容器7に断熱支持されている。
ここで、第2および第1断熱サポート4、6は熱伝導率が小さく、かつ、強度の大きな材料、例えばGFRP(Glass Fiber Resinforced Plastic)で作製されている。また、熱シールド5は熱伝導率が大きなアルミニウムや銅、あるいはそれらの合金で作製されている。
【0019】
2段式蓄冷型冷凍機21Aは、駆動部22、第1シリンダ23、第1熱ステージ24、第2シリンダ25、第2熱ステージ26、さらに図示していないがガス配管および圧縮機から構成され、第2シリンダ25内の蓄冷材としてGdRh,Gd0.5Er0.5Rh等の磁性蓄冷材を用い、その第1および第2熱ステージ24、26により熱シールド5および超電導コイルカートリッジ3をそれぞれ50K程度および4K程度に冷却するものである。また、冷凍機取付シリンダ30は、2段式蓄冷型冷凍機21Aを着脱可能にし、その保守や交換を容易にするためのもので、取付フランジ31、第1取付シリンダ32、第1取付熱接続部33、第2取付シリンダ34および第2取付熱接続部35から構成されている。この取付シリンダ30は、その取付フランジ31を真空容器7に気密に取り付けられ、外部から真空容器7および熱シールド5を貫通して挿入されている。そして、第1取付熱接続部33が熱シールド5に熱接続され、第2取付熱接続部35が超電導コイルカートリッジ3に熱接続されている。さらに、2段式蓄冷型冷凍機21Aが、第1熱ステージ24を第1取付熱接続部33に熱接続され、第2熱ステージ26を第2取付熱接続部35に熱接続されるように、取付シルンダ30に挿入され気密に取り付けられている。
ここで、各シリンダには例えばステンレススチールが用いられ、各熱ステージおよび各取付熱接続部には例えば銅やアルミニウムが用いられる。
【0020】
また、ヘリウム導入管40がその一端を取付シリンダ30の内部に臨むように取付フランジ31に取り付けられている。そして、第1の継ぎ手42がこのヘリウム導入管40の他端に取り付けられている。さらに、締切弁41、安全弁47および圧力計48がヘリウム導入管40に取り付けられている。
また、配管44がヘリウム容器46に接続され、第2の継ぎ手43が配管44の他端に取り付けられている。そして、減圧弁45が配管44に取り付けられている。
【0021】
このように構成された超電導磁石装置を運転する際には、まず第1の継ぎ手42と第2の継ぎ手43とを接続してヘリウム導入管40と配管44とを連結し、締切弁41を開け、減圧弁45により大気圧程度に減圧されたヘリウムガス60をヘリウム容器46から配管44、締切弁41およびヘリウム導入管40を介して取付シリンダ30内に導入する。
2段式蓄冷型冷凍機21Aが運転され、初期冷却が進むと、取付シリンダ30内に導入されたヘリウムガス60が冷却されて減圧弁45の設定値以下の圧力となると、新たなヘリウムガス60が上記経路を通って導入され、取付シリンダ30内の圧力がほぼ大気圧に制御される。そして、最終的に第2熱ステージ26の温度が略4Kになると、取付シリンダ30内のヘリウムガス60の一部が液化し、液体ヘリウム61となって取付シリンダ30の第2シリンダ25の底部に溜まる。所定量の液体ヘリウム61を発生して初期冷却が完了すると、ヘリウム容器46が不要となるので、締切弁41を閉じ、ヘリウム容器46を第2の継ぎ手43から分離する。
【0022】
ここで、第2熱ステージ26と第2取付熱接続部35との熱接続は、固体の接触に、液体ヘリウム61の沸騰と凝縮に伴う良好な熱接続が加わり、同様に、第1熱ステージ24と第1取付熱接続部33との熱接続は、固体の接触に、ヘリウムガス60の対流と伝導に伴う良好な熱接続が加わっている。
そこで、超電導コイルカートリッジ3の熱エネルギーは第2取付熱接続部35および液体ヘリウム61を介して第2熱ステージ26で吸収されて、略4Kに冷却される。また、熱シールド5の熱エネルギーは第1取付熱接続部33およびヘリウムガス60を介して第1熱ステージ24で吸収されて、略50Kに冷却される。
この状態で外部電源(図示せず)から電流を供給するパワーリード(図示せず)を用いて超電導コイル2Aに電流を流し、強い磁場を発生させる。
【0023】
このように、この実施の形態1によれば、第2熱ステージ26と第2取付熱接続部35との熱接続が、固体の接触に加え、液体ヘリウム61の沸騰と凝縮に伴う良好な熱接続が加わり、両者間の熱接続部の熱抵抗が大幅に低減される。同様に、第1熱ステージ24と第1取付熱接続部33との熱接続が、固体の接触に加え、ヘリウムガス60の対流と伝導に伴う良好な熱接続が加わり、両者間の熱接続部の熱抵抗が大幅に低減される。そこで、超電導コイル2Aと第2熱ステージ26との間の温度勾配、さらには熱シールド5と第1熱ステージ24との間の温度勾配が極めて少なくなり、大きな冷凍能力の冷凍機を用いる必要がなくなるとともに、消費電力の点でも非常に有利となる。
また、取付シリンダ30の底部に液体ヘリウム61が溜められているので、2段式蓄冷型冷凍機21Aが停止しても、液体ヘリウム61が蒸発しきるまでは超電導コイル2Aを略4Kに維持でき、長時間超電導状態を保つことができるようになる。
また、取付シリンダ30と2段式蓄冷型冷凍機21Aとの間が大気圧のヘリウムガス60で満たされているので、2段式蓄冷型冷凍機21Aを交換する際に力を受けず、従来の装置のように超電導コイルカートリッジ3や熱シールド5の温度を常温まで上げる必要がなく、交換時間を短縮できるとともに、交換作業性を向上させることができる。
【0024】
なお、圧力計48のレンジは真空から2×105Pa(2bar)程度が望ましい。このような範囲の真空計を用いることで、気体温度計を構成することが可能となり、安価に第2熱ステージ26の温度を測定することが可能となる。
また、停電等の事故の際には、液体ヘリウム61が蒸発し、取付シリンダ30内の圧力が大きく上昇する可能性があるが、安全弁47を用いているので、内部圧力が過度に上昇すれば、安全弁47が作動して内部圧力が所定値を越えないように制御され、安全性が確保される。
【0025】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係る超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
この実施の形態2では、図2に示されるように、液体ヘリウム貯液容器70が取付シリンダ30の第2取付熱接続部35に設けられ、液体ヘリウム導入路71が液体ヘリウム貯液容器70と冷凍機取付シリンダ30の内部とを連通するように第2取付熱接続部35に穿設されている。ここで、液体ヘリウム貯液容器70は、第2取付熱接続部35と同様に熱伝導率の大きな銅やアルミニウムで作製されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0026】
このように構成された超電導磁石装置では、2段式蓄冷型冷凍機21Aが運転され、初期冷却が進むと、取付シリンダ30内に導入されたヘリウムガス60が冷却されて減圧弁45の設定値以下の圧力となると、新たなヘリウムガス60が上記経路を通って導入され、取付シリンダ30内の圧力がほぼ大気圧に制御される。そして、最終的に第2熱ステージ26の温度が略4Kになると、取付シリンダ30内のヘリウムガス60の一部が液化し、液体ヘリウム61となって取付シリンダ30の第2シリンダ25の底部から液体ヘリウム導入路71を通って液体ヘリウム貯液容器70内に溜まる。
従って、この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0027】
この実施の形態2においても、2段式蓄冷型冷凍機21Aが停止しても、液体ヘリウム61が蒸発する間4.2Kを保つことができる。
例えば、高い信頼性が要求される医療用MRI装置に用いられる超電導磁石装置の4Kへの熱侵入量は0.5W程度となる。液体ヘリウムの蒸発潜熱から計算すると、1Wの入熱の際のヘリウム蒸発量は1.4l/hである。そこで、例えば20lの液体ヘリウム貯液容器70を用いると、
20/(0.5×1.4)=29時間
の間、超電導状態を保つことが可能となる。これに対し、超電導コイルカートリッジ3の熱容量だけで温度上昇を計算すると30分以内に超電導状態が破れる可能性があり、液体ヘリウムの効果が大きいことがわかる。
従って、この実施の形態2による超電導磁石装置は、永久電流モードで用い、高い信頼性が要求される医療用超電導磁石装置にも十分適用できるものである。この場合、永久電流スイッチ(図示せず)は超電導コイル2Aと直列に設置することになる。
【0028】
実施の形態3.
この実施の形態3では、図3に示されるように、液体ヘリウム貯液容器70の一部に熱接続部72が設けられ、液体ヘリウム貯液容器70が熱接続部72を介して超電導コイルカートリッジ3の支持体1に熱接続するようにしている。
なお、他の構成は上記実施の形態2と同様に構成されている。
【0029】
この実施の形態3では、ほぼ4Kに保持されている液体ヘリウム貯液容器70が熱接続部72を介して超電導コイルカートリッジ3に強固に熱接続している。そこで、超電導コイルカートリッジ3の熱伝導のみで冷却する場合には超電導コイルカートリッジ3に温度勾配が生じやすいが、ほぼ4Kに保持されている液体ヘリウム貯液容器70を熱接続することにより、温度勾配を低減することができる。
【0030】
実施の形態4.
この実施の形態4では、図4に示されるように、2個の超電導コイルカートリッジ3が上下に離れて配置され、2個の液体ヘリウム貯液容器70が超電導コイルカートリッジ3のそれぞれに熱接続するように配置され、2個の液体ヘリウム貯液容器70がヘリウム連通管73により連結されている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
【0031】
離れて配置された2個の超電導コイルカートリッジ3の熱伝導のみで冷却する場合には、温度勾配が大きくなり、超電導コイルカートリッジ3の温度が上昇してしまう。
この実施の形態4では、2個の液体ヘリウム貯液容器70はヘリウム連通管73で連結されているので、液体ヘリウム61を各液体ヘリウム貯液容器70に自由に導入でき、各液体ヘリウム貯液容器70をほぼ4Kに保持できる。そこで、2個の超電導コイルカートリッジ3が離れていても、各超電導コイルカートリッジ3はそれぞれほぼ4Kに保持されている液体ヘリウム貯液容器70に熱接続部72を介して熱接続されているので、温度上昇が抑えられ、低い温度に保持される。
【0032】
実施の形態5.
この実施の形態5では、図5に示されるように、容器49がヘリウム導入管40の経路中に設けられ、締切弁41が容器49と第1継ぎ手42との間に設けられている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0033】
上記実施の形態1による超電導磁石装置では、運転を中止した際に、液体ヘリウム61は蒸発し体積を増やし、取付シリンダ30内のヘリウムガス60は温度上昇に伴って膨張するので、圧力が上昇する。そして、取付シリンダ30内の圧力が過度に上昇すれば、安全弁47が作動し、ヘリウムガス60を外部に放出することになる。
しかしながら、この実施の形態5では、取付シリンダ30内で温度上昇に伴って膨張したヘリウムガス60はヘリウム導入管40を通って常温部に設けられた容器49内に押し出され、取付シリンダ30内の圧力上昇が抑えられる。従って、超電導コイルカートリッジ3が常温に戻っても、安全弁47が作動せず、取付シリンダ30内のヘリウム量が維持され、ヘリウム容器46からヘリウムガス60を補充する必要がなく、コスト的に有利となる。
このように、上記実施の形態5によれば、運転と停止とを繰り返すことが多い実験用超電導磁石装置に十分適用できる超電導磁石装置が得られる。
なお、容器49の容積が大きいほど圧力上昇は小さくなるが、容器49は安全弁47が作動しない適当な大きさにすることが望ましい。
【0034】
実施の形態6.
この実施の形態6では、図6に示されるように、2段式蓄冷型冷凍機21Aが第1シリンダ23の外径と第1熱ステージ24の外径とを略等しく、さらに第2シリンダ25の外径と第2熱ステージ26との外径とを略等しく構成され、冷凍機取付シリンダ30が第1取付シリンダ32の内径を第1熱ステージ24の外径と略等しく、第2取付シリンダ34の内径を第2熱ステージ26の外径と略等しく構成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0035】
上記実施の形態1による超電導磁石装置では、運転を中止した際に、液体ヘリウム61は蒸発し体積を増やし、取付シリンダ30内のヘリウムガス60は温度上昇に伴って膨張するので、圧力が上昇する。この圧力上昇は液体ヘリウム61の量が多く、温度の低い部分の容積が大きい程大きくなる。
しかしながら、この実施の形態6では、第1シリンダ23の外径および第1取付シリンダ32の内径が第1熱ステージ24の外径と略等しく、第2シリンダ25の外径および第2取付シリンダ34の内径が第2熱ステージ26の外径と略等しくなっているので、第1シリンダ23と第1取付シリンダ32との隙間、さらには第2シリンダ25と第2取付シリンダ34との隙間が小さく、2段式蓄冷型冷凍機21Aと冷凍機取付シリンダ30との間の空隙の容積を小さくできる。
そこで、運転を中止した際の取付シリンダ30内の圧力上昇を抑えることができ、上記実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0036】
実施の形態7.
この実施の形態7では、図7に示されるように、詰め物80、81が第1シリンダ23と第1取付シリンダ32との隙間および第2シリンダ25と第2取付シリンダ34との隙間にそれぞれ挿入されている。この詰め物80、81は低熱伝導率材、例えば天然ゴムの発泡体を円筒状に成形したものである。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0037】
この実施の形態7においても、詰め物80、81により2段式蓄冷型冷凍機21Aと冷凍機取付シリンダ30との間の空隙の容積が小さくなり、上記実施の形態6と同様の効果が得られる。
【0038】
実施の形態8.
この実施の形態8では、図8に示されるように、冷凍機取付シリンダ30の第1取付シリンダ32および第2取付シリンダ34が、繊維強化樹脂、例えばGFRPで作製されている。そして、第1取付シリンダ32の両端が取付フランジ31および第1取付熱接続部33の外周部に接合され、第2取付シリンダ34の両端が第1取付熱接続部33および第2取付熱接続部35の外周部に接合されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0039】
この実施の形態8では、第1および第2取付シリンダ32、34がステンレススチールに比べて熱伝導率の小さいGFRPで作製されているので、熱侵入量を小さく抑えることができる。
また、GFRPは熱収縮率が大きく、ヘリウム導入管40を介して外部からヘリウムガスを導入して初期冷却を行った際に、第1および第2取付シリンダ32、34は熱収縮するが、第1および第2取付シリンダ32、34を取付フランジ31、第1および第2取付熱接続部33、35の外周部に接合しているので、冷凍機取付シリンダ30の気密性は確保され、ヘリウムガスの漏れを防止することができる。
【0040】
上記実施の形態8では、第1および第2取付シリンダ32、34を繊維強化樹脂であるGFRPで作製するものとしているが、GFRPに代えてCFRP(C-arbon Fiber Resinforced Plastic)で作製してもよい。
この場合、CFRPはGFRPと同様に熱伝導率の小さい材料であるが、温度の高い領域では比較的に熱を伝える特性を有しているので、初期冷却を行う際に、冷凍能力の大きな第1熱ステージ24の冷凍能力の一部を使用することが可能となり、初期冷却時間を提言することができる。
【0041】
なお、上記各実施の形態では、2段式蓄冷型冷凍機を用いるものとしているが、蓄冷型冷凍機は2段式に限定されるものではなく、熱シールドの設置数に合わせて選択すればよく、例えば熱シールドが超電導コイルカートリッジを囲繞するように2重に配設されていれば、3段式蓄冷型冷凍機を用いることになる。
また、この発明は、上記各実施の形態の特徴部分を組み合わせた超電導磁石装置にも適用されるものである。
【0042】
この発明によれば、真空容器と、この真空容器内に配設された超電導コイルを有する超電導コイルカートリッジと、この超電導コイルカートリッジを囲繞するように上記真空容器内に配設された熱シールドと、複数の取付シリンダが各段の取付熱接続部を介して連結されて構成され、各段の取付熱接続部がそれぞれ上記熱シールドおよび上記超電導コイルカートリッジに熱的に接続されて上記真空容器に気密に取り付けられた冷凍機取付シリンダと、各段の熱ステージがそれぞれ上記冷凍機取付シリンダの各段の取付熱接続部に熱的に接続されて該冷凍機取付シリンダに取り付けられ、上記超電導コイルカートリッジを介して上記超電導コイルを略4Kまで伝導冷却する略4K冷却用の多段式蓄冷型冷凍機とを備えた超電導磁石装置において、上記冷凍機取付シリンダと上記多段式蓄冷型冷凍機との間の空間に、常温部からのヘリウムガスを供給可能にするヘリウムガス導入管を上記冷凍機取付シリンダに設けたので、多段式蓄冷型冷凍機の交換性を容易にし、超電導コイルと多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージとの間の熱抵抗を低減できるとともに、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際にも、超電導コイルの温度上昇を抑え、超電導状態を長時間維持できる超電導磁石装置を得ることができる。
【0043】
また、常温で供給されたヘリウムガスを上記多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージと上記冷凍機取付シリンダとの間の空間において少なくともその一部を液化するようにしているので、多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージと冷凍機取付シリンダとの熱接続が、固体の接触に加え、液体ヘリウムの沸騰と凝縮に伴う良好な熱接続が加わり、両者間の熱接続部の熱抵抗が大幅に低減される。
【0044】
また、上記冷凍機取付シリンダのヘリウムガス導入管に締切弁を備えているので、冷凍機取付シリンダ内へのヘリウムガスの導入が容易となる。
【0045】
また、液体ヘリウム貯液容器が上記冷凍機取付シリンダの最終段の取付熱接続部の外周部に配設され、液体ヘリウム導入路が上記冷凍機取付シリンダと上記液体ヘリウム貯液容器とを連通するように上記最終段の取付熱接続部に穿設されているので、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際にも、超電導状態をより長時間維持できるようになる。
【0046】
また、上記液体ヘリウム貯液容器の一部に熱接続部が設けられ、上記超電導コイルカートリッジが熱接続部を介して上記液体ヘリウム貯液容器に熱接続されているので、超電導コイルカートリッジの温度勾配を低減することができる。
【0047】
また、複数個の超電導コイルカートリッジが分散配置され、上記複数個の超電導コイルカートリッジが上記熱接続部を介して上記液体ヘリウム貯液容器にそれぞれ熱接続されているので、分散配置された超電導コイルカートリッジの温度をそれぞれ低く抑えることができる。
【0048】
また、上記冷凍機取付シリンダ内のヘリウムガスの膨張に伴う圧力上昇を緩和する容器が上記ヘリウムガス導入管の常温部に設けられているので、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際の冷凍機取付シリンダ内の圧力上昇を抑えることができる。
【0049】
また、上記多段式蓄冷型冷凍機のシリンダの外径と上記冷凍機取付シリンダの
取付シリンダの内径とが上記熱ステージの外径と略一致するように構成されているので、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際の冷凍機取付シリンダ内の圧力上昇を抑えることができる。
【0050】
また、低熱伝導率材からなる詰め物が上記冷凍機取付シリンダの取付シリンダと上記多段式蓄冷型冷凍機のシリンダとの隙間に挿入されているので、多段式蓄冷型冷凍機が停止した際の冷凍機取付シリンダ内の圧力上昇を抑えることができる。
【0051】
また、上記冷凍機取付シリンダの取付シリンダが繊維強化樹脂で作製されているので、熱侵入量を抑えることができる。
【0052】
また、上記繊維強化樹脂はカーボン繊維強化樹脂であるので、初期冷却時間の短縮が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施の形態1に係る超電導磁石装置を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係る超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態5に係る超電導磁石装置を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態6に係る超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態7に係る超電導磁石装置の要部を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態8に係る超電導磁石装置に適用される冷凍機取付シリンダを示す断面図である。
【図9】従来の超電導磁石装置を示す断面図である。
【図10】従来の超電導磁石装置の他の例の要部を示す断面図である。
【図11】2段式蓄冷型冷凍機の冷凍特性を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
2A 超電導コイル、3 超電導コイルカートリッジ、5 熱シールド、7 真空容器、21A 2段式蓄冷型冷凍機、23 第1シリンダ、24 第1熱ステージ、25 第2シリンダ、26 第2熱ステージ、30 冷凍機取付シリンダ、32 第1取付シリンダ、33 第1取付熱接続部、34 第2取付シリンダ、35 第2取付熱接続部、40 ヘリウム導入管、41 締切弁、49 容器、60 ヘリウムガス、61 液体ヘリウム、70 液体ヘリウム貯液容器、71 液体ヘリウム導入路、72 熱接続部、80、81 詰め物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、この真空容器内に配設された超電導コイルを有する超電導コイルカートリッジと、この超電導コイルカートリッジを囲繞するように上記真空容器内に配設された熱シールドと、複数の取付シリンダが各段の取付熱接続部を介して連結されて構成され、各段の取付熱接続部がそれぞれ上記熱シールドおよび上記超電導コイルカートリッジに熱的に接続されて上記真空容器に気密に取り付けられた冷凍機取付シリンダと、各段の熱ステージがそれぞれ上記冷凍機取付シリンダの各段の取付熱接続部に熱的に接続されて該冷凍機取付シリンダに取り付けられ、上記超電導コイルカートリッジを介して上記超電導コイルを略4Kまで伝導冷却する略4K冷却用の多段式蓄冷型冷凍機とを備えた超電導磁石装置において、
上記冷凍機取付シリンダと上記多段式蓄冷型冷凍機との間の空間に、常温部からのヘリウムガスを供給可能にするヘリウムガス導入管を上記冷凍機取付シリンダに設けたことを特徴とする超電導磁石装置。
【請求項2】
常温で供給されたヘリウムガスを上記多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージと上記冷凍機取付シリンダとの間の空間において少なくともその一部を液化することにより、上記多段式蓄冷型冷凍機の最終段熱ステージと上記冷凍機取付シリンダとの熱接続部の熱抵抗を低減させることを特徴とする請求項1記載の超電導磁石装置。
【請求項3】
上記冷凍機取付シリンダのヘリウム導入管に締切弁を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超電導磁石装置。
【請求項4】
液体ヘリウム貯液容器が上記冷凍機取付シリンダの最終段の取付熱接続部の外周部に配設され、液体ヘリウム導入路が上記冷凍機取付シリンダと上記液体ヘリウム貯液容器とを連通するように上記最終段の取付熱接続部に穿設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の超電導磁石装置。
【請求項5】
上記液体ヘリウム貯液容器の一部に熱接続部が設けられ、上記超電導コイルカートリッジが上記熱接続部を介して上記液体ヘリウム貯液容器に熱接続されていることを特徴とする請求項4記載の超電導磁石装置。
【請求項6】
複数個の超電導コイルカートリッジが分散配置され、上記複数個の超電導コイルカートリッジが上記熱接続部を介して上記液体ヘリウム貯液容器にそれぞれ熱接続されていることを特徴とする請求項5記載の超電導磁石装置。
【請求項7】
上記冷凍機取付シリンダ内のヘリウムガスの膨張に伴う圧力上昇を緩和する容器が上記ヘリウムガス導入管の常温部に設けられていることを特徴とする請求項3記載の超電導磁石装置。
【請求項8】
上記多段式蓄冷型冷凍機のシリンダの外径と上記冷凍機取付シリンダの取付シリンダの内径とが上記熱ステージの外径と略一致するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の超電導磁石装置。
【請求項9】
低熱伝導率材からなる詰め物が上記冷凍機取付シリンダの取付シリンダと上記多段式蓄冷型冷凍機のシリンダとの隙間に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の超電導磁石装置。
【請求項10】
上記冷凍機取付シリンダの取付シリンダが繊維強化樹脂で作製されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の超電導磁石装置。
【請求項11】
上記繊維強化樹脂はカーボン繊維強化樹脂であることを特徴とする請求項10記載の超電導磁石装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−93723(P2006−93723A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301522(P2005−301522)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【分割の表示】特願平9−328744の分割
【原出願日】平成9年11月28日(1997.11.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】