説明

超電導装置

【課題】電極付近における着霜や結露を抑制させるのに貢献できる超電導装置を提供する。
【解決手段】超電導装置は、臨界温度以下において超電導現象を示す超電導部と、超電導部を収容する基体4と、基体4に収容されている超電導部22がこれの臨界温度以下となるように超電導部22を冷却させるための冷却部3と、空気雰囲気に配置され超電導部22に電気的に接続され超電導部22に給電する電極5と、電極5を基体4に固定する固定部70と、電極55および/または固定部70に熱エネルギを与えて電極55および/または固定部70の表面を結露温度または着霜温度以上に維持することにより、結露および/または着霜を抑制する電極温度調整要素100とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極をもつ超電導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨界温度以下において超電導現象を示す超電導部と、超電導部を断熱状態に収容する基体と、容器内の超電導部が臨界温度以下となるように超電導部を冷却させるための冷却部と、超電導部に電気的に接続され超電導部に給電する電極とを有する超電導装置が知られている(特許文献1,2)。このものによれば、超電導部をこれの臨界温度以下に冷却させれば、超電導部の超電導現象が得られ、電気エネルギが節約される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−89345号公報
【特許文献2】特開2008−159828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した超電導装置によれば、使用時には、超電導部がこれの臨界温度以下の極低温に冷却されるため、電極もその影響で冷却される。そして、電極が空気雰囲気に晒されていると、空気に含まれる気相状の水蒸気に起因して、結露が電極の表面に発生したりする。電極の表面が更に低温になると、着霜が電極の表面に発生したりするおそれがある。具体的には、電極付近の空気が飽和蒸気圧となる温度まで冷却されると、電極または基体の表面において結露がはじまる。更に電極の表面温度が0℃以下となると、結露水が氷結したり、空気に含まれている気相状の水蒸気が電極または基体の表面において着霜したりするおそれがある。このような場合、超電導装置の使用に制限がかかることがある。ここで、着霜は、空気中に含まれる気相状の水分が冷却されて霜を形成する現象をいう。結露は、空気中に含まれる気相状の水分が冷却されて凝縮水を形成する現象をいう。更には氷結した水分が融解・凝固を繰り返すと、水分の凝固は体積膨脹を発生させるため、電極付近において機械的な損傷が誘発されるおそれがある。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、電極付近における着霜や結露を抑制させるのに貢献できる超電導装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る超電導装置は、臨界温度以下において超電導現象を示す超電導部と、超電導部を収容する基体と、基体に収容されている超電導部がこれの臨界温度以下となるように超電導部を冷却させるための冷却部と、超電導部または電気機器に給電すると共に冷却部による冷却の影響を受ける電極と、電極を基体に固定する固定部と、電極および/または固定部に熱エネルギを与えて電極および/または固定部の表面を着霜温度または結露温度以上に維持することにより、結露または着霜を抑制する電極温度調整要素とを具備することを特徴とする。
【0007】
電極は、超電導部または電気機器に電気的に接続されており、超電導部または電気機器に給電する。電気機器としては超電導部以外の電気機器が挙げられる。固定部は電極を基体に固定するものである。冷却部により超電導部がこれの臨界温度以下に維持されていると、超電導部が超電導状態を示す。冷却部の冷却の影響を受けて、電極が冷却されると共に、電極を固定する固定部も冷却される。電極および/または固定部の表面が結露温度または着霜温度未満に過剰に冷却されると、電極および/または固定部の表面において、結露または着霜が発生するおそれがある。
【0008】
電極温度調整要素は、電極および/または固定部に熱エネルギを与える。このため電極および/または固定部の表面を結露温度または着霜温度以上に維持することができる。これにより電極および/または固定部近傍の空気雰囲気が水蒸気を含むときであっても、結露または着霜が抑制される。
【発明の効果】
【0009】
超電導部に給電する電極温度調整要素は、超電導部が冷却部により冷却されて過剰に低温とされるとき、電極および/または固定部に熱エネルギを与え、電極および/または固定部の表面を結露温度または着霜温度以上に維持する。これにより電極および/または固定部の近傍の空気雰囲気が水蒸気を含むときであっても、結露および/または着霜が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係り、超電導装置を示す断面図である。
【図2】実施例1に係り、超電導装置の電極付近を拡大して示す断面図である。
【図3】実施例2に係り、超電導装置の電極付近を拡大して示す断面図である。
【図4】実施例3に係り、超電導装置の電極付近を拡大して示す断面図である。
【図5】実施例4に係り、超電導装置の電極付近を拡大して示す断面図である。
【図6】実施例5に係り、超電導装置の電極付近を拡大して示す断面図である。
【図7】実施例6に係り、超電導装置を示す断面図である。
【図8】実施例7に係り、超電導装置を示す断面図である。
【図9】実施例8に係り、超電導装置を示す断面図である。
【図10】実施例9に係り、超電導装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超電導部は、これの臨界温度以下に冷却されると、超電導状態を示すものであり、形状および構造を問わない。更に、冷却部は、超電導部材の超電導状態を維持するために超電導部をこれの臨界温度以下の低温に維持するものである。低温は極低温が好ましい。極低温とは、超電導部の超電導状態を維持できる温度域以下とすることができる。従って、超電導部を構成する超電導材料の臨界温度または組成によって、極低温状態の温度域は相違する。極低温状態とは、実用的には、窒素ガスの液化温度(77K)以下よりも低温であることが好ましい。但し、極低温状態とは、超電導部材の組成によっては100K以下、150K以下でよい場合がある。冷却部は冷凍機を含む構造であっても良いし、あるいは、冷凍機からの低温を超電導部側に伝熱させる伝熱機構でも良いし、あるいは、冷凍機を搭載せずに、極低温の冷媒(例えば液化ヘリウム、液化窒素、液化酸素)を断熱保持する機構でも良い。
【0012】
電極温度調整要素は、電極および/または固定部に熱エネルギを与え、電極および/または固定部の表面を結露温度または着霜温度以上に維持するものである。結露温度は降温により結露が開始される温度である。着霜温度は降温により着霜が開始される温度である。電極温度調整要素は、電極および/または固定部に熱交換媒体の熱エネルギを供給する方式を採用することが好ましい。熱交換媒体は気体、液体のいずれでも良い。気体は空気、窒素ガス、窒素富化ガス、アルゴンガス等が挙げられる。気体であれば、電極と熱交換した後にそのまま大気に放出することもできる。液体としては水(電気絶縁性が高い純水を含む)、オイル、不凍液があげられる。液体であれば、熱交換量を増加できる。
【0013】
本発明の一視点によれば、好ましくは、電極温度調整要素は、電極および/または固定部に熱エネルギを与える熱交換媒体が供給される熱交換室と、熱交換室に熱交換媒体を供給するための熱交換媒体供給部とを備えている。電極の温度調整を考慮すると、熱交換室は電極に隣設されていることが好ましい。
【0014】
本発明の一視点によれば、好ましくは、熱交換室と超電導部との間には、真空断熱室が配置されている。この場合、熱交換室に熱エネルギが与えられても、真空断熱室により熱交換室から超電導部に熱侵入することが抑制される。
【0015】
本発明の一視点によれば、冷却部がコンプレッサを搭載している場合には、好ましくは、電極温度調整要素は、冷却部に設けられているコンプレッサを熱交換媒体で冷却させる熱交換媒体循環通路と、熱交換媒体循環通路の熱交換媒体を熱交換室に供給するための搬送源とを備えている。搬送源としては、熱交換媒体の種類に応じてポンプ、ファン、ブロア、コンプレッサが例示される。
【0016】
本発明の一視点によれば、電極温度調整要素により電極および/または固定部に熱エネルギを与え、電極および/または固定部の表面を着霜温度または結露温度以上に維持することにより、着霜または結露を抑制するモードと、電極温度調整要素が電極および/または固定部に熱エネルギを与えることを抑えるモードとを切り替える切替要素が設けられていることができる。
【実施例1】
【0017】
図1および図2は実施例1を示す。本実施例は、あくまでも本発明の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施例は超電導装置の代表例である磁場発生装置の一例として超電導モータ装置に適用している。図1は、本例に係る超電導モータ装置1を示す。超電導モータ装置1は、車載用、定置用、産業用等に利用できるものであり、磁場発生部として機能する超電導モータ2と、冷却部として機能する極低温発生部3と、基体として機能する容器4とを有する。
【0018】
ここで、超電導モータ2は、位相が120度ずつそれぞれ相違する三相の交流電流を給電するモータを形成する。超電導モータ2は、これの軸心P1の回りを1周する円筒形状をなす固定子20と、固定子20に対して回転可能な可動子として機能する回転子27とを有する。回転子27は、超電導モータ2の軸心P1の回りで回転可能に支持された回転軸28と、回転軸28の外周部にこれの周方向に間隔を隔てて配置された複数個の永久磁石部29とを有する。永久磁石部29は公知の永久磁石で形成できる。
【0019】
固定子20は、透磁ヨークとして機能する透磁率が高い材料で形成された円筒形状をなす固定鉄心21と、固定鉄心21を構成するティース部210に巻回されて保持された超電導部として機能する超電導コイル22とを有する。ティース部210は、径内方向に均等な間隔を隔てて複数個配置されている。なお、図1において、超電導コイル22において、ティース部210を挟むコイル線22xとコイル線22yとは、互いに逆向きに電流を流す。
【0020】
超電導コイル22は三相の交流電流を通電できるように3個に分割されている。超電導コイル22は公知の超電導材料で形成されている。超電導コイル22は、固定鉄心21の内周部に形成されたスロットル溝21a内に配置されている。三相の交流電流が超電導コイル22に流れると、固定子20の回りつまり軸心P1の回りを回転する回転磁場が発生する。回転磁場により回転子27がこれの軸心P1の回りで回転し、モータ機能が得られる。
【0021】
極低温発生部3は、超電導コイル22の超電導状態を維持するために超電導コイル22を極低温に維持するものである。極低温発生部3で得られる極低温の温度領域は、超電導コイル22を構成する超電導材料の材質に応じて選択されるが、窒素液化温度以下にでき、例えば、例えば0〜150K、殊に1〜100K、1〜80Kとすることができる。但し、超電導材料の材質によってはこれらに限定されるものではない。極低温発生部3は、極低温をコールドヘッド32において発生させる冷凍機30を有する。冷凍機30としては、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機、ギホードマクマホン冷凍機、ソルベイ冷凍機、ヴィルマイヤー冷凍機等といった公知の冷凍機を例示できる。
【0022】
冷凍機30のコールドヘッド32と超電導モータ2の固定子20の固定鉄心21とを伝熱可能に繋ぐ伝熱材料を基材とする熱伝導部33が設けられている。熱伝導部33は、コールドヘッド32で低温に冷却されるヘッド33hをもつ。熱伝導部33は、高い伝熱性を有する材料(例えば、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金)等で形成されている。
【0023】
図1に示すように、容器4は容器状をなしており、超電導コイル22を断熱させる断熱室として機能する減圧断熱室として機能する真空断熱室40を形成する。真空とは、大気圧よりも断熱を維持できる程度の減圧状態であることを意味し、大気圧よりも減圧されていればよく、例えば10−1Pa以下、10−2Pa以下、あるいは10−5Pa以下とすることができる。容器4の真空断熱室40は、固定子20に巻回されて保持されている超電導コイル22の外周側(外側)を固定子20の外周側(外側)と共に包囲する外側真空断熱室41(例えば10−1Pa以下,10−2Pa以下)と、超電導コイル22の内周側(内側)を固定子20の内周側(内側)と共に包囲する内側真空断熱室42(圧力:例えば10−1Pa以下,10−2Pa以下)とを有する。なお、真空断熱室40は出荷時に高真空状態(大気圧よりも減圧されている状態)に維持されているが、メンテナンス等により長期にわたり高真空状態に維持されることが好ましい。
【0024】
この場合、超電導コイル22は外側真空断熱室41と内側真空断熱室42とで包囲されているため、超電導コイル22は極低温状態に維持され、ひいては超電導状態が維持される。図1に示すように、外側真空断熱室41は、固定子20の外周部を包囲する第1断熱室部分41aと、熱伝導部33のヘッド部33hおよびコールドヘッド32の外側を包囲する第2断熱室部分41cとを有する。第2断熱室部分41cは、熱伝導部33およびコールドヘッド32を包囲しており、これらの低温を維持する。
【0025】
図1に示すように、容器4は、外側から内側にかけて、同軸的に配置された第1容器43、第2容器44、第3容器45、第4容器46を有する。第1容器43および第2容器44は、外側真空断熱室41を形成するように、固定鉄心21の径方向において互いに対面する。第3容器45および第4容器46は、内側真空断熱室42を形成するように、固定鉄心21の径方向において互いに対面する。
【0026】
第4容器46で区画される円筒形状の空間47には、回転子27が回転可能に配置されている。空間47は大気に連通している。回転子27は回転作動体に連結されている。なお、超電導モータ装置1が自動車等の車両に搭載される場合には、回転作動体は走行用のホィール等が例示される。従って、回転子27が回転すると、ホィールが回転することができる。
【0027】
図1に示すように、第1容器43は、超電導モータ2の外周部を包囲する筒状の第1包囲部431と、超電導コイル22に給電する3相用の電流導入線56を案内する案内室432を形成する筒状をなす案内部433と、コールドヘッド32および熱伝導部33を覆うように第2包囲部434と、冷凍機30の冷媒ガスを圧縮させるコンプレッサ30aのフランジ30cを取り付けるための取付フランジ部435とを有する。図1に示すように、案内部433は、第1容器43のうち超電導モータ2を包囲する第1包囲部431から突設されている。なお、第1容器43の外側は大気開放とすることができるが、これに限定されるものではない。第1容器43の外側は断熱材で覆われていても良い。
【0028】
第1容器43を構成する材料としては、漏れ磁束を透過させないか、あるいは、透過させにくいこと、強度を有することが好ましい。このような材料としては、透磁率が低い非磁性等の金属材料(例えばオーステナイト系等のステンレス鋼等の合金鋼)が例示される。第2容器44,第3容器45,第4容器46を構成する材料としては、磁束の変化に基づく渦電流を抑制すべく、電気抵抗が高い材料が好ましい。このような材料としては、樹脂、補強材強化樹脂、セラミックス等が例示される。補強材強化樹脂の補強材はガラス、セラミックス等の無機物が例示される。補強材は補強繊維が好ましく、ガラス繊維、セラミックス繊維等の無機繊維が例示される。樹脂は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも良い。
【0029】
図1に示すように、第1容器43に部分的に突設されている筒形状をなす案内部433の先端部には、プレート状の固定部70が固定されている。固定部70は、電気的および熱的に絶縁性が高い材料、および/または、磁束を透過させにくい材料で形成されていることが好ましい。例えば、透磁率が低い非磁性,常磁性等の金属材料(例えばオーステナイト系)、樹脂、繊維強化樹脂、セラミックスが例示される。案内室432は外側真空断熱室41に連通しているため、超電導モータ2の駆動時には真空断熱状態(減圧断熱状態)とされ、断熱機能を発揮することができる。従って電極5はできるだけ低温に維持されやすい。
【0030】
図1に示すように、複数(3個)の電極5は、超電導コイル22に電流導入線56を介して電気的に接続されており、超電導コイル22に給電する導電材料を基材とする端子である。電極5は、固定部70から離間する方向に固定部70から突出する突出部55を有する。電極5は、第1容器43の案内部433の先端部の固定部70に固定状態に保持されている。なお、電極5を形成する材料としては導電材料であれば特に限定されず、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、銀、銀合金等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、要するに導電性を有するものであれば良い。
【0031】
さて本実施例によれば、超電導コイル22に電極5から給電しているときには、超電導コイル22は極低温状態に冷却されている。このため超電導コイル22の低温の影響を電極5が受け、電極5付近の空気の着霜温度や結露温度以下に電極5が冷却されるおそれがある。この点について本実施例によれば、図1に示すように、熱交換媒体の熱エネルギを電極5および/または固定部70に与え、電極5および/または固定部70の表面を着霜温度および/または結露温度以上に維持する電極温度調整要素100が設けられている。この電極温度調整要素100は、電極5および固定部70に熱エネルギを与える熱交換媒体が供給される電極温度調整室として機能する熱交換室102と、熱交換室102に熱交換媒体を供給するための熱交換媒体供給部104とを備えている。熱交換媒体は液体でも、気体でも、気相および液相が混在するミストでも良い。液体としては、水(電気絶縁性が高い純水を含む)、不凍液、オイル(シリコンオイル、エンジンオイル等)が例示される。気体としては、空気、窒素ガス、窒素富化ガス、アルゴンガス等が例示される。熱交換媒体供給部104は、着霜温度および/または結露温度よりも高い温度をもつ熱交換媒体(0℃を超える温度)を熱交換室102に供給できるポンプ機能をもつ。熱交換媒体供給部104は、熱交換室102の入口102iおよび出口102pに連通する通路106をもつ。
【0032】
図2に示すように、熱交換室102は、容器4の第1容器43に設けられており、固定部70と、熱交換室102の室空間を介して固定部70に対面する仕切盤110と、電気絶縁材料で形成された筒体112とを備えている。筒体112は、電極5を嵌合する嵌合孔112aを有すると共に、電極5の外壁面5sを同軸的に包囲する。電気絶縁性が高い筒体112により、熱交換室102、固定部70および仕切盤110等に対して、電極5は電気的に絶縁されている。図2に示すように、筒体112の一端部112eは、固定部70の貫通孔70mにシール部70kでシールされつつ挿入されている。筒体112の他端部112fは、仕切盤110の貫通孔110mにシール部110kでシールされつつ挿入されている。シールにより熱交換媒体の漏れが防止されている。シール部70k,110kは、高いシール性および高い電気絶縁性を有する。
【0033】
仕切部材として機能する仕切盤110は、案内室432に隣設している。従って熱交換室102と超電導コイル22との間には、断熱性が高い案内室432(真空断熱室)が介在している。このため熱交換室102の熱エネルギは超電導コイル22に伝達されにくくなり、電極5を温度調整しつつも、超電導コイル22を低温状態に維持させるのに有利である。上記した筒体112は、セラミックス、樹脂等の電気絶縁性が高い材料で形成されている。セラミックスとしては、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化硅素、炭化硅素、ムライト、窒化アルミニウム、ベリリア、窒化硼素などが例示される。樹脂としては、熱交換媒体を吸収しにくい材質が好ましい。なお案内室432は高真空状態であるため、水蒸気を含んでおらず、結露や着霜の不具合は抑えられている。
【0034】
配置関係の一例としては、固定部70は上側に、仕切盤110は下側に配置することができる。この場合、熱交換媒体供給部104の作動が停止し、熱交換媒体の流れが停止しているとき、熱交換室102内の対流により、相対的に温度が低い熱交換媒体が下側の仕切盤110側に滞留するため、仕切盤110の温度を低めにでき、案内室432側への熱侵入量が抑制される。但し、固定部70および仕切盤110の位置関係は、これに限定されるものではなく、逆でも良く、更には、固定部70および仕切盤110は鉛直方向に沿っていても良い。
【0035】
さて、超電導モータ2が駆動されるときには、図略の切替スイッチがオンされると、外部の電源に繋がる電極5に三相の交流が給電される。ひいては超電導コイル22に給電される。この結果、超電導モータ2において回転磁場が軸心P1の回りで発生し、回転子27が軸心P1の回りで回転する。これにより超電導モータ2が駆動される。ここで、磁束は第3容器45,内側真空断熱室42,第4容器46を透過し、回転子27の永久磁石部29に吸引および反発作用を発生させ、回転子27が回転する。このように超電導モータ2が回転駆動されるとき、極低温発生部3が発生する極低温により超電導コイル22および固定鉄心21は、極低温状態に良好に維持される。故に、超電導コイル22がこれの臨界温度以下に良好に維持され、超電導モータ2は良好に回転駆動する。なお、超電導コイル22の電気抵抗は0かあるいは著しく低いため、超電導モータ20の出力は高い。なお本実施例によれば、第4容器46の内周面で形成される空間47は、大気に連通する。このため第4容器46は第3容器45よりも高温側とされている。
【0036】
以上説明したように本実施例によれば、超電導コイル22に電極5から給電しているとき、超電導コイル22は超電導状態を示すべく、極低温状態に維持されている。このため、その影響を受け、電極5や固定部70は、電極5の突出部55付近の空気の結露温度以下または着霜温度以下に冷却されるおそれがある。この場合、電極5の突出部55の表面、あるいは、固定部70の表面などにおいて、結露水が発生したり、着霜が発生したりするおそれがある。この点について本実施例によれば、結露または着霜が発生するおそれがあるとき、あるいは、発生しているとき、電極温度調整要素100は、熱交換媒体の熱エネルギを電極5に与え、電極5および/または固定部70の表面を着霜温度および/または結露温度以上に維持する。ここで、電極温度調整要素100は、電極5および/または固定部70に熱エネルギを与える熱交換媒体が供給される熱交換室102と、熱交換室102に熱交換媒体を供給するための熱交換媒体供給部104とを備えている。
【0037】
熱交換媒体供給部104は、着霜温度または結露温度よりも高い温度をもつ熱交換媒体を熱交換室102に供給できる。これにより、電極5の突出部55、固定部70の表面における温度調整が実施され、電極5および/または固定部70の過剰低温化が抑制される。従って、電極5の突出部55および/または固定部70が空気に触れる環境であっても、空気に含まれる水蒸気が電極5および/または固定部70の表面において、結露したり、着霜したりすることが効果的に抑制される。従って、結露や着霜の影響を抑えつつ、電極5から超電導コイル22に良好に給電できる。
【0038】
更に本実施例によれば、電気絶縁性が高い電気絶縁部材として機能する筒体112により、熱交換室102、固定部70および仕切盤110等に対して、電極5は充分に絶縁されている。このため、水等のような導電性を有する熱交換媒体を熱交換室102に供給したとしても、別段の支障がない。加えて本実施例によれば、熱交換室102の流路断面積は、通路106の流路断面積よりも大きい。このため、熱交換室102を流れる熱交換媒体の流速は、通路106の流速よりも低めとなる。従って、熱交換室102を流れる熱交換媒体と電極5との熱交換時間が確保され、電極5の温度調整が良好に実施される。
【0039】
本実施例によれば、熱交換媒体供給部104を作動させて熱交換媒体を熱交換室102に供給させるタイミングとしては、特に限定されないが、冷凍機30が作動開始する前、作動開始と同時に、作動開始後でも良く、電極5および/または固定部70付近において結露または着霜が発生する前が好ましい。但し、結露または着霜が発生した後において、熱交換媒体供給部104の作動を開始させて熱交換媒体を熱交換室102に供給させることにしても良い。
【0040】
更に本実施例によれば、図1に示すように、熱交換室102と超電導コイル22との間には、断熱性が高い真空断熱室である案内室432が介在している。このため熱交換室102内を流れる熱交換媒体の熱エネルギは、超電導コイル22側に伝達されにくくなる。従って、超電導コイル22を低温状態に維持させるのに有利であり、超電導コイル22の超電導状態が良好に維持される。更に、仕切盤110が金属であれば、仕切盤110から案内室432に向かう輻射熱も抑制できる。なお、電磁波が可視光波長領域である場合には、熱輻射の放射率および吸収率については、金属は樹脂やセラミックスと大差がないもの、電磁波が赤外線波長領域である場合には、熱輻射の放射率および吸収率については、金属は樹脂やセラミックスに比較してかなり小さい。
【実施例2】
【0041】
図3は実施例2を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様の構成および作用効果を有するため、図1を準用する。図3に示すように、電極5の突出部55や固定部70の表面に着霜または結露が発生したことを検知するセンサ300が設けられている。センサ300は、発光部301と受光部303とを有する。着霜または結露が電極5に発生していないときには、発光部301からの光は電極5の表面近くを透過し、受光部303で良好に受光される。これに対して、着霜または結露が電極5および/または固定部70に発生しているときには、発光部301からの光は霜や結露水により反射され、受光部303で受光され無いか、あるいは、受光されにくい。このため着霜または結露が制御装置350により検知される。
【0042】
従って、着霜または結露がセンサ300により検知されていないときには、制御装置350は電極温度調整要素100の熱交換媒体供給部104を作動させず、従って、熱エネルギを与える熱交換媒体を熱交換室102に供給しない。これに対して着霜または結露が制御装置350により検知されたら、制御装置350は電極温度調整要素100の熱交換媒体供給部104を作動させ、熱エネルギを与える熱交換媒体を熱交換室102に供給することができる。
【0043】
勿論、着霜または結露がセンサ300により検知されていないときであっても、制御装置350は電極温度調整要素100の熱交換媒体供給部104を作動させ、熱エネルギを与える熱交換媒体を熱交換室102に供給することにしても良い。センサ300の方式は光式に限定されず、導電式、視覚式でも良い。
【実施例3】
【0044】
図4は実施例3を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様の構成および作用効果を有する。電極5に熱エネルギを与える乾燥気体(例えば乾燥空気)で形成された熱交換媒体が供給される熱交換室102が設けられている。着霜温度または結露温度よりも高い温度をもつ乾燥気体で形成された熱交換媒体が、入口102iから熱交換室102に供給され、出口102pから吐出される。これにより電極5の温度調整が熱交換室102において実施される。従って電極5の突出部55が空気に触れる環境であっても、空気に含まれる水蒸気が電極5の表面において、結露したり、着霜したりすることが抑制される。更に熱交換室102には、水ではなく、乾燥気体が熱交換媒体として供給されるため、電極5の外壁面5sは、電気絶縁性が高い筒体により被覆されておらず、熱交換室102に直接対面しているため、外壁面5sにおける熱交換効率を高め得る。なお、電極5は、固定部70に対してシール部70wでシールされており、仕切盤110に対してシール部110wでシールされている。シール部70w,110wは電気絶縁性を有することが好ましい。
【実施例4】
【0045】
図5は実施例4を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様の構成および作用効果を有する。熱交換媒体供給部104Dは、着霜温度および/または結露温度よりも高い温度をもつ熱交換媒体を供給できるポンプ機能をもち、電極5のうち固定部70よりも突出する突出部55の外壁面に非接触(図5では非接触)でまたは接触させてスパイラル状に巻回された熱交換室として機能する通路106Dを形成するスパイラル管109をもつ。スパイラル管109の通路106Dを流れる液状または気体状の熱交換媒体により、電極5は温度調整される。スパイラル管108は、金属パイプ管で形成されていても良いし、あるいは、図示しないものの、金属パイプ管の外壁面に電気絶縁層が被覆されていても良い。
【実施例5】
【0046】
図6は実施例5を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様の構成および作用効果を有する。図6に示すように、固定部70は仕切盤110の上側に配置されている。固定部70は、電極5の突出部55から下降傾斜する傾斜面70tをもつ。従って万一、電極5の突出部55および/または固定部70で着霜した霜が解凍されて水が発生したときであっても、水を傾斜面70tに沿って流下させ得るため、水を電極5の突出部55から離間させることができる。なお、送風機能のほかにヒータ機能を有する乾燥促進装置により、電極5の突出部55および/または固定部70付近を乾燥させることが好ましい。
【実施例6】
【0047】
図7は実施例6を示す。本実施例は基本的には実施例1と同様の構成および作用効果を有する。図7に示すように、電極温度調整要素100は、冷却部としての極低温発生部3に設けられている冷凍機30のコンプレッサ30aを熱交換媒体(冷却液)で冷却させる熱交換媒体循環通路131と、熱交換媒体循環通路131の熱交換媒体を熱交換室102に供給するための搬送源として機能するポンプ133とを備えている。更に、熱交換媒体循環通路131を流れる熱交換媒体をラジエータとして機能する放熱させる放熱器135が、熱交換媒体循環通路131において熱交換室102の上流に設けられている。通路131、ポンプ133、放熱器135は、冷凍機30のコンプレッサ30aを冷却させるために従来より搭載されている。本実施例は、従来から搭載されている通路131、ポンプ133、放熱器135を有効利用している。
【0048】
ここで、ポンプ133が駆動すると、熱交換媒体循環通路131に熱交換媒体が循環する。ここで、熱交換媒体は、コンプレッサ30aと熱交換してコンプレッサ30aを冷却させると共に加熱される。加熱された熱交換媒体は、放熱器135で放熱されて冷却された後に、入口102iから熱交換室102に供給され、出口102pから吐出される。このため熱交換媒体により電極5は温度調整される。これにより電極5および/または固定部70付近は、着霜温度および/または結露温度以上に維持される。従って電極5の突出部55が空気に触れている環境であっても、空気に含まれる水蒸気が電極5および/または固定部70の表面に着霜したり、結露したりすることが抑制される。従って電極5から超電導コイル22に良好に給電できる。
【0049】
ところで、電極5の温度が過剰に高温になると、着霜や結露は防止できるものの、電極5から電流導入線56を介して超電導コイル22側に熱侵入するおそれがある。この点本実施例によれば、放熱器135で放熱されて一旦冷却された後の熱交換媒体を熱交換室102に供給し、電極5を温度調整することにしている。このため、電極5や固定部70の温度が過剰に高温になることが抑制される。従って電極5や固定部70から超電導コイル22への熱侵入量が抑えられる。
【0050】
本実施例によれば、コンプレッサ30aと熱交換してコンプレッサ30aを冷却させる熱交換媒体は、コンプレッサ30aの上流に位置する熱交換室102において電極5との熱交換により冷却される。このためコンプレッサ30aに流れる直前の熱交換媒体の温度を低下させて熱交換媒体の冷却能力を高めることが期待される。この場合、コンプレッサ30aを効果的に冷却できる。場合によっては放熱器135を廃止しても良い。
【実施例7】
【0051】
図8は実施例7を示す。本実施例は基本的には実施例6と同様の構成および作用効果を有する。図8に示すように、電極温度調整要素100は、冷却部としての極低温発生部3に設けられているコンプレッサ30aを熱交換媒体で冷却させる熱交換媒体循環通路131と、熱交換媒体循環通路131の熱交換媒体を熱交換室102に供給するための搬送源として機能するポンプ133とを備えている。更に、熱交換媒体循環通路131を流れる熱交換媒体を放熱させる放熱器135が、熱交換媒体循環通路131に設けられている。熱交換媒体循環通路131は、熱交換室102を迂回する迂回路138と、迂回路138の入口に設けられた三方弁で形成された切替弁139(切替要素)とを有する。切替弁139は、熱交換室102に供給する熱交換媒体の単位時間あたりの流量を連続的にまたは断続的に可変に調整できる。
【0052】
電極5および/または固定部70に着霜または結露が発生しているとき、あるいは、発生するおそれがあるときには、切替弁139が切り替えられ、熱交換媒体循環通路131を流れる熱媒体が熱交換室102に多量に供給され、電極5および/または固定部70が温度調整される。ここで、電極5および/または固定部70における着霜または結露は、センサ300により検知される。これに対して、着霜または結露が発生していないとき、発生するおそれがないときには、切替弁139が切り替えられ、熱交換媒体は迂回路138に流れるものの、熱交換室102に供給されない。あるいは、熱交換室102に流れる熱交換媒体の単位時間あたりの流量が小さくなる。このように熱交換媒体が熱交換室102に供給されないか、熱交換室102に供給されることが制限される。この結果、ポンプ133の駆動エネルギを節約できるばかりか、熱交換媒体の熱エネルギが熱交換室102から電極5に与えられることが抑制される。故に、電極5および/または固定部70の過剰昇温が抑制され、電極5から超電導コイル22への熱侵入量が抑制される。このように切替弁139は、着霜または結露の防止のために電極5を温度調整するモードと、電極5を温度調整しないモードとに切り替える切替要素として機能する。
【実施例8】
【0053】
図9は実施例8を示す。本実施例は基本的には実施例6,7と同様の構成および作用効果を有する。図9に示すように、電極5の突出部55および/または固定部70(結露場所または着霜場所)に向けて気体状の熱交換媒体(例えば空気等)を送風するファンを有する乾燥促進装置400が設けられている。これにより万一、着霜または結露が電極5および/または固定部70に発生したときであっても、霜が溶けた水または結露水を送風により早期に乾燥させることを期待できる。乾燥促進装置400は送風機能のほかにヒータ機能を有していても良い。
【実施例9】
【0054】
図10は実施例9を示す。本実施例は基本的には実施例5と同様の構成および作用効果を有する。エンジン400を有する車両に車載用として適用した場合である。図10に示すように、電極温度調整要素100Eは、エンジン400を熱交換媒体(エンジン冷却液)で冷却させる熱交換媒体循環通路131Eと、熱交換媒体循環通路131Eの熱交換媒体を循環させると共に熱交換室102に供給するための搬送源として機能するポンプ133とを備えている。更に、熱交換媒体循環通路131を流れる熱交換媒体の熱を外部に放出させる放熱器135がラジエータとして熱交換媒体循環通路131に熱交換室102の下流に設けられている。ポンプ133が駆動すると、熱交換媒体循環通路131に熱交換媒体が循環する。ここで、熱交換媒体は、エンジン400と熱交換してエンジン400を冷却させると共に加熱される。加熱された熱交換媒体は、放熱器135に至り、放熱器135で放熱されて冷却された後に、放熱器135の下流に位置する入口102iから熱交換室102に供給され、出口102pから吐出される。このため熱交換室102の熱交換媒体により電極5の温度調整は実施される。これにより電極5付近は、着霜温度および/または結露温度以上に維持される。従って水蒸気が電極5の表面に着霜したり、結露したりすることが抑制される。
【0055】
電極5および固定部70の温度が過剰に高温になると、着霜や結露は防止できるものの、電極5から電流導入線56を介して超電導コイル22側に熱侵入するおそれがある。この点本実施例によれば、エンジン400を冷却した後に放熱器135で放熱されて一旦冷却された熱交換媒体を熱交換室102に供給し、電極5を温度調整することにしている。このため、電極5および/または固定部70を温度調整する熱交換媒体の温度が過剰に高温になることが抑制されている。故に、熱交換室102内の電極5および/または固定部70の温度が過剰に高温になることが抑制されている。従って電極5から超電導コイル22への熱侵入量ができるだけ抑えられる。
【0056】
本実施例によれば、図10から理解できるように、エンジン400と熱交換してエンジン400を冷却させるエンジン冷却水で形成された熱交換媒体は、エンジン400の上流に位置する熱交換室102において電極5と熱交換して冷却される。このためエンジン400に流れる直前の熱交換媒体の温度を低下させることができる。ひいては、エンジン400に流れる直前の熱交換媒体の冷却能力を高めることが期待される。この場合、エンジン400を効果的に冷却できる。更に、万一、着霜または結露が電極5の突出部55および/または固定部70付近に発生したときであっても、霜が溶けた水または結露水を、送風機能をもつ乾燥促進装置400からの送風により早期に乾燥させることが期待できる。
【実施例10】
【0057】
上記した実施例1によれば、回転子27は、軸心P1の回りで回転可能に支持された回転軸28と、回転軸28の外周部にこれの周方向に間隔を隔てて配置された複数個の永久磁石部29とを有する。しかしこれに限らず、固定子20側に永久磁石部が設けられており、回転子27側に超電導コイル22が設けられていても良い。上記した実施例1によれば、車載用の超電導モータ装置1に適用しているが、車載用に限らず、定置用でも良い。上記した実施例によれば、超電導モータ装置1は回転タイプであるため、可動子は回転子27とされているが、可動子を直動させる直動タイプのリニアモータでも良い。この場合、固定子20は一方向に延設された形状となり、可動子を直動させる可動磁場を発生させる。超電導モータ装置1は三相モータであるが、これに限らず、二相モータでも良い。上記した実施例によれば、回転子27が永久磁石部29を有し、固定子20は、固定鉄心21と、固定鉄心21に巻回されて保持された超電導コイル22とを有するが、これに限られるものではない。固定子が永久磁石部を有し、回転子が超電導コイルを有する構造でも良い。固定部70はプレート状とされているが、これに限定されるものではなく、アーム状、柱状でも良い。実施例1では、固定鉄心21は筒形状とされているが、周方向に複数に分割された分割体を周方向に組み付けて筒体としても良い。ある実施例に特有の構造および機能は他の実施例にも適用できる。例えば、結露または着霜を検知するセンサ300を全実施例に適用しても良い。その他、本発明は上記した実施形態および実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は例えば産業用、車載用、医療用等の超電導装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1は超電導モータ装置(超電導装置)、2は超電導モータ、20は固定子、21は固定鉄心、22は超電導コイル(超電導部)、27は回転子(可動子)、3は極低温発生部(冷却部)、30は冷凍機、30aはコンプレッサ、32はコールドヘッド、33は熱伝導部、4は容器(基体)、41は外側真空断熱室、42は内側真空断熱室、43は第1容器、432は案内室(真空断熱室)、44は第2容器、45は第3容器、46は第4容器、41は外側真空断熱室、42は内側真空断熱室、100は電極温度調整要素、102は熱交換器、104は熱交換媒体供給部、106は通路、110は仕切壁、112は筒体、131は熱交換媒体循環通路、133はポンプ(搬送源)、135は放熱器、138は迂回路、139は切替弁を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨界温度以下において超電導現象を示す超電導部と、
前記超電導部を収容する基体と、
前記基体に収容されている前記超電導部がこれの臨界温度以下となるように前記超電導部を冷却させるための冷却部と、
前記超電導部または電気機器に給電すると共に前記冷却部による冷却の影響を受ける電極と、
前記電極を前記基体に固定する固定部と、
前記電極および/または前記固定部に熱エネルギを与えて前記電極および/または前記固定部の表面を着霜温度または結露温度以上に維持することにより、結露および/または着霜を抑制する電極温度調整要素とを具備することを特徴とする超電導装置。
【請求項2】
請求項1において、前記電極温度調整要素は、前記電極および/または前記固定部に熱エネルギを与える熱交換媒体が供給される熱交換室と、前記熱交換室に前記熱交換媒体を供給するための熱交換媒体供給部とを備えていることを特徴とする超電導装置。
【請求項3】
請求項2において、前記熱交換室と前記超電導部との間には、真空断熱室が配置されていることを特徴とする超電導装置。
【請求項4】
請求項2または3において、前記冷却部はコンプレッサを備えており、前記電極温度調整要素の前記熱交換媒体供給部は、前記冷却部に設けられている前記コンプレッサを前記熱交換媒体で冷却させる熱交換媒体循環通路と、前記熱交換媒体循環通路の前記熱交換媒体を前記熱交換室に供給するための搬送源とを備えている超電導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−178518(P2010−178518A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18888(P2009−18888)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】