説明

超音波およびX線の画像化の組み合わせを使用した、カテーテルをガイドするための方法および装置

【課題】超音波およびX線の画像化の組み合わせにより、カテーテルをガイドするための方法および装置を提供する。
【解決手段】被写体(102)内の外来物の移動を追跡するための装置は、X線検出器(108)を有したX線透視システム(106)と、位置センサ(142)を有したプローブ(126)を有する超音波システム(122)とを有する。ディスプレイ(116)は、X線透視システム(106)によって取得された静止X線画像(150)、および超音波システム(122)によって取得されたリアルタイム超音波画像(160)を表示する。X線画像(150)および超音波画像(160)は、外来物の一部分と周辺領域の一部分を表示する。追跡モジュール(140)は、超音波画像(160)内で外来物の移動を追跡し、ディスプレイ(116)は、さらに、X線画像(150)上で外来物の移動を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にデュアルモダリティ画像化に関し、より詳しくは血管インターベンショナル放射線医学に関する。
【背景技術】
【0002】
血管インターベンショナル放射線医学は、バルーン付きカテーテルを使用した血管形成術をしばしば伴う。バルーンは、一度狭窄エリアなど所定位置に置かれると、管腔をより大きくする目的で、膨らまされて血管壁に斑を押し付ける。従来、透視法は、バルーン付きカテーテルが配置されるエリアへのガイドワイヤの挿入をリアルタイムで追跡するために、使用される。血管構造は、透視画像上では目に見えず、それゆえガイダンスカテーテルを介して造影のボーラス投与量をしばしば注入し、それによって動脈樹の画像を得る。ガイドワイヤおよびカテーテルの正確なガイドが、解剖学的構造への損傷を避けるために必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2008/0087833 A1号公報
【特許文献2】米国特許第2005/0238253 A1号公報
【特許文献3】米国特許第2003/0135115 A1号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】From Wire Reports, Scientists at Duke soon to begin testing 3-D ultrasound probe, Tue September 2, 2008, (2) pgs.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガイドワイヤの位置決めには、リアルタイムの透視画像化が伴うので、被写体または患者は、通常、手術の過程の間、多い放射線量を被曝し、近くに立つ人員もそうである。さらに、造影剤は、人体によって急速に除去され、したがって複数回、造影剤が注入されることがしばしばあり、それによって、いくつかの場合、腎臓毒性が造影によって誘発され、さらにコストが追加されることになる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、被写体内の外来物の移動を追跡するための装置が、X線検出器を有したX線透視システムと、位置センサを有したプローブを有する超音波システムとを有する。ディスプレイが、X線透視システムによって取得された静止X線画像、および超音波システムによって取得されたリアルタイム超音波画像を表示するように構成される。X線画像および超音波画像は、それぞれが、少なくとも外来物の一部分および少なくとも周辺エリアの一部分を表示する。追跡モジュールが、超音波画像内で外来物の移動を追跡するように構成され、ディスプレイは、さらに、X線画像上に外来物の移動を表示するように構成される。
【0007】
他の実施形態では、被写体内にガイドワイヤを位置決めするための方法が、少なくともガイドワイヤの先端部および造影によって表された血管を含む静止X線画像を表示するステップを含む。少なくともガイドワイヤの先端部および少なくとも血管の一部分を含む、ライブの超音波画像が表示される。ガイドワイヤは、X線画像および超音波画像の両方上で識別される。ガイドワイヤの移動は、超音波画像中で検出されたガイドワイヤの移動に基づき、X線画像上に表される。
【0008】
また別の実施形態では、被写体の血管構造内にガイドワイヤを位置決めするための装置が、X線管によって発生され、被写体を通過して送られるX線を検出するように構成されたX線検出器を有する。超音波プローブが、位置センサを有する。少なくとも1つのディスプレイが、X線検出器によって検出された静止造影強化X線画像および超音波プローブによって取得されたリアルタイム超音波画像を表示するように構成される。X線画像および超音波画像は、少なくともガイドワイヤの一部分を表示する。登録モジュールが、X線画像および超音波画像のそれぞれ中で識別されたポイントに基づきX線画像および超音波画像を互いに関し登録するように構成される。ディスプレイは、さらに、超音波画像内で検出されたガイドワイヤの移動に基づき、X線画像上にガイドワイヤの移動を表示するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態によって形成されたX線透視システムと相互接続された超音波システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態による、第2の画像化システムによって取得された画像内の外来物の移動に基づき、第1の画像化システムによって取得された画像上で外来物の移動を追跡するための方法を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による、血管樹パターン、および血管中に挿入されたガイドワイヤおよびガイダンスカテーテルを示す、ディスプレイ上の造影強化X線画像を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による、ガイドワイヤを示すX線画像およびリアルタイム超音波画像を示す図である。
【図5】本発明の実施形態によるX線画像およびリアルタイム超音波投影画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述の要約、ならびに本発明のいくつかの実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付図面とともに読むと、一層よく理解されよう。これらの図が様々な実施形態の機能ブロック図を示す範囲において、機能ブロックは、ハードウェア回路間の分割を必ずしも表していない。したがって、たとえば、1つまたは複数の機能ブロック(たとえば、プロセッサまたはメモリ)は、単一のハードウェア(たとえば、汎用信号プロセッサまたはランダムアクセスメモリ、ハードディスクなど)で実現することができる。同様に、プログラムは、スタンドアロンプログラムとする、オペレーティングシステム中にサブルーティンとして組み込む、または、インストールされるソフトウェアパッケージ中の関数とするなどと、することができる。様々な実施形態は、図面に示された構成および手段に限定されないことを理解すべきである。
【0011】
単数形で列挙され、単語「1つの(a)」または「1つの(an)」が先行する要素またはステップは、ここで使用されるとき、その除外が明確に述べられていない限り、複数の前記要素またはステップを除外するものではないと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への参照は、列挙された特徴をやはり組み込んだ追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈するようには意図されていない。さらに、それとは反対に明確に述べられていない限り、特定の性質を有した1つの要素または複数の要素を「含む(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、その性質を有さない追加のそのような要素を含むことができる。
【0012】
図1に、本発明の実施形態による、X線透視システムと相互接続された超音波システムを示す。テーブル100またはベッドが、被写体102を支持するために設けられる。X線管104または他の発生器が、X線透視システム106に接続される。この図に示すように、X線管104は、被写体102の上に配置されるが、X線管104は、被写体102に対して他の位置に移動してもよいことを理解すべきである。検出器108が、X線管104の反対側に、被写体102をそれらの間に入れて配置される。検出器108は、X線放射を検出することが可能な、どのような知られた検出器であってもよい。
【0013】
X線透視システム106は、少なくともメモリ110と、プロセッサ112と、キーボード、トラックボール、ポインタ、タッチパネルなど、少なくとも1つのユーザ入力部114とを有する。X線透視システム106は、X線画像を取得するために、X線管104にX線を発生させ、そして検出器108が画像を検出する。透視法は、連続的に、または所定の間隔でX線管104を作動させ、その間検出器108が対応する画像を検出することによって、実施することができる。検出された画像(1つまたは複数)は、単一の画像、または同時に1つの画像より多い画像を表示するように構成することができるディスプレイ116上に、表示することができる。
【0014】
超音波システム122が、X線透視システム106と接続部124を経由して通信する。接続部124は、有線または無線の接続部でもよい。超音波システム122は、X線透視システム106に超音波画像化データを送信または伝達することができる。システム106と122の間の通信は、1方向または双方向としてもよく、2つのシステム106と122の間で画像データ、コマンドおよび情報を送信することを可能にする。超音波システム122は、カート型システム、携帯型システムまたは他の可搬型システムなど、部屋から部屋に移動させることができるスタンドアロンシステムとしてもよい。
【0015】
手術者(図示せず)は、被写体102上に超音波プローブ126を配置して、被写体102内の関心エリアを画像化することができる。超音波プローブ126は、位置センサ142を有する。超音波システム122は、少なくともメモリ128と、プロセッサ130と、ユーザ入力部132とを有する。超音波システム122がスタンドアロンシステムである場合、適宜、ディスプレイ134を設けることができる。一例として、ディスプレイ116上に、X線透視システム106を使用して取得された画像が、第1の画像118として表示することができ、超音波システム122を使用して取得された画像が、第2の画像120として表示することができ、それによってデュアル表示構成が形成される。他の実施形態では、2つの並べられたモニタ(図示せず)を使用してもよい。X線透視システム106および超音波システム122の両方によって取得される画像は、知られている方法で取得することができる。
【0016】
一実施形態では、超音波システム122は、X線透視システム106に接続部124を経由して接続された、3Dが可能な小型化された超音波システムとすることができる。「小型化された」は、ここで使用されるとき、超音波システム122が、人の手、ポケット、ブリーフケースの大きさのケース、またはバックパックで運ばれるように構成されることを意味する。たとえば、超音波システム122は、サイズが通常のラップトップコンピュータである、たとえばその寸法として、奥行きが約2.5インチ(約6.4cm)であり、幅が約14インチ(約35.6cm)であり、そして高さが約12インチ(約30.5cm)である、手で持って運べる装置とすることができる。超音波システム122は、重さが約10ポンド(約4.5kg)とすることができ、したがって手術者が容易に運ぶことができる。ディスプレイ134などの統合型ディスプレイを、超音波画像、さらにX線透視システム106によって取得されたX線画像を表示するように、構成することができる。
【0017】
他の実施例として、超音波システム122は、3Dが可能なポケットサイズの超音波システムとすることができる。一例として、ポケットサイズの超音波システムは、幅が約2インチ(約5.1cm)であり、長さが約4インチ(約10.2cm)であり、奥行きが約5インチ(約12.7cm)であり、重さが3オンス(85g)より軽いものとすることができる。ポケットサイズの超音波システムは、ディスプレイ(たとえば、ディスプレイ134)と、ユーザインターフェース(たとえば、ユーザ入力部132)と、プローブ126に接続するための入力/出力(I/O)ポートとを含むことができる。様々な実施形態は、寸法、重量および電力消費量が異なる、小型化された、またはポケットサイズの超音波システムと結合して実施することができることに留意すべきである。
【0018】
他の実施形態では、超音波システム122は、可動ベース上に設けられたコンソール型超音波画像化システムとすることができる。コンソール型超音波画像化システムは、カート型システムと叫ばれることもある。統合型ディスプレイ(たとえば、ディスプレイ134)は、超音波画像を、それのみ、またはここで述べるようにX線画像と同時に表示するように、使用することができる。
【0019】
また他の実施形態では、X線透視システム106および超音波システム122は、1つに統合することができ、少なくともある処理、ユーザ入力およびメモリ機能を分担することができる。たとえば、プローブポート136を、テーブル100または被写体102に近接した他の装置上に設けてもよい。したがって、プローブ126は、プローブポート136に接続することができる。
【0020】
登録モジュール138は、第1および第2の画像118および120を互いに関し登録するために使用することができ、追跡モジュール140は、ライブ画像である1つの画像内でガイドワイヤなどの外来物を追跡するために、使用することができる。外来物の移動は、対応する静止画像内に表される。一実施例では、ライブ画像は、超音波画像であり、静止画像は、X線画像である。登録モジュール138および追跡モジュール140は、X線透視システム106内に示されているが、超音波システム122または別のモジュールまたはシステム内に含めてもよい。
【0021】
図2に、第2の画像化システムによって取得された画像内の外来物の移動に基づき、第1の画像化システムによって取得された画像上で外来物の移動を追跡するための方法を示す。外来物は、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの先端部やカテーテルなど、人体中に挿入された、どのような物体であってもよい。この実施例では、2つの異なる画像化システムは、X線透視システム106および超音波システム122であり、その両方を図1に示す。他の実施形態では、磁気共鳴映像(Magnetic Resonance Imaging: MRI)システムまたはコンピュータ断層撮影(Computer Tomography: CT)システムなど、異なるモダリティを、超音波システム122と共に使用することができる。
【0022】
200において、第1および第2の画像化システムが相互接続される。たとえば、接続部124を使用して、X線透視システム106と超音波システム122をワイヤまたはケーブルを介して、あるいは無線で接続することができる。他の実施形態では、2つの画像化システムが単一システムに統合された場合、プローブ126は、プローブポート136に接続することができる。
【0023】
202において、リアルタイムX線および/または透視法を使用して、被写体102の血管系中の中心位置に最初にガイドワイヤおよびガイダンスカテーテルを位置決めするための画像を得る。その中心位置は、バルーン付きカテーテルの最終的な所望位置によって、または他の処置が所望される、または必要とされる位置によって決定してもよい。透視またはX線の画像は、ディスプレイ116上に第1の画像118として表示することができる。
【0024】
ガイドワイヤの先端部が所望の初期位置に到達したとき、204において、X線不透過造影剤のボーラス投与量がガイダンスカテーテルを介して導入される。206において、ガイドワイヤおよびガイダンスカテーテルの位置を表示するX線画像、さらに血管樹パターンが獲得されて、第1の画像118としてディスプレイ116上に表示される。したがって、最初にガイドワイヤを位置決めするときに使用された透視画像は、ディスプレイ116上で造影強化X線画像に置き換えることができる。一例として、造影強化X線画像は、単一の透視フレーム、単一のX線フレームまたはデジタル減算の血管造影画像としてもよく、得られた画像は、造影剤注入前の画像と造影剤注入後の画像の差である。他のタイプの画像を使用することができることを理解すべきである。一実施形態では、血管系内のバルーン付きカテーテルの最終的な所望位置は、造影強化X線画像内に含めることができる。
【0025】
図3に、血管樹パターン146、さらに血管144中に挿入されたガイドワイヤ152およびガイダンスカテーテル154を示す、ディスプレイ116上の本発明の実施形態による造影強化X線画像150を示す。図2に戻ると、208において、ガイドワイヤ152の先端部156(図3に示す)が識別される。先端部156は、ガイドワイヤ152の最外部の端部としてもよい。たとえば、手術者は、カーソルなどのユーザ入力部114を使用して先端部156を選択することができる。あるいは、プロセッサ112が、たとえば境界検出、またはガイドワイヤ152を捜し求める他の認識タイプのアルゴリズムを使用して、先端部156を自動的に検出することができ、あるいは、X線画像150中の輝度レベルに基づきガイドワイヤ152を検出することができる。他の自動検出方法およびアルゴリズムを使用することができる。一実施形態では、自動検出は、ユーザ定義エリアまたは関心領域158内で達成することができ、また他の実施形態では、自動検出は、全X線画像150にわたって達成することができる。
【0026】
210において、手術者は、超音波プローブ126を用いて被写体102をスキャンし、212において、ライブ超音波画像が、第2の画像120としてディスプレイ116上に表示される。図4に、ガイドワイヤ152を示すX線画像150およびリアルタイム超音波画像160を示す。一例としてだけで、超音波画像160は、Bモード画像とすることができる。図2の214において、ガイドワイヤ152の先端部162(図4に示す)は、超音波画像160中で識別される。手術者は、ユーザ入力部114および132の1つを使用して先端部162を識別することができ、あるいは、先端部162は、自動画像処理によって自動的に識別してもよい。
【0027】
X線画像150は、知られているX線透視システム106に基づいた固定ジオメトリーを有し、したがって、X線画像150内のガイドワイヤ152および先端部156の位置および/または方向は、やはり知られる。216において、登録モジュール138は、プローブ126の位置センサ142からの位置情報、および画像150および160中の先端部156および162の識別された位置を使用して、X線画像150および超音波画像160を互いに関し登録する。2つの画像150および160の登録は、2つの異なるモダリティおよび/または2つの異なる画像化システムを使用して取得された画像を登録するために利用できる、どのような登録プロセスも使用して達成することができる。たとえば、自動登録および相関プロセスは、解剖学的類似性に基づき、使用することができる。
【0028】
他の実施形態では、X線画像150および超音波画像160の両方中で視覚化された解剖学的ポイントを画定および/または選択することができ、登録ポイントとして使用することができる。たとえば、手術者は、画像150および160のそれぞれ上で2以上の血管の交差点を選択することができ、登録モジュール138は、2つの選択されたポイントに基づき、2つの画像を登録することができる。
【0029】
次いで、手術者は、218において、ガイドワイヤ152の位置を調節して、関心ポイントまたはエリアに向けてガイドワイヤ152を送る。手術者は、血管樹パターン146を示すX線画像150をベースまたは基準画像として使用しながら、超音波画像160上でガイドワイヤ152の運動をリアルタイムで監視することができる。プローブ126は、関心のある生体構造を見るために、必要に応じて移動させる、または調節することができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ152の先端部162は、標識(図示せず)によって超音波画像160上に表すことができ、プロセッサ112または130は、先端部162が超音波画像160内で移動するにつれて、標識を自動的に更新することができる。
【0030】
220において、追跡モジュール140が、超音波画像160中でガイドワイヤ152の先端部162の移動を検出し、ガイドワイヤ152の対応する先端部156の新しい位置が、X線画像150上に表される。たとえば、位置センサ(図示せず)を、ガイドワイヤ152の先端部に取り付ける、またはそれと一体化することができる。ガイドワイヤの位置センサの読みは、X線画像150上で、さらに超音波画像中で位置を更新するために使用することができる。ガイドワイヤ152が現在の超音波画像の外側にある場合、位置は、超音波画像上に投影することができ、相対的な位置が投影のグラフィックの状況中に反映された状態になる。たとえば、位置センサは、空間位置情報を無線で、またはガイドワイヤ152を介して送信することができる。あるいは、214においてなどのように、超音波画像160中でガイドワイヤ152を自動的に識別することができる画像処理および/またはアルゴリズムを使用して、ガイドワイヤ152の先端部162の移動を自動的に追跡することができる。他の実施形態では、手術者は、新しい位置にガイドワイヤ152を調節した後、ユーザ入力部114および132の1つを使用して、超音波画像160上で先端部162の新しい位置を識別することができる。次いで、プロセッサ112および/または追跡モジュール140が、X線画像150上で先端部156の対応する位置を決定し表す。他の方法を使用して、超音波画像160中でガイドワイヤ152の先端部162の位置を追跡し、検出し、そして位置を決めることができることを理解すべきである。
【0031】
たとえば、手術者は、図4の超音波画像160上に示すように、ポイント164にガイドワイヤ152を進めることができる。ガイドワイヤ152の移動は、X線画像150上に点線166として表される。ディスプレイ116上の表示は、線、点線、点、ポイント、「X」などの文字または他の標識とすることができる。他の実施形態では、表示は、カラーで表示することができ、あるいは、異なる、または所定の強度を有することができる。また他の実施形態では、その表示は、位置を表すために、または時間、距離などに基づいた移動を表すために使用される数字とすることができ、あるいは、手術者が、静止X線画像150上でガイドワイヤ152のリアルタイムの前進を追跡することができるように、手術者の目に見える他のどのような表示としてもよい。
【0032】
この方法は、218と220の間でループして、超音波画像160内でガイドワイヤ152の先端部162の移動を連続的に検出し(そして多分別々に表す)、X線画像150上で対応する先端部156の移動を表す。同じ方法で、他の外来物を追跡し表すことができることを理解すべきである。
【0033】
一度ガイドワイヤ152の先端部162が、血管の所望位置に位置決めされると、手術者は、治療または手術に基づいて、さらに処置することができる。たとえば、ガイダンスカテーテルは、除去することができ、バルーン付きカテーテルは、血管形成のためなどに、ガイドワイヤ152を使用して挿入して、バルーン付きカテーテルを位置決めすることができる。アブレーション、生体検査など、他のインターベンショナル血管手術を施すことができる。
【0034】
一実施形態では、プローブ126の面の投影168(図4に示す)をX線画像150上に表示することができる。投影168は、使用されている特定のプローブ126に基づき、したがって、この図に示すように長方形、正方形または他の形状になることがある。たとえば、プローブ126の方向は、手術者が指定することができ、あるいは、プローブ面の方向は、先端部156および162などの共通ポイントの指定中に固定方向を使用して、指定することができる。あるいは、グラフィックを調節して現在のプローブ方向と一致させることができ、または、3以上のプローブ面方向から、超音波画像160中の同じポイントに印を付けることができる。投影168は、位置センサ142によって検出された移動に基づき、更新することができる。
【0035】
いくつかの状況では、手術者は、血管樹およびガイドワイヤ152の現在位置を示す新しい次のX線画像を用いて、X線画像150を更新したいと望む場合がある。そのために、本方法は、204に戻ることができ、X線造影剤の新しいボーラス投与量が導入される。次のX線画像は、X線画像150に取って代わることができる。X線画像150上の先端部156および適宜、超音波画像160上の先端部162は、再画定することができ、手術者は、所望のように、継続してガイドワイヤ152を進める。あるいは、現在のガイドワイヤの表示(1つまたは複数)は、前のX線画像(1つまたは複数)から維持を続けることができる。
【0036】
他の実施形態では、手術者は、血管樹を再画定せずに、または示さずにガイドワイヤの位置を再画定するために、X線画像150を更新したいと望む場合がある。この実施例では、新しい造影ボーラス投与を使用せず、そのために血管樹が表示されない次のX線画像が獲得される。次のX線画像は、X線画像150と融合されて、ガイドワイヤ152の位置が更新される。複数のX線画像が時間とともに取られた場合、複数のガイドワイヤは、同じ画像上に重ね合わすことができる。ガイドワイヤのそれぞれは、自動検出され、番号を付けて(または、そうでなければ、互いに対して異なって表される)、それによって最新位置、さらに前の位置に関する情報をもたらすことができる。あるいは、ガイドワイヤ152は、1つまたは複数の前の画像から除去されて、または削除されて、最新のガイドワイヤ152だけを表示することができ、または先端部156の最新位置を表すことができる。他の実施形態では、ガイドワイヤの表示は、1つの画像から次の画像へガイドワイヤの移動を追跡するためになど、それぞれをオン、オフと切り換えることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、超音波システム122およびプローブ126は、4D画像化としても知られている、リアルタイムの3D画像化が可能であってもよい。リアルタイムの3D画像データは、分冊などでディスプレイ116上に表示することができ、それによって、ガイドワイヤのリアルタイムの3D追跡を可能にする。
【0038】
また、リアルタイム3D画像データは、最大投影(maximum projection)、平均投影(average projection)や表面レンダリング(surface rendering)など、本技術で知られている他のいかなる3Dディスプレイ方法でも表示することができる。図5に、X線画像150およびリアルタイム超音波投影画像180を示す。超音波システム122は、位置センサ142を有した3Dが可能なプローブを使用して、リアルタイム3D画像化データを収集する。前に述べたように、手術者は、X線画像150上で先端部156および超音波画像上で先端部162を選択する。あるいは、先端部156および162の1つまたは両方を自動的に識別することができる。超音波画像は、前に述べたように、Bモード超音波画像160とすることができる。登録モジュール138は、2つの画像を互いに関し登録し、プロセッサ112は、方向がX線画像150と同じ超音波投影画像180を形成する。
【0039】
一実施形態では、投影画像180は、X線画像150のジオメトリーに一致するように、幾何学的に縮小または拡大される。この実施例では、プロセッサ112が、自動的に決定することができ、または、手術者が、画像150および180のスケーリングおよび多分方向を決定するために使用される、1つまたは複数の解剖学的な目印またはポイントを入力することができる。次いで、投影画像180は、X線画像150と組み合わすことができる。たとえば、投影画像180は、X線画像150と融合させる、またはその上に重ね合わすことができる。適宜、X線画像150は、投影画像180上に重ね合わすことができる。次いで、ガイドワイヤ152および先端部162がX線造影不透過血管に沿って移動するとき、ガイドワイヤ152の運動を視覚的に観察することができる。異なる実施形態では、投影画像180は、図5に示すように、X線画像150とは別に表示され、追跡モジュール140が、前に述べたように、X線画像150上でガイドワイヤ152の移動を追跡する。他の実施形態では、ディスプレイ116が、2つの画像より多い画像を表示することができ、したがってX線画像150および投影画像180の1つまたはその両方を、X線および投影の結合された画像と同時に表示することができる。
【0040】
超音波ボリューム(ultrasound volume)を通るC平面(C−plane)または他の平面など、他の超音波画像を形成し、表示することができる。C平面の実施例では、プローブ126がX線管104と同じ方向に配置され、したがってC平面またはスライスがX線の方向に対して垂直である。C平面は、X線画像150の方向および寸法に一致するように、方向付け、幾何学的に縮小または拡大することができ、X線画像150上に重ね合わすことができる。次いで、手術者は、表示されるC平面の深さを修正することができ、深さ方向のガイドワイヤ152の移動を追跡することを可能にする。手術者は、C平面ではない平面を表示する場合、その平面の位置を調節することができるが、これは、X線画像150の方向によって画定された深さと関連付けなくてもよい。超音波投影画像180と同様に、C平面または他の平面は、X線画像150と同時に、および/またはX線画像150と超音波平面を組み合わせた画像と同時に表示することができる。
【0041】
他の実施形態では、超音波システム122は、2D超音波画像データを取得することができる。あるいは、取得された超音波ボリュームからスライスまたは平面の2D超音波データを選択することができる。2Dデータセットは、重ね合わせて、融合して、またはそうでなければ、X線画像150と組み合わせて(またはX線画像150は、2Dデータセット上に重ね合わすことができる)、単一画像としてディスプレイ116上に表示することができる。
【0042】
超音波システム122は、ガイドワイヤ152を追跡することに加えて、血管形成後即座になど、即座に手術を診断するために、血流減少狭窄がないことを非侵襲的に立証するために、または追加の関心エリアを識別するために、使用することができる。たとえば、Bモード、カラー、スペクトルドップラーモードなどを使用することができる。また、超音波システム122の使用は、ガイドワイヤ152の誘導でミスが少なくなることに繋げることができる。
【0043】
他の実施形態では、一度ガイドワイヤ152が、図2の202においてなどの初期位置に進められると、被写体102中に超音波造影剤を導入することができる。次いで、3D超音波血管画像を取得して、造影強化X線画像150としてよりむしろベースまたは基準画像として使用することができる。超音波血管画像は、たとえば造影剤のレンダリングされた超音波画像または投影画像とすることができ、ガイドワイヤ152をガイドするためにライブ超音波画像160とともに使用される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態の技術的効果は、同時に2つの画像化モダリティを使用して、ガイドワイヤおよび/またはカテーテル、あるいは他の外来物の移動および配置をガイドする能力である。一方の画像化モダリティは、血管樹を画像化し表示することができるように、造影剤のボーラス投与量が導入されるX線透視法とすることができる。他方の画像化モダリティは、超音波とすることができ、静止造影強化X線画像およびリアルタイム超音波画像が互いに関し登録される。次いで、手術者が、X線画像とリアルタイム超音波画像の両方を利用して、ガイドワイヤを進めることができる。被写体に与えることが必要な造影剤の量は、減少させることができ、それゆえ腎臓毒性など、造影剤の起こし得る副作用が減少される。また、透視法が、手術の間中、連続的に実施されないので、手術者、被写体および他のスタッフは、X線だけを使用して行われる手術に比べてX線放射をそれほど被曝しない。
【0045】
上記の説明は、例示するものであって限定するものでないと意図されていることを理解すべきである。たとえば、上記に述べた実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、具体的な状況または材料を適応させるために、本発明の範囲から逸脱せずに本発明の教示に多くの変更を実施することができる。ここで述べた材料の寸法およびタイプは、本発明のパラメータを定義するように意図されており、それらは、決して限定するものでなく、例示の実施形態である。上記の説明を検討すると、他の多くの実施形態が当業者に明らかになる。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項を参照し、そのような請求項が権利を与えられる均等論の全範囲とともに決定すべきである。添付の請求項では、用語「含む(including)」および「そこで(in which)」は、それぞれの用語「含む(comprising)」および「そこで(wherein)」の分かりやすい英語の対応する言葉として使用されている。さらに、以下の請求項では、用語「第1の」、「第2の」および「第3の」などは、単にラベルとして使用され、それらの目的語に数的要件を課すものとしては意図されていない。さらに、以下の請求項の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記載されておらず、米国特許法112条第6段落に基づき解釈されるとは意図されていない、ただし、そのような請求項の限定が、語句「のための手段(means for)」を明示的に使用し、その後にさらなる構造が欠けた機能の説明の続く場合は除く。
【0046】
この記載した説明は、本発明を開示するために、また、いずれの当業者も、いかなる装置またはシステムの製造および使用およびいかなる組み込まれた方法の実施を含む、本発明の実施を行うことができるように、最良の実施形態を含む実施例を使用する。本発明の特許性のある範囲は、請求項によって定義され、当業者の心に浮かぶ他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが、請求項の文字通りの意味の言葉と違わない構造的要素を有する場合、または、それらが、請求項の文字通りの意味の言葉と実体的な差がない均等な構造的要素を含む場合、請求項の範囲内に含まれると意図される。
【符号の説明】
【0047】
100 テーブル
102 被写体
104 X線管
106 X線透視システム
108 検出器
110 メモリ
112 プロセッサ
114 ユーザ入力部
116 ディスプレイ
118 第1の画像
120 第2の画像
122 超音波システム
124 接続部
126 超音波プローブ
128 メモリ
129 無線接続部
130 プロセッサ
132 ユーザ入力部
134 ディスプレイ
136 プローブポート
138 登録モジュール
140 追跡モジュール
142 位置センサ
144 血管
146 血管樹パターン
150 X線画像
152 ガイドワイヤ
154 ガイダンスカテーテル
156 先端部
158 関心領域
160 超音波画像
162 先端部
164 ポイント
166 点線
168 投影
180 投影画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体(102)内の外来物の移動を追跡するための装置であって、
X線検出器(108)を含むX線透視システム(106)と、
位置センサ(142)を有するプローブ(126)を含む超音波システム(122)と、
前記X線透視システム(106)によって取得された静止X線画像(150)および前記超音波システム(122)によって取得されたリアルタイム超音波画像(160)を表示するように構成されたディスプレイ(116)であって、前記X線画像(150)および前記超音波画像(160)は、それぞれが少なくとも前記外来物の一部分および少なくとも周辺エリアの一部分を表示する、ディスプレイ(116)と、
前記超音波画像(160)内で前記外来物の移動を追跡するように構成された追跡モジュール(140)とを含み、
前記ディスプレイ(116)は、さらに、前記X線画像(150)上で前記外来物の移動を表示するように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記X線透視システム(106)と前記超音波システム(122)を相互接続する有線接続部(124)と無線接続部(129)の1つをさらに含み、前記有線または無線の接続部(124)は、前記超音波システム(122)と前記X線透視システム(106)の間で少なくとも画像化データを伝達するように構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記超音波システム(122)および前記X線透視システム(106)は、1つのシステムに統合化されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記X線画像(150)と前記超音波画像(160)の少なくとも1つの上で前記外来物の先端部(156)を識別するためのユーザ入力部(114)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記X線画像(150)と前記超音波画像(160)の少なくとも1つの上で前記外来物の先端部(156)を自動的に識別するように構成されたプロセッサ(112)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
被写体(102)内にガイドワイヤ(152)を位置決めするための方法であって、
少なくともガイドワイヤ(152)の先端部(156)および造影によって表された血管(144)を含む静止X線画像(150)を表示するステップと、
少なくとも前記ガイドワイヤ(152)の先端部(156、162)および少なくとも前記血管(144)の一部分を含むライブ超音波画像(160)を表示するステップと、
前記X線画像(150)および前記超音波画像(160)の両方上で前記ガイドワイヤ(152)を識別するステップと、
前記超音波画像(160)中で検出された前記ガイドワイヤ(152)の移動に基づき、前記X線画像(150)上に前記ガイドワイヤ(152)の移動を表すステップとを含む、方法。
【請求項7】
前記X線画像(150)および前記超音波画像(160)に関連した入力を受け取るステップと、
前記入力に基づき、前記X線画像(150)および前記超音波画像(160)を登録するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記超音波画像(160)が、投影画像(180)、2Dデータセットおよび3Dデータセットの1つを含む方法であって、
前記超音波画像(160)と前記X線画像(150)を組み合わすステップと、
少なくとも前記組み合わされた画像を表示するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記超音波画像(160)が、3Dボリュームのデータ内からの超音波データを表す平面である方法であって、
前記X線画像上に重ね合わされた前記平面を表示するステップと、前記X線画像と同時に前記平面を表示するステップの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記ガイドワイヤ(152)の先端部(156)を表示する、次のX線画像を取得するステップと、
前記ガイドワイヤ(152)の先端部(156)の新しい位置を表示するために、前記次のX線画像と前記X線画像を組み合わすステップとをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−57910(P2010−57910A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193753(P2009−193753)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】