説明

超音波を用いた物体の非破壊試験の装置及び方法、並びにマトリクス型フェーズド・アレイ・プローブの利用方法

【課題】物体の非破壊試験を行なう装置及び方法を提供する。
【解決手段】様々な焦点ゾーンにおいて超音波を用いて肉厚又は薄肉の金属板のような平坦な物体(70)の非破壊試験を行なう装置(68)及び方法であって、装置は1又は複数の独立に制御可能なプローブ(PK1〜PKn)を含む、装置及び方法に関し、またマトリクス型フェーズド・アレイ・プローブの利用方法に関する。一様な感度を広い厚み範囲にわたって達成するために、プローブ(PK1〜PKn)は二次元フェーズド・アレイ・プローブ(PK2〜PKn)として設計され、互いに関してずれて列を成して配置される。個々のプローブ(PK1、PKn)の数及び長さの和は被試験材料の幅に対応している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な焦点ゾーンにおいて超音波を用いて肉厚又は薄肉の金属板のような平坦な物体の非破壊試験を行なう装置及び方法であって、装置は1又は複数の独立に制御可能なプローブを含む、装置及び方法に関し、またマトリクス型フェーズド・アレイ・プローブの利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7,263,888号は、容積型超音波試験用の二次元フェーズド・アレイ及びフェーズド・アレイの利用方法を記載している。このフェーズド・アレイは、直線状パターンを成して配置された複数の超音波トランスデューサを含んでいる。二次元アレイは、焦点特性及び開口寸法の電子式調節を方位角方向及び仰角方向の両方向で行なうことが可能であるため、一様な音場特性及び/又は所定の音場特性を被試験構成部品の任意の位置又は全ての位置において得ることができる。
【0003】
超音波素子の各々に変調を適用して走査ビームを形成し、この走査ビームによって試験材料の少なくとも一つの区域を走査することができる。
【0004】
二次元フェーズド・アレイは一次元リニア・アレイと比較して、X方向及びZ方向の両方向に延在する複数の不連続な超音波トランスデューサに分離され且つ/又は分割されるという利点を提供する。結果的に、走査ビームの形成は、X−Y平面及びZ−Y平面の両平面で生じ得る。これにより、焦点深さ、操舵(ステアリング)角度、及び焦点の幾何形状に関する走査ビームの三次元制御が可能になる。開口の制御もまた、走査ビームの形成に寄与する。アレイの開口は、走査ビームを多重化して、同期したチャネルをアレイの個々のトランスデューサに接続することにより選択され得る。また、開口寸法は、X方向及びZ方向の両方向で制御され且つ/又は調節され得る。
【0005】
独国公開特許第10 2004 059 856号は、超音波によって試験体の非破壊試験を行なう方法を記載している。この方法では、超音波を1又は複数の超音波トランスデューサによって試験体内に注入し、試験体の内部で反射した超音波を複数の超音波トランスデューサによって受波して超音波信号へ変換する。個々の測定区間において検出された超音波信号は個々に保存されて、測定の停止後にはオフライン評価のためにアクセス可能となる。このように、対応する再構成アルゴリズムを用いることにより、追加の超音波測定の必要なく、保存された超音波信号から試験体の物理的に可能な容積範囲における任意の音響照射角及び集束を後に合成することが可能となる。全ての送波器が同時に送波を行なうと仮定すると、超音波送波器の数i、及び送波器群の特定の組成、特に試験体表面での配置によって、送波器群の全体的な放射特性(開口)も決まり、さらに測定の感度及び分解能も決まる。但し、完全な波面の送波のためにアレイの全ての超音波トランスデューサを起動することについてはこの公報には開示されていない。
【0006】
独国特許第34 42 751号は、ローラ・コンベヤに平らに載置されて搬送される様々な幅の金属板について超音波によって動作する試験システムに関するものである。この設備は複数の試験ヘッド(プローブ)を含んでおり、これらの試験ヘッドは、金属板に向けて調節自在であり、搬送方向に対して横断方向に複数の列を成して設けられて、試験軌道同士を重ね合わせた状態で次々に後方に配置されており、各々が送波器及び受波器を有している。さらに、各々のプローブと金属板との間に水膜を施工する装置が提供されている。各々の列内のプローブは、プローブ同士の間に等間隔を設けると共に重なり合った試験軌道を連続させるために、搬送方向に対して横断方向に移動自在に又は調節自在に配置されている。さらに、金属板幅を測定する装置が提供される。一つの列の各プローブは、金属板の長手方向の両端の間の板の幅の測定値に従って設定されて、当該列の2個のプローブが端に隣接する板に向けて調節されるようになっている。
【0007】
米国特許第4,989,143号は、干渉性(コヒーレント)エネルギ・ビームを表現する方法を記載しており、具体的には、不均一な波伝播の影響を打ち消すために、反復型の位相共役を用いて干渉性ビームの改善された適応型形成を行なう新規の方法を記載している。
【0008】
SUNG-JIN SONK等による論文「Development of an Ultrasonic Phased Array System For Nondestructive Tests of Nuclear Power Plant Components」(Nuclear Engineering and Design 214、2002年、第151頁〜第161頁)は、64個の個別の送受波器チャネルを有する医用超音波イメージング・システムの改変によるフェーズド・アレイ超音波検査システムを記載している。この文献は、超音波送波素子の遅延付き動作を記載している。
【0009】
墺国特許第307 088号は、少なくとも1個の試験プローブを含む連続片試験用装置を記載している。試験プローブを収容しており試験片に隣接したフレームが、試験片走行方向に沿って延在する水平軸に関して往復運動する支持体に懸吊されている。支持体は台フレームに装着されて、試験片走行方向に対して横断方向に延在する水平軸に関して往復運動する。
【0010】
独国実用新案第72 40 684号は、圧延試験片の連続的な超音波試験を行なうシステム用のプローブを記載している。このプローブは、プローブ筐体と、筐体の内部に配置された少なくとも1個の超音波プローブとを含んでおり、プローブ筐体は、結合液体を内部に流すことのできる結合室として設計されており、試験キャリッジに移動自在に接続されている。結合室の前段に予備湿潤室が設けられている。プローブ筐体の下方にガイド・ローラが装着されており、結合室の後段にはワイパが設けられている。
【0011】
ビレットの様々なゾーンの超音波検査を行なう方法及び装置が、米国特許第5,533,401号に記載されている。ここでは、様々な深さの焦点ゾーンを有する複数の超音波トランスデューサを、チタンの円筒ビレットの厚みを通して検査するように配置する。各焦点ゾーンは、隣接する焦点ゾーンに部分的に重なりあっており、このようにしてビレット全体の厚みを通した完全な検査を確実に行なう。トランスデューサ受波器からの反射信号を処理してディジタル形態にし、ビレットの画像を形成する。
【0012】
しかしながら、この形式の方法は、あらゆるプローブを個別に調節しなければならず、また表面の凹凸に合わせるのが困難であるため、高経費である。
【0013】
超音波を用いて試験体の非破壊検査を行なう方法が、独国公開特許第10 2005 051 781号に記載されている。この方法では、1又は複数の超音波トランスデューサによって超音波を試験体内に注入し、試験体の内部で反射した超音波を複数の超音波トランスデューサによって受波して超音波信号へ変換する。試験体の片面に超音波トランスデューサが設けられており、この超音波トランスデューサは、試験体内に結合された超音波が試験体の内部で大方一様に空間的に分布して伝播するように起動される。
【0014】
次いで、試験体の内部で反射した超音波を表面に設けられた複数の超音波トランスデューサによって受波して、時間分解された振幅情報を含む超音波時間信号を生成する。
【0015】
これらの超音波時間信号は保存される。次いで、三次元容積画像、試験体を通る二次元超音波断面画像の形態のセクタ画像、又は所与の照射角に沿った一次元の時間分解されて局所的に分解された超音波信号の形態のA画像が、超音波時間信号の少なくとも一部を専ら用いて再構成される。
【0016】
さらにもう一つの方法が欧州特許第1 649 301号に記載されている。この方法によれば、複数の独立した送波素子を用いて、被試験物体の少なくとも一つの区画に完全な波面が送波される。次いで、物体の表面から反射された波が複数の独立した受波器素子によって受波される。次いで、受波器素子によって受波された信号をディジタル化ステップにおいてディジタル化して、さらに処理する。但し、動的深さ集束又は開口適応調整(aperture adaptation)については、欧州特許第1 649 301号では触れられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来技術では、水膜結合及びプラスチック界面を備えた二重接触型プローブが用いられている。100個までのプローブの各々を個別に配置しなければならず、制御技術に多額の費用を要求する。加えて、各プローブを、適当な超音波結合品質について日常的に試験しなければならない。
【0018】
各々のプローブは被試験板によって完全に覆われて初めて動作することができ、板の両端は個々のプローブと同じ幅の検査されない最小ゾーンを有する。この幅は現状では50mmの領域にある。
【0019】
以上に基づいて、本発明の基礎となる目的は、広い厚み範囲にわたって一様な感度が達成されるように、肉厚又は薄肉の金属板のような平坦な材料の試験を行なう装置を開発することにある。さらに、この装置は、運動部品を必要とせず、また付加的な設備を一切用いずに、平坦な材料を両端に接近して試験するのに適当となる程度にまで改善されているべきである。また、フェーズド・アレイの新規発明の利用方法が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この問題を解決するために、プローブは二次元フェーズド・アレイ・プローブとして設計され、互いに隣接して隙間なく列を成して配置されているものと規定され、個々のプローブの数及び長さの和は被試験材料の幅に対応している。各プローブを隙間なく並べることにより形成される二次元フェーズド・アレイ・プローブ又はプローブ帯(probe strip)を用いて、動的深さ集束及び動的開口適応調整を利用して信号の品質及び分解能を高める。プローブ及びプローブ・ホルダの機械的設計は、区分浸漬技術を用いた超音波結合によって単純化される。
【0021】
特定の厚みゾーンに合わせて個別にプログラム可能なマトリクス型アレイ・プローブの利用は、従来の浸漬技術プローブの低分解能を克服することを可能にする。
【0022】
区分浸漬技術は、標準的な水間隙技術と比較すると遥かに単純な機械的解決法を可能にし、両端を追う如何なる付加的なプローブも必要とせず、板の両端に接近した検査を可能にする。
【0023】
従来技術と比較して、かなりの機械的単純化、及び欠陥のさらに高い分解が達成される。加えて、局所的な区分浸漬技術は被試験材料の表面の凹凸に対する感受性が小さい。
【0024】
これらの方法及び装置は、厚み範囲が4mm〜400mmの薄肉及び肉厚の金属板の試験に適している。
【0025】
板幅にわたるピクセル化は通例では12mm〜17mmの間にあるが、本発明による技術では4mm〜8mmを達成することができる。
【0026】
プローブは好ましくは水プールに配置され、水プールは波状起伏(うねり)調節の目的で制御要素を用いて被試験材料の下面に対して調節自在である。水プールは好適実施形態によれば、被試験材料の下面から好ましくはリップ・シールのような汎用(all-round)封止要素によって封止される。さらに、水プールは、試験材料の過度の凹凸のため水プールに損傷が加わらないように、被試験材料の下面に向けて試験方向に沿ってランナーのような滑り要素を有し得る。
【0027】
平坦な材料の試験時に様々な欠陥深さについてフェーズド・アレイ応用のための信号エネルギ及び信号分解能をさらに改善するために、本発明の考案によれば、受波時に受波素子の遅延値及び/又は数の連続的な変化が各回のディジタル化ステップ毎に生ずることが提案される。これにより、様々な欠陥深さについてのフェーズド・アレイ応用のための音エネルギ及び分解能の改善が、「オン・ザ・フライ」で(実行中に)、連続的な焦点則すなわち送受波素子の遅延値及び数の変化、又は選択随意で様々な焦点則の組み合わせによる1回の受波/1回の送波のサイクルによって、達成される。
【0028】
仮想的プローブの送受波素子の遅延値及び/又は数の連続的変化は、適当なファームウェア・プログラムによってHF信号の受信時に「オン・ザ・フライ」で行なわれる。
【0029】
全般に、従来技術に比較すると良好な性能及び改善された欠陥検出が、試験経費を削減して達成される。
【0030】
本発明による方法では、フェーズド・アレイ応用の受波部分の動的深さ集束(実行時制御型集束)及び動的開口適応調整(実行時制御型受波開口)を行なうことができる。焦点則、又は仮想的プローブの送受波素子の遅延値及び数は、1回のディジタル化ステップから次回のステップまでに変化させられる。
【0031】
好ましい手順によれば、遅延値は、保存されている開始遅延(表面位置についての焦点則)から終了遅延(後面壁位置についての焦点則)までについて、R=半径とすると距離関数l/Rによって算出される。
【0032】
選択随意で、遅延値は、特に複素コヒーレンスの場合には参照テーブルに保存され得る。
【0033】
さらにもう一つの手順は、開口適応調整が、仮想的プローブの開始素子の終了素子の数に対する線形変化によって達成されることを特徴とする。
【0034】
開口変化の開始は、表面/界面エコーの「飛行時間(time-of-flight)」位置をトリガとして誘発され得る。
【0035】
さらにもう一つの手続きステップは、様々な集束された送波器ショットを一つの信号にする加算が、ディジタルTGC関数を用いることにより達成されることを特徴とする。ここでは、様々な深さに集束される各送波器ショットを一つの信号として結合する際にゾーン移行部に生ずる感度差が、ディジタルTGC関数の利用によって均等化されるものと規定される。
【0036】
独立した本発明の考案によれば、本発明はさらに、関数依存性、例えばベジエ(Bezier)関数、多項式関数又は他の形式の関数によって、フェーズド・アレイ・プローブの遅延の定義を行なう方法及び装置に関する。この関数は、超音波トランスデューサ素子の番号を引数として採用して遅延を結果として発生するが、各パラメータは応用に依存して設定される。
【0037】
従来技術に関わる問題は、アレイについて適用可能な遅延集合の数が、最終的な解析においてハードウェアの性能及びデータ転送の処理時間によって制限されることである。素子がさらに多数になり、被試験ゾーンが加わるに連れて、記憶容量の必要性が高まる。
【0038】
加えて、ゾーンは、超音波装置によって形成される画像の内部に不連続性が生じないように遅延則を変化させるために特殊な処置を要求する。このことを克服するために、新型の機器は極く小さいゾーン又はあらゆる走査点についての距離アルゴリズムに基づいて遅延を算出している。この距離アルゴリズムは、激しい不連続性を含まない十分に均一な媒体に適するに留まるが、この激しい不連続性は非破壊試験では通例のものである。距離を算出するときには、固定された関係が既に用いられているが、著しく多数のパラメータを必要とする。
【0039】
本書に記載される本発明の考案によれば、この問題は、遅延発生回路用の関数型記述の利用によって解決される。超音波問題に一般に用いられる遅延は、アレイの最初の素子とアレイの最後の素子との間の静的な微分関数によって定義され得る。これらの関数型記述は、全ての素子の遅延について曲線の生成を可能にし、遅延値はアレイ番号の関数となる。一次元アレイの場合には、この記述は1個の変数を有する関数となり、二次元アレイの場合には少なくとも2個の変数を有する関数となり、以下同様である。
【0040】
さらに、関数型記述は、限定された数のパラメータを含んでいる。これらのパラメータは選択された遅延ゾーンの各々について変化し、個別に適応調整されなければならない。
【0041】
32個の送波器/受波器素子を有する一次元の仮想的プローブは、第二のゾーンのためには例えば64個の遅延値を必要とする。3次ベジエ関数の形態にある関数型記述が適用される場合には、第二のゾーンについて必要とされるパラメータの数を8個の値にまで減少させることができ、すなわち送波について4個の値及び受波について4個の値となる。
【0042】
遅延ゾーン同士の間の移行を滑らかにするために、現に考察されている走査位置と二つの参照時間位置との間の時間差に依存して、二つのゾーンについて関数型で記述された値の間で線形補間を行なうことができる。同じ方法を、アポダイゼーション又は重なり加重について用いることができる。この場合には、関数型記述の結果は、アレイの素子についての振幅となる。引数は素子自体であり、パラメータは超音波システムの内部で伝達されるが、さらに高次元の場合については予め算出されて、転送のためにテーブルに書き込まれる。
【0043】
本発明による解決法によれば、従来技術と比較して得られる利点は、著しく少ないパラメータを転送すればよいので、必要な記憶容量が小さくて済むことである。サイクルの数も増大させることができ、極めて複雑な幾何学的状況に対する適応調整も同様に可能になる。
【0044】
つまり、本発明による方法は、固定された式又は遅延集合の代わりにパラメータ表現が可能な関数を遅延ゾーンに用いることを特徴とする。
【0045】
本発明のさらなる詳細、利点及び特徴は、特許請求の範囲及び特許請求の範囲に記載された特徴の単独及び/又は組み合わせから判明するのみならず、図面の説明に記載されている好適実施形態の記載からも判明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】フェーズド・アレイ・プローブの制御ユニットのブロック図である。
【図2】送受波状態にあるプローブの平面模式図である。
【図3】様々なシステム試験サイクルを有するプローブの模式図である。
【図4(A)】非理想的照射形状の上方のプローブの模式図である。
【図4(B)】平行B走査の画像の図である。
【図5】平坦な材料を下方から試験する局所的な浸漬時のプローブ構成の模式図である。
【図6】図5によるプローブ・アレイの平面図である。
【図7】送受波状態にあるプローブの平面模式図である。
【図8】様々な試験サイクルによるプローブの模式図である。
【図9(A)】プローブ帯の側面図である。
【図9(B)】プローブ帯の上面図である。
【図10】プローブ・バーの形態にあるプローブ・アレイの第二の実施形態の前面図である。
【図11】図7によるプローブ・バーの側面図である。
【図12】プローブ・バーのさらにもう一つの実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、好ましくはN=128チャネルを含む制御ユニットのブロック図を示す。N=128個までの超音波トランスデューサ素子10の各々毎に、入力14を介して制御可能なパルサ12が設けられている。例えば5nsの遅延を、さらにもう一つの入力16を用いてオン又はオフに切り換えることができる。超音波トランスデューサ素子10から受け取った信号は二つのチャネルにおいて記録され、各々のチャネルが演算増幅器18、20、低域通過フィルタ22、24、及びA/Dコンバータ26、28を含んでいる。個々のチャネルの演算増幅器18、20は相異なる増幅率を有する。各A/Dコンバータは、ディジタル出力すなわちプログラム可能な集積回路30に接続される。A/Dコンバータ26、28のディジタル出力は、逆シリアル・モジュール32、34の入力に接続される。逆シリアル・モジュールの一つの出力はオフセット補正モジュール36、38の入力に接続され、オフセット補正モジュール36、38の出力はマルチプレクサ40に接続される。マルチプレクサ40は出力側で、RAMのような外部メモリ・モジュール42及び処理ユニット44に接続される。
【0048】
処理ユニット44では、チャネル選択、並びに動的深さ集束及び動的開口適応調整が生ずる。与えられる遅延は例えば5nsである。外部メモリ・モジュール42の一つの出力は開口処理ユニット44に接続される。さらに、内部メモリ・モジュール46が設けられており、同様に開口処理ユニット44に接続されている。
【0049】
総和モジュールを有するユニット44の一つの出力はプロセッサ48に接続され、ここで増幅、フィルタ処理及び実時間HF振幅スケーリングの時間制御増幅がディジタル態様で行なわれる。プロセッサ48の出力において信号が送信されて、マルチプレクサ50の第一の入力52.1に印加される。また、ヘッダ、シーケンス番号又は制御語が、マルチプレクサの第二の入力52.2に印加され得る。それぞれの入力は、第三の入力52.3を用いて選択され得る。マルチプレクサ50の出力においては、例えば17ビット信号が印加されて、高速シリアル・リンク54を介してさらなる処理のために利用可能となる。回路のさらにもう一つの構成要素は、回路30の様々なユニットにおいて信号を入力する入力モジュール56である。
【0050】
本発明による方法は、次のようにして実行される。先ず、完全な波面が物体の少なくとも一つの被試験区画に垂直に、全ての超音波トランスデューサ素子の同時(位相厳格型(phase-rigid))制御によってパルス発生器12を介して送波される。次いで、物体の構造によって反射された波が、複数の独立した超音波トランスデューサ素子10によって受波される。超音波トランスデューサ素子10から受波された信号を、ディジタル信号処理ユニット30においてディジタル化ステップにおいてディジタル化し、電子的に処理して、メモリ・モジュール44又は46に保存する。
【0051】
ここでは、各回のディジタル化ステップ毎に「オン・ザ・フライ」で超音波トランスデューサ素子の遅延値及び/又は数を適応調整しなければならないため、各回のディジタル化ステップ毎に「オン・ザ・フライ」で仮想的プローブの超音波トランスデューサ素子の遅延値及び/又は数の連続的変化が存在する。遅延値は、保存されている開始遅延(表面位置についての焦点則)から終了遅延(後面壁位置についての焦点則)までについて、R=半径とするとl/Rのような距離関数によって算出される。遅延値は、特に複素コヒーレンスの場合には参照テーブルに保存され得る。現在の例では、遅延値は曲線の形態でプロットされる。
【0052】
開口適応調整は、好ましくは総和モジュール44において受波素子の数の線形変化によって行なわれる。
【0053】
遅延値及び/又は開口適応調整の大きな変化は通常、表面/界面エコーの「飛行時間」位置(実行時(runtime)位置)をトリガとして誘発される。総和モジュール44では、様々な集束された送波器ショットを一つの信号にする加算が、ディジタルTGC関数の利用によって行なわれる。加えて、遅延値は、関数依存性、例えばベジエ関数、多項式関数又は他の形式の関数によって定義され、ここでは超音波トランスデューサ素子の関数番号を引数として用いて遅延値を結果として発生するが、各パラメータは応用に依存して設定される。
【0054】
図2(A)〜図2(D)は、マトリクス型フェーズド・アレイ・プローブの形態にあるプローブ62の平面図を純粋に概略的な形態で示す。このプローブは、個々に制御可能な複数の個別の超音波トランスデューサ素子10を含んでいる。
【0055】
既に述べた通り、図2(A)に示すように送波のためには全ての超音波トランスデューサ素子10が同時に動作する。
【0056】
実行時制御型集束(動的深さ集束)及び実行時制御型受波開口(動的開口)の原理に従って、図2(B)〜図2(D)の着目する焦点ゾーンについては、図2(B)のような1個の素子、図2(C)のような5個の素子、又は図2(D)のような9個の素子が受波を行なうように切り換えられて、様々な深さのゾーンに集束する。
【0057】
各々のプローブ62が例えば128個の超音波トランスデューサ素子10を有し得る。5×25=125個の素子を有するプローブが好ましくは用いられ、この結果として、例えば35mm×175mmの領域において作用表面を得ることができる。
【0058】
1000mm〜5300mmにわたる範囲の金属板幅をカバーするためには、約36個のプローブ62が必要とされる。
【0059】
図3には24個の素子を有するシステム・プローブ64が示されており、システム試験サイクルT1…Tnに合わせるために各々の場合において9個の超音波トランスデューサ素子10を段階的にオンに切り換えて、受波を行なうように切り換えている。
【0060】
本発明による方法では、凹凸のある表面について従来の接触技術と比較して高い結合信頼性が得られる。さらに、全てのプローブは、幅ピクセル化を例えば6mmとして板幅全体にわたり隙間なく配置され得る。端及び上下面試験をこの概念に一体化する。また、より高次の再構成方法が全ての試験データの早期のディジタル化によって組み入れられ得る。さらに、平行B走査原理が可能になり、すなわち全ての超音波トランスデューサ素子が同時に送受波を行なうことが可能になる。
【0061】
図4(A)に示すように、平行B走査方法は、非理想的照射形状66についても堅牢な試験を可能にする。図4(B)に示すように、非理想的照射形状66は例えば彎曲した前面壁及び/又は彎曲した後面壁を有し得る。
【0062】
試験アレイ68の第一の実施形態を図5に側面図として示す。薄肉又は肉厚の金属板のような平坦な材料の形態にある被試験物体70が輸送ローラ72、74に積載されて、矢印76の方向に輸送自在となっている。被試験材料70の下面78にはプローブ・アレイ80が設けられており、これにより個々のプローブPK1〜PKnが区分技術によって被試験材料70に結合される。プローブ・アレイ80は、上方に向かって開放した水室として設計されており、連続的な給水を介して被試験物体70までの間隙に生ずる水損失を均等化し、従って超音波の完全な結合が確実になる。プローブ・アレイ80は好ましくは、水損失を減少させるために被試験材料の下面78からリップ・シールによって封止される。
【0063】
代替的には、前方及び後方の滑りシューを試験材料70の移動方向76に沿って設けて、試験材料が過度に不均一であるときの損傷からプローブ・アレイ80を保護することができる。プローブ・アレイ80は、制御要素84を用いて下降させることができ、波状起伏に適応するためにさらに他の制御要素86、88、90を用いて動的に再調節されることができる。プローブ・アレイ80の前方には、予備清浄化ユニット又は予備湿潤ユニット92と、故障発生時に確実に運転停止を行なうための安全センサ94とが装着されている。
【0064】
図6はプローブ・アレイ80の平面図を示しており、個々のプローブPK1〜PK6又はPKnが水プール96の内部に配置されている。水プールは、被試験材料70の下面78から好ましくはリップ・シールのような汎用封止要素98によって封止される。ここでは、プローブPK1、PK3、PK5が第一の長手方向軸98に沿って互いから一定の距離を隔てて配置されており、また第一の軸に平行に走行している第二の軸100に沿って、プローブPK2、PK4、PK6がプローブPK1、PK3、PK5に対してずれて並ぶように配置されている。このようにして、被試験域の全幅Bが超音波トランスデューサ素子によってカバーされる。超音波プローブの一つ一つPKiがここでは超音波制御ユニットi(図1による)の一つに接続される。このようにして、試験を一つ一つのプローブによって同時に並行して行なうことができ、従って試験容量を増大させることができる。一つのプローブの内部では、集束された送波が、試験要件に依存してマトリクス型プローブの一群の好ましくは5×5個の素子によって試験標本の後面壁に対して生ずる。次いで、適当な受波素子を選択することによる所載の動的開口適応調整及び/又は遅延の適応調整による動的深さ集束を行ないながら、深さゾーンに依存して同じ受波群を評価する。次いで、プローブ表面全体をカバーするために、次回の超音波ショットでは所載の群をプローブ長手方向に沿って1個のマトリクス素子分さらに移動させて、このことをプローブ開口全体が走査され終わるまで行なう。代替的には、さらにもう一つの試験モードにおいては、送波側開口(例えば中央の素子のみ又は3×3個の素子群のみ)を適当な集束によって制御して、この場合にも開口及び集束の適応調整を行ないながら、深さゾーンに対応して結合された様々な送波ショットからの保存されている受波超音波信号を評価することも可能である。さらにもう一つの試験モードはプローブの開口全体(例えば5×25個のマトリクス素子)の送波ショットを含んでおり、この送波ショットと共に5×5個の素子群の割り出し式移動について最初に記載された方法に従って、試験標本の後面壁に対する線形集束及び保存されている受波信号の評価を行なう。
【0065】
プローブ・アレイ80は、生産フローにおいてトリミング前の圧延板の100%表面試験を行なうことが可能である。ここでは、長さが30000mmまで、幅が1000mm〜5300mm、厚みが4mm〜300mmの範囲にある金属板を処理/試験することが可能である。
【0066】
試験は1回パスで特に表面ゾーン及び端ゾーン試験として行なわれることができ、後者は長手方向にも横断方向にも行なわれ得る。試験速度は1000超音波ショット/秒について約0.5m/秒である。結合は、上述のように循環給水による水間隙を介して行なわれる。
【0067】
本発明による方法は、材料厚みに依存して信頼性のある検出を可能にし、厚みが8mm〜240mmのERGΦ3の場合には表面からの距離が3mmまでで確実に検出され、厚み範囲が240mm〜400mmのERGΦ5の場合には表面からの距離が5mmまでで確実に検出され得る。
【0068】
全般に、機能的信頼性、入手可能性、及び保守容易性を高めるためにモジュール型構造を目指している。
【0069】
この方法は、例えば以下の条件下で検証され得る。試験方法:パルス型エコー方法。水距離は80mm。
試験体1
材料:炭素鋼
寸法:長さ=200mm、幅=100mm、厚み:280mm
試験欠陥:径3mm又は5mmの平らな鞍形穴
2009年5月28日−49271B
試験体2
材料:炭素鋼
寸法:長さ=100mm、幅=100mm、厚み:20mm
試験欠陥:径3mm又は5mmの盲穴
トランスデューサ(プローブ1)
形式:2D面アレイトランスデューサ(18素子)
周波数:4MHz
素子寸法:7×7mm
トランスデューサ(プローブ2)
形式:2D面アレイトランスデューサ(24素子)
周波数:5MHz
素子寸法:6×6mm
マトリクス型プローブの図は図3に示すものに対応している。
【0070】
マトリクス型プローブのさらにもう一つの図を図7に示す。図7(A)によれば、プローブPKは5×5=25個の個別の送受波素子10を含んでいる。実行時制御型集束(動的深さ集束)又は実行時制御型受波開口(動的開口)の原理は図7(B)〜図7(D)から分かる。プローブPKの超音波受波信号の数の評価に対応して、試験物体の様々なゾーン(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3)が、図7(E)に純粋に概略的に示すように試験され得る。
【0071】
図8は、一例として個々のプローブPK1…PKnを隙間なく並べてシステム・プローブAPKを形成したもの、又は次いでシステム・プローブAPKを隙間なく並べて得られるプローブ帯PKLをを示す。
【0072】
全てのプローブPK1…PKnによる波面の送波の後に、プローブPK1…PKnの全ての超音波受波器10が受波するように切り換えられるため、入来する超音波信号をディジタル化ステップにおいてディジタル化して保存することができる。ディジタル化のタイミングのため、信号が任意の時刻にディジタル化される場合に、信号は深さ情報を受け取ってこの情報を評価することができる。第一の試験サイクルT1では、各々のプローブPK1…PKnの25個の個別の信号が「オン・ザ・フライ」で評価され、すなわち信号が依然受波されている間に評価される。さらに他の試験サイクルT2…T5では、各回のディジタル化ステップ毎に受波素子の遅延値及び/又は数の連続的変化を考慮に入れて、「仮想的プローブ」においてさらにサイクル運転することにより、既に保存されている超音波信号が評価される。受波素子によって受波される信号のディジタル化ステップにおけるディジタル化のため、あらゆる保存値はまた深さ情報を得て、この情報を評価することができる。25個の送受波素子を有するプローブPKと共に示されている実施形態では、このように5回の試験サイクルの範囲内で評価を行なうことができる。
【0073】
単一のプローブPK1…PKnはここでは、例えば5×5=25個の個別の送受波素子10を含んでおり、素子10の各々が例えば6×6mmの寸法を有する。従って、図9(A)に示すプローブ筐体PKGの寸法は、25個の送受波素子について約35mm×34.8mmの領域にある。プローブ帯PKLを図9(B)に示す。
【0074】
板幅が例えば最大5350mmであり、25個の送受波素子について想定されるプローブ筐体幅が35mmである場合に、結果は板幅をカバーするのに必要とされるプローブの数が5350/35=153個となる。
【0075】
各々の制御ユニットSEについて125チャネルが利用可能であるとすると、結果は電子ユニット当たりプローブ数が5となる。所要のプローブ数が153である場合には、31個の電子ユニットが必要である。
【0076】
5個のプローブを各々処理し得る31個の電子ユニットを用いると、結果は最大プローブ数が155となり、従って幅155×35mm=5425mmのカバー範囲を可能にする。このことは、板幅が5350mmである場合には75mmの重なりに対応する。
【0077】
図10は、プローブ・バーの形態にあるプローブ・アレイ102の第二の実施形態の前面図を示す。このアレイについては、図9によるプローブPK1…PKnが、金属板104のような平坦な材料の完全な試験を可能にするためにプローブ帯PKLとして隙間なく並べられる。
【0078】
プローブ・バー102の第一の実施形態の側面図を図11に示す。プローブ・バー102は、静止型又は可動型支持体106の上に配置されているが、支持体106の詳細は図示を省略する。給水源として設計されているビーム108、110がこの支持体の上に設けられている。ビーム108、110には昇降装置112が設けられており、この昇降装置112を用いてプローブ・バー102を被試験板104に向けて前進させることができる。昇降装置は、空気式設計のものであってよく、伸長した状態で約20mmの行程を有する。昇降装置112は高さ調節自在のプラットフォーム114を含んでおり、このプラットフォーム114の下方に空気供給路116、118が配置されている。
【0079】
好適実施形態では、プローブ・バー102は、円弧形状のトラフ122を含む角度調節装置120を備えて設計されており、角度調節装置120は、ローラ124、126に旋回自在に装着されており、調節機構128を用いて設定自在である。角度は、±5°の範囲で設定され得る。
【0080】
トラフには長手方向に走行するビーム130、132が設けられており、これらのビームによってプローブ帯134が確実に支持されている。プローブ帯134の整列、特に初期組み立て時の整列のために、調節要素136、138がビーム130、132の上側に載置されて設けられている。プローブ帯134の側に、流れ去り又は拭き取られる結合水用の収集水路140、142が配置されている。プローブ帯の上方には、試験材料に対する水結合のためのスロット144が設けられており、被試験材料の下面に接触するゴム製表面材146、158によって側面で制限されている。
【0081】
図12は、プローブ・バー150のさらにもう一つの実施形態を側面図として示しており、この側面図は図11による実施形態に実質的に対応するので、同等の要素は同じ参照番号によって示す。
【0082】
本実施形態では、プローブ帯134は試験トラフ152の内部に向けて開放しており、試験トラフ152は拭き取り及び封止用リップ154、156によって側面で制限されている。試験トラフに平行に、予備湿潤水路158が板走行方向の反対に設けられており、この水路148を用いて被試験材料を予備湿潤する。水路は、拭き取り及び封止用リップ160並びに拭き取り及び封止用リップ154によって側面で制限されている。
【0083】
板走行方向には、試験トラフ152から流出した水を受ける収集水路162が、試験トラフ152に平行に走行している。収集水路は、拭き取り及び封止用リップ164並びに拭き取り及び封止用リップ156によって側面で制限されている。
【符号の説明】
【0084】
10 超音波トランスデューサ素子
12 パルサ
14、16 入力
18、20 演算増幅器
22、24 低域通過フィルタ
26、28 A/Dコンバータ
30 プログラム可能な集積回路
32、34 逆シリアル・モジュール
36、38 オフセット補正モジュール
40 マルチプレクサ
42 外部メモリ・モジュール
44 処理ユニット
46 内部メモリ・モジュール
48 プロセッサ
50 マルチプレクサ
52 入力
54 高速シリアル・リンク
56 入力モジュール
62 マトリクス型フェーズド・アレイ・プローブ
64 システム・プローブ
66 非理想的照射形状
68 試験アレイ
70 被試験物体
72、74 輸送ローラ
76 輸送方向
78 下面
80 プローブ・アレイ
82
84、86、88、90 制御要素
92 予備湿潤ユニット
94 安全センサ
96 水プール
98 汎用封止要素
98 第一の長手方向軸
100 第二の軸
102 プローブ・バー型プローブ・アレイ
104 金属板
106 支持体
108、110 ビーム
112 昇降装置
114 プラットフォーム
116、118 空気供給用チャネル
120 角度調節装置
122 円弧形状のトラフ
124、126 ローラ
128 調節機構
130、132 ビーム
134 プローブ帯
136、138 調節要素
140、142 収集水路
144 スロット
146、148 ゴム製表面材
150 プローブ・バー
152 試験トラフ
154、156 拭き取り及び封止用リップ
158 予備湿潤水路
160、164 拭き取り及び封止用リップ
162 収集水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な焦点ゾーンにおいて超音波を用いて肉厚又は薄肉の金属板のような平坦な物体(70)の非破壊試験を行なう装置(68)であって、1又は複数の独立に制御可能なプローブ(PK1〜PK6)を含む装置(68)において、
前記プローブ(PK1〜PKn)は、二次元フェーズド・アレイ・プローブ(PK2〜PKn)として設計され、互いに隣接して隙間なく列を成して配置されており、前記個々のプローブ(PK1、PKn)の数及び長さの和は被試験材料の幅に対応している、装置(68)。
【請求項2】
前記プローブ(PK1〜PKn)は、波状起伏調節の目的で制御要素(86、88、90)を用いて前記被試験材料(70)の下面(78)に対して調節自在である水プール(96)に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記水プール(96)は、前記被試験材料(70)の前記下面(78)からリップ・シールのような汎用封止要素により封止される、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記水プール(96)には、前記試験材料の過度の凹凸のため前記水プールに損傷が加わらないようにするために、前記被試験材料(70)の前記下面(78)に向けて試験方向に沿ってランナーのような滑り要素が設けられている、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記プローブ(PK1〜PKn)は、1000mm≦B≦5300mmの範囲の幅をカバーする、請求項1〜請求項4の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項6】
前記プローブ(PK1〜PKn)は好ましくは、30mm×150mmの範囲の作用表面を有する、請求項1〜請求項5の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項7】
前記プローブ(PK1〜PKn)は、好ましくは面積が6×6mm又は7×7mmの超音波トランスデューサ素子(10)を有し、該超音波トランスデューサ素子(10)は、互いから0.2mm〜3mmの範囲の距離を隔てて配置されている、請求項1〜請求項6の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項8】
前記プローブ(PK1〜PKn)は、個別の焦点ゾーンに合わせてプログラム可能である、請求項1〜請求項7の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項9】
前記プローブ(PK1〜PKn)は、区分浸漬技術により前記被試験材料(70)に結合され得る、請求項1〜請求項8の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項10】
物体(70)の非破壊試験のための二次元フェーズド・アレイ・プローブ(PK1〜PKn)の利用方法であって、
1又は複数の二次元フェーズド・アレイ・プローブ(PK1〜PKn)が、動的深さ集束及び動的開口適応調整を用いて平坦な材料を試験するために用いられる、利用方法。
【請求項11】
様々な焦点ゾーンにおいて超音波を用いて肉厚又は薄肉の金属板のような物体(70)の非破壊試験を行なうために1又は複数のプローブ(PK1〜PKn)を制御する方法であって、
・複数の独立した送波素子を用いた前記被試験物体の少なくとも一つの区画に対する完全な波面の送波と、
・複数の独立した受波素子による前記物体の構造により反射された波の受波と、
・ディジタル化ステップにおける前記受波素子により受波された信号のディジタル化と、
・各回のディジタル化ステップ毎の(オン・ザ・フライでの)受波素子の遅延値及び/又は数の連続的変化と
を特徴とする方法。
【請求項12】
前記遅延値は、保存されている開始遅延(表面位置についての焦点則)から終了遅延(後面壁位置についての焦点則)までについて、R=半径とするとl/Rのような距離関数により算出される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記遅延値は、特に複素コヒーレンスの場合には参照テーブルに保存される、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
開口適応調整が、前記受波素子の数の線形変化により達成される、請求項11〜請求項13の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項15】
前記遅延値の変化及び/又は開口適応調整の開始は、表面/界面エコーの「飛行時間」位置をトリガとして誘発され得る、請求項11〜請求項14の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項16】
様々な集束した送波器ショットを一つの信号にする加算が、ディジタルTGC関数の利用により達成される、請求項11〜請求項15の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項17】
遅延値は、ベジエ関数、多項式関数又は他の形式の関数のような関数依存性により定義され、関数素子番号が引数として用いられて前記遅延値が結果として生成されるが、各パラメータは応用に依存して設定される、請求項11〜請求項16の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項18】
遅延値は、前述の方法の一つの1又は複数の事例の線形結合又は前述の方法の幾つかの様々な事例の線形結合により生成される、請求項11〜請求項17の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項19】
前記データは、電子メモリ・モジュール(42、46)に暫定的に記憶され、次いで、前記請求項の一つの記載に従って処理される、請求項11〜請求項18の少なくとも一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(A)】
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【図9(B)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−522238(P2011−522238A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511016(P2011−511016)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056584
【国際公開番号】WO2009/150067
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(506082124)ジーイー センシング アンド インスペクション テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (14)
【Fターム(参考)】