超音波センサの取付け構造
【課題】 意匠性を向上できる超音波センサの取付け構造を提供すること。
【解決手段】 超音波センサ100を、貫通孔11の形成された取付け部10に固定する超音波センサ100の取付け構造であって、取付け部10の内面側及び貫通孔内の少なくとも一方に配置した固定部材200により、超音波センサ100を、振動面130が貫通孔11を介して取付け部10の外部に露出するように固定し、固定部材200とは別のマスク部材300により、振動面130の露出状態を保ちつつ、取付け部10の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部11aを被覆した。
【解決手段】 超音波センサ100を、貫通孔11の形成された取付け部10に固定する超音波センサ100の取付け構造であって、取付け部10の内面側及び貫通孔内の少なくとも一方に配置した固定部材200により、超音波センサ100を、振動面130が貫通孔11を介して取付け部10の外部に露出するように固定し、固定部材200とは別のマスク部材300により、振動面130の露出状態を保ちつつ、取付け部10の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部11aを被覆した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔の形成された取付け部に対する超音波センサの取付け構造に関するもので、特に車両のバンパに取付けられ、障害物の存在を検知するための超音波センサの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバンパに超音波センサを取付ける取付け構造は、2種に大別することができる。
【0003】
一方は、バンパの外面側において貫通孔の開口縁部に当接するフランジ部と、当該フランジ部から貫通孔を通してバンパの内面側に突出し、振動面が外部に露出するように超音波センサを保持する保持部とにより構成される保持部材を介して、超音波センサをバンパに取付けた構造である。このような構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
他方は、フランジ部を有さず、バンパの内面に取付けた保持部材によって、振動面が外部に露出するように超音波センサを保持し、バンパに取付けた構造である。このような構造は、例えば特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2001−63497号公報
【特許文献2】特表2001−527480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の取付け構造の場合、保持部はバンパに固定されておらず、フランジ部を貫通孔の開口縁部に当接させて、超音波センサを所定位置に保持(固定)する構造となっている。従って、フランジ部には、バンパの内面側への引っ張り(超音波センサ及び当該超音波センサに接続されたハーネスの重量の少なくとも一部、若しくは、超音波センサに設けた狭持部材(例えばばね)の反力)に対する強度が必要とされるので、開口縁部に接する面積及び厚さが大きくなる。
【0006】
後述の取付け構造の場合、保持部材にフランジ部のない構造であり、保持部材がバンパの内面に取付けられているので、貫通孔の開口縁部又は内壁面の意匠面での不具合が露出する恐れがある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、意匠性を向上できる超音波センサの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する為に請求項1〜19に記載の発明は、超音波振動子を収納する超音波センサを、貫通孔の形成された取付け部に固定する超音波センサの取付け構造に関するものである。
【0009】
先ず請求項1に記載のように、取付け部の内面側及び貫通孔内の少なくとも一方に配置した固定部材により、超音波センサを、超音波振動子の振動面が貫通孔を介して取付け部の外部に露出するように固定し、固定部材とは別のマスク部材により、振動面の露出状態を保ちつつ、取付け部の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆してなることを特徴とする。
【0010】
このように本発明によると、固定部材にて超音波センサを取付け部に固定し、固定部材とは別のマスク部材にて、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆する構成とした。このように、固定部材とマスク部材とを別部材としたので、マスク部材はそれ自身を取付け部に保持する強度さえ有していれば良い。従って、取付け部の外面に露出するマスク部材を、従来のフランジ部よりも小さく且つ薄くすることができる。すなわち、従来よりも意匠性を向上できる。
【0011】
特に請求項2に記載のように、貫通孔を、取付け部への塗装完了後に形成する場合に好適(所謂ディーラーでの後付け)である。
【0012】
塗装後の取付け部に貫通孔を形成する場合、一般的に機械的に(例えばホールソーを用いて)形成するため、開口縁部にバリ、塗装剥がれ等が生じる。このバリを除去する際には塗装剥がれが生じる。従来の保持部材をバンパの内面に取付けた取付け構造の場合、フランジ部がないため、上記不具合が露出することとなる。しかしながら、後付け時の再塗装は、製造工程における塗装とは異なるため、色目や光沢等を合わせるのが困難であり、上記構造は後付する場合に不適当であった。これに対し、請求項1に記載の発明によると、マスク部材によって目隠しすることができるので、後付けする場合に好適である。尚、貫通孔形成後に取付け部を塗装する構成にも適用できることは言うまでもない。従って、意匠性とともに、組付けの自由度も向上できる。
【0013】
請求項3に記載のように、マスク部材により、外面側の貫通孔周縁部とともに貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆する構成とすることが好ましい。
【0014】
振動面が露出するように超音波センサを固定部材に固定した状態で、貫通孔の内壁面が取付け部の外面側から見える(露出している)と、意匠の点で好ましくない。特に後付けする場合、貫通孔の内壁面は、塗装されておらず、機械加工により粗い状態となっている。それに対し、本発明の構成であれば、マスク部材によって貫通孔の内壁面も被覆することができるので、意匠性をより向上することができる。
【0015】
具体的には、請求項4に記載のように、マスク部材を、取付け部の外面側の貫通孔周縁部に当接する外面被覆部と、当該外面被覆部に連結し、貫通孔の内壁面に当接する内壁面被覆部とを有するように構成すると良い。
【0016】
その際、請求項5に記載のように、内壁面被覆部の貫通孔の内壁面との接触部位を凹凸状とすることで、内壁面被覆部と表面が粗の内壁面との間の摩擦力が増すので、簡素な構成でありながらマスク部材を取付け部に固定することができる。後付けする場合には、貫通孔の内壁面が特に粗となっているので、摩擦力がより増し、安定して固定することができる。尚、凹凸は1つでも良いが、複数設けられることが好ましい。
【0017】
請求項6に記載のように、凹凸状を構成する凸部を、貫通孔の貫通方向において、その突起頂点が内壁面被覆部との境界位置よりも取付け部の外面側に位置するように構成すると良い。この場合、内面側から外面側にマスク部材を引き出す方向において、凸部は内壁面に対するくさび効果を発揮することができる。従って、マスク部材を取付け部により安定して固定することができる。尚、外面被覆部によって、外面側から内面側に引き出す方向のマスク部材の移動は抑制されている。
【0018】
凹凸状は、例えば請求項7に記載のように、粗化処理により形成することができる。それ以外にも、マスク部材成形時の型形状にて規定しても良い。また、別部材を固定して凹凸を構成しても良い。
【0019】
請求項8に記載のように、マスク部材が、弾性変形可能に設けた内壁面被覆部に連結し、取付け部の内面側の貫通孔周縁部に当接する内面被覆部を有し、外面被覆部と内面被覆部とで、取付け部を狭持するように構成しても良い。このような構成とすると、簡素な構成でありながら、マスク部材を取付け部に固定することができる。この場合、請求項5〜7いずれかに記載の発明と組み合わせても良い。
【0020】
固定部材は、取付け部の内面側及び貫通孔内の少なくとも一方に配置されれば良い。取付け部に固定される場合には、取付け部の内面及び貫通孔の内壁面の少なくとも一方に固定されていれば良い。例えば、請求項8に記載の構成において、請求項9に記載のように、固定部材を取付け部の内面に固定する場合には、マスク部材を取付け部に固定するために、マスク部材の内面被覆部と干渉せず、且つ、超音波センサを固定するよう構成すれば良い。
【0021】
超音波センサが、振動を抑制する筒状弾性体を超音波振動子の側面に被せた状態で、超音波振動子をケースの開口部から連通する中空内部に挿入し、開口部から振動面が露出するように、ケースに組み付けて構成される場合、請求項10に記載のように、筒状弾性体の、開口部から露出し、振動面側の端部からマスク部材と重なる範囲を、振動面側から拡径するテーパ状とすると良い。このような構成とすると、超音波センサの一部を内面側から貫通孔に挿入しやすくなり、取付け部に対して、マスク部材を超音波センサよりも先に取付ける場合において、マスク部材に筒状弾性体が接触する場合の負荷を低減できる。
【0022】
さらに、請求項11に記載のように、貫通孔の貫通方向において、ケースにマスク部材と重なる部分がある場合には、筒状弾性体のテーパ状の端部に当接する開口部からマスク部材と重なる範囲を、筒状弾性体のテーパ頂点よりも小径とすると、マスク部材に対してケースが接触しない構成となる。
【0023】
尚、請求項12に記載のように、マスク部材が、筒状弾性体と接触する固定用突起部を有する構成としても良い。この場合、ケースの開口部から露出する筒状弾性体に固定用突起部が食い込むことで、取付け部に当接させた状態でマスク部材を固定することもできる。尚、固定用突起部と内面被覆部や内壁面被覆部の凹凸状を組み合わせても良い。
【0024】
マスク部材の固定は特に限定されるものではない。上述した構成以外にも、例えば請求項13に記載のように、マスク部材を、取付け部に接着固定しても良い。その一例として、請求項14に記載のように、マスク部材として、取付け部との接触面に粘着材を有するフィルムを適用することができる。
【0025】
また、貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆する構成として、請求項15に記載のように、マスク部材が、外面被覆部に連結して縮径方向に延び、取付け部と振動面との間を被覆する隙間被覆部を有するように構成しても良い。
【0026】
この場合、隙間被覆部によって、振動面のみが露出するように、取付け部と振動面との間を被覆することができる。従って、貫通孔の内壁面を被覆することができる。また、超音波センサが超音波振動子に筒状弾性体を被せてケースに組付ける構成においては、外部に露出しないように筒状弾性体やケースを被覆することができる。尚、隙間被覆部によって貫通孔の内壁面も被覆されるが、隙間被覆部とともに内壁面被覆部や内面被覆部を設け、これによりマスク部材を取付け部に固定する構成としても良い。
【0027】
超音波センサは、振動面が貫通孔を通して外部に露出するように固定部材によって固定されていれば良いが、請求項16に記載のように、振動面と外面側におけるマスク部材の表面とを面一となるように固定されることが意匠性を向上する上で好ましい。
【0028】
尚、意匠性を向上するために、請求項17に記載のように、マスク部材を、振動面と同色としても良いし、請求項18に記載のように、マスク部材を、取付け部と同色としても良い。
【0029】
尚、請求項1〜18のいずれかに記載の発明は、取付け部として車両のバンパに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。図2は、マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。図2(a)においては、説明の都合上、超音波センサの一部も図示している。図3は、マスク部材の取付け部への固定構造を説明するための拡大断面図である。尚、本実施形態においては、取付け部としての車両のバンパに、車両用のバックソナー又はコーナーソナーとして用いられる超音波センサを取付ける例を示す。
【0031】
取付け部10は車両のバンパであって、ウレタン等の合成樹脂成形品であり、表裏に貫通する貫通孔11が少なくとも1つ設けられている。本実施形態においては、取付け部10への塗装完了後に貫通孔11が形成され、この取付け部10に対し、超音波センサ100を、振動面が貫通孔11を介して取付け部10の外部に露出するように固定部材200により固定し、マスク部材300により、振動面の露出状態を保ちつつ、取付け部10の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆してなるものである。
【0032】
超音波センサ100は、少なくとも超音波を発信し、障害物にて反射された超音波を受信する超音波振動子を備えるものである。本実施形態においては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる筐体110の内部に、図示されない超音波振動子、超音波を発生させる駆動電圧を超音波振動子に印加するとともに超音波振動子から逆起電圧効果により発生した電圧を処理する処理回路基板、不要振動を吸収する吸収部材等を配置して構成されている。
【0033】
筐体110は、筐体後部110aと、筐体後部110aの一面から略円筒形状をもって突出する筐体前部110bからなり、筐体後部110aに処理回路基板が配置され、筐体前部110bに側面が吸収部材120(例えばシリコンゴム)にて覆われた超音波振動子が配置されている。そして、超音波振動子の略円形状の先端面の内面に圧電素子が貼着され、外面が超音波振動子の振動面130として、筐体前部110bの突出先端の開口部から露出している。本実施形態における振動面130は、意匠性向上のために、取付け部10と同色に着色(塗装)されている。尚、本実施形態においては、吸収部材120の一部も筐体前部110bの開口部から露出している。また、筐体前部110bは、貫通孔11の孔径に対して若干小さめに形成されており、振動面130を先頭として筐体前部110bが内面側から貫通孔11に挿入され、固定部材200に固定された状態で、振動面130がマスク部材300の外部表面と面一となるように構成されている。
【0034】
固定部材200は、取付け部10の内面側及び貫通孔11内の少なくとも一方に配置され、振動面130が貫通孔11を介して取付け部10の外部に露出するように超音波センサ100を取付け部10に固定するものである。固定部材200は、その構成材料や構造が特に限定されるものではなく、それ自身も取付け部10に固定されても良いし、取付け部10に固定されなくとも良い。
【0035】
本実施形態における固定部材200は、超音波センサ100を所定の配置状態に保持(固定)する保持部210と、取付け部10の内面に固定される固定部220とにより構成されている。尚、本実施形態においては、筐体110同様、PBTを構成材料として、保持部210と固定部220を一体成形している。
【0036】
保持部210は、その内部に超音波センサ100の筐体前部110bを挿入配置できるように両端が開口し、筐体前部110bの外形及び外径と略一致する筒状に設けられている。また、保持部210の所定位置には嵌合溝部(図示せず)が形成されており、この嵌合溝部を超音波センサ100の筐体前部110bに形成された嵌合突起部(図示せず)と嵌合させた状態で、振動面130を外面側におけるマスク部材300の表面と一致させ、超音波センサ100を取付け部10に固定するよう構成されている。
【0037】
固定部220は、保持部210から折曲し、取付け部10の内面と並行なリング状に設けられ、取付け部10の内面に例えば接着固定される。尚、固定部220の固定は接着に限定されるものではない。ねじ締結等公知の技術を適用することができる。この固定状態で、当該固定部220から保持部210が取付け部10の内面側に突出する構成となっている。
【0038】
マスク部材300は、振動面130の露出状態を保ちつつ、取付け部10の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部11aを被覆するように、固定部材200とは別に構成された、着色された部材である。本実施形態におけるマスク部材300は、意匠性向上のために、取付け部10及び振動面130と同色に着色されている。
【0039】
本実施形態においては、マスク部材300を、外面側の貫通孔周縁部11aともに、貫通孔11の内壁面11bの少なくとも一部を被覆するように構成した。より具体的には、取付け部10の外面側の貫通孔周縁部11aに当接する外面被覆部310と、当該外面被覆部310に連結し、貫通孔11の内壁面11bに当接する内壁面被覆部320とにより構成した。尚、マスク部材300の構成材料は特に限定されるものではない。合成樹脂や、ゴム、金属等を適用することができる。本実施形態においては、筐体110同様、PBTを構成材料として、外面被覆部310と内壁面被覆部320を一体成形している。
【0040】
外面被覆部310は、貫通孔11の開口縁部11aを被覆するとともに、その表面が固定部材200により超音波センサ100を固定した状態で、振動面130と面一となるように円環状に設けられている。ここで、マスク部材300は、他の部材を取付け部10に固定するためのものではなく、被覆するためのものである。従って、それ自身を取付け部10に保持する強度さえ有していれば良いので、外面被覆部310の幅と貫通孔11の貫通方向における厚さを、意匠性を考慮してできる限り小さく(例えば1〜3mmの幅(本実施形態においては2mm)、1mm以下の厚さ(本実施形態においては0.7mm))することができる。尚、図3に示すように、意匠性をさらに向上するために、外周側の端部をテーパ状としている。
【0041】
内壁面被覆部320は、超音波センサ100を所定配置した状態で露出する貫通孔11の内壁面11bの部位を被覆するように、一端が外面被覆部310に連結した筒状に設けられている。具体的には、本実施形態においては、内面被覆部320の筒状内部が、筐体前部110bの外形及び外径と略一致し、外面被覆部310からの貫通方向の長さが、振動面130が外面被覆部310と面一となるように固定された状態で、筐体前部110bの位置よりも内面側となるように設けられている。
【0042】
ここで、取付け部10に形成された貫通孔11の内壁面11bは、加工方法にもよるが、平坦化処理がなされない限り、一般的に凹凸のある粗い状態となっている。特に、取付け部10への塗装完了後に、貫通孔11を形成する場合には、ホールソーのような工具を用いた機械加工が適用されるので、図3に示すように内壁面11bが粗い状態となる。
【0043】
そこで、本実施形態においては、マスク部材300を取付け部10に固定する手段として、内壁面被覆部320の内壁面11bとの当接部位を凹凸状とし、内壁面11bとの間の摩擦力を増すことにより、マスク部材300を取付け部10に固定する構成とした。具体的には、振動面130を先頭として超音波センサ100を内面側から貫通孔11に挿入する構成であるので、図3に示すように、凹凸状を構成する凸部321を、貫通孔11の貫通方向において、その突起頂点が内壁面被覆部320との境界位置よりも取付け部10の外面側に位置するように構成した。この場合、凸部321が内壁面11bに対するくさび効果を発揮し、内面側から外面側に引き出す方向におけるマスク部材300の移動を抑制することができる。尚、外面側から内面側に引き出す方向のマスク部材300の移動は外面被覆部310によって抑制されている。また、図3に示すように、内面側から超音波センサ100を挿入しやすくするため、内壁面被覆部320の先端をテーパ状としている。
【0044】
次に、上記構成による取付け部10への超音波センサ100の取付け手順の一例を示す。
【0045】
貫通孔11の形成された取付け部10に対してマスク部材300を固定し、固定部材200の固定部220を取付け部10の内面に接着固定する。この固定順序は逆でも良い。そして、振動面130を先頭にして、固定部材200の保持部210内に超音波センサ100の筐体前部110bを挿入し、固定部材200に超音波センサ100を嵌合固定する。この固定状態で、振動面130がマスク部材300の外面と面一となる。
【0046】
このように、本発明の超音波センサ100の取付け構造によると、固定部材200にて超音波センサ100を取付け部10に固定し、固定部材200とは別のマスク部材300にて、少なくとも外面側の貫通孔周縁部11aを被覆する構成とした。従って、取付け部の外面に露出するマスク部材300(外面被覆部310)を、従来のフランジ部を有する保持部材のフランジ部よりも小さく且つ薄くすることができる。すなわち、従来よりも意匠性を向上できる。
【0047】
特に塗装後の取付け部10(バンパ)に貫通孔11を形成する場合(例えばディラーでのセンサ後付け作業)、一般的に機械的に(例えばホールソーを用いて)形成するため、貫通孔周縁部11aにバリ、塗装剥がれ等が生じる。このバリを除去する際には塗装剥がれが生じる。しかしながら、本実施形態に示す構成によると、マスク部材300によって目隠しすることができるので、後付け作業に好適である。また、貫通孔11形成後に取付け部10を塗装する構成にも適用できるので、意匠性とともに、組付けの自由度も向上できる。
【0048】
また、振動面130が露出するように超音波センサ100を固定部材200に固定した状態で、内壁面11bが取付け部10の外面側から見える(露出している)と、意匠の点で好ましくない。上述した後付け作業の場合、貫通孔11の内壁面11bは、塗装されておらず、機械加工により特に粗い状態となっている。それに対し、本実施形態におけるマスク部材300は、外面被覆部310とともに、貫通孔11の内壁面11bの少なくとも一部を被覆する内壁面被覆部320を有している。従って、マスク部材300によって内壁面11bを被覆することができるので、意匠性をより向上することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、内壁面被覆部320の内壁面11bとの当接部位を凹凸状とし、内壁面11bとの間の摩擦力を増すことにより、マスク部材300を取付け部10に固定する構成とした。従って、簡素な構成でありながら、マスク部材300を取付け部10に固定することができる。特に、後付作業においては、内壁面11bが粗であるので安定して固定することができる。尚、凹凸部322は、粗化処理により形成しても良いし、マスク部材300成形時の型形状にて規定しても良い。別部材を固定して凹凸を構成しても良い。
【0050】
また、本実施形態においては、凹凸状を構成する凸部321を、貫通孔11の貫通方向において、その突起頂点が内壁面被覆部320との境界位置よりも取付け部10の外面側に位置するように、型によってマスク部材300と一体的に構成した。従って、貫通孔11への超音波センサ100の挿入時に凸部321がくさびとなり、マスク部材300の位置ずれや落下を抑制することができる。
【0051】
尚、マスク部材300の取付け部10への固定は上記例に限定されるものではない。例えば、凹凸状の例としては、上記凸部321に限定されるものではなく、例えば図4に示すように、複数の凹凸部322により構成しても良い。複数とすると、接触面積が増加するので好ましい。また、図5に示すように、裏面に配置された接着フィルム323により接着固定しても良い。図4,5はマスク部材300の変形例を示す拡大断面図である。
【0052】
また、本実施形態において、内面被覆部320の筒状内部が、筐体前部110bの外形及び外径と略一致するように設けた例を示した。しかしながら、振動面130が外面被覆部310の表面と面一となるように、内面被覆部320の筒状内部に超音波センサ100の一部を配置できる構成であれば良い。例えば、内面被覆部320の内周面と筐体前部110bとが接触しない構成としても良い。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を、図6〜8により説明する。図6は、本実施形態における超音波センサ100の取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。図7は、マスク部材300の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部10の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。図7(a)においては、説明の都合上、超音波センサ100の一部も図示している。図8は、マスク部材300の取付け部10への固定構造を説明するための拡大断面図である。
【0054】
第2の実施形態における超音波センサ100の取付け構造は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0055】
本実施形態におけるマスク部材300は、弾性変形可能なゴムを材料として構成され、筒状の内壁面被覆部320の外面被覆部310とは逆の端部に、取付け部10の内面側の貫通孔周縁部11cに当接する内面被覆部330が、外面被覆部310、内壁面被覆部320と一体的に連結されている。そして、外面被覆部310と内面被覆部330とで、取付け部10を狭持することで、マスク部材300を取付け部10に固定する構成としている。このような構成とすると、簡素な構成でありながら、より安定してマスク部材300を取付け部10に固定することができる。
【0056】
尚、マスク部材300(内面被覆部330)が取付け部10の内面側に配置されるので、本実施形態においては、図6に示すように、固定部材200を、内面被覆部330と干渉(接触)せずに、超音波センサ100を固定できる構成としている。
【0057】
また、本実施形態においては、マスク部材300をゴムにより構成することで、内壁面被覆部320を弾性変形可能に構成する例を示した。しかしながら、マスク部材300の構成材料はゴムに限定されない。合成樹脂や金属を用い、構造的に弾性変形可能な(例えば筒状の内壁面被覆部320の一部に切り欠きを設ける)構成としても良い。
【0058】
また、本実施形態においては、図8においては内面被覆部330を、拡径方向に厚さが一定の鍔状としているが、図9に示すように拡径方向に厚さが薄くなるテーパ状としても良い。この場合、取付け部10に固定する際に、内面被覆部330から貫通孔11に挿入しやすくなる。図9は、マスク部材300の変形例を示す拡大断面図である。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を、図10いて説明する。図10は、本実施形態における超音波センサ100の取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【0060】
第3の実施形態における超音波センサ100の取付け構造は、第1,2の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。尚、図10において、符号140は超音波振動子を、符号150は処理回路基板を、符号160は超音波振動子140と処理回路基板150とを電気的に接続するリードを示している。
【0061】
本実施形態においては、超音波振動子140の側面に被着される筒状弾性体120において、筐体前部110bの突出先端の開口部から露出し、振動面130側の端部からマスク部材300と重なる範囲を、振動面130側から拡径するテーパ状とした。このような構成とすると、振動面130を先頭にして、超音波センサ100を内面側から貫通孔11に挿入しやすくなる。さらに、本実施形態においては、筐体前部110bにおいて、筒状弾性体120のテーパ状端部に当接する開口部からマスク部材と重なる範囲を、筒状弾性体120のテーパ頂点よりも小径とした。
【0062】
従って、取付け部10の内面側から超音波センサ100を貫通孔11に挿入する構成において、取付け部10に取付けられたマスク部材300(内壁面被覆部320又は内面被覆部330)に、取付け部10の内面側から超音波センサ100を貫通孔11に挿入する構成において、マスク部材300に対して筐体前部110bが接触せず、弾性変形する筒状弾性体120が接触するので、マスク部材300への負荷を低減できる。すなわち、マスク部材300の位置ずれや外れを抑制できる。
【0063】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を、図11,12を用いて説明する。図11は、本実施形態における超音波センサ100の取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。図12は、マスク部材300の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部10の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。
【0064】
第4の実施形態における超音波センサ100の取付け構造は、第1〜3の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0065】
貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆する構成として、本実施形態におけるマスク部材300は、外面被覆部310に連結して縮径方向に延び、取付け部10の外面側の開口端と振動面130との間を被覆する隙間被覆部340を有している。このような構成であっても、貫通孔11の内壁面11bを被覆することができる。また、本実施形態に示す構成によると、内壁面11bだけでなく、筒状弾性体120や筐体110(筐体前部110b)を被覆することもできる。
【0066】
尚、本実施形態においては、外面被覆部310と内面被覆部330とで取付け部10を狭持することにより、取付け部10に固定する構成としている。しかしながら、隙間被覆部340によって貫通孔11の内壁面11bも被覆することができるので、図13に示すように、マスク部材300を外面被覆部310と隙間被覆部340とにより構成しても良い。この場合、外面被覆部310を外面側の貫通孔周縁部11aに固定(例えば接着)すれば良い。それ以外にも、マスク部材300を外面被覆部310、内壁面被覆部320、及び隙間被覆部340により構成しても良い。図13は、マスク部材300の変形例を示す部分断面図である。
【0067】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施することができる。
【0068】
本実施形態においては、取付け部10としてのバンパに超音波センサ100を取付ける例を示した。しかしながら、取付け部10はバンパに限定されるものではない。
【0069】
また、本実施形態において、振動面130がマスク部材300の外面被覆部310と面一となるように、超音波センサ100が固定される例を示した。しかしながら、上記配置に限定されるものではなく、貫通孔11を介して、振動面130が外部に臨む構成であれば良い。
【0070】
また、本実施形態においては、超音波センサ100を取付け部10の内面側から配置する例を示した。しかしながら、外面から配置する構成にも適用できる。しかしながら、内面から配置する構成のほうが、超音波センサ100(筐体110)の構成を自由に設定できる。
【0071】
また、本実施形態においては、マスク部材300が1つの樹脂成形品である例を示した。しかしながら、それ以外の構成でも良い。例えば、マスク部材300が外面被覆部310のみで構成される場合、取付け部10との接触面に粘着材を有するフィルム(シール部材)を適用することができる。また、個数も1つに限定されるものでない。複数から構成されても良い。例えば、外面被覆部310と内面被覆部320とを別個に設けても良い。
【0072】
また、本実施形態においては、マスク部材300を取付け部10に直接固定する例を示した。しかしながら、取付け部10に直接固定されないなが、少なくとも貫通孔周縁部11aを被覆する構成とすることもできる。例えば、図14に示すように、マスク部材300に筒状弾性体120と接触する固定用突起部324を設けた構成としても良い。この場合、筐体前部110bの開口部から筒状弾性体120が露出する構成において、筒状弾性体120に固定用突起部324が食い込むことで、取付け部10に当接させた状態でマスク部材300を固定することもできる。図14は、マスク部材300の変形例を示す拡大断面図である。尚、固定用突起部324と内壁面被覆部320の固定構造や外面被覆部310と内面被覆部330との狭持構造を組み合わせても良い。
【0073】
また、本実施形態においては、マスク部材300が、外面側の貫通孔周縁部11aを被覆するように、取付け部10及び振動面130と同色に着色されている例を示した。しかしながら、同色に限定されるものではない。また着色に限定されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図2】マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。
【図3】マスク部材の取付け部への固定構造を説明するための拡大断面図である。
【図4】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図5】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図7】マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である
【図8】マスク部材の取付け部への固定構造を説明するための拡大断面図である。
【図9】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図10】第3の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図11】第4の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図12】マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。
【図13】マスク部材の変形例を示す部分断面図である。
【図14】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10・・・取付け部(バンパ)
11・・・貫通孔
11a・・・外面側の貫通孔周縁部
11b・・・内壁面
11c・・・内面側の貫通孔周縁部
100・・・超音波センサ
110・・・筐体
110b・・・筐体前部
120・・・吸収部材
130・・・振動面
200・・・固定部材
210・・・保持部
220・・・固定部
300・・・マスク部材
310・・・外面被覆部
320・・・内壁面被覆部
321・・・凸部
330・・・内面被覆部
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔の形成された取付け部に対する超音波センサの取付け構造に関するもので、特に車両のバンパに取付けられ、障害物の存在を検知するための超音波センサの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバンパに超音波センサを取付ける取付け構造は、2種に大別することができる。
【0003】
一方は、バンパの外面側において貫通孔の開口縁部に当接するフランジ部と、当該フランジ部から貫通孔を通してバンパの内面側に突出し、振動面が外部に露出するように超音波センサを保持する保持部とにより構成される保持部材を介して、超音波センサをバンパに取付けた構造である。このような構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
他方は、フランジ部を有さず、バンパの内面に取付けた保持部材によって、振動面が外部に露出するように超音波センサを保持し、バンパに取付けた構造である。このような構造は、例えば特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2001−63497号公報
【特許文献2】特表2001−527480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の取付け構造の場合、保持部はバンパに固定されておらず、フランジ部を貫通孔の開口縁部に当接させて、超音波センサを所定位置に保持(固定)する構造となっている。従って、フランジ部には、バンパの内面側への引っ張り(超音波センサ及び当該超音波センサに接続されたハーネスの重量の少なくとも一部、若しくは、超音波センサに設けた狭持部材(例えばばね)の反力)に対する強度が必要とされるので、開口縁部に接する面積及び厚さが大きくなる。
【0006】
後述の取付け構造の場合、保持部材にフランジ部のない構造であり、保持部材がバンパの内面に取付けられているので、貫通孔の開口縁部又は内壁面の意匠面での不具合が露出する恐れがある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、意匠性を向上できる超音波センサの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する為に請求項1〜19に記載の発明は、超音波振動子を収納する超音波センサを、貫通孔の形成された取付け部に固定する超音波センサの取付け構造に関するものである。
【0009】
先ず請求項1に記載のように、取付け部の内面側及び貫通孔内の少なくとも一方に配置した固定部材により、超音波センサを、超音波振動子の振動面が貫通孔を介して取付け部の外部に露出するように固定し、固定部材とは別のマスク部材により、振動面の露出状態を保ちつつ、取付け部の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆してなることを特徴とする。
【0010】
このように本発明によると、固定部材にて超音波センサを取付け部に固定し、固定部材とは別のマスク部材にて、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆する構成とした。このように、固定部材とマスク部材とを別部材としたので、マスク部材はそれ自身を取付け部に保持する強度さえ有していれば良い。従って、取付け部の外面に露出するマスク部材を、従来のフランジ部よりも小さく且つ薄くすることができる。すなわち、従来よりも意匠性を向上できる。
【0011】
特に請求項2に記載のように、貫通孔を、取付け部への塗装完了後に形成する場合に好適(所謂ディーラーでの後付け)である。
【0012】
塗装後の取付け部に貫通孔を形成する場合、一般的に機械的に(例えばホールソーを用いて)形成するため、開口縁部にバリ、塗装剥がれ等が生じる。このバリを除去する際には塗装剥がれが生じる。従来の保持部材をバンパの内面に取付けた取付け構造の場合、フランジ部がないため、上記不具合が露出することとなる。しかしながら、後付け時の再塗装は、製造工程における塗装とは異なるため、色目や光沢等を合わせるのが困難であり、上記構造は後付する場合に不適当であった。これに対し、請求項1に記載の発明によると、マスク部材によって目隠しすることができるので、後付けする場合に好適である。尚、貫通孔形成後に取付け部を塗装する構成にも適用できることは言うまでもない。従って、意匠性とともに、組付けの自由度も向上できる。
【0013】
請求項3に記載のように、マスク部材により、外面側の貫通孔周縁部とともに貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆する構成とすることが好ましい。
【0014】
振動面が露出するように超音波センサを固定部材に固定した状態で、貫通孔の内壁面が取付け部の外面側から見える(露出している)と、意匠の点で好ましくない。特に後付けする場合、貫通孔の内壁面は、塗装されておらず、機械加工により粗い状態となっている。それに対し、本発明の構成であれば、マスク部材によって貫通孔の内壁面も被覆することができるので、意匠性をより向上することができる。
【0015】
具体的には、請求項4に記載のように、マスク部材を、取付け部の外面側の貫通孔周縁部に当接する外面被覆部と、当該外面被覆部に連結し、貫通孔の内壁面に当接する内壁面被覆部とを有するように構成すると良い。
【0016】
その際、請求項5に記載のように、内壁面被覆部の貫通孔の内壁面との接触部位を凹凸状とすることで、内壁面被覆部と表面が粗の内壁面との間の摩擦力が増すので、簡素な構成でありながらマスク部材を取付け部に固定することができる。後付けする場合には、貫通孔の内壁面が特に粗となっているので、摩擦力がより増し、安定して固定することができる。尚、凹凸は1つでも良いが、複数設けられることが好ましい。
【0017】
請求項6に記載のように、凹凸状を構成する凸部を、貫通孔の貫通方向において、その突起頂点が内壁面被覆部との境界位置よりも取付け部の外面側に位置するように構成すると良い。この場合、内面側から外面側にマスク部材を引き出す方向において、凸部は内壁面に対するくさび効果を発揮することができる。従って、マスク部材を取付け部により安定して固定することができる。尚、外面被覆部によって、外面側から内面側に引き出す方向のマスク部材の移動は抑制されている。
【0018】
凹凸状は、例えば請求項7に記載のように、粗化処理により形成することができる。それ以外にも、マスク部材成形時の型形状にて規定しても良い。また、別部材を固定して凹凸を構成しても良い。
【0019】
請求項8に記載のように、マスク部材が、弾性変形可能に設けた内壁面被覆部に連結し、取付け部の内面側の貫通孔周縁部に当接する内面被覆部を有し、外面被覆部と内面被覆部とで、取付け部を狭持するように構成しても良い。このような構成とすると、簡素な構成でありながら、マスク部材を取付け部に固定することができる。この場合、請求項5〜7いずれかに記載の発明と組み合わせても良い。
【0020】
固定部材は、取付け部の内面側及び貫通孔内の少なくとも一方に配置されれば良い。取付け部に固定される場合には、取付け部の内面及び貫通孔の内壁面の少なくとも一方に固定されていれば良い。例えば、請求項8に記載の構成において、請求項9に記載のように、固定部材を取付け部の内面に固定する場合には、マスク部材を取付け部に固定するために、マスク部材の内面被覆部と干渉せず、且つ、超音波センサを固定するよう構成すれば良い。
【0021】
超音波センサが、振動を抑制する筒状弾性体を超音波振動子の側面に被せた状態で、超音波振動子をケースの開口部から連通する中空内部に挿入し、開口部から振動面が露出するように、ケースに組み付けて構成される場合、請求項10に記載のように、筒状弾性体の、開口部から露出し、振動面側の端部からマスク部材と重なる範囲を、振動面側から拡径するテーパ状とすると良い。このような構成とすると、超音波センサの一部を内面側から貫通孔に挿入しやすくなり、取付け部に対して、マスク部材を超音波センサよりも先に取付ける場合において、マスク部材に筒状弾性体が接触する場合の負荷を低減できる。
【0022】
さらに、請求項11に記載のように、貫通孔の貫通方向において、ケースにマスク部材と重なる部分がある場合には、筒状弾性体のテーパ状の端部に当接する開口部からマスク部材と重なる範囲を、筒状弾性体のテーパ頂点よりも小径とすると、マスク部材に対してケースが接触しない構成となる。
【0023】
尚、請求項12に記載のように、マスク部材が、筒状弾性体と接触する固定用突起部を有する構成としても良い。この場合、ケースの開口部から露出する筒状弾性体に固定用突起部が食い込むことで、取付け部に当接させた状態でマスク部材を固定することもできる。尚、固定用突起部と内面被覆部や内壁面被覆部の凹凸状を組み合わせても良い。
【0024】
マスク部材の固定は特に限定されるものではない。上述した構成以外にも、例えば請求項13に記載のように、マスク部材を、取付け部に接着固定しても良い。その一例として、請求項14に記載のように、マスク部材として、取付け部との接触面に粘着材を有するフィルムを適用することができる。
【0025】
また、貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆する構成として、請求項15に記載のように、マスク部材が、外面被覆部に連結して縮径方向に延び、取付け部と振動面との間を被覆する隙間被覆部を有するように構成しても良い。
【0026】
この場合、隙間被覆部によって、振動面のみが露出するように、取付け部と振動面との間を被覆することができる。従って、貫通孔の内壁面を被覆することができる。また、超音波センサが超音波振動子に筒状弾性体を被せてケースに組付ける構成においては、外部に露出しないように筒状弾性体やケースを被覆することができる。尚、隙間被覆部によって貫通孔の内壁面も被覆されるが、隙間被覆部とともに内壁面被覆部や内面被覆部を設け、これによりマスク部材を取付け部に固定する構成としても良い。
【0027】
超音波センサは、振動面が貫通孔を通して外部に露出するように固定部材によって固定されていれば良いが、請求項16に記載のように、振動面と外面側におけるマスク部材の表面とを面一となるように固定されることが意匠性を向上する上で好ましい。
【0028】
尚、意匠性を向上するために、請求項17に記載のように、マスク部材を、振動面と同色としても良いし、請求項18に記載のように、マスク部材を、取付け部と同色としても良い。
【0029】
尚、請求項1〜18のいずれかに記載の発明は、取付け部として車両のバンパに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。図2は、マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。図2(a)においては、説明の都合上、超音波センサの一部も図示している。図3は、マスク部材の取付け部への固定構造を説明するための拡大断面図である。尚、本実施形態においては、取付け部としての車両のバンパに、車両用のバックソナー又はコーナーソナーとして用いられる超音波センサを取付ける例を示す。
【0031】
取付け部10は車両のバンパであって、ウレタン等の合成樹脂成形品であり、表裏に貫通する貫通孔11が少なくとも1つ設けられている。本実施形態においては、取付け部10への塗装完了後に貫通孔11が形成され、この取付け部10に対し、超音波センサ100を、振動面が貫通孔11を介して取付け部10の外部に露出するように固定部材200により固定し、マスク部材300により、振動面の露出状態を保ちつつ、取付け部10の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆してなるものである。
【0032】
超音波センサ100は、少なくとも超音波を発信し、障害物にて反射された超音波を受信する超音波振動子を備えるものである。本実施形態においては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる筐体110の内部に、図示されない超音波振動子、超音波を発生させる駆動電圧を超音波振動子に印加するとともに超音波振動子から逆起電圧効果により発生した電圧を処理する処理回路基板、不要振動を吸収する吸収部材等を配置して構成されている。
【0033】
筐体110は、筐体後部110aと、筐体後部110aの一面から略円筒形状をもって突出する筐体前部110bからなり、筐体後部110aに処理回路基板が配置され、筐体前部110bに側面が吸収部材120(例えばシリコンゴム)にて覆われた超音波振動子が配置されている。そして、超音波振動子の略円形状の先端面の内面に圧電素子が貼着され、外面が超音波振動子の振動面130として、筐体前部110bの突出先端の開口部から露出している。本実施形態における振動面130は、意匠性向上のために、取付け部10と同色に着色(塗装)されている。尚、本実施形態においては、吸収部材120の一部も筐体前部110bの開口部から露出している。また、筐体前部110bは、貫通孔11の孔径に対して若干小さめに形成されており、振動面130を先頭として筐体前部110bが内面側から貫通孔11に挿入され、固定部材200に固定された状態で、振動面130がマスク部材300の外部表面と面一となるように構成されている。
【0034】
固定部材200は、取付け部10の内面側及び貫通孔11内の少なくとも一方に配置され、振動面130が貫通孔11を介して取付け部10の外部に露出するように超音波センサ100を取付け部10に固定するものである。固定部材200は、その構成材料や構造が特に限定されるものではなく、それ自身も取付け部10に固定されても良いし、取付け部10に固定されなくとも良い。
【0035】
本実施形態における固定部材200は、超音波センサ100を所定の配置状態に保持(固定)する保持部210と、取付け部10の内面に固定される固定部220とにより構成されている。尚、本実施形態においては、筐体110同様、PBTを構成材料として、保持部210と固定部220を一体成形している。
【0036】
保持部210は、その内部に超音波センサ100の筐体前部110bを挿入配置できるように両端が開口し、筐体前部110bの外形及び外径と略一致する筒状に設けられている。また、保持部210の所定位置には嵌合溝部(図示せず)が形成されており、この嵌合溝部を超音波センサ100の筐体前部110bに形成された嵌合突起部(図示せず)と嵌合させた状態で、振動面130を外面側におけるマスク部材300の表面と一致させ、超音波センサ100を取付け部10に固定するよう構成されている。
【0037】
固定部220は、保持部210から折曲し、取付け部10の内面と並行なリング状に設けられ、取付け部10の内面に例えば接着固定される。尚、固定部220の固定は接着に限定されるものではない。ねじ締結等公知の技術を適用することができる。この固定状態で、当該固定部220から保持部210が取付け部10の内面側に突出する構成となっている。
【0038】
マスク部材300は、振動面130の露出状態を保ちつつ、取付け部10の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部11aを被覆するように、固定部材200とは別に構成された、着色された部材である。本実施形態におけるマスク部材300は、意匠性向上のために、取付け部10及び振動面130と同色に着色されている。
【0039】
本実施形態においては、マスク部材300を、外面側の貫通孔周縁部11aともに、貫通孔11の内壁面11bの少なくとも一部を被覆するように構成した。より具体的には、取付け部10の外面側の貫通孔周縁部11aに当接する外面被覆部310と、当該外面被覆部310に連結し、貫通孔11の内壁面11bに当接する内壁面被覆部320とにより構成した。尚、マスク部材300の構成材料は特に限定されるものではない。合成樹脂や、ゴム、金属等を適用することができる。本実施形態においては、筐体110同様、PBTを構成材料として、外面被覆部310と内壁面被覆部320を一体成形している。
【0040】
外面被覆部310は、貫通孔11の開口縁部11aを被覆するとともに、その表面が固定部材200により超音波センサ100を固定した状態で、振動面130と面一となるように円環状に設けられている。ここで、マスク部材300は、他の部材を取付け部10に固定するためのものではなく、被覆するためのものである。従って、それ自身を取付け部10に保持する強度さえ有していれば良いので、外面被覆部310の幅と貫通孔11の貫通方向における厚さを、意匠性を考慮してできる限り小さく(例えば1〜3mmの幅(本実施形態においては2mm)、1mm以下の厚さ(本実施形態においては0.7mm))することができる。尚、図3に示すように、意匠性をさらに向上するために、外周側の端部をテーパ状としている。
【0041】
内壁面被覆部320は、超音波センサ100を所定配置した状態で露出する貫通孔11の内壁面11bの部位を被覆するように、一端が外面被覆部310に連結した筒状に設けられている。具体的には、本実施形態においては、内面被覆部320の筒状内部が、筐体前部110bの外形及び外径と略一致し、外面被覆部310からの貫通方向の長さが、振動面130が外面被覆部310と面一となるように固定された状態で、筐体前部110bの位置よりも内面側となるように設けられている。
【0042】
ここで、取付け部10に形成された貫通孔11の内壁面11bは、加工方法にもよるが、平坦化処理がなされない限り、一般的に凹凸のある粗い状態となっている。特に、取付け部10への塗装完了後に、貫通孔11を形成する場合には、ホールソーのような工具を用いた機械加工が適用されるので、図3に示すように内壁面11bが粗い状態となる。
【0043】
そこで、本実施形態においては、マスク部材300を取付け部10に固定する手段として、内壁面被覆部320の内壁面11bとの当接部位を凹凸状とし、内壁面11bとの間の摩擦力を増すことにより、マスク部材300を取付け部10に固定する構成とした。具体的には、振動面130を先頭として超音波センサ100を内面側から貫通孔11に挿入する構成であるので、図3に示すように、凹凸状を構成する凸部321を、貫通孔11の貫通方向において、その突起頂点が内壁面被覆部320との境界位置よりも取付け部10の外面側に位置するように構成した。この場合、凸部321が内壁面11bに対するくさび効果を発揮し、内面側から外面側に引き出す方向におけるマスク部材300の移動を抑制することができる。尚、外面側から内面側に引き出す方向のマスク部材300の移動は外面被覆部310によって抑制されている。また、図3に示すように、内面側から超音波センサ100を挿入しやすくするため、内壁面被覆部320の先端をテーパ状としている。
【0044】
次に、上記構成による取付け部10への超音波センサ100の取付け手順の一例を示す。
【0045】
貫通孔11の形成された取付け部10に対してマスク部材300を固定し、固定部材200の固定部220を取付け部10の内面に接着固定する。この固定順序は逆でも良い。そして、振動面130を先頭にして、固定部材200の保持部210内に超音波センサ100の筐体前部110bを挿入し、固定部材200に超音波センサ100を嵌合固定する。この固定状態で、振動面130がマスク部材300の外面と面一となる。
【0046】
このように、本発明の超音波センサ100の取付け構造によると、固定部材200にて超音波センサ100を取付け部10に固定し、固定部材200とは別のマスク部材300にて、少なくとも外面側の貫通孔周縁部11aを被覆する構成とした。従って、取付け部の外面に露出するマスク部材300(外面被覆部310)を、従来のフランジ部を有する保持部材のフランジ部よりも小さく且つ薄くすることができる。すなわち、従来よりも意匠性を向上できる。
【0047】
特に塗装後の取付け部10(バンパ)に貫通孔11を形成する場合(例えばディラーでのセンサ後付け作業)、一般的に機械的に(例えばホールソーを用いて)形成するため、貫通孔周縁部11aにバリ、塗装剥がれ等が生じる。このバリを除去する際には塗装剥がれが生じる。しかしながら、本実施形態に示す構成によると、マスク部材300によって目隠しすることができるので、後付け作業に好適である。また、貫通孔11形成後に取付け部10を塗装する構成にも適用できるので、意匠性とともに、組付けの自由度も向上できる。
【0048】
また、振動面130が露出するように超音波センサ100を固定部材200に固定した状態で、内壁面11bが取付け部10の外面側から見える(露出している)と、意匠の点で好ましくない。上述した後付け作業の場合、貫通孔11の内壁面11bは、塗装されておらず、機械加工により特に粗い状態となっている。それに対し、本実施形態におけるマスク部材300は、外面被覆部310とともに、貫通孔11の内壁面11bの少なくとも一部を被覆する内壁面被覆部320を有している。従って、マスク部材300によって内壁面11bを被覆することができるので、意匠性をより向上することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、内壁面被覆部320の内壁面11bとの当接部位を凹凸状とし、内壁面11bとの間の摩擦力を増すことにより、マスク部材300を取付け部10に固定する構成とした。従って、簡素な構成でありながら、マスク部材300を取付け部10に固定することができる。特に、後付作業においては、内壁面11bが粗であるので安定して固定することができる。尚、凹凸部322は、粗化処理により形成しても良いし、マスク部材300成形時の型形状にて規定しても良い。別部材を固定して凹凸を構成しても良い。
【0050】
また、本実施形態においては、凹凸状を構成する凸部321を、貫通孔11の貫通方向において、その突起頂点が内壁面被覆部320との境界位置よりも取付け部10の外面側に位置するように、型によってマスク部材300と一体的に構成した。従って、貫通孔11への超音波センサ100の挿入時に凸部321がくさびとなり、マスク部材300の位置ずれや落下を抑制することができる。
【0051】
尚、マスク部材300の取付け部10への固定は上記例に限定されるものではない。例えば、凹凸状の例としては、上記凸部321に限定されるものではなく、例えば図4に示すように、複数の凹凸部322により構成しても良い。複数とすると、接触面積が増加するので好ましい。また、図5に示すように、裏面に配置された接着フィルム323により接着固定しても良い。図4,5はマスク部材300の変形例を示す拡大断面図である。
【0052】
また、本実施形態において、内面被覆部320の筒状内部が、筐体前部110bの外形及び外径と略一致するように設けた例を示した。しかしながら、振動面130が外面被覆部310の表面と面一となるように、内面被覆部320の筒状内部に超音波センサ100の一部を配置できる構成であれば良い。例えば、内面被覆部320の内周面と筐体前部110bとが接触しない構成としても良い。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を、図6〜8により説明する。図6は、本実施形態における超音波センサ100の取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。図7は、マスク部材300の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部10の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。図7(a)においては、説明の都合上、超音波センサ100の一部も図示している。図8は、マスク部材300の取付け部10への固定構造を説明するための拡大断面図である。
【0054】
第2の実施形態における超音波センサ100の取付け構造は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0055】
本実施形態におけるマスク部材300は、弾性変形可能なゴムを材料として構成され、筒状の内壁面被覆部320の外面被覆部310とは逆の端部に、取付け部10の内面側の貫通孔周縁部11cに当接する内面被覆部330が、外面被覆部310、内壁面被覆部320と一体的に連結されている。そして、外面被覆部310と内面被覆部330とで、取付け部10を狭持することで、マスク部材300を取付け部10に固定する構成としている。このような構成とすると、簡素な構成でありながら、より安定してマスク部材300を取付け部10に固定することができる。
【0056】
尚、マスク部材300(内面被覆部330)が取付け部10の内面側に配置されるので、本実施形態においては、図6に示すように、固定部材200を、内面被覆部330と干渉(接触)せずに、超音波センサ100を固定できる構成としている。
【0057】
また、本実施形態においては、マスク部材300をゴムにより構成することで、内壁面被覆部320を弾性変形可能に構成する例を示した。しかしながら、マスク部材300の構成材料はゴムに限定されない。合成樹脂や金属を用い、構造的に弾性変形可能な(例えば筒状の内壁面被覆部320の一部に切り欠きを設ける)構成としても良い。
【0058】
また、本実施形態においては、図8においては内面被覆部330を、拡径方向に厚さが一定の鍔状としているが、図9に示すように拡径方向に厚さが薄くなるテーパ状としても良い。この場合、取付け部10に固定する際に、内面被覆部330から貫通孔11に挿入しやすくなる。図9は、マスク部材300の変形例を示す拡大断面図である。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を、図10いて説明する。図10は、本実施形態における超音波センサ100の取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【0060】
第3の実施形態における超音波センサ100の取付け構造は、第1,2の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。尚、図10において、符号140は超音波振動子を、符号150は処理回路基板を、符号160は超音波振動子140と処理回路基板150とを電気的に接続するリードを示している。
【0061】
本実施形態においては、超音波振動子140の側面に被着される筒状弾性体120において、筐体前部110bの突出先端の開口部から露出し、振動面130側の端部からマスク部材300と重なる範囲を、振動面130側から拡径するテーパ状とした。このような構成とすると、振動面130を先頭にして、超音波センサ100を内面側から貫通孔11に挿入しやすくなる。さらに、本実施形態においては、筐体前部110bにおいて、筒状弾性体120のテーパ状端部に当接する開口部からマスク部材と重なる範囲を、筒状弾性体120のテーパ頂点よりも小径とした。
【0062】
従って、取付け部10の内面側から超音波センサ100を貫通孔11に挿入する構成において、取付け部10に取付けられたマスク部材300(内壁面被覆部320又は内面被覆部330)に、取付け部10の内面側から超音波センサ100を貫通孔11に挿入する構成において、マスク部材300に対して筐体前部110bが接触せず、弾性変形する筒状弾性体120が接触するので、マスク部材300への負荷を低減できる。すなわち、マスク部材300の位置ずれや外れを抑制できる。
【0063】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を、図11,12を用いて説明する。図11は、本実施形態における超音波センサ100の取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。図12は、マスク部材300の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部10の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。
【0064】
第4の実施形態における超音波センサ100の取付け構造は、第1〜3の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0065】
貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆する構成として、本実施形態におけるマスク部材300は、外面被覆部310に連結して縮径方向に延び、取付け部10の外面側の開口端と振動面130との間を被覆する隙間被覆部340を有している。このような構成であっても、貫通孔11の内壁面11bを被覆することができる。また、本実施形態に示す構成によると、内壁面11bだけでなく、筒状弾性体120や筐体110(筐体前部110b)を被覆することもできる。
【0066】
尚、本実施形態においては、外面被覆部310と内面被覆部330とで取付け部10を狭持することにより、取付け部10に固定する構成としている。しかしながら、隙間被覆部340によって貫通孔11の内壁面11bも被覆することができるので、図13に示すように、マスク部材300を外面被覆部310と隙間被覆部340とにより構成しても良い。この場合、外面被覆部310を外面側の貫通孔周縁部11aに固定(例えば接着)すれば良い。それ以外にも、マスク部材300を外面被覆部310、内壁面被覆部320、及び隙間被覆部340により構成しても良い。図13は、マスク部材300の変形例を示す部分断面図である。
【0067】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施することができる。
【0068】
本実施形態においては、取付け部10としてのバンパに超音波センサ100を取付ける例を示した。しかしながら、取付け部10はバンパに限定されるものではない。
【0069】
また、本実施形態において、振動面130がマスク部材300の外面被覆部310と面一となるように、超音波センサ100が固定される例を示した。しかしながら、上記配置に限定されるものではなく、貫通孔11を介して、振動面130が外部に臨む構成であれば良い。
【0070】
また、本実施形態においては、超音波センサ100を取付け部10の内面側から配置する例を示した。しかしながら、外面から配置する構成にも適用できる。しかしながら、内面から配置する構成のほうが、超音波センサ100(筐体110)の構成を自由に設定できる。
【0071】
また、本実施形態においては、マスク部材300が1つの樹脂成形品である例を示した。しかしながら、それ以外の構成でも良い。例えば、マスク部材300が外面被覆部310のみで構成される場合、取付け部10との接触面に粘着材を有するフィルム(シール部材)を適用することができる。また、個数も1つに限定されるものでない。複数から構成されても良い。例えば、外面被覆部310と内面被覆部320とを別個に設けても良い。
【0072】
また、本実施形態においては、マスク部材300を取付け部10に直接固定する例を示した。しかしながら、取付け部10に直接固定されないなが、少なくとも貫通孔周縁部11aを被覆する構成とすることもできる。例えば、図14に示すように、マスク部材300に筒状弾性体120と接触する固定用突起部324を設けた構成としても良い。この場合、筐体前部110bの開口部から筒状弾性体120が露出する構成において、筒状弾性体120に固定用突起部324が食い込むことで、取付け部10に当接させた状態でマスク部材300を固定することもできる。図14は、マスク部材300の変形例を示す拡大断面図である。尚、固定用突起部324と内壁面被覆部320の固定構造や外面被覆部310と内面被覆部330との狭持構造を組み合わせても良い。
【0073】
また、本実施形態においては、マスク部材300が、外面側の貫通孔周縁部11aを被覆するように、取付け部10及び振動面130と同色に着色されている例を示した。しかしながら、同色に限定されるものではない。また着色に限定されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図2】マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。
【図3】マスク部材の取付け部への固定構造を説明するための拡大断面図である。
【図4】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図5】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図7】マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である
【図8】マスク部材の取付け部への固定構造を説明するための拡大断面図である。
【図9】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図10】第3の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図11】第4の実施形態における超音波センサの取付け構造の概略構成を示す部分断面図である。
【図12】マスク部材の概略構成を説明するための図であり、(a)は取付け部の外面側から見た平面図、(b)は側面図である。
【図13】マスク部材の変形例を示す部分断面図である。
【図14】マスク部材の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10・・・取付け部(バンパ)
11・・・貫通孔
11a・・・外面側の貫通孔周縁部
11b・・・内壁面
11c・・・内面側の貫通孔周縁部
100・・・超音波センサ
110・・・筐体
110b・・・筐体前部
120・・・吸収部材
130・・・振動面
200・・・固定部材
210・・・保持部
220・・・固定部
300・・・マスク部材
310・・・外面被覆部
320・・・内壁面被覆部
321・・・凸部
330・・・内面被覆部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子を収納する超音波センサを、貫通孔の形成された取付け部に固定する超音波センサの取付け構造であって、
前記取付け部の内面側及び前記貫通孔内の少なくとも一方に配置した固定部材により、前記超音波センサを、前記超音波振動子の振動面が前記貫通孔を介して前記取付け部の外部に露出するように固定し、
前記固定部材とは別のマスク部材により、前記振動面の露出状態を保ちつつ、前記取付け部の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆してなることを特徴とする超音波センサの取付け構造。
【請求項2】
前記貫通孔を、前記取付け部への塗装完了後に形成したことを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項3】
前記マスク部材により、前記貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項4】
前記マスク部材は、前記取付け部の外面側の貫通孔周縁部に当接する外面被覆部と、当該外面被覆部に連結し、前記貫通孔の内壁面に当接する内壁面被覆部とを有することを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項5】
前記内壁面被覆部の前記貫通孔の内壁面との接触部位を、凹凸状としたことを特徴とする請求項4に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項6】
前記凹凸状を構成する凸部を、前記貫通孔の貫通方向において、その突起頂点が前記内壁面被覆部との境界位置よりも前記取付け部の外面側に位置するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項7】
前記凹凸状を、粗化処理により形成したことを特徴とする請求項5に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項8】
前記マスク部材は、弾性変形可能に設けた前記内壁面被覆部に連結し、前記取付け部の内面側の貫通孔周縁部に当接する内面被覆部を有し、
前記外面被覆部と前記内面被覆部とで、前記取付け部を狭持することを特徴とする請求項4〜7いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項9】
前記固定部材は、前記取付け部の内面に固定され、前記マスク部材の内面被覆部と干渉せず、且つ、前記超音波センサを固定するよう構成されていることを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項10】
前記超音波センサは、振動を抑制する筒状弾性体を前記超音波振動子の側面に被せた状態で、前記超音波振動子をケースの開口部から連通する中空内部に挿入し、前記開口部から前記振動面が露出するように、前記ケースに組み付けて構成されており、
前記筒状弾性体の、前記開口部から露出し、振動面側の端部から前記マスク部材と重なる範囲を、前記振動面側から拡径するテーパ状としたことを特徴とする請求項3〜9いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項11】
前記貫通孔の貫通方向において、前記ケースの、前記筒状弾性体のテーパ状の端部に当接する前記開口部から前記マスク部材と重なる範囲を、前記筒状弾性体のテーパ頂点よりも小径としたことを特徴とする請求項10に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項12】
前記マスク部材は、前記筒状弾性体と接触する固定用突起部を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項13】
前記マスク部材を、前記取付け部に接着固定したことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項14】
前記マスク部材として、前記取付け部との接触面に粘着材を有するフィルムを適用したことを特徴とする請求項13に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項15】
前記マスク部材は、前記外面被覆部に連結して縮径方向に延び、前記取付け部と前記振動面との間を被覆する隙間被覆部を有することを特徴とする請求項3〜14いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項16】
前記振動面と外面側における前記マスク部材の表面とを面一となるようにしたことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項17】
前記マスク部材を、前記振動面と同色としたことを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項18】
前記マスク部材を、前記取付け部と同色としたことを特徴とする請求項1〜17いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項19】
前記取付け部として、車両のバンパを適用したことを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項1】
超音波振動子を収納する超音波センサを、貫通孔の形成された取付け部に固定する超音波センサの取付け構造であって、
前記取付け部の内面側及び前記貫通孔内の少なくとも一方に配置した固定部材により、前記超音波センサを、前記超音波振動子の振動面が前記貫通孔を介して前記取付け部の外部に露出するように固定し、
前記固定部材とは別のマスク部材により、前記振動面の露出状態を保ちつつ、前記取付け部の一部として、少なくとも外面側の貫通孔周縁部を被覆してなることを特徴とする超音波センサの取付け構造。
【請求項2】
前記貫通孔を、前記取付け部への塗装完了後に形成したことを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項3】
前記マスク部材により、前記貫通孔の内壁面の少なくとも一部を被覆したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項4】
前記マスク部材は、前記取付け部の外面側の貫通孔周縁部に当接する外面被覆部と、当該外面被覆部に連結し、前記貫通孔の内壁面に当接する内壁面被覆部とを有することを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項5】
前記内壁面被覆部の前記貫通孔の内壁面との接触部位を、凹凸状としたことを特徴とする請求項4に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項6】
前記凹凸状を構成する凸部を、前記貫通孔の貫通方向において、その突起頂点が前記内壁面被覆部との境界位置よりも前記取付け部の外面側に位置するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項7】
前記凹凸状を、粗化処理により形成したことを特徴とする請求項5に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項8】
前記マスク部材は、弾性変形可能に設けた前記内壁面被覆部に連結し、前記取付け部の内面側の貫通孔周縁部に当接する内面被覆部を有し、
前記外面被覆部と前記内面被覆部とで、前記取付け部を狭持することを特徴とする請求項4〜7いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項9】
前記固定部材は、前記取付け部の内面に固定され、前記マスク部材の内面被覆部と干渉せず、且つ、前記超音波センサを固定するよう構成されていることを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項10】
前記超音波センサは、振動を抑制する筒状弾性体を前記超音波振動子の側面に被せた状態で、前記超音波振動子をケースの開口部から連通する中空内部に挿入し、前記開口部から前記振動面が露出するように、前記ケースに組み付けて構成されており、
前記筒状弾性体の、前記開口部から露出し、振動面側の端部から前記マスク部材と重なる範囲を、前記振動面側から拡径するテーパ状としたことを特徴とする請求項3〜9いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項11】
前記貫通孔の貫通方向において、前記ケースの、前記筒状弾性体のテーパ状の端部に当接する前記開口部から前記マスク部材と重なる範囲を、前記筒状弾性体のテーパ頂点よりも小径としたことを特徴とする請求項10に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項12】
前記マスク部材は、前記筒状弾性体と接触する固定用突起部を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項13】
前記マスク部材を、前記取付け部に接着固定したことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項14】
前記マスク部材として、前記取付け部との接触面に粘着材を有するフィルムを適用したことを特徴とする請求項13に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項15】
前記マスク部材は、前記外面被覆部に連結して縮径方向に延び、前記取付け部と前記振動面との間を被覆する隙間被覆部を有することを特徴とする請求項3〜14いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項16】
前記振動面と外面側における前記マスク部材の表面とを面一となるようにしたことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項17】
前記マスク部材を、前記振動面と同色としたことを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項18】
前記マスク部材を、前記取付け部と同色としたことを特徴とする請求項1〜17いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項19】
前記取付け部として、車両のバンパを適用したことを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−298010(P2006−298010A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118718(P2005−118718)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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