超音波センサの取付け構造
【課題】センサ特性を低下させることなく位置決めできる超音波センサの取付け構造を提供する。
【解決手段】超音波振動子22を備える超音波センサ20を、壁部材10の内面11に固定してなる超音波センサ20の取付け構造であって、超音波センサ20は、壁部材10の一部を超音波センサ20の振動面Sとして含み、壁部材10は、少なくとも振動面Sに対応する部位を除く内面11の部位に、超音波センサ20を固定する位置基準となるけがき線12を有する。
【解決手段】超音波振動子22を備える超音波センサ20を、壁部材10の内面11に固定してなる超音波センサ20の取付け構造であって、超音波センサ20は、壁部材10の一部を超音波センサ20の振動面Sとして含み、壁部材10は、少なくとも振動面Sに対応する部位を除く内面11の部位に、超音波センサ20を固定する位置基準となるけがき線12を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子を備える超音波センサを、例えば車両バンパの内面に固定してなる超音波センサの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、車両のバンパに貫通孔を形成し、貫通孔を通して超音波センサの振動面が外部に露出するように、バンパに超音波センサを取付ける構成が知られている。しかしながら、上記構成の場合、バンパに貫通孔を形成するので意匠の点であまり好ましいものではなかった。また、貫通孔を通してセンサの一部が外部に露出するため外部影響(飛び石、雨等)を受けやすく、信頼性、寿命の点で問題があった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献2に示されるように、超音波振動子を備える超音波センサを、バンパの内面に固定した状態で、バンパを超音波振動子の振動面として含む構成が提案されている。
【特許文献1】特開2004−264264号公報
【特許文献2】特許第3469243号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に示されるように、貫通孔を有さないバンパの内面に超音波センサを固定する構成においては、貫通孔のような位置決めの基準がないため、超音波センサの取付け位置にばらつきが生じる。すなわち、検知エリアのずれ、取付け位置の変化(に伴う厚さの変化)によるセンサ特性の変化、接続信頼性の低下、所望の指向特性が得られない等の問題が生じる恐れがある。
【0005】
それに対し、例えばバンパの内面に位置決め用の目印を設け、この目印を基準として超音波センサを固定することも考えられる。しかしながら、バンパを振動面として含む構成であるので、目印の構成によってはセンサ特性を低下させる恐れがある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、センサ特性を低下させることなく位置決めできる超音波センサの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に請求項1に記載の発明は、超音波振動子を備える超音波センサを、壁部材の内面に固定してなる超音波センサの取付け構造であって、超音波センサは、壁部材のうち、超音波振動子の振動が伝達される部位の外面を振動面として含み、壁部材は、少なくとも振動面に対応する部位を除く内面部位に、超音波センサを固定する位置基準となる位置基準部を有することを特徴とする。
【0008】
このように本発明によると、壁部材の内面に設けられた位置基準部をもとに超音波センサを所望の位置に位置決め固定することができる。また、位置基準部は、振動面を有する部位の内面(振動面に対応する内面部位)には設けられておらず、センサ特性が低下することはない。したがって、センサ特性を低下させることなく超音波センサを所望の位置に位置決め固定することができる。
【0009】
なお、位置基準部は、少なくとも位置決め用の目印としての機能を有していれば良い。また、振動面とは、壁部材のうち超音波振動子の振動が伝達される部位の外面(超音波を外部に送信する側の面)であり、例えば超音波振動子が壁部材に接触配置される構成においては、その接触面の裏面(外面)が振動面となる。また、振動伝達部材を介して超音波振動子の振動が壁部材に伝達される構成においては、振動伝達部材と壁部材との接触面の裏面(外面)が振動面となる。
【0010】
請求項2に記載のように、壁部材の、位置基準部を有する部位の剛性が、少なくとも振動面を有する部位の剛性と異なる(振動が伝達される部位よりも剛性が大きい又は小さい)構成とすることが好ましい。これによれば、振動面から壁部材の振動面の周囲に伝達される不要振動を、位置基準部を有する壁部材の部位にて低減することができる。したがって、位置基準部のない構成と比べて、不要振動が隣接する超音波センサの振動面に伝播し、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合を、低減することができる。
【0011】
例えば請求項3に記載のように、位置基準部として、凸部及び凹部の少なくとも一方を含む構成を採用することができる。これによれば、簡素な構成でありながら、位置決め用の目印となるだけでなく、不要振動を低減することができる。
【0012】
請求項4に記載のように、位置基準部を、壁部材の少なくとも超音波センサを固定する固定部位に設け、固定時に溶融乃至溶液状態(すなわち液状)にある接続材料を用いて、壁部材の固定部位に超音波センサの固定面を固定した構成としても良い。
【0013】
例えば、接着、溶着、接合のように、固定時に液状の接続材料(言い換えれば位置基準部の凹凸に追従する接続材料)を用いて壁部材に超音波センサを固定する場合、壁部材の固定部位に位置基準部を設けると、接続面積の増加とともに、アンカー効果も期待できる。すなわち、壁部材に対する超音波センサの接続信頼性を向上することができる。
【0014】
また、請求項5に記載のように、位置基準部を、壁部材の超音波センサを固定する固定部位を除く内面部位に設け、粘着材を有するフィルムにて壁部材の固定部位に超音波センサの固定面を固定した構成としても良い。
【0015】
粘着材を有するフィルム(接着テープ、接着シートを含む)のように、固定時に位置基準部の凹凸に完全には追従しない接続材料を用いて固定する場合、壁部材の固定部位に位置基準部を設けると、接続面積が減少し、接続信頼性が低下する。したがって、壁部材の固定部位を除く内面部位に位置基準部を設けることで、接続信頼性の低下を抑制することができる。
【0016】
壁部材に対する超音波センサの固定は、位置基準部を目印として行われるものであれば、手動及び自動のいずれでも良い。例えば手動にて固定する場合、請求項6に記載のように、位置基準部として、超音波センサの固定面の外周に沿う部位を含む構成とすると良い。この場合、位置基準部を確認しながら、超音波センサを壁部材に位置決め固定することができる。なお、超音波センサを位置決めできさえすれば、位置基準部の形成範囲は特に限定されるものではない。
【0017】
請求項7に記載のように、位置基準部は振動面となる部位を囲んで環状に設けられることが好ましい。これによれば、不要振動の逃げ部位がなくなるので、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0018】
また、請求項8に記載のように、位置基準部が、壁部材に対して超音波センサを位置決めする機能を有しても良い。このように、位置決め用の目印としての機能と不要振動を低減する機能に加えて、壁部材に対して超音波センサの位置を決定する(すなわち位置基準部が超音波センサを所定の配置状態に誘導する(配置を規定する))機能を位置基準部に持たせることで、位置決め精度を向上することができる。すなわち、センサ特性のばらつきを低減することができる。
【0019】
具体的には、例えば請求項9に記載のように、超音波センサに少なくとも壁部材の内面との対向面に開口する孔部を設け、位置基準部として、孔部に対応する壁部材の内面から突起し、少なくとも一部が孔部に配置される突起部を含む構成を採用することができる。それ以外にも、請求項9とは逆の構成として、請求項10に記載のように、超音波センサに壁部材の内面に向けて突起する突起部を設け、位置基準部として、壁部材の内面に突起部が挿入される溝部が設けられた構成を採用することもできる。
【0020】
また、請求項11に記載のように、位置基準部として、壁部材の内面から突起し、超音波センサの外周面に沿う(外周面を保持する)ガイド部を含む構成を採用することもできる。この場合、請求項12に記載のように、ガイド部を一端が開口した筒状とすると、不要振動の逃げ部位がなくなり、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0021】
請求項13に記載のように、位置基準部が、超音波センサの位置決め状態を固定する機能を有しても良い。このように、壁部材に対して超音波センサの位置を固定する機能をさらに付加することで、位置決め精度をより向上することができる。すなわち、センサ特性のばらつきをより低減することができる。また、壁部材に超音波センサを固定するための接続材料を不要とすることができるので、取付け工程を簡素化することができる。具体的には、壁部材と位置基準部との間で挟持、位置基準部と超音波センサに設けられた突起と溝による嵌合、例えば筒状の位置基準部への圧入等によって、超音波センサの位置決め状態を固定することができる。
【0022】
請求項14に記載のように、超音波センサの指向性が水平方向と垂直方向とで異なる場合、位置基準部によって超音波センサの指向性が規定される構成とすることが好ましい。これによれば、位置基準部を目印に超音波センサを壁部材に位置決め固定した状態で、超音波センサは所望の指向性を発揮することができる。例えば固定面の外周に沿って振動面を囲む環状の位置基準部の少なくとも内周形状を、超音波センサの固定面の外周とともに、例えば長方形や楕円のように90°の回転で元と一致しない形状や非回転対称形状とすれば良い。
【0023】
また、請求項15に記載のように、位置基準部を複数設け、複数の位置基準部を、指向性を規定するように配置しても良い。例えば、請求項9に記載の構成において、位置基準部を3つ有する場合、3つの位置基準部を回転対称位置(120度間隔、正三角形の頂点)に配置するのではなく、非回転対称位置(例えば二等辺三角形の頂点)に配置すれば良い。
【0024】
なお、請求項1〜15いずれかに記載の発明は、請求項16に記載のように、壁部材として、車両のバンパに好適である。それ以外にも、車両のボディ等に採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は図1(b)に示す超音波センサを省略し、壁部材を内面側から見た平面図である。
【0026】
超音波センサが取付けられる壁部材10は、超音波センサ20を取付けた状態で超音波センサ20の振動面として機能する構成のものであれば採用が可能である。本実施形態においては、壁部材10として車両のバンパを採用している。バンパは、一般的にウレタン等の合成樹脂成形品(本実施形態においても、合成樹脂からなるバンパを採用)であるが、壁部材10として車両ボディ等を構成する金属板を採用することも可能である。
【0027】
壁部材10の内面11には、超音波センサ20を位置決め固定する際の位置基準となる位置基準部12が形成されている。本実施形態においては、位置基準部12として、内面11に対して凹んだけがき線(所定深さの凹部)12を採用している。そして、けがき線12を、超音波センサ20を構成する超音波振動子と直接もしくは間接的に接触し、振動が伝達される内面部位(なお、当該内面部位の裏面(外面)が振動面Sである)及び超音波センサ20を固定する内面部位(以下固定部位Kと示す)を除く内面11の部位に形成している。具体的には、超音波センサ20の後述する固定面の外周に沿う形状(換言すれば、固定部位Kの外周側において、固定部位Kの外周に沿う形状)としている。
【0028】
このようなけがき線12は、成型、切削加工などによって形成することができる。なお、壁部材10において、けがき線12の形成された部位の厚さが、振動面Sを有する部位(超音波振動子からの振動が伝達される部位)の厚さよりも薄くなっており、位置基準部12を有する部位の剛性が、振動面Sを有する部位の剛性よりも小さくなっている。
【0029】
超音波センサ20は、車両の周囲に存在する障害物を検出できるように、例えば車両の前方、後方、或いは四隅側のバンパに取り付けられている。図1(a)に示すように、超音波センサ20は、主として、筐体21、超音波振動子22、超音波振動子22による超音波の送受信結果に基づいて、障害物までの距離の算出等の処理を行う処理回路が形成された回路基板23などから構成されている。
【0030】
超音波振動子22は、例えばチタン酸バリウム等の金属酸化物の粉末を圧縮焼成した圧電セラミックからなり、筐体21の底面部21aに設置されている。この筐体21は、例えば合成樹脂によって構成されている。なお、本実施形態においては、図2に示すように、同一の超音波振動子22によって、超音波の送信と受信を行うように構成されている。したがって、超音波センサ20を含む障害物検出装置の体格を小型化することができる。
【0031】
筐体21は、超音波振動子22や回路基板23等を収容するものであり、本実施形態においては、有底筒状に設けられている。そして、底面部21aの中央には、筐体21の材質とは異なる材質(例えば樹脂)によって形成された振動伝達部21bが、壁部材10及び超音波振動子22の両方と接触するように設けられている。ここで、筐体21の材質と異なる材質とは、例えば筐体21の樹脂材料と振動伝達部21bの樹脂材料とが異なる場合は勿論のこと、同じ樹脂材料であっても、一方にはガラスクロスが含有され、他方には含まれていない場合も含む概念である。
【0032】
この振動伝達部21bは、その音響インピーダンスが、超音波振動子22の音響インピーダンスと壁部材10の音響インピーダンスとのほぼ中間となり、かつ、超音波センサ20が所望の指向性を示すように、その材質や形状等が設定されている。
【0033】
超音波は、音響インピーダンスの異なる部材間において、その音響インピーダンスの変化が大きいほど、その部材間で伝達されずに反射される反射量が増加する特性を有している。振動伝達部21bは、上述したように、その音響インピーダンスが、超音波振動子22の音響インピーダンスと壁部材10の音響インピーダンスとのほぼ中間となっている。したがって、超音波振動子22と振動伝達部21b間、さらには振動伝達部21bと壁部材10間における超音波反射量を効率的に低減して、超音波の伝達量を増加することができる。
【0034】
一方、筐体21は、超音波振動子22等を固定したり、壁部材10に取り付けたりするために求められる剛性等の特性を満足する必要がある。そのため、筐体21の材質として、超音波を伝達する上で最適なものを採用することは非常に困難である。その結果、振動伝達部21bの周囲の筐体21の形成材質からなる底面部21aの音響インピーダンスは、超音波振動子22の音響インピーダンスと壁部材10の音響インピーダンスとの間の範囲から外れたり、その間に含まれていたとしても、超音波振動子22と壁部材10の音響インピーダンスの一方に近い値となり、他方の音響インピーダンスとの差が大きくなる。このため、振動伝達部21bに比較して、超音波の反射量が増加するので、筐体21の形成素材からなる底面部21aでは、振動伝達部21bよりも超音波の伝達量が低下する。
【0035】
したがって、超音波振動子22による超音波の送受信時において、筐体21の底面部21aにおける超音波の伝達が、主に振動伝達部21bを介して行われることになる。その結果、壁部材10における超音波の主要な伝達範囲を、振動伝達部21bに対応する範囲(振動面S)に絞ることができる。このため、壁部材10における振動部位が制限されるので、指向性が過度に狭くなったり、不規則となったりすることを防止でき、所望の広がりを持った指向性を実現することができる。
【0036】
本実施形態においては、図1(a),(c)に示すように、振動伝達部21bが、壁部材10の平面方向において、地面に対して水平方向よりも垂直方向に長い長方形とされており、振動伝達部21bの接する壁部材10の部位の外面が、振動面Sとして規定されている。このように、本実施形態においては、超音波センサ20を壁部材10に位置決め固定した状態で、壁部材10の一部を言うなれば振動伝達部材として含み、その外面を振動面Sとして含むように構成されている。すなわち、超音波センサ20が壁部材10の外面側に露出しない構成となっている。
【0037】
振動吸収体25は、筐体21の振動伝達部21bを含む底面部21aに面する面を除いて超音波振動子22を取り囲むように設けられている。この振動吸収体25は、超音波振動子22による振動が筐体21の底面部21a以外の部位に伝わることを低減するために、例えばシリコン製ゴムやポリウレタン等の弾性を備える弾性体によって形成されている。なお、この振動吸収体25や回路基板23を固定するために、筐体21内にストッパ21cが設けられている。
【0038】
回路基板23は、リード線24を介して、超音波振動子22と接続されており、この超音波振動子22を振動させて超音波を発生するための駆動信号を出力したり、超音波振動子22に超音波が伝達されて、超音波振動子22に歪みが生じた場合に、圧電効果によって生じる電圧信号を入力する処理回路が形成されている。処理回路では、例えば超音波の送信から受信までの時間に基づいて、車両の周囲に存在する障害物までの距離を算出する。なお、図2に示す符号26はコネクタであり、回路基板23の処理回路と、例えば車室内に設けられている報知処理等を行う制御部とを接続するものである。また、符号27は筐体21内を気密に封止する封止材である。
【0039】
また、符号28は、筐体21の一部として、超音波センサ20を壁部材10に固定するための固定部である。本実施形態に係る固定部28は、壁部材10の内面11との対向する部位として、筐体21の外周側面に固定された平板状の基部28aと、基部28aと筐体21の外周側面に固定され、基部28aを補強する補強部28bとにより構成されている。基部28aは、地面に対して垂直方向よりも水平方向に指向性の広い超音波センサ20の指向性を規定するために、90°の回転で元と一致しない形状(本実施形態においては、振動面S(振動伝達部21b)と同様の長方形)とされ、基部28aの壁部材10の内面11との対向面が、壁部材10に対する固定面28cとされている。また、長方形の固定面28c(基部28a)の外周に沿って、けがき線12が環状(長方形)に設けられている。なお、補強部28bは、図1(b)に示すように、筐体21の外周側面に対して、地面に対して垂直方向及び水平方向の位置に配置されている。
【0040】
そして、固定面28cと、当該固定面28cに対応して振動面Sに対応する内面部位の周囲に設けられた固定部位Kとが、接続材料30を介して固定されている。本実施形態においては、接続材料30として、粘着剤を有するフィルム(両面テープ)を採用している。なお、壁部材10において、振動面Sの周囲の固定部位Kは、固定部28にてしっかりと固定されている。
【0041】
次に、超音波センサ20の壁部材10への取付け手順を説明する。先ず、壁部材10の内面11に、位置基準部としてのけがき線12を形成する。このとき、壁部材10に対する超音波センサ20の取付け位置を規定するように、例えば壁部材10の端部を基準として、けがき線12を、振動面Sに対応する内面部位及び固定部位Kを除く内面11の部位に形成する。なお、けがき線12は、上述したように、成型によって、壁部材10の形成時に形成することもできる。
【0042】
けがき線12の形成後、このけがき線12を位置基準として超音波センサ20を位置決めしつつ壁部材10の内面11に固定する。本実施形態においては、超音波センサ20の固定部28の固定面28cに接続材料30としての両面テープを貼付した状態で、けがき線12に内接するように(けがき線12により規定される内面11の領域内に配置されるように)、超音波センサ20を位置決めし、壁部材10に固定する。
【0043】
このように、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、壁部材10の一部を超音波センサ20の振動面Sとして含む構成であって、けがき線12を位置基準として、けがき線12により規定される内面11の領域内に、超音波センサ20を精度良く位置決め固定することができる。すなわち、超音波センサ20を、所望の位置に位置決め固定することができる。言い換えれば、壁部材10の所望の位置を、超音波センサ20の振動面Sとすることができる。また、振動面Sに対応する内面部位にけがき線12を形成していないので、センサ特性を低下させることなく超音波センサ20を所望の位置に位置決め固定することができる。
【0044】
また、けがき線12は超音波センサ20に対して露出しているので、固定面28cを固定部位Kに固定するまで、けがき線12を確認しながら位置を微調整することができる。したがって、より精度良く位置決めすることができるので、センサ特性のばらつきを低減することができる。
【0045】
なお、本実施形態に示すように、接続材料30として粘着材を有するフィルムを採用する場合、けがき線12を固定部位Kに形成すると、固定時に接続材料30がけがき線12の凹部に完全には追従しないため、接続面積が減少し、接続信頼性が低下する。それに対し、本実施形態においては、けがき線12を固定部位Kの外周側において、固定部位Kの外周に沿うように形成しているので、接続信頼性の低下を抑制することができる。
【0046】
次に、けがき線12による更なる効果(不要振動低減効果)について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、けがき線12による不要振動低減の効果を示す図である。図3は、不要振動による影響を示す図であり、(a)は比較対象としてのけがき線12の形成されない構成、(b)は本実施形態に示す構成を示す図である。
【0047】
上述したように、本実施形態においては、超音波センサ20が、壁部材10の一部を振動面Sとして含み、壁部材10のうち、振動伝達部21bと接する部位の外面が振動面Sとして規定されている。したがって、振動伝達部21bを介して振動面Sに伝達された超音波振動子22の振動の一部は、振動面Sの周囲に不要振動として広がることとなる。この不要振動が隣接する超音波センサ20に伝播すると、隣接する超音波センサ20において、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合が生じることとなる。
【0048】
これに対し、本実施形態においては、位置基準部としてけがき線12を採用しており、壁部材10において、けがき線12の形成された部位の厚さを、振動面Sを有する部位(超音波振動子22の振動が振動伝達部21bを介して伝達される部位)の厚さよりも薄くすることができる。すなわち、けがき線12を設けることで、けがき線12の形成された部位の剛性を、振動面Sを有する部位の剛性よりも小さくすることができる。したがって、簡素な構成でありながら、図2に示すように、壁部材10において、振動面S(図2において省略)からその周囲に伝播される不要振動を低減することができる。特に本実施形態においては、けがき線12を環状に設けているので、不要振動の逃げ部位がなく、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0049】
例えば、けがき線12のない構成においては、図3(a)に示すように、比較的大きな不要振動が隣接する超音波センサ20に伝播し、隣接する超音波センサ20において、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合が生じる恐れがある。これに対し、本実施形態に係る取付け構造によれば、図3(b)に示すように、けがき線12の形成部位にて不要振動を低減することができる。したがって、隣接する超音波センサ20において、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合が生じるのを、けがき線12のない構成に比べて、低減若しくは防止することができる。
【0050】
なお、本実施形態においては、上述したように、壁部材10において、振動面Sの周囲の固定部位Kが、固定部28にてしっかりと固定されており、環状のけがき線12が固定面28cの外周に沿って設けられている。したがって、けがき線12にて不要振動が低減される前に、固定部位Kにおいても不要振動の一部を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、壁部材10の平面方向において、けがき線12の形状を、振動面Sと同様の長方形としている。したがって、振動面Sの形状により近い振動モードを得ることができる。しかしながら、けがき線12の形状を、振動面Sとは異なる形状としても良い。
【0052】
なお、本実施形態においては、位置基準部として凹状のけがき線12を採用する例を示した。しかしながら、例えば、図4に示すように、けがき線12に代えて、凸部13を有する構成としても良い。この場合も、凸部13の形成部位の剛性を、壁部材10の振動面Sを有する部位と異なる剛性とすることができるので、簡素な構成でありながら、位置決めの目印となるだけでなく、不要振動を低減することができる。図4は、位置基準部の変形例を示す断面図であり、図1(a)に対応している。それ以外にも、凸部(壁部材10の振動面Sを有する部位よりも厚い部位)及び凹部(壁部材10の振動面Sを有する部位よりも薄い部位)の少なくとも一方を含む構成を採用することができる。凸部13としては、図4に示すように、壁部材10に一体化された突起の他にも、他部材を積層配置(例えば印刷法等によって積層形成)したものでも良い。この場合も、位置決めの目印となるだけでなく、不要振動を低減することができる。なお、内面11の他の部位と異なる色とすることで、位置決め目印としての効果を高めることもできる。
【0053】
また、本実施形態においては、固定部位Kの外周側において、固定部位Kの外周に沿い、且つ、超音波センサ20の固定部28全体を取り囲むようにけがき線12を環状に形成する例を示した。しかしながら、けがき線12の形態(形状及び形成範囲)は、本実施形態に示す例に限定されるものではない。けがき線12を目印として、所定位置に超音波センサ20を位置決め固定できる形態であれば良い。例えば、図5に示すように、長方形の固定面28cに対応した形状を有する固定部位Kの角部周囲(4隅部)のみに、けがき線12を形成しても良い。図5は、けがき線12の変形例を示す平面図であり、図1(c)に対応している。この場合、環状にけがき線12を形成する構成に比べると効果は小さいものの、けがき線12の形成された部位の剛性は振動面Sを有する部位の剛性とは異なるので、不要振動を低減することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、位置合わせの対象である、超音波センサ20の固定部28における固定面28c(基部28a)とけがき線12との形状をそれぞれ長方形とすることで、水平方向と垂直方向とで異なる超音波センサ20の指向性を規定する例を示した。しかしながら、固定面28cとけがき線12を回転対称形状とした場合、固定面28cとけがき線12で指向性を規定することはできないので、例えば位置基準部であるけがき線12と超音波センサ20に設けた回転合わせ部とを位置合わせして、超音波センサ20の指向性を規定するようにすると良い。一例としては、図6(a),(b)に示すように、固定面28cとけがき線12を正方形とした場合、けがき線12の一部に隙間12aを設け、この隙間12aに、位置合わせ部としての補助部28b(図6においては、垂直方向のみに配置)を位置合わせすることで、超音波センサ20の指向性を規定することができる。なお、図7に示すように、けがき線12の一部に合わせ用目印12bとしての突起を形成し、当該合わせ用目印12bに対して図6(a)に示したように回転合せ部としての補助部28bを位置合わせすることで、超音波センサ20の指向性を規定することもできる。なお、合わせ用目印12bは、けがき線12と一体ではなく、離れた位置に(連結しないで)形成されても良い。このように、位置基準部であるけがき線12に指向性を規定する機能をもたせれば、超音波センサ20(固定部28)が回転対称形状であっても、所望の指向特性を発揮するように、超音波センサ20を位置決め固定することができる。なお、図6は、変形例を示す図であり、(a)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材10を内面側から見た平面図である。図7は、変形例を示す壁部材10を内面側から見た平面図である。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8(a),(b)により説明する。図8は、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は壁部材10を内面側から見た平面図である。なお、図8(a),(b)は、それぞれ図1(a),(c)に対応している。
【0056】
第2実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0057】
本実施形態においては、超音波センサ20を壁部材10に固定する接続材料30として、固定時に溶融乃至溶液状態(すなわち液状)にある接続材料30を採用し、位置基準部を、壁部材10の少なくとも固定部位Kに形成している。
【0058】
具体的には、図8(a),(b)に示すように、接続材料30として紫外線硬化型の接着剤を採用し、位置基準部として、壁部材10の固定部位Kに凹凸部14を一体的に形成した。すなわち、凹凸部14を固定部位K全面に形成することで、超音波センサ20の位置決め用の目印となる(固定位置を規定する)ようにした。
【0059】
このように、固定(少なくとも接続材料30を介して固定部28(固定面28c)が固定部位Kに接触した)時点で、液状の接続材料30(言い換えれば凹凸部14の凹凸に追従する接続材料30)を用いて壁部材10に超音波センサ20を固定する場合、壁部材10の固定部位Kに位置基準部である凹凸部14を形成すると、接続面積の増加とともに、アンカー効果を期待できる。すなわち、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、センサ特性を低下させることなく超音波センサ20を所望の位置に位置決め固定することができ、さらに固定部位K以外の内面11に位置基準部を形成する場合よりも、壁部材10に対する超音波センサ20の接続信頼性を向上することができる。
【0060】
また、本実施形態においても、凹凸部14の形成された部位の厚さを、振動面Sを有する部位の厚さよりも薄くすることができる。すなわち、凹凸部14を設けることで、凹凸部14の形成された部位の剛性を、振動面Sを有する部位の剛性よりも小さくすることができる。したがって、簡素な構成でありながら、第1実施形態の図2に示したように、壁部材10において、振動面Sからその周囲に伝播される不要振動を低減することができる。特に本実施形態においては、凹凸部14を環状に設けているので、不要振動の逃げ部位がなく、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0061】
なお、不要振動は、壁部材10内を伝播する過程で減衰するので、位置基準部の位置が振動面Sから離れるほど、不要振動低減の効果が小さくなる。本実施形態においては、固定部位Kに凹凸部14を設けて位置基準部としている。したがって、位置基準部の効果として、第1実施形態に示す構成よりも、不要振動を低減することができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、接続材料30として紫外線硬化型の接着剤を採用する例を示した。しかしながら、それ以外の接着剤による接着、溶着、接合等においても効果的である。
【0063】
また、本実施形態においては、超音波センサ20の位置決め用の目印として、位置基準部としての凹凸部14を固定部位Kの全面に形成する例を示した。しかしながら、超音波センサ20の位置を決める目印となれば、凹凸部14を固定部位Kの少なくとも一部に形成しても良い。例えば、固定部位Kの外周部位に内接するように、固定部位Kの一部に環状に凹凸部14を形成しても良い。
【0064】
また、第1の実施形態に示したけがき線12によって超音波センサ20の固定位置を規定し、固定部位Kに形成した凹凸部14によって接続信頼性を向上する構成としても良い。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図9(a)〜(c)により説明する。図9は、本実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材10を内面側から見た平面図である。
【0066】
第3実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造は、第1,第2実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0067】
第1,第2実施形態においては、位置基準部が位置決めの目印としての機能と、不要振動を低減する機能を備える例を示した。これに対し、本実施形態においては、位置基準部が、上記機能に加えて、さらに壁部材10に対して、超音波センサ20を所定の位置に誘導する(配置を規定する)機能を有する点を特徴とする。
【0068】
具体的には、図9(a)〜(c)に示すように、超音波センサ20の固定部28(第1実施形態に示した基部28aに相当)に、位置決め用の孔部として、取付け方向に貫通する貫通孔28dを設け、位置基準部として、貫通孔28dに対応する壁部材10の内面11から突起し、貫通孔28dに少なくとも一部が配置される突起部15を含む構成としている。より具体的には、超音波センサ20(固定面28cの内周/外周)は、回転対称形状の円形であり、3つの突起部15を回転対称位置(120度間隔、正三角形の頂点)に配置するのではなく、非回転対称位置(例えば図9(b),(c)に示すように二等辺三角形の頂点)に配置している。そして、突起部15に対応して、固定部28に貫通孔28dを設けている。したがって、3つの貫通孔28dに対して、対応する突起部15がそれぞれ挿通された状態で、超音波センサ20は壁部材10の所定位置に位置決め配置される。そして、接続材料30により、位置決め状態を保持した状態で、超音波センサ20が壁部材10に固定される。
【0069】
このように、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、位置決めの目印としての機能と、不要振動を低減する機能に加えて、超音波センサ20を所定の位置に誘導する(配置を規定する)機能を、位置基準部としての突起部15に持たせている。すなわち、突起部15によって超音波センサ20の固定位置が決定されるので、センサ特性を低下させることなく超音波センサ20を所望の位置により精度良く位置決めすることができる。したがって、センサ特性のばらつきを低減することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、図9(c)に示すように、第1実施形態同様、振動面Sを水平方向よりも垂直方向に長い長方形としており、超音波センサ20が垂直方向よりも水平方向に広い指向性(偏指向性)を有しているが、非回転対称位置に配置された突起部15によって、指向性を規定することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、突起部15の形成された部位の剛性が振動面Sを有する部位の剛性とは異なるので、不要振動を低減することができる。例えば図10に示すように、突起部15の形状を環状に近づけるほど不要振動の逃げが少なくなり、不要振動をより低減することができる。なお、図10においては、3本の突起部15を非回転対称位置に配置しているので、指向性を規定することもできる。図10は、突起部15の変形例を示す平面図である。
【0072】
また、本実施形態においては、突起部15の先端が貫通孔28dから露出する構成としている。したがって、超音波センサ20を壁部材10に位置決め固定する際に位置決めしやすい。また、突起部15を3本(複数本)形成し、それぞれを離間して配置しているので、超音波センサ20を壁部材10に安定して固定することができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、3本の突起部15と当該突起部15に対応した貫通孔28dを設けることで、超音波センサ20を壁部材10に位置決めする例を示した。しかしながら、突起部15の本数は3本に限定されるものではない。少なくとも1本形成されれば良い。複数設ける場合には、90°の回転で元と一致しない位置や非回転対称位置とすると、指向性を規定することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、固定部28に貫通孔28dが設けられる例を示した。しかしながら、突起部15が挿入される孔部としては、少なくとも壁部材10側に開口していれば良い。したがって、壁部材10側のみに開口する未貫通孔を採用することもできる。
【0075】
また、本実施形態においては、壁部材10に突起部15が設けられ、固定部28に貫通孔28dが設けられた例を示した。しかしながら、逆の構成として、図11に示すように、超音波センサ20の固定部28に、壁部材10の内面11に向けて固定面28cから突起する突起部28eを設け、位置基準部として、壁部材10の内面11に突起部28eが挿入される溝部16が設けられた構成を採用することもできる。図11は、取付け構造の変形例を示す断面図である。さらには、図9(a)に示す構成と図11に示す構成をともに備える構成としても良い。
【0076】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図12により説明する。図12は、本実施形態における超音波センサ20の取付け構造の概略構成を示す断面図である。
【0077】
第4実施形態における超音波センサ20の取付け構造は、第1実施形態〜第3実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0078】
本実施形態においては、位置基準部に、壁部材10に対する超音波センサ20の位置決め状態を固定する機能をさらに付加した点を特徴とする。図12では、第3実施形態に示した構成において、貫通孔28dを挿通して露出した突起部15の先端を熱かしめすることにより、突起部15の先端と壁部材10との間で超音波センサ20の固定部28を挟持する構成としている。
【0079】
このように本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、突起部15によって超音波センサ20を所定の位置に誘導しつつ(位置決めしつつ)、壁部材10に固定するので、位置決め精度をより向上することができる。すなわち、センサ特性のばらつきを低減することができる。また、接続材料30を不要とすることができるので、取付け工程を簡素化することができる。
【0080】
なお、本実施形態においては、熱かしめによる挟持によって超音波センサ20を固定する例を示した。しかしながら、それ以外にも、締結、スナップフィット等による挟持によって、超音波センサ20を壁部材10に位置決めしつつ固定することが可能である。
【0081】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図13(a)〜(c)及び図14により説明する。図13は、本実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材10を内面側から見た平面図である。図14は、ガイド部17による不要振動低減の効果を示す図である。
【0082】
第5実施形態における超音波センサ20の取付け構造は、第4実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0083】
第4実施形態においては、位置基準部と壁部材10との間で固定部28を挟持することにより、超音波センサ20を壁部材10に固定する例を示した。しかしながら、挟持以外の構造よって、超音波センサ20を壁部材10に固定することも可能である。本実施形態においては、嵌合によって、超音波センサ20を壁部材10に固定する点を特徴とする。その一例を図13(a)〜(c)に示す。
【0084】
図13(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係る超音波センサ20は、一方が閉じた円筒形状の筐体21を有しており、筐体21の外周側面には、振動面Sから離間するほど径方向外側に突き出るように断面楔形の嵌合用突起21dが形成されている。この嵌合用突起21dは、筐体21に3箇所設けられており、それぞれの位置が超音波センサ20の指向性を規定すべく、非回転対称位置(二等辺三角形に頂点位置)とされている。
【0085】
また、このような筐体21を保持するように、超音波センサ20の位置を規定する位置基準部として、壁部材10の振動面Sを有する部位の周囲の内面部位から突起し、超音波センサ20の筐体21の外周面に沿う(外周面21を保持する)円筒状のガイド部17が形成されている。また、ガイド部17には、嵌合用突起21dに対応する嵌合用溝17aが形成されている。
【0086】
したがって、壁部材10の内面から突起するガイド部17を目印として、超音波センサ20をガイド部17の筒状内部に挿入することで、超音波センサ20を壁部材10の所定位置に位置決めすることができる。すなわち、本実施形態に係るガイド部17も、超音波センサ20を所定の位置に誘導する機能を有している。また、位置決めの過程で、嵌合用突起21dと嵌合用溝17aが互いに嵌合し、ガイド部17にて超音波センサ20を保持しつつ、超音波センサ20を壁部材10に固定することができる。すなわち、センサ特性のばらつきを低減することができる。また、接続材料30を不要とすることができるので、取付け工程を簡素化することができる。
【0087】
また、本実施形態においては、位置基準部としてガイド部17を採用しており、壁部材10において、ガイド部17の形成された部位の厚さを、図13(a)に示すように、振動面Sを有する部位の厚さよりも厚くすることができる。すなわち、ガイド部17の形成された部位の剛性を、振動面Sを有する部位の剛性よりも大きくすることができる。したがって、簡素な構成でありながら、図14に示すように、壁部材10において、振動面S(図示略)からその周囲に伝播される不要振動を低減することができる。特に本実施形態においては、ガイド部17を環状に設けているので、不要振動の逃げ部位がなく、より効果的に不要振動を低減することができる。さらには、ガイド部17を超音波センサ20の底面部21aの近くに設けている。したがって、効果的に不要振動を低減することができる。
【0088】
なお、本実施形態においては、嵌合用突起21dと嵌合用溝17aが3組形成される例を示した。しかしながら、嵌合用突起21dと嵌合用溝17aは、少なくとも1組形成されれば良い。接続信頼性向上のために複数設ける場合には、90°の回転で元と一致しない位置や非回転対称位置とすると、指向性を規定することができる。また、超音波センサ20の筐体21に嵌合用の溝を設け、ガイド部17に嵌合用の突起部を設けた構成としても良い。
【0089】
また、本実施形態においては、ガイド部17を、筐体21の外周に沿う円筒形状とする例を示した。しかしながら、円筒に限定されるものではない、振動面Sに沿う筒状とすることで、振動面Sに振動モードにより近い指向性を確保するようにしても良い。また、筒状とせずに、分断されながらも保持する構成としても良い。
【0090】
また、挟持、嵌合以外にも、圧入(例えばガイド部17内に超音波センサ20を圧入固定)等を採用することができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0092】
本実施形態においては、壁部材10として車両のバンパを採用する例を示した。しかしながら、壁部材10は上記例に限定されるものではない。例えば、車両のボディ(例えばドア)を構成する金属製の薄板に採用しても良い。
【0093】
なお、位置基準部は、壁部材10の振動面Sを有する部位を除く内面11に形成されれば良い。したがって、振動面Sを除く筐体21の底面部21aとの接触部位から固定部位Kを含み、その外周側に外周に沿って形成されたものでも良い。
【0094】
また、本実施形態においては、壁部材10の位置基準部の形成部位が振動面Sを有する部位の剛性とは異なり、これにより不要振動を低減する例を示した。しかしながら、位置基準部は、少なくとも、超音波センサ20を壁部材10の内面11に固定するための目印としての機能を有していれば良い。その形態(形状及び形成範囲)は本実施例に限定されるものではない。例えば自動で超音波センサ20を壁部材10に固定する場合、所定位置を示す点を位置基準部としても良い。
【0095】
また、本実施形態においては、筐体21の底面部21aの中央に、振動伝達部21bを設けることで、超音波センサ20に所望の指向性を持たせた例を示した。しかしながら、壁部材10を振動面Sとする超音波センサ20の取付け構造において、超音波センサ20に所望の指向性を持たせる構成は上記例に限定されるものではない。例えば、底面部21aに、内面11に向けて突起する突起部を設け、この突起部を振動伝達部としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図2】けがき線による不要振動低減の効果を示す図である。
【図3】不要振動による影響を示す図であり、(a)は比較対象としてのけがき線の形成されない構成、(b)は本実施形態に示す構成を示す図である。
【図4】変形例を示す部分断面図である。
【図5】けがき線の変形例を示す平面図である。
【図6】変形例を示す図であり、(a)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図7】変形例を示す壁部材を内面側から見た平面図である。
【図8】第2実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図9】第3実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図10】突起部の変形例を示す平面図である。
【図11】取付け構造の変形例を示す断面図である。
【図12】第4実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示す断面図である。
【図13】第5実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図14】ガイド部による不要振動低減の効果を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
10・・・壁部材
11・・・内面
12〜17・・・位置基準部
20・・・超音波センサ
21・・・筐体
22・・・超音波振動子
28・・・固定部
30・・・接続材料
S・・・振動面
K・・・固定部位
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子を備える超音波センサを、例えば車両バンパの内面に固定してなる超音波センサの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、車両のバンパに貫通孔を形成し、貫通孔を通して超音波センサの振動面が外部に露出するように、バンパに超音波センサを取付ける構成が知られている。しかしながら、上記構成の場合、バンパに貫通孔を形成するので意匠の点であまり好ましいものではなかった。また、貫通孔を通してセンサの一部が外部に露出するため外部影響(飛び石、雨等)を受けやすく、信頼性、寿命の点で問題があった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献2に示されるように、超音波振動子を備える超音波センサを、バンパの内面に固定した状態で、バンパを超音波振動子の振動面として含む構成が提案されている。
【特許文献1】特開2004−264264号公報
【特許文献2】特許第3469243号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に示されるように、貫通孔を有さないバンパの内面に超音波センサを固定する構成においては、貫通孔のような位置決めの基準がないため、超音波センサの取付け位置にばらつきが生じる。すなわち、検知エリアのずれ、取付け位置の変化(に伴う厚さの変化)によるセンサ特性の変化、接続信頼性の低下、所望の指向特性が得られない等の問題が生じる恐れがある。
【0005】
それに対し、例えばバンパの内面に位置決め用の目印を設け、この目印を基準として超音波センサを固定することも考えられる。しかしながら、バンパを振動面として含む構成であるので、目印の構成によってはセンサ特性を低下させる恐れがある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、センサ特性を低下させることなく位置決めできる超音波センサの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に請求項1に記載の発明は、超音波振動子を備える超音波センサを、壁部材の内面に固定してなる超音波センサの取付け構造であって、超音波センサは、壁部材のうち、超音波振動子の振動が伝達される部位の外面を振動面として含み、壁部材は、少なくとも振動面に対応する部位を除く内面部位に、超音波センサを固定する位置基準となる位置基準部を有することを特徴とする。
【0008】
このように本発明によると、壁部材の内面に設けられた位置基準部をもとに超音波センサを所望の位置に位置決め固定することができる。また、位置基準部は、振動面を有する部位の内面(振動面に対応する内面部位)には設けられておらず、センサ特性が低下することはない。したがって、センサ特性を低下させることなく超音波センサを所望の位置に位置決め固定することができる。
【0009】
なお、位置基準部は、少なくとも位置決め用の目印としての機能を有していれば良い。また、振動面とは、壁部材のうち超音波振動子の振動が伝達される部位の外面(超音波を外部に送信する側の面)であり、例えば超音波振動子が壁部材に接触配置される構成においては、その接触面の裏面(外面)が振動面となる。また、振動伝達部材を介して超音波振動子の振動が壁部材に伝達される構成においては、振動伝達部材と壁部材との接触面の裏面(外面)が振動面となる。
【0010】
請求項2に記載のように、壁部材の、位置基準部を有する部位の剛性が、少なくとも振動面を有する部位の剛性と異なる(振動が伝達される部位よりも剛性が大きい又は小さい)構成とすることが好ましい。これによれば、振動面から壁部材の振動面の周囲に伝達される不要振動を、位置基準部を有する壁部材の部位にて低減することができる。したがって、位置基準部のない構成と比べて、不要振動が隣接する超音波センサの振動面に伝播し、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合を、低減することができる。
【0011】
例えば請求項3に記載のように、位置基準部として、凸部及び凹部の少なくとも一方を含む構成を採用することができる。これによれば、簡素な構成でありながら、位置決め用の目印となるだけでなく、不要振動を低減することができる。
【0012】
請求項4に記載のように、位置基準部を、壁部材の少なくとも超音波センサを固定する固定部位に設け、固定時に溶融乃至溶液状態(すなわち液状)にある接続材料を用いて、壁部材の固定部位に超音波センサの固定面を固定した構成としても良い。
【0013】
例えば、接着、溶着、接合のように、固定時に液状の接続材料(言い換えれば位置基準部の凹凸に追従する接続材料)を用いて壁部材に超音波センサを固定する場合、壁部材の固定部位に位置基準部を設けると、接続面積の増加とともに、アンカー効果も期待できる。すなわち、壁部材に対する超音波センサの接続信頼性を向上することができる。
【0014】
また、請求項5に記載のように、位置基準部を、壁部材の超音波センサを固定する固定部位を除く内面部位に設け、粘着材を有するフィルムにて壁部材の固定部位に超音波センサの固定面を固定した構成としても良い。
【0015】
粘着材を有するフィルム(接着テープ、接着シートを含む)のように、固定時に位置基準部の凹凸に完全には追従しない接続材料を用いて固定する場合、壁部材の固定部位に位置基準部を設けると、接続面積が減少し、接続信頼性が低下する。したがって、壁部材の固定部位を除く内面部位に位置基準部を設けることで、接続信頼性の低下を抑制することができる。
【0016】
壁部材に対する超音波センサの固定は、位置基準部を目印として行われるものであれば、手動及び自動のいずれでも良い。例えば手動にて固定する場合、請求項6に記載のように、位置基準部として、超音波センサの固定面の外周に沿う部位を含む構成とすると良い。この場合、位置基準部を確認しながら、超音波センサを壁部材に位置決め固定することができる。なお、超音波センサを位置決めできさえすれば、位置基準部の形成範囲は特に限定されるものではない。
【0017】
請求項7に記載のように、位置基準部は振動面となる部位を囲んで環状に設けられることが好ましい。これによれば、不要振動の逃げ部位がなくなるので、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0018】
また、請求項8に記載のように、位置基準部が、壁部材に対して超音波センサを位置決めする機能を有しても良い。このように、位置決め用の目印としての機能と不要振動を低減する機能に加えて、壁部材に対して超音波センサの位置を決定する(すなわち位置基準部が超音波センサを所定の配置状態に誘導する(配置を規定する))機能を位置基準部に持たせることで、位置決め精度を向上することができる。すなわち、センサ特性のばらつきを低減することができる。
【0019】
具体的には、例えば請求項9に記載のように、超音波センサに少なくとも壁部材の内面との対向面に開口する孔部を設け、位置基準部として、孔部に対応する壁部材の内面から突起し、少なくとも一部が孔部に配置される突起部を含む構成を採用することができる。それ以外にも、請求項9とは逆の構成として、請求項10に記載のように、超音波センサに壁部材の内面に向けて突起する突起部を設け、位置基準部として、壁部材の内面に突起部が挿入される溝部が設けられた構成を採用することもできる。
【0020】
また、請求項11に記載のように、位置基準部として、壁部材の内面から突起し、超音波センサの外周面に沿う(外周面を保持する)ガイド部を含む構成を採用することもできる。この場合、請求項12に記載のように、ガイド部を一端が開口した筒状とすると、不要振動の逃げ部位がなくなり、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0021】
請求項13に記載のように、位置基準部が、超音波センサの位置決め状態を固定する機能を有しても良い。このように、壁部材に対して超音波センサの位置を固定する機能をさらに付加することで、位置決め精度をより向上することができる。すなわち、センサ特性のばらつきをより低減することができる。また、壁部材に超音波センサを固定するための接続材料を不要とすることができるので、取付け工程を簡素化することができる。具体的には、壁部材と位置基準部との間で挟持、位置基準部と超音波センサに設けられた突起と溝による嵌合、例えば筒状の位置基準部への圧入等によって、超音波センサの位置決め状態を固定することができる。
【0022】
請求項14に記載のように、超音波センサの指向性が水平方向と垂直方向とで異なる場合、位置基準部によって超音波センサの指向性が規定される構成とすることが好ましい。これによれば、位置基準部を目印に超音波センサを壁部材に位置決め固定した状態で、超音波センサは所望の指向性を発揮することができる。例えば固定面の外周に沿って振動面を囲む環状の位置基準部の少なくとも内周形状を、超音波センサの固定面の外周とともに、例えば長方形や楕円のように90°の回転で元と一致しない形状や非回転対称形状とすれば良い。
【0023】
また、請求項15に記載のように、位置基準部を複数設け、複数の位置基準部を、指向性を規定するように配置しても良い。例えば、請求項9に記載の構成において、位置基準部を3つ有する場合、3つの位置基準部を回転対称位置(120度間隔、正三角形の頂点)に配置するのではなく、非回転対称位置(例えば二等辺三角形の頂点)に配置すれば良い。
【0024】
なお、請求項1〜15いずれかに記載の発明は、請求項16に記載のように、壁部材として、車両のバンパに好適である。それ以外にも、車両のボディ等に採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は図1(b)に示す超音波センサを省略し、壁部材を内面側から見た平面図である。
【0026】
超音波センサが取付けられる壁部材10は、超音波センサ20を取付けた状態で超音波センサ20の振動面として機能する構成のものであれば採用が可能である。本実施形態においては、壁部材10として車両のバンパを採用している。バンパは、一般的にウレタン等の合成樹脂成形品(本実施形態においても、合成樹脂からなるバンパを採用)であるが、壁部材10として車両ボディ等を構成する金属板を採用することも可能である。
【0027】
壁部材10の内面11には、超音波センサ20を位置決め固定する際の位置基準となる位置基準部12が形成されている。本実施形態においては、位置基準部12として、内面11に対して凹んだけがき線(所定深さの凹部)12を採用している。そして、けがき線12を、超音波センサ20を構成する超音波振動子と直接もしくは間接的に接触し、振動が伝達される内面部位(なお、当該内面部位の裏面(外面)が振動面Sである)及び超音波センサ20を固定する内面部位(以下固定部位Kと示す)を除く内面11の部位に形成している。具体的には、超音波センサ20の後述する固定面の外周に沿う形状(換言すれば、固定部位Kの外周側において、固定部位Kの外周に沿う形状)としている。
【0028】
このようなけがき線12は、成型、切削加工などによって形成することができる。なお、壁部材10において、けがき線12の形成された部位の厚さが、振動面Sを有する部位(超音波振動子からの振動が伝達される部位)の厚さよりも薄くなっており、位置基準部12を有する部位の剛性が、振動面Sを有する部位の剛性よりも小さくなっている。
【0029】
超音波センサ20は、車両の周囲に存在する障害物を検出できるように、例えば車両の前方、後方、或いは四隅側のバンパに取り付けられている。図1(a)に示すように、超音波センサ20は、主として、筐体21、超音波振動子22、超音波振動子22による超音波の送受信結果に基づいて、障害物までの距離の算出等の処理を行う処理回路が形成された回路基板23などから構成されている。
【0030】
超音波振動子22は、例えばチタン酸バリウム等の金属酸化物の粉末を圧縮焼成した圧電セラミックからなり、筐体21の底面部21aに設置されている。この筐体21は、例えば合成樹脂によって構成されている。なお、本実施形態においては、図2に示すように、同一の超音波振動子22によって、超音波の送信と受信を行うように構成されている。したがって、超音波センサ20を含む障害物検出装置の体格を小型化することができる。
【0031】
筐体21は、超音波振動子22や回路基板23等を収容するものであり、本実施形態においては、有底筒状に設けられている。そして、底面部21aの中央には、筐体21の材質とは異なる材質(例えば樹脂)によって形成された振動伝達部21bが、壁部材10及び超音波振動子22の両方と接触するように設けられている。ここで、筐体21の材質と異なる材質とは、例えば筐体21の樹脂材料と振動伝達部21bの樹脂材料とが異なる場合は勿論のこと、同じ樹脂材料であっても、一方にはガラスクロスが含有され、他方には含まれていない場合も含む概念である。
【0032】
この振動伝達部21bは、その音響インピーダンスが、超音波振動子22の音響インピーダンスと壁部材10の音響インピーダンスとのほぼ中間となり、かつ、超音波センサ20が所望の指向性を示すように、その材質や形状等が設定されている。
【0033】
超音波は、音響インピーダンスの異なる部材間において、その音響インピーダンスの変化が大きいほど、その部材間で伝達されずに反射される反射量が増加する特性を有している。振動伝達部21bは、上述したように、その音響インピーダンスが、超音波振動子22の音響インピーダンスと壁部材10の音響インピーダンスとのほぼ中間となっている。したがって、超音波振動子22と振動伝達部21b間、さらには振動伝達部21bと壁部材10間における超音波反射量を効率的に低減して、超音波の伝達量を増加することができる。
【0034】
一方、筐体21は、超音波振動子22等を固定したり、壁部材10に取り付けたりするために求められる剛性等の特性を満足する必要がある。そのため、筐体21の材質として、超音波を伝達する上で最適なものを採用することは非常に困難である。その結果、振動伝達部21bの周囲の筐体21の形成材質からなる底面部21aの音響インピーダンスは、超音波振動子22の音響インピーダンスと壁部材10の音響インピーダンスとの間の範囲から外れたり、その間に含まれていたとしても、超音波振動子22と壁部材10の音響インピーダンスの一方に近い値となり、他方の音響インピーダンスとの差が大きくなる。このため、振動伝達部21bに比較して、超音波の反射量が増加するので、筐体21の形成素材からなる底面部21aでは、振動伝達部21bよりも超音波の伝達量が低下する。
【0035】
したがって、超音波振動子22による超音波の送受信時において、筐体21の底面部21aにおける超音波の伝達が、主に振動伝達部21bを介して行われることになる。その結果、壁部材10における超音波の主要な伝達範囲を、振動伝達部21bに対応する範囲(振動面S)に絞ることができる。このため、壁部材10における振動部位が制限されるので、指向性が過度に狭くなったり、不規則となったりすることを防止でき、所望の広がりを持った指向性を実現することができる。
【0036】
本実施形態においては、図1(a),(c)に示すように、振動伝達部21bが、壁部材10の平面方向において、地面に対して水平方向よりも垂直方向に長い長方形とされており、振動伝達部21bの接する壁部材10の部位の外面が、振動面Sとして規定されている。このように、本実施形態においては、超音波センサ20を壁部材10に位置決め固定した状態で、壁部材10の一部を言うなれば振動伝達部材として含み、その外面を振動面Sとして含むように構成されている。すなわち、超音波センサ20が壁部材10の外面側に露出しない構成となっている。
【0037】
振動吸収体25は、筐体21の振動伝達部21bを含む底面部21aに面する面を除いて超音波振動子22を取り囲むように設けられている。この振動吸収体25は、超音波振動子22による振動が筐体21の底面部21a以外の部位に伝わることを低減するために、例えばシリコン製ゴムやポリウレタン等の弾性を備える弾性体によって形成されている。なお、この振動吸収体25や回路基板23を固定するために、筐体21内にストッパ21cが設けられている。
【0038】
回路基板23は、リード線24を介して、超音波振動子22と接続されており、この超音波振動子22を振動させて超音波を発生するための駆動信号を出力したり、超音波振動子22に超音波が伝達されて、超音波振動子22に歪みが生じた場合に、圧電効果によって生じる電圧信号を入力する処理回路が形成されている。処理回路では、例えば超音波の送信から受信までの時間に基づいて、車両の周囲に存在する障害物までの距離を算出する。なお、図2に示す符号26はコネクタであり、回路基板23の処理回路と、例えば車室内に設けられている報知処理等を行う制御部とを接続するものである。また、符号27は筐体21内を気密に封止する封止材である。
【0039】
また、符号28は、筐体21の一部として、超音波センサ20を壁部材10に固定するための固定部である。本実施形態に係る固定部28は、壁部材10の内面11との対向する部位として、筐体21の外周側面に固定された平板状の基部28aと、基部28aと筐体21の外周側面に固定され、基部28aを補強する補強部28bとにより構成されている。基部28aは、地面に対して垂直方向よりも水平方向に指向性の広い超音波センサ20の指向性を規定するために、90°の回転で元と一致しない形状(本実施形態においては、振動面S(振動伝達部21b)と同様の長方形)とされ、基部28aの壁部材10の内面11との対向面が、壁部材10に対する固定面28cとされている。また、長方形の固定面28c(基部28a)の外周に沿って、けがき線12が環状(長方形)に設けられている。なお、補強部28bは、図1(b)に示すように、筐体21の外周側面に対して、地面に対して垂直方向及び水平方向の位置に配置されている。
【0040】
そして、固定面28cと、当該固定面28cに対応して振動面Sに対応する内面部位の周囲に設けられた固定部位Kとが、接続材料30を介して固定されている。本実施形態においては、接続材料30として、粘着剤を有するフィルム(両面テープ)を採用している。なお、壁部材10において、振動面Sの周囲の固定部位Kは、固定部28にてしっかりと固定されている。
【0041】
次に、超音波センサ20の壁部材10への取付け手順を説明する。先ず、壁部材10の内面11に、位置基準部としてのけがき線12を形成する。このとき、壁部材10に対する超音波センサ20の取付け位置を規定するように、例えば壁部材10の端部を基準として、けがき線12を、振動面Sに対応する内面部位及び固定部位Kを除く内面11の部位に形成する。なお、けがき線12は、上述したように、成型によって、壁部材10の形成時に形成することもできる。
【0042】
けがき線12の形成後、このけがき線12を位置基準として超音波センサ20を位置決めしつつ壁部材10の内面11に固定する。本実施形態においては、超音波センサ20の固定部28の固定面28cに接続材料30としての両面テープを貼付した状態で、けがき線12に内接するように(けがき線12により規定される内面11の領域内に配置されるように)、超音波センサ20を位置決めし、壁部材10に固定する。
【0043】
このように、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、壁部材10の一部を超音波センサ20の振動面Sとして含む構成であって、けがき線12を位置基準として、けがき線12により規定される内面11の領域内に、超音波センサ20を精度良く位置決め固定することができる。すなわち、超音波センサ20を、所望の位置に位置決め固定することができる。言い換えれば、壁部材10の所望の位置を、超音波センサ20の振動面Sとすることができる。また、振動面Sに対応する内面部位にけがき線12を形成していないので、センサ特性を低下させることなく超音波センサ20を所望の位置に位置決め固定することができる。
【0044】
また、けがき線12は超音波センサ20に対して露出しているので、固定面28cを固定部位Kに固定するまで、けがき線12を確認しながら位置を微調整することができる。したがって、より精度良く位置決めすることができるので、センサ特性のばらつきを低減することができる。
【0045】
なお、本実施形態に示すように、接続材料30として粘着材を有するフィルムを採用する場合、けがき線12を固定部位Kに形成すると、固定時に接続材料30がけがき線12の凹部に完全には追従しないため、接続面積が減少し、接続信頼性が低下する。それに対し、本実施形態においては、けがき線12を固定部位Kの外周側において、固定部位Kの外周に沿うように形成しているので、接続信頼性の低下を抑制することができる。
【0046】
次に、けがき線12による更なる効果(不要振動低減効果)について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、けがき線12による不要振動低減の効果を示す図である。図3は、不要振動による影響を示す図であり、(a)は比較対象としてのけがき線12の形成されない構成、(b)は本実施形態に示す構成を示す図である。
【0047】
上述したように、本実施形態においては、超音波センサ20が、壁部材10の一部を振動面Sとして含み、壁部材10のうち、振動伝達部21bと接する部位の外面が振動面Sとして規定されている。したがって、振動伝達部21bを介して振動面Sに伝達された超音波振動子22の振動の一部は、振動面Sの周囲に不要振動として広がることとなる。この不要振動が隣接する超音波センサ20に伝播すると、隣接する超音波センサ20において、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合が生じることとなる。
【0048】
これに対し、本実施形態においては、位置基準部としてけがき線12を採用しており、壁部材10において、けがき線12の形成された部位の厚さを、振動面Sを有する部位(超音波振動子22の振動が振動伝達部21bを介して伝達される部位)の厚さよりも薄くすることができる。すなわち、けがき線12を設けることで、けがき線12の形成された部位の剛性を、振動面Sを有する部位の剛性よりも小さくすることができる。したがって、簡素な構成でありながら、図2に示すように、壁部材10において、振動面S(図2において省略)からその周囲に伝播される不要振動を低減することができる。特に本実施形態においては、けがき線12を環状に設けているので、不要振動の逃げ部位がなく、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0049】
例えば、けがき線12のない構成においては、図3(a)に示すように、比較的大きな不要振動が隣接する超音波センサ20に伝播し、隣接する超音波センサ20において、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合が生じる恐れがある。これに対し、本実施形態に係る取付け構造によれば、図3(b)に示すように、けがき線12の形成部位にて不要振動を低減することができる。したがって、隣接する超音波センサ20において、所望の指向性からずれたり、感度が低下するといった不具合が生じるのを、けがき線12のない構成に比べて、低減若しくは防止することができる。
【0050】
なお、本実施形態においては、上述したように、壁部材10において、振動面Sの周囲の固定部位Kが、固定部28にてしっかりと固定されており、環状のけがき線12が固定面28cの外周に沿って設けられている。したがって、けがき線12にて不要振動が低減される前に、固定部位Kにおいても不要振動の一部を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、壁部材10の平面方向において、けがき線12の形状を、振動面Sと同様の長方形としている。したがって、振動面Sの形状により近い振動モードを得ることができる。しかしながら、けがき線12の形状を、振動面Sとは異なる形状としても良い。
【0052】
なお、本実施形態においては、位置基準部として凹状のけがき線12を採用する例を示した。しかしながら、例えば、図4に示すように、けがき線12に代えて、凸部13を有する構成としても良い。この場合も、凸部13の形成部位の剛性を、壁部材10の振動面Sを有する部位と異なる剛性とすることができるので、簡素な構成でありながら、位置決めの目印となるだけでなく、不要振動を低減することができる。図4は、位置基準部の変形例を示す断面図であり、図1(a)に対応している。それ以外にも、凸部(壁部材10の振動面Sを有する部位よりも厚い部位)及び凹部(壁部材10の振動面Sを有する部位よりも薄い部位)の少なくとも一方を含む構成を採用することができる。凸部13としては、図4に示すように、壁部材10に一体化された突起の他にも、他部材を積層配置(例えば印刷法等によって積層形成)したものでも良い。この場合も、位置決めの目印となるだけでなく、不要振動を低減することができる。なお、内面11の他の部位と異なる色とすることで、位置決め目印としての効果を高めることもできる。
【0053】
また、本実施形態においては、固定部位Kの外周側において、固定部位Kの外周に沿い、且つ、超音波センサ20の固定部28全体を取り囲むようにけがき線12を環状に形成する例を示した。しかしながら、けがき線12の形態(形状及び形成範囲)は、本実施形態に示す例に限定されるものではない。けがき線12を目印として、所定位置に超音波センサ20を位置決め固定できる形態であれば良い。例えば、図5に示すように、長方形の固定面28cに対応した形状を有する固定部位Kの角部周囲(4隅部)のみに、けがき線12を形成しても良い。図5は、けがき線12の変形例を示す平面図であり、図1(c)に対応している。この場合、環状にけがき線12を形成する構成に比べると効果は小さいものの、けがき線12の形成された部位の剛性は振動面Sを有する部位の剛性とは異なるので、不要振動を低減することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、位置合わせの対象である、超音波センサ20の固定部28における固定面28c(基部28a)とけがき線12との形状をそれぞれ長方形とすることで、水平方向と垂直方向とで異なる超音波センサ20の指向性を規定する例を示した。しかしながら、固定面28cとけがき線12を回転対称形状とした場合、固定面28cとけがき線12で指向性を規定することはできないので、例えば位置基準部であるけがき線12と超音波センサ20に設けた回転合わせ部とを位置合わせして、超音波センサ20の指向性を規定するようにすると良い。一例としては、図6(a),(b)に示すように、固定面28cとけがき線12を正方形とした場合、けがき線12の一部に隙間12aを設け、この隙間12aに、位置合わせ部としての補助部28b(図6においては、垂直方向のみに配置)を位置合わせすることで、超音波センサ20の指向性を規定することができる。なお、図7に示すように、けがき線12の一部に合わせ用目印12bとしての突起を形成し、当該合わせ用目印12bに対して図6(a)に示したように回転合せ部としての補助部28bを位置合わせすることで、超音波センサ20の指向性を規定することもできる。なお、合わせ用目印12bは、けがき線12と一体ではなく、離れた位置に(連結しないで)形成されても良い。このように、位置基準部であるけがき線12に指向性を規定する機能をもたせれば、超音波センサ20(固定部28)が回転対称形状であっても、所望の指向特性を発揮するように、超音波センサ20を位置決め固定することができる。なお、図6は、変形例を示す図であり、(a)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材10を内面側から見た平面図である。図7は、変形例を示す壁部材10を内面側から見た平面図である。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図8(a),(b)により説明する。図8は、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は壁部材10を内面側から見た平面図である。なお、図8(a),(b)は、それぞれ図1(a),(c)に対応している。
【0056】
第2実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0057】
本実施形態においては、超音波センサ20を壁部材10に固定する接続材料30として、固定時に溶融乃至溶液状態(すなわち液状)にある接続材料30を採用し、位置基準部を、壁部材10の少なくとも固定部位Kに形成している。
【0058】
具体的には、図8(a),(b)に示すように、接続材料30として紫外線硬化型の接着剤を採用し、位置基準部として、壁部材10の固定部位Kに凹凸部14を一体的に形成した。すなわち、凹凸部14を固定部位K全面に形成することで、超音波センサ20の位置決め用の目印となる(固定位置を規定する)ようにした。
【0059】
このように、固定(少なくとも接続材料30を介して固定部28(固定面28c)が固定部位Kに接触した)時点で、液状の接続材料30(言い換えれば凹凸部14の凹凸に追従する接続材料30)を用いて壁部材10に超音波センサ20を固定する場合、壁部材10の固定部位Kに位置基準部である凹凸部14を形成すると、接続面積の増加とともに、アンカー効果を期待できる。すなわち、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、センサ特性を低下させることなく超音波センサ20を所望の位置に位置決め固定することができ、さらに固定部位K以外の内面11に位置基準部を形成する場合よりも、壁部材10に対する超音波センサ20の接続信頼性を向上することができる。
【0060】
また、本実施形態においても、凹凸部14の形成された部位の厚さを、振動面Sを有する部位の厚さよりも薄くすることができる。すなわち、凹凸部14を設けることで、凹凸部14の形成された部位の剛性を、振動面Sを有する部位の剛性よりも小さくすることができる。したがって、簡素な構成でありながら、第1実施形態の図2に示したように、壁部材10において、振動面Sからその周囲に伝播される不要振動を低減することができる。特に本実施形態においては、凹凸部14を環状に設けているので、不要振動の逃げ部位がなく、より効果的に不要振動を低減することができる。
【0061】
なお、不要振動は、壁部材10内を伝播する過程で減衰するので、位置基準部の位置が振動面Sから離れるほど、不要振動低減の効果が小さくなる。本実施形態においては、固定部位Kに凹凸部14を設けて位置基準部としている。したがって、位置基準部の効果として、第1実施形態に示す構成よりも、不要振動を低減することができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、接続材料30として紫外線硬化型の接着剤を採用する例を示した。しかしながら、それ以外の接着剤による接着、溶着、接合等においても効果的である。
【0063】
また、本実施形態においては、超音波センサ20の位置決め用の目印として、位置基準部としての凹凸部14を固定部位Kの全面に形成する例を示した。しかしながら、超音波センサ20の位置を決める目印となれば、凹凸部14を固定部位Kの少なくとも一部に形成しても良い。例えば、固定部位Kの外周部位に内接するように、固定部位Kの一部に環状に凹凸部14を形成しても良い。
【0064】
また、第1の実施形態に示したけがき線12によって超音波センサ20の固定位置を規定し、固定部位Kに形成した凹凸部14によって接続信頼性を向上する構成としても良い。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図9(a)〜(c)により説明する。図9は、本実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材10を内面側から見た平面図である。
【0066】
第3実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造は、第1,第2実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0067】
第1,第2実施形態においては、位置基準部が位置決めの目印としての機能と、不要振動を低減する機能を備える例を示した。これに対し、本実施形態においては、位置基準部が、上記機能に加えて、さらに壁部材10に対して、超音波センサ20を所定の位置に誘導する(配置を規定する)機能を有する点を特徴とする。
【0068】
具体的には、図9(a)〜(c)に示すように、超音波センサ20の固定部28(第1実施形態に示した基部28aに相当)に、位置決め用の孔部として、取付け方向に貫通する貫通孔28dを設け、位置基準部として、貫通孔28dに対応する壁部材10の内面11から突起し、貫通孔28dに少なくとも一部が配置される突起部15を含む構成としている。より具体的には、超音波センサ20(固定面28cの内周/外周)は、回転対称形状の円形であり、3つの突起部15を回転対称位置(120度間隔、正三角形の頂点)に配置するのではなく、非回転対称位置(例えば図9(b),(c)に示すように二等辺三角形の頂点)に配置している。そして、突起部15に対応して、固定部28に貫通孔28dを設けている。したがって、3つの貫通孔28dに対して、対応する突起部15がそれぞれ挿通された状態で、超音波センサ20は壁部材10の所定位置に位置決め配置される。そして、接続材料30により、位置決め状態を保持した状態で、超音波センサ20が壁部材10に固定される。
【0069】
このように、本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、位置決めの目印としての機能と、不要振動を低減する機能に加えて、超音波センサ20を所定の位置に誘導する(配置を規定する)機能を、位置基準部としての突起部15に持たせている。すなわち、突起部15によって超音波センサ20の固定位置が決定されるので、センサ特性を低下させることなく超音波センサ20を所望の位置により精度良く位置決めすることができる。したがって、センサ特性のばらつきを低減することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、図9(c)に示すように、第1実施形態同様、振動面Sを水平方向よりも垂直方向に長い長方形としており、超音波センサ20が垂直方向よりも水平方向に広い指向性(偏指向性)を有しているが、非回転対称位置に配置された突起部15によって、指向性を規定することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、突起部15の形成された部位の剛性が振動面Sを有する部位の剛性とは異なるので、不要振動を低減することができる。例えば図10に示すように、突起部15の形状を環状に近づけるほど不要振動の逃げが少なくなり、不要振動をより低減することができる。なお、図10においては、3本の突起部15を非回転対称位置に配置しているので、指向性を規定することもできる。図10は、突起部15の変形例を示す平面図である。
【0072】
また、本実施形態においては、突起部15の先端が貫通孔28dから露出する構成としている。したがって、超音波センサ20を壁部材10に位置決め固定する際に位置決めしやすい。また、突起部15を3本(複数本)形成し、それぞれを離間して配置しているので、超音波センサ20を壁部材10に安定して固定することができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、3本の突起部15と当該突起部15に対応した貫通孔28dを設けることで、超音波センサ20を壁部材10に位置決めする例を示した。しかしながら、突起部15の本数は3本に限定されるものではない。少なくとも1本形成されれば良い。複数設ける場合には、90°の回転で元と一致しない位置や非回転対称位置とすると、指向性を規定することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、固定部28に貫通孔28dが設けられる例を示した。しかしながら、突起部15が挿入される孔部としては、少なくとも壁部材10側に開口していれば良い。したがって、壁部材10側のみに開口する未貫通孔を採用することもできる。
【0075】
また、本実施形態においては、壁部材10に突起部15が設けられ、固定部28に貫通孔28dが設けられた例を示した。しかしながら、逆の構成として、図11に示すように、超音波センサ20の固定部28に、壁部材10の内面11に向けて固定面28cから突起する突起部28eを設け、位置基準部として、壁部材10の内面11に突起部28eが挿入される溝部16が設けられた構成を採用することもできる。図11は、取付け構造の変形例を示す断面図である。さらには、図9(a)に示す構成と図11に示す構成をともに備える構成としても良い。
【0076】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図12により説明する。図12は、本実施形態における超音波センサ20の取付け構造の概略構成を示す断面図である。
【0077】
第4実施形態における超音波センサ20の取付け構造は、第1実施形態〜第3実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0078】
本実施形態においては、位置基準部に、壁部材10に対する超音波センサ20の位置決め状態を固定する機能をさらに付加した点を特徴とする。図12では、第3実施形態に示した構成において、貫通孔28dを挿通して露出した突起部15の先端を熱かしめすることにより、突起部15の先端と壁部材10との間で超音波センサ20の固定部28を挟持する構成としている。
【0079】
このように本実施形態に係る超音波センサ20の取付け構造によると、突起部15によって超音波センサ20を所定の位置に誘導しつつ(位置決めしつつ)、壁部材10に固定するので、位置決め精度をより向上することができる。すなわち、センサ特性のばらつきを低減することができる。また、接続材料30を不要とすることができるので、取付け工程を簡素化することができる。
【0080】
なお、本実施形態においては、熱かしめによる挟持によって超音波センサ20を固定する例を示した。しかしながら、それ以外にも、締結、スナップフィット等による挟持によって、超音波センサ20を壁部材10に位置決めしつつ固定することが可能である。
【0081】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図13(a)〜(c)及び図14により説明する。図13は、本実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材10を内面側から見た平面図である。図14は、ガイド部17による不要振動低減の効果を示す図である。
【0082】
第5実施形態における超音波センサ20の取付け構造は、第4実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0083】
第4実施形態においては、位置基準部と壁部材10との間で固定部28を挟持することにより、超音波センサ20を壁部材10に固定する例を示した。しかしながら、挟持以外の構造よって、超音波センサ20を壁部材10に固定することも可能である。本実施形態においては、嵌合によって、超音波センサ20を壁部材10に固定する点を特徴とする。その一例を図13(a)〜(c)に示す。
【0084】
図13(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係る超音波センサ20は、一方が閉じた円筒形状の筐体21を有しており、筐体21の外周側面には、振動面Sから離間するほど径方向外側に突き出るように断面楔形の嵌合用突起21dが形成されている。この嵌合用突起21dは、筐体21に3箇所設けられており、それぞれの位置が超音波センサ20の指向性を規定すべく、非回転対称位置(二等辺三角形に頂点位置)とされている。
【0085】
また、このような筐体21を保持するように、超音波センサ20の位置を規定する位置基準部として、壁部材10の振動面Sを有する部位の周囲の内面部位から突起し、超音波センサ20の筐体21の外周面に沿う(外周面21を保持する)円筒状のガイド部17が形成されている。また、ガイド部17には、嵌合用突起21dに対応する嵌合用溝17aが形成されている。
【0086】
したがって、壁部材10の内面から突起するガイド部17を目印として、超音波センサ20をガイド部17の筒状内部に挿入することで、超音波センサ20を壁部材10の所定位置に位置決めすることができる。すなわち、本実施形態に係るガイド部17も、超音波センサ20を所定の位置に誘導する機能を有している。また、位置決めの過程で、嵌合用突起21dと嵌合用溝17aが互いに嵌合し、ガイド部17にて超音波センサ20を保持しつつ、超音波センサ20を壁部材10に固定することができる。すなわち、センサ特性のばらつきを低減することができる。また、接続材料30を不要とすることができるので、取付け工程を簡素化することができる。
【0087】
また、本実施形態においては、位置基準部としてガイド部17を採用しており、壁部材10において、ガイド部17の形成された部位の厚さを、図13(a)に示すように、振動面Sを有する部位の厚さよりも厚くすることができる。すなわち、ガイド部17の形成された部位の剛性を、振動面Sを有する部位の剛性よりも大きくすることができる。したがって、簡素な構成でありながら、図14に示すように、壁部材10において、振動面S(図示略)からその周囲に伝播される不要振動を低減することができる。特に本実施形態においては、ガイド部17を環状に設けているので、不要振動の逃げ部位がなく、より効果的に不要振動を低減することができる。さらには、ガイド部17を超音波センサ20の底面部21aの近くに設けている。したがって、効果的に不要振動を低減することができる。
【0088】
なお、本実施形態においては、嵌合用突起21dと嵌合用溝17aが3組形成される例を示した。しかしながら、嵌合用突起21dと嵌合用溝17aは、少なくとも1組形成されれば良い。接続信頼性向上のために複数設ける場合には、90°の回転で元と一致しない位置や非回転対称位置とすると、指向性を規定することができる。また、超音波センサ20の筐体21に嵌合用の溝を設け、ガイド部17に嵌合用の突起部を設けた構成としても良い。
【0089】
また、本実施形態においては、ガイド部17を、筐体21の外周に沿う円筒形状とする例を示した。しかしながら、円筒に限定されるものではない、振動面Sに沿う筒状とすることで、振動面Sに振動モードにより近い指向性を確保するようにしても良い。また、筒状とせずに、分断されながらも保持する構成としても良い。
【0090】
また、挟持、嵌合以外にも、圧入(例えばガイド部17内に超音波センサ20を圧入固定)等を採用することができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0092】
本実施形態においては、壁部材10として車両のバンパを採用する例を示した。しかしながら、壁部材10は上記例に限定されるものではない。例えば、車両のボディ(例えばドア)を構成する金属製の薄板に採用しても良い。
【0093】
なお、位置基準部は、壁部材10の振動面Sを有する部位を除く内面11に形成されれば良い。したがって、振動面Sを除く筐体21の底面部21aとの接触部位から固定部位Kを含み、その外周側に外周に沿って形成されたものでも良い。
【0094】
また、本実施形態においては、壁部材10の位置基準部の形成部位が振動面Sを有する部位の剛性とは異なり、これにより不要振動を低減する例を示した。しかしながら、位置基準部は、少なくとも、超音波センサ20を壁部材10の内面11に固定するための目印としての機能を有していれば良い。その形態(形状及び形成範囲)は本実施例に限定されるものではない。例えば自動で超音波センサ20を壁部材10に固定する場合、所定位置を示す点を位置基準部としても良い。
【0095】
また、本実施形態においては、筐体21の底面部21aの中央に、振動伝達部21bを設けることで、超音波センサ20に所望の指向性を持たせた例を示した。しかしながら、壁部材10を振動面Sとする超音波センサ20の取付け構造において、超音波センサ20に所望の指向性を持たせる構成は上記例に限定されるものではない。例えば、底面部21aに、内面11に向けて突起する突起部を設け、この突起部を振動伝達部としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図2】けがき線による不要振動低減の効果を示す図である。
【図3】不要振動による影響を示す図であり、(a)は比較対象としてのけがき線の形成されない構成、(b)は本実施形態に示す構成を示す図である。
【図4】変形例を示す部分断面図である。
【図5】けがき線の変形例を示す平面図である。
【図6】変形例を示す図であり、(a)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図7】変形例を示す壁部材を内面側から見た平面図である。
【図8】第2実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図9】第3実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図10】突起部の変形例を示す平面図である。
【図11】取付け構造の変形例を示す断面図である。
【図12】第4実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示す断面図である。
【図13】第5実施形態に係る超音波センサの取付け構造の概略構成を示し、(a)は断面図、(b)は内面側から見た平面図、(c)は壁部材を内面側から見た平面図である。
【図14】ガイド部による不要振動低減の効果を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
10・・・壁部材
11・・・内面
12〜17・・・位置基準部
20・・・超音波センサ
21・・・筐体
22・・・超音波振動子
28・・・固定部
30・・・接続材料
S・・・振動面
K・・・固定部位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子を備える超音波センサを、壁部材の内面に固定してなる超音波センサの取付け構造であって、
前記超音波センサは、前記壁部材のうち、前記超音波振動子の振動が伝達される部位の外面を振動面として含み、
前記壁部材は、少なくとも前記振動面に対応する部位を除く内面部位に、前記超音波センサを固定する位置基準となる位置基準部を有することを特徴とする超音波センサの取付け構造。
【請求項2】
前記壁部材の、前記位置基準部を有する部位の剛性が、少なくとも前記振動面を有する部位の剛性と異なることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項3】
前記位置基準部として、凸部及び凹部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項4】
前記位置基準部を、前記壁部材の少なくとも前記超音波センサを固定する固定部位に設け、
固定時に溶融乃至溶液状態にある接続材料を用いて、前記固定部位に前記超音波センサの固定面を固定したことを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項5】
前記位置基準部を、前記壁部材の前記超音波センサを固定する固定部位を除く内面部位に設け、
粘着材を有するフィルムにて前記固定部位に前記超音波センサの固定面を固定したことを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項6】
前記位置基準部として、前記超音波センサの固定面の外周に沿う部位を含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項7】
前記位置基準部は、前記振動面となる部位を囲んで環状に設けられていることを特徴とする請求項3〜6いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項8】
前記位置基準部は、前記壁部材に対して前記超音波センサを位置決めすることを特徴とする請求項2に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項9】
前記超音波センサは、少なくとも前記壁部材の内面との対向面に開口する孔部を有し、
前記位置基準部として、前記孔部に対応する前記壁部材の内面から突起し、前記孔部に少なくとも一部が配置される突起部を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項10】
前記超音波センサは、前記壁部材の内面に向けて突起する突起部を有し、
前記位置基準部として、前記壁部材の内面に設けられ、前記突起部が挿入される溝部を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項11】
前記位置基準部として、前記壁部材の内面から突起し、前記超音波センサの外周面に沿うガイド部を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項12】
前記ガイド部は、一端が開口した筒状に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項13】
前記位置基準部は、前記超音波センサの位置決め状態を固定することを特徴とする請求項8〜12いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項14】
前記超音波センサは、その指向性が水平方向と垂直方向とで異なり、
前記位置基準部は、前記指向性を規定することを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項15】
前記位置基準部を複数有し、
複数の前記位置基準部を、前記指向性を規定するように配置したことを特徴とする請求項14に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項16】
前記壁部材として、車両のバンパを採用したことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項1】
超音波振動子を備える超音波センサを、壁部材の内面に固定してなる超音波センサの取付け構造であって、
前記超音波センサは、前記壁部材のうち、前記超音波振動子の振動が伝達される部位の外面を振動面として含み、
前記壁部材は、少なくとも前記振動面に対応する部位を除く内面部位に、前記超音波センサを固定する位置基準となる位置基準部を有することを特徴とする超音波センサの取付け構造。
【請求項2】
前記壁部材の、前記位置基準部を有する部位の剛性が、少なくとも前記振動面を有する部位の剛性と異なることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項3】
前記位置基準部として、凸部及び凹部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項4】
前記位置基準部を、前記壁部材の少なくとも前記超音波センサを固定する固定部位に設け、
固定時に溶融乃至溶液状態にある接続材料を用いて、前記固定部位に前記超音波センサの固定面を固定したことを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項5】
前記位置基準部を、前記壁部材の前記超音波センサを固定する固定部位を除く内面部位に設け、
粘着材を有するフィルムにて前記固定部位に前記超音波センサの固定面を固定したことを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項6】
前記位置基準部として、前記超音波センサの固定面の外周に沿う部位を含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項7】
前記位置基準部は、前記振動面となる部位を囲んで環状に設けられていることを特徴とする請求項3〜6いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項8】
前記位置基準部は、前記壁部材に対して前記超音波センサを位置決めすることを特徴とする請求項2に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項9】
前記超音波センサは、少なくとも前記壁部材の内面との対向面に開口する孔部を有し、
前記位置基準部として、前記孔部に対応する前記壁部材の内面から突起し、前記孔部に少なくとも一部が配置される突起部を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項10】
前記超音波センサは、前記壁部材の内面に向けて突起する突起部を有し、
前記位置基準部として、前記壁部材の内面に設けられ、前記突起部が挿入される溝部を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項11】
前記位置基準部として、前記壁部材の内面から突起し、前記超音波センサの外周面に沿うガイド部を含むことを特徴とする請求項8に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項12】
前記ガイド部は、一端が開口した筒状に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項13】
前記位置基準部は、前記超音波センサの位置決め状態を固定することを特徴とする請求項8〜12いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項14】
前記超音波センサは、その指向性が水平方向と垂直方向とで異なり、
前記位置基準部は、前記指向性を規定することを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項15】
前記位置基準部を複数有し、
複数の前記位置基準部を、前記指向性を規定するように配置したことを特徴とする請求項14に記載の超音波センサの取付け構造。
【請求項16】
前記壁部材として、車両のバンパを採用したことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の超音波センサの取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−114182(P2007−114182A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199794(P2006−199794)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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