超音波センサの車体への取付け角度計測方法及びその計測システム
【課題】超音波センサのセンサ軸の車体への取付け基準方向に対する取付け角度を定量的にかつ簡便に計測する超音波センサの車体への取付角度計測方法を提供する。
【解決手段】 本発明の超音波センサの車体への取付角度計測方法は、
擬似路面部材2を用いて超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の傾きを計測するステップと、
対称性の計測対象4A、4Bを用いて超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する左右方向の傾きを計測するステップとからなる。
【解決手段】 本発明の超音波センサの車体への取付角度計測方法は、
擬似路面部材2を用いて超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の傾きを計測するステップと、
対称性の計測対象4A、4Bを用いて超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する左右方向の傾きを計測するステップとからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサの車体への取付け角度計測方法及びその計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駐車操作支援装置には、超音波ソナーを車体の左右両側面に取付けて、障害物としての物体を検出する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、駐車操作支援装置には、駐車場内を走行中に、自車の左右に存在する他車両を超音波ソナー(以下、超音波センサという)により検出し、その超音波センサにより得られた自車両から他車両までの距離情報を集積して、この距離情報に基づいて駐車可能空間を発見し、その駐車可能空間に自車両を自動的に誘導する構成のものが開発されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−030705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、駐車操作支援装置では、事故なく自動駐車の目的を達成することができるようにするためには、超音波センサはその上下左右の両方向について、プラス・マイナス10cm程度かこれ以下の範囲内の空間認識精度が必要であると考えられている。
【0006】
ところが、これに対して、超音波センサの車体への取付けの際に、そのセンサ軸は、一般に、取付け基準方向に対して左右方向及び上下方向にそれぞれプラス・マイナス5度程度はズレが発生すると考えられている。
【0007】
例えば、超音波センサのセンサ軸の取付け角度が取付け基準方向に対して左方向又は右方向に5度傾くと、自車両に対して数m先の物体の位置は、超音波センサが取付け基準方向に取り付けられているときに検出される物体の位置に較べて左方向又は右方向に10cmを超えてズレる。
【0008】
すなわち、超音波センサのセンサ軸の取付け角度が取付け基準方向に対して左右方向にズレると、物体の検出位置が左方向又は右方向にズレ、物体の正規の位置を精度良く検出できないという不都合がある。
そのため、高精度のいわゆる狭角の超音波センサを用いて物体の位置検出を行っても、取付け角度の左右方向の誤差により物体の位置を正確に検出できない。
【0009】
また、例えば、超音波センサのセンサ軸が取付け基準方向に対して下に向いているとすると、超音波センサが車体の路面近くの高さ位置に通常取り付けられるため、超音波センサから発射された超音波の路面からの反射波の反射強度が大きくなり、路面を障害物として誤検知するおそれがある。
【0010】
これに対して、例えば、超音波センサのセンサ軸が取付け基準方向に対して上向きに取り付けられていた場合、路面からの反射波の反射強度が小さくなるために、路面近くの高さに存在する障害物からの反射波の強度までもが小さくなり、車輪止めや縁石等の高さが低いが車両にとっては重大な障害物(物体)を検知できないという問題が生じる。
すなわち、超音波センサの取付け角度が、取付け基準方向に対して、上下方向に傾いていると、障害物の誤検知や未検知という問題が生じ、超音波センサによる障害物検出の信頼性が低下する。
【0011】
このように、超音波センサのセンサ軸の車体に対する取付け角度が取付け基準方向に対して左右方向に傾いていたり、上下方向に傾いていたりして、取付け基準方向に対して超音波センサのセンサ軸の角度ズレがあると、超音波センサの障害物に対する検出精度、障害物検出の信頼性が低下する。
【0012】
そこで、超音波センサのセンサ軸の車体に対する取付け角度が取付け基準方向となるように調整することが必要となる。そのためには、実際に車体に取り付けられている超音波センサの取付け基準方向に対するセンサ軸の取付け角度ズレを計測することが前提となる。
その際、超音波センサのセンサ軸の取付け基準方向に対する取付角度ズレの計測を簡便に行うことができるようにすることが望ましい。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、超音波センサのセンサ軸の車体への取付け基準方向に対する取付け角度を定量的にかつ簡便に計測する超音波センサの車体への取付角度計測方法及びその計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の超音波センサの車体への取付角度計測方法は、擬似路面部材を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測するステップと、
対称性の計測対象を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測するステップとからなることを特徴とする。
請求項2に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システムは、超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の計測対象とを備え、
前記擬似路面部材からの反射波と前記計測対象からの反射波とを受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度と左右方向傾き角度とを計測することを特徴とする。
請求項3に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システムは、超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の一対の計測対象とを備え、
該一対の計測対象が取付け基準方向に対応する計測タイミング位置で等角度に配設されかつ該計測タイミング位置における超音波センサからの距離が互いに異ならされ、前記擬似路面部材からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度を計測し、前記一対の計測対象からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する左右方向傾き角度を計測することを特徴とする。
請求項4に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システムは、前記計測対象が円柱体又は球体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超音波センサの車体への取付け角度計測方法及びその計測システムによれば、超音波センサのセンサ軸の車体への取付け基準方向に対する取付け角度の計測を定量的にかつ簡便に行うことができる。
ひいては、この取付け基準方向に対する取付け角度のズレ量に基づいて、キャリブレーションを行うことができるし、また、超音波センサが取付け基準方向に向くように調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明に係わる超音波センサの車体への取付角度計測方法に用いる擬似路面部材と円柱体と車体に固定の超音波センサとの位置関係を説明するための斜視図である。
【図2】図2は本発明に係わる超音波センサの車体への取付角度計測方法に用いる擬似路面部材と円柱体と車体に固定の超音波センサとの位置関係を説明するための平面図である。
【図3】図3は本発明に係わる超音波センサの車体への固定の一例を示す部分拡大断面図である。
【図4】図4は本発明に係わる超音波センサの回路構成の一例を示すブロック回路図である。
【図5】図5は超音波の反射波により得られた計測信号の一例を示す波形図である。
【図6】図6は図5に示す計測信号の高調波成分を除去することにより得られた信号波形図である。
【図7】図7は取付け基準方向に対する超音波センサのセンサ軸の上下方向の傾きを説明するための図である。
【図8】図8は図7に示す超音波センサのセンサ軸の傾きに対応する信号波形図である。
【図9】図9は取付け基準方向に対する超音波センサのセンサ軸の左右方向の傾きを説明するための図である。
【図10】図10は図9に示す超音波センサのセンサ軸の傾きに対応する信号波形図である。
【図11】図11は図6に示す信号波形の再掲図であって、立ち上がり時間とピーク値の取得時間とによって、上下方向の角度計測を行う場合の再掲図である。
【図12】図12は図6に示す信号波形の再掲図であって、立ち上がり時間とピーク値とによって上下方向の角度計測を行う場合の再掲図である。
【図13】図13は図6に示す信号波形の再掲図であって、複数時点で測定を行うことによって、上下方向の角度計測を行う場合の再掲図である。
【図14】図14は上下方向角度と左右方向角度との計測ステップを説明するためのメインフロー図である。
【図15】図15は上下方向角度の計測ステップを説明するためのサブフロー図である。
【図16】図16は左右方向角度の計測ステップを説明するためのサブフロー図である。
【図17】図17は超音波センサの車体への取付角度計測方法に用いる擬似路面部材と1個の円柱体と車体に固定の超音波センサとの位置関係を説明するための平面図である。
【図18】図18は図17に示す擬似路面部材と円柱体とにより得られる信号波形図である。
【図19】図19は、経年変化に伴う超音波センサの取付け角度の更新を行う際の更新許容範囲の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
以下、本発明に係わる超音波センサの車体への取付角度計測方法及びその計測システムを図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1、図2において、1は車両、2は擬似路面部材、3は搬送レーン、4A、4Bは計測対象としての円柱体、5は超音波センサである。
【0018】
超音波センサ5は、ここでは、図3に拡大して示すように、例えば、車両1の車体前部の側壁パネル1aに着脱可能に設置されている。車両1は搬送レーン3に載せられて図2に示す矢印A方向に平行に移動されているものとする。
【0019】
擬似路面部材2には矩形状のシートが用いられている。このシートには、その表面が超音波の波長程度の面の粗さを有するもの、すなわち、その二分の一波長程度の凹凸を有するものが用いられている。擬似路面部材2からの反射波が確実に超音波センサ5に戻って来るようにするためである。
例えば、擬似路面部材2の表面が鏡面のように滑らかな場合には、超音波が元の方向に向かって反射されないので、擬似路面部材2には不向きである。
なお、その凹凸は擬似路面部材2の表面にランダムに配置されているのが望ましい。
【0020】
その擬似路面部材2は、互いに平行な一対の短辺2a、2aとこの一対の短辺2a、2aに対して直交する長辺2b、2bとを有する。
その擬似路面部材2は、一対の短辺2a、2aが搬送レーン3の延びる方向に対して平行となるようにして敷設される。
【0021】
この擬似路面部材2には、ライン2Aとライン2Bとが線引きされている。ライン2Aは一方の長辺2bから他方の長辺2bに向かって一対の短辺2a、2aに対して平行に延びている。
ここでは、擬似路面部材2は、このライン2Aを搬送レーン3に重ね合わせることにより、搬送レーン3に対して位置決めされる。すなわち、ライン2Aは搬送レーン3に対する擬似路面部材2の位置決め目盛りとして用いられる。
【0022】
その擬似路面部材2は、車体への取付け基準方向に対する超音波センサ5のセンサ軸SAの上下方向に対する取付け角度を検出するのに用いられる。その擬似路面部材2を用いた計測の詳細については後述する。
【0023】
ライン2Bは、一方の短辺2aから他方の短辺2aに向かって一対の長辺2b、2bに対して平行に延びている。このライン2Bは、ここでは、一対の短辺2a、2aの延びる方向中央位置に形成されている。
このライン2Bは、車両1の矢印A方向への移動中にその超音波センサ5による計測タイミングを決定するのに用いられる。
なお、このライン2Bは説明の便宜のために設けたもので、計測タイミングを時間により設定する際には必ずしも必要のないものであるが、一対の円柱体4A、4Bの配設位置を規定する上から設けることが望ましい。
【0024】
円柱体4A、4Bは、ここでは、擬似路面部材2からの高さが同じとされている。この円柱体4A、4Bは擬似路面部材2に形成された位置決め穴(図示を略す)に直立してセットされている。
これにより、円柱体4A、4Bの一方の短辺2aからの距離L1、L2、すなわち、超音波センサ5からの距離が規定される。
【0025】
この円柱体4A、4Bは滑らかな周面を有するものを用いるのが望ましい。この円柱体4A、4Bは超音波センサ5から射出された超音波の反射波の反射強度により、車体への取付け基準方向に対する超音波センサ5の左右方向の角度ズレを検出するのに用いられる。
【0026】
なお、ここで、計測対象に線対称性の円柱体4A、4Bを用いたが、これは、超音波が円柱体4A、4Bに向かっていずれの方向から進行してきたときでも、その超音波の反射波の一部をその超音波の進行方向に対して確実に逆進させることを目的として採用されている。なお、この円柱体4A、4Bの代わりに点対称性の球体を吊り下げて用いても良い。
その円柱体4A、4Bを用いた計測の詳細については後述する。
【0027】
その円柱体4Aと円柱体4Bとは、一方の短辺2aからその円柱体4Aまでの距離L1とその一方の短辺2aから円柱体4Bまでの距離L2とが異なるようにして、ライン2Bを挟んで互いに反対側に配置されている。
【0028】
また、円柱体4Aと円柱体4Bとが一方の短辺2aから仮に等距離の位置にあったとして、両円柱体4A、4Bがライン2Bを境にして対称位置にあると仮想したときの仮想円柱体を符号4B’で表し、ライン2Bの延長線上の任意の点をQとしたとき、円柱体4Bは点Qと仮想円柱体4B’の中心とを結ぶ線分QB’の延長線上に存在するようにして、擬似路面部材2に配置される。
すなわち、点Qと円柱体4Aの中心とを結ぶ線分QAのライン2Bに対する角度θ1と、仮想線分QB’の為す角度θ2とが等しくなるような位置に、円柱体4Bは配置されている。
【0029】
超音波センサ5には、図4に模式的に示すように、その筐体5aの内部に、演算処理装置(CPU)5bと、発振器5cと、送受信機5dと、増幅回路(Amp)5eと、検波回路5fとが設けられている。
そのCPU5bは、図2に示すように、車体に設置のエンジンコントロールユニット(ECU)6との間で送受信を行う。
【0030】
CPU5bは、ECU6の超音波発信指令に基づき、トリガ信号を発振器5cに出力する。発振器5cはそのトリガ信号に基づき送受信機5dの例えば圧電振子(図示を略す)を駆動する。この圧電素子により、例えば、金属製の振動板(図示を略す)が振動され、この振動板の振動により超音波SWが発射される。
【0031】
その超音波SWは、障害物としての物体、ここでは、擬似路面部材2、計測対象としての円柱体4A、4Bにより反射される。その反射波RWの一部は、その超音波SWの進行方向に対して逆進されて、その一部が送受信機5dに受信される。
【0032】
送受信機5dは、その反射波RWを計測信号としての電気信号に変換し、この電気信号は増幅回路5eにより増幅され、その増幅信号は検波回路5fを経由してCPU5bに入力される。
CPU5bはその増幅信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号に基づき、計測対象までの距離等を演算する。その結果は、ECU6に送信され、ECU6はその結果に基づき、車両に対する自動制御を行う。
ここでは、超音波センサ5にCPU5bを組み込む構成としているが、この構成は一例であって、ECU6にCPU5bが有する機能を持たせても良い。
【0033】
超音波センサ5には、狭角タイプのもの、例えば、発振周波数が60KHz程度のものが用いられる。その超音波SWの反射波RWにより得られた計測信号の一例を図5に示す。
その図5は、擬似路面部材2、円柱体4A、4Bに基づき反射された反射波RWに基づく計測信号を模式的に示している。その図5において、横軸は時間であり、縦軸は反射波の反射強度に対応する計測信号の強度(大きさ)を示している。
【0034】
送受信機5dには、擬似路面部材2、円柱体4A、4Bの各箇所で反射された超音波SWの反射波RWが互いに異なる時間に到達するので、一般的には、計測信号は互いに異なる箇所により反射された反射波RWの干渉に基づく干渉信号となる。
その図5において、RW1は超音波Sの周波数(60KHz)に基づく高調波信号成分を示し、RW2は擬似路面部材2による反射に基づく干渉信号成分を示し、RW3、RW4は円柱体4A、4Bによる反射に基づく干渉信号成分をそれぞれ示している。
【0035】
高調波信号成分RW1、干渉信号成分RW2が存在すると、計測信号の処理の際の邪魔になる。検波回路5fは、この高調波信号成分RW1、干渉信号成分RW2を除去して、包絡線に基づく信号波形Hを得るために用いられる。
CPU5bは、検波回路5fの遮断周波数を変更し、例えば、20KHz以上の高調波信号成分を除去するようにしている。すなわち、検波回路5fは低周波信号成分のみを通過させる役割を果たす。
その遮断周波数は、実際の路面状況に応じて適宜設定できるものとされている。
【0036】
図6には、図5に示す高調波信号成分を除去した後の計測信号の信号波形が示されている。その図6において、横軸は時間であり、縦軸は反射強度に対応する計測波形の大きさである。
この図6において、符号P1は円柱体4Aからの反射波RWに基づく信号波形、符号P2は円柱体4Bからの反射波RWに基づく信号波形、符号P3は擬似路面部材2からの反射波RWに基づく信号波形である。
【0037】
なお、計測信号は検波回路5fを通して高調波信号成分を除去する際に、その信号の大きさが若干低くなると共に若干の時間的広がりを持つこととなるが、センサ軸SAの角度の計測には支障がない程度のものである。
【0038】
また、なお、この実施例では、遮断周波数を変更して、検波回路5fを通過する計測信号の高調波成分を除去するようにしているが、検波回路5fの遮断周波数を20KHz程度に固定して、高調波成分を除去する構成とすることもできる。
この構成を採用する場合には、CPU5bに検波回路5fの変更指令機能を持たせる必要はない。
【0039】
次に、本発明に係わる超音波センサ5の角度計測の原理に基づき図7(a)〜図7(c)、図8(a)〜図8(c)、図9(a)〜図9(c)、図10(a)〜図10(c)に基づき説明する。
図7(a)〜図7(c)は超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの上下方向の傾きを示している。図8(a)〜図8(c)はその超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの各傾きに対応する計測信号の強度と時間との関係を示している。その取付け基準方向SRは水平とする。
【0040】
図9(a)〜図9(c)は超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの左右方向の傾きを示している。図10(a)〜図10(c)はその超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの各傾きに対応する計測信号の強度と時間との関係を示している。取付け基準方向はライン2Bと平行な方向とする。
【0041】
まず、超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向(水平方向)SRに対する上下方向の傾き角の計測について説明する。
図7(a)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して上を向いているとすると、超音波SWが擬似路面部材2に到達するまでの時間、及び、その擬似路面部材2により反射された反射波RWが超音波センサ5に戻って来るまでの時間が長くなる。また、一般に、超音波SWは距離が長くなればなるほど減衰量が増大し、これに伴って、その反射波RWの減衰量も増大する。
【0042】
従って、超音波SWから発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの時間(計測信号の立ち上がり時間)t0は図8(a)に示すように長くなる。同様に、超音波SWが発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1も長くなる。
その一方、その信号波形P3のピーク値PVの大きさは小さい。更に、各時刻で得られた計測信号値を積算することにより得られる信号波形P3の積分値も小さい。
【0043】
図7(c)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して、上向きの角度θと等しい角度θだけ下を向いているとすると、超音波SWが擬似路面部材2に到達するまでの時間、及び、その擬似路面部材2により反射された反射波RWが超音波センサ5に戻って来るまでの時間が短くなる。また、一般に、超音波SWは距離が短くなればなるほど減衰量が減少し、これに伴って、その反射波RWも減衰量も減少する。
【0044】
従って、超音波SWが発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの時間(計測信号の立ち上がり時間)t0は図8(c)に示すように短くなる。同様に、超音波SWから発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1も短くなる。
その一方、その信号波形P3のピーク値PVの大きさは大きくなる。更に、各時刻で得られた計測信号値を積算することにより得られる信号波形P3の積分値も大きくなる。
【0045】
図7(b)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向(水平方向)SRを向いているとすると、超音波SWが擬似路面部材2に到達するまでの時間、及び、その擬似路面部材2により反射された反射波RWが超音波センサ5に戻って来るまでの時間は超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
【0046】
また、超音波SW、反射波RWの減衰量も超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の値となる。
従って、超音波SWが発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの時間(計測信号の立ち上がり時間)t0は図8(b)に示すように超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
【0047】
同様に、超音波SWが発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1も超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
更に、その信号波形P3のピーク値PVの大きさも超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の値となり、各時刻で得られた計測信号値を積算することにより得られる信号波形P3の積分値も超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
【0048】
従って、実験的に、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け角度と超音波SWが発射されてからその反射波RWの立ち上がりに対応する信号波形P3の立ち上がり時間t0、信号波形P3のピーク値PVが得られる時間t1、信号波形P3のピーク値PV、信号波形P3の積算値を測定し、これらのデータを、取付け角度SRに関連づけてCPU5bのメモリに保存しておけば、擬似路面部材2に対する超音波センサ5のセンサ軸SAの実際の取付角度θが上向きであるのか下向きであるのかを含めて定量的に計測可能である。
【0049】
次に、超音波センサ5の取付け基準方向(ライン2Bと平行な方向)SRに対する左右方向の傾き角の計測について説明する。
図9(a)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して左に角度φだけ傾いていたとする。超音波センサ5がライン2Bの延長上に位置するタイミングで超音波SWを発射させるものとすると、センサ軸SAが円柱体4Aの方向に向いていることと、超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離に較べて短いこととによって、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて大きくなる。
【0050】
その一方、センサ軸SAが円柱体4Bから大きく離れた方向に向いていることと、超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離に較べて長いこととによって、円柱体4Bからの反射波RWの反射強度は円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて小さくなる。
【0051】
なお、その超音波センサ5の超音波SWの発射時点からその円柱体4Aによる反射波RWのピーク値PV’が得られるまでの時間t1’は超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が一定であるので略一定である。また、その超音波センサ5の超音波SWの発射時点からその円柱体4Bによる反射波RWのピーク値PV”が得られるまでの時間t2’も超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離が一定であるので略一定である。
【0052】
従って、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対していずれの方向に向いていようとも、時間t1’から時間t2’までの時間間隔Tは一定である。
その結果、図9(a)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して左に傾いていた場合、円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射強度に対応して、図10(a)に示すような信号波形P1、P2が得られることになる。
【0053】
すなわち、円柱体4Aからの反射波RWにより取得される信号波形P1のピーク値PV’を、円柱体4Bからの反射波RWにより取得される信号波形P2のピーク値PV”で割ったときに得られる強度比が大きい。
【0054】
これに対して、図9(c)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して右に同じ角度φだけ傾いていたとする。超音波センサ5がライン2Bの延長上に位置するタイミングで超音波SWを発射させるものとすると、センサ軸SAが円柱体4Bの方向に向いているので、超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離に較べて長くても、超音波センサ5の指向性に起因して、円柱体4Bからの反射波RWの反射強度が図9(a)に示す場合の円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて大きくなる。
【0055】
その一方、センサ軸SAが円柱体4Aから大きく離れた方向に向いているので、超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離に較べて短くても、超音波の指向性に起因して、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が図9(a)に示す場合の円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて小さくなる。
【0056】
その結果、図9(c)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して右に傾いていた場合、円柱体4A、4Bからの反射波の反射強度に対応して、図10(c)に示すような信号波形が得られることになる。
すなわち、円柱体4Aからの反射波RWにより取得される信号波形P1のピーク値PV’を、円柱体4Bからの反射波RWにより取得される信号波形P2のピーク値PV”で割ったときに得られる強度比が小さい。
【0057】
これらに対して、図9(b)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して平行であるとして、超音波センサ5がライン2Bの延長上に位置するタイミングで超音波SWを発射させるものとする。
【0058】
この場合、センサ軸SAが円柱体4Aと円柱体4Bとの中間方向、すなわち、取付け基準方向SRに向いているので、超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が短くても、超音波センサ5の指向性に起因して、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が図9(a)に示す場合の円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて小さくなる。
しかしながら、センサ軸SAは円柱体4Aから大きく離れた方向には向いていないので、その反射強度は図9(c)に示す場合の円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて大きい。
【0059】
他方、超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離は超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離に較べて長いけれども、センサ軸SAは円柱体4Bから大きく離れた方向には向いていないので、その反射強度は図9(a)に示す場合の円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて大きい。
しかしながら、超音波センサ5のセンサ軸SAは円柱体4Bには向いていないので、その反射強度は、図9(c)に示す場合の円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて小さい。
【0060】
その結果、図9(b)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して平行である場合、円柱体4A、4Bからの反射波の反射強度に対応して、図10(b)に示すような信号波形が得られることになる。
すなわち、円柱体4Aからの反射波RWにより取得される信号波形P1のピーク値PV’を、円柱体4Bからの反射波RWにより取得される信号波形P2のピーク値PV”で割ったときに得られる強度比は、図9(a)に示すように超音波センサ5が左に傾いているときに得られる強度比と図9(c)示すように超音波センサ5が右に傾いているときに得られる強度比との中間値となる。
【0061】
従って、実験的に、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け角度と各円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射強度とを計測し、この反射波RWの反射強度に対応する信号波形P1、P2のピーク値PV’、PV”をそれそれ取得し、これらの強度比と取付け角度φとを関連づけて、CPU5bのメモリに保存しておけば、ライン2Bに対する超音波センサ5の取付角度φが左向きであるのか右向きであるのかを含めて定量的に計測可能である。
なお、これらの事前データは複数個あれば十分であり、実際の角度は、これらの事前データに基づき補間演算を行うことにより求めることができる。又は、事前データに基づき演算関数をソフトウエア的に構築して、この演算関数を用いて、実際の角度を求めることができる。
【0062】
以上の説明では、擬似路面部材2を用いて、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの上下方向についての傾きを、図11に再掲するように、超音波SWが発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの信号波形P3の立ち上がり時間t0及び超音波SWから発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1を計測したり、図12に再掲するように、擬似路面部材2による反射波RWのピーク値PVを求めたりして計測することとして説明した。
【0063】
しかしながら、これに限られるものではなく、図13に示すように、計測時点を複数の時点T1、T2、T3で区切って、立ち上がり時間t0、時間t1、計測時点T1、T2、T3での信号波形P3の計測値V1’、V2’、V3’、信号波形P3の消失時点までの時間t3を取得し、これらの計測値に基づいて取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの傾き角度θを求めるようにしても良い。
【0064】
次に、超音波センサ5の取付け角度の計測手順を図14〜図16に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、CPU5bは、図14に示すように、検波回路5fの遮断周波数を例えば40KHzから20KHzに変更する(S.1)。
ついで、CPU5bは上下方向の取付け角度θの傾き計測を行う(S.2)。車両1がライン2Bを横切る直前のタイミングで、超音波センサ5から超音波SWを発射させる。CPU5bは擬似路面部材2、円柱体4A、4Bからの反射波RWを受信して、図15に示すように、擬似路面部材2からの反射波RWの反射強度を取得する(S.21)。
【0065】
ついで、CPU5bのメモリにあらかじめ保存されている事前データと比較する(S.22)。これにより、超音波センサ5のセンサ軸SAの上下方向の傾き角度θを取得する。
ついで、CPU5bは、超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度φの計測を行う(S.3)。
まず、CPU5bは、図16に示すように、車両1がライン2Bを横切る直前から横切った直後までの間での各円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射波強度を計測する(S.31)。
【0066】
超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の角度ズレに伴って、各円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射波強度が変化するので、この超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の角度ズレに伴って生じる反射波強度を補正する(S.32)。
なお、この補正値も事前に実験により求めることができ、この補正データもあらかじめCPU5bのメモリに保存されている。
【0067】
ついで、CPU5bは、円柱体4Aに対する円柱体4Bの強度比を演算する(S.33)。CPU5bはこれらの強度比をメモリに保存されている事前データと比較して、超音波センサ5の取付け基準方向に対する左右方向の傾き角度φを計測する(S.34)
ついで、CPU5bは、検波回路5fの遮断周波数を元の周波数、例えば、40KHzに復帰させる(S.4)。
これにより、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5の上下方向の傾き角θ、左右方向の傾き角φを定量的に取得する。
【0068】
なお、この実施例では、2個の円柱体4A、4Bを用いて、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左右に傾いている場合の計測手順について説明したが、三個以上の円柱体を用いて、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対する左右に傾いているときの傾き角φを計測できる。
ただし、円柱体4A、4Bの配設個数を増すと、擬似路面部材2からの反射波RWが減少するので、かつ、擬似路面部材2からの反射波RWと各円柱体からの反射波RWとの間で干渉が増大し、信号波形が複雑化するので、円柱体の配設個数は適宜の個数とすることが望ましい。
【0069】
(実施例2)
図17、図18は円柱体4Aの配設個数が1個の場合の取付け基準方向SRに対する超音波センサ5の左右方向の角度計測についての実施例を説明するための説明図である。
図17に示すように、車両1がライン2Bを横切る直前から横切った直後に超音波SWを発射すると、擬似路面部材2、円柱体4Aによる超音波SWの反射波RWに基づく信号波形Hが図18に示すように得られる。
【0070】
この図18において、図6に示す技術用語と同一技術用語については、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の傾き角度の計測については、実施例1と同様である。
超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度φの計測には、円柱体4Aからの反射波SWの反射強度に対応する信号波形P1のピーク強度PV’を用いる。
【0071】
例えば、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左に傾いているとすると、超音波センサ5のセンサ軸SAが円柱体4Aの中心に近づくので、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が大きくなる。
また、例えば、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左に向いたときの角度と同じ角度だけ右に傾いているとすると、超音波センサ5のセンサ軸SAが円柱体4Aの中心から離れることになるので、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が小さくなる。
【0072】
更に、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して平行であるとすると、超音波センサ5のセンサ軸SAが円柱体4Aの中心から適宜の位置に存在することになるので、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度は、センサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左に傾いていたときに得られる反射強度とセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して右に同じ角度だけ傾いていたときに得られる反射強度との中間値になる。
【0073】
従って、左右方向の角度と計測により得られたピーク強度PV’との関係を予めCPU5bのメモリに記憶させておくことにより、1個の円柱体4Aを用いて、車体に取り付けられた超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度を計測できる。
【0074】
(実施例3)
超音波センサ5の車両1に対する取付角度は、経年変化によりズレることがある。また、車体1に加わる加重の不均一性によって、車両1の運転中に、超音波センサ5の車両1に対する取付け角度が変化することもある。
そこで、このような場合には、実際の路面に照射して、図8(a)〜図8(c)に示すように、信号波形P3の立ち上がり時間t0のシフト量と信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1のシフト量を計測する。
【0075】
擬似路面部材2により得られた信号波形P3の立ち上がり時間t0とこの信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1とが予めわかっているので、シフト量に基づき、超音波センサ5の運転中の取付け基準方向SRに対する上下方向の取付角度のズレ量を演算できる。
【0076】
なお、反射波RWの反射強度は実際の路面の状況によって変化するので、このシフト量の補正には用いることはできない。
また、予測できない障害物によって誤計測が生じるのを回避するため、図19に示すように、立ち上がり時間t0とピーク値PVの取得時間t1との組み合わせによる更新許容範囲WをあらかじめCPU5bのメモリに記憶させ、この更新許容範囲W内の組み合わせのときのみ、超音波センサ5の取付け角度θの更新を行うことにすれば、超音波センサ5の角度ズレの更新精度を向上させることができる。
【0077】
また、これらの実施例では、円柱体4A、4Bを擬似路面部材2に直立させた状態で、超音波センサ5のセンサ軸SAの傾きを計測することにして説明したが、円柱体4A、4Bを取り除いた状態で、擬似路面部材2を用いて超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向SRに対する上下方向の傾き角度θと、円柱体4A、4Bをセットした状態での円柱体4A、4Bを用いて超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度φとを別々に行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、自走式機械全般、例えば、工場内の搬送ロボット等の超音波センサ5のキャリブレーション等に応用可能である。
【符号の説明】
【0079】
2…擬似路面部材
4A、4B…円柱体(計測対象)
5…超音波センサ
SA…センサ軸
SR…取付け基準方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサの車体への取付け角度計測方法及びその計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駐車操作支援装置には、超音波ソナーを車体の左右両側面に取付けて、障害物としての物体を検出する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、駐車操作支援装置には、駐車場内を走行中に、自車の左右に存在する他車両を超音波ソナー(以下、超音波センサという)により検出し、その超音波センサにより得られた自車両から他車両までの距離情報を集積して、この距離情報に基づいて駐車可能空間を発見し、その駐車可能空間に自車両を自動的に誘導する構成のものが開発されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−030705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、駐車操作支援装置では、事故なく自動駐車の目的を達成することができるようにするためには、超音波センサはその上下左右の両方向について、プラス・マイナス10cm程度かこれ以下の範囲内の空間認識精度が必要であると考えられている。
【0006】
ところが、これに対して、超音波センサの車体への取付けの際に、そのセンサ軸は、一般に、取付け基準方向に対して左右方向及び上下方向にそれぞれプラス・マイナス5度程度はズレが発生すると考えられている。
【0007】
例えば、超音波センサのセンサ軸の取付け角度が取付け基準方向に対して左方向又は右方向に5度傾くと、自車両に対して数m先の物体の位置は、超音波センサが取付け基準方向に取り付けられているときに検出される物体の位置に較べて左方向又は右方向に10cmを超えてズレる。
【0008】
すなわち、超音波センサのセンサ軸の取付け角度が取付け基準方向に対して左右方向にズレると、物体の検出位置が左方向又は右方向にズレ、物体の正規の位置を精度良く検出できないという不都合がある。
そのため、高精度のいわゆる狭角の超音波センサを用いて物体の位置検出を行っても、取付け角度の左右方向の誤差により物体の位置を正確に検出できない。
【0009】
また、例えば、超音波センサのセンサ軸が取付け基準方向に対して下に向いているとすると、超音波センサが車体の路面近くの高さ位置に通常取り付けられるため、超音波センサから発射された超音波の路面からの反射波の反射強度が大きくなり、路面を障害物として誤検知するおそれがある。
【0010】
これに対して、例えば、超音波センサのセンサ軸が取付け基準方向に対して上向きに取り付けられていた場合、路面からの反射波の反射強度が小さくなるために、路面近くの高さに存在する障害物からの反射波の強度までもが小さくなり、車輪止めや縁石等の高さが低いが車両にとっては重大な障害物(物体)を検知できないという問題が生じる。
すなわち、超音波センサの取付け角度が、取付け基準方向に対して、上下方向に傾いていると、障害物の誤検知や未検知という問題が生じ、超音波センサによる障害物検出の信頼性が低下する。
【0011】
このように、超音波センサのセンサ軸の車体に対する取付け角度が取付け基準方向に対して左右方向に傾いていたり、上下方向に傾いていたりして、取付け基準方向に対して超音波センサのセンサ軸の角度ズレがあると、超音波センサの障害物に対する検出精度、障害物検出の信頼性が低下する。
【0012】
そこで、超音波センサのセンサ軸の車体に対する取付け角度が取付け基準方向となるように調整することが必要となる。そのためには、実際に車体に取り付けられている超音波センサの取付け基準方向に対するセンサ軸の取付け角度ズレを計測することが前提となる。
その際、超音波センサのセンサ軸の取付け基準方向に対する取付角度ズレの計測を簡便に行うことができるようにすることが望ましい。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、超音波センサのセンサ軸の車体への取付け基準方向に対する取付け角度を定量的にかつ簡便に計測する超音波センサの車体への取付角度計測方法及びその計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の超音波センサの車体への取付角度計測方法は、擬似路面部材を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測するステップと、
対称性の計測対象を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測するステップとからなることを特徴とする。
請求項2に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システムは、超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の計測対象とを備え、
前記擬似路面部材からの反射波と前記計測対象からの反射波とを受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度と左右方向傾き角度とを計測することを特徴とする。
請求項3に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システムは、超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の一対の計測対象とを備え、
該一対の計測対象が取付け基準方向に対応する計測タイミング位置で等角度に配設されかつ該計測タイミング位置における超音波センサからの距離が互いに異ならされ、前記擬似路面部材からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度を計測し、前記一対の計測対象からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する左右方向傾き角度を計測することを特徴とする。
請求項4に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システムは、前記計測対象が円柱体又は球体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超音波センサの車体への取付け角度計測方法及びその計測システムによれば、超音波センサのセンサ軸の車体への取付け基準方向に対する取付け角度の計測を定量的にかつ簡便に行うことができる。
ひいては、この取付け基準方向に対する取付け角度のズレ量に基づいて、キャリブレーションを行うことができるし、また、超音波センサが取付け基準方向に向くように調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明に係わる超音波センサの車体への取付角度計測方法に用いる擬似路面部材と円柱体と車体に固定の超音波センサとの位置関係を説明するための斜視図である。
【図2】図2は本発明に係わる超音波センサの車体への取付角度計測方法に用いる擬似路面部材と円柱体と車体に固定の超音波センサとの位置関係を説明するための平面図である。
【図3】図3は本発明に係わる超音波センサの車体への固定の一例を示す部分拡大断面図である。
【図4】図4は本発明に係わる超音波センサの回路構成の一例を示すブロック回路図である。
【図5】図5は超音波の反射波により得られた計測信号の一例を示す波形図である。
【図6】図6は図5に示す計測信号の高調波成分を除去することにより得られた信号波形図である。
【図7】図7は取付け基準方向に対する超音波センサのセンサ軸の上下方向の傾きを説明するための図である。
【図8】図8は図7に示す超音波センサのセンサ軸の傾きに対応する信号波形図である。
【図9】図9は取付け基準方向に対する超音波センサのセンサ軸の左右方向の傾きを説明するための図である。
【図10】図10は図9に示す超音波センサのセンサ軸の傾きに対応する信号波形図である。
【図11】図11は図6に示す信号波形の再掲図であって、立ち上がり時間とピーク値の取得時間とによって、上下方向の角度計測を行う場合の再掲図である。
【図12】図12は図6に示す信号波形の再掲図であって、立ち上がり時間とピーク値とによって上下方向の角度計測を行う場合の再掲図である。
【図13】図13は図6に示す信号波形の再掲図であって、複数時点で測定を行うことによって、上下方向の角度計測を行う場合の再掲図である。
【図14】図14は上下方向角度と左右方向角度との計測ステップを説明するためのメインフロー図である。
【図15】図15は上下方向角度の計測ステップを説明するためのサブフロー図である。
【図16】図16は左右方向角度の計測ステップを説明するためのサブフロー図である。
【図17】図17は超音波センサの車体への取付角度計測方法に用いる擬似路面部材と1個の円柱体と車体に固定の超音波センサとの位置関係を説明するための平面図である。
【図18】図18は図17に示す擬似路面部材と円柱体とにより得られる信号波形図である。
【図19】図19は、経年変化に伴う超音波センサの取付け角度の更新を行う際の更新許容範囲の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
以下、本発明に係わる超音波センサの車体への取付角度計測方法及びその計測システムを図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1、図2において、1は車両、2は擬似路面部材、3は搬送レーン、4A、4Bは計測対象としての円柱体、5は超音波センサである。
【0018】
超音波センサ5は、ここでは、図3に拡大して示すように、例えば、車両1の車体前部の側壁パネル1aに着脱可能に設置されている。車両1は搬送レーン3に載せられて図2に示す矢印A方向に平行に移動されているものとする。
【0019】
擬似路面部材2には矩形状のシートが用いられている。このシートには、その表面が超音波の波長程度の面の粗さを有するもの、すなわち、その二分の一波長程度の凹凸を有するものが用いられている。擬似路面部材2からの反射波が確実に超音波センサ5に戻って来るようにするためである。
例えば、擬似路面部材2の表面が鏡面のように滑らかな場合には、超音波が元の方向に向かって反射されないので、擬似路面部材2には不向きである。
なお、その凹凸は擬似路面部材2の表面にランダムに配置されているのが望ましい。
【0020】
その擬似路面部材2は、互いに平行な一対の短辺2a、2aとこの一対の短辺2a、2aに対して直交する長辺2b、2bとを有する。
その擬似路面部材2は、一対の短辺2a、2aが搬送レーン3の延びる方向に対して平行となるようにして敷設される。
【0021】
この擬似路面部材2には、ライン2Aとライン2Bとが線引きされている。ライン2Aは一方の長辺2bから他方の長辺2bに向かって一対の短辺2a、2aに対して平行に延びている。
ここでは、擬似路面部材2は、このライン2Aを搬送レーン3に重ね合わせることにより、搬送レーン3に対して位置決めされる。すなわち、ライン2Aは搬送レーン3に対する擬似路面部材2の位置決め目盛りとして用いられる。
【0022】
その擬似路面部材2は、車体への取付け基準方向に対する超音波センサ5のセンサ軸SAの上下方向に対する取付け角度を検出するのに用いられる。その擬似路面部材2を用いた計測の詳細については後述する。
【0023】
ライン2Bは、一方の短辺2aから他方の短辺2aに向かって一対の長辺2b、2bに対して平行に延びている。このライン2Bは、ここでは、一対の短辺2a、2aの延びる方向中央位置に形成されている。
このライン2Bは、車両1の矢印A方向への移動中にその超音波センサ5による計測タイミングを決定するのに用いられる。
なお、このライン2Bは説明の便宜のために設けたもので、計測タイミングを時間により設定する際には必ずしも必要のないものであるが、一対の円柱体4A、4Bの配設位置を規定する上から設けることが望ましい。
【0024】
円柱体4A、4Bは、ここでは、擬似路面部材2からの高さが同じとされている。この円柱体4A、4Bは擬似路面部材2に形成された位置決め穴(図示を略す)に直立してセットされている。
これにより、円柱体4A、4Bの一方の短辺2aからの距離L1、L2、すなわち、超音波センサ5からの距離が規定される。
【0025】
この円柱体4A、4Bは滑らかな周面を有するものを用いるのが望ましい。この円柱体4A、4Bは超音波センサ5から射出された超音波の反射波の反射強度により、車体への取付け基準方向に対する超音波センサ5の左右方向の角度ズレを検出するのに用いられる。
【0026】
なお、ここで、計測対象に線対称性の円柱体4A、4Bを用いたが、これは、超音波が円柱体4A、4Bに向かっていずれの方向から進行してきたときでも、その超音波の反射波の一部をその超音波の進行方向に対して確実に逆進させることを目的として採用されている。なお、この円柱体4A、4Bの代わりに点対称性の球体を吊り下げて用いても良い。
その円柱体4A、4Bを用いた計測の詳細については後述する。
【0027】
その円柱体4Aと円柱体4Bとは、一方の短辺2aからその円柱体4Aまでの距離L1とその一方の短辺2aから円柱体4Bまでの距離L2とが異なるようにして、ライン2Bを挟んで互いに反対側に配置されている。
【0028】
また、円柱体4Aと円柱体4Bとが一方の短辺2aから仮に等距離の位置にあったとして、両円柱体4A、4Bがライン2Bを境にして対称位置にあると仮想したときの仮想円柱体を符号4B’で表し、ライン2Bの延長線上の任意の点をQとしたとき、円柱体4Bは点Qと仮想円柱体4B’の中心とを結ぶ線分QB’の延長線上に存在するようにして、擬似路面部材2に配置される。
すなわち、点Qと円柱体4Aの中心とを結ぶ線分QAのライン2Bに対する角度θ1と、仮想線分QB’の為す角度θ2とが等しくなるような位置に、円柱体4Bは配置されている。
【0029】
超音波センサ5には、図4に模式的に示すように、その筐体5aの内部に、演算処理装置(CPU)5bと、発振器5cと、送受信機5dと、増幅回路(Amp)5eと、検波回路5fとが設けられている。
そのCPU5bは、図2に示すように、車体に設置のエンジンコントロールユニット(ECU)6との間で送受信を行う。
【0030】
CPU5bは、ECU6の超音波発信指令に基づき、トリガ信号を発振器5cに出力する。発振器5cはそのトリガ信号に基づき送受信機5dの例えば圧電振子(図示を略す)を駆動する。この圧電素子により、例えば、金属製の振動板(図示を略す)が振動され、この振動板の振動により超音波SWが発射される。
【0031】
その超音波SWは、障害物としての物体、ここでは、擬似路面部材2、計測対象としての円柱体4A、4Bにより反射される。その反射波RWの一部は、その超音波SWの進行方向に対して逆進されて、その一部が送受信機5dに受信される。
【0032】
送受信機5dは、その反射波RWを計測信号としての電気信号に変換し、この電気信号は増幅回路5eにより増幅され、その増幅信号は検波回路5fを経由してCPU5bに入力される。
CPU5bはその増幅信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号に基づき、計測対象までの距離等を演算する。その結果は、ECU6に送信され、ECU6はその結果に基づき、車両に対する自動制御を行う。
ここでは、超音波センサ5にCPU5bを組み込む構成としているが、この構成は一例であって、ECU6にCPU5bが有する機能を持たせても良い。
【0033】
超音波センサ5には、狭角タイプのもの、例えば、発振周波数が60KHz程度のものが用いられる。その超音波SWの反射波RWにより得られた計測信号の一例を図5に示す。
その図5は、擬似路面部材2、円柱体4A、4Bに基づき反射された反射波RWに基づく計測信号を模式的に示している。その図5において、横軸は時間であり、縦軸は反射波の反射強度に対応する計測信号の強度(大きさ)を示している。
【0034】
送受信機5dには、擬似路面部材2、円柱体4A、4Bの各箇所で反射された超音波SWの反射波RWが互いに異なる時間に到達するので、一般的には、計測信号は互いに異なる箇所により反射された反射波RWの干渉に基づく干渉信号となる。
その図5において、RW1は超音波Sの周波数(60KHz)に基づく高調波信号成分を示し、RW2は擬似路面部材2による反射に基づく干渉信号成分を示し、RW3、RW4は円柱体4A、4Bによる反射に基づく干渉信号成分をそれぞれ示している。
【0035】
高調波信号成分RW1、干渉信号成分RW2が存在すると、計測信号の処理の際の邪魔になる。検波回路5fは、この高調波信号成分RW1、干渉信号成分RW2を除去して、包絡線に基づく信号波形Hを得るために用いられる。
CPU5bは、検波回路5fの遮断周波数を変更し、例えば、20KHz以上の高調波信号成分を除去するようにしている。すなわち、検波回路5fは低周波信号成分のみを通過させる役割を果たす。
その遮断周波数は、実際の路面状況に応じて適宜設定できるものとされている。
【0036】
図6には、図5に示す高調波信号成分を除去した後の計測信号の信号波形が示されている。その図6において、横軸は時間であり、縦軸は反射強度に対応する計測波形の大きさである。
この図6において、符号P1は円柱体4Aからの反射波RWに基づく信号波形、符号P2は円柱体4Bからの反射波RWに基づく信号波形、符号P3は擬似路面部材2からの反射波RWに基づく信号波形である。
【0037】
なお、計測信号は検波回路5fを通して高調波信号成分を除去する際に、その信号の大きさが若干低くなると共に若干の時間的広がりを持つこととなるが、センサ軸SAの角度の計測には支障がない程度のものである。
【0038】
また、なお、この実施例では、遮断周波数を変更して、検波回路5fを通過する計測信号の高調波成分を除去するようにしているが、検波回路5fの遮断周波数を20KHz程度に固定して、高調波成分を除去する構成とすることもできる。
この構成を採用する場合には、CPU5bに検波回路5fの変更指令機能を持たせる必要はない。
【0039】
次に、本発明に係わる超音波センサ5の角度計測の原理に基づき図7(a)〜図7(c)、図8(a)〜図8(c)、図9(a)〜図9(c)、図10(a)〜図10(c)に基づき説明する。
図7(a)〜図7(c)は超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの上下方向の傾きを示している。図8(a)〜図8(c)はその超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの各傾きに対応する計測信号の強度と時間との関係を示している。その取付け基準方向SRは水平とする。
【0040】
図9(a)〜図9(c)は超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの左右方向の傾きを示している。図10(a)〜図10(c)はその超音波センサ5の取付け基準方向SRに対するセンサ軸SAの各傾きに対応する計測信号の強度と時間との関係を示している。取付け基準方向はライン2Bと平行な方向とする。
【0041】
まず、超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向(水平方向)SRに対する上下方向の傾き角の計測について説明する。
図7(a)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して上を向いているとすると、超音波SWが擬似路面部材2に到達するまでの時間、及び、その擬似路面部材2により反射された反射波RWが超音波センサ5に戻って来るまでの時間が長くなる。また、一般に、超音波SWは距離が長くなればなるほど減衰量が増大し、これに伴って、その反射波RWの減衰量も増大する。
【0042】
従って、超音波SWから発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの時間(計測信号の立ち上がり時間)t0は図8(a)に示すように長くなる。同様に、超音波SWが発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1も長くなる。
その一方、その信号波形P3のピーク値PVの大きさは小さい。更に、各時刻で得られた計測信号値を積算することにより得られる信号波形P3の積分値も小さい。
【0043】
図7(c)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して、上向きの角度θと等しい角度θだけ下を向いているとすると、超音波SWが擬似路面部材2に到達するまでの時間、及び、その擬似路面部材2により反射された反射波RWが超音波センサ5に戻って来るまでの時間が短くなる。また、一般に、超音波SWは距離が短くなればなるほど減衰量が減少し、これに伴って、その反射波RWも減衰量も減少する。
【0044】
従って、超音波SWが発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの時間(計測信号の立ち上がり時間)t0は図8(c)に示すように短くなる。同様に、超音波SWから発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1も短くなる。
その一方、その信号波形P3のピーク値PVの大きさは大きくなる。更に、各時刻で得られた計測信号値を積算することにより得られる信号波形P3の積分値も大きくなる。
【0045】
図7(b)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向(水平方向)SRを向いているとすると、超音波SWが擬似路面部材2に到達するまでの時間、及び、その擬似路面部材2により反射された反射波RWが超音波センサ5に戻って来るまでの時間は超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
【0046】
また、超音波SW、反射波RWの減衰量も超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の値となる。
従って、超音波SWが発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの時間(計測信号の立ち上がり時間)t0は図8(b)に示すように超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
【0047】
同様に、超音波SWが発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1も超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
更に、その信号波形P3のピーク値PVの大きさも超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の値となり、各時刻で得られた計測信号値を積算することにより得られる信号波形P3の積分値も超音波センサ5のセンサ軸SAが上向きの場合と下向きの場合との中間の時間となる。
【0048】
従って、実験的に、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け角度と超音波SWが発射されてからその反射波RWの立ち上がりに対応する信号波形P3の立ち上がり時間t0、信号波形P3のピーク値PVが得られる時間t1、信号波形P3のピーク値PV、信号波形P3の積算値を測定し、これらのデータを、取付け角度SRに関連づけてCPU5bのメモリに保存しておけば、擬似路面部材2に対する超音波センサ5のセンサ軸SAの実際の取付角度θが上向きであるのか下向きであるのかを含めて定量的に計測可能である。
【0049】
次に、超音波センサ5の取付け基準方向(ライン2Bと平行な方向)SRに対する左右方向の傾き角の計測について説明する。
図9(a)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して左に角度φだけ傾いていたとする。超音波センサ5がライン2Bの延長上に位置するタイミングで超音波SWを発射させるものとすると、センサ軸SAが円柱体4Aの方向に向いていることと、超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離に較べて短いこととによって、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて大きくなる。
【0050】
その一方、センサ軸SAが円柱体4Bから大きく離れた方向に向いていることと、超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離に較べて長いこととによって、円柱体4Bからの反射波RWの反射強度は円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて小さくなる。
【0051】
なお、その超音波センサ5の超音波SWの発射時点からその円柱体4Aによる反射波RWのピーク値PV’が得られるまでの時間t1’は超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が一定であるので略一定である。また、その超音波センサ5の超音波SWの発射時点からその円柱体4Bによる反射波RWのピーク値PV”が得られるまでの時間t2’も超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離が一定であるので略一定である。
【0052】
従って、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対していずれの方向に向いていようとも、時間t1’から時間t2’までの時間間隔Tは一定である。
その結果、図9(a)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して左に傾いていた場合、円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射強度に対応して、図10(a)に示すような信号波形P1、P2が得られることになる。
【0053】
すなわち、円柱体4Aからの反射波RWにより取得される信号波形P1のピーク値PV’を、円柱体4Bからの反射波RWにより取得される信号波形P2のピーク値PV”で割ったときに得られる強度比が大きい。
【0054】
これに対して、図9(c)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して右に同じ角度φだけ傾いていたとする。超音波センサ5がライン2Bの延長上に位置するタイミングで超音波SWを発射させるものとすると、センサ軸SAが円柱体4Bの方向に向いているので、超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離に較べて長くても、超音波センサ5の指向性に起因して、円柱体4Bからの反射波RWの反射強度が図9(a)に示す場合の円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて大きくなる。
【0055】
その一方、センサ軸SAが円柱体4Aから大きく離れた方向に向いているので、超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離に較べて短くても、超音波の指向性に起因して、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が図9(a)に示す場合の円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて小さくなる。
【0056】
その結果、図9(c)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して右に傾いていた場合、円柱体4A、4Bからの反射波の反射強度に対応して、図10(c)に示すような信号波形が得られることになる。
すなわち、円柱体4Aからの反射波RWにより取得される信号波形P1のピーク値PV’を、円柱体4Bからの反射波RWにより取得される信号波形P2のピーク値PV”で割ったときに得られる強度比が小さい。
【0057】
これらに対して、図9(b)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して平行であるとして、超音波センサ5がライン2Bの延長上に位置するタイミングで超音波SWを発射させるものとする。
【0058】
この場合、センサ軸SAが円柱体4Aと円柱体4Bとの中間方向、すなわち、取付け基準方向SRに向いているので、超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離が短くても、超音波センサ5の指向性に起因して、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が図9(a)に示す場合の円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて小さくなる。
しかしながら、センサ軸SAは円柱体4Aから大きく離れた方向には向いていないので、その反射強度は図9(c)に示す場合の円柱体4Aからの反射波RWの反射強度に較べて大きい。
【0059】
他方、超音波センサ5から円柱体4Bまでの距離は超音波センサ5から円柱体4Aまでの距離に較べて長いけれども、センサ軸SAは円柱体4Bから大きく離れた方向には向いていないので、その反射強度は図9(a)に示す場合の円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて大きい。
しかしながら、超音波センサ5のセンサ軸SAは円柱体4Bには向いていないので、その反射強度は、図9(c)に示す場合の円柱体4Bからの反射波RWの反射強度に較べて小さい。
【0060】
その結果、図9(b)に示すように、超音波センサ5のセンサ軸SAがライン2Bに対して平行である場合、円柱体4A、4Bからの反射波の反射強度に対応して、図10(b)に示すような信号波形が得られることになる。
すなわち、円柱体4Aからの反射波RWにより取得される信号波形P1のピーク値PV’を、円柱体4Bからの反射波RWにより取得される信号波形P2のピーク値PV”で割ったときに得られる強度比は、図9(a)に示すように超音波センサ5が左に傾いているときに得られる強度比と図9(c)示すように超音波センサ5が右に傾いているときに得られる強度比との中間値となる。
【0061】
従って、実験的に、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け角度と各円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射強度とを計測し、この反射波RWの反射強度に対応する信号波形P1、P2のピーク値PV’、PV”をそれそれ取得し、これらの強度比と取付け角度φとを関連づけて、CPU5bのメモリに保存しておけば、ライン2Bに対する超音波センサ5の取付角度φが左向きであるのか右向きであるのかを含めて定量的に計測可能である。
なお、これらの事前データは複数個あれば十分であり、実際の角度は、これらの事前データに基づき補間演算を行うことにより求めることができる。又は、事前データに基づき演算関数をソフトウエア的に構築して、この演算関数を用いて、実際の角度を求めることができる。
【0062】
以上の説明では、擬似路面部材2を用いて、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの上下方向についての傾きを、図11に再掲するように、超音波SWが発射されてから反射波RWが最初に受信されるまでの信号波形P3の立ち上がり時間t0及び超音波SWから発射されてから信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1を計測したり、図12に再掲するように、擬似路面部材2による反射波RWのピーク値PVを求めたりして計測することとして説明した。
【0063】
しかしながら、これに限られるものではなく、図13に示すように、計測時点を複数の時点T1、T2、T3で区切って、立ち上がり時間t0、時間t1、計測時点T1、T2、T3での信号波形P3の計測値V1’、V2’、V3’、信号波形P3の消失時点までの時間t3を取得し、これらの計測値に基づいて取付け基準方向SRに対する超音波センサ5のセンサ軸SAの傾き角度θを求めるようにしても良い。
【0064】
次に、超音波センサ5の取付け角度の計測手順を図14〜図16に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、CPU5bは、図14に示すように、検波回路5fの遮断周波数を例えば40KHzから20KHzに変更する(S.1)。
ついで、CPU5bは上下方向の取付け角度θの傾き計測を行う(S.2)。車両1がライン2Bを横切る直前のタイミングで、超音波センサ5から超音波SWを発射させる。CPU5bは擬似路面部材2、円柱体4A、4Bからの反射波RWを受信して、図15に示すように、擬似路面部材2からの反射波RWの反射強度を取得する(S.21)。
【0065】
ついで、CPU5bのメモリにあらかじめ保存されている事前データと比較する(S.22)。これにより、超音波センサ5のセンサ軸SAの上下方向の傾き角度θを取得する。
ついで、CPU5bは、超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度φの計測を行う(S.3)。
まず、CPU5bは、図16に示すように、車両1がライン2Bを横切る直前から横切った直後までの間での各円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射波強度を計測する(S.31)。
【0066】
超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の角度ズレに伴って、各円柱体4A、4Bからの反射波RWの反射波強度が変化するので、この超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の角度ズレに伴って生じる反射波強度を補正する(S.32)。
なお、この補正値も事前に実験により求めることができ、この補正データもあらかじめCPU5bのメモリに保存されている。
【0067】
ついで、CPU5bは、円柱体4Aに対する円柱体4Bの強度比を演算する(S.33)。CPU5bはこれらの強度比をメモリに保存されている事前データと比較して、超音波センサ5の取付け基準方向に対する左右方向の傾き角度φを計測する(S.34)
ついで、CPU5bは、検波回路5fの遮断周波数を元の周波数、例えば、40KHzに復帰させる(S.4)。
これにより、取付け基準方向SRに対する超音波センサ5の上下方向の傾き角θ、左右方向の傾き角φを定量的に取得する。
【0068】
なお、この実施例では、2個の円柱体4A、4Bを用いて、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左右に傾いている場合の計測手順について説明したが、三個以上の円柱体を用いて、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対する左右に傾いているときの傾き角φを計測できる。
ただし、円柱体4A、4Bの配設個数を増すと、擬似路面部材2からの反射波RWが減少するので、かつ、擬似路面部材2からの反射波RWと各円柱体からの反射波RWとの間で干渉が増大し、信号波形が複雑化するので、円柱体の配設個数は適宜の個数とすることが望ましい。
【0069】
(実施例2)
図17、図18は円柱体4Aの配設個数が1個の場合の取付け基準方向SRに対する超音波センサ5の左右方向の角度計測についての実施例を説明するための説明図である。
図17に示すように、車両1がライン2Bを横切る直前から横切った直後に超音波SWを発射すると、擬似路面部材2、円柱体4Aによる超音波SWの反射波RWに基づく信号波形Hが図18に示すように得られる。
【0070】
この図18において、図6に示す技術用語と同一技術用語については、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する上下方向の傾き角度の計測については、実施例1と同様である。
超音波センサ5の取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度φの計測には、円柱体4Aからの反射波SWの反射強度に対応する信号波形P1のピーク強度PV’を用いる。
【0071】
例えば、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左に傾いているとすると、超音波センサ5のセンサ軸SAが円柱体4Aの中心に近づくので、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が大きくなる。
また、例えば、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左に向いたときの角度と同じ角度だけ右に傾いているとすると、超音波センサ5のセンサ軸SAが円柱体4Aの中心から離れることになるので、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度が小さくなる。
【0072】
更に、超音波センサ5のセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して平行であるとすると、超音波センサ5のセンサ軸SAが円柱体4Aの中心から適宜の位置に存在することになるので、円柱体4Aからの反射波RWの反射強度は、センサ軸SAが取付け基準方向SRに対して左に傾いていたときに得られる反射強度とセンサ軸SAが取付け基準方向SRに対して右に同じ角度だけ傾いていたときに得られる反射強度との中間値になる。
【0073】
従って、左右方向の角度と計測により得られたピーク強度PV’との関係を予めCPU5bのメモリに記憶させておくことにより、1個の円柱体4Aを用いて、車体に取り付けられた超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度を計測できる。
【0074】
(実施例3)
超音波センサ5の車両1に対する取付角度は、経年変化によりズレることがある。また、車体1に加わる加重の不均一性によって、車両1の運転中に、超音波センサ5の車両1に対する取付け角度が変化することもある。
そこで、このような場合には、実際の路面に照射して、図8(a)〜図8(c)に示すように、信号波形P3の立ち上がり時間t0のシフト量と信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1のシフト量を計測する。
【0075】
擬似路面部材2により得られた信号波形P3の立ち上がり時間t0とこの信号波形P3のピーク値PVが得られるまでの時間t1とが予めわかっているので、シフト量に基づき、超音波センサ5の運転中の取付け基準方向SRに対する上下方向の取付角度のズレ量を演算できる。
【0076】
なお、反射波RWの反射強度は実際の路面の状況によって変化するので、このシフト量の補正には用いることはできない。
また、予測できない障害物によって誤計測が生じるのを回避するため、図19に示すように、立ち上がり時間t0とピーク値PVの取得時間t1との組み合わせによる更新許容範囲WをあらかじめCPU5bのメモリに記憶させ、この更新許容範囲W内の組み合わせのときのみ、超音波センサ5の取付け角度θの更新を行うことにすれば、超音波センサ5の角度ズレの更新精度を向上させることができる。
【0077】
また、これらの実施例では、円柱体4A、4Bを擬似路面部材2に直立させた状態で、超音波センサ5のセンサ軸SAの傾きを計測することにして説明したが、円柱体4A、4Bを取り除いた状態で、擬似路面部材2を用いて超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向SRに対する上下方向の傾き角度θと、円柱体4A、4Bをセットした状態での円柱体4A、4Bを用いて超音波センサ5のセンサ軸SAの取付け基準方向SRに対する左右方向の傾き角度φとを別々に行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、自走式機械全般、例えば、工場内の搬送ロボット等の超音波センサ5のキャリブレーション等に応用可能である。
【符号の説明】
【0079】
2…擬似路面部材
4A、4B…円柱体(計測対象)
5…超音波センサ
SA…センサ軸
SR…取付け基準方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似路面部材を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測するステップと、
対称性の計測対象を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測するステップとからなる超音波センサの車体への取付角度計測方法。
【請求項2】
超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の計測対象とを備え、
前記擬似路面部材からの反射波と前記計測対象からの反射波とを受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度と左右方向傾き角度とを計測することを特徴とする超音波センサの車体への取付角度計測システム。
【請求項3】
超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の一対の計測対象とを備え、
該一対の計測対象が取付け基準方向に対応する計測タイミング位置で等角度に配設されかつ該計測タイミング位置における超音波センサからの距離が互いに異ならされ、前記擬似路面部材からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度を計測し、前記一対の計測対象からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する左右方向傾き角度を計測することを特徴とする超音波センサの車体への取付角度計測システム。
【請求項4】
前記計測対象が円柱体又は球体であることを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システム。
【請求項1】
擬似路面部材を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測するステップと、
対称性の計測対象を用いて超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測するステップとからなる超音波センサの車体への取付角度計測方法。
【請求項2】
超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の計測対象とを備え、
前記擬似路面部材からの反射波と前記計測対象からの反射波とを受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度と左右方向傾き角度とを計測することを特徴とする超音波センサの車体への取付角度計測システム。
【請求項3】
超音波センサの取付け基準方向に対する上下方向の傾きを計測する擬似路面部材と、
超音波センサの取付け基準方向に対する左右方向の傾きを計測する対称性の一対の計測対象とを備え、
該一対の計測対象が取付け基準方向に対応する計測タイミング位置で等角度に配設されかつ該計測タイミング位置における超音波センサからの距離が互いに異ならされ、前記擬似路面部材からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する上下方向の傾き角度を計測し、前記一対の計測対象からの反射波を受信して前記超音波センサのセンサ軸の前記取付け基準方向に対する左右方向傾き角度を計測することを特徴とする超音波センサの車体への取付角度計測システム。
【請求項4】
前記計測対象が円柱体又は球体であることを特徴とする請求項3に記載の超音波センサの車体への取付角度計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−286417(P2010−286417A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141756(P2009−141756)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
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