説明

超音波センサ及びその製造方法

【課題】温度による超音波センサの性能偏差を減少させると共に、簡単に製作できる超音波センサ及びその製造方法を提供する
【解決手段】超音波センサ10は、温度補償のためのキャパシタが一体化された超音波センサ10であり、圧電振動素子30と、上記圧電振動素子30に一体形成されるキャパシタ40と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ及びその製造方法に関するもので、より詳細には、温度補償のためのキャパシタが一体化された超音波センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、周辺物体に超音波を送出し、周辺物体から反射された超音波によって周辺物体までの距離を感知することができる。
【0003】
このような超音波センサは、自動車等の装置に装着されて、装置と周辺事物とが衝突することを感知したり、または、周辺事物との衝突が発生しないように未然に防止する手段として用いられている。
【0004】
一般的に、超音波センサは、超音波を発生させる手段として圧電素子を具備する。しかしながら、このような圧電素子は、温度によって静電容量が非常に大きく異なるため、温度による感知偏差も大きい。
【0005】
このような理由から、超音波センサは、圧電素子の温度偏差を補償するための温度補償素子を具備する。
【0006】
しかしながら、超音波センサに温度補償素子を装着するためには、別途の回路基板及び連結部材をさらに必要とすることから、超音波センサの製造単価が上昇し、製作工程が増える問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、温度による超音波センサの性能偏差を減少させると共に、簡単に製作できる超音波センサ及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一実施例による超音波センサは、圧電振動素子と、上記圧電振動素子に一体形成されるキャパシタと、を含むことができる。
【0009】
本発明の一実施例による超音波センサにおいて、上記圧電振動素子は、分極されたセラミック部材を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施例による超音波センサにおいて、上記キャパシタは、未分極されたセラミック部材を含むことができる。
【0011】
本発明の一実施例による超音波センサは、上記圧電振動素子及び上記キャパシタを連結する電極パターンをさらに含むことができる。
【0012】
本発明の一実施例による超音波センサにおいて、上記圧電振動素子及び上記キャパシタは、セラミック積層構造物で形成されることができる。
【0013】
本発明の一実施例による超音波センサにおいて、上記セラミック積層構造物は、第1面に第1電極パターンが形成され、上記圧電振動素子を構成する第1セラミック部材と、上記第1セラミック部材上に形成され、第2電極パターンを有し、上記キャパシタを構成する第2セラミック部材と、を含むことができる。
【0014】
本発明の一実施例による超音波センサは、上記第1セラミック部材の第1側面及び上記第2セラミック部材の第1側面に形成され、上記第1電極パターンと連結される第3電極パターンと、上記第1セラミック部材の第2側面及び上記第2セラミック部材の第2側面に形成され、上記第2電極パターンと連結される第4電極パターンと、をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の一実施例による超音波センサは、伝導性材質のケースをさらに含み、上記ケースは、上記第4電極パターンと電気的に連結されることができる。
【0016】
本発明の一実施例による超音波センサは、上記第3電極パターンと電気的に連結される第2連結端子と、上記ケースと電気的に連結される第1連結端子と、をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例による超音波センサは、上記第1セラミック部材の第1側面及び上記第2セラミック部材の第1側面に形成され、上記第1電極パターンと連結される第3電極パターンと、上記第1セラミック部材の第2側面、第2面及び上記第2セラミック部材の第2側面に形成され、上記第2電極パターンと連結される第4電極パターンと、をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の一実施例による超音波センサは、上記第3電極パターンと電気的に連結される第2連結端子と、上記第4電極パターンと電気的に連結される第1連結端子と、をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例による超音波センサにおいて、上記セラミック積層構造物は、第1面に第1側面に延長される第1−1電極パターンが形成された二つ以上の第1−1セラミック部材と、第1面に第2側面に延長される第1−2電極パターンが形成され、上記第1−1セラミック部材間に配置される第1−2セラミック部材と、上記第1−1セラミック部材の第1面に形成され、第1面に第2電極パターンが形成される第2セラミック部材と、を含み、上記第1−1及び第1−2セラミック部材は、上記圧電振動素子を構成し、上記第2セラミック部材は、上記キャパシタを構成することができる。
【0020】
上記目的を達成するための本発明の一実施例による超音波センサの製造方法は、分極された第1セラミック部材を用意する第1段階と、上記第1セラミック部材の第1面に未分極された第2セラミック部材を形成する第2段階と、上記第1セラミック部材及び上記第2セラミック部材を圧搾及び焼結する第3段階と、を含むことができる。
【0021】
本発明の一実施例による超音波センサの製造方法は、上記第1セラミック部材及び上記第2セラミック部材に電極パターンを形成する第4段階をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の一実施例による超音波センサにおいて、上記第1段階は、上記第1セラミック部材に高電圧を加える工程を含むことができる。
【0023】
上記目的を達成するための本発明の他の実施例による超音波センサの製造方法は、第1面及び第2面に電極パターンが形成された第1セラミック部材を用意する段階と、第1面に電極パターンが形成された第2セラミック部材を用意する段階と、上記第1セラミック部材及び上記第2セラミック部材を積層し、積層された上記第1セラミック部材及び上記第2セラミック部材を圧搾及び焼結する段階と、上記第1セラミック部材の電極パターンに高電圧を加えて上記第1セラミック部材に分極を形成する段階と、を含むことができる。
【0024】
本発明の一実施例による超音波センサの製造方法は、上記第1セラミック部材の電極パターン及び上記第2セラミック部材の電極パターンを連結する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、超音波を発生させる圧電素子及び温度補償素子が一体形成されるため、超音波センサを小型化するのみならず、超音波センサの製造工程を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例による超音波センサの断面図である。
【図2】本発明の第2実施例による超音波センサの断面図である。
【図3】本発明の第3実施例による超音波センサの断面図である。
【図4】本発明の第4実施例による超音波センサの断面図である。
【図5】本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法を示す図面である。
【図6】本発明の第2実施例による超音波センサの製造方法を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一般的に、超音波センサは、周辺温度に対する測定偏差を最小限にするため、超音波発振用圧電振動素子と共に温度補償素子(例えば、温度補償用キャパシタ)をさらに具備することができる。
【0028】
しかしながら、従来の超音波センサは、圧電振動素子及び温度補償素子がそれぞれ分離された構造であるため、超音波センサの構造が複雑で、その製造方法が難しかった。
【0029】
例えば、従来の超音波センサは、温度補償素子のために別途の回路基板をさらに具備しなければならない不便さ、温度補償素子及び回路基板、回路基板及び圧電振動素子を個別的に連結しなければならない不便さがあった。
【0030】
本発明は、そのような点を改善するためのもので、セラミック部材の特性を用いて圧電振動素子及び温度補償素子が一体形成された超音波センサを提供することができる。
【0031】
特に、本発明は、圧電振動素子及び温度補償素子が一つの部品形態として一体化されているため、それら素子の電気的連結が容易であるのみならず、小型化が可能である。
【0032】
従って、本発明によると、超音波センサの小型化及び製造工程の単純化を図ることができる。
【0033】
以下では、本発明の好ましい実施例を添付の例示図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
以下で本発明を説明するにあたり、本発明の構成要素を称する用語はそれぞれの構成要素の機能を考慮し命名されたものであるため、本発明の技術的構成要素を限定する意味で理解されてはならない。
【0035】
図1は本発明の第1実施例による超音波センサの断面図であり、図2は本発明の第2実施例による超音波センサの断面図であり、図3は本発明の第3実施例による超音波センサの断面図であり、図4は本発明の第4実施例による超音波センサの断面図であり、図5は本発明の第1実施例による超音波センサの製造方法を示す図面であり、図6は本発明の第2実施例による超音波センサの製造方法を示す図面である。
【0036】
図1を参照して本発明の第1実施例による超音波センサについて説明する。
【0037】
本発明の第1実施例による超音波センサ10は、ケース20と、圧電振動素子30と、温度補償用キャパシタ40(以下では、簡単にキャパシタとする)と、を含むことができ、連結端子70、72と、密封部材80と、を付加的にさらに含むことができる。
【0038】
ケース20は、内部に収容空間を有する形状(例えば、円柱)で形成されることができ、金属材質で製作されることができる。しかしながら、多角形状の断面(例えば、四角形)を有する角柱状であることができ、金属材質の他に整形が容易な他の材質で製作されることができる。さらに、ケース20は、超音波センサ10が自動車部品(例えば、後尾灯、バンパー等)に一体形成される場合には省略することもできる。
【0039】
また、本実施例において、ケース20は、第1連結端子70及び圧電振動素子30の電気的連結が容易であるように、伝導性を有する金属材質で製作されたり、内面に金属パターンを有することができる。後者の場合、金属パターンは、ケース20に後工程によって形成されたり(例えば、接着工程)、または、ケース20の整形工程において一体形成されることができる(例えば、インサート射出)。
【0040】
圧電振動素子30は、ケース20に形成されることができる。さらに説明すると、ケース20における外部へ超音波を容易に伝達できる部分(本実施例においては、ケース20の床)に形成されることができる。
【0041】
圧電振動素子30は、内部の電気信号によって超音波を外部へ送出することができる。例えば、40kHz以上の周波数を送出することができる。それと共に、隣接した物体と衝突して反射された超音波を受信し、それを電気的信号に変換して内部回路に送出することができる。また、第1連結端子70及び第2連結端子72を媒介に内部回路と連結されることができる。
【0042】
キャパシタ40は、圧電振動素子30に形成されることができる。さらに説明すると、圧電振動素子30と電気的に連結されることができる。このように形成されたキャパシタ40は、外部温度による静電容量の変化を補償することができる。ここで、温度による静電容量の変化を充分に補償できるように1500pF以上の静電容量を具備することができる。
【0043】
また、本実施例において、圧電振動素子30及びキャパシタ40が一体形成されることができる。例えば、圧電振動素子30及びキャパシタ40は、セラミック部材310、410が積層された構造で形成されることができる。
【0044】
即ち、圧電振動素子30は、第1セラミック部材310によって形成されることができ、キャパシタ40は、第1セラミック部材310に形成された第2セラミック部材410によって形成されることができる。
【0045】
第1セラミック部材310は、圧電振動素子の特性を具備するため、分極が形成されたセラミックであることができる。例えば、第1セラミック部材310は、高電圧による分極工程を経たセラミックであることができる。それとは異なり、第2セラミック部材410は、キャパシタの特性を具備するため、分極が形成されていないセラミックであることができる。
【0046】
ここで、第1セラミック部材310の高さh1は、第2セラミック部材410の高さh2より高いことができる。さらに説明すると、第1セラミック部材310は、電気信号による圧電効率を高めることができるように相対的に高い高さを有することができ、第2セラミック部材410は、キャパシタ40の静電容量を増大させることができるように相対的に低い高さを有することができる。
【0047】
第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410は、圧搾及び焼結工程によって一体化されることができる。即ち、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410は、積層される際に未焼結状態であることができ、積層された後に圧搾及び焼結工程によって一体化されることができる。ここで、圧搾及び焼結工程は、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410の間の内部電極(電極パターン50)が形成された後に行われることができる。
【0048】
電極パターン50、52、54、56は、セラミック部材310、410に形成されることができる。多数の電極パターンのうち電極パターン50、52は、セラミック部材310、410に第1極性及び第2極性の電極を形成することができる。
【0049】
例えば、第1電極パターン50は、第1セラミック部材310の第1面312及び第2セラミック部材410の第2面414に形成され、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410に第1極性を提供することができる。さらに説明すると、第1セラミック部材310の第1面312から第1側面316まで長く延長されて第3電極パターン54と連結されることができるが、第2側面318の第4電極パターン56とは連結されないことがある。
【0050】
第2電極パターン52は、第2セラミック部材410の第1面412に形成され、第2セラミック部材410に第2極性を提供することができる。ここで、第2セラミック部材410の第1面412から第2側面418まで長く延長されて第4電極パターン56と連結されることができるが、第1側面416の第3電極パターン54とは連結されないことがある。
【0051】
第3電極パターン54は、第1セラミック部材310の第1側面316及び第2セラミック部材410の第1側面416に形成されることができ、第1電極パターン50を第2連結端子72と連結させる外部電極として用いられることができる。さらに説明すると、第2セラミック部材410の第1側面416の上段から第1セラミック部材310の第1側面316に長く延長されることができる。但し、本実施例において、第3電極パターン54は、ケース20と接触しない範囲内で第1セラミック部材310の第1側面316に形成されることができる。
【0052】
第4電極パターン56は、第1セラミック部材310の第2側面318及び第2セラミック部材410の第2側面418に形成されることができ、導電性部材60(例えば、導電性接着剤)を媒介に第2電極パターン52と連結されることができる。さらに説明すると、第4電極パターン56は、第2セラミック部材410の第2側面418の上段から第1セラミック部材310の第2側面318の下段まで長く延長されてケース20と連結されることができる。
【0053】
上のような構成において、セラミック部材310、410の内部に形成される第1電極パターン50は、Niを含む導電性ペーストで形成されることができ、セラミック部材310、410の外部に形成される残りの電極パターン52、54、56は、CuまたはAgを含む導電性ペーストで形成されることができる。
【0054】
しかしながら、電極パターン50、52、54、56の成分が前述した成分に限定されるものではなく、AgあるいはPtの貴金属材料、または、Ni及びCuのうち一つの物質あるいは少なくとも二つの物質を含む混合物質で形成されることができる。
【0055】
このように構成されたセラミック部材310、410の積層構造物において、第1セラミック部材310及び第1電極パターン50は、圧電振動素子30を形成することができ、第2セラミック部材410、第1電極パターン50及び第2電極パターン52は、キャパシタ40を形成することができる。
【0056】
さらに説明すると、第1電極パターン50及びケース20は、第1セラミック部材310の電極として、第1電極パターン50及び第2電極パターン52は、第2セラミック部材410の電極として用いられることができる。
【0057】
連結端子70、72は、内部回路と連結されることができる。連結端子70、72は、電極パターン50、52、54、56と電気的に連結されると共に、セラミック部材310、410に極性を与えることができる。
【0058】
例えば、第1連結端子70は、ケース20によって第1セラミック部材310の第2面314に第2極性を与え、第2電極パターン52によって第2セラミック部材410の第1面412に第2極性を与えることができる。ここで、第2電極パターン52は、第4電極パターン56及びケース20を媒介に第1連結端子70と連結されることができる。
【0059】
また、第2連結端子72は、第1電極パターン50によって第1セラミック部材310の第1面312及び第2セラミック部材410の第2面414にそれぞれ第1極性を与えることができる。ここで、第1電極パターン50は、第3電極パターン54を媒介に第2連結端子72と連結されることができる。
【0060】
密封部材80は、ケース20に満たされることができる。密封部材80は、樹脂のような絶縁性材質で形成されることができ、ケース20の内部に水分またはその他の異物質が浸透することを遮断できる。
【0061】
このように構成された超音波センサ10は、前述したように、圧電振動素子30及びキャパシタ40がセラミック部材310、410の積層構造物によって一体形成されるため、超音波センサ10の製造が容易であるのみならず、圧電振動素子30及びキャパシタ40の電気接続構造を簡素化することができる。
【0062】
以下では、図2から図4を参照して本発明の他の実施例について説明する。
【0063】
第2実施例による超音波センサ10は、第4電極パターン56が第1セラミック部材310の第2側面318から第2面314まで延長され形成される点において、第1実施例と区別されることができる。
【0064】
即ち、本実施例においては、第4電極パターン56が第1セラミック部材310の第2面314に形成され、第1セラミック部材310に第2極性を与えることができる。ここで、第4電極パターン56は、第2セラミック部材410の第2側面418の上段から第1セラミック部材310の第2側面318の下段まで形成されると共に、第1セラミック部材310の第2側面318から第1側面316まで長く延長されることができる。但し、第4電極パターン56は、第3電極パターン54と連結されないように+X軸方向への延長長さが制限されることがある。
【0065】
このように構成された本実施例は、第1電極パターン50及び第4電極パターン56が第1セラミック部材310に極性を与えるため、ケース20を導電性材質で製作する必要がない。従って、本実施例による超音波センサ10は、ケース20を相対的に軽いプラスチック材質で製作することができる。
【0066】
第3実施例による超音波センサ10は、ケース20の一部分が導電性材質で形成される点において、前述した実施例とは区別されることができる。即ち、第3実施例は、ケース20の床部材22が導電性材質で製作されることができる。
【0067】
さらに、第3実施例による超音波センサ10は、圧電振動素子30を構成する第1セラミック部材320、330が二つの層からなる点において、前述した実施例とは区別されることができる。
【0068】
即ち、第1セラミック部材は、第1−1セラミック部材320及び第1−2セラミック部材330の積層構造物からなることができる。ここで、第1−1セラミック部材320の高さh11及び第1−2セラミック部材330の高さh12は、第2セラミック部材410の高さh2と同一であるか、または、より長いことができる。前者の場合、同一サイズのセラミック部材320、330、410を用いることができるため、圧電振動素子30及びキャパシタ40の同時製作が容易である。
【0069】
このように構成された超音波センサ10は、圧電振動素子30が2枚のセラミック部材320、330からなるため、超音波の送出及び受信感度を向上させることができる。
【0070】
さらに、前述した通り、圧電振動素子30及びキャパシタ40を同一サイズのセラミック部材320、330、410で形成することができるため、超音波センサ10の製作が容易である。
【0071】
第4実施例による超音波センサ10は、圧電振動素子30が3枚のセラミック部材320、330、320からなり、吸音材90をさらに含む点において、前述した実施例とは区別されることができる。
【0072】
さらに説明すると、第4実施例における圧電振動素子30は、第1−1セラミック部材320及び第1−2セラミック部材330の積層構造物からなることができる。ここで、第1−1セラミック部材320は、同一の電極パターンを有することができ、積層構造物において奇数層に位置することができる。それとは異なり、第1−2セラミック部材330は、第1−1セラミック部材320と異なる電極パターンを有することができ、積層構造物において偶数層に位置することができる。
【0073】
このように構成された圧電振動素子30は、多数の圧電体(即ち、セラミック部材)からなるため、超音波の送出及び受信感動をさらに向上させることができる。従って、本実施例による超音波センサは、物体を精密に感知する必要がある装置に装着されることができる。
【0074】
また、第1−1及び第1−2セラミック部材320、330の高さh11、h12は、第2セラミック部材410の高さh2と同一であるか、異なることができる。
【0075】
なお、第4実施例は、吸音材90をさらに含むことができる。吸音材90は、セラミック部材320、330、410が配置された部分に形成されることができ、セラミック部材320、330、410で発生する雑音を除去することができる。
【0076】
以下では、図5及び図6を参照して本発明による超音波センサの製造方法について説明する。
【0077】
本発明による超音波センサ、特に、圧電振動素子30及びキャパシタ40は、二つの方法で製造されることができる。
【0078】
一つは、分極形成の有無が既に決定されたセラミック部材を積層して圧電振動素子30及びキャパシタ40からなる積層構造物を製作する方法であり(図5を参照)、もう一つは、セラミック部材を積層した後に必要なセラミック部材に分極を形成する方法である(図6を参照)。
【0079】
図5を参照して第1実施例による超音波センサの製造方法について説明する。
【0080】
本実施例による超音波センサの製造方法は、第1セラミック部材の分極段階と、第2セラミック部材の形成段階と、外部電極パターンの形成段階と、組立段階と、を含むことができる。
【0081】
第1セラミック部材の分極段階
【0082】
本段階は、第1セラミック部材310に分極を形成する段階であることができる。
【0083】
まず、第1セラミック部材310を用意する。ここで、第1セラミック部材310は、圧電振動素子30を構成する部材であるため、所定の厚さを有することができる。
【0084】
次に、第1セラミック部材310の第1面312及び第2面314に電極パターン50、51を形成することができる。ここで、電極パターン50、51は、導電性ペーストをスクリーン印刷して形成されることができる。導電性ペーストとしては、Niを含む混合物質であることができるが、CuまたはAgを含む混合物質に代替されることができる。
【0085】
その後、電極パターン50、51を媒介に高電圧の電流を第1セラミック部材310に加えることができる。そうすると、第1セラミック部材310に電極パターン50、51の極性によって分極が形成されることができ、それにより、第1セラミック部材310は、圧電体の特性を具備することができる。
【0086】
第2セラミック部材の形成段階
【0087】
本段階は、第1セラミック部材310に未分極された第2セラミック部材410を形成する段階であることができる。
【0088】
第1セラミック部材310の分極形成が完了すると、第2セラミック部材410を第1セラミック部材310の第1面312に形成することができる。ここで、第2セラミック部材410は、分極が形成されていないセラミック混合物であることができる。
【0089】
次に、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410を圧搾及び焼結することができる。そうすると、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410が一体形成されることができる。
【0090】
外部電極パターンの形成段階
【0091】
焼結工程によって第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410が一体形成されると、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410からなる積層構造物に電極パターン52、54、56をさらに形成することができる。
【0092】
ここで、電極パターン54は、電極パターン50と連結されることができ、電極パターン56は、電極パターン51、52と連結されることができる。
【0093】
このように形成された電極パターン50、51、52、54、56は、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410に極性を与えることができる。例えば、電極パターン50、51は、第1セラミック部材310に第1極性及び第2極性を与えることができ、電極パターン50、52は、第2セラミック部材410に第1極性及び第2極性を与えることができる。
【0094】
但し、第1セラミック部材310は、分極が形成されているため、内部回路と連結されて圧電振動素子30として機能することができる。それとは異なり、第2セラミック部材410は、分極が形成されていないため、内部回路と連結されてキャパシタ40として機能することができる。
【0095】
組立段階
【0096】
上のような段階を経て完成された圧電振動素子30及びキャパシタ40は、ケース20に一体に装着されることができ、連結端子70、72と連結されて超音波センサ10を完成することができる。
【0097】
ここで、圧電振動素子30及びキャパシタ40は、電極パターン50、51、52、54、56によって連結端子70、72と共通に連結されるため、電気的連結が非常に容易である。
【0098】
以下では、図6を参照して第2実施例による超音波センサの製造方法について説明する。
【0099】
本実施例による超音波センサの製造方法は、第1セラミック部材310の分極が電極パターン50、52、54、56の形成以後に行われる点において、前述した実施例と区別されることができる。
【0100】
本実施例による超音波センサの製造方法は、セラミック部材の積層段階と、電極パターンの形成段階と、分極段階と、電極パターンの連結段階と、組立段階と、を含むことができる。また、組立段階は、第1実施例による製造方法と同一または類似するため、それに対する詳細な説明を省略する。
【0101】
セラミック部材の積層段階
【0102】
本段階は、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410を積層する段階であることができる。さらに説明すると、本段階は、圧電振動素子30を構成する1枚以上の第1セラミック部材310及びキャパシタ40を構成する第2セラミック部材410を上下方向(図6を基準にした方向である)に積層する段階であることができる。
【0103】
ここで、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410は、少なくとも一面に電極パターン50を具備することができる。例えば、図6には第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410の間のみに電極パターン50が形成されるように示されているが、第2セラミック部材410の第1面に電極パターン52が本段階において共に形成されることができる。
【0104】
また、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410の積層完了後には、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410を一体化させる圧搾及び焼結工程がさらに行われることができる。
【0105】
電極パターンの形成段階
【0106】
本段階は、セラミック部材310、410に電極パターン52、54、56を形成する段階であることができる。さらに説明すると、本段階においては、セラミック部材310、410の外部に電極パターン52、54、56をさらに形成する段階であることができる。
【0107】
例えば、電極パターン52は、第2セラミック部材410の第1面に形成され、電極パターン54は、第1セラミック部材310及び第2セラミック部材410の第1側面に形成され、電極パターン56は、第1セラミック部材310の第2側面、第2セラミック部材410の第2側面及び第1セラミック部材310の第2面に形成されることができる。
【0108】
ここで、電極パターン54は、電極パターン50と連結されて第1極性を有する外部電極として、電極パターン56は、第2極性を有する外部電極として用いられることができる。
【0109】
従って、第1セラミック部材310の第1面及び第2面は、電極パターン50、54、56によって異なる極性を有することができる。
【0110】
但し、電極パターン52、56は分離された状態であるため、第2セラミック部材410の第1面及び第2面は、異なる極性を有することができない。
【0111】
分極段階
【0112】
本段階は、第1セラミック部材310に分極を形成する段階であることができる。
【0113】
第1セラミック部材310の第1面及び第2面は、前述した通り、電極パターン50及び電極パターン56によって異なる極性を有することができる。従って、電極パターン54、56に所定のサイズの高電圧が発生すると、第1セラミック部材310の内部に分極が形成されることができる。
【0114】
それとは異なり、第2セラミック部材410は、電極パターン54、56に所定のサイズの高電圧が発生しても第1面及び第2面に異なる極性が形成されないため、内部に分極が形成されないことがある。
【0115】
従って、本段階が完了すると、第1セラミック部材310は、圧電振動素子の特性を有することができ、第2セラミック部材410は、キャパシタの特性を維持することができる。
【0116】
電極パターンの連結段階
【0117】
本段階は、電極パターン52、56を連結する段階であることができる。
【0118】
第2セラミック部材410がキャパシタ40として用いられるためには、電極パターン52及び電極パターン56が連結される必要性がある。
【0119】
従って、本段階においては、電極パターン52及び電極パターン56を導電性物質で連結することができる。また、導電性物質は、金属粉末を含む導電性接着剤であることができる。
【0120】
なお、本段階は、下記の組立段階の後に行われることができる。
【0121】
即ち、電極パターン54、56に連結端子を連結した状態でセラミック部材310、410を超音波センサ10のケース20に装着した後、電極パターン52、56を連結する段階を行うことができる。
【0122】
このように行われた本実施例による超音波センサの製造方法は、セラミック部材310、410を積層した後に一部のセラミック部材を分極する方式であるため、圧電振動素子30向けのセラミック部材310及びキャパシタ40向けのセラミック部材410を分離して用意する必要がない。従って、本実施例は、超音波センサの大量生産に有利であることができる。
【0123】
また、添付の明細書及び図面には、セラミック部材310、410が一対の圧電振動素子30及びキャパシタ40を構成するように説明されているが、セラミック部材310、410を一定のサイズに切断して複数対の圧電振動素子30及びキャパシタ40を同時に製造することもできる。
【0124】
本発明は以上で説明した実施例のみに限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、以下の特許請求の範囲に記載の技術的思想の要旨から外れない範囲内において、多様に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0125】
10 超音波センサ
20 ケース
22 床部材
30 圧電振動素子
310 第1セラミック部材
312 (第1セラミック部材の)第1面
314 (第1セラミック部材の)第2面
316 (第1セラミック部材の)第1側面
318 (第1セラミック部材の)第2側面
320 第1−1セラミック部材
330 第1−2セラミック部材
40 キャパシタ
410 第2セラミック部材
412 (第2セラミック部材の)第1面
414 (第2セラミック部材の)第2面
416 (第2セラミック部材の)第1側面
418 (第2セラミック部材の)第2側面
50 第1電極パターン
52 第2電極パターン
54 第3電極パターン
56 第4電極パターン
60 導電性部材
70 第1連結端子
72 第2連結端子
80 密封部材
90 吸音材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動素子と、
前記圧電振動素子に一体形成されるキャパシタと
を含む、超音波センサ。
【請求項2】
前記圧電振動素子は、分極されたセラミック部材を含む、請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記キャパシタは、未分極のセラミック部材を含む、請求項1または2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記圧電振動素子及び前記キャパシタを連結する電極パターンをさらに含む、請求項1から3の何れか1項に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記圧電振動素子及び前記キャパシタは、セラミック積層構造物で形成される、請求項1から4の何れか1項に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記セラミック積層構造物は、
第1面に第1電極パターンが形成され、前記圧電振動素子を構成する第1セラミック部材と、
前記第1セラミック部材上に形成され、第2電極パターンを有し、前記キャパシタを構成する第2セラミック部材と
を含む、請求項5に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記第1セラミック部材の第1側面及び前記第2セラミック部材の第1側面に形成され、前記第1電極パターンと連結される第3電極パターンと、
前記第1セラミック部材の第2側面及び前記第2セラミック部材の第2側面に形成され、前記第2電極パターンと連結される第4電極パターンと
をさらに含む、請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項8】
伝導性材質のケースをさらに含み、
前記ケースは、前記第4電極パターンと電気的に連結される、請求項7に記載の超音波センサ。
【請求項9】
前記第3電極パターンと電気的に連結される第2連結端子と、
前記ケースと電気的に連結される第1連結端子と
をさらに含む、請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項10】
前記第1セラミック部材の第1側面及び前記第2セラミック部材の第1側面に形成され、前記第1電極パターンと連結される第3電極パターンと、
前記第1セラミック部材の第2側面及び第2面並びに前記第2セラミック部材の第2側面に形成され、前記第2電極パターンと連結される第4電極パターンと
をさらに含む、請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項11】
前記第3電極パターンと電気的に連結される第2連結端子と、
前記第4電極パターンと電気的に連結される第1連結端子と
をさらに含む、請求項10に記載の超音波センサ。
【請求項12】
前記セラミック積層構造物は、
第1面に第1側面に延長される第1−1電極パターンが形成された二つ以上の第1−1セラミック部材と、
第1面に第2側面に延長される第1−2電極パターンが形成され、前記第1−1セラミック部材間に配置される第1−2セラミック部材と、
前記第1−1セラミック部材の第1面に形成され、第1面に第2電極パターンが形成される第2セラミック部材と
を含み、
前記第1−1セラミック部材及び前記第1−2セラミック部材は、前記圧電振動素子を構成し、
前記第2セラミック部材は、前記キャパシタを構成する、請求項5に記載の超音波センサ。
【請求項13】
分極された第1セラミック部材を用意する第1段階と、
前記第1セラミック部材の第1面に未分極の第2セラミック部材を形成する第2段階と、
前記第1セラミック部材及び前記第2セラミック部材を圧搾及び焼結する第3段階と
を含む、超音波センサの製造方法。
【請求項14】
前記第1セラミック部材及び前記第2セラミック部材に電極パターンを形成する第4段階をさらに含む、請求項13に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項15】
前記第1段階は、前記第1セラミック部材に高電圧を加える工程を含む、請求項13または14に記載の超音波センサの製造方法。
【請求項16】
第1面及び第2面に電極パターンが形成された第1セラミック部材を用意する段階と、
第1面に電極パターンが形成された第2セラミック部材を用意する段階と、
前記第1セラミック部材及び前記第2セラミック部材を積層し、積層された前記第1セラミック部材及び前記第2セラミック部材を圧搾及び焼結する段階と、
前記第1セラミック部材の電極パターンに高電圧を加えて前記第1セラミック部材に分極を形成する段階と
を含む、超音波センサの製造方法。
【請求項17】
前記第1セラミック部材の電極パターン及び前記第2セラミック部材の電極パターンを連結する段階をさらに含む、請求項16に記載の超音波センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115814(P2013−115814A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14544(P2012−14544)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】