説明

超音波プローブの圧電振動子、超音波プローブ、超音波診断装置及び超音波プローブにおける圧電振動子の製造方法

【課題】従来よりも接地電極の長さを短くして超音波プローブの厚み方向の寸法を小さくすることができ、なおかつ信号電極の表面をできるだけ平滑にすることができる超音波プローブの圧電振動子を提供する。
【解決手段】圧電振動子15の圧電体26に設けられた第二充填部34は、前記圧電体26の表面を研削した時に、圧電材部32よりも研削されずに前記圧電体26の表面において突出することになる材質の充填材によって形成されていて、前記圧電体26の表面から突出する突部34aを有しており、一方で第一充填部33は、前記圧電体26の表面を研削した時における被研削性が、前記第二充填部34を形成する充填材よりも優れている材質の充填材によって形成されており、前記突部34aの上の導電層27が突出して接地電極29の表面に突起部35が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に超音波を送受信する超音波プローブの圧電振動子、超音波プローブ、超音波診断装置及び超音波プローブにおける圧電振動子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に超音波を照射し、その反射エコー(echo)を画像化する超音波診断装置においては、超音波の送受信を行なう超音波プローブが超音波診断装置本体と接続されている。前記超音波プローブは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材からなる圧電振動子と、この圧電振動子に対して超音波照射側に配置される音響整合層と、前記圧電振動子に対して超音波照射側とは反対側に配置されるバッキング材層と、このバッキング材と前記圧電振動子の間に挟まれて、この圧電振動子の電極に接続されるフレキシブル基板とを備えている。
【0003】
前記圧電振動子としては、信号電極が形成された面と同一面に、この信号電極の形成面とは反対側の面から回り込むようにして接地電極を形成した、いわゆる回り込み電極構造の圧電振動子がある(例えば、特許文献1参照)。この圧電振動振動子は、前記信号電極が形成された面においては、この信号電極を挟むようにして両端部に接地電極が形成され、圧電振動子に電圧を印加すると、この圧電振動子において前記信号電極を有する中間部分が弾性振動するようになっている。このような回り込み電極構造の圧電振動子は、前記接地電極及び前記信号電極と、前記フレキシブル基板とを同一面において接続することができるので接続構造を簡単にすることができるというメリットを有している。
【0004】
また、前記圧電振動子として、PZT等からなる圧電体に形成した間隙に、充填材として樹脂を充填した複合圧電体が知られている(例えば、特許文献2参照)。この複合圧電体は、音響インピーダンスがPZTよりも小さくなって前記音響整合層の音響インピーダンスに近づくとともに、電気機械結合係数を上昇させることができるという効果を有している。前記のような回り込み電極構造の圧電振動子が複合圧電体である場合、前記信号電極が形成されている中間部に樹脂が充填されている。
【0005】
さらに、前記圧電振動子における超音波照射側とは反対側の面に、タングステン等で形成される反射層が接着される場合がある。この反射層は、前記圧電振動子の弾性振動によって生じる超音波を被検体の方向(前記音響整合層側)へ反射するものであり、前記圧電振動子による共鳴振動が励起されると、前記反射層を固定端とする定在波が形成される。
【0006】
ちなみに、前記反射層は、前記圧電振動子が回り込み電極構造である場合、前記信号電極と前記接地電極とに接着される。ここで、前記反射層を形成するタングステンは導電性を有しており、前記フレキシブル基板は前記反射層と接続され、この反射層を介して前記各電極と電気的に接続されている。
【特許文献1】特開2007−167445号公報
【特許文献2】特開2002−232995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記超音波プローブにおいて、超音波の走査方向に配列された圧電振動子が長くなると、前記超音波プローブの厚みが増すことになる。超音波プローブが厚くなると、特にセクタ型の超音波プローブにおいては、肋間からのスキャンを行う際に、被検体の体表との接触が不十分になり撮影上好ましくない。従って、前記圧電振動子が長くなることは好ましいことではない。しかし、前記回り込み電極構造の圧電振動子にあっては、一つの面に前記信号電極のほか前記接地電極を有する分だけ圧電振動子が長くなってしまう。ここで、回り込み電極構造を有する前記圧電振動子において、前記接地電極が形成されている両端部は超音波の送受信の際には振動しない部分であり、超音波の送受信には直接寄与しない部分である。従って、従来においては、前記接地電極をできるだけ短くして、圧電振動子の長さを抑制している。
【0008】
前記圧電振動子の信号電極及び接地電極と、前記フレキシブル基板又は前記反射層などの導体とは、エポキシ樹脂接着剤等を用いて圧着することにより接続されるようになっている。このような接続構造においては、前記圧電振動子における前記各電極の表面と前記フレキシブル基板における導体又は前記反射層の表面のそれぞれにおいて隆起している部分同士が接触して導通が成り立つようになっている。このようなことから、従来において、前記信号電極と同一の面に形成された前記接地電極の長さは、前記フレキシブル基板との導通が確保できる面積が最低限確保できるような長さになっている。従って、これ以上接地電極の長さを短くすることはできず、前記圧電振動子の長さを短くしようとした場合は、前記信号電極の長さを短くせざるを得ず、感度が劣化することになる。
【0009】
また、前記圧電振動子に前記反射層を接着する場合、前記圧電振動子及び前記反射層の対向する接着面に凹凸があると、凹部に接着剤が溜まり、この結果接着層が厚くなる。ここで、接着層が厚くなると、前記圧電振動子によって励起された共鳴振動において、前記反射層を固定端として十分に機能させることができなくなる。この結果、被検体側へ放射される超音波のパワーが損なわれることになる。また、超音波の受信時においても、前記反射層が固定端として十分に機能しなくなると、前記反射層側へエコー信号が透過し、前記圧電振動子で受信されるエコー信号が小さくなる。そこで、前記圧電振動子及び前記反射層の間の接着層をできるだけ薄く均一な厚さにするため、前記圧電振動子及び前記反射層の対向する接着面は、共に研削によって鏡面加工されて、凹凸がミクロンオーダー未満にまで抑えられる。
【0010】
しかし、前記圧電振動子が複合圧電体で形成される場合、充填材である樹脂と圧電材料とは弾性率が異なるために、前記圧電振動子を鏡面加工すると、研削時には樹脂の部分が圧縮され、その結果圧電材の部分に応力が集中する。従って、樹脂の部分よりも圧電材の部分が研削され、且つ研削後は応力が開放されて樹脂の部分は膨張して突出する。その結果、前記圧電振動子における前記反射層との接着面である前記信号電極表面の凹凸がミクロンオーダーを超えて大きくなり、前記反射層との間の前記接着層を薄く均一な厚さにすることができない。従って、特に複合圧電体で形成される圧電振動子においては、信号電極の表面をできるだけ平滑にすることが望まれている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、従来よりも接地電極の長さを短くして超音波プローブの厚み方向の寸法を小さくすることができ、なおかつ信号電極の表面をできるだけ平滑にすることができる超音波プローブの圧電振動子、超音波プローブ、超音波診断装置及び超音波プローブにおける圧電振動子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、圧電体の表面に設けられた導電層で構成される信号電極と接地電極とが前記圧電体における同一の面に形成された超音波プローブの圧電振動子であって、前記圧電体は、該圧電体に形成された間隙に充填材が充填されて形成された充填部と、圧電材からなる圧電材部とで構成され、前記充填部として、前記圧電振動子における前記信号電極を有する部分に設けられた第一充填部と、前記圧電振動子において前記信号電極と同一の面に形成された前記接地電極を有する部分に設けられた第二充填部とを有し、該第二充填部は、前記圧電体の表面を研削した時に、前記圧電材部よりも研削されずに前記圧電体の表面において突出することになる材質の充填材によって形成されていて、前記圧電体の表面から突出する突部を有しており、一方で前記第一充填部は、前記圧電体の表面を研削した時における被研削性が、前記第二充填部を形成する充填材よりも優れている材質の充填材によって形成されており、前記第二充填部における突部の上の前記導電層が突出して前記接地電極の表面に突起部が形成されている、ことを特徴とする超音波プローブの圧電振動子である。
【0013】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記第一充填部の充填材と前記第二充填部の充填材は、互いに前記被研削性が異なる樹脂であることを特徴とする超音波プローブの圧電振動子である。
【0014】
第3の観点の発明は、第1又は2の観点の発明において、前記信号電極及び前記接地電極には、前記圧電振動子に電圧を印加するための導体が面圧着されることを特徴とする超音波プローブの圧電振動子である。
【0015】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記接地電極は、前記圧電体の両端部において前記信号電極と同一面に形成されて前記突起部を有する第一の部分と、前記圧電体において前記第一の部分が形成された面と反対側の面に形成された第二の部分と、前記圧電体において前記第一の部分と前記第二の部分の間の側面に形成された第三の部分とからなり、また、前記信号電極は、前記圧電体における両端部の間の中間部の表面に、前記接地電極の第一の部分に挟まれるように形成されており、前記第一充填部は、前記圧電体における両端部の間の中間部分に設けられ、一方で前記第二充填部は、前記圧電体の両端部に設けられていることを特徴とする超音波プローブの圧電振動子である。
【0016】
第5の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記第一充填部と前記第二充填部をそれぞれ複数有し、隣り合う前記第二充填部同士の間隔が、隣り合う前記第一充填部同士の間隔よりも狭いことを特徴とする超音波プローブの圧電振動子である。
【0017】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記圧電振動子における前記信号電極及び前記接地電極が形成された面には、前記圧電振動子で発生する超音波を反射する反射層が接着されることを特徴とする超音波プローブの圧電振動子である。
【0018】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明に係る圧電振動子を備えることを特徴とする超音波プローブである。
【0019】
第8の観点の発明は、第7の観点の発明において、前記圧電振動子に対し、該圧電振動子における前記信号電極と前記接地電極とが形成された面とは反対側である超音波照射側に配置される音響整合層と、前記圧電振動子に対し、前記信号電極と前記接地電極とが形成された面側に配置されるバッキング材層と、該バッキング材層と前記圧電振動子との間に配置されて、前記信号電極及び前記接地電極と接続されるフレキシブル基板と、を備えることを特徴とする超音波プローブである。
【0020】
第9の観点の発明は、第8の観点の発明において、前記圧電振動子における前記信号電極と前記接地電極とが形成された面と圧着されて、該圧電振動子の弾性振動によって発生する超音波を反射する導電性の反射層を備え、該反射層を介して、前記フレキシブル基板が前記信号電極及び前記接地電極と接続されることを特徴とする超音波プローブである。
【0021】
第10の観点の発明は、第7〜9のいずれか一の観点の発明に係る超音波プローブを備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0022】
第11の観点の発明は、圧電材からなる圧電体に所定深さの第一の溝を形成する第一溝形成工程と、該第一の溝に充填材を充填して第一充填部を形成する第一充填部形成工程と、前記圧電体における前記第一の溝が形成された部分とは別の部分に、所定深さの第二の溝を形成する第二溝形成工程と、該第二の溝に充填材を充填して第二充填部を形成する第二充填部形成工程と、前記第一充填部及び前記第二充填部が形成された前記圧電体の表面を研削する研削工程と、該研削工程を経た前記圧電体の表面に、信号電極及び接地電極となる導電層を形成する導電層形成工程と、を含み、前記第二充填部形成工程において、前記第二の溝に充填される充填材は、前記研削工程において前記圧電体の表面を研削した時に、圧電材の部分よりも研削されずに前記圧電体の表面において突出することになる材質であり、また、前記第一充填部形成工程において、前記第一の溝に充填される充填材は、前記研削工程において前記圧電体の表面を研削した時における被研削性が、前記第二充填部を形成する充填材よりも優れている材質であり、前記研削工程では、前記第二充填部の一部を前記圧電体の表面から突出させて突部を形成する一方で、前記第一充填部が前記圧電体の表面から突出しないように研削を行い、前記導電層形成工程では、前記導電層を、前記突部の上において突出して突起部が形成されるようにして前記圧電体の表面に形成し、前記導電層における前記突起部が形成された部分は接地電極であることを特徴とする超音波プローブにおける圧電振動子の製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、前記圧電体に前記間隙を形成して充填材を充填した後であって、前記圧電体の表面に前記導電層を設ける前に、前記圧電体の表面を研削することにより、前記第二充填部の突部を形成することができる。そして、このように前記第二充填部の突部が形成された前記圧電体の表面に前記導電層を設けることにより、前記突部の上の導電層が突出して前記接地電極の表面に前記突起部を形成することができる。この突起部により、前記圧電振動子に電圧を印加するために前記接地電極と圧着される導体との導通を確実にすることができるので、従来よりも前記接地電極の長さを短くすることができる。従って、感度を劣化させることなく、前記圧電振動子を従来よりも短くすることができ、これによって超音波プローブの厚み方向の寸法を小さくすることができる。
【0024】
また、前記圧電体は、前記信号電極を有する部分に第一充填部が形成された複合圧電体であるが、前記第一充填部は、前記圧電体の表面を研削したときにおける被研削性が、前記第二充填部を形成する充填材よりも優れている材質の充填材によって形成されているので、前記導電層を設ける前における前記圧電体の表面の研削により、前記第一充填部を前記圧電体の表面から突出しないように形成することができる。従って、前記圧電体の表面に形成された前記導電層により構成される信号電極の表面をできるだけ平滑にすることができるので、この信号電極と接着剤によって圧着される前記導体との接着層をできるだけ薄くかつ均一にすることができる。
【0025】
さらに、前記信号電極の表面の平滑度が高く、一方で前記接地電極の表面には前記突起部が形成されているので、前記圧電振動子の平均の厚さが、前記信号電極を有する部分よりも前記接地電極を有する部分の方が厚くなる。これにより、前記圧電振動子の同一の面に形成された前記信号電極及び前記接地電極に前記導体を圧着したときの応力を、前記接地電極に集中させることができ、前記接地電極と前記導体とを強固に圧着することができる。従って、このようなことからも、前記接地電極の長さを従来よりも短くすることが可能であるということができる。
【0026】
また、前記第一充填部と前記第二充填部をそれぞれ複数有し、隣り合う前記第二充填部同士の間隔を、隣り合う前記第一充填部同士の間隔よりも狭くすることにより、前記第二充填部の突部の上に形成された突起部の間隔がより狭くなる。これにより、前記圧電振動子において前記接地電極を有する部分における平均の厚さがより厚くなるので、前記信号電極及び前記接地電極と、前記圧電振動子に電圧を印加するための導体とを面圧着した状態において圧着面にかかる応力が前記接地電極に集中する。従って、前記接地電極と前記導体との圧着力を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
第一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例の概略構成を示すブロック図、図2は、図1に示す超音波診断装置における超音波プローブの外観を示す一部切欠斜視図、図3は、第一実施形態の超音波プローブにおける機能素子部の外観を示す斜視図、図4は、図3に示す機能素子部の断面図、図5は、機能素子部を構成する圧電振動子を示す斜視図、図6〜図11は、圧電振動子の製造工程の概略説明図である。
【0028】
先ず、本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例の概略構成について図1に基づいて説明する。図1に示すように、超音波診断装置100は、超音波プローブ101とこの超音波プローブ101が接続される超音波診断装置本体102とを備えている。
【0029】
前記超音波プローブ101は、図2に示すように、本例ではセクター(sector)型のプローブであり、被検体に超音波を送信し、またこの超音波の送信に対して得られる超音波エコーを受信する。この超音波プローブ101の詳細な構成については後述する。
【0030】
前記超音波診断装置本体102は、送受信部103、画像処理部104、表示部105、制御部106、操作部107を備えている。前記送受信部103は、前記超音波プローブ101を駆動して超音波を送信させ、また前記超音波プローブ101で受信した超音波エコーについて、整相加算処理等の信号処理を行う。
【0031】
前記画像処理部104は、前記送受信部103で信号処理されたエコー信号に基づいて、Bモード画像等の超音波画像を作成する。そして、前記画像処理部104で作成された超音波画像は、前記表示部105に表示される。
【0032】
前記操作部107では、操作者によって各種の指示が入力されるようになっている。前記操作部107は、指示の入力があると、指示信号を前記制御部106へ出力する。前記制御部106は、前記操作部107からの指示信号や、予め記憶されたプログラム(program)に基づいて、前記超音波診断装置本体102の各部を制御する。
【0033】
前記超音波プローブ101について詳細に説明する。図2に示すように、前記超音波プローブ101は、先端部に音響レンズ部10を有している。また、前記超音波プローブ101は、プローブ筐体11、前記超音波診断装置本体102と接続するための接続ケーブル12を備えている。
【0034】
前記プローブ筐体11内には、機能素子部13が設けられている。この機能素子部13について、図3及び図4に基づいて詳細に説明する。前記機能素子部13は、音響整合層14、圧電振動子15、接着層16、反射層17、バッキング(backing)材層18、及びフレキシブル(flexible)基板19を備えている。x軸方向に長い直方体の形状を有する前記音響整合層14、前記圧電振動子15及び前記反射層17は、超音波の照射方向に沿った方向であるz軸方向に積み重ねられて積層体20を構成する。そして、この積層体20が、y軸方向に複数配列されている。
【0035】
前記音響整合層14は、前記圧電振動子15における超音波照射方向側の板面に接着されている(接着層については図示省略)。前記音響整合層14は、前記圧電振動子15と前記音響レンズ部10の中間の音響インピーダンスを有する。また、前記音響整合層14は、透過する超音波の概ね1/4波長の厚さを有し、音響インピーダンスの異なる境界面での反射を抑制する。また、前記音響整合層14は、本例では1層の例が図示されているが、2層或いは多層になっていてもよい。前記音響整合層14は、本発明における音響整合層の実施の形態の一例である。
【0036】
前記反射層17は、前記圧電振動子15における前記音響整合層14とは反対側の面に、エポキシ樹脂接着剤等からなる前記接着層16によって圧着されている。前記反射層17は、前記圧電振動子15の弾性振動によって前記反射層17側へ生じる超音波を被検体の方向へ反射する。前記反射層17は、本発明における反射層の実施の形態の一例である。
【0037】
ちなみに、前記圧電振動子15の後述する信号電極28及び前記接地電極29の間に印加される電圧によって圧電振動子15による共鳴振動が励起されると、前記反射層17を固定端とする定在波が形成される。この定在波は前記圧電振動子15の厚さを1/4波長とする定在波である。
【0038】
前記反射層17の材質は、超音波を反射するという目的から、音響インピーダンスの高いものが好ましく、タングステン(tungsten)等が用いられる。このタングステンは導電性を有しており、前記反射層17は、前記フレキシブル基板19の後述する第一銅箔層22及び第二銅箔層23と、前記圧電振動子15の信号電極28及び接地電極29とを電気的に接続する機能を有している。これにより、前記第一銅箔層22及び前記第二銅箔層23から供給される電圧が、前記反射層17を介して前記圧電振動子15に印加されるようになっている。前記反射層17は、本発明において、信号電極及び接地電極に圧着されて圧電振動子に電圧を印加するための導体の実施の形態の一例である。
【0039】
前記反射層17は、前記接着層16をできるだけ薄く均一にするために、前記圧電振動子15との接着面17aに鏡面研磨が施されている。
【0040】
前記反射層17、前記接着層16及び前記圧電振動子15の長さ方向における両端部には、掘削孔21,21が形成されている。この掘削孔21,21は、例えば前記圧電振動子15及び前記反射層17を前記接着層16によって接着した後、前記反射層17側からダイアモンド砥石等を用いた切削加工によって形成される。
【0041】
前記反射層17における前記圧電振動子15との接着面17aとは反対側の面には、前記バッキング材層18との間に前記フレキシブル基板19が接着剤を用いて圧着されている(接着層は図示省略)。そして、前記フレキシブル基板19は、前記バッキング材層18の厚み方向側面に沿って引き出され、前記接続ケーブル12と接続されている(接続構造については図示省略)。
【0042】
前記フレキシブル基板19の構成について説明すると、このフレキシブル基板19は、図4に示すように、第一銅箔層22、第二銅箔層23、第一ポリイミド(polyimide)膜層24及び第二ポリイミド膜層25の4層からなる。前記第一銅箔層22及び前記第二銅箔層23は、前記第一ポリイミド膜層24によって互いに絶縁されている。前記第一銅箔層22は、前記反射層17に接着された状態において、前記掘削孔21,21よりも前記反射層17における両端部側に位置するように形成されている。また、前記第二銅箔23は、前記第一ポリイミド膜層24及び前記第二ポリイミド膜層25の間に積層されるとともに、前記掘削孔21,21よりも前記反射層17における中央部側においては、スルーホール(through hole)Hを介して、前記第一銅箔層22と同一面にも存在している。同一面に存在する前記第一銅箔層22及び前記第二銅箔層23は、分割溝Gにより互いに絶縁されている。この分割溝Gは、前記フレキシブル基板19が前記反射層17に接着された状態において、前記掘削孔21,21の位置になるように形成されている。これにより、前記第一銅箔層22は、導電性を有する前記反射層17における前記掘削孔21,21よりも端部側と電気的に接続され、一方で前記第二銅箔層23は、前記反射層17における前記掘削孔21,21の間の中間部と電気的に接続される。従って、前記第一銅箔層22は、前記圧電振動子15における接地電極29の後述する第一の部分29a,29aと前記反射層17を介して電気的に接続され、また前記第二銅箔層23は、前記圧電振動子15の信号電極28と前記反射層17を介して電気的に接続される。
【0043】
ちなみに、前記接地電極29と接続される前記第一銅箔層22は、前記フレキシブル基板19の表面一面に形成されており、y軸方向に配列された全ての前記圧電振動子15の接地電極29の導通が共通して図られている。一方、前記第二銅箔層23は、図示しない銅箔層分割溝によってy軸方向に複数に分割され、前記フレキシブル基板19内に形成された図示しない銅箔パターンを複数有している。この銅箔パターンは、y軸方向に複数配列された前記積層体20ごとに形成されている。
【0044】
前記バッキング材層18は、前記フレキシブル基板19と接着され、或いは前記フレキシブル基板19の背面に直接形成され、このフレキシブル基板19を保持する。前記バッキング材層18は、本発明におけるバッキング材層の実施の形態の一例である。
【0045】
次に、前記圧電振動子15について、図3及び図4のほか、図5も参照して説明する。前記圧電振動子15は、圧電体26の表面にスパッタ(spatter)等によって形成された導電層27を有し、この導電層27により信号電極28及び接地電極29が構成されている。前記圧電体26、導電層27、信号電極28及び接地電極29は、それぞれ本発明における圧電体、導電層、信号電極及び接地電極の実施の形態の一例である。
【0046】
前記信号電極28は、前記圧電体26における前記掘削孔21,21の間の中間部26aに形成されている。また、前記接地電極29は、前記圧電体26の端部26b,26bにおいて、前記信号電極28と前記掘削孔21,21を隔てて同一面に形成された第一の部分29a,29aと、前記圧電体26において前記第一の部分29a,29aが形成された面と反対側の面に形成された第二の部分29bと、前記圧電体26において前記第一の部分29a,29aと前記第二の部分29bの間の側面に形成された第三の部分29c,29cとからなっている。前記信号電極28は、前記接地電極29における第一の部分29a,29aに挟まれるようにして形成されており、前記両電極28,29は、前記掘削孔21,21によって電気的に絶縁されている。そして、前記信号電極28及び前記接地電極29における第一の部分29a,29aが、前記反射層17と圧着されている。前記第一の部分29a、前記第二の部分29b及び前記第三の部分29cは、本発明における前記第一の部分、前記第二の部分及び前記第三の部分の実施の形態の一例である。
【0047】
前記圧電体26は、間隙30に充填材が充填されて形成された充填部31と、PZT等の圧電材からなる圧電材部32とで構成されている。前記圧電体26は、前記信号電極28を有する中間部26aに、前記充填部31として、後述する第一充填部33を有しており、複合圧電体である。前記充填部31及び前記圧電材部32は、それぞれ本発明における充填部及び圧電材部の実施の形態の一例である。
【0048】
前記充填部31としては、前記圧電体26における中間部26aに設けられた第一充填部33と、前記圧電体26における両端部、すなわち端部26b,26bに設けられた第二充填部34とを有している。これら第一充填部33及び第二充填部34は、それぞれ本発明における第一充填部及び第二充填部の実施の形態の一例である。前記第一充填部33及び前記第二充填部34は、それぞれ複数形成されており、本例では隣り合う前記第一充填部33同士の間隔T1と、隣り合う前記第二充填部34同士の間隔T2とが等しくなっている。
【0049】
前記第一充填部33及び前記第二充填部34についてさらに説明する。先ず、前記第二充填部34について説明すると、この第二充填部34は、前記圧電体26の表面を研削した時に、前記圧電材部32よりも研削されずに前記圧電体26の表面において突出することになる材質の充填材によって形成されていて、前記圧電体26の表面から突出する突部34a,34aを有している。この突部34a,34aは、本発明における突部の実施の形態の一例である。
【0050】
前記第一充填部33は、前記圧電体26の表面を研削した時における被研削性が、前記第一充填部33を形成する充填材よりも優れている材質の充填材によって形成されている。前記第一充填部33は、前記第二充填部34とは異なり、前記圧電体26の表面から突出しておらず、従って前記圧電体26における中間部26aの表面は平滑になっている。
【0051】
ここで、前記各充填部33,34を形成する充填材について具体的に説明する。前記各充填部33,34を形成する充填材は、被研削性が異なる樹脂が用いられ、本例では被研削性が異なるエポキシ樹脂が用いられる。すなわち、前記第二充填部34を形成する充填材としては、前記圧電体26の表面を研削した時に、前記圧電材部32よりも研削されずに、前記圧電体26の表面から突出する突部34a,34aが形成されるエポキシ樹脂が用いられる。一方、前記第一充填部33を形成する充填材としては、前記第二充填部34を形成する充填材よりも弾性率が低く、前記圧電体26の表面を研削した時における被研削性が、前記第二充填部34を形成するエポキシ樹脂よりも優れているエポキシ樹脂が用いられる。さらに、前記第一充填部33の充填材について云うと、この第一充填部33を形成するエポキシ樹脂は、前記圧電体26の表面を研削した時に、前記圧電体26の表面からの前記第一充填部33の突出を抑制することができる研削性を有する材質のエポキシ樹脂である。
【0052】
前記導電層27は、前記突部34a,34aの上において突出しており、前記接地電極29における第一の部分29a及び第二の部分29bは、突起部35を有している。この突起部35は、本発明における突起部の実施の形態の一例である。ここで、前記圧電振動子15と前記反射層17の間には前記接着層16が介在しているが、前記突起部35と前記反射層17との間には前記接着層16は介在せず、これにより前記突起部35と前記反射層17とが接触して互いに導通している。
【0053】
さて、上述のような構成の前記圧電振動子15の製造方法について図6〜図11に基づいて説明する。先ず、図6に示すように、前記圧電体26の中間部26aに、所定深さの第一の溝40を形成する(第一溝形成工程)。この第一の溝40は、前記圧電振動子15における前記間隙30(図4、図5参照)を構成する。次に、図7に示すように、前記第一の溝40にエポキシ樹脂からなる充填材を充填して前記第一充填部33を形成する(第一充填部形成工程)。
【0054】
次に、図8に示すように、前記圧電体26の端部26b,26bに、所定深さの第二の溝41を形成する(第二溝形成工程)。この第二の溝41も、前記間隙30を構成する。そして、図9に示すように、前記第二の溝41に、充填材として、前記第一の溝40に充填したエポキシ樹脂とは異なるエポキシ樹脂を充填して前記第二充填部34を形成する(第二充填部形成工程)。ただし、この時には前記第二充填部34は、前記突部34a,34aを有さない。
【0055】
前記各充填部33,34を構成するエポキシ樹脂が硬化した後、図10に示すように、前記圧電体26の両面を研削する(研削工程)。この時、前記第二充填部34は、前記圧電材部32及び前記第一充填部33よりも弾性率が低いため圧縮され、前記第二充填部34よりも前記圧電材部32及び前記第一充填部33に大きな応力がかかる。従って、前記第二充填部34よりも前記圧電材部32及び前記第一充填部33が研削され、かつ研削後は前記第二充填部34が膨張して前記圧電体26の表面において突出し、前記突部34a,34aが形成される。一方で、前記第一充填部33については、前記圧電材部32と同様に研削され、前記圧電体26において、前記第一充填部33を有する中間部26aは、表面が平滑になる。
【0056】
前記研削工程の後、図11に示すように、前記圧電体26の表面に導電層27をスパッタ等によって形成する(導電層形成工程)。前記導電層27の形成は、前記突部34a,34aの上に、前記突起部35が形成されるように行う。
【0057】
ちなみに、前記各工程を経て得られた圧電振動子15を、前記反射層17と前記接着層16によって接着した後、前記反射層17側から切削加工を行って前記掘削孔21,21(図11では図示省略)を形成することにより、前記信号電極28及び前記接地電極29が形成される。また、前記各工程を経て得られた圧電振動子15は、縦方向及び横方向にほぼ同じ長さを有する板状体であり、この板状体からなる圧電振動子15を前記バッキング材層18及び前記フレキシブル基板19上に積層した後に、y軸方向に分割することにより、y軸方向に配列された短冊状の圧電振動子15を形成する。
【0058】
以上説明した本例によれば、前記接地電極29に形成された突起部35により、前記接地電極29と前記反射層17との導通を確実にすることができるので、前記信号電極28と同一の面に形成された前記接地電極29の前記第一の部分29a,29aの長さを、従来よりも短くすることができる。従って、感度を劣化させることなく、前記圧電振動子15を従来よりも短くすることができ、これによって超音波プローブ101の厚み方向(x軸方向)の寸法を小さくすることができる。
【0059】
また、前記第一充填部33は、前記圧電体26の表面に突出せず、この圧電体26の中間部26aの表面を平滑にすることができる。これにより、前記信号電極28の表面の凹凸をミクロンオーダー未満に抑えることができ、できるだけ平滑にすることができるので、前記接着層16をできるだけ薄くかつ均一にすることができる。これにより、前記圧電振動子15によって励起される共鳴振動における前記反射層17の固定端としての機能を、前記接着層16が妨げることはなく、被検体側へ放射される超音波のパワーを大きくすることができる。また、超音波の受信時においても、前記反射層17の固定端としての機能を前記接着層16が妨げることがないので、前記反射層17側へ透過しようとするエコー信号を前記圧電振動子15内にとどめ、この圧電振動子15で受信されるエコー信号を大きくすることができる。
【0060】
さらに、前記信号電極28の表面の平滑度が高く、一方で前記接地電極29の表面には前記突起部35が形成されているので、前記圧電振動子15の平均の厚さが、前記信号電極28を有する中間部26aよりも前記接地電極29を有する端部26b,26bの方が厚くなる。これにより、前記信号電極28及び前記接地電極29の第一の部分29aに、前記反射層17を圧着したときの応力を前記接地電極29の第一の部分29aに集中させることができ、前記接地電極29と前記反射層17とを強固に圧着することができる。従って、このようなことからも、前記接地電極29の長さを従来よりも短くすることが可能であるということができる。
【0061】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。図12は、第二実施形態の超音波プローブにおける機能素子部の断面図である。なお、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図12に示す本例の圧電振動子50では、隣り合う前記第二充填部34同士の間隔T2が、隣り合う前記第一充填部33同士の間隔T1よりも狭くなっている。隣り合う前記第一充填部33同士の間隔T1は、第一実施形態と同様であることから、隣り合う前記第二充填部34同士の間隔T2は、第一実施形態よりも狭くなっている。
【0063】
本例の圧電振動子50も、第一実施形態の圧電振動子15の製造工程と基本的には同様の製造工程を経て製造される。ただし、第二溝形成工程においては、図13に示すように、隣り合う前記第二の溝41同士の間隔T2が、隣り合う前記第一の溝40同士の間隔T1よりも狭くなるように、前記第二の溝41を形成する。
【0064】
本例の圧電振動子50によれば、隣り合う前記第二充填部34同士の間隔T2は、隣り合う前記第一充填部33同士の間隔T1よりも狭く、第一実施形態よりも隣り合う前記第二充填部34同士の間隔T2が狭くなっているので、隣り合う前記突起部35同士の間隔が第一実施形態よりも狭くなる。これにより、前記圧電振動子15において前記接地電極29の第一の部分29a,29aが形成された両端部の平均の厚さをより厚くすることができるので、前記接地電極29の第一の部分29aと前記反射層17とをより強固に圧着することができる。
【0065】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記突起部35は、前記信号電極28と同一の面に形成された前記接地電極29の第一の部分29a側のみに設けられていてもよい。
【0066】
また、前記機能素子部13は、前記反射層17を有していなくてもよい。この場合、前記圧電振動子15における前記音響整合層14とは反対側の面には、前記フレキシブル基板19を接着剤を用いて圧着する。
【0067】
また、前記第一充填部33よりも前記第二充填部34を太くして、研削によって前記第二充填部34の先端が前記圧電体26の表面から突出しやすくしてもよい。この場合には、前記第一充填部33の太さが前記第二充填部34よりも細いので、研削によって前記圧電体26における中間部26の表面を容易に平滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施の形態の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における超音波プローブの外観を示す一部切欠斜視図である。
【図3】第一実施形態の超音波プローブにおける機能素子部の外観を示す斜視図である。
【図4】図3に示す機能素子部の断面図である。
【図5】機能素子部を構成する圧電振動子を示す斜視図である。
【図6】圧電振動子の製造工程における第一溝形成工程を示す概略説明図である。
【図7】圧電振動子の製造工程における第一充填部形成工程を示す概略説明図である。
【図8】圧電振動子の製造工程における第二溝形成工程を示す概略説明図である。
【図9】圧電振動子の製造工程における第二充填部形成工程を示す概略説明図である。
【図10】圧電振動子の製造工程における研削工程を示す概略説明図である。
【図11】圧電振動子の製造工程における導電層形成工程を示す概略説明図である。
【図12】第二実施形態の超音波プローブにおける機能素子部の断面図である。
【図13】第二実施形態における圧電振動子の製造工程の中の第二溝形成工程を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0069】
14 音響整合層
15,50 圧電振動子
17 反射層
18 バッキング材層
19 フレキシブル基板
26 圧電体
26a 中間部
26b 端部
27 導電層
28 信号電極
28a 第一の部分
28b 第二の部分
28c 第三の部分
29 接地電極
30 間隙
31 充填部
32 圧電材部
33 第一充填部
34 第二充填部
34a 突部
35 突起部
40 第一の溝
41 第二の溝
100 超音波診断装置
101 超音波プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体の表面に設けられた導電層で構成される信号電極と接地電極とが前記圧電体における同一の面に形成された超音波プローブの圧電振動子であって、
前記圧電体は、該圧電体に形成された間隙に充填材が充填されて形成された充填部と、圧電材からなる圧電材部とで構成され、
前記充填部として、前記圧電振動子における前記信号電極を有する部分に設けられた第一充填部と、前記圧電振動子において前記信号電極と同一の面に形成された前記接地電極を有する部分に設けられた第二充填部とを有し、
該第二充填部は、前記圧電体の表面を研削した時に、前記圧電材部よりも研削されずに前記圧電体の表面において突出することになる材質の充填材によって形成されていて、前記圧電体の表面から突出する突部を有しており、一方で前記第一充填部は、前記圧電体の表面を研削した時における被研削性が、前記第二充填部を形成する充填材よりも優れている材質の充填材によって形成されており、
前記第二充填部における突部の上の前記導電層が突出して前記接地電極の表面に突起部が形成されている、
ことを特徴とする超音波プローブの圧電振動子。
【請求項2】
前記第一充填部の充填材と前記第二充填部の充填材は、互いに前記被研削性が異なる樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブの圧電振動子。
【請求項3】
前記信号電極及び前記接地電極には、前記圧電振動子に電圧を印加するための導体が面圧着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブの圧電振動子。
【請求項4】
前記接地電極は、前記圧電体の両端部において前記信号電極と同一面に形成されて前記突起部を有する第一の部分と、前記圧電体において前記第一の部分が形成された面と反対側の面に形成された第二の部分と、前記圧電体において前記第一の部分と前記第二の部分の間の側面に形成された第三の部分とからなり、
また、前記信号電極は、前記圧電体における両端部の間の中間部の表面に、前記接地電極の第一の部分に挟まれるように形成されており、
前記第一充填部は、前記圧電体における両端部の間の中間部分に設けられ、一方で前記第二充填部は、前記圧電体の両端部に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波プローブの圧電振動子。
【請求項5】
前記第一充填部と前記第二充填部をそれぞれ複数有し、隣り合う前記第二充填部同士の間隔が、隣り合う前記第一充填部同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波プローブの圧電振動子。
【請求項6】
前記圧電振動子における前記信号電極及び前記接地電極が形成された面には、前記圧電振動子で発生する超音波を反射する反射層が接着されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波プローブの圧電振動子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項8】
前記圧電振動子に対し、該圧電振動子における前記信号電極と前記接地電極とが形成された面とは反対側である超音波照射側に配置される音響整合層と、
前記圧電振動子に対し、前記信号電極と前記接地電極とが形成された面側に配置されるバッキング材層と、
該バッキング材層と前記圧電振動子との間に配置されて、前記信号電極及び前記接地電極と接続されるフレキシブル基板と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記圧電振動子における前記信号電極と前記接地電極とが形成された面と圧着されて、該圧電振動子の弾性振動によって発生する超音波を反射する導電性の反射層を備え、該反射層を介して、前記フレキシブル基板が前記信号電極及び前記接地電極と接続されることを特徴とする請求項8に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の超音波プローブを備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
圧電材からなる圧電体に所定深さの第一の溝を形成する第一溝形成工程と、
該第一の溝に充填材を充填して第一充填部を形成する第一充填部形成工程と、
前記圧電体における前記第一の溝が形成された部分とは別の部分に、所定深さの第二の溝を形成する第二溝形成工程と、
該第二の溝に充填材を充填して第二充填部を形成する第二充填部形成工程と、
前記第一充填部及び前記第二充填部が形成された前記圧電体の表面を研削する研削工程と、
該研削工程を経た前記圧電体の表面に、信号電極及び接地電極となる導電層を形成する導電層形成工程と、を含み、
前記第二充填部形成工程において、前記第二の溝に充填される充填材は、前記研削工程において前記圧電体の表面を研削した時に、圧電材の部分よりも研削されずに前記圧電体の表面において突出することになる材質であり、
また、前記第一充填部形成工程において、前記第一の溝に充填される充填材は、前記研削工程において前記圧電体の表面を研削した時における被研削性が、前記第二充填部を形成する充填材よりも優れている材質であり、
前記研削工程では、前記第二充填部の一部を前記圧電体の表面から突出させて突部を形成する一方で、前記第一充填部が前記圧電体の表面から突出しないように研削を行い、
前記導電層形成工程では、前記導電層を、前記突部の上において突出して突起部が形成されるようにして前記圧電体の表面に形成し、前記導電層における前記突起部が形成された部分は接地電極である
ことを特徴とする超音波プローブにおける圧電振動子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−154382(P2010−154382A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331888(P2008−331888)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】