説明

超音波プローブ向け多層インピーダンス整合構造

【課題】超音波プローブ向けに、整合層部分が薄く、減衰が小さい多層インピーダンス整合構造を提供すること。
【解決手段】超音波プローブ(106)向け音響スタック(270)は、上側と下側とがある圧電層(272)および整合層構造体(220)を形成する複数の整合層部分(222、224、226、228、230)を備える。整合層部分(222、230)のそれぞれが、第1の材料を含むばね層(234、236、238、240、242)および第1の材料と異なる第2の材料を含む質量層(244、246、248、250、252)を備える。圧電層(272)に最も接近して配置される整合層部分(222)内のばね層(234)は、その他の整合層部分(224〜230)内のばね層(236〜242)より薄い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、一般に超音波プローブに関し、より詳細には、超音波プローブ内の音響スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブは、一般に、それぞれがプローブの結像要素に相当する多くの音響スタックを有する。各音響スタックは、ともに積層構成に取り付けられたいくつかの層を有する。スタック内の圧電層は、高インピーダンスを有する圧電セラミックなどの圧電材料で形成される。
【0003】
圧電層の上側に整合層が設けられ、高インピーダンスを有する圧電層と低インピーダンスを有するプローブの外部またはレンズとの間の音響インピーダンスを変換する。この低インピーダンスは、水、人、またはスキャンされることになる他の対象の音響インピーダンスに基づくものでよい。多くのプローブが、4分の1波長整合に基づく2つの整合層を含み、整合層のそれぞれが約4分の1波長の厚さである。各4分の1波長整合層は、限定された帯域幅内のインピーダンスを変換するように働く。2つの4分の1波長整合層を用いると、帯域幅の範囲が80パーセントと90パーセントとの間に限定される。より大きな帯域幅でインピーダンス整合を実現するには、多くの4分の1波長整合層が必要である。しかし、4分の1波長整合層の数が増加すると、スタックの厚さが大幅に増加し、信号減衰が増加する。さらに、積層材料をダイシングするのがますます困難になり、また、依然として所望の寸法形状およびインピーダンスを制御する一方で4分の1波長整合層のそれぞれ向けに適切な材料を見いだすのが困難なことがある。
【0004】
さらに、個別の4分の1波長整合層の代わりに、インピーダンスが連続的に変化する材料を用いた傾斜型整合層、または様々な音響インピーダンスを有する何層もの異なる材料を用いた段階型整合層を用いることが提案されている。しかし、これらの段階型整合層の構成は、必然的に、整合層の全体的厚さが厚すぎるものになる。優れた整合特性が達成されるのは、段階型整合層の厚さが、少なくとも1波長または2波長の範囲内にある場合のみである。この厚さでは、超音波信号の強い減衰が生じる。薄い層でなくより厚い層については、ダイシングが困難であり、大きなブレード突出し量が必要になるので、層の厚さのためにダイシング作業が非常に困難になる。しかし、段階型整合層が1波長未満の厚さであると、帯域幅における整合不良またはリンギングが生じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,822,373B1号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、超音波プローブ向け音響スタックは、上側および下側を有する圧電層ならびに整合層構造体を形成する複数の整合層部分を備える。整合層部分のそれぞれが、第1の材料を含むばね層および第1の材料と異なる第2の材料を含む質量層を備える。圧電層に最も接近して配置される整合層部分内のばね層は、その他の整合層部分内のばね層より薄い。
【0007】
別の実施形態では、超音波プローブ向け音響スタックの整合層構造体を形成する方法は、下側にばね層を備え、上側に質量層を備える第1の整合層部分を形成するステップを含む。第1の整合層部分の下側は、圧電層および4分の1波長整合層のうちの1つに付着するように構成される。ばね層はばね材料を含み、質量層は、ばね材料より高いインピーダンスを有する質量材料を含む。下側にばね層および上側に質量層を備える少なくとも1つの追加の整合層部分が形成される。追加の整合層部分の下側は、第1の整合層部分の上側に付着するように構成される。ばね層はばね材料を含み、質量層は質量材料を含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、超音波プローブ向け音響スタックの整合層構造体を形成する方法は、ばね材料を含むばね層を形成し、ばね層の上に、質量材料を含む質量層を形成することにより第1の整合層部分を形成するステップを含む。質量材料は、ばね材料より高密度である。質量材料を含む質量層とばね材料を含むばね層とを交番させて形成することにより、第1の整合層部分の上にN個の整合層部分が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によって形成された超音波システムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によって形成された3次元(3D)対応の小型超音波システムを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によって形成された移動式超音波結像システムを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によって形成された手持ち式またはポケットサイズの超音波結像システムを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によって形成された、超音波プローブ内で使用するための整合層構造体を示す図である。
【図6】図5の整合層構造体を構築するのに用いられる整合層部分の機械的性質の電気的等価物を与える4分の1波長伝送路向けに本発明の一実施形態によって形成された集中定数回路を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による図5の整合層構造体に基づく帯域幅性能の音響シミュレーションを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による図5の整合層構造体に基づく帯域幅性能の音響シミュレーションを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による図5の整合層構造体に基づく帯域幅性能の音響シミュレーションを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による図5の整合層構造体に基づく帯域幅性能の音響シミュレーションを示す図である。
【図11】本発明の一実施形態によるプローブの整合層構造体内に含む整合層部分の数を求める方法を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態によって形成された整合層構造体および4分の1波長整合層の両方を含む音響スタックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施形態の上記概要ならびに以下の詳細な説明は、添付図面と共に読まれると一層よく理解されるであろう。図が様々な実施形態の機能ブロックの図を示す限りでは、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路間の分割を示すものではない。したがって、例えば1つまたは複数の機能ブロック(例えばプロセッサまたはメモリ)が、ハードウェア単体(例えば汎用信号プロセッサまたはランダムアクセスメモリ、ハードディスクなど)で実施されてよい。同様に、プログラムは、スタンドアローンのプログラム、サブルーチンとしてオペレーティングシステムに組み込まれたもの、インストールされたソフトウェアパッケージ中の関数などでよい。様々な実施形態が、図に示された機構および手段に限定されないことを理解されたい。
【0011】
本明細書に用いられる、単数形で、「ある」または「1つの」という語が先行して列挙される要素またはステップは、前記要素またはステップのそのような複数形を除外することが明記されなければ、除外されないことを理解されたい。その上、本発明の「一実施形態」への言及は、これも列挙された特徴を内蔵するさらなる実施形態の存在を排除するように解釈されることを意図するものではない。さらに、それと反対に、明記されなかった場合は、特定の特性を有する1つまたは複数の要素を「備える」または「有する」実施形態は、その特性を有しない追加要素を含んでよい。
【0012】
図1は、プローブ106内の要素(例えば圧電要素)の配列104を駆動して身体内へパルス状の超音波信号を発する送信器102を含む超音波システム100を示す。(図5および図12に示されるように)プローブ106は、整合層構造体を含んでよい。要素104は、例えば1次元または2次元に配置されてよい。様々な幾何学的配置が用いられてよい。システム100は、プローブ106を受けるためのプローブポート120を有してよく、あるいはプローブ106はシステム100に結線で接続されてよい。
【0013】
超音波信号は、身体内の脂肪組織または筋組織のような組織から後方散乱され、要素104へ戻るエコーを生成する。エコーは受信器108によって受け取られる。受け取られたエコーは、ビーム形成を行って無線周波数(RF)信号を出力するビームフォーマ110を通過する。次いで、RF信号はRFプロセッサ112を通過する。あるいは、RFプロセッサ112は、RF信号を復調して、エコー信号を表す位相一致2次(IQ)データ対を形成する複合復調器(図示せず)を含んでよい。次いで、RF信号またはIQ信号のデータは、記憶のためにメモリ114へ直接送られてよい。
【0014】
超音波システム100は、取得した超音波情報(例えばRF信号データまたはIQデータ対)を処理して表示器118上に表示するために超音波情報のフレームを用意するように、プロセッサモジュール116も含む。プロセッサモジュール116は、取得された超音波情報上の複数の選択可能な超音波の特徴的属性に従って1つまたは複数の処理動作を行うように適合される。取得された超音波情報は、エコー信号が受信されるとき、スキャン期間中にリアルタイムで処理され、かつ表示されてよい。それに加えて、またはその代わりに、超音波情報は、スキャン期間中にメモリ114またはメモリ122に一時的に保存され、次いでオフライン動作で処理され、かつ表示されてよい。
【0015】
ユーザインターフェース124は、システム100へのデータ入力、設定の調整、およびプロセッサモジュール116の動作の制御に用いられてよい。ユーザインターフェース124は、キーボード、トラックボールおよび/またはマウス、複数のノブ、スイッチまたはタッチスクリーンなどの他の入力デバイスを有してよい。表示器118は、ユーザに対して、診断および分析のための超音波診断画像を含む患者の情報を表示する1つまたは複数のモニタを含む。メモリ114およびメモリ122の一方または両方が超音波データの2次元(2D)および/または3次元(3D)のデータセットを保存してよく、そのようなデータセットは2Dおよび/または3Dの画像を表示するためにアクセスされる。複数の連続した3Dデータセットも、リアルタイムの3Dまたは4次元(4D)の表示器をもたらすためなど、時間にわたって取得され、かつ保存されてよい。画像は変更されてよく、また、表示器118の表示設定もユーザインターフェース124を用いて手動で調整されてよい。
【0016】
図2は、整合層構造体を含み得るプローブ132を有する3D対応の小型超音波システム130を示す。プローブ132は、3D超音波データを取得するように構成されてよい。例えば、図1のプローブ106に関して以前に論じられたように、プローブ132は、変換器要素104の2Dの配列を有してよい。ユーザインターフェース134(これも一体化された表示器136を含んでよい)が設けられて、オペレータから命令を受け取る。
【0017】
本明細書に用いられる「小型」は、超音波システム130が、手持ち式デバイスまたは自分で運ぶデバイスであるか、あるいは人の手、ポケット、ブリーフケース大の容器、またはバックパックで運搬するように構成されることを意味する。例えば、超音波システム130は、例えば奥行き約2.5インチ、幅約14インチ、および高さ約12インチの寸法の一般的なラップトップコンピュータのサイズを有する手持ち式デバイスでよい。超音波システム130は重さ約10ポンドであり得て、したがってオペレータによって容易に持ち運び可能である。一体化された表示器136(例えば内蔵表示器)も設けられ、医療用画像を表示するように構成される。
【0018】
超音波データは、有線または無線のネットワーク140(あるいは例えばシリアルもしくはパラレルのケーブルまたはUSBポートを介した直接接続)によって外部デバイス138へ送られてよい。いくつかの実施形態では、外部デバイス138は、表示器を有するコンピュータまたはワークステーションでよい。あるいは、外部デバイス138は、持ち運び型超音波システム130から画像データを受け取ることができ、一体化された表示器136より大きな分解能を有する画像を表示するかまたは印刷することができる個別の外部表示器またはプリンタでよい。様々な寸法、重さおよび電力消費の小型超音波システムと関連して、様々な実施形態が実施され得ることに留意されたい。
【0019】
図3は、可動ベース146上に設けられた移動式超音波画像診断システム144を示す。超音波画像診断システム144は、カートベースのシステムと称されてもよい。表示器142およびユーザインターフェース148が設けられるが、表示器142は、ユーザインターフェース148から分離しているかまたは分離可能でよいことを理解されたい。システム144は、整合層構造体を含み得るプローブ(図示せず)を受けるために少なくとも1つのプローブポート150を有する。
【0020】
ユーザインターフェース148は、適宣タッチスクリーンでよく、オペレータは、表示された図、アイコンなどに触れることにより選択肢を選択することができる。ユーザインターフェース148は、望まれたとき、または必要に応じて、かつ/または通常設けられているとき、超音波画像診断システム144を制御するのに用いることができる制御ボタン152も含む。ユーザインターフェース148は、ユーザが、表示され得る超音波データおよび他のデータと相互作用するために、また、情報を入力し、走査パラメータを設定しかつ変更するために、物理的に操作することができる複数のインターフェース選択肢を提供する。インターフェース選択肢は、特定入力、プログラマブル入力、文脈入力などに用いられ得る。例えば、キーボード154およびトラックボール156が設けられてよい。
【0021】
図4は、手持ち式またはポケットサイズの超音波画像診断システム170を示し、表示器172およびユーザインターフェース174が単一ユニットを形成する。一例として、ポケットサイズの超音波画像診断システム170は、幅約2インチ、長さ約4インチ、かつ奥行き約0.5インチで重さが3オンス未満でよい。表示器172は、例えば320×320ピクセルのカラーLCD表示器(これに医療用画像176が表示され得る)でよい。適宣、ユーザインターフェース174には押しボタン182のタイプライタ状キーボード180が含まれてよい。整合層構造体を含み得るプローブ178が、システム170と相互に接続される。
【0022】
多機能制御184は、それぞれシステム操作のモードに従って機能を割り当てられてよい。したがって、多機能制御184のそれぞれが複数の様々な動作をもたらすように構成されてよい。必要に応じて、表示器172上に多機能制御184に関連したラベル表示領域186が含まれてよい。システム170は、特殊用途の機能のために追加のキーおよび/または制御188も有してよく、それらは、「静止」、「深度制御」、「利得制御」、「カラーモード」、「プリント」、および「保存」を含んでよいが、これらには限定されない。
【0023】
本明細書で説明されたような整合層構造体は、4分の1波長整合層または段階型整合層の少なくとも1つの代わりに、超音波プローブ106の音響スタック内に用いられてよい。少なくとも1つの実施形態の技術的効果は、整合層構造体によって実現される段階型インピーダンステーパーを近似するのに、集中型の機械的整合回路(本明細書では集中定数回路とも称される)に基づく機械的等価物を用いてよいことである。集中型の機械的整合回路の実用的な実現は、選択された機械的性質を有する薄い材料層の組合せを用いて形成される。様々な機械的性質を有する層の組立体は、等価質量およびばねの発振器を模倣することになる。
【0024】
整合層構造体は、本明細書では整合層部分と称される整合層等価物の少なくとも2つの部分を含む。整合層部分のそれぞれが、層内に形成され得る少なくとも2つの材料を含む。この2つの材料は、材料の機械的性質に基づいて選択される。例えば、本明細書でばね材料と称される材料のうちの1つは、エポキシ樹脂ベースの負のフォトレジストのSU8(登録商標)またはポリイミド材料のKapton(登録商標)など、高分子またはフィルムなどの比較的低損失かつ低密度の材料であり、1.5メガレイル(MR)未満の音響インピーダンスを有してよい。本明細書で質量材料と称されるもう一方の材料は、タングステン、銅または他の金属など比較的高密度の材料であり、30MRにより近い音響インピーダンスを有してよい。他の材料を用いてよいことを理解されたい。整合層部分のそれぞれは、例えば約50マイクロメートル(μm)である4分の1波長よりはるかに薄い厚さを有するが、他の厚さが企図される。
【0025】
整合層部分は、各整合層部分の材料のそれぞれの量または割合を調整することにより形成される。例えば、最高のインピーダンスを有する整合層部分は、質量材料が最高の割合であってばね材料が最低の割合であり、また、最低のインピーダンスを有する整合層部分は、質量材料が最低の割合であってばね材料が最高の割合である。最高のインピーダンスを有する整合層部分は、スタック内の圧電層に最も接近して配置され、また、最低のインピーダンスを有する整合層部分は、低インピーダンスの媒体と整合するとき、レンズに最も接近して配置される。
【0026】
図5は、5つの同等な整合層部分を有する整合層構造体220を示す。整合層部分の他の数を用いてよいことを理解されたい。整合層部分は、第1の整合層部分(ML1)222、第2の整合層部分(ML2)224、第3の整合層部分(ML3)226、第4の整合層部分(ML4)228および第5の整合層部分(ML5)230と称されてよい。整合層構造体220は、厚さ276を有し、少なくとも1つの圧電層272を有する音響スタック270内に含まれる。スタック270上にレンズ274が形成されてよい。図示されていないが、スタック270内には、不整合層部分、支持ブロック、4分の1波長層など追加の整合層等の付加層が含まれてよい。
【0027】
整合層部分222〜230のそれぞれは、質量材料およびばね材料の両方を含む厚さ232を有する。一実施形態では、それぞれの整合層部分222〜230は、同一の厚さ232を有してよい。別の実施形態では、整合層部分222〜230の厚さ232が変化してよい。整合層部分222〜230の厚さは説明だけの目的で示されており、圧電層272およびレンズ274の厚さに対して原寸に比例しないことに留意されたい。
【0028】
整合層部分222〜230のそれぞれは質量層およびばね層を備える。いくつかの実施形態では、整合層部分222〜230の1つまたは複数が、質量層だけ、またはばね層だけを含んでよい。用語「ばね層」は、質量層に付着したとき、機械インピーダンスが主としてばねと同様に働く層をもたらす厚さおよび特定のインピーダンスを有する材料の層を指す。用語「質量層」は、ばね層に付着したとき、機械インピーダンスが主として質量と同様に働く層をもたらす厚さおよび特定のインピーダンスを有する材料の層を指す。第1の整合層部分222は、ばね層234および質量層244を含む。第2の整合層部分224は、ばね層236および質量層246を含む。第3の整合層部分226は、ばね層238および質量層248を含む。第4の整合層部分228は、ばね層240および質量層250を含む。第5の整合層部分230は、ばね層242および質量層252を含む。ばね層234〜242および質量層244〜252のそれぞれが、ある厚さ(以下でさらに論じる)を有するが、いくつかの実施形態では、ばね層および質量層のそれぞれの厚さが、製造プロセスに基づいて整合層部分222〜230にわたってわずかに変化することがある。
【0029】
整合層部分222〜230のそれぞれに関して、ばね材料に対する質量材料の比または割合は、伝送路に沿って音響インピーダンスの所望の変化を達成するために変化させてよい。第1の整合層部分222の下側278は、導電性の、のり、接着剤または他の材料などで圧電層272に付着される。圧電層272の音響インピーダンスと整合するために、第1の整合層部分222は整合層部分222〜230のすべての中で最高のインピーダンスを有する。最高のインピーダンスを達成するために、第1の整合層部分222は、他の整合層部分224〜230と比較して質量材料の割合または比率が最も大きい。したがって、圧電層272より低いインピーダンスを有する水またはレンズ274などの媒体に対して整合するとき、実際の材料については、一般に、質量層244の厚さ254は、他の整合層部分224〜230のうちいかなる質量層246〜252の厚さより大きく、また、実際の材料については、一般に、ばね層234の厚さ256は、他の整合層部分224〜230のうちいかなるばね層236〜242の厚さより薄い。
【0030】
第2の整合層部分224の下側280が、第1の整合層部分222の上側282に付着される。第2の整合層部分224の音響インピーダンスは、第1の整合層部分222の音響インピーダンスより低い。より低い音響インピーダンスを達成するために、第2の整合層部分224に混合する質量材料は、第1の整合層部分222に混合する質量材料より、相対的に少量である。したがって、質量層246の厚さ258は、質量層244の厚さ254より薄い。また、ばね層236の厚さ260は、ばね層234の厚さ256より大きい。整合層構造体220の全体にわたってこのパターンが繰り返され、その結果、第5の整合層部分230が、整合層部分222〜230のすべての中で最低の音響インピーダンスを有する。最低の音響インピーダンスを達成するために、第5の整合層部分230は、他の整合層部分222〜228のすべてと比較して、混合される質量材料が最も少量である。したがって、質量層252の厚さ262は、他の質量層244〜250のうちいかなる質量層の厚さより薄く、また、ばね層242の厚さ264は、他のばね層234〜240のうちいかなるばね層の厚さより厚い。換言すれば、ばね層234〜242は、圧電層272からの距離が増加するのにつれて連続的に増加する厚さを有してよく、その一方で、質量層244〜252は、圧電層272からの距離が増加するのにつれて連続的に減少する厚さを有してよい。別の実施形態では、厚さの変化が連続的でなくてよく、すなわち、1つまたは複数のばね層234〜242が別のばね層234〜242と同一の厚さを有してよく、また、1つまたは複数の質量層244〜252が別の質量層244〜252と同一の厚さを有してよい。さらに別の実施形態では、質量またはばねの層のうち一方の厚さを一定に保ってよく、他方の層の厚さを減少または増加させる。
【0031】
図6は、図5の整合層構造体220を構築するのに用いられる整合層部分222〜230の機械的性質の電気的等価回路を与える、4分の1波長伝送路向けの集中定数回路200を示す図である。換言すれば、集中定数回路200内の電子素子(例えばコイル、コンデンサなど)は、ばね層材料および質量層材料の音響特性を推定するのに用いられ得る。したがって、集中定数回路200は、ばね層234〜242と質量層244〜252との関連を示す。この例では、集中定数回路200は、整合層構造体220内の1つの整合層部分222〜230に相当する。整合層部分222〜230のそれぞれが、個別の集中定数回路200によって表されることになる。集中定数回路200は、3つのコイル202、204および206ならびに2つのコンデンサ208および210を有する。別の実施形態では、回路200の最も簡単な形式では、単一コイルおよび単一コンデンサが用いられてよく、他の実施形態では、異なる数のコイルおよびコンデンサが用いられてよい。ばね層234〜242は、コンデンサ208および210の静電容量によって特徴づけられてよく、また、質量層244〜252は、コイル202〜206のインダクタンスによって特徴づけられてよい。
【0032】
図6に示される例は、4分の1波長層の機能を模倣するために、3つの質量層(コイル)および2つのばね層(コンデンサ)をシミュレートするが、少なくとも所望の相対的帯域幅次第で、他の構成を用いてこの機能が達成され得ることを理解されたい。最も簡単な構成では、上記で論じられたように、単一コイルおよび単一コンデンサを用いてよい。図6は、整合層部分の構造体についての物理的解釈を説明するのに用いられてよい。一般解も、標準的LC梯子型フィルタ理論によって解析されてよい。
【0033】
整合層部分222〜230を構築するのに用いられる、質量層およびばね層の機械的性質の電気的等価物は、式1および式2で与えられる。
【0034】
【数1】

【0035】
(1)

【0036】
(2)
したがって、集中定数回路200の例のインダクタンス(LS)および静電容量(CP)の値は、整合層部分222〜230の回線インピーダンス(ZL)(例えば音響インピーダンス)およびプローブ106の中心周波数の共振周波数ωrに基づくものである。4分の1波長効果は、(LS+CP)と(2×LS+CP)とのセルの連続した結合によって達成される。ZLは、選択されたインピーダンス値または所定のインピーダンス値でよく、あるいは以下でさらに論じるように、計算されたものでよい。
【0037】
質量層およびばね層の電気的等価物の組合せは、整合層部分222〜230のうちの1つをモデル化するための特性を与える。整合層部分222〜230のそれぞれに関してLSおよびCPを計算するために式1および式2が繰り返され、ここで、整合層部分222〜230のそれぞれが異なるZLを有する。以前に論じられたように、各整合層部分222〜230に関して、ZLは圧電層272から遠ざかる方向に低下する。したがって、適切な素子を有する少なくとも2つの回路200を互いにカスケード接続してよく、共振周波数ωrのあたりで大きな帯域幅の整合を達成する。各整合層部分222〜230に関するLSおよびCPの値は、メーソンモデル(Mason model)とも称される提案された音響スタック270の電気的シミュレーションに用いられてよく、電気的素子を音響構造体に整合させることが可能になる。
【0038】
図7〜図10は、スタック270内の整合層構造体220に基づく、帯域幅性能の音響シミュレーションを示す。シミュレーションを計算するとき、整合層部分222〜230の厚さ276は、材料特性を最適化しない標準的メーソンモデル、すなわち整合層部分222〜230における回折法則およびレンズ減衰を考慮に入れないモデルに基づくものでよい。音響シミュレーション300、302、330および332は、それぞれ式1および式2で計算されたインダクタンス値および静電容量値を用いて計算してよい。
【0039】
プローブ106を設計するとき、プローブ仕様を満たすのに必要な整合層部分222〜230の最少数が特定されるようにスタック構造をシミュレートしてよい。整合層部分がより少なければ厚さ276がより小さくなり、減衰が改善する。規定され得るパラメータの1つに、−6デシベル(dB)および−20dBにおける所望の帯域幅がある。他のパラメータも考慮してよい。
【0040】
図7および図8は、それぞれ、スタック270内に整合層構造体220を組み込んだプローブ106に基づいて計算したプローブ伝達関数の音響シミュレーション300および302を示す。図7では、500μmの全体の厚さ276を有する10個の整合層部分222〜230が用いられている。図8では、250μmの全体の厚さ276を有する5つの整合層部分222〜230が用いられている。シミュレーションは、3メガヘルツ(MHz)の中心周波数の配列に基づくものである。
【0041】
図7は、単純伝送路すなわち片方向伝送路の304および両方向伝送路306を示す。図8は、片方向伝送路316および両方向伝送路318を示す。両方向伝送路306および318は、超音波信号がスタック270を(例えば信号の送信および受信で)2回通って進むことによる帯域幅の減少を示している。換言すれば、信号の送受信を考慮するとき、総合減衰量がより大きい。図7では、より多くの整合層部分があるので、伝送路304および306は、伝送路316および318と比較して、帯域幅にわたって、より大きなリップルがある。一実施形態では、例えば梯子型フィルタ合成アルゴリズムを用いた層特性の細密調整によって、リップル振幅を低減することができる。5つの整合層部分を有する整合層構造体が所望の性能をもたらすかどうか判断するために、両方向伝送路306と318との間などで帯域幅を比較してよい。5未満の数または5と10との間の任意数の整合層部分を用いて、さらなるシミュレーションを行ってよい。また、10を上回る数の整合層部分を有する整合層構造体220が企図される。いくつかの実施形態では、プローブ仕様を満たす整合層部分222〜230の最少数を特定するためにシミュレーションを行ってよい。
【0042】
同様に、図9および図10は、それぞれ、スタック270内に整合層構造体220を組み込んだプローブ106に基づいて計算したプローブ伝達関数の音響シミュレーション330および332を示す。シミュレーション330および332は、8MHzの中心周波数の配列に基づくものである。図9では、500μmの全体の厚さ276を有する10個の整合層部分222〜230が用いられている。図10では、250μmの全体の厚さ276を有する5つの整合層部分222〜230が用いられている。
【0043】
図9は、片方向伝送路334および両方向伝送路336を示す。図10は、片方向伝送路346および両方向伝送路348を示す。再び、プローブ仕様を満たす整合層部分222〜230の最少数を特定するために、2つのシミュレーション330と332との間の帯域幅性能を比較してよい。
【0044】
機械的性質、すなわち式1および式2中のもののようなインダクタンスおよび静電容量などの単なる電気的伝送路パラメータではなく、質量とばねとの振動モードへの伝送路パラメータの変換は、単一の4分の1波長整合層の等価物になる2層構造体(例えば整合層部分222〜230うちの1つ)において重い材料(質量)と弾性材料(ばね)との連係によって達成される。2層構造体の対象となる音響インピーダンスZLと2つの層のそれぞれの有効な機械的厚さとの関係は、式3および式4を用いて求めることができる。
【0045】
【数2】

【0046】
(3)


【0047】
(4)
式3は、質量層の厚さ(Tmass)を、整合層インピーダンス(ZL)、重い材料すなわち質量(m)材料の特性およびばね(s)材料の特性、すなわち質量材料の波長(λm)、質量材料の音響インピーダンス(zm)、ならびにばね材料の音響インピーダンス(zs)の関数として示す。式4は、ばね層の厚さ(Tspring)を、整合層インピーダンス(ZL)およびばね(s)材料の特性、すなわちばね材料の波長(λs)、ならびにばね材料の音響インピーダンス(zs)の関数として示す。式3および式4は、整合層インピーダンスを変化させることにより整合層部分222〜230のそれぞれを説明するのに用いられてよい。
【0048】
図11は、プローブ106の整合層構造体220内に含む整合層部分222〜230の数を求める方法を示す図である。370で、プローブ106の寸法形状ならびに目標性能または所望の性能が決定される。例えば中心周波数が選択される。また、−6dbおよび−20dbでのそれぞれの帯域幅の割合など、帯域幅の割合が規定されてよい。
【0049】
372で、ばね層234〜242および質量層244〜252向けに材料が選択される。例えば、ばね材料にSU8(登録商標)を選択してよく、質量材料にタングステンを選択してよい。他の材料を用いてよい。一実施形態では、ばね層234〜242のすべてに同一のばね材料を用いてよく、また、質量層244〜252のすべてに同一の質量材料を用いてよい。別の実施形態では、層234〜252の1つまたは複数で、異なるばね材料および/または質量材料を用いてよい。
【0050】
374で、シミュレートされることになる整合層部分222〜230の数が求められる。以前に論じたように、所望の性能をもたらす整合層部分222〜230最少数を求めるために、整合層部分222〜230の様々な数を用いてプローブ性能をシミュレートしてよい。あるいは、3、5または10個の整合層部分222〜230など、整合層部分222〜230の所定数を選択してよい。別の実施形態では、検討されることになる整合層部分222〜230の最少数として、2つまたは3つの整合層部分222〜230を選択してよい。
【0051】
376で、整合層部分222〜230のそれぞれについて音響インピーダンスを求めてよい。一実施形態では、整合層部分222〜230のそれぞれについての音響インピーダンスは、指数関数的に低下する音響インピーダンス、規則的に低下する音響インピーダンス、または圧電層の高い音響インピーダンス(一実施形態では30MRayでよい)からレンズの低い音響インピーダンス(一実施形態では1.5MRayでよい)へ音響インピーダンスが低下する他の曲線に基づくものでよい。別の実施形態では、不整合技術については、整合層部分222〜230に対する目標の音響インピーダンスは以下の式5および式6を用いて求めることができ、
【0052】
【数3】

【0053】
(5)


【0054】
(6)

この式で、ZCは圧電層272の音響インピーダンスであり、ZRは放射媒体の音響インピーダンスであり、ωr(k)は圧電結合係数次第である共振周波数(パルセーション)であり、kは結合係数であり、Nは整合層部分の数であり、nは圧電層272からレンズ274に向けて数えてn番目の整合層部分に関するカウンタであり、ZmL_(N,n,k)はn番目の整合層部分の音響インピーダンスである。したがって、整合層部分222〜230の音響インピーダンスは、プローブ106の共振周波数(ωr)、圧電層272の音響インピーダンス(または、もし用いられるなら4分の1波長整合層の音響インピーダンス)およびレンズ274の音響インピーダンスの少なくとも1つに基づくものでよい。他の技術に関する様々な式を用いて、整合層部分222〜230の音響インピーダンスを求めてよいことを理解されたい。別の実施形態では、整合層部分222〜230の1つまたは複数向けに様々な材料が選択されてよい。例えば、比較的低いインピーダンスを有するばね材料がレンズ274に最も近い層に選択されてよく、その一方で、比較的高いインピーダンスを有する別のばね材料が圧電層272に最も近い整合層部分に選択されてよい。
【0055】
一実施形態では、整合層部分222〜230のそれぞれの中の質量層244〜252およびばね層234〜242のそれぞれの厚さを、378で、式3および式4を用いるなどして音響インピーダンスに基づいて求めてよい。したがって、整合層構造体220の全体の厚さ276が許容できるかどうか判断することができ、許容できる量の信号減衰がもたらされる。また、以下でさらに論じられるように、製造プロセス中に質量層244〜252およびばね層234〜242が形成され、いくつかの実施形態では、一定の許容範囲内で材料の特定の層を形成することに対して材料の特性および生産能力に基づく制約があり得る。
【0056】
380で、図7〜図10のグラフを生成するために式1および式2で計算された静電容量およびインダクタンスを用いるなどして音響性能を計算する。382で、音響性能が許容できるかどうか判断する。さらに、質量層244〜252およびばね層234〜242の厚さならびに整合層構造体220の全体の厚さ276が許容できるかどうか判断してよい。一実施形態では、帯域幅性能が許容できないとき、この方法は、多くの整合層部分222〜230を規定するために374へ戻ってよい。別の実施形態では、帯域幅性能が許容できるとき、この方法は、最も薄い整合層構造体220が特定されているかどうか判断するために、整合層部分222〜230のより少ない数を規定するように374へ戻ってよい。例えば、プローブ106の性能を依然として満たしながら、整合層構造体の数が最少であること、したがって信号減衰(例えば伝搬損)が最低量であることが望ましい。また、整合層部分222〜230がより少ないと、製造するのが簡単であり、コスト低減をもたらす。いくつかの実施形態では、目標性能を達成する整合層部分222〜230の最少数を求めるために、図11の方法を、整合層部分222〜230の様々な数を選択して複数回行ってよい。さらに別の実施形態では、例えば性能が許容できないとき、または利用可能な製造技術に基づいて整合層構造体220を実現するのが困難である恐れがあるとき、この方法は、質量層244〜252およびばね層234〜242の1つまたは複数について別の材料を選択するように、372へ戻ってよい。
【0057】
別の実施形態では、4分の1波長整合層を含むスタックを形成してよい。図12は、整合層構造体402および4分の1波長整合層404の両方を含む音響スタック400を示す。4分の1波長整合層404の下側406は圧電層410の上側408に付着しており、また、整合層構造体402は、4分の1波長整合層404の上側412に付着している。
【0058】
一実施形態では、ばね材料を選択するとき、さらなる柔軟性をもたらすために、スタック400内に4分の1波長整合層404が含まれてよい。例えば、比較的低いインピーダンスを有するばね材料を選択してよく、レンズ414に最も近い整合層構造体402内の整合層部分に関して、より適切なインピーダンス整合が可能になる。
【0059】
別の実施形態では、整合層構造体402とレンズ414との間に4分の1波長整合層404を配置してよい。
【0060】
整合層構造体220および402内に質量層244〜252およびばね層234〜242を形成するのに用いることができる方法がいくつかある。用いられる方法の1つに、マイクロエレクトロニクス技術およびウェハ処理に基づくものがある。ばね材料は特別な処理を施されたフォトレジストでよく、例えば、ばね材料の音響インピーダンス要件に適合する密度/速度特性を与えるために負荷がかけられる。質量材料は、質量材料の音響インピーダンス要件に適合する密度/速度特性を有する金属でよい。質量材料は、タングステンなど、任意の比較的密で堅い材料でよいが、これには限定されない。質量材料およびばね材料は、どちらも可変厚さを挟む製造に適合する必要がある。
【0061】
一実施形態では、ばね材料としてフォトレジストまたはSU8(登録商標)などの高分子を用いてよく、マイクロエレクトロニクスのフォトリソグラフィを用いてパターニングすることができる。例えば、SU8(登録商標)の層は、所望厚さを形成するためにスピンコーティングしてよい。別の実施形態では、材料密度を低下させるために、レンズ274に近い1つまたは複数の整合層部分222〜230上に、所望の密度に達するようにドットパターンが完成されてよい。さらに別の実施形態では、質量層を形成する金属は真空蒸着されてよい。
【0062】
整合層構造体220は、スタック270の他の層と分離して形成されてよい。一実施形態では、整合層構造体220を構築するのに用いられたシリコンウェハ上に、二酸化ケイ素(SiO)の層を堆積してよい。整合層構造体220を構築するために行うマスキングおよびエッチングの作業中に、整合層構造体220の全体に及ぶ、あるいは全体を通って伸びる穴を形成してよい。質量層244〜252およびばね層234〜242のすべてが形成されたとき、穴を通してSiO層にSiOエッチング液を供給してよい。SiO層を完全にエッチングすると、シリコンウェハから整合層構造体220を解放することになる。
【0063】
別の実施形態では、ラミネーションによって整合層構造体220を形成してよい。したがって、ばね層234〜242は、前もって形成されたKapton(登録商標)などの材料の層を用いて形成してよく、また、質量層244〜252は、前もって形成された銅などの金属素材の層を用いて形成してよい。所望の音響インピーダンスを達成するために様々な整合層部分222〜230を形成するのに、ばね層234〜242および質量層244〜252の様々な厚さを用いてよい。第1の整合層部分222を形成するために、ばね材料(例えばばね層234)の層の上に金属材料の層(例えば質量層244)を積層してよい。金属材料の層(例えば質量層244)の上にばね材料の第2の層(例えばばね層236)を積層してよく、ばね材料の第2の層(例えばばね層236)の上に金属材料の第2の層(例えば質量層246)を積層するなどしてよい。
【0064】
さらに別の実施形態では、材料の堆積を可能にする技術であるデジタルマイクロプリントを用いて整合層構造体220を形成してよい。
【0065】
上記の説明は、例示であって限定するためのものでないように意図されていることを理解されたい。例えば、前述の実施形態(および/またはその態様)は互いに組み合わせて用いてよい。さらに、本発明の教示に対して特定の状況または材料を適応させるために、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更形態を作製することができる。本明細書に記述された寸法および材料のタイプは、本発明のパラメータを規定するように意図されているが、それらは少しでも限定するものではなく例示的実施形態である。上記説明を再検討すれば、当業者には他の多くの実施形態が明白になるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照しながら、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、用語「含む」および「そこでは」は、それぞれ平易な英語の用語「備える」および「ここで」に相当するものとして用いられる。さらに、以下の特許請求の範囲では、用語「第1の」、「第2の」および「第3の」などは、単に表示として用いられ、それらの対象に数の要件を課するようには意図されていない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定事項は、手段プラス機能の書式で書かれておらず、また、さらなる構成のない機能の記述が続く慣用句「ための手段」を明確に用いないとき、および明確に用いるまで、そのような請求の限定事項が米国特許法第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるようには意図されていない。
【0066】
この書かれた説明は、最善の様式を含んで本発明を開示するために、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを製作し用いることならびにあらゆる具体化された方法を実行すること含んで本発明を実施することも可能にするために、例を用いる。本発明が特許権を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉との実質のない相違点を有する同等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に入るように意図されている。
【符号の説明】
【0067】
100 超音波システム
102 送信器
104 要素
106 プローブ
108 受信器
110 ビームフォーマ
112 RFプロセッサ
114 メモリ
116 プロセッサモジュール
118 表示器
120 プローブポート
122 メモリ
124 ユーザインターフェース
130 小型化した超音波システム
132 プローブ
134 ユーザインターフェース
136 一体化された表示器
138 外部デバイス
140 ネットワーク
142 表示器
144 移動式超音波画像診断システム
146 可動ベース
148 ユーザインターフェース
150 プローブポート
152 制御ボタン
154 キーボード
156 トラックボール
170 ポケットサイズの超音波画像診断システム
172 表示器
174 ユーザインターフェース
176 医療用画像
178 プローブ
180 キーボード
182 押しボタン
184 多機能制御
186 ラベル表示領域
188 制御
200 集中定数回路
202 コイル
204 コイル
206 コイル
208 コンデンサ
210 コンデンサ
220 整合層構造体
222 第1の整合層部分
224 第2の整合層部分
226 第3の整合層部分
228 第4の整合層部分
230 第5の整合層部分
232 厚さ
234 ばね層
236 ばね層
238 ばね層
240 ばね層
242 ばね層
244 質量層
246 質量層
248 質量層
250 質量層
252 質量層
254 厚さ
256 厚さ
258 厚さ
260 厚さ
262 厚さ
264 厚さ
270 音響スタック
272 圧電層
274 レンズ
276 厚さ
278 下側
280 下側
282 上側
300 音響シミュレーション
302 音響シミュレーション
304 片方向伝送路
306 両方向伝送路
316 片方向伝送路
318 両方向伝送路
330 音響シミュレーション
332 音響シミュレーション
334 片方向伝送路
336 両方向伝送路
346 片方向伝送路
348 両方向伝送路
370 プローブの寸法形状および性能を定義する
372 ばね材料および質量材料を選択する
374 整合層部分の数を求める
376 各整合層部分の音響インピーダンスを求める
378 質量層およびばね層の厚さを求める
380 音響性能を計算する
382 性能は許容できるか?
400 音響スタック
402 整合層構造体
404 4分の1波長整合層
406 下側
408 上側
410 圧電層
412 上側
414 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブ(106)向け音響スタック(270)であって、
上側および下側を有する圧電層(272)と、
整合層構造体(220)を形成する複数の整合層部分(222、224、226、228、230)であって、前記整合層部分(222〜230)のそれぞれが、
第1の材料を含むばね層(234、236、238、240、242)、および
前記第1の材料と異なる第2の材料を含む質量層(244、246、248、250、252)を備え、
前記圧電層(272)に最も接近して配置される前記整合層部分(222)内の前記ばね層(234)が、他の前記整合層部分(224〜230)内の前記ばね層(236〜242)より薄い整合層部分(222〜230)とを備えることを特徴とする超音波プローブ(106)向け音響スタック(270)。
【請求項2】
前記圧電層(272)に最も接近して配置される前記整合層部分(222)が、前記圧電層(272)から最も遠い前記整合層部分(230)の音響インピーダンスより大きい音響インピーダンスを備える請求項1記載の音響スタック(270)。
【請求項3】
前記第1の材料が前記第2の材料より低密度である請求項1記載の音響スタック(270)。
【請求項4】
前記圧電層(272)と前記整合層構造体(220)との間および前記整合層構造体(220)とレンズ(274)との間のうち1つに配置された4分の1波長整合層部分(404)をさらに備える請求項1記載の音響スタック(270)。
【請求項5】
前記整合層部分(222〜230)内で前記ばね層(234〜242)の厚さ(256)が、前記圧電層(272)からの前記整合層部分(222〜230)の距離の増加につれて増加し、前記整合層部分(222〜230)内で前記質量層(244〜252)の厚さ(254)が、前記圧電層(272)からの前記整合層部分(222〜230)の距離の増加につれて減少する請求項1記載の音響スタック(270)。
【請求項6】
超音波プローブ(106)向け音響スタック(270)の整合層構造体(220)を形成する方法であって、
下側(278)にばね層(234)を備え、かつ上側(282)に質量層(244)を備える第1の整合層部分(222)を形成するステップであって、前記第1の整合層部分(222)の前記下側(278)が、圧電層(272)および4分の1波長整合層(404)のうちの1つに付着するように構成され、前記ばね層(234)がばね材料を含み、前記質量層(244)が、前記ばね材料より高いインピーダンスを有する質量材料を含む、第1整合層形成ステップと、
下側(280)にばね層(236)を備え、かつ上側に質量層(246)を備える少なくとも1つの追加の整合層部分(224)を形成するステップであって、前記追加の整合層部分(224)の前記下側(280)が、前記第1の整合層部分(222)の前記上側(282)に付着するように構成され、前記ばね層(236)が前記ばね材料を含み、前記質量層(246)が前記質量材料を含むステップとを含む、ことを特徴とする音響スタック(270)の整合層構造体(220)の形成方法。
【請求項7】
前記第1の整合層部分(222)および前記追加の整合層部分(224)の音響インピーダンスを求めるステップ(376)と、
前記音響インピーダンスおよび前記質量材料の少なくとも1つの材料特性および前記ばね材料の材料特性に基づいて、前記質量層(244、246)の厚さ(254、258)を求めるステップ(378)とをさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1の整合層部分(222)および前記追加の整合層部分(224)の音響インピーダンスを求めるステップ(376)と、
前記音響インピーダンスおよび前記ばね材料の少なくとも1つの材料特性に基づいて、前記ばね層(234、236)の厚さ(256、260)を求めるステップ(378)とをさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記ばね材料が関連する音響インピーダンスを有し、前記質量材料が関連する音響インピーダンスおよび材料波長を有し、前記質量材料の前記材料波長、前記質量材料の前記音響インピーダンスおよび前記ばね材料の前記音響インピーダンスに基づいて前記質量層(244、246)の厚さを求めるステップ(378)をさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記ばね材料が、関連する音響インピーダンスおよび材料波長を有し、前記ばね材料の前記材料波長、前記ばね材料の前記音響インピーダンスに基づいて前記ばね層(234、236)の厚さ(256、260)を求めるステップ(378)をさらに含む請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−220218(P2010−220218A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58759(P2010−58759)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】