説明

超音波モータを用いた駆動ユニット、レンズ鏡筒、および撮像装置

【課題】静音性に優れ、高速且つ高精度な駆動を可能としながら薄型である超音波モータ駆動ユニットを提供する。
【解決手段】超音波モータユニットをギヤユニットに内蔵する構成、モータベースをベース部材201と一体化する構成、及びモータシャフトの両端をベース部材201とカバー部材203とで挟持する構成を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータを用いた駆動ユニット、レンズ鏡筒、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズ鏡筒および撮像装置におけるフォーカシング動作の高速化・静音化が求められている。これに伴い、フォーカシングレンズを動かすためのアクチュエータに超音波モータを用いるものが増えている。
【0003】
レンズ鏡筒および撮像装置に用いられる超音波モータには大きく分けてリング型とペンシル型とがあり、適用される製品、用途に応じて使い分けられている。ここで述べる超音波モータ駆動ユニットは、ペンシル型の超音波モータを用いており、複数の減速ギヤを組み込んだギヤユニットとともに超音波モータ駆動ユニットを構成する。このユニットは、主に一眼レフカメラのレンズ鏡筒において、フォーカシングレンズの駆動を行うために用いられる。
【0004】
このような駆動ユニットは従来から存在していたもので、現在もアクチュエータにDCモータを用いた駆動ユニットが実装されている。すなわち、この駆動ユニットは、アクチュエータを入れ替えることで、様々な用途に適用することができる汎用性の高い機構であるといえる。
【0005】
ここで、従来例における超音波モータ駆動ユニット100について述べ、超音波モータ駆動ユニットの基本構造を説明する。図1は、従来例における超音波モータ駆動ユニット100を示す図である。図2は、従来例における超音波モータ駆動ユニット100の分解斜視図である。図3は、従来例における超音波モータ駆動ユニット100の断面図である。
【0006】
従来例における超音波モータ駆動ユニット100及び後述する本発明の実施例1における超音波モータ駆動ユニット200は、一例として不図示のカメラまたは不図示のレンズ鏡筒に設けられ、不図示のカメラまたは不図示のレンズ鏡筒のフォーカシング動作においてフォーカシングレンズを駆動する駆動ユニットとして用いられている。
【0007】
ここで、図1に示す従来例における超音波モータ駆動ユニット100の構成を図2及び図3を用いて説明する。
【0008】
図2において、従来例における超音波モータ駆動ユニット100は、ベース部材101、カバー部材103、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、アイドルギヤ115、2本のモータビス117、3本のカバービス119、超音波モータユニット121によって構成されている。
【0009】
また、図3において、超音波モータユニット121は、モータベース123、モータシャフト125、ステータ127、ロータ129、出力ギヤ131、ベアリング133、加圧スプリング135、加圧ビス137によって構成されている。なお、本従来例においてギヤユニットは、ベース部材101、カバー部材103、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、アイドルギヤ115、3本のカバービス119で構成される。
【0010】
図2及び図3において、ベース部材101は、超音波モータユニット121を2本のモータビス117によって固定している。また、ベース部材101は、超音波モータユニット121の出力ギヤ131と噛合するアイドルギヤ115を軸支している。アイドルギヤ115は軸方向に重畳された一方のギヤを出力ギヤ131と噛合し、他方をクラッチギヤ111と噛合している。ベース部材101は、クラッチスプリング113によって片寄せされたクラッチギヤ111を軸支している。クラッチギヤ111は不図示のスイッチレバーによって軸方向に移動可能に構成され、アイドルギヤ115と連結ギヤ109との間で駆動力を伝達または切断する。
【0011】
図3において、カバー部材103は、アイドルギヤ115、クラッチギヤ111、連結ピニオン105及び連結ギヤ109を軸支している。連結ギヤ109はクラッチギヤ111と噛合し、カバー部材103を貫通して設けられた連結軸107によって連結ピニオン105と共に軸支されている。連結ギヤ109と同軸に設けられた連結ピニオン105は、伝達された超音波モータユニット121の駆動力を出力し、スケールリングやフォーカシングレンズを駆動する。
【0012】
次に、超音波モータユニット121の構成について述べる。
【0013】
図3において、超音波モータユニット121は、ベース部材101とモータベース123とがモータビス117によって締着されている。モータベース123にはモータシャフト125が挿入されている。モータシャフト125の一端には抜け止めのための返しが形成されており、インサート成形等によって成形されたモータベース123が抜けないように挿入されている。
【0014】
ステータ127は、略円環形状の弾性体で、表面は複数の溝を切って形成された櫛歯状であり、裏面にはフレキシブルプリント基板と共に圧電素子が貼り付けられている。ステータ127は、共振先鋭度が大きな金属によって形成され、櫛歯部の先端面と後述するロータ129の摺動部とが加圧接触し、ロータ129を回転駆動する。
【0015】
また、ステータ127の中心には、モータベース123の形状に対応した孔が形成されており、モータベース123と嵌合させることにより、ステータ127が、後述のロータ129の回転に付随して回転しないように、その位置を規制している。
【0016】
ロータ129は、アルミニウム等の軽金属によって形成された略円環形状の部材である。ロータ129は、ステータ127との摺動面には、耐摩耗性向上のために表面処理やエンジニアリングプラスチック等のスライダ材が貼り付けられている。
【0017】
出力ギヤ131は、ロータ129の内周部に回転不能に係合し、ベアリング133を介してモータシャフト125に回転可能に支持されており、ロータ129と一体となって回転する。従って、出力ギヤ131は、ロータ129を介してステータ127によって駆動され、超音波モータの駆動力を出力する出力部材である。
【0018】
加圧スプリング135及び加圧ビス137は、ロータ129及び出力ギヤ131を、ベアリング133を介してステータ127に対して付勢し、超音波モータユニットの構造上必要な加圧を行っている。
【0019】
特許文献1には、上述した従来の超音波モータ駆動ユニットに類似して、超音波モータユニットをギヤユニットに設けたモータ固定部にビス止めすることにより、超音波モータ駆動ユニットとした例が示されている。
【特許文献1】特開平5−207761号公報(第6頁、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述した従来例の超音波モータ駆動ユニットにおいては、超音波モータユニットを予め組み立てておき、そのモータシャフトを保持するモータベースをギヤユニットのベース部材にビスで固定する構造であるため、ベース部材に対してモータシャフトを傾くことなく垂直に設けることが難しいといった課題があった。
【0021】
また、特許文献1に示されているようなギヤユニットにおいても、別部材として組み立てられた超音波モータユニットを、ギヤユニットに取り付けている形態であるため、モータ固定部に傾くことなく超音波モータユニットを取り付ける作業が困難であるという問題があった。従って、超音波モータからの駆動力を出力するギヤと、そのギヤと噛合うことで出力を伝達するギヤとの間の軸間精度が悪く、また、超音波モータの出力ギヤが傾きやすいという特性があった。そのため、超音波モータを駆動する度に騒音等が生じるという問題があった。
【0022】
これは、レンズ鏡筒および撮像装置の品位を損ねるだけでなく、近年注目されている動画撮影に対応したレンズ鏡筒における課題となっている。
【0023】
静止画を撮影するために作られたレンズ鏡筒で動画撮影を行うと、絞り駆動、ズーム駆動、フォーカス駆動等に伴う騒音がレンズ鏡筒と撮像装置を伝わって音声として記録されてしまう。そのため、静止画の撮影では求められなかった高い静音性の実現や、騒音を記録しないための特別な制御を組み入れなければならない。
【0024】
そこで、静音化を目的として、フォーカシングレンズの駆動にリニアモータを用いたものや、絞り駆動にステッピングモータを用いてマイクロステップ駆動させるものや、ズームリングの端部に緩衝材を配置したものなどがある。
【0025】
また、近年の撮像装置では、高速且つ高精度なオートフォーカスが求められており、フォーカス駆動を行う超音波モータ駆動ユニットにも高速且つ高精度な駆動を可能とする構造が求められている。また一眼レフカメラにおけるライブビュー撮影では、通常用いる位相差検出方式のオートフォーカスではなく、コントラスト検出方式のオートフォーカスを用いられるのが一般的となっている。コントラスト検出方式のオートフォーカスにおいてはフォーカシングレンズを駆動するアクチュエータに高い精度が要求される。その一方で、上述した従来の超音波モータ駆動ユニットや特許文献1に示されているような超音波モータ駆動ユニットでは、軸間精度が低いため高速且つ高精度な駆動に堪えないという問題があった。
【0026】
さらに近年、撮像装置の小型化に伴って、機構の小型化が求められている。しかしながら、上述した従来例の超音波モータ駆動ユニットにおいては、別部材として組み立てた超音波モータユニットを、ギヤユニットのベース部材に取り付ける形態であり、また、特許文献1に示されているような超音波モータ駆動ユニットにおいても同様の形態であるため、ギヤユニットにビス止めするためのビスの頭や、ビス止め用の穴等のスペースが必要となり省スペース化が図れないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の一実施例を示す図面に対応する符号を付して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
請求項1に示す発明は、ステータとロータとを備えた超音波モータと、前記ステータを回転不能に着座させるベース部材と、前記ロータと同心状に配置され、前記ロータと一体に回動する第1の駆動力伝達部材と、前記ロータと前記第1の駆動力伝達部材との少なくとも一方を支持する第1の支持部材と、前記第1の駆動力伝達部材の駆動力を伝達する第2の駆動力伝達部材と、前記第2の駆動力伝達部材を軸支する第2の支持部材と、前記第1の支持部材を支持する第1の支持部と前記第2の支持部材を支持する第2の支持部とを有するカバー部材とを備え、前記ベース部材は、前記第1の支持部材を支持する第1の支持部と前記第2の支持部材を支持する第2の支持部とを有することを特徴とする超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0029】
請求項2に示す発明は、前記カバー部材の前記第1の支持部は、前記第1の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0030】
請求項3に示す発明は、前記カバー部材の前記第1の支持部を介して前記カバー部材と前記第1の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0031】
請求項4に示す発明は、前記カバー部材の前記第2の支持部は、前記第2の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0032】
請求項5に示す発明は、前記カバー部材の前記第2の支持部を介して前記カバー部材と前記第2の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0033】
請求項6に示す発明は、前記ベース部材の前記第1の支持部は、前記第1の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0034】
請求項7に示す発明は、前記ベース部材の前記第1の支持部を介して前記ベース部材と前記第1の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0035】
請求項8に示す発明は、前記ベース部材の前記第2の支持部は、前記第2の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0036】
請求項9に示す発明は、前記ベース部材の前記第2の支持部を介して前記ベース部材と前記第2の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0037】
請求項10に示す発明は、前記ロータと前記第1の駆動力伝達部材とは一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0038】
請求項11に示す発明は、前記ロータは、その内周側に前記ロータを前記第1の支持部材に支持するベアリングを備え、その外周側に前記第2の駆動力伝達部材と機械的に結合する第1の駆動力伝達部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0039】
請求項12に示す発明は、前記第1の支持部材と前記ステータとは一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0040】
請求項13に示す発明は、前記第2の支持部材と前記第2の駆動力伝達部材とは一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0041】
請求項14に示す発明は、前記第1の駆動力伝達部材と前記第2の駆動力伝達部材が相互に噛合するギヤであることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットである。
【0042】
請求項15に示す発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットを有するレンズ鏡筒である。
【0043】
請求項16に示す発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットを有する撮像装置である。
【0044】
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、静音性に優れ、高速且つ高精度な駆動を可能としながら薄型である超音波モータ駆動ユニットを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施例を図4乃至図10に基づいて説明する。なお、図4乃至図10において、図2及び図3に示す部材と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【実施例1】
【0047】
ここでは、まず、実施例1における超音波モータ駆動ユニット200について述べる。図4は、実施例1における超音波モータ駆動ユニット200の断面図である。
【0048】
本実施例における超音波モータ駆動ユニット200は、従来例における超音波モータ駆動ユニット100と同様に、不図示のカメラまたは不図示のレンズ鏡筒に設けられ、不図示のカメラまたは不図示のレンズ鏡筒のフォーカシング動作においてフォーカシングレンズを駆動する駆動ユニットとして用いられている。
【0049】
ここで、図4を用いて本実施例における超音波モータ駆動ユニット200について説明する。図4において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット200は、予め組み立てた別体の超音波モータユニットをギヤユニットに取り付ける構成ではなく、ギヤユニットと超音波モータユニットとが一体的に構成されており、ベース部材201、カバー部材203、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、クラッチシャフト214、アイドルギヤ115、アイドルシャフト216、3本のカバービス119、モータシャフト125、ステータ127、ロータ129、出力ギヤ131、ベアリング133、加圧スプリング135、加圧ビス137によって構成されている。
【0050】
図4において、ベース部材201は、従来例で示したモータベース(図3中の符号123)の機能も兼備しており、ステータ127の孔に対応した形状が形成されており、後述のロータ129の回転に付随してステータ127が回転しないように、その位置を規制している。ベース部材201にはモータシャフト125が挿入されている。モータベース123と同様に、モータシャフト125の一端には抜け止めのための返し(不図示)が形成されており、インサート成形等によって成形されベース部材201が抜けないように挿入されている。
【0051】
また、図4において、ベース部材201及びカバー部材203は、アイドルギヤ115を軸支するアイドルシャフト216、クラッチギヤ111を軸支するクラッチシャフト214を位置決めしている。この位置決めはベース部材201に形成した孔部に、アイドルシャフト216及びクラッチシャフト214が挿入されることにより成される。
【0052】
また、図4において、カバー部材203は、従来必要とされたモータベースを介さずにベース部材201に直接取り付けた超音波モータユニットを覆う形状と成っている。さらに、一端がベース部材201に挿入されているモータシャフト125の他端を、カバー部材203に形成した孔部に挿入し、加圧ビス137によって締結されている。
【0053】
そして、カバー部材203は、3本のカバービス119によってベース部材201に固定されており、このベース部材201とカバー部材203とが、モータシャフト125、アイドルシャフト216及びクラッチシャフト214の両端を支える構造であるため、これが傾くことなく垂直に所定の位置で保持されるように構成されている。
【0054】
さらに、図4において、カバー部材203は、従来例で示したカバー部材(図3中の符号103)と同様に、連結ピニオン105及び連結ギヤ109を軸支している。連結ギヤ109はクラッチギヤ111と噛合し、カバー部材203を貫通して設けられた連結軸107によって連結ピニオン105と共に軸支されている。連結ギヤ109と同軸に設けられた連結ピニオン105は、伝達された超音波モータの駆動力を出力し、スケールリングやフォーカシングレンズを駆動する。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態1に係る超音波モータ駆動ユニット200によれば、予め組み立てた別体の超音波モータユニットをギヤユニットに取り付ける従来の構成と異なり、モータシャフト125の基端部をベース部材201の孔部に挿入して保持する構成としたため、ベース部材201に対してモータシャフト125を傾くことなく垂直に設けることが容易となる。
【0056】
このため、モータシャフト125にベアリング133を介して支持される出力ギヤ131と、この出力ギヤ131と噛合するアイドルギヤ115との間の軸間精度が高まり、超音波モータ駆動時の騒音を大幅に低減することができ、この結果、静音性を高めることができる。
【0057】
また、モータシャフト125の先端部をカバー部材203に形成した孔部に挿入して保持し、モータシャフト125の両端部が所定の位置に保持される構成としたため、モータシャフト125の垂直度をより高めることができるとともに、超音波モータ駆動時のモータシャフト125の軸ブレを防止することもできる。
【0058】
さらに、超音波モータを構成するステータ127をベース部材201の突起部に固定する構成としたため、従来必要とされたモータマウント(図3中の符号123)やモータビス(図3中の符号117)が不要になり、部品点数の削減による低コスト化や小型化も可能となる。
【実施例2】
【0059】
続いて、図5を用いて本実施例における超音波モータ駆動ユニット300ついて説明する。図5において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット300は、超音波モータ駆動ユニット200と同様に、超音波モータユニットが超音波モータ駆動ユニットに内蔵され、ベース部材301、カバー部材303、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、クラッチシャフト314、アイドルギヤ115、アイドルシャフト316、3本のカバービス119、モータシャフト325、ステータ127、ロータ129、出力ギヤ131、ベアリング133、加圧スプリング135によって構成されている。一方、超音波モータ駆動ユニット300は、加圧ビス137を廃し、ベース部材301およびカバー303に形成された突起がモータシャフト325に挿入されることにより位置決めされる点で異なる。また、アイドルギヤ115を軸支するアイドルシャフト316、クラッチギヤ111を軸支するクラッチシャフト314は、ベース部材301およびカバー部材303に形成された突起が、アイドルシャフト316及びクラッチシャフト314のそれぞれ両端に形成された凹部に挿入されることにより位置決めされる。
【実施例3】
【0060】
続いて、図6を用いて本実施例における超音波モータ駆動ユニット400について説明する。図6において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット400は、超音波モータ駆動ユニット200と同様に超音波モータユニットが超音波モータ駆動ユニットに内蔵され、ベース部材201、カバー部材403、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、アイドルギヤ115、3本のカバービス119、モータシャフト125、ステータ127、ロータギヤ430、ベアリング133、加圧スプリング135によって構成されている。
【0061】
超音波モータ駆動ユニット400は、超音波モータ駆動ユニット200と異なり、ロータ129と出力ギヤ131とが一体に構成されたロータギヤ430が用いられている。ロータギヤ430の素材は、通常ロータ129に用いられるアルミニウムに表面処理を施したものや、従来ロータ129の表面に貼り付けられスライダ材として用いられるエンジニアリングプラスチックが用いられる。
【0062】
また、図6に示す超音波モータ駆動ユニット400において、カバー部材403にはアイドルシャフト416が一体成形によって設けられている。アイドルシャフト416の端部はベース部材201に形成した孔部に挿入されることにより位置決めされる。なお、クラッチギヤ111を軸支するクラッチシャフト414も同様にカバー部材403と一体的に設けられている。クラッチシャフト416の端部はベース部材201に形成した孔部に挿入されることにより位置決めされる。
【実施例4】
【0063】
続いて、図7を用いて本実施例における超音波モータ駆動ユニット500について説明する。図7において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット500は、超音波モータ駆動ユニット200と同様に超音波モータユニットが超音波モータ駆動ユニットに内蔵され、ベース部材501、カバー部材203、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、アイドルギヤ115、3本のカバービス119、ステータ127、ロータギヤ430、ベアリング133、加圧スプリング135孔部によって構成されている。
【0064】
超音波モータ駆動ユニット500は、超音波モータ駆動ユニット200と異なり、ベース部材101とモータシャフト125とが一体に構成されたカバー部材501が用いられている。
【0065】
また、図7に示す超音波モータ駆動ユニット500において、ベース部材501はアイドルシャフト516が一体成形によって設けられている。このアイドルシャフト516の端部はカバー部材203に形成した孔部に挿入されることにより位置決めされる。なお、クラッチギヤ111を軸支するクラッチシャフト514も同様にベース部材501に一体成形によって設けられている。クラッチシャフト514の端部はカバー部材203に形成した孔部に挿入されることにより位置決めされる。
【実施例5】
【0066】
続いて、図8を用いて本実施例における超音波モータ駆動ユニット600について説明する。図8において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット600は、超音波モータ駆動ユニット200と同様に超音波モータユニットが超音波モータ駆動ユニットに内蔵され、ベース部材601、カバー部材603、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、アイドルギヤ616、3本のカバービス119、ステータ626、ロータ129、出力ギヤ131、ベアリング133、加圧スプリング135、加圧ビス137によって構成されている。
【0067】
超音波モータ駆動ユニット500は、超音波モータ駆動ユニット200と異なり、ステータ127とモータシャフト125とが一体に構成されたステータ626が用いられている。
【0068】
なお、ステータ626の回転防止のために、ベース部材601にはDカット形状の突起が形成されており、ステータ626の中央部の底面に形成した孔部と嵌合する形状となっている。
【0069】
また、図8に示す超音波モータ駆動ユニット600において、アイドルギヤ616はアイドルシャフトを一体的に構成している。アイドルギヤの両端部はベース部材601とカバー部材603とに形成した突起が、アイドルギヤ616に形成した孔部に挿入されることにより位置決めされる。
【0070】
なお、クラッチギヤ111を軸支するクラッチシャフト214も同様にベース部材601に一体的に設けられており、クラッチシャフト214の端部はカバー部材603から突設した突起が、カバー603に形成した孔部に挿入されることにより位置決めされる。
【実施例6】
【0071】
続いて、図9を用いて本実施例における超音波モータ駆動ユニット700について説明する。図9において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット700は、超音波モータ駆動ユニット200と同様に超音波モータユニットが超音波モータ駆動ユニットに内蔵され、ベース部材701、カバー部材703、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、アイドルギヤ115、3本のカバービス119、ステータ127、ロータギヤ430、ベアリング133、加圧スプリング135、加圧ビス738によって構成されている。
【0072】
ギヤとロータ一体の件
超音波モータ駆動ユニット700は、超音波モータ駆動ユニット200と異なり、カバー部材703にモータシャフト125が一体成形によって設けられている。
【0073】
また、図9に示す超音波モータ駆動ユニット700において、カバー部材703にはアイドルシャフト216が一体成形によって設けられている。アイドルシャフト216の端部はベース部材701に形成した突起に支持されることにより位置決めされる。なお、クラッチギヤ111を軸支するクラッチシャフト214も同様にカバー部材703に一体成形によって設けられており、クラッチシャフト214の端部はベース部材701に形成した突起に支持されることにより位置決めされる。
【実施例7】
【0074】
続いて、図10を用いて実施例における超音波モータ駆動ユニット800について説明する。図10において、本実施例における超音波モータ駆動ユニット800は、超音波モータ駆動ユニット200と同様に超音波モータユニットが超音波モータ駆動ユニットに内蔵され、ベース部材201、カバー部材203、連結ピニオン105、連結軸107、連結ギヤ109、クラッチギヤ111、クラッチスプリング113、クラッチシャフト214、アイドルギヤ816、3本のカバービス119、モータシャフト125、ステータ127、ロータ129、出力ギヤ131、ベアリング133、加圧スプリング135、加圧ビス137によって構成されている。
【0075】
超音波モータ駆動ユニット800は、超音波モータ駆動ユニット200と異なり、アイドルギヤ115とアイドルシャフト216とが一体に構成されたアイドルギヤ816が用いられている。アイドルギヤ816の両端部には突起が形成されており、ベース部材101及びカバー部材103に形成された支持穴に挿入されることにより位置決めされる。
【0076】
本発明は、静音性に優れ、高速且つ高精度な駆動を可能としながら薄型である超音波モータ駆動ユニットを提供するという目的を、超音波モータユニット(121)をギヤユニットに内蔵する構成、モータベース(123)を省略してベース部材(101)の一部にモータベース(123)の機能を持たせる構成、及びモータシャフト(125)の両端をベース部材(101)とカバー部材(103)とで保持する構成により実現した。
【0077】
また、本発明の副次効果として、薄型化した超音波モータ駆動ユニットを提供したことにより、機構設計的に余裕が生まれ、レンズ鏡筒における光学設計の自由度が増したこと、ユニットの共通化が進みコストダウンを可能としたことが挙げられる。
【0078】
さらに、本発明の副次効果として、超音波モータユニットとギヤユニットとを一体とする構成による部品点数の削減および組立工数の削減が挙げられる。
【0079】
なお、本発明にかかる超音波モータ駆動ユニットの減速比は、本発明が適用されるレンズ鏡筒または撮像装置における被駆動体(フォーカシングレンズ、カム等)の重量に応じて適宜決定される。また、必要に応じて、ギヤの外径の変更によるギヤユニットの外観の変化、ギヤ数の増減など、種々の変形や変更が可能であるが、いずれも本発明の範囲内である。
【0080】
また、本発明を構成する部品のうち特に素材を限定していないものについては、基本的にポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。しかしながら、必要に応じてガラス繊維、炭素繊維等を樹脂に混合した繊維強化樹脂を用いることができる他、ダイキャスト法や射出成形による金属成形品としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来例における超音波モータ駆動ユニット100の斜視図である。
【図2】従来例における超音波モータ駆動ユニット100の分解斜視図である。
【図3】従来例における超音波モータ駆動ユニット100の断面図である。
【図4】本発明の実施例1における超音波モータ駆動ユニット200の断面図である。
【図5】本発明の実施例2における超音波モータ駆動ユニット300の断面図である。
【図6】本発明の実施例3における超音波モータ駆動ユニット400の断面図である。
【図7】本発明の実施例4における超音波モータ駆動ユニット500の断面図である。
【図8】本発明の実施例5における超音波モータ駆動ユニット600の断面図である。
【図9】本発明の実施例6における超音波モータ駆動ユニット700の断面図である。
【図10】本発明の実施例7における超音波モータ駆動ユニット800の断面図である。
【符号の説明】
【0082】
100 超音波モータ駆動ユニット
101 ベース部材
103 カバー部材
105 連結ピニオン
107 連結軸
109 連結ギヤ
111 クラッチギヤ
113 クラッチスプリング
115 アイドルギヤ
117 モータビス
119 カバービス
121 超音波モータユニット
123 モータベース
125 モータシャフト
127 ステータ
129 ロータ
131 出力ギヤ
133 ベアリング
135 加圧スプリング
137 加圧ビス
200 超音波モータ駆動ユニット
201 ベース部材
203 カバー部材
214 クラッチシャフト
216 アイドルシャフト
300 超音波モータ駆動ユニット
301 ベース部材
303 カバー部材
314 クラッチシャフト
316 アイドルシャフト
325 モータシャフト
400 超音波モータ駆動ユニット
403 カバー部材
430 ロータギヤ
500 超音波モータ駆動ユニット
501 ベース部材
600 超音波モータ駆動ユニット
601 ベース部材
603 カバー部材
616 アイドルギヤ
626 ステータ
700 超音波モータ駆動ユニット
701 ベース部材
703 カバー部材
738 加圧ビス
800 超音波モータ駆動ユニット
816 アイドルギヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータとロータとを備えた超音波モータと、
前記ステータを回転不能に着座させるベース部材と、
前記ロータと同心状に配置され、前記ロータと一体に回動する第1の駆動力伝達部材と、
前記ロータと前記第1の駆動力伝達部材との少なくとも一方を支持する第1の支持部材と、
前記第1の駆動力伝達部材の駆動力を伝達する第2の駆動力伝達部材と、
前記第2の駆動力伝達部材を軸支する第2の支持部材と、
前記第1の支持部材を支持する第1の支持部と前記第2の支持部材を支持する第2の支持部とを有するカバー部材とを備え、
前記ベース部材は、前記第1の支持部材を支持する第1の支持部と前記第2の支持部材を支持する第2の支持部とを有することを特徴とする超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項2】
前記カバー部材の前記第1の支持部は、前記第1の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項3】
前記カバー部材の前記第1の支持部を介して前記カバー部材と前記第1の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項4】
前記カバー部材の前記第2の支持部は、前記第2の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項5】
前記カバー部材の前記第2の支持部を介して前記カバー部材と前記第2の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項6】
前記ベース部材の前記第1の支持部は、前記第1の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項7】
前記ベース部材の前記第1の支持部を介して前記ベース部材と前記第1の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項8】
前記ベース部材の前記第2の支持部は、前記第2の支持部材の位置決めのための凹形状または凸形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項9】
前記ベース部材の前記第2の支持部を介して前記ベース部材と前記第2の支持部材とが一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項10】
前記ロータと前記第1の駆動力伝達部材とは一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項11】
前記ロータは、その内周側に前記ロータを前記第1の支持部材に支持するベアリングを備え、その外周側に前記第2の駆動力伝達部材と機械的に結合する第1の駆動力伝達部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項12】
前記第1の支持部材と前記ステータとは一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項13】
前記第2の支持部材と前記第2の駆動力伝達部材とは一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項14】
前記第1の駆動力伝達部材と前記第2の駆動力伝達部材が相互に噛合するギヤであることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニット。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットを有するレンズ鏡筒。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の超音波モータを用いた駆動ユニットを有する撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−244717(P2012−244717A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111177(P2011−111177)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000131326)株式会社シグマ (167)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)
【Fターム(参考)】