説明

超音波モータ駆動装置

【課題】被駆動体に搭載物を追加しても、超音波振動子にかかる押圧力を一定に保つことを可能とし、これにより動作が安定した超音波モータ駆動装置(XYステージ)を提供する。
【解決手段】縦振動と屈曲振動を同時に励起して楕円振動を発生させ、楕円振動を駆動力として被駆動体を駆動する、複数の超音波振動子を有する超音波モータ駆動装置であって、被駆動体と対向するように超音波振動子に設けられ、被駆動体と接触し被駆動体を平面内の任意の方向に駆動させる駆動子と、被駆動体と超音波振動子との間に作用する押圧力を検出する押圧力検出部と、押圧力検出部による検出結果に基づき押圧力を所定の押圧力に調整する押圧力調整部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波振動子を有する振動体に電圧を印加して振動させ、その振動によりこれに接触している移動体(以後、被駆動体と称する)を摩擦駆動する超音波モータが精密位置決め装置やデジタルカメラなどの駆動源として最近注目され、さらなる応用が期待される。
【0003】
例えば特許文献1記載の圧電アクチュエータでは、図7に示すように2つの圧電駆動体901a、901b(超音波振動子)を平行に立てた状態で配置して、その上の突起902の中間位置に、被駆動体904との接触部がくるような構成になっている。ここで、図7は、従来の圧電アクチュエータの構成を示す側面図である。
【0004】
この圧電アクチュエータは、図8のように、駆動体911a、911b、911c、911dとして複数配置されて、1つの被駆動体904を駆動することができる。駆動体911a、911b、911c、911dから被駆動体904への押圧力は、駆動体911a、911b、911c、911d上の被駆動体904の自重を利用している。ここで、図8(a)は、従来の圧電アクチュエータの構成を示す平面図、(b)は(a)の側面図である。
【0005】
図8に示す構成によれば、4個の超音波モータとしての駆動体911a、911b、911c、911dの上に被駆動体904を載せ、かつ、常に接触させることにより、XY平面内を被駆動体904が移動するXYステージとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−242493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、超音波振動子に加わる押圧力は被駆動体の自重で与えているため、仮に、被駆動体上に搭載物を追加すると、超音波振動子に加わる押圧力は必然的に高くなる。その状態で被駆動体を駆動させると、搭載物と超音波振動子との位置関係の変化によって超音波振動子に加わる押圧力が変動してしまう。さらに、搭載物が加わることにより、押圧力が所定の押圧力よりも高くなっている。これらにより、超音波振動子の発生力が被駆動体と搭載物の自重に打ち負けて移動量にばらつきが生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被駆動体に搭載物を追加しても、超音波振動子にかかる押圧力を一定に保つことを可能とし、これにより動作が安定した超音波モータ駆動装置(XYステージ)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波モータ駆動装置は、縦振動と屈曲振動を同時に励起して楕円振動を発生させ、楕円振動を駆動力として被駆動体を駆動する、複数の超音波振動子を有する超音波モータ駆動装置であって、被駆動体と対向するように超音波振動子に設けられ、被駆動体と接触し被駆動体を平面内の任意の方向に駆動させる駆動子と、被駆動体と超音波振動子との間に作用する押圧力を検出する押圧力検出部と、押圧力検出部による検出結果に基づき押圧力を所定の押圧力に調整する押圧力調整部と、を具備することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、押圧力調整部と被駆動体とは機械的に連結していないことが好ましい。
【0011】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、被駆動体と超音波振動子との間に作用する押圧力が所定の押圧力よりも大きくなったことを押圧力検出部が検出した場合に、押圧力調整部は、増加分の押圧力を軽減するように作用することが好ましい。
【0012】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、被駆動体と超音波振動子との間に作用する押圧力が所定の押圧力よりも小さくなったことを押圧力検出部が検出した場合に、押圧力調整部は、減少分の押圧力を増加するように作用することが好ましい。
【0013】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、超音波振動子に縦1次共振モードと屈曲2次共振モードを励振するような2相の交番信号を印加して駆動子上に楕円振動を発生させ、押圧力検出部の検出値を所定の間隔でモニタリングし、その検出値と所定の押圧力との演算結果に基づいて押圧力調整部を制御する、制御部を更に有することが好ましい。
【0014】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、押圧力調整部は、ベース部材上に少なくとも1つ以上配置されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、押圧力検出部は、ベース部材と被駆動体との間に配置されることが好ましい。
【0016】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、押圧力調整部は、ベース部材上に設けられたエア吐出ヘッドおよび吸着ヘッドを有し、制御部によるエア吐出ヘッドの吐出圧および吸着ヘッドの吸引圧の制御により、押圧力の調整を行うことが好ましい。
【0017】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、押圧力調整部は、被駆動体に設けられた永久磁石と、ベース部材に設けられた磁気コイルと、を有し、制御部による磁気コイルと永久磁石との間の磁気力の制御により、押圧力の調整を行うことが好ましい。
【0018】
本発明に係る超音波モータ駆動装置において、被駆動体の変位平面内の2軸に対し少なくとも一対の超音波振動子を有し、被駆動体は、超音波振動子の駆動子により支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る超音波モータ駆動装置は、被駆動体に搭載物を追加しても、超音波振動子にかかる押圧力を一定に保つことを可能とし、これにより動作が安定した超音波モータ駆動装置(XYステージ)を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る超音波振動子の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置の制御ブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る超音波モータ駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る超音波モータ駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る超音波モータ駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図7】従来の圧電アクチュエータの構成を示す側面図である。
【図8】(a)は従来の圧電アクチュエータの構成を示す平面図、(b)は(a)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る超音波モータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
(第1実施形態)
図1から図3を参照して、第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置100の構成を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る超音波振動子120の構成を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置100の制御ブロック図である。
【0023】
超音波モータ駆動装置100は、図1に示すように、超音波振動子120と、駆動子122、123と、押圧力検出部130と、押圧力調整部140と、を備える。さらに、超音波モータ駆動装置100は、ベース部材150、固定部材160、位置検出器170(図3)、及び制御部180(図3)を備える。
【0024】
超音波振動子120は、固定部材160上に設けられた板状のベース部材150上に、互いに対向する2対が配置されている。この4つの超音波振動子120は、それぞれが、縦振動と屈曲振動を同時に励起して楕円振動を発生させ、楕円振動を駆動力として被駆動体Mを2次元平面内で自由に駆動する。楕円振動は、超音波振動子120に縦1次共振モードと屈曲2次共振モードを励振するような2相の交番信号を印加することによって、駆動子122、123上に発生させる。
なお、超音波振動子120は、被駆動体Mの変位平面内の2軸に対し少なくとも一対設けることが好ましい。
【0025】
また、超音波振動子120は制御部180(図3)によって動作が制御される。制御部180は、押圧力検出部130の検出値を所定の間隔でモニタリングし、その検出値と所定の押圧力との演算結果に基づいて押圧力調整部140を制御する。
【0026】
図2に示すように、超音波振動子120は、圧電素子121、駆動子122、123、圧電素子ホルダ124、振動子ホルダ125、及び、収容部126を備える。
駆動子122、123は、被駆動体Mと対向接触するように、圧電素子121の上面に形成され、圧電素子121の駆動によって被駆動体Mを2次元平面内の任意の方向に駆動させる。駆動子122、123は、振動の腹あるいは腹近傍に対応して配置されている。なお、駆動子は、3つ以上設けてもよい。
【0027】
圧電素子121の対向する2側面の下部には、圧電素子ホルダ124がそれぞれ形成されている。圧電素子ホルダ124には、圧電素子121の縦振動及び屈曲振動の共通の節または節近傍に対応した位置に、外方へ突出する一対の突起部124aがそれぞれ設けられている。
【0028】
一方、ベース部材150には、長板状の振動子ホルダ125が固定されており、振動子ホルダ125の上面には、対向する長辺から上方向(押圧軸方向)に延びる一対の収容部126が対向配置されている。振動子ホルダ125上には、収容部126で挟むように圧電素子ホルダ124が載置される。また、収容部126は、互いに平行に上方に延びる2枚の板状部材からなり、この板状部材の間に、圧電素子ホルダ124の突起部124aが挿入される。突起部124aを収容部126内に挿入することにより、突起部124aは押圧軸方向にのみ移動可能となり、圧電素子121は幅方向の移動が制約される。
【0029】
押圧力検出部130は、4つの超音波振動子120のそれぞれにおいて、振動子ホルダ125の上面のうち2つの収容部126の中間位置に対応する位置に配置されており、被駆動体Mから超音波振動子120にかかる押圧力を検出する。この押圧力は、圧電素子ホルダ124から収容部126に伝達された力によって振動子ホルダ125に発生する歪みの大きさとして検出できる。この検出結果は、制御部180(図3)へ出力される。押圧力検出部130は、例えば、ストレンゲージ、ロードセル、圧電方式の圧力センサで構成する。
なお、押圧力検出部130は、ベース部材150と被駆動体Mとの間であって、超音波振動子120にかかる押圧力をモニタリングできれば、任意の位置に配置できる。また、押圧力検出部130は、不図示の押圧部材(例えばバネ)によって、上方に付勢されていることが好ましい。
【0030】
押圧力調整部140は、吐出ヘッド141及び吸着ヘッド142からなる。吐出ヘッド141、吸着ヘッド142はともにベース部材150上に設けられ、制御部180(図3)によって動作が制御される。吐出ヘッド141は、上方の被駆動体Mに向かって所定の吐出圧でエアを吐出する。吸着ヘッド142は、所定の吸引圧で上方の被駆動体Mを吸引する。
【0031】
吐出ヘッド141及び吸着ヘッド142は、被駆動体Mとは機械的には連結されていない。被駆動体Mは、被駆動体M上に何も搭載されていない初期状態、すなわち超音波振動子120にかかる押圧力が所定の押圧力である状態、において、4つの超音波振動子120それぞれの駆動子122、123によって支持されるとともに、吐出ヘッド141及び吸着ヘッド142と接触していることが好ましい。
【0032】
位置検出器170は、ベース部材150に対する被駆動体Mの相対移動量を検出する。この検出結果は、制御部180(図3)へ出力される。位置検出器170は、例えば、光学式エンコーダ、レーザー測長器、ホール素子で構成する。
【0033】
つづいて、超音波モータ駆動装置100の動作について詳細に述べる。
まず、被駆動体Mを4つの超音波振動子120上に載置すると、被駆動体Mの自重により、それぞれの超音波振動子120に最適な押圧力がかけられる。しかしながら、例えば、被駆動体M上に搭載物が置かれた状態、超音波モータ駆動装置100が斜めに設置された状態、超音波モータ駆動装置100全体を引っくり返して使用した状態、では、超音波振動子120にかかる押圧力が変動する。
【0034】
これに対して、超音波モータ駆動装置100においては、押圧力検出部130により、超音波振動子120にかかる押圧力を直接モニタリングして、制御部180が、押圧力検出部130による検出結果を最適な押圧力(所定の押圧力)と比較する処理を行う。所定の押圧力の値は、制御部180の記憶部内にあらかじめ記憶してある。比較処理としては、例えば、1個ずつの検出値と初期値を個別に比較する方法や検出値の平均値と初期値を比較する方法がある。
【0035】
制御部180は、比較処理の結果に応じて、押圧力調整部140の吐出ヘッド141、吸着ヘッド142を駆動する。
【0036】
具体的には、押圧力検出部130による検出値(又は平均値)が初期値(所定の圧力)より大きい場合、初期値に対する増加分に対応した吐出圧で吐出ヘッド141からエアを吐出し、被駆動体Mを浮上させて押圧力を軽減させて、検出値が初期値とほぼ一致する状態にする。
【0037】
一方、検出値が初期値より小さい場合、初期値に対する減少分に対応した負圧で吸着ヘッド142からエアを吸引し、被駆動体Mを吸着させて押圧力を増加させて検出値と初期値がほぼ一致する状態にする。
【0038】
以上の動作により、超音波振動子120にかかる押圧力が初期値になるように調整することが可能になる。
【0039】
以上の構成によれば、被駆動体Mの動作による押圧力のばらつき、被駆動体M上の搭載物の変更による押圧力の変動や装置の傾きなどによる押圧力の変動、によって超音波振動子120にかかる押圧力を常に一定に保つことができる。したがって、装置、被駆動体M、載置物の状態によらず、常に一定の押圧力を超音波振動子120にかけることができるので安定した駆動が可能になる。
【0040】
また、図1のように、押圧力検出部130、押圧力調整部140など全ての構成部材を被駆動体Mの下面側に配置できるため、被駆動体Mの上面の作業領域を広く確保でき、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る超音波モータ駆動装置においては、押圧力調整部240がベース部材150上に複数設けられている点が第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置と異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0042】
図4は、第2実施形態に係る超音波モータ駆動装置200の構成を示す斜視図である。押圧力調整部240は、それぞれ吐出ヘッド241と吸着ヘッド242とを備える。図4に示す例では、押圧力調整部240が超音波振動子120と同じ数だけ配置されている。さらに、各押圧力調整部240は、各超音波振動子120に対応する位置に設けられている。すなわち、平面視矩形のベース部材150の各辺略中央に超音波振動子120を均等配置するとともに、隣り合う超音波振動子120の間に押圧力調整部240をそれぞれ配置している。
【0043】
押圧力調整部240をこのように配置すると、各超音波振動子120にかかる押圧力を、対応する押圧力検出部130で個別にモニタリングして、その変動に対して超音波振動子120の近くに設置してある押圧力調整部240のうちの1個あるいは2個を駆動させることで初期値の押圧力に調整することが可能になる。
【0044】
例えば、四辺M1、M2、M3、M4を有する平面視略矩形の被駆動体Mのうち、辺M4側の上面に負荷を搭載した場合、各辺に対応する超音波振動子120での押圧力は、辺M4に対応する超音波振動子120の方が辺M1に対応する超音波振動子120よりも大きく、辺M3に対応する超音波振動子120の方が辺M2に対応する超音波振動子120よりも大きい。したがって、辺M4に対応する超音波振動子120では、被駆動体M上に負荷を搭載する前の初期の押圧力(所定の押圧力)よりも押圧力が大きくなっており、辺M2に対応する超音波振動子120では、所定の押圧力よりも押圧力が小さくなっている。
【0045】
この場合、辺M4に対応する超音波振動子120の両隣にある押圧力調整部240では、超音波振動子120の押圧力が初期値よりも大きくなっているので、既定の吐出圧で吐出ヘッド241から被駆動体M側へエアを吐出して被駆動体Mを浮上させるような動作を行う。これにより、増加分の押圧力を軽減することができる。
【0046】
一方、辺M2に対応する超音波振動子120の両隣にある押圧力調整部240は、超音波振動子120の押圧力が初期値よりも小さくなっているので、既定の負圧で吸着ヘッド242によりエアを吸引して被駆動体Mを吸着するような動作を行う。これにより、減少分の押圧力を増加することができる。
【0047】
以上の2つの動作により各超音波振動子120にかかる押圧力が初期値になるように調整することが可能になる。
なお、押圧力調整部240は、ベース部材150上に5つ設けても良い。また、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る超音波モータ駆動装置においては、第1実施形態の押圧力調整部140に代えて、永久磁石341と磁気コイル342からなる押圧力調整部340を用いている。その他の構成は第1実施形態に係る超音波モータ駆動装置100と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0049】
図5は、第3実施形態に係る超音波モータ駆動装置300の構成を示す斜視図である。
押圧力調整部340は、被駆動体Mの内部に配置された永久磁石341と、ベース部材150の上面略中央に配置された磁気コイル342と、からなる。磁気コイル342には、制御部180からの指示にしたがって所定量の電流が印加される。磁気コイル342に流す電流の向きによって発生する磁界の向きを変えることができるため、永久磁石341と磁気コイル342との間の磁気的引力で被駆動体Mをベース部材150側に引きつけたり、永久磁石341と磁気コイル342との間の磁気的斥力で反発させて被駆動体Mをベース部材150から離間させることができる。これにより、第1実施形態および第2実施形態と同様に、被駆動体Mと超音波振動子120との間の押圧力を所定の押圧力に維持する調整が可能になる。
【0050】
なお、永久磁石341は被駆動体Mの内部に1つだけ配置したが、分割して配置しても良い。また、被駆動体M側に磁気コイルを配置し、ベース部材150側に永久磁石を配しても良い。
また、永久磁石341と磁気コイル342との間の磁界の強さは、磁気コイル342の全長に反比例し、磁気コイル342の巻き数と電流に比例する関係にある。そのため、巻き数、全長を固定とすると、磁気コイル342に流す電流値を大きくすることにより発生する磁界を強くできる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0051】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る超音波モータ駆動装置においては、押圧力調整部340の磁気コイル342がベース部材150上に複数設けられている点が第3実施形態に係る超音波モータ駆動装置300と異なる。その他の構成は第3実施形態に係る超音波モータ駆動装置300と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0052】
図6は、第4実施形態に係る超音波モータ駆動装置の構成を示す斜視図である。
磁気コイル342は、平面視略矩形のベース部材150の略中央及び四隅の5箇所に配置されている。
磁気コイル342をこのように配置すると、各超音波振動子120にかかる押圧力を、対応する押圧力検出部130で個別にモニタリングして、その変動に対して超音波振動子120の近くに設置してある磁気コイル342のうちの1個から3個を駆動させることで初期値の押圧力に調整することが可能になる。
【0053】
具体的には、被駆動体Mの一部に大きな荷重がかかって被駆動体Mが傾いた場合に、超音波振動子120の押圧力が初期値よりも大きくなった部分については、永久磁石341と磁気コイル342との間の磁気的斥力によって被駆動体Mを浮上させるような動作を行う。これにより、増加分の押圧力を軽減することができる。これに対して、超音波振動子120の押圧力が初期値よりも小さくなっている部分については、永久磁石341と磁気コイル342との間の磁気的吸引力によって被駆動体Mを吸着する動作を行う。これにより、減少分の押圧力を増加することができる。
【0054】
以上の2つの動作により各超音波振動子120にかかる押圧力が初期値になるように調整することが可能になる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第3実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る超音波モータ駆動装置は、小型機器の精度の高い駆動に適している。
【符号の説明】
【0056】
100 超音波モータ駆動装置
120 超音波振動子
121 圧電素子
122、123 駆動子
124 圧電素子ホルダ
124a 突起部
125 振動子ホルダ
126 収容部
130 押圧力検出部
140 押圧力調整部
141 吐出ヘッド
142 吸着ヘッド
150 ベース部材
160 固定部材
170 位置検出器
180 制御部
200 超音波モータ駆動装置
240 押圧力調整部
241 吐出ヘッド
242 吸着ヘッド
300 超音波モータ駆動装置
340 押圧力調整部
341 永久磁石
342 磁気コイル
M 被駆動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦振動と屈曲振動を同時に励起して楕円振動を発生させ、前記楕円振動を駆動力として被駆動体を駆動する、複数の超音波振動子を有する超音波モータ駆動装置であって、
前記被駆動体と対向するように前記超音波振動子に設けられ、前記被駆動体と接触し前記被駆動体を平面内の任意の方向に駆動させる駆動子と、
前記被駆動体と前記超音波振動子との間に作用する押圧力を検出する押圧力検出部と、
前記押圧力検出部による検出結果に基づき前記押圧力を所定の押圧力に調整する押圧力調整部と、
を具備することを特徴とする超音波モータ駆動装置。
【請求項2】
前記押圧力調整部と前記被駆動体とが機械的に連結していないことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項3】
前記被駆動体と前記超音波振動子との間に作用する押圧力が前記所定の押圧力よりも大きくなったことを前記押圧力検出部が検出した場合に、前記押圧力調整部は、増加分の押圧力を軽減するように作用することを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項4】
前記被駆動体と前記超音波振動子との間に作用する押圧力が前記所定の押圧力よりも小さくなったことを前記押圧力検出部が検出した場合に、前記押圧力調整部は、減少分の押圧力を増加するように作用することを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項5】
前記超音波振動子に縦1次共振モードと屈曲2次共振モードを励振するような2相の交番信号を印加して前記駆動子上に楕円振動を発生させ、
前記押圧力検出部の検出値を所定の間隔でモニタリングし、その検出値と前記所定の押圧力との演算結果に基づいて前記押圧力調整部を制御する、制御部を更に有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項6】
前記押圧力調整部は、ベース部材上に少なくとも1つ以上配置されることを特徴とする請求項5に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項7】
前記押圧力検出部は、前記ベース部材と前記被駆動体との間に配置されることを特徴とする請求項6に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項8】
前記押圧力調整部は、前記ベース部材上に設けられたエア吐出ヘッドおよび吸着ヘッドを有し、前記制御部による前記エア吐出ヘッドの吐出圧および吸着ヘッドの吸引圧の制御により、前記押圧力の調整を行うことを特徴とする請求項7に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項9】
前記押圧力調整部は、前記被駆動体に設けられた永久磁石と、前記ベース部材に設けられた磁気コイルと、を有し、前記制御部による前記磁気コイルと永久磁石との間の磁気力の制御により、前記押圧力の調整を行うことを特徴とする請求項7に記載の超音波モータ駆動装置。
【請求項10】
前記被駆動体の変位平面内の2軸に対し少なくとも一対の前記超音波振動子を有し、前記被駆動体は、前記超音波振動子の前記駆動子により支持されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−279152(P2010−279152A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128861(P2009−128861)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】