説明

超音波探触子

【課題】 振動子を水中に配置したとき、振動子の周辺に気泡が溜まりにくい超音波探触子を提供すること。
【解決手段】 バッキング部材1の振動子取付面10に、仮想球面の曲率と同じ曲率の球面の一部から成る超音波送受信面13,14,15を夫々有する第1、第2、第3振動子3,4,5を、互いに非接触な状態で取り付ける。上記3つの振動子3,4,5の超音波送受信面13,14,15を、互いに非接触な状態で上記仮想球面の大円上に略等間隔に配置する。上記3つの振動子3,4,5のうちの中央の振動子4の超音波送受信面14を、上記仮想球面の大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分24と第2部分25とで構成する。振動子取付面10に、第1部分24と第2部分25との間を通過して振動子取付面10を横断するように延びる気泡抜き溝20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波探触子としては、特開2000−131297号公報(特許文献1)に記載されている表面波測定用探触子がある。
【0003】
この表面波測定用探触子は、基台と、基台の断面円弧状の凹部上に略等間隔に貼り付けられた三つの板状の振動子とを備える。
【0004】
この表面波測定用探触子は、次のようにして、被疲労度測定部材の疲労度の測定を行うようになっている。
【0005】
先ず、ガラス等の透明の容器の底に被疲労度測定部材を配置した後、この容器に水を充填する。次に、上記三つの板状の振動子が水につかるように、表面波測定用探触子を上記容器中に配置した後、上記三つの振動子のうちの一の振動子の超音波送受信面から水が充填されたガラス等の透明の容器の底に載置された被疲労度測定部材の表層部に向けて超音波を発振する。そして、その発振された超音波を上記被疲労度測定部材の表層部(表面を含む)を伝播させた後、上記一の振動子以外の振動子で受信することにより、上記超音波が上記被疲労度測定部材を伝播するときの伝播速度を測定する。最後に、この測定した伝播速度に基づいて、この測定した伝播速度と相関関係がある上記被疲労度測定部材の疲労の程度を測定する。
【0006】
しかしながら、上記従来の表面波測定用探触子では、表面波測定用探触子を水で満たされた上記容器中に配置する際に、上記断面円弧状の凹部に気泡が溜まって、上記被疲労度測定部材に対する超音波の伝播速度を正確に測定できないという問題がある。
【特許文献1】特開2000−131297号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、振動子を水中に配置したとき、振動子の周辺に気泡が溜まりにくい超音波探触子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の超音波探触子は、
振動子取付面を有するバッキング部材と、
上記振動子取付面に互いに非接触な状態で取り付けられると共に、仮想球面の曲率と同じ曲率の球面の一部から成る超音波送受信面を夫々有する3つの振動子と
を備え、
上記3つの振動子の上記超音波送受信面は、互いに非接触な状態で上記仮想球面の大円上に略等間隔に配置されており、
上記3つの振動子のうちの中央の上記振動子の上記超音波送受信面は、上記大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分と第2部分とから成り、
上記振動子取付面には、上記第1部分と上記第2部分との間を通過して上記振動子取付面を横断するように延びる気泡抜き溝が形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、上記振動子取付面に、上記第1部分と上記第2部分との間を通過して上記振動子取付面を横断するように延びる気泡抜き溝を形成しているので、上記振動子取付面が上記バッキング部材の鉛直方向の下方に位置し、かつ、上記中央の振動子以外の両端の振動子の上記超音波送受信面の中心が、鉛直方向の同じ高さに位置している状態で、超音波探触子を水中に配置したとき、上記振動子取付面に溜まる傾向がある気泡を、上記気泡抜き溝を通じて超音波探触子の外部に逃がすことができる。したがって、超音波の発振中に、気泡が上記振動子の周辺に存在することがないので、被疲労度測定部材に対する超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0010】
また、一実施形態の超音波探触子は、上記気泡抜き溝の幅方向の中心線は、上記大円の中心と、上記大円における上記第1部分と上記第2部分との間の点とを含み、かつ、上記大円に垂直な平面上に略存在しており、上記振動子取付面が上記バッキング部材の鉛直方向の下方に位置し、かつ、上記中央の振動子以外の2つの上記振動子の上記超音波送受信面の中心の鉛直方向の高さが略同一である状態において、上記中心線は、その中心線の鉛直方向の高さが上記第1部分と上記第2部分との間の点の付近で極小になる下に凸の曲線である。
【0011】
上記実施形態によれば、上記状態において、上記中心線が、その中心線の鉛直方向の高さが上記第1部分と上記第2部分との間の点の付近で極小になる下に凸の曲線であるので、超音波探触子を駆動している状態で、気泡が、上記気泡抜き溝を通じて超音波探触子の外部に移動することを促進できる。
【0012】
また、本発明の超音波探触子は、
振動子取付面を有するバッキング部材と、
上記振動子取付面に互いに非接触な状態で取り付けられると共に、仮想球面の曲率と同じ曲率の球面の一部から成る超音波送受信面を夫々有する3つの振動子と
を備え、
上記3つの振動子の上記超音波送受信面は、互いに非接触な状態で上記仮想球面の大円上に略等間隔に配置されており、
上記3つの振動子のうちの中央の上記振動子の上記超音波送受信面は、上記大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分と第2部分とから成り、
上記バッキング部材には、上記振動子取付面における上記第1部分と上記第2部分との間の部分に開口を有すると共に、上記バッキング部材を貫通する気泡抜き穴が形成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、上記バッキング部材が、上記振動子取付面における上記第1部分と上記第2部分との間の部分に開口を有すると共に、上記バッキング部材を貫通する気泡抜き穴を有するので、上記振動子取付面が上記バッキング部材の鉛直方向の下方に位置し、かつ、上記中央の振動子以外の両端の振動子の上記超音波送受信面の中心が、鉛直方向の同じ高さに位置している状態で、超音波探触子を水中に配置したとき、上記振動子取付面の上記第2振動子の付近に溜まる傾向がある気泡を、上記気泡抜き穴を通じて超音波探触子の外部に逃すことができる。したがって、超音波の発振中に、気泡が上記振動子の周辺に存在することがないので、被疲労度測定部材に対する超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の超音波探触子によれば、超音波探触子の駆動時に振動子取付面の第2振動子の付近に溜まる傾向がある気泡を、気泡抜き溝を通じて超音波探触子の外部に逃がすことができる。したがって、超音波の発振中に、気泡が上記振動子取付面に接触するように存在することがないので、被疲労度測定部材に対する超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0015】
また、本発明の超音波探触子によれば、超音波探触子の駆動時に振動子取付面の第2振動子の付近に溜まる傾向がある気泡を、気泡抜き穴を通じて超音波探触子の外部に逃すことができる。したがって、超音波の発振中に、気泡が上記振動子取付面に接触するように存在することがないので、被疲労度測定部材に対する超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態の超音波探触子の振動子3,4,5の超音波送受信面13,14,15が配置された仮想球面の大円を含む断面図である。
【0018】
図1に示すように、この超音波探触子は、樹脂製のバッキング部材1と、第1振動子3と、第2振動子4と、第3振動子5とを備える。
【0019】
上記バッキング部材1は、球面の一部からなる振動子取付面10を有している。上記第1振動子3、第2振動子4および第3振動子5は、振動子取付面10の大円上に、略等間隔に配置されている。上記第1振動子3は、超音波送受信面13を有し、第2振動子4は、超音波送受信面14を有し、第3振動子5は、超音波送受信面15を有する。上記超音波送受信面13,14,15は、同一の仮想球面の一部からなっている。第1振動子3の超音波送受信面13、第2振動子4の超音波送受信面14および第3振動子5の超音波送受信面15は、互いに非接触な状態で上記仮想球面の大円上に、略等間隔に配置されている。上記第2振動子4は、3つの振動子3,4,5のうちの中央に配置されている。
【0020】
図1に示すように、第2振動子4の超音波送受信面14は、上記仮想球面の大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分24および第2部分25から成っている。上記振動子取付面10における第1部分24と第2部分25との間には、大円18方向と略垂直な方向に延在する気泡抜き溝20が形成されている。上記バッキング部材1の振動子取付面10および超音波送受信面13,14,15は、同一の曲率中心Pを有している。
【0021】
図2は、第1実施形態の超音波探触子の3つの振動子3,4,5の超音波送受信面13,14,15側の表面を示す底面図である。
【0022】
上記振動子取付面10は、図2に示す底面図において略帯形状を有している。上記第1〜第3振動子3,4,5の超音波送受信面13,14,15は、振動子取付面10の幅方向(大円18方向と垂直な方向)の中央に配置されている。振動子取付面10の大円18方向における第1振動子3と第2振動子4との距離dは、大円18方向における第2振動子4と第3振動子5との距離eと等しくなっており、振動子3,4,5は、互いに非接触な状態で大円18上に略等間隔に配置されている。
【0023】
図2に示すように、上記第2振動子4の超音波送受信面14は、仮想球面の大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分24と第2部分25とから成っている。また、図2に示すように、振動子取付面10には、気泡抜き溝20が形成されている。上記気泡抜き溝20は、第1部分24と第2部分25との間を通過して振動子取付面10を横断するように振動子取付面10の幅方向に延びている。上記気泡抜き溝20の幅方向の中心線は、大円18の中心と、大円18における第1部分24と第2部分25との間の点とを含み、かつ、大円18に垂直な平面上に略存在している。
【0024】
図3は、図2のα−α線断面図であり、気泡抜き溝20の幅方向の中心線21を含む断面図である。
【0025】
図3に示すように、上記気泡抜き溝20の中心線21は、バッキング部材1における振動子取付面10に対向する表面31に対して下に凸の2次曲線の形状を有している。正確には、上記振動子取付面10がバッキング部材1の鉛直方向の下方に位置し、かつ、第1振動子3の超音波送受信面13の中心と第3振動子5の超音波送受信面15の中心とが、鉛直方向の同じ高さに位置している状態において、気泡抜き溝20の中心線21は、その中心線21における大円18を含む平面との交差点の付近の高さが極小である2次曲線になっている。
【0026】
以下に、図1を参照しながら、第1実施形態の超音波探触子を用いた被疲労測定物の疲労度の測定方法について簡単に述べることにする。
【0027】
先ず、ガラス等の透明な容器に水を充填させた後、この水が充填された容器の底に被疲労測定物28を載置する。
【0028】
次に、超音波探触子の第1〜第3振動子3,4,5を上記容器内に充填されている水に接触させた後、超音波送受信面14から超音波を発振する。そして、超音波が超音波送受信面14から発振された時から、超音波送受信面14から発振された超音波が被疲労測定物28の表面で反射して超音波送受信面14に到達した時までの第1時間を測定する。また、超音波送受信面13から超音波を発振して、超音波が超音波送受信面13から発振された時から、超音波送受信面13から発振された超音波が被疲労測定物28の表面で反射して超音波送受信面15に到達した時までの第2時間を測定する。そして、超音波探触子を、上記第1時間と上記第2時間とが等しい点に配置して、曲率中心Pを、被疲労測定物28の表面27上に位置させるようにする。
【0029】
次に、超音波探触子を被疲労測定物28に近づけるように、被疲労測定物28の表面27の法線方向に、曲率中心Pを距離z移動させる。図1は、この状態を図示したものである。この状態において、超音波を超音波送受信面13から図1に矢印aで示す超音波送受信面13の中心の法線方向に発振して、超音波を、超音波送受信面13から矢印a方向に水中を伝播させた後、矢印bに示す方向に被疲労測定物の表面27(厳密には表層)を伝播させ、その後、矢印cに示す超音波送受信面15の中心の法線方向に水中を伝播させる。そして、この経路を伝播した超音波における、超音波が超音波送受信面13から発振した時から超音波が超音波送受信面15に到達した時までの時間を測定する。そして、図1の状態において、表面Aから曲率中心Pまでの矢印a方向のA−Pの距離と、曲率中心Pから表面Cまでの矢印c方向のC−Pの距離とが厳密に算出できることと、水に対する超音波の伝播速度がわかっていることとに基づいて、超音波の被疲労測定物28の表層部の伝播速度を導き出す。
【0030】
最後に、超音波の被疲労測定物28の表層部の伝播速度に基づいて、この伝播速度と相関関係がある被疲労測定物28の疲労度を測定する。例えば、この方法を被疲労測定物の一例としての玉軸受の内輪の軌道底に適用すれば、その軌道底の転動疲労を測定することができる。
【0031】
尚、振動子取付面10がバッキング部材1の鉛直方向の下方に位置し、かつ、第1振動子3の超音波送受信面13の中心と第3振動子5の超音波送受信面15の中心とが、鉛直方向の略同じ高さに位置し、かつ、第1〜第3振動子3,4,5が水に接触している状態で、図2の底面図における振動子取付面10の大円18方向に垂直な方向である幅方向の幅fは、上記透明な容器の側面から第2振動子4の周辺に溜まっている気泡が視認できる程度の短い長さに設定されている。
【0032】
上記第1実施形態の超音波探触子によれば、振動子取付面10に、第1部分24と第2部分25との間を通過して振動子取付面10を横断するように延びる気泡抜き溝20を形成しているので、振動子取付面10がバッキング部材1の鉛直方向の下方に位置し、かつ、第1振動子3の超音波送受信面13の中心と第3振動子5の超音波送受信面15の中心とが、鉛直方向の同じ高さに位置している状態で、超音波探触子を水中に配置したとき、振動子取付面10の第2振動子4の付近に溜まる傾向がある気泡を、気泡抜き溝20を通じて超音波探触子の外部に逃がすことができる。したがって、超音波の発振中に、気泡が第1〜第3振動子3,4,5の周辺に存在することがないので、被疲労度測定部材28に対する超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0033】
また、上記第1実施形態の超音波探触子によれば、気泡抜き溝20の幅方向の中心線21は、大円18の中心と、大円18における第1部分24と第2部分25との間の点とを含み、かつ、大円18に垂直な平面上に存在し、更に、振動子取付面10がバッキング部材1の鉛直方向の下方に位置し、かつ、中央の振動子2以外の2つの振動子1,3の中心の鉛直方向の高さが略同一である状態において、中心線21は、その中心線21の鉛直方向の高さが第1部分24と第2部分25との間の点の付近で極小になる下に凸の2次曲線であるので、超音波探触子を駆動している状態で、気泡が、気泡抜き溝20を通じて超音波探触子の外部に移動することを促進できる。
【0034】
尚、この発明では、気泡抜き溝の幅方向の中心線は、超音波探触子を駆動している状態で、その中心線の鉛直方向の高さが第1部分と第2部分との間の点の付近で極小になる下に凸の曲線であればどのような曲線であっても良く、例えば4次の曲線等、2次の曲線に限らない。
【0035】
図4は、本発明の第2実施形態の超音波探触子の振動子3,4,5の超音波送受信面13,14,15が配置された仮想球面の大円を含む断面図である。また、図5は、第2実施形態の超音波探触子の3つの振動子3,4,5の超音波送受信面13,14,15側の表面を示す底面図である。また、図6は、図5のβ−β線断面図であり、気泡抜き穴50を含む振動子取付面40の幅方向の断面図である。
【0036】
第2実施形態の超音波探触子は、第2振動子4の第1部分24と第2部分25との間に、第1実施形態のように気泡抜き溝20を設けるのではなくて気泡抜き穴50を設けた点のみが第1実施形態の超音波探触子と異なる。
【0037】
第2実施形態の超音波探触子では、第1実施形態の超音波探触子の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第2実施形態の超音波探触子では、第1実施形態の超音波探触子と共通の作用効果については説明を省略することにし、第1実施形態の超音波探触子と異なる構成、作用効果についてのみ説明を行うことにする。
【0038】
図4および図6に示すように、気泡抜き穴50は、球面の一部からなる振動子取付面40の径方向に略延びており、バッキング部材41を貫通している。また、図5に示すように、上記気泡抜き穴50は、振動子取付面40の大円18上における第1部分24と第2部分25との間に一方の開口を有している。上記開口は、断面略円形の形状を有している。尚、開口は、断面矩形の形状等、断面円形の形状以外の形状であっても良いことは勿論である。
【0039】
上記第2実施形態の超音波探触子によれば、振動子取付面40における第1部分24と第2部分25との間の部分に開口を有すると共に、バッキング部材41を貫通する気泡抜き穴50を有するので、振動子取付面40がバッキング部材41の鉛直方向の下方に位置し、かつ、第1振動子3の超音波送受信面13の中心と第3振動子5の超音波送受信面15の中心とが、鉛直方向の同じ高さに位置している状態で、超音波探触子を水中に配置したとき、振動子取付面40の第2振動子4の付近に溜まる傾向がある気泡を、気泡抜き穴50を通じて超音波探触子の外部に逃すことができる。したがって、超音波の発振中に、気泡が第1〜第3振動子3,4,5の周辺に存在することがないので、被疲労度測定部材に対する超音波の伝播速度を正確に測定できる。
【0040】
また、上記第2実施形態の超音波探触子によれば、気泡抜き穴50が、バッキング部材41を貫通するように、振動子取付面40の径方向に略延びているので、振動子取付面40がバッキング部材41の鉛直方向の下方に位置し、かつ、第1振動子3の超音波送受信面13の中心と第3振動子5の超音波送受信面15の中心とが、鉛直方向の略同じ高さに位置し、かつ、第1〜第3振動子3,4,5が水に接触している測定状態で、気泡が超音波探触子の遠方に移動する力を大きくすることができる。
【0041】
また、上記第2実施形態の超音波探触子によれば、図5の底面図における振動子取付面40の大円18方向に垂直な方向である幅方向の幅fが、透明容器の側面から第2振動子4の周辺に溜まっている気泡が視認できる程度の短い長さに設定されているので、超音波探触子の駆動状態で第2振動子4の周辺に溜まる傾向がある気泡を、バッキング部材41の幅方向の両側面55,56を通じて逃がすことができる。したがって、上記測定状態において気泡が振動子取付面40に溜まることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態の超音波探触子の振動子の超音波送受信面が配置された仮想球面の大円を含む断面図である。
【図2】第1実施形態の超音波探触子の3つの振動子の超音波送受信面側の表面を示す底面図である。
【図3】図2のα−α線断面図である。
【図4】第2実施形態の超音波探触子の振動子の超音波送受信面が配置された仮想球面の大円を含む断面図である。
【図5】第2実施形態の超音波探触子の3つの振動子の超音波送受信面側の表面を示す底面図である。
【図6】図5のβ−β線断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1,41 バッキング部材
3 第1振動子
4 第2振動子
5 第3振動子
10,40 振動子取付面
13,14,15 超音波送受信面
20 気泡抜き溝
21 中心線
24 第1部分
25 第2部分
28 被疲労測定物
50 気泡抜き穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子取付面を有するバッキング部材と、
上記振動子取付面に互いに非接触な状態で取り付けられると共に、仮想球面の曲率と同じ曲率の球面の一部から成る超音波送受信面を夫々有する3つの振動子と
を備え、
上記3つの振動子の上記超音波送受信面は、互いに非接触な状態で上記仮想球面の大円上に略等間隔に配置されており、
上記3つの振動子のうちの中央の上記振動子の上記超音波送受信面は、上記大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分と第2部分とから成り、
上記振動子取付面には、上記第1部分と上記第2部分との間を通過して上記振動子取付面を横断するように延びる気泡抜き溝が形成されていることを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波探触子において、
上記気泡抜き溝の幅方向の中心線は、上記大円の中心と、上記大円における上記第1部分と上記第2部分との間の点とを含み、かつ、上記大円に垂直な平面上に略存在しており、
上記振動子取付面が上記バッキング部材の鉛直方向の下方に位置し、かつ、上記中央の振動子以外の2つの上記振動子の上記超音波送受信面の中心の鉛直方向の高さが略同一である状態において、上記中心線は、その中心線の鉛直方向の高さが上記第1部分と上記第2部分との間の点の付近で極小になる下に凸の曲線であることを特徴とする超音波探触子。
【請求項3】
振動子取付面を有するバッキング部材と、
上記振動子取付面に互いに非接触な状態で取り付けられると共に、仮想球面の曲率と同じ曲率の球面の一部から成る超音波送受信面を夫々有する3つの振動子と
を備え、
上記3つの振動子の上記超音波送受信面は、互いに非接触な状態で上記仮想球面の大円上に略等間隔に配置されており、
上記3つの振動子のうちの中央の上記振動子の上記超音波送受信面は、上記大円方向に離間されて互いに非接触になっている第1部分と第2部分とから成り、
上記バッキング部材には、上記振動子取付面における上記第1部分と上記第2部分との間の部分に開口を有すると共に、上記バッキング部材を貫通する気泡抜き穴が形成されていることを特徴とする超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−10622(P2007−10622A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195198(P2005−195198)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【出願人】(599165980)
【出願人】(502073289)
【Fターム(参考)】