説明

超音波診断装置、およびモード切り替え方法

【課題】スリープモードによる省電力化の効果を最大限引き出す。
【解決手段】超音波観測器10のCPU52は、省電力駆動のスリープモードを実行中に人感センサ17で人の所在が検出されたときに、無線通信部50を介して超音波プローブ11に認証情報要求信号を送信する。これに応じて超音波プローブ11の無線通信部39から送信される認証情報41を取得して、超音波プローブの使用許諾がなされたときに、CPU52は、モニタ14、ジェルウォーマー18等をスリープモードから通常駆動のアクティブモードに復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリープモード機能付きの周辺機器を有する超音波診断装置、およびモード切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブを利用した医療診断が盛んに行われている。超音波プローブの先端には、超音波トランスデューサ(以下、UTと略す)が配されている。UTは、バッキング材、圧電体およびこれを挟む電極、音響整合層、および音響レンズから構成される。UTから被検体(人体)に超音波を照射し、被検体からの反射波をUTで受信する。これにより出力される検出信号を超音波観測器で電気的に処理することによって、超音波画像が得られる。
【0003】
また、超音波を走査しながら照射することにより、超音波断層画像を得ることも可能である。超音波断層画像を得る方法としては、UTを機械的に回転あるいは揺動、もしくはスライドさせるメカニカルスキャン走査方式や、複数のUTをアレイ状に配列(以下、UTアレイという)し、駆動するUTを電子スイッチ等で選択的に切り替える電子スキャン走査方式が知られている。
【0004】
超音波診断装置には、例えば超音波画像を表示するモニタを、非使用時に通常駆動のアクティブモードから省電力駆動のスリープモードに移行させて省電力化を図る機能を備えたものがある。アクティブモードからスリープモードへの移行は、時間の経過により、スリープモードからアクティブモードへの復帰は、ボタン等の操作により行っている。
【0005】
特許文献1には、リモコンに人感センサを搭載し、人感センサの検出結果に基づいて、アクティブモードとスリープモードの切り替えを制御するハードディスク内蔵画像記録再生装置が記載されている。人感センサには、加速度センサ、接触センサ、または赤外線センサを用いており、リモコンを持ち上げたり、触ったり、あるいはリモコンに人が近付いたときに、画像記録再生装置をスリープモードからアクティブモードへ復帰させている。また、人の不在時間に応じて段階的にスリープモードへ移行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−359032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
省電力機能付きの超音波診断装置は、スリープモードからアクティブモードに切り替えるためにボタン等を操作しなければならないため面倒である。この問題は、リモコンに搭載された人感センサの検出結果に基づいて、各モードの切り替えを制御する特許文献1に記載の技術を適用し、例えば超音波観測器が載置される台車に人感センサを設ければ一応は解決する。
【0008】
しかしながら、超音波診断では、超音波プローブで手技を行う術者だけでなく患者もいる。また、超音波診断に先立って、看護士等が洗浄後の超音波プローブを用意するときに台車に近付くこともある。さらに、術者が超音波プローブを持って台車に近付いても、超音波観測器に患者情報を入力する等の下準備が必要であり、すぐに手技を行うとは限らない。このため、単に人感センサの検出結果を元に各モードの切り替えをすると、不必要なタイミングでスリープモードからアクティブモードへ復帰することが頻発し、省電力化の効果が殆どなくなる。
【0009】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、その目的は、スリープモードによる省電力化の効果を最大限引き出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の超音波診断装置は、超音波および反射波を送受信する超音波プローブと、反射波の検出信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測器と、省電力駆動のスリープモードと通常駆動のアクティブモードの切り替えが可能な周辺機器と、周囲の人の所在を検出する人感センサと、前記周辺機器でスリープモードを実行中に前記人感センサで人の所在が検出されたときに、前記超音波プローブに認証情報を要求し、これに応じて前記超音波プローブから送信される認証情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で認証情報を取得して前記超音波プローブの使用許諾がなされたときに、前記周辺機器をスリープモードからアクティブモードに復帰させるモード切り替え手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記周辺機器でアクティブモードを実行中に前記人感センサで人の所在が検出されない時間を計時する第1計時手段を備えることが好ましい。前記モード切り替え手段は、前記第1計時手段の計時時間が設定時間となったときに、前記周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させる。
【0012】
前記周辺機器でアクティブモードを実行中、且つ前記人感センサで人の所在が検出されているときに、前記超音波プローブからの反射波の検出信号が前記超音波観測器で受信されない時間を計時する第2計時手段を備えることが好ましい。前記モード切り替え手段は、前記第2計時手段の計時時間が設定時間となったときに、前記周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させる。
【0013】
設定時間を変更するための第1操作入力手段を備えることが好ましい。また、計時を開始したら超音波画像の更新を止めることが好ましい。
【0014】
前記周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させるか否かを選択するための第2操作入力手段を備えることが好ましい。
【0015】
前記周辺機器は、超音波画像を表示するモニタ、または超音波ジェルを貯蔵して適温に保つジェルウォーマーのうちの少なくとも1つである。前記周辺機器が前記モニタである場合、スリープモードを実行中に前記人感センサで人の所在が検出されたときに、前記超音波プローブの使用許諾の有無に関わらず、前記モニタをスリープモードからアクティブモードに復帰させるか否かを選択するための第3操作入力手段を備えることが好ましい。
【0016】
前記超音波プローブと前記超音波観測器は、電波で情報を遣り取りする。前記情報取得手段は、認証情報として前記超音波プローブのIDを取得する。前記人感センサは、赤外線または超音波を発して人の所在を検出する。
【0017】
本発明のモード切り替え方法は、省電力駆動のスリープモードと通常駆動のアクティブモードの切り替えが可能な周辺機器でスリープモードを実行中に人感センサで人の所在が検出されたときに、超音波プローブに認証情報を要求し、これに応じて超音波プローブから送信される認証情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで認証情報を取得して超音波プローブの使用許諾がなされたときに、周辺機器をスリープモードからアクティブモードに復帰させるモード切り替えステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、人感センサで人の所在が検出され、且つ超音波プローブの認証情報を超音波観測器で取得して超音波プローブの使用許諾がなされたときに、周辺機器をスリープモードからアクティブモードに復帰させるので、不必要なタイミングでスリープモードからアクティブモードへ復帰することがなくなり、スリープモードによる省電力化の効果を最大限引き出すことができる。
【0019】
人感センサで人の所在が検出されない時間、あるいは、人感センサで人の所在が検出されていて、超音波プローブからの反射波の検出信号が超音波観測器で受信されない時間が設定時間となったときに、周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させるので、さらなる省電力化を実現することができる。
【0020】
上記設定時間の変更や、スリープモードへの移行、アクティブモードへの復帰をさせるか否かを選択するための操作入力手段を備えるので、ユーザーの意図を反映したモード切り替えをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】超音波診断装置の構成を示す外観図である。
【図2】超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】スリープモード設定ウィンドウを示す図である。
【図4】スリープモードからアクティブモードに復帰する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】アクティブモードからスリープモードへ移行する際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、超音波診断装置2は、超音波観測器10と体外式の超音波プローブ11とで構成される。超音波観測器10は、本体12、操作部13、およびモニタ14からなり、これらは台車15に載せられて可搬である。超音波観測器10と超音波プローブ11とは、電波16で情報を遣り取りする。超音波観測器10は、1台で複数本の超音波プローブ11と無線通信が可能な兼用機器(使用時は1対1)である。
【0023】
操作部13は、種々の操作指示を入力するための複数のボタンやトラックボール等を有する。モニタ14は、超音波画像をはじめとして様々な操作画面を表示する。
【0024】
台車15には、人感センサ17、ジェルウォーマー18、およびプローブホルダ19等が設けられている。人感センサ17は、操作部13が載置されるトレイの正面中央付近に配されている。人感センサ17は、例えば赤外線や超音波を発し、人の体温や静電気を検知することで、人の所在を検出する。人感センサ17の検出可能範囲は、例えば台車15の前方周囲2、3mである。この場合の人とは、主に術者、患者、術者の介添の看護士等であり、これらの他の全ての人も含む。
【0025】
ジェルウォーマー18は、手技の際に被検体の体表に塗られる超音波ジェルを貯蔵する。ジェルウォーマー18には、貯蔵された超音波ジェルを適温に保つため、ラバーヒータ等の加熱器が設けられている。プローブホルダ19は、超音波プローブ11の後端形状に象ってトレイの両脇に穿たれた穴であり、非使用時の超音波プローブ11が挿入固定される。プローブホルダ19には、超音波プローブ11を充電する機能が設けられている。
【0026】
超音波プローブ11は、術者が把持してその先端部を被検体にあてがう。超音波プローブ11の先端部には、超音波トランスデューサアレイ(以下、UTアレイと略す)20が内蔵されている。UTアレイ20は、周知の如く、エレベーション方向(以下、EL方向と略す)に垂直な断面が略蒲鉾様に形成された凸状のバッキング材上に、複数の超音波トランスデューサ(以下、UTと略す)がEL方向と直交するアジマス方向(以下、AZ方向と略す)に等間隔で配列された構造を有する。そして、複数配列されたUT上に音響整合層、および音響レンズが順次積層されている。
【0027】
UTは、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)や、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの圧電体厚膜の両面に電極を形成してなる。両電極に電圧(励振パルス)が印加されると、圧電体が振動して超音波を発生し、これにより被検体の被観察部位に超音波が照射される。また、被観察部位からの反射波を受信すると、圧電体が振動して電圧を発生し、この電圧が検出信号として出力される。
【0028】
図2において、UTアレイ20は、マルチプレクサ(以下、MUXと略す)30と接続している。MUX30には、複数のパルサ31と、受信アンプ32を介して複数のレシーバ33とが接続され、レシーバ33にはA/D変換器(以下、A/Dと略す)34が接続されている。
【0029】
パルサ31は、CPU35の制御の下、走査制御部36によって駆動制御される。パルサ31は、走査制御部36から送信される駆動信号に基づいて、UTに超音波を発生させるための励振パルスを送信する。
【0030】
MUX30は、複数のUTの中から、駆動させるUTを選択して、これを所定の時間間隔で順次切り替える。具体的には、例えばUTが128個配されている場合、128個のUTのうち、隣接する6個のUTを1つのブロックとして同時に駆動させるように選択する。そして、超音波および反射波の1回の送受信毎に、駆動させるUTを1〜数個ずつずらす。
【0031】
レシーバ33は、受信アンプ32で増幅された検出信号を受信する。A/D34は、レシーバ33からの検出信号にデジタル変換を施し、検出信号をデジタル化する。この受信アンプ32、レシーバ33、A/D34と、前述のパルサ31は、ここでは3組しか図示していないが、実際には一度に駆動するUTの個数分(この場合は6個分)設けられている。
【0032】
ビームフォーマ(以下、BFと略す)37は、検出信号に対して位相整合演算を施す。検波Log圧縮回路38は、検出信号の振幅を検波し、Log圧縮を施す。検波Log圧縮回路38から出力された検出信号は、メモリ(図示せず)に一旦格納される。
【0033】
無線通信部39は、CPU35の制御の下、メモリに格納された検波、Log圧縮後の検出信号を電波16に変調する。無線通信部39は、アンテナ(図示せず)を有し、アンテナを介して外部に電波16を発信させるとともに、電波16を受信してこれを元の信号に復調する。無線通信部39で復調された信号は、CPU35に送られる。
【0034】
無線通信部39には、ROM40が接続されている。ROM40には、認証情報41が記憶されている。認証情報41は、超音波プローブ11を一意に特定するための製造番号等のID、および超音波観測器10側で必要な、超音波画像の表示形態等を指定するプリセット情報を含む。超音波プローブ11が術者毎に支給されるものであった場合は、認証情報41に術者のIDを含んでいてもよい。無線通信部39は、超音波観測器10からアンテナを介して認証情報要求信号を受信したときに、ROM40から認証情報41を読み出して、これを電波16に変換して超音波観測器10に向けて返信する。認証情報要求信号は、文字通り超音波プローブ11に認証情報41の送信を要求する信号である。
【0035】
バッテリ42は、電源供給部43を介して超音波プローブ11の各部に電源を供給する。バッテリ42は、プローブホルダ19に超音波プローブ11を挿入固定したときに充電される。
【0036】
超音波観測器10には、超音波プローブ11と同様の無線通信部50が設けられている。無線通信部50は、外部に電波16を発信させるとともに、電波16を受信してこれを元の信号(検出信号や認証情報41の信号)に復調する。無線通信部50で復調された検出信号は、デジタルスキャンコンバータ(以下、DSCと略す)51に入力される。また、認証情報41の信号は、CPU52に入力される。
【0037】
DSC51は、CPU52の制御の下、検出信号をテレビ信号に変換する。DSC51で変換されたテレビ信号は、D/A変換器(図示せず)でD/A変換が施され、認証情報41のプリセット情報に従って、モニタ14に超音波画像として表示される。
【0038】
CPU52は、超音波観測器10の各部の動作を統括的に制御する。CPU52には、システムクロック53、ROM54、RAM(図示せず)等が接続されている。ROM54には、超音波診断装置2を動作させるために必要なプログラムやデータが記憶されている。また、ROM54には認証テーブル55が記憶されている。CPU52は、ROM54に記憶されたプログラムやデータを、作業用メモリであるRAMに読み出して、相応の処理を逐次実行する。また、CPU52は、操作部14からの操作入力信号に基づいて各部を動作させる。
【0039】
認証テーブル55には、超音波観測器10との接続を許可された複数本の超音波プローブ11の認証情報41(超音波プローブ11のID)が登録されている。CPU52は、超音波プローブ11から送られてきた認証情報41がROM54内の認証テーブル55にあるか否かを照合する。
【0040】
CPU52には、人感センサ17の検出結果が入力される。また、CPU52は、ジェルウォーマー18の加熱器の駆動を制御する。CPU52は、人感センサ17の検出結果に基づき、アクティブモードからスリープモードへの移行、またはスリープモードからアクティブモードへの復帰のモード切り替えを実行する。
【0041】
アクティブモードは、超音波プローブ11で術者が手技を行っているときのモード、スリープモードは逆に、手技を行っていないときのモードである。アクティブモードでは、当然ながら超音波観測器10、超音波プローブ11、モニタ14、ジェルウォーマー18等の超音波診断装置2の全てが動作する。スリープモードでは、操作部13の操作によりモニタ14に表示される、図3に示すスリープモード設定ウィンドウ60で設定された対象が省電力駆動となる。
【0042】
図3において、スリープモード設定ウィンドウ60は、省電力対象1、省電力対象2、設定時間の3つの設定枠61、62、63を有する。省電力対象1の設定枠61には、スリープモードに移行したときの省電力駆動の対象として、モニタ14とジェルウォーマー18が表示されている。省電力対象2の設定枠62には、モニタ14が表示されている。そして、各項目の横に「ON」、「OFF」の2種のチェックボックス64が設けられている。設定時間の設定枠63には、「1分」、「3分」、「5分」、および「OFF」のチェックボックス64がそれぞれ設けられている。なお、プルダウンメニューや数値直接入力等を使って、設定時間をさらに細かく設定可能にしてもよい。
【0043】
操作部13のマウスのカーソル65で各チェックボックス64を選択すると、選択したチェックボックス64にレ点66が表示される。省電力対象1、2の設定枠61、62の「ON」、「OFF」は二者択一であり、一方を選択すると他方は自動的に非選択となる。設定時間の設定枠63の各チェックボックス64は四者択一であり、いずれか1つを選択すると他の3つは自動的に非選択となる。
【0044】
省電力対象1、2の設定枠61、62の「ON」のチェックボックス64を選択した場合、その機器はスリープモードに移行したときに省電力駆動となる。「OFF」の場合は省電力駆動されない(全て「OFF」ならばスリープモードへの移行自体をしない)。また、設定時間の設定枠63の「OFF」を選択した場合は、後述する計時をしない。
【0045】
図3に示す各設定枠61〜63の選択状態はデフォルトであり、省電力対象1の設定枠61は全ての機器が「ON」、省電力対象2の設定枠62は「OFF」、設定時間の設定枠63は「1分」に設定されている。下部のOKボタン67を選択すると、そのときの設定がROM54に保存される。Cancelボタン68を選択すると、設定が無効となる。省電力対象1、2の区分けの意味、および設定時間の詳細については後述する。
【0046】
CPU52は、人感センサ17から人の所在を示す信号を受信して、且つ超音波プローブ11から認証情報41の信号を電波16にて受信し、超音波プローブ11の使用許諾をした場合、スリープモードからアクティブモードに復帰させる。一方、CPU52は、人感センサ17から人の存在を示す信号を受信しなくなくなってから、スリープモード設定ウィンドウ60の設定枠63で設定した時間が経過した場合、または、人感センサ17から人の存在を示す信号を受信していて、且つ超音波プローブ11から電波16による信号の受信がない状態が設定時間続いた場合、アクティブモードからスリープモードに移行させる。これらの条件以外では、CPU52は各モードを継続する。
【0047】
より詳しくは図4および図5のフローチャートに示す。図4において、まず、超音波診断装置2の周囲に人がおらず、スリープモードが実行されている状態を考える(S10)。スリープモードでは、スリープモード設定ウィンドウ60で設定された機器が省電力駆動されている。いま、超音波診断装置2の周囲に人が立ち入り、人感センサ17がオンしたとする(S11でYES)。人感センサ17からの人の所在を示す信号は、CPU52に入力される。
【0048】
人感センサ17からの人の所在を示す信号を受けて、CPU52は、無線通信部50を介して認証情報要求信号を電波送信させる(S12)。スリープモード設定ウィンドウ60の省電力対象2の設定枠62で「ON」が選択されていた場合、CPU52は、人感センサ17がオンしたときにモニタ14の省電力駆動を解除してアクティブモードに復帰させる。設定枠62で「OFF」が選択されていた場合は何もしない。
【0049】
認証情報要求信号の送信後、超音波プローブ11から認証情報41の信号を電波16にて受信した場合(S13でYES)、CPU52は、超音波プローブ11から送られてきた認証情報41とROM54内の認証テーブル55とを照合して超音波プローブ11の認証を行う(S14)。その後、CPU52は、スリープモードからアクティブモードに復帰させる(S15)。具体的には、スリープモード設定ウィンドウ60の省電力対象1の設定枠61で「ON」が選択された機器(モニタ14またはジェルウォーマー18)の省電力駆動を解除して通常駆動とし、超音波診断が可能な状態とする。人感センサ17から人の所在を示す信号がない場合(S11でNO)、および超音波プローブ11から認証情報41の信号が受信されない場合(S13でNO)は、スリープモードを継続する。
【0050】
超音波プローブ11から認証情報41の信号を電波16にて受信する(S13でYES)のは、超音波プローブ11の電源が投入されていて、超音波プローブ11が電波16の受信可能範囲にある場合である。逆に、超音波プローブ11から認証情報41の信号が受信されない(S13でNO)のは、超音波診断装置2の周囲に立ち入った人が患者、あるいは術者や介添人等で、超音波プローブ11を持参していない場合、超音波プローブ11の電源がオフの場合、超音波プローブ11の電源は投入されているが、超音波プローブ11が電波16の受信可能範囲にない場合等が考えられる。
【0051】
一方、図5において、今度は超音波診断を行っていてアクティブモードの実行中(S20)であるときを考える。超音波診断が終了して患者、および術者や介添人等が退室して、人感センサ17から人の存在を示す信号を受信しなくなった場合(S21でNO)、CPU52は、システムクロック53が示す現時刻から、スリープモード設定ウィンドウ60の設定枠63で設定した設定時間が経過するまで、人感センサ17から人の存在を示す信号が再度入力されるか否かを監視する。換言すれば、人感センサ17から人の存在を示す信号を受信しなくなったときに計時を開始し(S22)、計時時間が設定時間となるまでの間、人感センサ17からの信号を監視する。また、CPU52は、DSC51を制御して超音波画像の表示更新を止めさせ、モニタ14にフリーズ画像を表示させる(S23)。
【0052】
人感センサ17から人の存在を示す信号を受信しなくなってから設定時間となるまでに、人感センサ17から人の存在を示す信号が再度入力されない場合(S24でNO、S25でYES)、CPU52は、アクティブモードからスリープモードに移行させる(S26)。具体的には、スリープモード設定ウィンドウ60の省電力対象1の設定枠61で「ON」が選択された機器を省電力駆動にする。逆に、人感センサ17から人の存在を示す信号を受信しなくなってから設定時間となるまでに、人感センサ17から人の存在を示す信号が再度入力された場合(S24でYES)は、計時とフリーズ画像の表示を止め、アクティブモードを継続する。
【0053】
また、アクティブモードのときに人感センサ17から人の存在を示す信号を受信していて(S21でYES)、且つ超音波プローブ11から電波16による信号の受信がなくなった場合(S27でNO)、CPU52は、上記同様に、超音波プローブ11から電波16による信号の受信がなくなっときに計時を開始し(S22)、計時時間がスリープモード設定ウィンドウ60の設定枠63で設定した設定時間となるまでの間、超音波プローブ11から電波16による信号が再度受信されるか否かを監視する。この場合も上記同様に、CPU52は、DSC51を制御してモニタ14にフリーズ画像を表示させる(S23)。
【0054】
超音波プローブ11から電波16による信号の受信がなくなっときから設定時間となるまでに、超音波プローブ11から電波16による信号が再度受信されない場合(S24でNO、S25でYES)、CPU52は、上記同様にアクティブモードからスリープモードに移行させる(S26)。逆に、超音波プローブ11から電波16による信号の受信がなくなっときから設定時間となるまでに、超音波プローブ11から電波16による信号が再度受信された場合(S24でYES)は、計時とフリーズ画像の表示を止め、アクティブモードを継続する。
【0055】
設定枠63で「OFF」が選択されていた場合は、S22の計時、S23のフリーズ画像表示をせず、直ちにスリープモードに移行する。
【0056】
スリープモードに移行する際、CPU52は、無線通信部50を介して超音波プローブ11に通信遮断信号を送信する。超音波プローブ11は、この通信遮断信号を受けて電源を自動的にオフする。超音波観測器10と超音波プローブ11との電波16による無線通信が遮断される。
【0057】
人感センサ17から人の存在を示す信号を受信していて(S21でYES)、且つ超音波プローブ11から電波16による信号の受信がなくなる(S27でNO)のは、超音波プローブ11が電波16の受信可能範囲外に置かれた場合、超音波プローブ11の電源が切られた場合、超音波プローブ11のバッテリ42の残量が僅かになった場合等が考えられる。
【0058】
超音波診断装置2の各部は、主電源を投入すると最初はアクティブモードで立ち上がる。アクティブモードにおいて、術者は、操作部13を操作して患者の情報等を入力した後、超音波プローブ11を被検体に押し当てながら、超音波観測器10のモニタ14に表示される超音波画像を観察して診断を行う。
【0059】
超音波プローブ11では、パルサ31からMUX30によって選択されたUTに励振パルスが送信され、UTから被検体に超音波が照射される。MUX30により選択されるUTは、超音波および反射波の1回の送受信毎に順次切り替えられる。これにより被検体に超音波が走査される。
【0060】
超音波は被検体で反射され、その反射波に応じた検出信号がUTから出力される。UTからの検出信号は、受信アンプ32で増幅された後、レシーバ33に受信され、A/D34でA/D変換されてデジタル化される。A/D34でデジタル化された検出信号は、BF37に送られてBF37で位相整合演算され、さらに検波Log圧縮回路38で検波、Log圧縮された後、メモリに一旦格納される。
【0061】
検波、Log圧縮後の検出信号は、無線通信部39で電波16に変調され、超音波観測器10の無線通信部50に受信されて復調される。復調された検出信号はDSC51に送信され、DSC51でテレビ信号に変換される。DSC51で変換されたテレビ信号は、D/A変換されてモニタ14に超音波画像として表示される。
【0062】
以上説明したように、人感センサ17の検出結果に加えて、超音波プローブ11の使用許諾の有無によってスリープモードからアクティブモードへの復帰を決定するので、超音波診断を開始する丁度よいタイミングでスリープモードからアクティブモードへ復帰させることができ、省電力化の促進に寄与することができる。
【0063】
なお、人感センサ17から人の存在を示す信号を受信しなくなったときに、超音波画像の表示更新を止めさせてモニタ14にフリーズ画像を表示させているが、人がいないときはフリーズ画像を表示する必要性が低いので、フリーズ画像の表示をせずに直ちにモニタ14をスリープモードに移行させてもよい。
【0064】
スリープモードの実行中は人感センサ17とCPU52のみを駆動させ、無線通信部50やDSC51を駆動させなくてもよい。また、スリープモードに移行する際に超音波プローブ11に通信遮断信号を送信して、超音波プローブ11の電源を自動的にオフさせているが、電源をオフさせずに超音波プローブ11もスリープモードに移行させてもよい。これらの記載から分かるように、各モードの切り替えを制御する周辺機器は、上記例のモニタ14やジェルウォーマー18に限定されない。例えば超音波画像を印刷出力するプリンタでもよい。
【0065】
上記実施形態では、超音波プローブ11から電波16による信号の受信が所定時間ない場合にスリープモードに移行しているが、要するに人がいても超音波プローブ11を使用していない場合を検出してスリープモードに移行させればよい。例えば、超音波画像の前後数フレームを比較して、フレーム間に変化がない場合は超音波プローブ11が使用されていないと判断してスリープモードに移行させる。あるいは、加速度センサ等で超音波プローブ11の動きを検出し、動きが所定時間ない場合にスリープモードに移行させてもよい。
【0066】
なお、極めて稀なケースであるが、超音波プローブ11が複数台用意され、且つそれらの電源が投入されていて認証情報要求信号を受信可能な範囲にいた場合は、全ての超音波プローブ11に使用許諾をすると混信が発生してしまう。これを防止するため、ある特定の超音波プローブ11、例えばスリープモードに移行する前に無線通信していた超音波プローブ11のみに認証情報要求信号を送信する、あるいは、ある特定の超音波プローブ11に対して優先的に使用許諾をすることが好ましい。
【0067】
上記実施形態では、超音波観測器と超音波プローブが電波により相互無線通信する例を挙げて説明したが、これらがケーブル接続されて有線通信する超音波診断装置に適用してもよい。また、いわゆるコンベックス電子走査型の体外式の超音波プローブを例示したが、ラジアル電子走査型、あるいは1個のUTを機械的に回転あるいは揺動、もしくはスライドさせるメカニカルスキャン走査方式の超音波プローブでもよい。電子内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される体内式の超音波プローブや、電子内視鏡と一体化された超音波内視鏡についても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
2 超音波診断装置
10 超音波観測器
11 超音波プローブ
13 操作部
14 モニタ
16 電波
17 人感センサ
18 ジェルウォーマー
20 超音波トランスデューサアレイ(UTアレイ)
35 CPU
39 無線通信部
41 認証情報
50 無線通信部
52 CPU
53 システムクロック
55 認証テーブル
60 スリープモード設定ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波および反射波を送受信する超音波プローブと、
反射波の検出信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測器と、
省電力駆動のスリープモードと通常駆動のアクティブモードの切り替えが可能な周辺機器と、
周囲の人の所在を検出する人感センサと、
前記周辺機器でスリープモードを実行中に前記人感センサで人の所在が検出されたときに、前記超音波プローブに認証情報を要求し、これに応じて前記超音波プローブから送信される認証情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で認証情報を取得して前記超音波プローブの使用許諾がなされたときに、前記周辺機器をスリープモードからアクティブモードに復帰させるモード切り替え手段とを備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記周辺機器でアクティブモードを実行中に前記人感センサで人の所在が検出されない時間を計時する第1計時手段を備え、
前記モード切り替え手段は、前記第1計時手段の計時時間が設定時間となったときに、前記周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記周辺機器でアクティブモードを実行中、且つ前記人感センサで人の所在が検出されているときに、前記超音波プローブからの反射波の検出信号が前記超音波観測器で受信されない時間を計時する第2計時手段を備え、
前記モード切り替え手段は、前記第2計時手段の計時時間が設定時間となったときに、前記周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
設定時間を変更するための第1操作入力手段を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
計時を開始したら超音波画像の更新を止めることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記周辺機器をアクティブモードからスリープモードに移行させるか否かを選択するための第2操作入力手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記周辺機器は、超音波画像を表示するモニタ、または超音波ジェルを貯蔵して適温に保つジェルウォーマーのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記周辺機器が前記モニタである場合、スリープモードを実行中に前記人感センサで人の所在が検出されたときに、前記超音波プローブの使用許諾の有無に関わらず、前記モニタをスリープモードからアクティブモードに復帰させるか否かを選択するための第3操作入力手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記超音波プローブと前記超音波観測器は、電波で情報を遣り取りすることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記情報取得手段は、認証情報として前記超音波プローブのIDを取得することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記人感センサは、赤外線または超音波を発して人の所在を検出することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項12】
省電力駆動のスリープモードと通常駆動のアクティブモードの切り替えが可能な周辺機器でスリープモードを実行中に人感センサで人の所在が検出されたときに、超音波プローブに認証情報を要求し、これに応じて超音波プローブから送信される認証情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで認証情報を取得して超音波プローブの使用許諾がなされたときに、周辺機器をスリープモードからアクティブモードに復帰させるモード切り替えステップとを備えることを特徴とするモード切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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