超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラム
【課題】 血管の長軸断面の超音波画像に対し、血管軸付近の最適な長軸断面か否かを自動的に判断可能にする。
【解決手段】 超音波パルスの送波及びエコーの受波を行う公知の超音波プローブ12と、超音波プローブ12からの信号により、超音波画像の生成や前記指標の演算等の各種処理を行う装置本体13とを備えて超音波診断装置10が構成されている。装置本体13では、超音波プローブ12の直下に位置する頸動脈の断面の超音波画像が生成され、その後、血管の長軸断面を示す超音波画像に対して、画像処理を使って血管の内膜の存否が判定され、短軸断面の超音波画像と、内膜が表出する長軸断面の超音波画像とを使って、頸動脈の血流、血圧及びWIが求められるようになっている。
【解決手段】 超音波パルスの送波及びエコーの受波を行う公知の超音波プローブ12と、超音波プローブ12からの信号により、超音波画像の生成や前記指標の演算等の各種処理を行う装置本体13とを備えて超音波診断装置10が構成されている。装置本体13では、超音波プローブ12の直下に位置する頸動脈の断面の超音波画像が生成され、その後、血管の長軸断面を示す超音波画像に対して、画像処理を使って血管の内膜の存否が判定され、短軸断面の超音波画像と、内膜が表出する長軸断面の超音波画像とを使って、頸動脈の血流、血圧及びWIが求められるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラムに係り、更に詳しくは、血管の長軸断面の超音波画像内から、当該血管の内膜を自動検出する超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の頸動脈上の皮膚部位に超音波プローブを当てることで得られた血管断面の超音波画像に基づき、疾患の早期発見に寄与する各種指標を求める超音波診断装置が知られている。この超音波診断装置としては、前記超音波画像から、その血管壁の厚みを測定することで、動脈硬化の進展度を判断する指標であるIMT値(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)を求めるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の超音波診断装置としては、前記超音波画像から、経時的に変化する血圧及び血流速等の各種データを検出し、当該データから血管の性状や心臓の機能等を評価する指標であるWI(Wave Intensity)を求めるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これら超音波診断装置では、図11に示される向きで超音波プローブPを配置することにより、血管Bの長軸断面による超音波画像が取得される。この超音波画像により、IMT値を求める超音波診断装置では血管壁Wの厚みが求められる一方、WIを求める超音波診断装置ではドップラー効果を利用して血流速が求められる。
【0005】
ここで、血管Bの長軸断面による超音波画像を得る際には、当該超音波画像の最適位置を探索するために、医師の手による超音波プローブPの位置合わせが必要となる。この位置合わせは、医師が超音波画像を見ながら、図12に示されるように、超音波プローブPを血管Bの周方向(同図中左右方向)に移動することで行われる。このとき、超音波プローブPを移動すると血管の断面位置が変わるが、例えば、超音波プローブPが図12中実線の位置にあるときには、血管軸C(血管の中心軸)を通る同図中A−A線に沿う断面Aにおける超音波画像が取得される一方、超音波プローブPが同図中破線の位置にあるときには、血管軸Cからずれた同図中B−B線に沿う断面Bにおける超音波画像が取得されるとする。この際、前述した各種データを正確に導出し、且つ、経時的に変化する各データの対比を正確に行うためには、長軸断面の取得位置を常に一定にしておく必要があり、計測の度に、血管B内の幅が最大となる前記断面Aによる超音波画像を常に取得することが要請される。
【0006】
ところで、血管壁Wは、図11に示されるように、内側から内膜W1、中膜W2、外膜W3の順で膜体が積層された構造となっており、長軸断面の超音波画像内に内膜W1が検出されると、その超音波画像がほぼ前記断面Aにおける画像であり、超音波プローブPが最適位置にあると判断できる。つまり、超音波の反射の関係で、内膜W1は、前記断面A近傍の狭い範囲の長軸断面しか超音波画像中に表出せず、内膜W1を超音波画像中で検出できれば、そこが前記断面A付近の最適位置ということになる。
【特許文献1】特開2004−357892号公報
【特許文献2】特開2001−299752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記内膜W1は、非常に薄膜であるため、前記長軸断面上では一本の細線状に表出されるが、超音波画像は種々のノイズの影響が加わっていて、必ずしも鮮明な画像状態でないことから、目視上の判断が行い難い。しかも、血管軸C付近の狭い範囲の長軸断面しか内膜W1を検出できないため、超音波プローブPの位置調整には、細かい移動操作が必要で、多大な時間がかかるばかりか、操作者の経験や勘に依存するところも大きい。
【0008】
本発明は、このような問題に着目して案出されたものであり、その目的は、血管の長軸断面の超音波画像に対し、血管軸付近の最適な長軸断面か否かを自動的に判断することができる超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記目的を達成するため、本発明は、血管の断面の超音波画像を取得して、当該超音波画像から前記血管に関するデータを求める超音波診断装置において、
前記血管の長軸断面の超音波画像から前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定手段を備える、という構成を採っている。
【0010】
(2)また、前記内膜判定手段は、前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備える、という構成を採ることが好ましい。
【0011】
(3)ここで、前記内膜検出部は、前記血管内画像を含む前記超音波画像から血管壁領域を切り出してライン検出処理を行って、一定長さ以上の線部分が存在するか否かを基準に前記内膜の存否を判定する、という構成を採ることができる。
【0012】
(4)また、本発明は、血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定装置であって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備える、という構成を採っている。
【0013】
(5)更に、本発明は、血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出するステップと、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出するステップと、をコンピュータに実行させる、という構成を採っている。
【0014】
(6)また、本発明は、血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から黒領域を選択するステップと、この黒領域の中から血管内部に対応した黒領域を特定するステップと、特定された黒領域の境界部分を平滑化することで内膜判定用の血管内画像を得るステップと、前記血管内画像を前記超音波画像の該当部分に置換するステップと、前記血管内画像が置換された前記超音波画像の血管壁領域に対してライン検出処理を行うステップと、ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出するステップと、一定長さ以上の線部分がある場合に内膜が存在すると判定するステップと、
をコンピュータに実行させる、という構成を採っている。
【0015】
(7)ここで、前記超音波画像から黒領域を選択する前に、前記超音波画像内のグレースケール値を拡張変換するステップをコンピュータに実行させる、という構成を採ることが好ましい。
【0016】
(8)また、前記ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出した後、内膜の判定前に、当該線部分を膨張させて線部分の所定範囲内の途切れ部分を接合するステップをコンピュータに実行させる、という構成を採ることが好ましい。
【0017】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「長軸断面」とは、血管軸に沿う方向の断面を意味し、「短軸断面」とは、血管軸に直交する方向の断面を意味する。
【0018】
また、「血管内画像」とは、血管の内部空間すなわち血流路の画像を意味する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、血管の長軸断面の超音波画像から内膜の存否が自動的に判定されるため、得られた超音波画像に対し、血管軸付近の最適な長軸断面か否かを自動的に判断することができる。従って、超音波診断装置により各種指標を求めるに際し、操作者の勘や経験等にほとんど頼らずに、最適な超音波画像を客観的に特定することができ、誰が操作しても最適な前記長軸断面を確実に見つけ出すことができ、基準となる長軸断面の相違による前記指標のずれを少なくし、前記指標の信頼性を一層高めることが可能になる。
【0020】
特に、前記(2)のように構成することで、判断対象となる超音波画像に対するノイズの影響が低減され、より正確に内膜判定を行うことができる。
【0021】
また、前記(3)の構成によれば、血管壁領域の切り出しにより、画像処理領域をより少なくすることができ、且つ、超音波画像内の線部分をライン検出処理でより鮮明に変換することができ、より正確な内膜判定が可能になる。
【0022】
更に、前記(7)の構成によれば、超音波画像内のグレースケール値の拡張変換により、白黒をより鮮明にさせた画像に対して黒領域が選択させることになるため、より正確なに内膜判定が可能となる。
【0023】
また、前記(8)の構成によれば、ノイズの影響等により、線部分に途切れ部分が生じてしまっても、それを修復した状態で、内膜の判定が行われることになる。つまり、内膜を表す線部分が何等かの影響で途切れてしまっても、その線部分が内膜と判定されることになることから、ノイズ等の影響を極力排除して、内膜判定をより正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0025】
図1には、本実施例に係る超音波診断装置の概略構成図が示されている。この図において、超音波診断装置10は、被検者の頸動脈断面の超音波画像から、経時的に変化する血圧及び血流速等の各種データを検出し、当該データから血管の性状や心臓の機能等を評価する指標WI(Wave Intensity)を求める装置である。この超音波診断装置10は、超音波パルスの送波及びエコーの受波を行う公知の超音波プローブ12と、超音波プローブ12からの信号により、超音波画像の生成や前記指標の演算等の各種処理を行う装置本体13と、装置本体13における処理に際して、操作者の各種指令を入力するためのキーボード及びマウス等の入力手段14と、装置本体13で生成された超音波画像等の各種情報を表示するディスプレイ等の表示手段15とを備えて構成されている。
【0026】
前記装置本体13は、複数のプログラムモジュール及び処理回路により構成されており、操作者により超音波プローブ12が被検者の頸部に当てられた後で、予めインストールされたコンピュータプログラムによって以下の処理が実行される。すなわち、装置本体13では、超音波プローブ12の直下に位置する頸動脈の断面の超音波画像が生成され、その後、血管の長軸断面を示す超音波画像に対して血管の内膜の存否が判定され、短軸断面の超音波画像と、内膜が表出する長軸断面の超音波画像とを使って、頸動脈の血流、血圧及び前記WIが求められるようになっている。従って、この装置本体13は、血管の長軸断面の超音波画像から当該血管の内膜の存否を判定する内膜判定装置としても構成される。
【0027】
具体的に、この装置本体13は、超音波プローブ12からの信号により超音波画像を生成する超音波画像生成手段16と、超音波画像の経時的変化により、頸動脈の血流、血圧及び前記WIを求める指標演算手段17と、血管の長軸断面の超音波画像から血管の内膜の存否を判定する内膜判定手段18とを備えて構成されている。
【0028】
前記超音波画像生成手段16及び指標演算手段17は、公知の超音波診断装置における機能をほぼそのまま適用してなり、本発明の要旨ではないため、ここでは、それらの構成等、詳細な説明を省略する。
【0029】
前記内膜判定手段18は、前記長軸断面の超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部20と、前記超音波画像の一部を血管内画像に置換した状態で内膜を検出する内膜検出部21とを備えており、内膜検出部21で内膜が検出されると、当該超音波画像が最適な長軸断面であると判断され、表示手段15への表示等がなされる。
【0030】
前記血管内画像抽出部20では、以下の初期設定がなされた上で、超音波画像生成手段16で生成された長軸断面の超音波画像に対し、図2のフローチャートに示される手順で画像処理される。
【0031】
前記初期設定は、操作者により入力手段14を介して次のように行われる。先ず、ある位置における超音波プローブ12に対し、得られた長軸断面の超音波画像をフリーズさせる。そして、図3に示されるように、フリーズした超音波画像F1から、そこに映し出された血管Bの内径を直径とする仮想円23と、血管Bの外径にほぼ一致する短寸幅を有する矩形枠24とをマニュアル的に設定する。
【0032】
なお、以下の画像処理の説明で用いられる図中の血管Bは、全て、図3と同じように、その長軸方向が図中上下方向となるように配置され、特に明示しない限り、これら各図における左右方向を「横方向」と称し、同図における上下方向を「縦方向」と称する。また、特に明示しない限り、同図における左右方向の幅を「横幅」と称し、同図における上下方向の幅を「縦幅」と称する。
【0033】
前記仮想円23は、この部位での短軸断面による超音波画像を予め取得している場合、その超音波画像における血管Bの内壁にほぼ沿う円を仮想円23として、自動的に形成するようにしてもよい。前記矩形枠24は、超音波画像F1に映し出された血管Bの図3中左右両側がほぼ隙間なく入り、当該血管Bの同図中上下両側がカットされるように配置される。また、仮想円23及び矩形枠24は、それらの中心Oが相互に一致するようにそれぞれ配置される。
【0034】
以上の初期設定が行われた後、血管内画像抽出部20では、超音波画像生成手段16で生成された超音波画像F1に対して、以下の手順により血管内画像が抜き出される。
【0035】
先ず、超音波画像生成手段16で生成された超音波画像F1が取り込まれる(ステップS101)。この超音波画像F1は、グレースケール画像が一般的であり、当該画像F1中、図3中ハッチングで表された血管壁Wの部分が白色に表出され、血管Bの内部等、それ以外の部分が黒色に表出される。その他、一部を除き図示省略しているが、ノイズ等の影響で、画像F1内に所々白黒が点在することになる。ここで、図3及びこれに関連する以下の図では、説明の都合上、画像上白色で表れる部分には、ハッチング若しくは黒線を施しており、それ以外の部分は画像上黒色で表れる部分である。なお、取得した超音波画像がカラー画像(RGB画像)である場合は、グレースケール画像に変換される。
【0036】
そして、取得した超音波画像F1中に設定された矩形枠24内の画像が切り出され、当該画像が、図4に示されるように、内膜の存否を判断するための対象画像F2となる(ステップS102)。
【0037】
以降は、対象画像F2の血管内画像に対し、ノイズ等の影響を低減させて鮮明化する画像処理が行われる。
【0038】
先ず、対象画像F2のグレースケール値が拡張変換され、対象画像F2の輝度(明暗)をはっきりさせる(ステップS103)。このグレースケール値は、輝度に応じた0(黒)〜255(白)の整数範囲の値であり、対象画像F2の各画素部分に付与される。以下、図5に示されたグレースケール値の例を参照しながら説明する。この例では、対象画像F2の全画素数が1000(pixel)となっている。
【0039】
ここでは、対象画像F2の中で、グレースケール値0〜255毎に画素数の総和が求められる。そして、グレースケール値0から昇順に画素数が加算され、対象画像F2の全画素数の5%分の画素数に達したクレースケール値がgminとされる。本例では、グレースケール値0を構成する画素数30(pixel)から、グレースケール1、2・・と昇順に各構成画素数が加算され、全画素数1000(pixel)の5%となる50(pixel)に達したときのグレースケール値3がgminとなる。
【0040】
また、グレースケール値255から降順に画素数が加算され、対象画像F2の全画素数の5%分の画素数に達したクレースケール値がgmaxとされる。本例では、グレースケール値255を構成する画素数35(pixel)から、グレースケール254、253・・と降順に各構成画素数が加算され、全画素数1000(pixel)の5%となる50(pixel)に達したときのグレースケール値253がgmaxとなる。
【0041】
そして、変換前の初期のグレースケール値0〜gminの各画素部分は、グレースケール値が全て0に変換され、初期のグレースケール値gmax〜255の各画素部分は、グレースケール値が全て255に変換される。また、初期のグレースケール値gmin〜gmaxが付与された各画素部分については、その範囲内で改めて0〜255まで等分された新たなグレースケール値に変換される。
具体的には、次式により、初期のグレースケール値gからグレースケール値g´に拡張変換される。
g´=255×(g−gmin)/(gmax−gmin)
ここで、g´が255以上の場合は、g´=255となり、g´がマイナスの場合は、g´=0となる。
【0042】
次に、グレースケール値の変換後の対象画像F2に対して、グレースケール値が0から一定範囲内にある画素部分が、黒領域26として選択される(ステップS104)。例えば、黒領域26として、グレースケール値が0〜60の範囲内の画素部分が選択される。図4では、ハッチング及び線が施された部分を除く部分が黒領域26となり、周囲に対して不連続となる独立領域部分(例えば、図4中領域X部分)も含め、黒領域26が複数形成されることになる。
【0043】
そして、選択された複数の黒領域26から、血管B内の多くの領域を占める黒領域を抽出し、血管Bの内部空間に対応する黒領域26を特定する処理が行われる(ステップS105)。この処理は、先ず、各黒領域26それぞれに対し、領域面積と中心点の座標がそれぞれ求められ、所定の条件に合致した黒領域26のみが抽出される。ここでの条件は、先ず、図3に示されるように、仮想円23の直径2Rと矩形枠24の縦幅L1とを乗じた矩形枠24の面積を求め、当該面積が基準となる一定範囲内の面積を有する黒領域26が選択される。ここでの範囲は、特に限定されるものではないが、例えば、前記矩形枠24の面積の0.5倍から2倍までとされる。更に、このような範囲内の面積の黒領域26の中から、それらの中心の座標が、仮想円23内の判定線J上にある黒領域26のみが更に抽出される。この判定線Jは、その長さが仮想円23の直径2Rに相当し、仮想円23の中心Oを通って血管軸に垂直な横方向の線分である。そして、最終的に抽出された黒領域26が1つか否かが判定され(ステップS106)、一つでない場合は、エラーとなり、最初に戻って、別の超音波画像が取り込まれた上で、前述の処理が再び行われる。
【0044】
次に、1つに限定された黒領域26の境界部分が平滑化される(ステップS107)。以下、図6を使って説明する。この図では、実線で描かれた部分の内側が黒色に表れる黒領域26であり、それ以外の部分は白色に表れる。
【0045】
この平滑化は、図6(A)に示されるように、黒領域26内の全領域に所定半径(例えば、3(pixel))の小円28を配置し、そのうち、小円28の中がすべて黒部分とならない場合(例えば、図6(A)中符号28A部分)は、その部分が全て削除されて白部分とされることで、図6(B)に示されるように、黒領域26の境界部分が平滑化される。
【0046】
そして、図6(B)に示されるように、境界部分が平滑化された黒領域が、同図中破線で示された最小矩形30で包囲され(ステップS108)、この最小矩形30が、血管B内の画像を表しているか否かが判定される(ステップS109)。ここでは、最小矩形30の横幅H1の1/2が、先に設定した仮想円23の半径Rを基準とした一定範囲内に入っているか否かで、血管B内の画像であるか否かが判定される。この一定範囲は、特に限定されるものではないが、例えば、仮想円23の半径Rの0.8倍〜1.5倍の範囲で設定される。このように、横幅H1が一定範囲内となる最小矩形30であれば、当該最小矩形30の内部が、ノイズ等の影響を少なくした内膜判定用の血管内画像F3とされる(ステップS110)。一方、最小矩形30の横幅H1の1/2が前記一定範囲外であれば、エラーとなり、最初に戻って、別の超音波画像が取り込まれた上で、前述の処理が再び行われる。
【0047】
前記内膜検出部21では、以上により得られた血管内画像F3を対象画像F2の該当部分に対して置換し、図7のフローチャートに示される手順で、対象画像F2に対して内膜の存否が判断される。
【0048】
先ず、図8に示されるように、血管内画像F3が当てはめられた対象画像F2に対して、血管壁Wを含む矩形状の血管壁領域が自動的に切り出され、血管壁領域画像F4が得られる(ステップS201)。ここで、特に限定されるものではないが、血管壁領域画像F4は、その縦幅L2が、前記血管内画像F3の縦幅L3の1/2の長さに設定され、横幅H2が15(pixel)に設定される。また、血管壁領域画像F4は、その中心Oの縦方向の座標が前記血管内画像F3の縦方向ほぼ中央に一致し、同横方向の座標が血管内画像F3の周縁上となるように配置される。
【0049】
そして、得られた血管壁領域画像F4に対し、公知の5×5のエッジ検出フィルタを使ったライン検出処理が施され、画像内では白色で表示される線部分32がより鮮明にされる(ステップS202)。
【0050】
次に、ライン検出処理後の血管壁領域画像F4に対して、グレースケール値が255から下の一定範囲内にある画素部分が、白領域として選択され(ステップS203)、実際には線でない部分が排除される。ここで、特に限定されるものではないが、本実施例では、例えば、白領域として、グレースケール値が128〜255の範囲内の画素部分が選択される。
【0051】
そして、図9に示されるように、血管壁領域画像F4内の横方向の複数箇所に設定された長方形状の指定領域34毎に、以下の処理が施されて、内膜W1の存在がアルゴリズム上で確認される。
【0052】
先ず、指定領域34の内部に全て収まる前記白領域すなわち線部分32が抽出される(ステップS204)。この指定領域34は、特に限定されるものではないが、本実施例では、横幅が2(pixel)に設定され、縦幅が血管壁領域画像F4の縦幅よりも広く設定されている。
【0053】
次に、抽出された線部分32に対して、その外縁部分を一定量外側にシフトすることで、線部分32が膨張される(ステップS205)。本実施例では、特に限定されるものではないが、図10(A)に示されるように、線部分32の横方向中央位置に延びる中央ライン35Aに沿って、半径3.5(pixel)の円36の中心Cが通ったときに、当該円36の外周部分の軌跡を膨張後の線部分32の外縁とすることで、線部分32が膨張される(図10(B)参照)。ここで、円36の軌跡が重複した場合は、その重複部分はカットされる。その結果、図10(A)のように、何らかのノイズ等により、線部分32に小さな途切れ部分があっても、同図(B)のように、その途切れ部分が接合された太い線部分32にすることができる。
【0054】
そして、膨張された各線部分32に対し、一定長さ以上のものがあるか否かが判定され(ステップS206)、ノイズの影響等による短い線部分35が除かれ、一定長さ以上の線部分35のみが選択される。ここで、前記一定長さとしては、特に限定されるものではないが、本実施例では、血管壁領域画像F4の縦幅L2(図9参照)の1/4の長さに設定されている。
【0055】
このとき、一定長さ以上の線部分35がない場合は、以下の処理が行われずに、次の位置の指定領域34(図9参照)に対して、前記線部分32の抽出処理(ステップS204)から、前述の処理が再び行われる。
【0056】
次に、一定長さ以上の線部分32がある場合は、それぞれの線部分32に対し、近似する楕円に変換する処理が行われ、近似された各楕円の長軸の長さの和が、血管壁領域画像F4の縦幅L2よりも長いか否かが判定される(ステップS207)。
【0057】
前記長軸の長さの和が血管壁領域画像F4の縦幅L2以下であれば、指定領域34内の線部分35は、血管壁Wに沿って延びる内膜W1でないとされ、以下の処理が行われずに、次の位置の指定領域34に対して、前記線部分32の抽出処理(ステップS204)から、前述の処理が再び行われる。
【0058】
一方、前記長軸の長さの和が血管壁領域画像F4の縦幅L2以上であれば、楕円変換前の各線部分35について、前述した膨張処理(ステップS205)に対して逆の処理となる収縮処理が行われる(ステップS208)。
【0059】
そして、収縮処理された後の線部分32が、ライン検出処理後の血管壁領域画像F4における該当位置に重ね合わされ(ステップS209)、その部分が最小矩形で包囲される(ステップS210)。
【0060】
そして、最小矩形の横幅が、前記指定領域34の横幅H3(図9参照)よりも小さいか否かが判定される(ステップS211)。このとき、最小矩形の横幅が指定領域34の横幅H3より小さい場合は、その線部分35が連続した直線状と判断でき、その結果、当該線部分35は内膜W1であると判定される。一方、最小矩形の横幅が指定領域の横幅H3以上となってしまった場合は、以上の処理の過程で何等かの理由により、横方向に存在する複数の線が一体化されてしまったものであって、内膜W1でないと判定され、次の位置の指定領域34に対して、前記線部分32の抽出処理(ステップS204)から、前述の処理が再び行われる。
【0061】
従って、このような実施例によれば、超音波画像生成手段16により生成された超音波画像F1から血管Bの内膜W1を自動的に精度良く検出でき、最適となる血管Bの長軸断面を客観的且つ正確に得ることができる。また、本実施例のように、内膜W1の自動検出が可能になれば、長軸断面における超音波画像F1を取得する際に、内膜W1の検出の有無により、図示しないロボットを使って、血管Bに対する超音波プローブ12の自動位置調整が可能になる。
【0062】
なお、本発明における内膜判定アルゴリズムは、IMT値(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)を求める超音波診断装置等、他の超音波診断装置にも適用可能である。
【0063】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例に係る超音波診断装置の概略構成図。
【図2】血管内画像抽出部における処理手順を示すフローチャート。
【図3】矩形枠内の画像の切り出しを説明するための図。
【図4】切り出された矩形枠内の対象画像を示す図。
【図5】対象画像におけるグレースケール値毎の画素数を示す図表。
【図6】(A)は、対象画像の黒領域を示す図であり、(B)は、(A)の黒領域の周縁が平滑化された後の黒領域を示す図である。
【図7】内膜検出部における処理手順を示すフローチャート。
【図8】血管内画像を取り込んだ対象画像を示す図。
【図9】血管壁領域画像の拡大図。
【図10】(A)は、線部分を膨張させる手順を説明するための図であり、(B)は、膨張後の線部分を示す図である。
【図11】従来の超音波診断装置における血管の長軸断面の超音波画像の検出を説明するための図。
【図12】従来の超音波診断装置における超音波プローブの調整を説明するための図11の側面図。
【符号の説明】
【0065】
10 超音波診断装置
13 装置本体(内膜判定装置)
18 内膜判定手段
20 血管内画像抽出部
21 内膜検出部
26 黒領域
32 線部分
B 血管
F1 超音波画像
F2 対象画像
F3 血管内画像
W 血管壁
W1 内膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラムに係り、更に詳しくは、血管の長軸断面の超音波画像内から、当該血管の内膜を自動検出する超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の頸動脈上の皮膚部位に超音波プローブを当てることで得られた血管断面の超音波画像に基づき、疾患の早期発見に寄与する各種指標を求める超音波診断装置が知られている。この超音波診断装置としては、前記超音波画像から、その血管壁の厚みを測定することで、動脈硬化の進展度を判断する指標であるIMT値(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)を求めるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の超音波診断装置としては、前記超音波画像から、経時的に変化する血圧及び血流速等の各種データを検出し、当該データから血管の性状や心臓の機能等を評価する指標であるWI(Wave Intensity)を求めるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これら超音波診断装置では、図11に示される向きで超音波プローブPを配置することにより、血管Bの長軸断面による超音波画像が取得される。この超音波画像により、IMT値を求める超音波診断装置では血管壁Wの厚みが求められる一方、WIを求める超音波診断装置ではドップラー効果を利用して血流速が求められる。
【0005】
ここで、血管Bの長軸断面による超音波画像を得る際には、当該超音波画像の最適位置を探索するために、医師の手による超音波プローブPの位置合わせが必要となる。この位置合わせは、医師が超音波画像を見ながら、図12に示されるように、超音波プローブPを血管Bの周方向(同図中左右方向)に移動することで行われる。このとき、超音波プローブPを移動すると血管の断面位置が変わるが、例えば、超音波プローブPが図12中実線の位置にあるときには、血管軸C(血管の中心軸)を通る同図中A−A線に沿う断面Aにおける超音波画像が取得される一方、超音波プローブPが同図中破線の位置にあるときには、血管軸Cからずれた同図中B−B線に沿う断面Bにおける超音波画像が取得されるとする。この際、前述した各種データを正確に導出し、且つ、経時的に変化する各データの対比を正確に行うためには、長軸断面の取得位置を常に一定にしておく必要があり、計測の度に、血管B内の幅が最大となる前記断面Aによる超音波画像を常に取得することが要請される。
【0006】
ところで、血管壁Wは、図11に示されるように、内側から内膜W1、中膜W2、外膜W3の順で膜体が積層された構造となっており、長軸断面の超音波画像内に内膜W1が検出されると、その超音波画像がほぼ前記断面Aにおける画像であり、超音波プローブPが最適位置にあると判断できる。つまり、超音波の反射の関係で、内膜W1は、前記断面A近傍の狭い範囲の長軸断面しか超音波画像中に表出せず、内膜W1を超音波画像中で検出できれば、そこが前記断面A付近の最適位置ということになる。
【特許文献1】特開2004−357892号公報
【特許文献2】特開2001−299752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記内膜W1は、非常に薄膜であるため、前記長軸断面上では一本の細線状に表出されるが、超音波画像は種々のノイズの影響が加わっていて、必ずしも鮮明な画像状態でないことから、目視上の判断が行い難い。しかも、血管軸C付近の狭い範囲の長軸断面しか内膜W1を検出できないため、超音波プローブPの位置調整には、細かい移動操作が必要で、多大な時間がかかるばかりか、操作者の経験や勘に依存するところも大きい。
【0008】
本発明は、このような問題に着目して案出されたものであり、その目的は、血管の長軸断面の超音波画像に対し、血管軸付近の最適な長軸断面か否かを自動的に判断することができる超音波診断装置、内膜判定装置及び内膜判定用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記目的を達成するため、本発明は、血管の断面の超音波画像を取得して、当該超音波画像から前記血管に関するデータを求める超音波診断装置において、
前記血管の長軸断面の超音波画像から前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定手段を備える、という構成を採っている。
【0010】
(2)また、前記内膜判定手段は、前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備える、という構成を採ることが好ましい。
【0011】
(3)ここで、前記内膜検出部は、前記血管内画像を含む前記超音波画像から血管壁領域を切り出してライン検出処理を行って、一定長さ以上の線部分が存在するか否かを基準に前記内膜の存否を判定する、という構成を採ることができる。
【0012】
(4)また、本発明は、血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定装置であって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備える、という構成を採っている。
【0013】
(5)更に、本発明は、血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出するステップと、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出するステップと、をコンピュータに実行させる、という構成を採っている。
【0014】
(6)また、本発明は、血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から黒領域を選択するステップと、この黒領域の中から血管内部に対応した黒領域を特定するステップと、特定された黒領域の境界部分を平滑化することで内膜判定用の血管内画像を得るステップと、前記血管内画像を前記超音波画像の該当部分に置換するステップと、前記血管内画像が置換された前記超音波画像の血管壁領域に対してライン検出処理を行うステップと、ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出するステップと、一定長さ以上の線部分がある場合に内膜が存在すると判定するステップと、
をコンピュータに実行させる、という構成を採っている。
【0015】
(7)ここで、前記超音波画像から黒領域を選択する前に、前記超音波画像内のグレースケール値を拡張変換するステップをコンピュータに実行させる、という構成を採ることが好ましい。
【0016】
(8)また、前記ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出した後、内膜の判定前に、当該線部分を膨張させて線部分の所定範囲内の途切れ部分を接合するステップをコンピュータに実行させる、という構成を採ることが好ましい。
【0017】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「長軸断面」とは、血管軸に沿う方向の断面を意味し、「短軸断面」とは、血管軸に直交する方向の断面を意味する。
【0018】
また、「血管内画像」とは、血管の内部空間すなわち血流路の画像を意味する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、血管の長軸断面の超音波画像から内膜の存否が自動的に判定されるため、得られた超音波画像に対し、血管軸付近の最適な長軸断面か否かを自動的に判断することができる。従って、超音波診断装置により各種指標を求めるに際し、操作者の勘や経験等にほとんど頼らずに、最適な超音波画像を客観的に特定することができ、誰が操作しても最適な前記長軸断面を確実に見つけ出すことができ、基準となる長軸断面の相違による前記指標のずれを少なくし、前記指標の信頼性を一層高めることが可能になる。
【0020】
特に、前記(2)のように構成することで、判断対象となる超音波画像に対するノイズの影響が低減され、より正確に内膜判定を行うことができる。
【0021】
また、前記(3)の構成によれば、血管壁領域の切り出しにより、画像処理領域をより少なくすることができ、且つ、超音波画像内の線部分をライン検出処理でより鮮明に変換することができ、より正確な内膜判定が可能になる。
【0022】
更に、前記(7)の構成によれば、超音波画像内のグレースケール値の拡張変換により、白黒をより鮮明にさせた画像に対して黒領域が選択させることになるため、より正確なに内膜判定が可能となる。
【0023】
また、前記(8)の構成によれば、ノイズの影響等により、線部分に途切れ部分が生じてしまっても、それを修復した状態で、内膜の判定が行われることになる。つまり、内膜を表す線部分が何等かの影響で途切れてしまっても、その線部分が内膜と判定されることになることから、ノイズ等の影響を極力排除して、内膜判定をより正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0025】
図1には、本実施例に係る超音波診断装置の概略構成図が示されている。この図において、超音波診断装置10は、被検者の頸動脈断面の超音波画像から、経時的に変化する血圧及び血流速等の各種データを検出し、当該データから血管の性状や心臓の機能等を評価する指標WI(Wave Intensity)を求める装置である。この超音波診断装置10は、超音波パルスの送波及びエコーの受波を行う公知の超音波プローブ12と、超音波プローブ12からの信号により、超音波画像の生成や前記指標の演算等の各種処理を行う装置本体13と、装置本体13における処理に際して、操作者の各種指令を入力するためのキーボード及びマウス等の入力手段14と、装置本体13で生成された超音波画像等の各種情報を表示するディスプレイ等の表示手段15とを備えて構成されている。
【0026】
前記装置本体13は、複数のプログラムモジュール及び処理回路により構成されており、操作者により超音波プローブ12が被検者の頸部に当てられた後で、予めインストールされたコンピュータプログラムによって以下の処理が実行される。すなわち、装置本体13では、超音波プローブ12の直下に位置する頸動脈の断面の超音波画像が生成され、その後、血管の長軸断面を示す超音波画像に対して血管の内膜の存否が判定され、短軸断面の超音波画像と、内膜が表出する長軸断面の超音波画像とを使って、頸動脈の血流、血圧及び前記WIが求められるようになっている。従って、この装置本体13は、血管の長軸断面の超音波画像から当該血管の内膜の存否を判定する内膜判定装置としても構成される。
【0027】
具体的に、この装置本体13は、超音波プローブ12からの信号により超音波画像を生成する超音波画像生成手段16と、超音波画像の経時的変化により、頸動脈の血流、血圧及び前記WIを求める指標演算手段17と、血管の長軸断面の超音波画像から血管の内膜の存否を判定する内膜判定手段18とを備えて構成されている。
【0028】
前記超音波画像生成手段16及び指標演算手段17は、公知の超音波診断装置における機能をほぼそのまま適用してなり、本発明の要旨ではないため、ここでは、それらの構成等、詳細な説明を省略する。
【0029】
前記内膜判定手段18は、前記長軸断面の超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部20と、前記超音波画像の一部を血管内画像に置換した状態で内膜を検出する内膜検出部21とを備えており、内膜検出部21で内膜が検出されると、当該超音波画像が最適な長軸断面であると判断され、表示手段15への表示等がなされる。
【0030】
前記血管内画像抽出部20では、以下の初期設定がなされた上で、超音波画像生成手段16で生成された長軸断面の超音波画像に対し、図2のフローチャートに示される手順で画像処理される。
【0031】
前記初期設定は、操作者により入力手段14を介して次のように行われる。先ず、ある位置における超音波プローブ12に対し、得られた長軸断面の超音波画像をフリーズさせる。そして、図3に示されるように、フリーズした超音波画像F1から、そこに映し出された血管Bの内径を直径とする仮想円23と、血管Bの外径にほぼ一致する短寸幅を有する矩形枠24とをマニュアル的に設定する。
【0032】
なお、以下の画像処理の説明で用いられる図中の血管Bは、全て、図3と同じように、その長軸方向が図中上下方向となるように配置され、特に明示しない限り、これら各図における左右方向を「横方向」と称し、同図における上下方向を「縦方向」と称する。また、特に明示しない限り、同図における左右方向の幅を「横幅」と称し、同図における上下方向の幅を「縦幅」と称する。
【0033】
前記仮想円23は、この部位での短軸断面による超音波画像を予め取得している場合、その超音波画像における血管Bの内壁にほぼ沿う円を仮想円23として、自動的に形成するようにしてもよい。前記矩形枠24は、超音波画像F1に映し出された血管Bの図3中左右両側がほぼ隙間なく入り、当該血管Bの同図中上下両側がカットされるように配置される。また、仮想円23及び矩形枠24は、それらの中心Oが相互に一致するようにそれぞれ配置される。
【0034】
以上の初期設定が行われた後、血管内画像抽出部20では、超音波画像生成手段16で生成された超音波画像F1に対して、以下の手順により血管内画像が抜き出される。
【0035】
先ず、超音波画像生成手段16で生成された超音波画像F1が取り込まれる(ステップS101)。この超音波画像F1は、グレースケール画像が一般的であり、当該画像F1中、図3中ハッチングで表された血管壁Wの部分が白色に表出され、血管Bの内部等、それ以外の部分が黒色に表出される。その他、一部を除き図示省略しているが、ノイズ等の影響で、画像F1内に所々白黒が点在することになる。ここで、図3及びこれに関連する以下の図では、説明の都合上、画像上白色で表れる部分には、ハッチング若しくは黒線を施しており、それ以外の部分は画像上黒色で表れる部分である。なお、取得した超音波画像がカラー画像(RGB画像)である場合は、グレースケール画像に変換される。
【0036】
そして、取得した超音波画像F1中に設定された矩形枠24内の画像が切り出され、当該画像が、図4に示されるように、内膜の存否を判断するための対象画像F2となる(ステップS102)。
【0037】
以降は、対象画像F2の血管内画像に対し、ノイズ等の影響を低減させて鮮明化する画像処理が行われる。
【0038】
先ず、対象画像F2のグレースケール値が拡張変換され、対象画像F2の輝度(明暗)をはっきりさせる(ステップS103)。このグレースケール値は、輝度に応じた0(黒)〜255(白)の整数範囲の値であり、対象画像F2の各画素部分に付与される。以下、図5に示されたグレースケール値の例を参照しながら説明する。この例では、対象画像F2の全画素数が1000(pixel)となっている。
【0039】
ここでは、対象画像F2の中で、グレースケール値0〜255毎に画素数の総和が求められる。そして、グレースケール値0から昇順に画素数が加算され、対象画像F2の全画素数の5%分の画素数に達したクレースケール値がgminとされる。本例では、グレースケール値0を構成する画素数30(pixel)から、グレースケール1、2・・と昇順に各構成画素数が加算され、全画素数1000(pixel)の5%となる50(pixel)に達したときのグレースケール値3がgminとなる。
【0040】
また、グレースケール値255から降順に画素数が加算され、対象画像F2の全画素数の5%分の画素数に達したクレースケール値がgmaxとされる。本例では、グレースケール値255を構成する画素数35(pixel)から、グレースケール254、253・・と降順に各構成画素数が加算され、全画素数1000(pixel)の5%となる50(pixel)に達したときのグレースケール値253がgmaxとなる。
【0041】
そして、変換前の初期のグレースケール値0〜gminの各画素部分は、グレースケール値が全て0に変換され、初期のグレースケール値gmax〜255の各画素部分は、グレースケール値が全て255に変換される。また、初期のグレースケール値gmin〜gmaxが付与された各画素部分については、その範囲内で改めて0〜255まで等分された新たなグレースケール値に変換される。
具体的には、次式により、初期のグレースケール値gからグレースケール値g´に拡張変換される。
g´=255×(g−gmin)/(gmax−gmin)
ここで、g´が255以上の場合は、g´=255となり、g´がマイナスの場合は、g´=0となる。
【0042】
次に、グレースケール値の変換後の対象画像F2に対して、グレースケール値が0から一定範囲内にある画素部分が、黒領域26として選択される(ステップS104)。例えば、黒領域26として、グレースケール値が0〜60の範囲内の画素部分が選択される。図4では、ハッチング及び線が施された部分を除く部分が黒領域26となり、周囲に対して不連続となる独立領域部分(例えば、図4中領域X部分)も含め、黒領域26が複数形成されることになる。
【0043】
そして、選択された複数の黒領域26から、血管B内の多くの領域を占める黒領域を抽出し、血管Bの内部空間に対応する黒領域26を特定する処理が行われる(ステップS105)。この処理は、先ず、各黒領域26それぞれに対し、領域面積と中心点の座標がそれぞれ求められ、所定の条件に合致した黒領域26のみが抽出される。ここでの条件は、先ず、図3に示されるように、仮想円23の直径2Rと矩形枠24の縦幅L1とを乗じた矩形枠24の面積を求め、当該面積が基準となる一定範囲内の面積を有する黒領域26が選択される。ここでの範囲は、特に限定されるものではないが、例えば、前記矩形枠24の面積の0.5倍から2倍までとされる。更に、このような範囲内の面積の黒領域26の中から、それらの中心の座標が、仮想円23内の判定線J上にある黒領域26のみが更に抽出される。この判定線Jは、その長さが仮想円23の直径2Rに相当し、仮想円23の中心Oを通って血管軸に垂直な横方向の線分である。そして、最終的に抽出された黒領域26が1つか否かが判定され(ステップS106)、一つでない場合は、エラーとなり、最初に戻って、別の超音波画像が取り込まれた上で、前述の処理が再び行われる。
【0044】
次に、1つに限定された黒領域26の境界部分が平滑化される(ステップS107)。以下、図6を使って説明する。この図では、実線で描かれた部分の内側が黒色に表れる黒領域26であり、それ以外の部分は白色に表れる。
【0045】
この平滑化は、図6(A)に示されるように、黒領域26内の全領域に所定半径(例えば、3(pixel))の小円28を配置し、そのうち、小円28の中がすべて黒部分とならない場合(例えば、図6(A)中符号28A部分)は、その部分が全て削除されて白部分とされることで、図6(B)に示されるように、黒領域26の境界部分が平滑化される。
【0046】
そして、図6(B)に示されるように、境界部分が平滑化された黒領域が、同図中破線で示された最小矩形30で包囲され(ステップS108)、この最小矩形30が、血管B内の画像を表しているか否かが判定される(ステップS109)。ここでは、最小矩形30の横幅H1の1/2が、先に設定した仮想円23の半径Rを基準とした一定範囲内に入っているか否かで、血管B内の画像であるか否かが判定される。この一定範囲は、特に限定されるものではないが、例えば、仮想円23の半径Rの0.8倍〜1.5倍の範囲で設定される。このように、横幅H1が一定範囲内となる最小矩形30であれば、当該最小矩形30の内部が、ノイズ等の影響を少なくした内膜判定用の血管内画像F3とされる(ステップS110)。一方、最小矩形30の横幅H1の1/2が前記一定範囲外であれば、エラーとなり、最初に戻って、別の超音波画像が取り込まれた上で、前述の処理が再び行われる。
【0047】
前記内膜検出部21では、以上により得られた血管内画像F3を対象画像F2の該当部分に対して置換し、図7のフローチャートに示される手順で、対象画像F2に対して内膜の存否が判断される。
【0048】
先ず、図8に示されるように、血管内画像F3が当てはめられた対象画像F2に対して、血管壁Wを含む矩形状の血管壁領域が自動的に切り出され、血管壁領域画像F4が得られる(ステップS201)。ここで、特に限定されるものではないが、血管壁領域画像F4は、その縦幅L2が、前記血管内画像F3の縦幅L3の1/2の長さに設定され、横幅H2が15(pixel)に設定される。また、血管壁領域画像F4は、その中心Oの縦方向の座標が前記血管内画像F3の縦方向ほぼ中央に一致し、同横方向の座標が血管内画像F3の周縁上となるように配置される。
【0049】
そして、得られた血管壁領域画像F4に対し、公知の5×5のエッジ検出フィルタを使ったライン検出処理が施され、画像内では白色で表示される線部分32がより鮮明にされる(ステップS202)。
【0050】
次に、ライン検出処理後の血管壁領域画像F4に対して、グレースケール値が255から下の一定範囲内にある画素部分が、白領域として選択され(ステップS203)、実際には線でない部分が排除される。ここで、特に限定されるものではないが、本実施例では、例えば、白領域として、グレースケール値が128〜255の範囲内の画素部分が選択される。
【0051】
そして、図9に示されるように、血管壁領域画像F4内の横方向の複数箇所に設定された長方形状の指定領域34毎に、以下の処理が施されて、内膜W1の存在がアルゴリズム上で確認される。
【0052】
先ず、指定領域34の内部に全て収まる前記白領域すなわち線部分32が抽出される(ステップS204)。この指定領域34は、特に限定されるものではないが、本実施例では、横幅が2(pixel)に設定され、縦幅が血管壁領域画像F4の縦幅よりも広く設定されている。
【0053】
次に、抽出された線部分32に対して、その外縁部分を一定量外側にシフトすることで、線部分32が膨張される(ステップS205)。本実施例では、特に限定されるものではないが、図10(A)に示されるように、線部分32の横方向中央位置に延びる中央ライン35Aに沿って、半径3.5(pixel)の円36の中心Cが通ったときに、当該円36の外周部分の軌跡を膨張後の線部分32の外縁とすることで、線部分32が膨張される(図10(B)参照)。ここで、円36の軌跡が重複した場合は、その重複部分はカットされる。その結果、図10(A)のように、何らかのノイズ等により、線部分32に小さな途切れ部分があっても、同図(B)のように、その途切れ部分が接合された太い線部分32にすることができる。
【0054】
そして、膨張された各線部分32に対し、一定長さ以上のものがあるか否かが判定され(ステップS206)、ノイズの影響等による短い線部分35が除かれ、一定長さ以上の線部分35のみが選択される。ここで、前記一定長さとしては、特に限定されるものではないが、本実施例では、血管壁領域画像F4の縦幅L2(図9参照)の1/4の長さに設定されている。
【0055】
このとき、一定長さ以上の線部分35がない場合は、以下の処理が行われずに、次の位置の指定領域34(図9参照)に対して、前記線部分32の抽出処理(ステップS204)から、前述の処理が再び行われる。
【0056】
次に、一定長さ以上の線部分32がある場合は、それぞれの線部分32に対し、近似する楕円に変換する処理が行われ、近似された各楕円の長軸の長さの和が、血管壁領域画像F4の縦幅L2よりも長いか否かが判定される(ステップS207)。
【0057】
前記長軸の長さの和が血管壁領域画像F4の縦幅L2以下であれば、指定領域34内の線部分35は、血管壁Wに沿って延びる内膜W1でないとされ、以下の処理が行われずに、次の位置の指定領域34に対して、前記線部分32の抽出処理(ステップS204)から、前述の処理が再び行われる。
【0058】
一方、前記長軸の長さの和が血管壁領域画像F4の縦幅L2以上であれば、楕円変換前の各線部分35について、前述した膨張処理(ステップS205)に対して逆の処理となる収縮処理が行われる(ステップS208)。
【0059】
そして、収縮処理された後の線部分32が、ライン検出処理後の血管壁領域画像F4における該当位置に重ね合わされ(ステップS209)、その部分が最小矩形で包囲される(ステップS210)。
【0060】
そして、最小矩形の横幅が、前記指定領域34の横幅H3(図9参照)よりも小さいか否かが判定される(ステップS211)。このとき、最小矩形の横幅が指定領域34の横幅H3より小さい場合は、その線部分35が連続した直線状と判断でき、その結果、当該線部分35は内膜W1であると判定される。一方、最小矩形の横幅が指定領域の横幅H3以上となってしまった場合は、以上の処理の過程で何等かの理由により、横方向に存在する複数の線が一体化されてしまったものであって、内膜W1でないと判定され、次の位置の指定領域34に対して、前記線部分32の抽出処理(ステップS204)から、前述の処理が再び行われる。
【0061】
従って、このような実施例によれば、超音波画像生成手段16により生成された超音波画像F1から血管Bの内膜W1を自動的に精度良く検出でき、最適となる血管Bの長軸断面を客観的且つ正確に得ることができる。また、本実施例のように、内膜W1の自動検出が可能になれば、長軸断面における超音波画像F1を取得する際に、内膜W1の検出の有無により、図示しないロボットを使って、血管Bに対する超音波プローブ12の自動位置調整が可能になる。
【0062】
なお、本発明における内膜判定アルゴリズムは、IMT値(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)を求める超音波診断装置等、他の超音波診断装置にも適用可能である。
【0063】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例に係る超音波診断装置の概略構成図。
【図2】血管内画像抽出部における処理手順を示すフローチャート。
【図3】矩形枠内の画像の切り出しを説明するための図。
【図4】切り出された矩形枠内の対象画像を示す図。
【図5】対象画像におけるグレースケール値毎の画素数を示す図表。
【図6】(A)は、対象画像の黒領域を示す図であり、(B)は、(A)の黒領域の周縁が平滑化された後の黒領域を示す図である。
【図7】内膜検出部における処理手順を示すフローチャート。
【図8】血管内画像を取り込んだ対象画像を示す図。
【図9】血管壁領域画像の拡大図。
【図10】(A)は、線部分を膨張させる手順を説明するための図であり、(B)は、膨張後の線部分を示す図である。
【図11】従来の超音波診断装置における血管の長軸断面の超音波画像の検出を説明するための図。
【図12】従来の超音波診断装置における超音波プローブの調整を説明するための図11の側面図。
【符号の説明】
【0065】
10 超音波診断装置
13 装置本体(内膜判定装置)
18 内膜判定手段
20 血管内画像抽出部
21 内膜検出部
26 黒領域
32 線部分
B 血管
F1 超音波画像
F2 対象画像
F3 血管内画像
W 血管壁
W1 内膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の断面の超音波画像を取得して、当該超音波画像から前記血管に関するデータを求める超音波診断装置において、
前記血管の長軸断面の超音波画像から前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記内膜判定手段は、前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記内膜検出部は、前記血管内画像を含む前記超音波画像から血管壁領域を切り出してライン検出処理を行って、一定長さ以上の線部分が存在するか否かを基準に前記内膜の存否を判定することを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定装置であって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備えたことを特徴とする内膜判定装置。
【請求項5】
血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出するステップと、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする内膜判定用プログラム。
【請求項6】
血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から黒領域を選択するステップと、この黒領域の中から血管内部に対応した黒領域を特定するステップと、特定された黒領域の境界部分を平滑化することで内膜判定用の血管内画像を得るステップと、前記血管内画像を前記超音波画像の該当部分に置換するステップと、前記血管内画像が置換された前記超音波画像の血管壁領域に対してライン検出処理を行うステップと、ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出するステップと、一定長さ以上の線部分がある場合に内膜が存在すると判定するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする内膜判定用プログラム。
【請求項7】
前記超音波画像から黒領域を選択する前に、前記超音波画像内のグレースケール値を拡張変換するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6記載の内膜判定用プログラム。
【請求項8】
前記ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出した後、内膜の判定前に、当該線部分を膨張させて線部分の所定範囲内の途切れ部分を接合するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6又は7記載の内膜判定用プログラム。
【請求項1】
血管の断面の超音波画像を取得して、当該超音波画像から前記血管に関するデータを求める超音波診断装置において、
前記血管の長軸断面の超音波画像から前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記内膜判定手段は、前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記内膜検出部は、前記血管内画像を含む前記超音波画像から血管壁領域を切り出してライン検出処理を行って、一定長さ以上の線部分が存在するか否かを基準に前記内膜の存否を判定することを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否を判定する内膜判定装置であって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出する血管内画像抽出部と、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出する内膜検出部とを備えたことを特徴とする内膜判定装置。
【請求項5】
血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から、ノイズの影響を低減させた血管内画像を抽出するステップと、前記超音波画像の一部を前記血管内画像に置換した状態で、前記内膜を検出するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする内膜判定用プログラム。
【請求項6】
血管の長軸断面の超音波画像に対して、前記血管の内膜の存否の判定を行うための内膜判定用プログラムであって、
前記超音波画像から黒領域を選択するステップと、この黒領域の中から血管内部に対応した黒領域を特定するステップと、特定された黒領域の境界部分を平滑化することで内膜判定用の血管内画像を得るステップと、前記血管内画像を前記超音波画像の該当部分に置換するステップと、前記血管内画像が置換された前記超音波画像の血管壁領域に対してライン検出処理を行うステップと、ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出するステップと、一定長さ以上の線部分がある場合に内膜が存在すると判定するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする内膜判定用プログラム。
【請求項7】
前記超音波画像から黒領域を選択する前に、前記超音波画像内のグレースケール値を拡張変換するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6記載の内膜判定用プログラム。
【請求項8】
前記ライン検出処理された血管壁領域から線部分を抽出した後、内膜の判定前に、当該線部分を膨張させて線部分の所定範囲内の途切れ部分を接合するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6又は7記載の内膜判定用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−75306(P2007−75306A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266221(P2005−266221)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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