超音波診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム
【課題】 ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便な行うことができる超音波診断装置及び医用画像処理プログラムを提供すること。
【解決手段】 第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定手段と、第1の関心領域及び第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更手段と、設定された第1の関心領域内のデータと設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、第1、第2ボリュームデータの空間的対応付け処理を実行すると共に、変更後の第1、第2の関心領域を基準として、空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、更新処理後の第1、第2のリュームデータを用いて第1、第2の画像を生成する画像生成手段と、を具備する。
【解決手段】 第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定手段と、第1の関心領域及び第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更手段と、設定された第1の関心領域内のデータと設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、第1、第2ボリュームデータの空間的対応付け処理を実行すると共に、変更後の第1、第2の関心領域を基準として、空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、更新処理後の第1、第2のリュームデータを用いて第1、第2の画像を生成する画像生成手段と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置を用いた画像診断等において、複数のボリュームデータ間の位置合わせを医師が好適に行うための支援情報を提供することができる超音波診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
また、近年においては、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、メカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)等を用いて、時系列な超音波画像のボリュームデータ群を取得し、三次元超音波画像をリアルタイムに生成・表示することが可能になっている。さらに、三次元位置合わせの技術により、異なる複数のボリュームデータ間の位置合わせをすることができる。このボリュームデータ間の位置合わせ技術を利用すれば、例えば、治療前において取得されたボリュームデータ内における腫瘍領域と、治療後において取得されたボリュームデータ内における治療域とを視覚的に比較することができる。
【0004】
ところで、臨床下での複数のボリューム間の位置合わせは、ボリュームデータの並進・回転でその位置を補正するだけでは、対応できない場合が多い。これは、ボリューム間に形状変化や歪み等による差異が存在するためである。この形状変化や歪みは、例えば次のものが原因として発生する。
【0005】
・各ボリューム内の輝度分布の違い
・異なるモダリティ(例えば、超音波診断装置とX線CT装置、MRI装置等)や異なる撮像手法(例えば、Bモード撮像と組織ハーモニック撮像、造影剤の有る/無しの撮像等)によるデータ特性の違い
・呼吸時相や体位による臓器の変形や周囲臓器との相対位置の変化
・プローブの設置位置(肋間)や圧迫の差異(肋弓下)
・治療や焼灼による臓器及びその周囲の形状変化
従って、医師は、少なくとも1度、診断の少なくとも一部を含む領域に関心領域(ROI)を各ボリュームに設定し、ROIを基準としてボリューム間の位置合わせを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−112468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のボリューム間の位置合わせにおいては、例えば次のような問題がある。すなわち、各ボリュームデータに設定されたROIの位置等がボリューム間の位置調整にとって適切でない場合、誤った位置合わせが行われることになる。また、ROIを再設定する場合、再設定されたROIと再設定前のROIとのどちらがボリューム間の位置合わせに好適であるかを客観的に判定することは困難である。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便な行うことができる超音波診断装置及び医用画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る超音波診断装置は、所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行する設定手段と、前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行する変更手段と、前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成する画像生成手段と、前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示した図である。
【図2】図2は、ボリューム間位置合わせ支援機能に従う処理(ボリューム間位置合わせ支援処理)の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、ステップ1における処理の内容を示す概念図である。
【図4】図4は、第1ROI及び第2ROIを設定する設定画面の一例を示した図である。
【図5】図5は、異なる第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの間の位置対応付け処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、ボリューム間の位置調整処理における第2ROIの移動を説明するための図である。
【図7】図7(a)、(b)、(c)は、ボリューム間の位置調整処理における第2ROIの移動を説明するための図である。
【図8】図8は、移動後の第1ROI及び第2ROIを基準した第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの位置対応付けの更新処理を説明するための図である。
【図9】図9は、RFA治療前において表示される、同じ断面に対応する超音波画像、X線CT画像等の表示例を示している。
【図10】図10は、RFA治療において表示される、同じ断面に対応する超音波画像、X線CT画像、ボリュームレンダリング画像等の表示例を示している。
【図11】図11は、本焼灼治療支援機能を用いて治療効果の検査を行う場合に表示される治療前後の期間に亘る超音波画像の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示した図である。同図に示すように、本超音波診断装置本体11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニタ14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成部27、制御プロセッサ28、位置合わせ支援情報生成ユニット29、内部記憶ユニット31、インターフェースユニット33を具備している。
【0013】
装置本体11に内蔵される超音波送信ユニット21および受信ユニット22等は、集積回路などのハードウェアで構成される。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0014】
超音波プローブ12は、超音波受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0015】
なお、本実施形態に係る超音波プローブ12は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ12として例えば一次元アレイプローブを採用し、これを手動によって揺動させながら超音波走査をすることでも、ボリュームデータを取得することは可能である。
【0016】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボールの他、マウス、キーボード等を有している。
【0017】
モニタ14は、画像生成回路25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。また、モニタ14に表示される三次元画像は、入力装置13からの所定の指示により、断面位置や表示形式、観察方向などを変えることができる。
【0018】
超音波送信ユニット21は、パルス発生器21A、送信遅延部21Bおよびパルサ21Cを有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。パルス発生器は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0019】
超音波受信ユニット22は、プリアンプ22A、A/D変換器、受信遅延部、加算器等を有している。プリアンプでは、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。受信遅延部は、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0020】
Bモード処理ユニット23は、受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成回路24に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニタ14に表示される。
【0021】
ドプラ処理ユニット24は、受信ユニット22から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成ユニット25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニタ14にカラー表示される。
【0022】
画像生成ユニット25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。画像生成ユニット25は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。なお、当該画像生成ユニット25に入る以前のデータは、「生データ」と呼ばれることがある。また、画像生成ユニット25は、逐次取得される複数の超音波データを用いて、時系列のボリュームデータを生成する。
【0023】
画像メモリ26は、画像生成ユニット25から受信した画像データを格納する記憶メモリから成る。この画像データは、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、静止画的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能でなる。
【0024】
内部記憶ユニット31は、後述するボリューム間位置合わせ支援機能を実現するための専用プログラム、画像生成・表示処理を実行するための制御プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、超音波画像データ、他のモダリティにおいて取得された画像データ、その他のデータ群が保管されている。また必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶ユニット31のデータは、インタフェースユニット33を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0025】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。制御プロセッサ28は、内部記憶ユニット31から後述するボリューム間位置合わせ支援機能を実現するための専用プログラム等を読み出してメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する
位置合わせ支援情報生成ユニット29は、後述するボリューム間位置合わせ支援機能に従う処理を実行し、所定の評価値、位置対応付け候補等の支援情報を生成する。当該位置合わせ支援情報生成ユニット29が実行する各種処理については、後で詳しく説明する。
【0026】
インタフェースユニット33は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェースユニット33により、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。また、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置等の他のモダリティーによって取得された画像データを、インタフェースユニット33により、ネットワークを介して当該超音波診断装置に取り込むことができる。
【0027】
(ボリューム間位置合わせ支援機能)
次に、本超音波診断装置が具備するボリューム間位置合わせ支援機能について説明する。この機能は、異なるボリュームデータ間の位置合わせをする場面において、各ボリュームデータにROIを設定してROI間の位置合わせをROI位置を変えて複数回行うことで、ボリューム間の位置対応付け候補をROI間の位置合わせ毎に生成し、その中から最適なものを選択することで、ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便に行うものである。
【0028】
図2は、本ボリューム間位置合わせ支援機能に従う処理(ボリューム間位置合わせ支援処理)の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップにおける処理の内容について説明する。なお、以下においては、説明を具体的にするため、所定のモダリティによって事前に取得された第1ボリュームデータに対して、超音波走査によって取得される第2ボリュームデータを位置合わせする場合を例とする。
【0029】
[超音波走査によるボリュームデータの取得:ステップS1]
診断対象の一部を少なくとも含む三次元領域を被走査領域として、例えば、組織ハーモニックイメージング(THI)や、造影剤を用いたコントラストハーモニックイメージング(CHI)の四次元超音波走査等が実行され、時系列のボリュームデータが取得される。また、取得したボリュームデータを用いて、MPR画像、ボリュームレンダリング画像等が生成・表示される(ステップS1)。なお、図3に、本ステップ1における処理の内容を概念的に示した。
【0030】
[第1ボリューム、第2ボリュームのデータの読み込み:ステップS2]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、内部記憶ユニット31に記憶された第1ボリュームデータを読み出し、超音波走査によって取得されたボリュームデータ(第2ボリュームデータ)とを並列表示する。第1ボリュームデータは、超音波データの場合もあるが、インターフェースより取り込まれたCTやMR等の他のモダリティの三次元データの場合もある。第2ボリュームデータも、内部記憶ユニット31に保管されたデータを読み出す場合もある(ステップS2)。なお、位置合わせ支援情報生成ユニット29には、この位置対応付け処理を行う少なくとも一部の構成として、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SIC(Application Specific Integrated Circuit)等を採用することができる。
【0031】
[第1ROI、第2ROIの設定:ステップS3]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、入力装置13を介して入力されたユーザからの指示に従って、第1ボリュームに対して第1ROIを、第2のボリュームに対して第2ROIを、それぞれ設定する(ステップS3)。本ステップのROI設定は、例えば図4に示すように、ステップS2において表示された、第1ボリュームに対応する第1MPR画像及び第2ボリュームに対応する第2MPR画像に対して実行されるのが好適である。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば、診断対象(診断部位)に応じて、ROIを自動的に設定するようにしてもよい。
【0032】
[第1ROI−第2ROI間の特徴量を計算:ステップS4]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとを用いて、ROI間の類似度に関する特徴量(指標)を計算し当該特徴量を用いて、第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとの位置ずれに関する評価値を計算する(ステップS4)。
【0033】
[第1、第2ボリュームの一対応付け・表示:ステップS5]
図5は、異なる第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの間の位置対応付け処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示すように、まず、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、二つのボリュームデータのうち、一方のボリュームデータ(例えば、第2ボリュームデータ)の座標系を他方のボリュームデータ(例えば、第1ボリュームデータ)の座標系に合わせるための座標変換を実行する(ステップS51)。
【0034】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとを用いて、各ボリュームデータ毎に類似度に関する特徴量(指標)を計算し(ステップS52)、各ボリュームデータに対応する特徴量を用いて、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの位置ずれを評価するための評価値を計算する(ステップS53)。なお、上記類似度に関する特徴量としては、ボリュームデータ或いはボリュームデータに設定された関心領域(ROI)内のデータを用いて計算されるエントロピー、相互相関量、ボリュームデータを用いた差分値、或いはこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
【0035】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、評価値が最適値基準を満たすか否かを判定する(ステップS54)。ステップS54において、「評価値が最適値基準を満たす」と判定した場合には、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、本位置対応付け処理を終了する。一方、「評価値が最適値基準を満たさない」と判定した場合には、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、評価値が最適値基準を満たすまで変換パラメータを変更し、ステップS51乃至S54までの処理を繰り返す(ステップS55)。
【0036】
以上により、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの初期的な位置合わせが実行される。位置合わせ後、画像生成ユニット25は、位置が対応付けられた第1ボリュームデータと第2ボリュームデータをと用いて、所定の画像(本実施形態では、MPR画像とする)を生成する。生成された画像は、モニタ14に所定の形態で表示される。
【0037】
[第1ボリューム、第2ボリューム間の位置調整:ステップS6]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ROI、第2ROIを基準とした第1ボリューム、第2ボリューム間の位置調整を実行する(ステップS6)。
【0038】
まず、ユーザは、第1MPR画像に設定された第1ROIを参照しながら、入力装置13を介して、図6に示すような第2MPR画像に設定された第2ROIの位置の移動指示を入力する。位置合わせ支援情報生成ユニット29は、入力された移動指示に応答して、例えば図7(a)、(b)、(c)に示すように、第2ROIの位置、向き及び当該第2ROI内のデータの位置、向きを移動させる(ステップS61)。なお、ROIの位置及びROI内のデータの位置の移動等の指示手法は、当該例に拘泥されない。例えば、所定の操作により、第1ROIと第2ROIとを連動して移動させることも可能である。また、当然ながら、第1ROIのみを単独で(独立して)移動させることも可能である。
【0039】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、移動後の第1ROI内のデータと第2ROI内のデータ間の類似度に関する特徴量を計算し当該特徴量を用いて、第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとの位置ずれに関する評価値を計算する。計算された評価値は、画像と共に所定の形態でモニター14に表示される(ステップS62)。
【0040】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、移動後の第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとの位置関係を用いて、第1ボリュームと第2ボリュームとの間の位置対応付けを更新する。画像生成ユニット25は、更新後の第1ボリュームデータと第2ボリュームデータをと用いて、各ボリュームに対応するMPR画像を生成する。生成された画像は、モニター14に所定の形態で表示される(ステップS63)。
【0041】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ROI及び第2ROIの少なくとも一方についての移動指示の有無を判定する(ステップS64)。その結果、さらなるROIの移動指示が入力された場合には、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、入力された移動指示に基づいて、ステップS61〜S63の各処理を繰り返す。なお、例えばステップS62において計算された特徴量が所定の基準値を下回る場合には、再度ROIの位置、向きの調整を促すようにしてもよい。
【0042】
ステップS61〜S63の各処理の繰り返しの結果、例えば、例えば図7(b)、(c)に示すように第2ROI及び第2ROI内のデータの位置、向きが更新され、図8に示すように第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの位置対応付けが逐次更新されることになる。また、特徴量は、例えば図8右下に示す様に、ROIの移動毎に位置対応付け候補の一覧として所定の形態で表示される。
【0043】
[第1ボリュームと第2ボリュームとの間の最適位置関係を決定:ステップS7]
ユーザは、表示された複数の位置対応付け候補を観察しながら、最適と判断される特徴量を、入力装置13を介して選択する。位置合わせ支援情報生成ユニット29は、当該指示を受けて、選択された特徴量に対応する第1ボリュームと第2ボリュームとの位置対応付けを特定し、特定された位置対応付けを第1ボリュームと第2ボリュームと間の最適位置関係として決定する(ステップS7)。
【0044】
以上述べたボリューム間位置合わせ支援機能は、例えば、次の様な状況で用いることができる。
【0045】
(RFA治療前検査)
図9は、RFA治療前において表示される、位置対応付けされた超音波画像、X線CT画像、MRI画像等の表示例を示している。本支援機能を用いて位置対応付けが施された各ボリュームを用いて、図9に示すような、複数のモダリティによって取得された複合的な患部画像を生成し表示する。ユーザは、複数のモダリティによって取得された複合的な患部画像を観察しながら、焼灼領域サイズ及び穿刺針の刺入位置、経路を決定することができる。
【0046】
(RFA治療中)
図10は、RFA治療前後において、位置対応付けされた超音波画像、X線CT画像の表示例を示した図である。同図左の4画面表示では、左上が治療前のX線CT画像、右上が治療前の造影超音波画像、左下が焼灼中の超音波画像像、左下が焼灼後の造影超音波像である。これらの4画像はボリュームレベルで位置対応付けが行われているため、一つの画像の向き等を変更するだけで、他の画像も連動して変更し表示することができる。図10の例では、焼灼前の患部(腫瘍)は、左上のX線CT画像において明瞭に映像化されている。また、焼灼後の患部は、右下の造影超音波画像において明瞭に映像化されている。従って、術者は、治療前後の期間に亘る複数枚の画像を観察することで、焼灼が十分でない領域の有無や、RFA治療後の経過を客観的に判定することができる。
【0047】
(治療効果判定)
図11は、本支援機能を用いて位置対応付けが施された各ボリュームデータを用いて、治療効果の検査を行う場合に表示される治療前後の期間に亘る超音波画像の表示例を示した図である。術者は、図11に示された治療前後の期間に亘る複数枚の画像を観察することで、焼灼が十分でない領域の有無や、RFA治療後の経過を客観的に判定することができる。
【0048】
(効果)
以上述べた構成によれば、超音波診断装置を用いた画像診断等において、複数のボリュームデータ間の位置合わせを行う場合に、各ボリュームデータにROIを設定してROI間の位置合わせを行い、当該位置合わせされたROIを基準として、ボリュームデータの位置対応付けを実行する。また、ROI間の位置合わせは、所望する回数だけ実行することができ、ROI間の位置合わせ毎にボリュームデータ間の位置対応付けが更新され、更新後の各ボリュームデータを用いてMPR画像等が生成され表示される。従って、ユーザは、診断対象の少なくとも一部を含む各ボリュームデータの領域にROIを設定し、ROI間の位置合わせを複数回行うことで、ボリューム間の位置対応付け候補をROI間の位置合わせ毎に生成することができる。ユーザは、生成された複数の位置対応付け候補の中から最適なものを選択することで、ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便な行うことができる。
【0049】
また、各位置対応付け候補毎に特徴量を計算し所定の形態で表示する。従って、ユーザは、生成された複数の位置対応付け候補の中から、定量的に最適なものを選択することができる。さらに、各ボリュームデータに設定された各ROIを移動させる場合、各ROIを単独で、或いは複数のROIを連動して移動させることができる。従って、ユーザは、迅速且つ簡便にROIを所望の位置に移動させることができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0051】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0052】
(2)上記実施形態においては、各ボリュームデータについてROIを一つずつ設定する場合を例とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、各ボリュームデータについて複数のROIを設定し、位置の対応するROIの組み合わせに毎に上記位置合わせ支援機能を適用するようにしてもよい。例えば、一つの第1ROIに対して複数の第2ROIを設定し、第1ROIと第2ROIとの組み合わせ毎に評価値を計算し、位置対応付け候補として提示するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ(CPU)、29…位置合わせ支援情報生成ユニット、31…記憶ユニット、33…インターフェースユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置を用いた画像診断等において、複数のボリュームデータ間の位置合わせを医師が好適に行うための支援情報を提供することができる超音波診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
また、近年においては、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、メカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)等を用いて、時系列な超音波画像のボリュームデータ群を取得し、三次元超音波画像をリアルタイムに生成・表示することが可能になっている。さらに、三次元位置合わせの技術により、異なる複数のボリュームデータ間の位置合わせをすることができる。このボリュームデータ間の位置合わせ技術を利用すれば、例えば、治療前において取得されたボリュームデータ内における腫瘍領域と、治療後において取得されたボリュームデータ内における治療域とを視覚的に比較することができる。
【0004】
ところで、臨床下での複数のボリューム間の位置合わせは、ボリュームデータの並進・回転でその位置を補正するだけでは、対応できない場合が多い。これは、ボリューム間に形状変化や歪み等による差異が存在するためである。この形状変化や歪みは、例えば次のものが原因として発生する。
【0005】
・各ボリューム内の輝度分布の違い
・異なるモダリティ(例えば、超音波診断装置とX線CT装置、MRI装置等)や異なる撮像手法(例えば、Bモード撮像と組織ハーモニック撮像、造影剤の有る/無しの撮像等)によるデータ特性の違い
・呼吸時相や体位による臓器の変形や周囲臓器との相対位置の変化
・プローブの設置位置(肋間)や圧迫の差異(肋弓下)
・治療や焼灼による臓器及びその周囲の形状変化
従って、医師は、少なくとも1度、診断の少なくとも一部を含む領域に関心領域(ROI)を各ボリュームに設定し、ROIを基準としてボリューム間の位置合わせを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−112468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のボリューム間の位置合わせにおいては、例えば次のような問題がある。すなわち、各ボリュームデータに設定されたROIの位置等がボリューム間の位置調整にとって適切でない場合、誤った位置合わせが行われることになる。また、ROIを再設定する場合、再設定されたROIと再設定前のROIとのどちらがボリューム間の位置合わせに好適であるかを客観的に判定することは困難である。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便な行うことができる超音波診断装置及び医用画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る超音波診断装置は、所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行する設定手段と、前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行する変更手段と、前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成する画像生成手段と、前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示した図である。
【図2】図2は、ボリューム間位置合わせ支援機能に従う処理(ボリューム間位置合わせ支援処理)の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、ステップ1における処理の内容を示す概念図である。
【図4】図4は、第1ROI及び第2ROIを設定する設定画面の一例を示した図である。
【図5】図5は、異なる第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの間の位置対応付け処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、ボリューム間の位置調整処理における第2ROIの移動を説明するための図である。
【図7】図7(a)、(b)、(c)は、ボリューム間の位置調整処理における第2ROIの移動を説明するための図である。
【図8】図8は、移動後の第1ROI及び第2ROIを基準した第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの位置対応付けの更新処理を説明するための図である。
【図9】図9は、RFA治療前において表示される、同じ断面に対応する超音波画像、X線CT画像等の表示例を示している。
【図10】図10は、RFA治療において表示される、同じ断面に対応する超音波画像、X線CT画像、ボリュームレンダリング画像等の表示例を示している。
【図11】図11は、本焼灼治療支援機能を用いて治療効果の検査を行う場合に表示される治療前後の期間に亘る超音波画像の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示した図である。同図に示すように、本超音波診断装置本体11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニタ14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成部27、制御プロセッサ28、位置合わせ支援情報生成ユニット29、内部記憶ユニット31、インターフェースユニット33を具備している。
【0013】
装置本体11に内蔵される超音波送信ユニット21および受信ユニット22等は、集積回路などのハードウェアで構成される。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0014】
超音波プローブ12は、超音波受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0015】
なお、本実施形態に係る超音波プローブ12は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ12として例えば一次元アレイプローブを採用し、これを手動によって揺動させながら超音波走査をすることでも、ボリュームデータを取得することは可能である。
【0016】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボールの他、マウス、キーボード等を有している。
【0017】
モニタ14は、画像生成回路25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。また、モニタ14に表示される三次元画像は、入力装置13からの所定の指示により、断面位置や表示形式、観察方向などを変えることができる。
【0018】
超音波送信ユニット21は、パルス発生器21A、送信遅延部21Bおよびパルサ21Cを有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。パルス発生器は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0019】
超音波受信ユニット22は、プリアンプ22A、A/D変換器、受信遅延部、加算器等を有している。プリアンプでは、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。受信遅延部は、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0020】
Bモード処理ユニット23は、受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成回路24に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニタ14に表示される。
【0021】
ドプラ処理ユニット24は、受信ユニット22から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成ユニット25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニタ14にカラー表示される。
【0022】
画像生成ユニット25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。画像生成ユニット25は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。なお、当該画像生成ユニット25に入る以前のデータは、「生データ」と呼ばれることがある。また、画像生成ユニット25は、逐次取得される複数の超音波データを用いて、時系列のボリュームデータを生成する。
【0023】
画像メモリ26は、画像生成ユニット25から受信した画像データを格納する記憶メモリから成る。この画像データは、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、静止画的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能でなる。
【0024】
内部記憶ユニット31は、後述するボリューム間位置合わせ支援機能を実現するための専用プログラム、画像生成・表示処理を実行するための制御プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、超音波画像データ、他のモダリティにおいて取得された画像データ、その他のデータ群が保管されている。また必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶ユニット31のデータは、インタフェースユニット33を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0025】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。制御プロセッサ28は、内部記憶ユニット31から後述するボリューム間位置合わせ支援機能を実現するための専用プログラム等を読み出してメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する
位置合わせ支援情報生成ユニット29は、後述するボリューム間位置合わせ支援機能に従う処理を実行し、所定の評価値、位置対応付け候補等の支援情報を生成する。当該位置合わせ支援情報生成ユニット29が実行する各種処理については、後で詳しく説明する。
【0026】
インタフェースユニット33は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェースユニット33により、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。また、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置等の他のモダリティーによって取得された画像データを、インタフェースユニット33により、ネットワークを介して当該超音波診断装置に取り込むことができる。
【0027】
(ボリューム間位置合わせ支援機能)
次に、本超音波診断装置が具備するボリューム間位置合わせ支援機能について説明する。この機能は、異なるボリュームデータ間の位置合わせをする場面において、各ボリュームデータにROIを設定してROI間の位置合わせをROI位置を変えて複数回行うことで、ボリューム間の位置対応付け候補をROI間の位置合わせ毎に生成し、その中から最適なものを選択することで、ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便に行うものである。
【0028】
図2は、本ボリューム間位置合わせ支援機能に従う処理(ボリューム間位置合わせ支援処理)の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップにおける処理の内容について説明する。なお、以下においては、説明を具体的にするため、所定のモダリティによって事前に取得された第1ボリュームデータに対して、超音波走査によって取得される第2ボリュームデータを位置合わせする場合を例とする。
【0029】
[超音波走査によるボリュームデータの取得:ステップS1]
診断対象の一部を少なくとも含む三次元領域を被走査領域として、例えば、組織ハーモニックイメージング(THI)や、造影剤を用いたコントラストハーモニックイメージング(CHI)の四次元超音波走査等が実行され、時系列のボリュームデータが取得される。また、取得したボリュームデータを用いて、MPR画像、ボリュームレンダリング画像等が生成・表示される(ステップS1)。なお、図3に、本ステップ1における処理の内容を概念的に示した。
【0030】
[第1ボリューム、第2ボリュームのデータの読み込み:ステップS2]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、内部記憶ユニット31に記憶された第1ボリュームデータを読み出し、超音波走査によって取得されたボリュームデータ(第2ボリュームデータ)とを並列表示する。第1ボリュームデータは、超音波データの場合もあるが、インターフェースより取り込まれたCTやMR等の他のモダリティの三次元データの場合もある。第2ボリュームデータも、内部記憶ユニット31に保管されたデータを読み出す場合もある(ステップS2)。なお、位置合わせ支援情報生成ユニット29には、この位置対応付け処理を行う少なくとも一部の構成として、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SIC(Application Specific Integrated Circuit)等を採用することができる。
【0031】
[第1ROI、第2ROIの設定:ステップS3]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、入力装置13を介して入力されたユーザからの指示に従って、第1ボリュームに対して第1ROIを、第2のボリュームに対して第2ROIを、それぞれ設定する(ステップS3)。本ステップのROI設定は、例えば図4に示すように、ステップS2において表示された、第1ボリュームに対応する第1MPR画像及び第2ボリュームに対応する第2MPR画像に対して実行されるのが好適である。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば、診断対象(診断部位)に応じて、ROIを自動的に設定するようにしてもよい。
【0032】
[第1ROI−第2ROI間の特徴量を計算:ステップS4]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとを用いて、ROI間の類似度に関する特徴量(指標)を計算し当該特徴量を用いて、第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとの位置ずれに関する評価値を計算する(ステップS4)。
【0033】
[第1、第2ボリュームの一対応付け・表示:ステップS5]
図5は、異なる第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの間の位置対応付け処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示すように、まず、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、二つのボリュームデータのうち、一方のボリュームデータ(例えば、第2ボリュームデータ)の座標系を他方のボリュームデータ(例えば、第1ボリュームデータ)の座標系に合わせるための座標変換を実行する(ステップS51)。
【0034】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとを用いて、各ボリュームデータ毎に類似度に関する特徴量(指標)を計算し(ステップS52)、各ボリュームデータに対応する特徴量を用いて、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの位置ずれを評価するための評価値を計算する(ステップS53)。なお、上記類似度に関する特徴量としては、ボリュームデータ或いはボリュームデータに設定された関心領域(ROI)内のデータを用いて計算されるエントロピー、相互相関量、ボリュームデータを用いた差分値、或いはこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
【0035】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、評価値が最適値基準を満たすか否かを判定する(ステップS54)。ステップS54において、「評価値が最適値基準を満たす」と判定した場合には、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、本位置対応付け処理を終了する。一方、「評価値が最適値基準を満たさない」と判定した場合には、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、評価値が最適値基準を満たすまで変換パラメータを変更し、ステップS51乃至S54までの処理を繰り返す(ステップS55)。
【0036】
以上により、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの初期的な位置合わせが実行される。位置合わせ後、画像生成ユニット25は、位置が対応付けられた第1ボリュームデータと第2ボリュームデータをと用いて、所定の画像(本実施形態では、MPR画像とする)を生成する。生成された画像は、モニタ14に所定の形態で表示される。
【0037】
[第1ボリューム、第2ボリューム間の位置調整:ステップS6]
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ROI、第2ROIを基準とした第1ボリューム、第2ボリューム間の位置調整を実行する(ステップS6)。
【0038】
まず、ユーザは、第1MPR画像に設定された第1ROIを参照しながら、入力装置13を介して、図6に示すような第2MPR画像に設定された第2ROIの位置の移動指示を入力する。位置合わせ支援情報生成ユニット29は、入力された移動指示に応答して、例えば図7(a)、(b)、(c)に示すように、第2ROIの位置、向き及び当該第2ROI内のデータの位置、向きを移動させる(ステップS61)。なお、ROIの位置及びROI内のデータの位置の移動等の指示手法は、当該例に拘泥されない。例えば、所定の操作により、第1ROIと第2ROIとを連動して移動させることも可能である。また、当然ながら、第1ROIのみを単独で(独立して)移動させることも可能である。
【0039】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、移動後の第1ROI内のデータと第2ROI内のデータ間の類似度に関する特徴量を計算し当該特徴量を用いて、第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとの位置ずれに関する評価値を計算する。計算された評価値は、画像と共に所定の形態でモニター14に表示される(ステップS62)。
【0040】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、移動後の第1ROI内のデータと第2ROI内のデータとの位置関係を用いて、第1ボリュームと第2ボリュームとの間の位置対応付けを更新する。画像生成ユニット25は、更新後の第1ボリュームデータと第2ボリュームデータをと用いて、各ボリュームに対応するMPR画像を生成する。生成された画像は、モニター14に所定の形態で表示される(ステップS63)。
【0041】
次に、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、第1ROI及び第2ROIの少なくとも一方についての移動指示の有無を判定する(ステップS64)。その結果、さらなるROIの移動指示が入力された場合には、位置合わせ支援情報生成ユニット29は、入力された移動指示に基づいて、ステップS61〜S63の各処理を繰り返す。なお、例えばステップS62において計算された特徴量が所定の基準値を下回る場合には、再度ROIの位置、向きの調整を促すようにしてもよい。
【0042】
ステップS61〜S63の各処理の繰り返しの結果、例えば、例えば図7(b)、(c)に示すように第2ROI及び第2ROI内のデータの位置、向きが更新され、図8に示すように第1ボリュームデータと第2ボリュームデータとの位置対応付けが逐次更新されることになる。また、特徴量は、例えば図8右下に示す様に、ROIの移動毎に位置対応付け候補の一覧として所定の形態で表示される。
【0043】
[第1ボリュームと第2ボリュームとの間の最適位置関係を決定:ステップS7]
ユーザは、表示された複数の位置対応付け候補を観察しながら、最適と判断される特徴量を、入力装置13を介して選択する。位置合わせ支援情報生成ユニット29は、当該指示を受けて、選択された特徴量に対応する第1ボリュームと第2ボリュームとの位置対応付けを特定し、特定された位置対応付けを第1ボリュームと第2ボリュームと間の最適位置関係として決定する(ステップS7)。
【0044】
以上述べたボリューム間位置合わせ支援機能は、例えば、次の様な状況で用いることができる。
【0045】
(RFA治療前検査)
図9は、RFA治療前において表示される、位置対応付けされた超音波画像、X線CT画像、MRI画像等の表示例を示している。本支援機能を用いて位置対応付けが施された各ボリュームを用いて、図9に示すような、複数のモダリティによって取得された複合的な患部画像を生成し表示する。ユーザは、複数のモダリティによって取得された複合的な患部画像を観察しながら、焼灼領域サイズ及び穿刺針の刺入位置、経路を決定することができる。
【0046】
(RFA治療中)
図10は、RFA治療前後において、位置対応付けされた超音波画像、X線CT画像の表示例を示した図である。同図左の4画面表示では、左上が治療前のX線CT画像、右上が治療前の造影超音波画像、左下が焼灼中の超音波画像像、左下が焼灼後の造影超音波像である。これらの4画像はボリュームレベルで位置対応付けが行われているため、一つの画像の向き等を変更するだけで、他の画像も連動して変更し表示することができる。図10の例では、焼灼前の患部(腫瘍)は、左上のX線CT画像において明瞭に映像化されている。また、焼灼後の患部は、右下の造影超音波画像において明瞭に映像化されている。従って、術者は、治療前後の期間に亘る複数枚の画像を観察することで、焼灼が十分でない領域の有無や、RFA治療後の経過を客観的に判定することができる。
【0047】
(治療効果判定)
図11は、本支援機能を用いて位置対応付けが施された各ボリュームデータを用いて、治療効果の検査を行う場合に表示される治療前後の期間に亘る超音波画像の表示例を示した図である。術者は、図11に示された治療前後の期間に亘る複数枚の画像を観察することで、焼灼が十分でない領域の有無や、RFA治療後の経過を客観的に判定することができる。
【0048】
(効果)
以上述べた構成によれば、超音波診断装置を用いた画像診断等において、複数のボリュームデータ間の位置合わせを行う場合に、各ボリュームデータにROIを設定してROI間の位置合わせを行い、当該位置合わせされたROIを基準として、ボリュームデータの位置対応付けを実行する。また、ROI間の位置合わせは、所望する回数だけ実行することができ、ROI間の位置合わせ毎にボリュームデータ間の位置対応付けが更新され、更新後の各ボリュームデータを用いてMPR画像等が生成され表示される。従って、ユーザは、診断対象の少なくとも一部を含む各ボリュームデータの領域にROIを設定し、ROI間の位置合わせを複数回行うことで、ボリューム間の位置対応付け候補をROI間の位置合わせ毎に生成することができる。ユーザは、生成された複数の位置対応付け候補の中から最適なものを選択することで、ボリュームデータ間の位置合わせを、従来に比して正確且つ簡便な行うことができる。
【0049】
また、各位置対応付け候補毎に特徴量を計算し所定の形態で表示する。従って、ユーザは、生成された複数の位置対応付け候補の中から、定量的に最適なものを選択することができる。さらに、各ボリュームデータに設定された各ROIを移動させる場合、各ROIを単独で、或いは複数のROIを連動して移動させることができる。従って、ユーザは、迅速且つ簡便にROIを所望の位置に移動させることができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0051】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0052】
(2)上記実施形態においては、各ボリュームデータについてROIを一つずつ設定する場合を例とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、各ボリュームデータについて複数のROIを設定し、位置の対応するROIの組み合わせに毎に上記位置合わせ支援機能を適用するようにしてもよい。例えば、一つの第1ROIに対して複数の第2ROIを設定し、第1ROIと第2ROIとの組み合わせ毎に評価値を計算し、位置対応付け候補として提示するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ(CPU)、29…位置合わせ支援情報生成ユニット、31…記憶ユニット、33…インターフェースユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行する設定手段と、
前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行する変更手段と、
前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1ボリュームと前記第2ボリュームの少なくとも1つのボリュームデータが超音波画像データであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記関心領域の更新は、初期の前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータの空間的対応付けされた空間で行われ、前記関心領域の変更に連動して、前記空間的対応付けの更新処理を逐次実行することを特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記関心領域の更新は、更新直前の前記第1ボリュームデータと前記第1ボリュームデータの空間的対応付けされた空間で行われ、前記関心領域の変更に連動して、前記空間的対応付けの更新処理を逐次実行することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記更新処理を継続して行う場合には、前記空間的対応付け処理は、各更新処理毎に類似度の特徴量を計算し記憶する手段を有し、更新時の類似度の特徴量がそれまでの最良値を超えたときのみ、前記空間的対応付け処理を更新し、
前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第1の超音波画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の超音波画像を生成し、
前記第1の画像と前記第2の画像を更新すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記更新処理を継続して行う場合には、前記空間的対応付け処理は、各更新処理毎に類似度の特徴量を計算し記憶する手段を有し、所定の呼び出し操作にて、類似度の特徴量の最良値の時の前記空間的対応付け処理を実行し、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の超音波画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の超音波画像を生成し、
前記第1の画像と前記第2の画像を更新すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記設定手段は、MPR画像上で、3次元空間を任意に第1の関心領域及び第2の関心領域の設定処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記設定手段は、MPR表示上で断面の平行移動や回転操作に追従して関心領域の中心を移動させることで3次元空間を任意に、第1の関心領域及び第2の関心領域の設定処理を実行することができることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記変更手段は、前記第1の関心領域と前記第2の関心領域のとを連動させて、或いは単独で、その位置及び向きの少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記表示手段は、前記空間的対応付け処理時に計算される類似度の特徴量を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記変更手段によって変更する位置または向きの情報を予め記憶する変更条件記録手段をさらに具備し、
前記位置合わせ手段は、前記変更条件記録手段に記録された情報に従って、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を自動的に更新すると共に各更新毎に類似度の特徴量を計算し記憶する更新処理を実行し、
前記画像生成手段は、前記の記憶の中より所望の更新処理時の前記第1ボリュームデータを用いて前記第1の画像を生成すると共に、所望の更新処理時の前記第2ボリュームデータを用いて前記第2の画像を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行する設定手段と、
前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行する変更手段と、
前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項13】
前記第1ボリュームと前記第2ボリュームの少なくとも1つのボリュームデータが超音波画像データであることを特徴とする請求項12記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記変更手段によって変更する位置または向きの情報を予め記憶する変更条件記録手段をさらに具備し、
前記位置合わせ手段は、前記変更条件記録手段に記録された情報に従って、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を自動的に更新すると共に各更新毎に類似度の特徴量を計算し記憶する更新処理を実行し、
前記画像生成手段は、前記の記憶の中より所望の更新処理時の前記第1ボリュームデータを用いて前記第1の画像を生成すると共に、所望の更新処理時の前記第2ボリュームデータを用いて前記第2の画像を生成すること、
を特徴とする請求項12又は13記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
コンピュータに、
所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行させる設定機能と、
前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行させる変更機能と、
前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行させる位置合わせ機能と、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成させると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成させる画像生成機能と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。
【請求項16】
前記第1ボリュームと前記第2ボリュームの少なくとも1つのボリュームデータが超音波画像データであることを特徴とする請求項15記載の医用画像処理プログラム。
【請求項17】
前記変更機能によって変更する位置または向きの情報を予め記憶させる変更条件記録記憶機能をさらに実現させ、
前記位置合わせ機能においては、前記変更条件記録機能において記録された情報に従って、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を自動的に更新すると共に各更新毎に類似度の特徴量を計算し記憶する更新処理を実行させ、
前記画像生成機能においては、前記の記憶の中より所望の更新処理時の前記第1ボリュームデータを用いて前記第1の画像を生成させると共に、所望の更新処理時の前記第2ボリュームデータを用いて前記第2の画像を生成させること、
を特徴とする請求項15又は16記載の医用画像処理プログラム。
【請求項1】
所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行する設定手段と、
前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行する変更手段と、
前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1ボリュームと前記第2ボリュームの少なくとも1つのボリュームデータが超音波画像データであることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記関心領域の更新は、初期の前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータの空間的対応付けされた空間で行われ、前記関心領域の変更に連動して、前記空間的対応付けの更新処理を逐次実行することを特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記関心領域の更新は、更新直前の前記第1ボリュームデータと前記第1ボリュームデータの空間的対応付けされた空間で行われ、前記関心領域の変更に連動して、前記空間的対応付けの更新処理を逐次実行することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記更新処理を継続して行う場合には、前記空間的対応付け処理は、各更新処理毎に類似度の特徴量を計算し記憶する手段を有し、更新時の類似度の特徴量がそれまでの最良値を超えたときのみ、前記空間的対応付け処理を更新し、
前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第1の超音波画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の超音波画像を生成し、
前記第1の画像と前記第2の画像を更新すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記更新処理を継続して行う場合には、前記空間的対応付け処理は、各更新処理毎に類似度の特徴量を計算し記憶する手段を有し、所定の呼び出し操作にて、類似度の特徴量の最良値の時の前記空間的対応付け処理を実行し、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の超音波画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の超音波画像を生成し、
前記第1の画像と前記第2の画像を更新すること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記設定手段は、MPR画像上で、3次元空間を任意に第1の関心領域及び第2の関心領域の設定処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記設定手段は、MPR表示上で断面の平行移動や回転操作に追従して関心領域の中心を移動させることで3次元空間を任意に、第1の関心領域及び第2の関心領域の設定処理を実行することができることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記変更手段は、前記第1の関心領域と前記第2の関心領域のとを連動させて、或いは単独で、その位置及び向きの少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記表示手段は、前記空間的対応付け処理時に計算される類似度の特徴量を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記変更手段によって変更する位置または向きの情報を予め記憶する変更条件記録手段をさらに具備し、
前記位置合わせ手段は、前記変更条件記録手段に記録された情報に従って、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を自動的に更新すると共に各更新毎に類似度の特徴量を計算し記憶する更新処理を実行し、
前記画像生成手段は、前記の記憶の中より所望の更新処理時の前記第1ボリュームデータを用いて前記第1の画像を生成すると共に、所望の更新処理時の前記第2ボリュームデータを用いて前記第2の画像を生成すること、
を特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行する設定手段と、
前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行する変更手段と、
前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行する位置合わせ手段と、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成すると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項13】
前記第1ボリュームと前記第2ボリュームの少なくとも1つのボリュームデータが超音波画像データであることを特徴とする請求項12記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記変更手段によって変更する位置または向きの情報を予め記憶する変更条件記録手段をさらに具備し、
前記位置合わせ手段は、前記変更条件記録手段に記録された情報に従って、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を自動的に更新すると共に各更新毎に類似度の特徴量を計算し記憶する更新処理を実行し、
前記画像生成手段は、前記の記憶の中より所望の更新処理時の前記第1ボリュームデータを用いて前記第1の画像を生成すると共に、所望の更新処理時の前記第2ボリュームデータを用いて前記第2の画像を生成すること、
を特徴とする請求項12又は13記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
コンピュータに、
所定の医用画像診断装置によって取得された第1の比較対象を含む第1のボリュームデータに対して第1の関心領域を設定すると共に、医用画像診断装置によって取得され第2の比較対象を含む第2のボリュームデータに対して第2の関心領域を設定する設定処理を実行させる設定機能と、
前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域のうち少なくとも一方について、位置又は向きを変更する変更処理を実行させる変更機能と、
前記設定された第1の関心領域内のデータと前記設定された第2の関心領域内のデータとを用いて、前記第1ボリュームデータと前記第2ボリュームデータとの空間的対応付け処理を実行すると共に、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を更新する更新処理を実行させる位置合わせ機能と、
前記更新処理後の前記第1ボリュームデータを用いて第1の画像を生成させると共に、前記更新処理後の前記第2ボリュームデータを用いて第2の画像を生成させる画像生成機能と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の形態で表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。
【請求項16】
前記第1ボリュームと前記第2ボリュームの少なくとも1つのボリュームデータが超音波画像データであることを特徴とする請求項15記載の医用画像処理プログラム。
【請求項17】
前記変更機能によって変更する位置または向きの情報を予め記憶させる変更条件記録記憶機能をさらに実現させ、
前記位置合わせ機能においては、前記変更条件記録機能において記録された情報に従って、前記変更後の前記第1の関心領域及び前記第2の関心領域を基準として、前記空間的対応付け処理を自動的に更新すると共に各更新毎に類似度の特徴量を計算し記憶する更新処理を実行させ、
前記画像生成機能においては、前記の記憶の中より所望の更新処理時の前記第1ボリュームデータを用いて前記第1の画像を生成させると共に、所望の更新処理時の前記第2ボリュームデータを用いて前記第2の画像を生成させること、
を特徴とする請求項15又は16記載の医用画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−75794(P2012−75794A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225987(P2010−225987)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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