説明

超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラム

【課題】胎児の顔表面等に出現する比較的大きな構造部位の不自然なエッジ強調を抑制すると共に、胎児の指等の比較的細かな構造部位のエッジを好適に強調すること。
【解決手段】超音波画像データを階層的に多重解像度分解し、第1レベルから第nレベル(は2以上の自然数)の低域分解画像データ及び第1レベルから第nレベルの高域分解画像データを得て、各階層における高域分解画像データを用いてフィルタ係数を計算し、フィルタ係数を用いて、一段下の階層からの出力データ又は低域分解画像データに非線形異方性拡散フィルタを施し、高域分解画像データから、信号のエッジ情報を階層毎に生成し、各階層の前記エッジ情報に基づいて、高域分解画像データの信号レベルを階層毎に制御し、フィルタリングユニットの出力データ又は一段下の階層からの出力データと、高域レベル制御ユニットの出力データとを階層的に多重解像度合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブを用いて超音波走査して得られた信号から画像を生成する超音波診断装置に関するもので、特に、二次元又は三次元超音波画像データのスペックルをより効果的かつ高速に除去できる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。また、近年の超音波診断装置は、超音波振動子が二次元に配列された二次元アレイ超音波プローブ等を用いることにより、被検体内部を空間的にスキャンして三次元の生体情報(ボリュームデータ)を収集することも可能になってきている。
【0003】
超音波診断におけるスペックル除去を目的とした従来技術として、多重解像度解析と非線形異方性拡散フィルタを組み合わせたフィルタリング処理がある。非線形異方性拡散処理では、エッジ部とその他の部位で施す処理を変えることにより、エッジ強調およびスペックル除去された画像を得ることができる。また、多重解像度解析を行うことにより,より大局的な処理からより局所的な処理へと順を追って処理することで、より高速かつ効率的に処理することが可能となる。
【0004】
しかしながら、従来の上記フィルタリング技術においては、特に胎児の様子を三次元的に観察する場合、多重解像度解析の下位階層の処理において胎児の顔表面の比較的大きな凹凸部位をエッジとして検出してしまう。これにより、この様な凹凸部位のエッジが強調された結果、多重解像度解析の上位階層の処理においても、エッジとして認識されてしまい、その結果、出力画像において不自然なエッジが強調されてしまうことがある。また、指などの上位階層でしか検出されないような細かなエッジは、下位のスペックル除去の影響を受けるため、出力画像においてエッジとしての検出が困難になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−153918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情を鑑みてなされたもので、スペックル除去を目的として多重解像度解析と非線形異方性拡散フィルタを組み合わせたフィルタリング処理を行う場合において、胎児の顔表面等に出現する比較的大きな構造部位の不自然なエッジ強調を抑制すると共に、胎児の指等の比較的細かな構造部位のエッジを好適に強調することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一つに従う超音波診断装置は、被検体の所定の領域に対してBモードによる超音波送受信を実行し、超音波画像データを発生するデータ発生ユニットと、前記超音波画像データを階層的に多重解像度分解し、第1レベルから第nレベル(ただし、nは2以上の自然数)の低域分解画像データ及び第1レベルから第nレベルの高域分解画像データを得る分解ユニットと、前記各階層における前記高域分解画像データを用いてフィルタ係数を計算し、当該フィルタ係数を用いて、一段下の階層からの出力データ又は前記低域分解画像データに非線形異方性拡散フィルタを施すと共に、前記高域分解画像データから、信号のエッジ情報を前記階層毎に生成するフィルタリングユニットと、前記各階層の前記エッジ情報に基づいて、前記高域分解画像データの信号レベルを前記階層毎に制御する高域レベル制御ユニットと、前記フィルタリングユニットの出力データ又は一段下の階層からの出力データと、前記高域レベル制御ユニットの出力データとを階層的に多重解像度合成することで、超音波画像データを取得する合成ユニットと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、本実施形態に係るスペックル除去処理ユニット26において実行されるスペックル除去処理の流れを示した図である。
【図3】図3は、従来のスペックル除去処理ユニット26において実行されるスペックル除去処理の流れを示した図である。
【図4】図4は、スペックル除去機能に用いる入力画像の一例である。
【図5】図5は、図4に示す画像を入力として、図3に示した従来のスペックル除去機能によって取得されるエッジ情報を示した図である。
【図6】図6は、図4に示す画像を入力として、図2に示した本実施形態に係るスペックル除去機能によって取得されるエッジ情報を示した図である。
【図7】図7は、図4に示す画像を入力として、図3に示した従来のスペックル除去機能によって最終的に出力される画像を示した図である。
【図8】図8は、図4に示す画像を入力として、図2に示した本実施形態に係るスペックル除去機能によって最終的に出力される画像を示した図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。
【図10】図10(a)、10(b)は、第2の実施形態に係るスペックル除去機能を説明するための図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。
【図12】図12は、複数の三次元画像(ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14c)をモニター14に同時に表示する形態の一例を示した図である。
【図13】図13は、本実施形態に係るスペックル除去処理の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1実施形態乃至第4実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置1は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、スキャンコンバータ25、スペックル除去処理ユニット26、制御プロセッサ(CPU)28、内部記憶部29、インタフェース部30を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0012】
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0013】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール13s、マウス13c、キーボード13d等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0014】
モニター14は、スキャンコンバータ25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0015】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0016】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0017】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0018】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、スキャンコンバータ25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0019】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報はスキャンコンバータ25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニター14にカラー表示される。
【0020】
スキャンコンバータ25は、超音波スキャンの走査線信号列を、Bモード処理部23、ドプラ処理部24、スペックル除去処理ユニット26から受け取ったデータを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。スキャンコンバータ25は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。なお、当該スキャンコンバータ25に入る以前のデータは、例えば空間的位置毎の振幅値或いは輝度値の集合であり、「RAWデータ」と呼ばれる。
【0021】
スペックル除去処理ユニット26は、制御プロセッサ28からの制御に基づいて、スキャンコンバージョン前のRAWデータを用いて、後述するスペックル除去機能に従う処理を実行する。
【0022】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御するCPUである。制御プロセッサ28は、内部記憶部29から画像生成・表示、後述するスペックル除去機能を実行するための専用プログラム等を実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0023】
内部記憶部29は、後述のスキャンシーケンス、画像生成。表示処理を実行するための制御プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、スペックル除去機能を実現するための専用プログラム、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶部29のデータは、インタフェース回路30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0024】
インタフェース部30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェース部30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0025】
(スペックル除去機能)
次に、本超音波診断装置1が有するスペックル除去機能について説明する。この機能は、例えばスキャンコンバージョン処理前の画像データ(RAWデータ)に対して、エッジ強調及びスペックル除去を実現する非線形異方性拡散フィルタ処理を、大局的な処理から局所的な処理を順次実行する多重解像度解析と組み合わせて実行するものである。このとき、エッジ検出アルゴリズムの入力として、多重解像度解析した高域分解画像データを用いると共に、当該エッジ検出後に実行される拡散処理においては、高域分解画像データより検出されたエッジ情報と低域分解画像データとを用いることで、多重解像度分解と非線形異方性拡散フィルタ処理との相乗効果により、スペックル除去を行う。なお、本実施形態においては、説明を具体的にするため、多重解像度分解のレベルの数nが3である場合を例とする。しかしながら、当該例に拘泥することなく、例えばNは2以上の自然数であれば、どの様な値であってもよい。
【0026】
図2は、スペックル除去処理ユニット26において実行されるスペックル除去機能に従う処理(スペックル除去処理)の流れを示した図である。同図に示すように、まず、レベル1のウェーブレット変換部261aは、Bモード処理ユニット23から入力した画像データ(RAWデータ)を多重解像度分解する。なお、ここでの「ウェーブレット変換」は、離散ウェーブレット変換を意味するものとする。また、ウェーブレット変換は多重解像度分解のための例示であり、当該手法に拘泥されない。例えば、ラプラシアン・ピラミッド法など他の手法によって多重解像度分解を実現するようにしてもよい。多重解像度分解の結果、分解後の画像データは、分解前に比べ縦横の長さが半分の低域画像(LL)、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)に分解される。分解された画像データのうち、低域画像(LL)はレベル2のウェーブレット変換部262aに、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)はレベル1の高域レベル制御部261b及び構造テンソル/拡散テンソル計算部261cに、それぞれ出力される。
【0027】
また、レベル2のウェーブレット変換部262aは、レベル1のウェーブレット変換部261aから入力した低域画像(LL)を多重解像度分解して低域画像(LL)、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)を取得する。ウェーブレット変換部262aは、低域画像(LL)をレベル3のウェーブレット変換部263aに、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)をレベル2の高域レベル制御部262b及び構造テンソル/拡散テンソル計算部262cに、それぞれ出力する。
【0028】
さらに、レベル3のウェーブレット変換部263aは、レベル2のウェーブレット変換部262aから入力した低域画像(LL)を多重解像度分解して低域画像(LL)、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)を取得する。ウェーブレット変換部263aは、取得した低域画像(LL)を当該レベル3の非線形異方性拡散フィルタ263eに、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)をレベル3の高域レベル制御部263b及び構造テンソル/拡散テンソル計算部263cに出力する。
【0029】
なお、レベル3のウェーブレット変換部263aは、処理の高速化のため、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)の三枚の画像をまとめた一枚の画像として構造テンソル/拡散テンソル計算部263cに出力することが好ましい。一枚の画像へまとめる手法の具体例としては、例えば、三枚の画像の絶対値を取ったものを加算した画像、三枚の画像を(絶対値を取らないで)加算した画像、三枚の画像の平均値画像、三枚の画像を所定の重み付けで加算した画像、三枚の画像のうちの幾つかについてのみ絶対値をとって加算した画像(例えば、水平方向高域画像(LH)及び垂直方向高域画像(HL)については絶対値を取らず対角線方向高域画像(HH)のみ絶対値をとって加算した画像)等を挙げることができる。
【0030】
次に、レベル3の構造テンソル/拡散テンソル計算部263cは、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)を用いて、構造テンソル、拡散テンソルを計算する。具体的には、以下の処理が実行される。すなわち、非線形異方性拡散フィルタは以下の偏微分方程式(1)で表される。
【数1】

【0031】
Iは処理する画像の画素レベル、∇Iはその勾配ベクトル(gradient vector)、tは処理にかかわる時刻である。Dは拡散テンソル(Diffusion Tensor)であって、次の式(2)ように表すことができる。
【数2】

【0032】
Rは回転行列であり、拡散テンソルDは、各画素の勾配ベクトルに対し特定の向きとその垂直方向にそれぞれ係数λ,λをかける演算操作を示すことになる。その向きとは検出された画像のエッジの向きであり、係数はエッジの大きさに依存する。
【0033】
エッジの大きさと向きを検出するには、一般的に当該画像の構造テンソル(structure tensor)を求め、その固有値と固有ベクトルを算出する。固有値はエッジの大きさに関連付けられ、固有ベクトルはエッジの向きを表す。構造テンソルは次の式(3)ように定義される。
【数3】

【0034】
ここでI,Iは処理する画像Iのx(水平)方向・y(垂直)方向の空間微分であり、Gρは二次元ガウス関数、演算子「*」は畳み込みを表す。エッジの大きさと向きの算出は必ずしも上記の方法に厳密に従わなくともよく、処理の第一段階としてI,Iを計算するかわりに、ソーベルフィルタ(sobel filter)や、多重解像度分解の高域成分を適用してもよい。
【0035】
係数λ,λの計算方法は各診断分野における超音波画像の特性によって異なってくるが、一般的な数式を用意して、いくつかのパラメータによって調整できるようにすれば便利である。
【0036】
またフィルタ自体の計算は、偏微分方程式の数値解析的解法によって行う。すなわち、時刻tにおいて、ある点における画素とその周囲の例えば9点における各画素レベルおよび拡散テンソルの各要素値から、時刻t+Δtにおけるその点の新たな画素レベルを求め、次にt+Δtを新たなtとして、同様の計算を1回から数回繰り返す。
【0037】
次に、エッジ検出部263dは、構造テンソル/拡散テンソル計算部263cにおいて計算された構造テンソルの各要素から、エッジの大きさ(エッジ情報)を計算する。計算されたエッジ情報は、拡散フィルタ263eに出力される。また、レベル3の高域レベル制御部263bは、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)、及びこれら3成分に関するエッジ情報を入力し、これに従って高域レベルを制御する。なお、本実施形態では、エッジ情報は、構造テンソルの固有値に基づく規格化されたエッジの大きさで、それと各高域画像との画素ごとの積をとり、さらにその結果に各高域画像の制御係数をかけているものとする。他の例としては、エッジの大きさに閾値を設定して閾値以上をエッジとみなし、エッジ以外の領域に各高域画像の制御係数をかける方法もある。このようにして処理された3枚の高域画像は、拡散フィルタ263e及びウェーブレット逆変換部263fに出力される。
【0038】
次に、レベル3の拡散フィルタ263eは、高域レベル制御部263bからの3枚の高域画像、エッジ検出部263dからのエッジ情報、ウェーブレット変換部263aからの低域画像(LL)をフィルタリングし、レベル3におけるエッジ強調及びスペックル除去が実行された低域画像をウェーブレット逆変換部263fに出力する。
【0039】
高域レベル制御部263bは、ウェーブレット変換部263aから受け取った水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)と、エッジ検出部263dからのエッジ情報とを用いて、高域分解画像データの信号レベルを制御した後、当該高域分解画像データをウェーブレット逆変換部263fへ出力する。
【0040】
ウェーブレット逆変換部263fは、拡散フィルタ263eから入力した高域画像及び低域画像データと、高域レベル制御部263bから入力した高域画像データとを用いて、1枚の画像を再構成する。再構成画像の縦横の長さは、入力画像の2倍となる。
【0041】
レベル3のウェーブレット逆変換部263fから出力された再構成画像は、レベル2の拡散フィルタ262eへと出力される。レベル2においては、このレベル3より出力された再構成画像と、ウェーブレット変換部262aから出力される水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)とを用いて、レベル3と実質的に同様の処理が実行される。また、レベル2のウェーブレット逆変換部262fから出力された再構成画像は、レベル1の拡散フィルタ261eへと出力される。レベル1においては、このレベル2より出力された再構成画像と、ウェーブレット変換部261aから出力される水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)とを用いて、レベル2、3と実質的に同様の処理が実行される。これらの処理の結果、最終的に、エッジ強調及びスペックル除去が効率的に施された画像データが、ウェーブレット逆変換部261fにおいて生成され、スキャンコンバータ25に出力されることになる。
【0042】
スキャンコンバータ25は、合成画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。生成された超音波画像は、モニター14において所定の形態で表示される。
【0043】
次に、本実施形態に係る超音波診断装置の効果を、従来技術と比較しながら説明する。
【0044】
図3は、従来の超音波診断装置が有するスペックル除去機能を説明するための図である。同図に示すように、従来においては、非線形異方性拡散処理の入力として、多重解像度分解した低域画像(LL)、若しくは、より下位の多重解像度分解画像に非線形拡散処理を施した画像を用いている。そのため、非線形異方性拡散処理内部で行われるエッジ検出処理において検出されるエッジはより大局的なエッジが強調されて抽出される傾向にあり、元画像から受ける感覚的なエッジとは必ずしも一致したものにはならない。従って、結果的に得られる画像に違和感が出る場合がある。また、下位の処理が上位のエッジ検出処理に影響を及ぼすため、下位のスペックル除去を効果的に施すことが難しい。
【0045】
これに対し、本実施形態に係る超音波診断装置では、エッジ検出アルゴリズムの入力として、多重解像度解析した高域分解画像データを用いると共に、当該エッジ検出後に実行される拡散処理においては、高域分解画像データより検出されたエッジ情報と低域分解画像データとを用いることで、多重解像度分解と非線形異方性拡散フィルタ処理との相乗効果により、スペックル除去を行う。従って、エッジ検出処理を施す画像が元画像により近い画像になり、より感覚と一致するエッジ検出およびエッジ強調が可能となる。また、同時に下位の非線形異方性拡散処理と上位のエッジ検出処理が切り離されることにより、より効果的に下位のスペックル除去を施すことが可能となる。
【0046】
図4は、スペックル除去機能に用いる入力画像の一例である。図5は、図4に示す画像を入力として、図3に示した従来のスペックル除去機能によって取得されるエッジ情報を示した図である。図6は、図4に示す画像を入力として、図2に示した本実施形態に係るスペックル除去機能によって取得されるエッジ情報を示した図である。図7は、図4に示す画像を入力として、図3に示した従来のスペックル除去機能によって最終的に出力される画像を示した図である。図8は、図4に示す画像を入力として、図2に示した本実施形態に係るスペックル除去機能によって最終的に出力される画像を示した図である。
【0047】
図5と図6とを比較して解るように、本実施形態に係るスペックル除去機能によって取得されるエッジ情報の方が、従来に比して顔部のエッジ強調等がより自然に行われている。また、図7と図8とを比較して解るように、従来に比して、より感覚と一致するエッジ検出およびエッジ強調が可能となり、胎児の顔表面等に出現する比較的大きな構造部位の不自然なエッジ強調を抑制することができる。また、下位の非線形異方性拡散処理において、詳細なエッジ情報を抑制することがなくなるため、より効果的に下位のスペックル除去を施すことが可能となる。従って、胎児の指等の比較的細かな構造部位のエッジを好適に強調することができると共に、スペックルが細かく、組織の境界面がより明瞭なスペックル除去処理を実現することができる。その結果、高画質な診断画像を提供することができ、画像診断の質の向上に寄与することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、二次元画像データ(RAWデータ)に対してスペックル除去処理を実行する例を示した。これに対し、本実施形態に係る超音波診断装置1は、三次元ボリュームデータ(RAWデータ)に対して、スペックル除去処理を実行する場合について説明する。
【0049】
図9は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。図1と比較した場合、ボリュームデータ生成部31をさらに具備する点、及びスペックル除去処理ユニット26がボリュームデータ生成部31からのボリュームデータに対してスペックル処理を行う点が異なる。
【0050】
ボリュームデータ生成部31は、Bモード処理ユニット23から受け取ったBモード画像データを用いて、Bモードボリュームデータを生成する。また、ボリュームデータ生成部31は、ドプラ処理ユニット24から受け取ったドプラモードデータを用いて、ドプラモード画像ボリュームデータを生成する。
【0051】
三次元画像処理部32は、ボリュームデータ生成部31から受け取るボリュームデータ、又はスペックル除去処理ユニット26から受け取るスペックル除去処理されたBモードボリュームデータに対して、ボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を行う。
【0052】
図10(a)、10(b)は、本実施形態に係るスペックル除去機能を説明するための図である。同図に示すように、ボリュームデータの断面のうち、超音波プローブ12を用いて実行される超音波走査の対象領域(超音波走査領域)の中心軸に交差し互いに垂直に交わる2つの面をA面及びB面と定義し、中心軸およびA面・B面に垂直な面をC面と定義する。
【0053】
ボリュームデータ生成部31から受け取るBモードボリュームデータは、A面に平行なm個の平面A、A、・・・Am−1の集合(すなわち、A面に平行な二次元画像データの集合)と捉えることができる。スペックル除去処理部26は、A面に平行な全ての二次元画像データに対して、第1の実施形態で述べたスペックル除去処理を施すことで、当該Bモードボリュームデータに対するスペックル除去処理を実行する。
【0054】
三次元画像処理部32は、スペックル除去処理部26からスペックル除去処理されたBモードボリュームデータを、さらにボリュームデータ生成部31からドプラボリュームデータを受け取り、これらに基づいてボリュームレンダリング等の画像処理を実行する。当該画像処理によって生成された三次元画像データは、スキャンコンバータ25において一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換され、モニター14において所定の形態で表示される。
【0055】
本実施形態に係る超音波診断装置では、Bモードボリュームデータを構成する二次元画像データの全てにスペックル除去処理を施すことで、当該Bモードボリュームデータ全体に対して、第1の実施形態で示したスペックル除去処理を実行することができる。その結果、A面のみならずB面・C面についてもスペックル除去された超音波画像を取得することができる。特に、滑らかさが要求されるC面においては、スペックルが細かく、組織の境界面がより明瞭になり、三次元空間全体で効果的なスペックル除去が実現できる。
【0056】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、三次元画像処理前のBモードボリュームデータに対して、第1の実施形態に係るスペックル除去処理を実行する例を示した。これに対し、本実施形態に係る超音波診断装置1は、三次元画像処理後の画像データに対してスペックル除去処理を実行する場合について説明する。
【0057】
図11は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。図9と比較した場合、スペックル除去処理ユニット26が三次元画像処理部32からの画像データに対してスペックル処理を行う点が異なる。
【0058】
図12は、複数の三次元画像(ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14c)をモニター14に同時に表示する形態の一例を示した図である。
【0059】
スペックル除去処理ユニット26は、三次元画像処理部32から受け取った三次元画像データに対して、例えば第1の実施形態で述べたスペックル処理を実行する。このとき、例えば図12に示す表示形態を採用する場合、ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14cの少なくとも一つの画像にスペックル除去処理をかけることができる。なお、当然ながら、三次元画像処理部32から受け取る三次元画像データは、上記ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14cの例に拘泥されない。例えば、サーフェイスレンダリング(surface rendering)や最大値投影表示など他のレンダリング・再構成処理によって得られる三次元画像データに対しても、本スペックル処理を実行することができる。
【0060】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る超音波診断装置では、異なる信号の流れによるスペックル除去機能について説明する。すなわち、第1乃至第3の実施形態においては、一段下の階層からの出力データ、エッジ検出部からのエッジ情報、高域レベル制御部からの高域画像を入力とし、エッジ強調及びスペックル除去が実行された高域画像、低域画像を生成してウェーブレット逆変換し、一段上の階層に出力する構成であった。これに対し、第4の実施形態に係る超音波診断装置では、最下層以外の各層においては、各階層におけるウェーブレット変換で得られる低域画像(LL)、エッジ検出部からのエッジ情報、構造テンソル/拡散テンソル計算部において計算された拡散テンソルの各要素を入力とし、エッジ強調及びスペックル除去が実行された低域画像を生成し、一段下の階層に出力する構成を採用する。
【0061】
なお、第1乃至第3の実施形態において示したスペックル除去機能と、当該第4の実施形態に係るスペックル除去機能とのいずれを採用するかは、例えば診断対象を基準として選択される。また、以下の説明においては、二次元画像データ(RAWデータ)に対してスペックル除去処理を実行する場合を例とする。しかしながら、第2、第3の実施形態において説明したとおり、三次元ボリュームデータ(RAWデータ)、RAWデータを用いた画像処理後の画像データを用いることも可能である。
【0062】
図13は、本実施形態に係るスペックル除去処理の流れを示した図である。同図に示すように、まず、レベル1のウェーブレット変換部261aは、Bモード処理ユニット23から入力した画像データ(RAWデータ)を多重解像度分解する。多重解像度分解の結果、分解後の画像データは、分解前に比べ縦横の長さが半分の低域画像(LL)、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)に分解される。分解された画像データのうち、低域画像(LL)は拡散フィルタ261eに、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)はレベル1の高域レベル制御部261b及び構造テンソル/拡散テンソル計算部261cに、それぞれ出力される。
【0063】
次に、レベル1の構造テンソル/拡散テンソル計算部261cは、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)を用いて、構造テンソル、拡散テンソルを計算する。エッジ検出部2631は、構造テンソル/拡散テンソル計算部261cにおいて計算された構造テンソルの各要素から、エッジの大きさ(エッジ情報)を計算する。計算されたエッジ情報は、拡散フィルタ261eに出力される。また、レベル1の高域レベル制御部261bは、水平方向高域画像(LH)、垂直方向高域画像(HL)、対角線方向高域画像(HH)、及びこれら3成分に関するエッジ情報を入力し、これに従って高域レベルを制御する。
【0064】
次に、レベル1の拡散フィルタ261eは、構造テンソル/拡散テンソル計算部において計算された拡散テンソルの各要素、エッジ検出部261dからのエッジ情報を用いて、ウェーブレット変換部261aから入力された低域画像(LL)をフィルタリングし、レベル1におけるエッジ強調及びスペックル除去が実行された低域画像をレベル2のウェーブレット変換部262aに出力する。
【0065】
レベル2においては、レベル1から出力された低域画像を用いて、レベル1と同様の処理が実行される。また、レベル3では、レベル2から出力された低域画像を用いて、第1の実施形態で説明したレベル3での処理と同様の処理が実行される。
【0066】
レベル3のウェーブレット逆変換部263fは、拡散フィルタ263eから入力した低域画像データと、高域レベル制御部263bから入力した高域画像データとを用いて、1枚の画像を再構成する。再構成画像の縦横の長さは、入力画像の2倍となる。
【0067】
レベル3のウェーブレット逆変換部263fから出力された再構成画像は、レベル2のウェーブレット逆変換部262fへと出力される。ウェーブレット逆変換部262fは、ウェーブレット逆変換部263fから入力した再構成画像と、高域レベル制御部262bから入力した高域画像データとを用いて、1枚の画像を再構成する。さらに、ウェーブレット逆変換部261fは、ウェーブレット逆変換部262fから入力した再構成画像と、高域レベル制御部261bから入力した高域画像データとを用いて、1枚の画像を再構成する。これらの処理の結果、最終的に、エッジ強調及びスペックル除去が効率的に施された画像データが、ウェーブレット逆変換部261fにおいて生成され、スキャンコンバータ25に出力されることになる。
【0068】
スキャンコンバータ25は、合成画像データを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。生成された超音波画像は、モニター14において所定の形態で表示される。
【0069】
以上述べた構成によっても、効果的にスペックル除去を施すことが可能となる。その結果、比較的細かな構造部位のエッジを好適に強調することができると共に、スペックルが細かく、組織の境界面がより明瞭なスペックル除去処理を実現することができる。
【0070】
なお、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0071】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0072】
(2)上記第2の実施形態においては、スペックル除去処理を行う断面を、超音波走査領域の中心軸に交差する面とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、三次元空間の任意の断面にスペックル除去処理を行うことができる。
【0073】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…スキャンコンバータ、26…スペックル除去処理ユニット、28…制御プロセッサ、29…内部記憶部、30…インタフェース部、31…ボリュームデータ生成部、32…三次元画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の所定の領域に対してBモードによる超音波送受信を実行し、超音波画像データを発生するデータ発生ユニットと、
前記超音波画像データを階層的に多重解像度分解し、第1レベルから第nレベル(ただし、nは2以上の自然数)の低域分解画像データ及び第1レベルから第nレベルの高域分解画像データを得る分解ユニットと、
前記各階層における前記高域分解画像データを用いてフィルタ係数を計算し、当該フィルタ係数を用いて、一段下の階層からの出力データ又は前記低域分解画像データに非線形異方性拡散フィルタを施すと共に、前記高域分解画像データから、信号のエッジ情報を前記階層毎に生成するフィルタリングユニットと、
前記各階層の前記エッジ情報に基づいて、前記高域分解画像データの信号レベルを前記階層毎に制御する高域レベル制御ユニットと、
前記フィルタリングユニットの出力データ又は一段下の階層からの出力データと、前記高域レベル制御ユニットの出力データとを階層的に多重解像度合成することで、超音波画像データを取得する合成ユニットと、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記多重解像度分解はウェーブレット変換であり、前記多重解像度合成はウェーブレット逆変換である請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記多重解像度分解及び前記多重解像度合成は、ラプラシアン・ピラミッド法である請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記超音波画像データは、スキャンコンバージョン処理前のRAWデータである請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記超音波画像データはボリュームデータであり、
前記分解ユニットは、前記ボリュームデータを構成する複数の二次元超音波画像データのそれぞれに対して、前記多重解像度分解を実行する請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記超音波画像データはボリュームデータであり、
前記分解ユニットは、前記ボリュームデータを用いて生成された三次元画像データに対して、前記多重解像度分解を実行する請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
被検体の所定の領域に対してBモードによる超音波送受信を実行することで取得された超音波画像データを階層的に多重解像度分解し、第1レベルから第nレベル(ただし、nは2以上の自然数)の低域分解画像データ及び第1レベルから第nレベルの高域分解画像データを得る分解ユニットと、
前記各階層における前記高域分解画像データを用いてフィルタ係数を計算し、当該フィルタ係数を用いて、一段下の階層からの出力データ又は前記低域分解画像データに非線形異方性拡散フィルタを施すと共に、前記高域分解画像データから、信号のエッジ情報を前記階層毎に生成するフィルタリングユニットと、
前記各階層の前記エッジ情報に基づいて、前記高域分解画像データの信号レベルを前記階層毎に制御する高域レベル制御ユニットと、
前記フィルタリングユニットの出力データ又は一段下の階層からの出力データと、前記高域レベル制御ユニットの出力データとを階層的に多重解像度合成することで、超音波画像データを取得する合成ユニットと、
を具備する超音波画像処理装置。
【請求項8】
前記多重解像度分解はウェーブレット変換であり、前記多重解像度合成はウェーブレット逆変換である請求項7記載の超音波画像処理装置。
【請求項9】
前記多重解像度分解及び前記多重解像度合成は、ラプラシアン・ピラミッド法である請求項7記載の超音波画像処理装置。
【請求項10】
前記超音波画像データは、スキャンコンバージョン処理前のRAWデータである請求項7乃至9のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項11】
前記超音波画像データはボリュームデータであり、
前記分解ユニットは、前記ボリュームデータを構成する複数の二次元超音波画像データのそれぞれに対して、前記多重解像度分解を実行する請求項7乃至10のうちいずれか一項載の超音波画像処理装置。
【請求項12】
前記超音波画像データはボリュームデータであり、
前記分解ユニットは、前記ボリュームデータを用いて生成された三次元画像データに対して、前記多重解像度分解を実行する請求項7乃至10のうちいずれか一項記載の超音波画像処理装置。
【請求項13】
コンピュータに、
被検体の所定の領域に対してBモードによる超音波送受信を実行させることで取得された超音波画像データを階層的に多重解像度分解させ、第1レベルから第nレベル(ただし、nは2以上の自然数)の低域分解画像データ及び第1レベルから第nレベルの高域分解画像データを取得させる分解機能と、
前記各階層における前記高域分解画像データを用いてフィルタ係数を計算させ、当該フィルタ係数を用いて、一段下の階層からの出力データ又は前記低域分解画像データに非線形異方性拡散フィルタを施すと共に、前記高域分解画像データから、信号のエッジ情報を前記階層毎に生成させるフィルタリング機能と、
前記各階層の前記エッジ情報に基づいて、前記高域分解画像データの信号レベルを前記階層毎に制御させる高域レベル制御機能と、
前記フィルタリングユニットの出力データ又は一段下の階層からの出力データと、前記高域レベル制御ユニットの出力データとを階層的に多重解像度合成させることで、超音波画像データを取得させる合成機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−50816(P2012−50816A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172357(P2011−172357)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】