超音波診断装置及び超音波診断プログラム
【課題】輝度に関する最大値保持演算により生じる画像全体の平均輝度の上昇を補正し、高品質な輝度値保持画像を提示できる超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】被検体Pからのエコー信号を基に生成された複数のBモード画像を使用して、輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する超音波診断装置10において、前記最大値保持演算の実行時間に応じたゲイン補正値を指定するゲイン補正テーブルを記憶した内部記憶装置29と、前記ゲイン補正テーブルにより指定された前記ゲイン補正値に応じてゲインを補正する画像処理回路25cとを具備する。
【解決手段】被検体Pからのエコー信号を基に生成された複数のBモード画像を使用して、輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する超音波診断装置10において、前記最大値保持演算の実行時間に応じたゲイン補正値を指定するゲイン補正テーブルを記憶した内部記憶装置29と、前記ゲイン補正テーブルにより指定された前記ゲイン補正値に応じてゲインを補正する画像処理回路25cとを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波造影剤を用いて行うコントラスト造影法において、毛細血管レベルの微小血流環流と毛細血管より早い血管血流の微細構造とを、診断情報として提示することが可能な超音波診断装置及び超音波診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを体表に当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きがリアルタイム表示で得られ、またX線、CT、MRI等の診断機器に比べてシステムの規模が小さく、ベッドサイドに移動していっての検査も容易に行え、更にX線等のように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用できる、などの特徴を有している。
【0003】
ところで近年、静脈投与型の超音波造影剤が製品化され、コントラスト造影が行われるようになってきている。このコントラスト造影は、静脈から超音波造影剤を注入し、血流信号を増強して心臓、肝臓、腎臓などにおける血流動態の評価を行うものである。
【0004】
多くの造影剤は、微小気泡(マイクロバブル)が反射源として機能するものである。気泡というデリケートな基材の性質上、超音波の照射音圧が通常の診断レベルであっても、その機械的作用により気泡が壊れ、スキャン断面からの信号強度が低下する。
【0005】
したがって、還流の動的な様子をリアルタイムで観察するためには、照射音圧を低くするなど、スキャンによる気泡の崩壊を低減させることが必要となる。また、低音圧の超音波送信による画像化は、信号/ノイズ比(以下、「S/N比」と称する。)が低下してしまうため、それを補うための種々の信号処理法が考案されている。
【0006】
さらに、気泡が崩壊するという特徴を生かし、以下のような手法も考案されている。すなわち、(a)低音圧照射下でスキャン面に充満していく気泡の動態を観察し、(b)照射音圧を高音圧に切り替えてスキャン断面内(厳密には照射体積内)の気泡を崩壊させ、(c)再び照射音圧を低音圧に切り替えてスキャン断面内に流入していく気泡の様子を観察する手法である。この種法はreplenishment(再環流)法と呼ばれている。
【0007】
また、複数のフレーム画像を使用して輝度に関する最大値保持演算(以下、「輝度値保持演算」とする。)を実行し、微細血管を効果的に表示する手法が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。この輝度値保持演算を行えば、それぞれのフレーム画像に存在する気泡からの信号が連なり合い、連続した血管構造を表示することができる。
【0008】
しかしながら、輝度値保持演算の性質上、その実行時間が長くなると、組織からのエコオー信号の影響により画像全体の平均輝度が上がり過ぎ、生体像が見え難くなるという問題がある。さらに、それぞれのフレーム画像では目立たなかったシステムノイズが輝度値保持されることで、画像全体の平均輝度が上昇し、微細血管が見え難くなるという問題もある。したがって、輝度値保持演算を行う場合、ゲインを最適化して画像全体の平均輝度を補正する必要がある。
【0009】
ゲインを最適化する技術としては、システムノイズと組織からの信号とに基づいてゲインを調整する技術(例えば、特許文献2参照。)や、コントラスト造影時に2つの異なる画像に基づいて2つのゲインを算出する技術(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
【特許文献1】特開2004−321688号公報
【特許文献2】US6398733
【特許文献3】特開2004−24876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術は、通常のスキャン画像の輝度を最適化するためには有効であるが、輝度値保持演算により生じる画像全体の平均輝度を補正することはできない。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コントラスト造影時に、輝度に関する最大値保持演算により生じる画像全体の平均輝度の上昇を補正して、高品質な輝度値保持画像を提示できる超音波診断装置及び超音波診断プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の超音波診断装置及び超音波診断プログラムは次のように構成されている。
【0013】
(1)被検体からのエコー信号を基に生成された複数のBモード画像を使用して、輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する超音波診断装置において、前記最大値保持演算の実行時間に応じてゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、前記ゲイン補正量生成手段により生成された前記ゲイン補正量に応じてゲインを補正するゲイン補正手段とを具備する。
【0014】
(2)(1)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、事前に設定された設定時間に応じてゲイン補正量を生成する。
【0015】
(3)(1)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、実際に最大値保持演算が実行された実行時間に応じてゲイン補正量を生成する。
【0016】
(4)(1)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、前記超音波診断画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成する。
【0017】
(5)造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段により生成された複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成するゲイン補正手段と、前記ゲイン補正手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段とを具備する。
【0018】
(6)造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成するゲイン補正手段と、前記ゲイン補正手段により生成された複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、前記画像処理手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段とを具備する。
【0019】
(7)(5)または(6)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、前記補正輝度値保持画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成する。
【0020】
(8)(6)に記載された超音波診断装置において、前記画像処理手段は、前記最大値保持演算の実行時間が前記設定時間になった時点で、前記最大値保持演算を停止するとともに、それ以前の最大値保持演算をリセットする。
【0021】
(9)超音波診断用プログラムにおいて、造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、前記複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する手段、前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成する手段、前記ゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段として機能させる。
【0022】
(10)超音波診断用プログラムにおいて、造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成する手段、前記ゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成する手段、前記複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段として機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像全体の平均輝度が最適化された高品質な輝度値保持画像を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1〜第4実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成図である。この超音波診断装置10は、超音波プローブ12、入力装置13、モニタ(画像表示手段)14、送受信ユニット(送受信手段)21、Bモード処理ユニット22、ドプラ処理ユニット23、画像生成回路(画像生成手段)、画像メモリ26、制御プロセッサ27、ソフトウェア格納部28、内部記憶装置29、インターフェース部30を備えている。
【0025】
超音波プローブ12は、送受信ユニット21からの駆動電圧により超音波を発生し、被検体Pからの反射エコーを受信する。
【0026】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示を装置本体11に取り込むための各種スイッチ、ボタン、トラックボールマウス、キーボード等を有している。
【0027】
モニタ14は、画像生成回路25からのビデオ信号に基づいて、生体内の生態学的情報、及び血流情報を画像として表示する。
【0028】
送受信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等を有している。パルサ回路は、所定のレート周波数fr(Hz)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生する。遅延回路は、チャンネルごとに超音波をビーム状に収束し、且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を各レートパルスに与える。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ12に駆動電圧を印加する。
【0029】
また、送受信ユニット21は、図示していないプリアンプ回路、A/D変換器、及び加算器等を有している。プリアンプ回路は、超音波プローブ12から取り込まれたエコー信号をチャンネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号をデジタル信号に変換する。加算器は、エコー信号に対して受信指向性を決定する遅延時間を与えて加算処理を行う。
【0030】
Bモード処理ユニット22は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成回路25に送信され、反射エコーの強度を輝度で表現したBモード画像としてモニタ14に表示される。
【0031】
ドプラ処理ユニット23は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流信号は、画像生成回路25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらを組み合わせた画像としてモニタ14にカラー表示される。
【0032】
画像生成回路25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。
【0033】
図2は同実施形態に係る画像生成回路25の構成図である。この画像生成回路25は、信号処理回路25a、スキャンコンバータ25b、及び画像処理回路(画像処理手段、ゲイン補正手段)25cを有している。
【0034】
信号処理回路25aは、超音波スキャンの走査線信号列のレベルで画像を決定するようなフィルタリングを行う。信号処理回路25aの出力は、スキャンコンバータ25bに送られると同時に、画像メモリ26に保存される。
【0035】
スキャンコンバータ25bは、超音波スキャンの走査線信号列から、テレビに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する。スキャンコンバータ25bの出力は、画像データとして画像処理回路25cに送られる。
【0036】
画像処理回路25cは、この画像データに対して、輝度やコントラストの調整、空間フィルタ等の画像処理、種々の設定パラメータの文字情報や目盛等との合成等を実行し、ビデオ信号としてモニタ14に出力する。また、画像処理回路25cは、画像メモリ26に保存されている画像データを読み込み、輝度に関する最大値保持演算を実行する。さらに、画像処理回路25cは、ゲイン補正テーブルにより指定されるゲイン補正値(ゲイン補正量)を用いて、画像データをゲイン補正する。ただし、第1実施形態、及び後述する第2実施形態においては、Bモード処理ユニット22が画像データをゲイン補正しても構わない。
【0037】
画像メモリ26は、信号処理回路25aから受信した画像データを格納する記憶メモリからなる。この画像データは、例えば診断後に操作者が呼び出すことが可能となっており、静止画的、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。
【0038】
内部記憶装置29は、後述の最大値輝度保持処理、ゲイン補正処理、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラムや、ゲイン補正テーブル、診断情報、診断プロトコル、送受信条件、その他のデータ群が保管されている。
【0039】
制御プロセッサ27は、情報処理装置としての機能を持ち、超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。制御プロセッサ27は、内部記憶装置29から後述する診断画像の生成・表示等を実行するための制御プログラムを読み出してソフトウェア格納部28上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0040】
インターフェース部30は、入力装置13、ネットワーク、図示しない新たな外部記憶装置に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部39によって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0041】
(スキャンシーケンス)
次に、図3を参照しながら、超音波診断装置10が実行する基本的なスキャンシーケンスについて説明する。このスキャンシーケンスは、造影剤を利用したコントラスト造影において、造影剤気泡を崩壊させるための高音圧送信と、造影剤気泡をなるべく崩壊させないで診断画像を取得するための低音圧送信とを交互に実行するものである。なお、造影剤としては、低音圧の超音波を送信しても破壊されずにハーモニック信号を放出し、長時間の映像化が可能な所謂「次世代造影剤」が好ましい。
【0042】
図3は同実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図であり、横軸は時間、縦軸は送信による造影剤気泡への機械的作用の度合いを表している。また、各ラインは1フレームに関する超音波スキャンを表し、各ラインの長さは各フレームの送信音圧の機械的作用強度を表している。
【0043】
すなわち、各ラインは、その縦方向の長さが長いほど、送信周波数が低く、あるいは送信駆動電圧が大きく、もしくはその複合として設定された送信条件に基づく1フレームについての超音波走査を表す。したがって、長いラインは高音圧照射によるスキャンに対応し、短いラインは低音圧照射によるスキャンに対応している。
【0044】
(診断画像の生成・表示)
次に、図4〜図7を参照しながら、超音波診断装置10が実行する診断画像の生成・表示手法について説明する。図4は同実施形態に係る入力装置13の概略図、図5は同実施形態に係るフレーム画像の概略図、図6は同実施形態に係るゲイン補正前における輝度値保持画像の概略図、図7は同実施形態に係るゲイン補正後における輝度値保持画像の概略図である。なお、図5〜図7における点や斜線で示した部分は輝度が高い領域である。
【0045】
図4に示す入力装置13のスイッチ13a、13bからの指示により、高音圧での超音波送信(以下、「高音圧送信」とする)の実行時間TH(以下、「高音圧期間」)、及び低音圧での超音波送信(以下、「低音圧送信」とする)の実行時間TL(以下、「低音圧期間」)がそれぞれ設定される。
【0046】
そして、図4に示す入力装置13の開始スイッチ13cの操作により、スキャンシーケンスが開始される。このスキャンシーケンスでは、最初に実行される高音圧送信の機械的作用により血管内の造影剤気泡が破壊され、その後に実行される低音圧送信により血管内を環流する造影剤気泡が画像化される。
【0047】
また、低音圧送信が開始されると、輝度に関する最大値保持演算(以下、「輝度値保持演算」とする)が開始され、微細な血管分岐に造影剤気泡が流入する様子が輝度値保持画像としてモニタ14に表示される。
【0048】
なお、輝度値保持演算とは、複数のフレーム画像(図5)において、空間的に対応する画素の中から最大輝度値Pmax(x、y)を選択し、1つの画像、すなわち輝度値保持画像(図6)を生成する演算である。
【0049】
ところで、従来技術の欄でも述べたが、低音圧送信により生成された図5に示すようなフレーム画像をそのまま使用して輝度値保持演算を実行すると、図6に示すように輝度値保持画像の平均輝度が上がり過ぎるという問題がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、輝度値保持画像を生成するにあたり、各フレーム画像をゲイン補正して、各フレーム画像の平均輝度を事前に低下させる。これにより、輝度値保持画像の平均輝度は、図7に示すように診断に適した輝度となる。
【0051】
ゲイン補正では、内部記憶装置29に記憶させておいたゲイン補正テーブルが使用される。このゲイン補正テーブルは、輝度値保持演算の実行時間とゲイン補正値とを1対1に対応させる曲線であり、輝度値保持演算の実行時間を設定することで、それに対応したゲイン補正値が決定するようになっている。
【0052】
すなわち、スイッチ13bの操作により輝度値保持演算の実行時間、すなわち低音圧期間TLが設定されると、ゲイン補正テーブルから低音圧期間TLに対応するゲイン補正値が指定され、このゲイン補正値に応じて各フレーム画像のゲイン補正が実行される。
【0053】
(ゲイン補正機能)
次に、図8を参照しながら、超音波診断装置10が実行するゲイン補正処理について説明する。図8は同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、操作者によるスイッチ13a、13bの操作により、高音圧期間THが0.5秒に、低音圧期間TLが2秒にそれぞれ設定される(ステップS0)。当該設定後、内部記憶装置29に記憶されているゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmが指定される(ステップS1)。当該ゲイン補正値指定後、操作者による開始スイッチ13cからの指示により、前述のスキャンシーケンスが開始される(ステップS2)。
【0055】
このスキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS3)。そして、高音圧送信が0.5秒間実行されたら(ステップS4)、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS5)、これと同時に、それ以前の輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS6)。
【0056】
そして、各フレーム画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS7)、その後、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始される(ステップS8)。そして、低音圧送信が2秒間実行されたら(ステップS9)、輝度値保持演算が停止され(ステップS10)、これと同時にスキャンシーケンスが自動的に終了する(ステップS11)。すなわち、輝度値保持演算は、低音圧送信が終了するまで実施される。
【0057】
なお、ステップS6〜S10の過程において、低音圧送信により得られ、且つ輝度値保持演算が実行された輝度値保持画像は、再環流画像としてリアルタイムでモニタ14に動画的に表示される。
【0058】
(表示画像の遷移)
高音圧送信が開始されると、その機械的作用により血管内の造影剤気泡は破壊される。これにより、モニタ14から組織像が消失し、画像全体が真っ暗になる。そして、低音圧送信が開始されると、血管内に造影剤気泡が再環流し、その様子が輝度値保持画像としてモニタ14に表示される。
【0059】
低音圧送信の開始直後、輝度値保持画像の平均輝度は、診断に最適な輝度よりもかなり低くなっている。これは、輝度値保持画像の平均輝度が上がり過ぎないように、事前にゲイン補正がなされているためである。
【0060】
しかしながら、この輝度値保持画像の平均輝度は、輝度値保持演算の実行回数が増えるにつれて徐々に上昇し、低音圧送信が開始されてから2秒経過したときに診断に最適な輝度となる。
【0061】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、輝度値保持画像における画像全体の平均輝度が診断に最適な輝度となるように、低音圧送信により生成された各フレーム画像を事前にゲイン補正している。そのため、これらのフレーム画像を使用して輝度値保持演算を行っても、輝度値保持画像全体の平均輝度が上がり過ぎることがなく、微細血管が鮮明に表示される良好な診断画像が生成される。
【0062】
(第2実施形態)
次に、図9を用いて本発明の第2実施形態を説明する。図9は本発明の第2実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
本実施形態では、まず操作者によるスイッチ13a、13bからの指示により、高音圧期間THが0.5秒に、低音圧期間TLが2秒にそれぞれ設定される(ステップS20)。
【0064】
当該設定後、内部記憶装置29に記憶されているゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに対応するゲイン補正値Gmが指定される(ステップS21)。当該ゲイン補正値指定後、操作者による開始スイッチ13cの操作により、本スキャンシーケンスが開始される(ステップS22)。
【0065】
本スキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS23)。そして、高音圧送信が0.5秒実行されたら(ステップS24)、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS25)、これと同時に輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS26)。
【0066】
そして、各フレーム画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS27)、その後、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始される(ステップS28)。そして、操作者による停止スイッチ13dの操作により輝度値保持演算が停止し(ステップS29)、これと同時にスキャンシーケンスが終了する(ステップS30)。すなわち、輝度値保持演算は、低音圧送信が終了するまで実施される。
【0067】
なお、ステップS26〜S29の過程において、低音圧送信により得られ、且つ輝度値保持演算が実行された輝度値保持画像が、再環流画像としてリアルタイムでモニタ14に動画的に表示される。
【0068】
すなわち、本実施形態に係るゲイン補正方法において、低音圧期間TLは、ゲイン補正値Gmを指定するためのみに用いられ、低音圧送信は操作者が停止スイッチ13dを操作することで終了する。
【0069】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、操作者が停止スイッチ13dを押すことで、低音圧送信が終了するようになっている。すなわち、低音圧期間TLが終了したときに、超音波診断装置10が自動的に低音圧送信を停止することがない。
【0070】
そのため、当初予定していた低音圧期間TLが終了した時点で、輝度値保持画像に十分な血管構造が現れていない場合、操作者の判断により低音圧送信の停止を遅らせることができる。逆に、当初予定していた低音圧期間TLが終了する前に、輝度値保持画像に十分な血管構造が現れた場合、操作者の判断により低音圧送信の停止を早めることもできる。従って、操作者にとって最適な輝度値保持画像を取得することができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、図10を用いて本発明の第3実施形態を説明する。図10は本発明の第3実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
本実施形態では、まず操作者によるスイッチ13aからの指示により、高音圧期間THが0.5秒に設定される(ステップS40)。当該設定後、操作者による開始スイッチ13cの操作により、本スキャンシーケンスが開始される(ステップS41)。
【0073】
本スキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS42)。そして、高音圧送信が0.5秒実行されたら(ステップS43)、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS44)、これと同時に輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS45)。
【0074】
そして、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始され(ステップS46)、操作者による停止スイッチ13dの操作により輝度値保持演算が停止され(ステップS47)、これと同時にスキャンシーケンス(低音圧送信)が終了する(ステップS48)。すなわち、輝度値保持演算は、低音圧送信の終了と同時に停止する。
【0075】
そして、スキャンシーケンスの終了と同時に、低音圧送信が実行されていた低音圧期間TLが算出され、内部記憶装置29に記憶されているゲイン補正テーブルから、この低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmが指定される(ステップS49)。そして、輝度値保持画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS50)、ゲイン補正された輝度値保持画像が静止画的にモニタ14に表示される。
【0076】
従って、本実施形態において、輝度値保持画像の平均輝度は、低温圧送信が開始されてから2秒経過したときに最大輝度となり、その後のゲイン補正により診断に最適な輝度となる。
【0077】
すなわち、本実施形態に係るゲイン補正方法における低音圧期間TLは、スキャン開始前に設定されるものではなく、スキャン開始後に操作者の経験と感覚により決定される。
【0078】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、操作者が停止スイッチ13dを押すことで、低音圧送信が終了し、その時点までの低音圧送信の実行時間である低音圧期間TLが算出されるようになっている。すなわち、事前に低音圧期間TLを入力しておく必要がない。そのため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0079】
(第4実施形態)
次に、図11〜図14を用いて本発明の第4実施形態を説明する。図11は本発明の第4実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図、図12は同実施形態に係るホワイトノイズだけを表示させた状態で輝度値保持演算を実行した場合における輝度値保持画像の平均輝度の時間変化を示すグラフ、図13は同実施形態に係るゲイン補正テーブルを示すグラフである。
【0080】
本実施形態は、組織からのエコー信号が輝度値保持画像にあまり影響しない場合、すなわち輝度値保持画像からホワイトノイズの影響のみを取り除くだけで、微細血管が鮮明に表示される輝度値保持画像が得られるような場合に有効な手法である。
【0081】
(スキャンシーケンス)
本実施形態に係るスキャンシーケンスは、図11に示すように、前記スキャンシーケンスにおける低音圧送信の直前に無送信期間TNを組み込んだものである。この無送信期間TNは、超音波プローブ12による受信のみが実施され、これにより音波診断装置10に固有のホワイトノイズ等が測定される。
【0082】
ホワイトノイズは、各フレーム画像上においてランダムに発生するため、輝度値保持演算を実施すると、図12に示すように輝度値保持画像の平均輝度が時間の経過に伴って徐々に上昇する。そのため、ゲイン補正テーブルとして、図13に示すようにゲイン補正値が時間の経過に伴って負に向かって大きくなる曲線を用いて、ホワイトノイズにより生じる輝度値保持画像の平均輝度の上昇を相殺する。
【0083】
ところで、ホワイトノイズにより生じる輝度値保持画像の平均輝度の変化は、輝度値保持演算開始時におけるノイズレベルにより割合が異なる。そこで、輝度値保持演算開始時におけるホワイトノイズのレベルと、輝度値保持演算開始時から所定時間後における輝度値保持画像の平均輝度との関係を示す複数のゲイン補正テーブルを事前に内部記憶装置29に記憶させておき、輝度値保持演算開始時におけるホワイトノイズのレベルに応じた最適なゲイン補正テーブルを参照する。
【0084】
(ゲイン補正機能)
次に、図14を参照しながら、超音波診断装置10が実行するゲイン補正処理について説明する。図14は同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
まず操作者によるスイッチ13a、13bからの指示により、高音圧期間THが0.5秒に、低音圧期間TLが2秒にそれぞれ設定される(ステップS60)。当該設定後、操作者による開始スイッチ13cの操作により、本スキャンシーケンスが開始される(ステップS61)。
【0086】
本スキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS62)。そして、高音圧送信が0.5秒間実行されたら(ステップS63)、無送信期間TNだけ超音波送信が停止され、無送信状態で受信のみが行われる(ステップS64)。
【0087】
当該受信後、得られたエコー信号に基づいてノイズレベルが算出され、内部記憶装置29に記憶されている複数のゲイン補正テーブルの中から、ノイズレベルに最適なゲイン補正テーブルが選定される。そして、選定されたゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmが指定される(ステップS65)。
【0088】
当該ゲイン補正値指定後、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS66)、これと同時に、それ以前の輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS67)。そして、各フレーム画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS68)、その後、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始される(ステップS69)。
【0089】
そして、低音圧送信と輝度値保持演算が2秒実行されたら(ステップS70)、輝度値保持演算が停止され(ステップS71)、これと同時にスキャンシーケンスが自動的に終了する(ステップS72)。
【0090】
すなわち、本実施形態では、超音波送信が停止した無送信状態でのエコー信号からホワイトノイズ等の装置固有のノイズレベルを測定し、ホワイトノイズのレベルに応じたゲイン補正テーブルを選定する。そして、選定されたゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmを指定する。
【0091】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、低音圧送信を実行する前に、無送信で受信のみを実施して装置固有のホワイトノイズのレベルを測定し、ホワイトノイズのレベルに応じたゲイン補正テーブルを参照するようにしている。
【0092】
そのため、送信条件によりホワイトノイズのレベルが変化しても、ホワイトノイズにより生じる輝度値保持画像の平均輝度の変化が正確に予測されるから、送信条件の影響を受けることなく、微細血管が鮮明に表示される診断画像を得ることが出来る。
【0093】
なお、本実施形態では、第1実施形態に係るゲイン補正処理の流れに、ホワイトノイズのレベル測定を組み込んでいるが、これに限定されるものではなく、例えば第2〜第3実施形態に組み込んでも良い。
【0094】
本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成図。
【図2】同実施形態に係る画像生成回路の構成図。
【図3】同実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図。
【図4】同実施形態に係る入力装置の概略図。
【図5】同実施形態に係るフレーム画像の概略図。
【図6】同実施形態に係るゲイン補正前における輝度値保持画像の概略図。
【図7】同実施形態に係るゲイン補正後における輝度値保持画像の概略図。
【図8】同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の第3実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の第4実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図。
【図12】同実施形態に係るホワイトノイズだけを表示させた状態で輝度値保持演算を実行した場合における輝度値保持画像の平均輝度の時間変化を示すグラフ。
【図13】同実施形態に係るゲイン補正テーブルを示すグラフ。
【図14】同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0096】
10…超音波診断装置、14…モニタ(画像表示手段)、21…送受信ユニット(送受信手段)、25…画像生成回路(画像生成手段)、25c…画像処理回路(画像処理手段、ゲイン補正手段)、29…内部記憶装置(ゲイン補正量生成手段)、Gm…ゲイン補正量、P…被検体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波造影剤を用いて行うコントラスト造影法において、毛細血管レベルの微小血流環流と毛細血管より早い血管血流の微細構造とを、診断情報として提示することが可能な超音波診断装置及び超音波診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを体表に当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きがリアルタイム表示で得られ、またX線、CT、MRI等の診断機器に比べてシステムの規模が小さく、ベッドサイドに移動していっての検査も容易に行え、更にX線等のように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用できる、などの特徴を有している。
【0003】
ところで近年、静脈投与型の超音波造影剤が製品化され、コントラスト造影が行われるようになってきている。このコントラスト造影は、静脈から超音波造影剤を注入し、血流信号を増強して心臓、肝臓、腎臓などにおける血流動態の評価を行うものである。
【0004】
多くの造影剤は、微小気泡(マイクロバブル)が反射源として機能するものである。気泡というデリケートな基材の性質上、超音波の照射音圧が通常の診断レベルであっても、その機械的作用により気泡が壊れ、スキャン断面からの信号強度が低下する。
【0005】
したがって、還流の動的な様子をリアルタイムで観察するためには、照射音圧を低くするなど、スキャンによる気泡の崩壊を低減させることが必要となる。また、低音圧の超音波送信による画像化は、信号/ノイズ比(以下、「S/N比」と称する。)が低下してしまうため、それを補うための種々の信号処理法が考案されている。
【0006】
さらに、気泡が崩壊するという特徴を生かし、以下のような手法も考案されている。すなわち、(a)低音圧照射下でスキャン面に充満していく気泡の動態を観察し、(b)照射音圧を高音圧に切り替えてスキャン断面内(厳密には照射体積内)の気泡を崩壊させ、(c)再び照射音圧を低音圧に切り替えてスキャン断面内に流入していく気泡の様子を観察する手法である。この種法はreplenishment(再環流)法と呼ばれている。
【0007】
また、複数のフレーム画像を使用して輝度に関する最大値保持演算(以下、「輝度値保持演算」とする。)を実行し、微細血管を効果的に表示する手法が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。この輝度値保持演算を行えば、それぞれのフレーム画像に存在する気泡からの信号が連なり合い、連続した血管構造を表示することができる。
【0008】
しかしながら、輝度値保持演算の性質上、その実行時間が長くなると、組織からのエコオー信号の影響により画像全体の平均輝度が上がり過ぎ、生体像が見え難くなるという問題がある。さらに、それぞれのフレーム画像では目立たなかったシステムノイズが輝度値保持されることで、画像全体の平均輝度が上昇し、微細血管が見え難くなるという問題もある。したがって、輝度値保持演算を行う場合、ゲインを最適化して画像全体の平均輝度を補正する必要がある。
【0009】
ゲインを最適化する技術としては、システムノイズと組織からの信号とに基づいてゲインを調整する技術(例えば、特許文献2参照。)や、コントラスト造影時に2つの異なる画像に基づいて2つのゲインを算出する技術(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
【特許文献1】特開2004−321688号公報
【特許文献2】US6398733
【特許文献3】特開2004−24876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術は、通常のスキャン画像の輝度を最適化するためには有効であるが、輝度値保持演算により生じる画像全体の平均輝度を補正することはできない。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コントラスト造影時に、輝度に関する最大値保持演算により生じる画像全体の平均輝度の上昇を補正して、高品質な輝度値保持画像を提示できる超音波診断装置及び超音波診断プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の超音波診断装置及び超音波診断プログラムは次のように構成されている。
【0013】
(1)被検体からのエコー信号を基に生成された複数のBモード画像を使用して、輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する超音波診断装置において、前記最大値保持演算の実行時間に応じてゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、前記ゲイン補正量生成手段により生成された前記ゲイン補正量に応じてゲインを補正するゲイン補正手段とを具備する。
【0014】
(2)(1)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、事前に設定された設定時間に応じてゲイン補正量を生成する。
【0015】
(3)(1)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、実際に最大値保持演算が実行された実行時間に応じてゲイン補正量を生成する。
【0016】
(4)(1)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、前記超音波診断画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成する。
【0017】
(5)造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段により生成された複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成するゲイン補正手段と、前記ゲイン補正手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段とを具備する。
【0018】
(6)造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成するゲイン補正手段と、前記ゲイン補正手段により生成された複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、前記画像処理手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段とを具備する。
【0019】
(7)(5)または(6)に記載された超音波診断装置において、前記ゲイン補正量生成手段は、前記補正輝度値保持画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成する。
【0020】
(8)(6)に記載された超音波診断装置において、前記画像処理手段は、前記最大値保持演算の実行時間が前記設定時間になった時点で、前記最大値保持演算を停止するとともに、それ以前の最大値保持演算をリセットする。
【0021】
(9)超音波診断用プログラムにおいて、造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、前記複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する手段、前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成する手段、前記ゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段として機能させる。
【0022】
(10)超音波診断用プログラムにおいて、造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成する手段、前記ゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成する手段、前記複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段として機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像全体の平均輝度が最適化された高品質な輝度値保持画像を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1〜第4実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成図である。この超音波診断装置10は、超音波プローブ12、入力装置13、モニタ(画像表示手段)14、送受信ユニット(送受信手段)21、Bモード処理ユニット22、ドプラ処理ユニット23、画像生成回路(画像生成手段)、画像メモリ26、制御プロセッサ27、ソフトウェア格納部28、内部記憶装置29、インターフェース部30を備えている。
【0025】
超音波プローブ12は、送受信ユニット21からの駆動電圧により超音波を発生し、被検体Pからの反射エコーを受信する。
【0026】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示を装置本体11に取り込むための各種スイッチ、ボタン、トラックボールマウス、キーボード等を有している。
【0027】
モニタ14は、画像生成回路25からのビデオ信号に基づいて、生体内の生態学的情報、及び血流情報を画像として表示する。
【0028】
送受信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等を有している。パルサ回路は、所定のレート周波数fr(Hz)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生する。遅延回路は、チャンネルごとに超音波をビーム状に収束し、且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を各レートパルスに与える。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ12に駆動電圧を印加する。
【0029】
また、送受信ユニット21は、図示していないプリアンプ回路、A/D変換器、及び加算器等を有している。プリアンプ回路は、超音波プローブ12から取り込まれたエコー信号をチャンネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号をデジタル信号に変換する。加算器は、エコー信号に対して受信指向性を決定する遅延時間を与えて加算処理を行う。
【0030】
Bモード処理ユニット22は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成回路25に送信され、反射エコーの強度を輝度で表現したBモード画像としてモニタ14に表示される。
【0031】
ドプラ処理ユニット23は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流信号は、画像生成回路25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらを組み合わせた画像としてモニタ14にカラー表示される。
【0032】
画像生成回路25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。
【0033】
図2は同実施形態に係る画像生成回路25の構成図である。この画像生成回路25は、信号処理回路25a、スキャンコンバータ25b、及び画像処理回路(画像処理手段、ゲイン補正手段)25cを有している。
【0034】
信号処理回路25aは、超音波スキャンの走査線信号列のレベルで画像を決定するようなフィルタリングを行う。信号処理回路25aの出力は、スキャンコンバータ25bに送られると同時に、画像メモリ26に保存される。
【0035】
スキャンコンバータ25bは、超音波スキャンの走査線信号列から、テレビに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する。スキャンコンバータ25bの出力は、画像データとして画像処理回路25cに送られる。
【0036】
画像処理回路25cは、この画像データに対して、輝度やコントラストの調整、空間フィルタ等の画像処理、種々の設定パラメータの文字情報や目盛等との合成等を実行し、ビデオ信号としてモニタ14に出力する。また、画像処理回路25cは、画像メモリ26に保存されている画像データを読み込み、輝度に関する最大値保持演算を実行する。さらに、画像処理回路25cは、ゲイン補正テーブルにより指定されるゲイン補正値(ゲイン補正量)を用いて、画像データをゲイン補正する。ただし、第1実施形態、及び後述する第2実施形態においては、Bモード処理ユニット22が画像データをゲイン補正しても構わない。
【0037】
画像メモリ26は、信号処理回路25aから受信した画像データを格納する記憶メモリからなる。この画像データは、例えば診断後に操作者が呼び出すことが可能となっており、静止画的、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。
【0038】
内部記憶装置29は、後述の最大値輝度保持処理、ゲイン補正処理、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラムや、ゲイン補正テーブル、診断情報、診断プロトコル、送受信条件、その他のデータ群が保管されている。
【0039】
制御プロセッサ27は、情報処理装置としての機能を持ち、超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。制御プロセッサ27は、内部記憶装置29から後述する診断画像の生成・表示等を実行するための制御プログラムを読み出してソフトウェア格納部28上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0040】
インターフェース部30は、入力装置13、ネットワーク、図示しない新たな外部記憶装置に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部39によって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0041】
(スキャンシーケンス)
次に、図3を参照しながら、超音波診断装置10が実行する基本的なスキャンシーケンスについて説明する。このスキャンシーケンスは、造影剤を利用したコントラスト造影において、造影剤気泡を崩壊させるための高音圧送信と、造影剤気泡をなるべく崩壊させないで診断画像を取得するための低音圧送信とを交互に実行するものである。なお、造影剤としては、低音圧の超音波を送信しても破壊されずにハーモニック信号を放出し、長時間の映像化が可能な所謂「次世代造影剤」が好ましい。
【0042】
図3は同実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図であり、横軸は時間、縦軸は送信による造影剤気泡への機械的作用の度合いを表している。また、各ラインは1フレームに関する超音波スキャンを表し、各ラインの長さは各フレームの送信音圧の機械的作用強度を表している。
【0043】
すなわち、各ラインは、その縦方向の長さが長いほど、送信周波数が低く、あるいは送信駆動電圧が大きく、もしくはその複合として設定された送信条件に基づく1フレームについての超音波走査を表す。したがって、長いラインは高音圧照射によるスキャンに対応し、短いラインは低音圧照射によるスキャンに対応している。
【0044】
(診断画像の生成・表示)
次に、図4〜図7を参照しながら、超音波診断装置10が実行する診断画像の生成・表示手法について説明する。図4は同実施形態に係る入力装置13の概略図、図5は同実施形態に係るフレーム画像の概略図、図6は同実施形態に係るゲイン補正前における輝度値保持画像の概略図、図7は同実施形態に係るゲイン補正後における輝度値保持画像の概略図である。なお、図5〜図7における点や斜線で示した部分は輝度が高い領域である。
【0045】
図4に示す入力装置13のスイッチ13a、13bからの指示により、高音圧での超音波送信(以下、「高音圧送信」とする)の実行時間TH(以下、「高音圧期間」)、及び低音圧での超音波送信(以下、「低音圧送信」とする)の実行時間TL(以下、「低音圧期間」)がそれぞれ設定される。
【0046】
そして、図4に示す入力装置13の開始スイッチ13cの操作により、スキャンシーケンスが開始される。このスキャンシーケンスでは、最初に実行される高音圧送信の機械的作用により血管内の造影剤気泡が破壊され、その後に実行される低音圧送信により血管内を環流する造影剤気泡が画像化される。
【0047】
また、低音圧送信が開始されると、輝度に関する最大値保持演算(以下、「輝度値保持演算」とする)が開始され、微細な血管分岐に造影剤気泡が流入する様子が輝度値保持画像としてモニタ14に表示される。
【0048】
なお、輝度値保持演算とは、複数のフレーム画像(図5)において、空間的に対応する画素の中から最大輝度値Pmax(x、y)を選択し、1つの画像、すなわち輝度値保持画像(図6)を生成する演算である。
【0049】
ところで、従来技術の欄でも述べたが、低音圧送信により生成された図5に示すようなフレーム画像をそのまま使用して輝度値保持演算を実行すると、図6に示すように輝度値保持画像の平均輝度が上がり過ぎるという問題がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、輝度値保持画像を生成するにあたり、各フレーム画像をゲイン補正して、各フレーム画像の平均輝度を事前に低下させる。これにより、輝度値保持画像の平均輝度は、図7に示すように診断に適した輝度となる。
【0051】
ゲイン補正では、内部記憶装置29に記憶させておいたゲイン補正テーブルが使用される。このゲイン補正テーブルは、輝度値保持演算の実行時間とゲイン補正値とを1対1に対応させる曲線であり、輝度値保持演算の実行時間を設定することで、それに対応したゲイン補正値が決定するようになっている。
【0052】
すなわち、スイッチ13bの操作により輝度値保持演算の実行時間、すなわち低音圧期間TLが設定されると、ゲイン補正テーブルから低音圧期間TLに対応するゲイン補正値が指定され、このゲイン補正値に応じて各フレーム画像のゲイン補正が実行される。
【0053】
(ゲイン補正機能)
次に、図8を参照しながら、超音波診断装置10が実行するゲイン補正処理について説明する。図8は同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、操作者によるスイッチ13a、13bの操作により、高音圧期間THが0.5秒に、低音圧期間TLが2秒にそれぞれ設定される(ステップS0)。当該設定後、内部記憶装置29に記憶されているゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmが指定される(ステップS1)。当該ゲイン補正値指定後、操作者による開始スイッチ13cからの指示により、前述のスキャンシーケンスが開始される(ステップS2)。
【0055】
このスキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS3)。そして、高音圧送信が0.5秒間実行されたら(ステップS4)、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS5)、これと同時に、それ以前の輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS6)。
【0056】
そして、各フレーム画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS7)、その後、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始される(ステップS8)。そして、低音圧送信が2秒間実行されたら(ステップS9)、輝度値保持演算が停止され(ステップS10)、これと同時にスキャンシーケンスが自動的に終了する(ステップS11)。すなわち、輝度値保持演算は、低音圧送信が終了するまで実施される。
【0057】
なお、ステップS6〜S10の過程において、低音圧送信により得られ、且つ輝度値保持演算が実行された輝度値保持画像は、再環流画像としてリアルタイムでモニタ14に動画的に表示される。
【0058】
(表示画像の遷移)
高音圧送信が開始されると、その機械的作用により血管内の造影剤気泡は破壊される。これにより、モニタ14から組織像が消失し、画像全体が真っ暗になる。そして、低音圧送信が開始されると、血管内に造影剤気泡が再環流し、その様子が輝度値保持画像としてモニタ14に表示される。
【0059】
低音圧送信の開始直後、輝度値保持画像の平均輝度は、診断に最適な輝度よりもかなり低くなっている。これは、輝度値保持画像の平均輝度が上がり過ぎないように、事前にゲイン補正がなされているためである。
【0060】
しかしながら、この輝度値保持画像の平均輝度は、輝度値保持演算の実行回数が増えるにつれて徐々に上昇し、低音圧送信が開始されてから2秒経過したときに診断に最適な輝度となる。
【0061】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、輝度値保持画像における画像全体の平均輝度が診断に最適な輝度となるように、低音圧送信により生成された各フレーム画像を事前にゲイン補正している。そのため、これらのフレーム画像を使用して輝度値保持演算を行っても、輝度値保持画像全体の平均輝度が上がり過ぎることがなく、微細血管が鮮明に表示される良好な診断画像が生成される。
【0062】
(第2実施形態)
次に、図9を用いて本発明の第2実施形態を説明する。図9は本発明の第2実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
本実施形態では、まず操作者によるスイッチ13a、13bからの指示により、高音圧期間THが0.5秒に、低音圧期間TLが2秒にそれぞれ設定される(ステップS20)。
【0064】
当該設定後、内部記憶装置29に記憶されているゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに対応するゲイン補正値Gmが指定される(ステップS21)。当該ゲイン補正値指定後、操作者による開始スイッチ13cの操作により、本スキャンシーケンスが開始される(ステップS22)。
【0065】
本スキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS23)。そして、高音圧送信が0.5秒実行されたら(ステップS24)、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS25)、これと同時に輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS26)。
【0066】
そして、各フレーム画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS27)、その後、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始される(ステップS28)。そして、操作者による停止スイッチ13dの操作により輝度値保持演算が停止し(ステップS29)、これと同時にスキャンシーケンスが終了する(ステップS30)。すなわち、輝度値保持演算は、低音圧送信が終了するまで実施される。
【0067】
なお、ステップS26〜S29の過程において、低音圧送信により得られ、且つ輝度値保持演算が実行された輝度値保持画像が、再環流画像としてリアルタイムでモニタ14に動画的に表示される。
【0068】
すなわち、本実施形態に係るゲイン補正方法において、低音圧期間TLは、ゲイン補正値Gmを指定するためのみに用いられ、低音圧送信は操作者が停止スイッチ13dを操作することで終了する。
【0069】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、操作者が停止スイッチ13dを押すことで、低音圧送信が終了するようになっている。すなわち、低音圧期間TLが終了したときに、超音波診断装置10が自動的に低音圧送信を停止することがない。
【0070】
そのため、当初予定していた低音圧期間TLが終了した時点で、輝度値保持画像に十分な血管構造が現れていない場合、操作者の判断により低音圧送信の停止を遅らせることができる。逆に、当初予定していた低音圧期間TLが終了する前に、輝度値保持画像に十分な血管構造が現れた場合、操作者の判断により低音圧送信の停止を早めることもできる。従って、操作者にとって最適な輝度値保持画像を取得することができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、図10を用いて本発明の第3実施形態を説明する。図10は本発明の第3実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
本実施形態では、まず操作者によるスイッチ13aからの指示により、高音圧期間THが0.5秒に設定される(ステップS40)。当該設定後、操作者による開始スイッチ13cの操作により、本スキャンシーケンスが開始される(ステップS41)。
【0073】
本スキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS42)。そして、高音圧送信が0.5秒実行されたら(ステップS43)、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS44)、これと同時に輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS45)。
【0074】
そして、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始され(ステップS46)、操作者による停止スイッチ13dの操作により輝度値保持演算が停止され(ステップS47)、これと同時にスキャンシーケンス(低音圧送信)が終了する(ステップS48)。すなわち、輝度値保持演算は、低音圧送信の終了と同時に停止する。
【0075】
そして、スキャンシーケンスの終了と同時に、低音圧送信が実行されていた低音圧期間TLが算出され、内部記憶装置29に記憶されているゲイン補正テーブルから、この低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmが指定される(ステップS49)。そして、輝度値保持画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS50)、ゲイン補正された輝度値保持画像が静止画的にモニタ14に表示される。
【0076】
従って、本実施形態において、輝度値保持画像の平均輝度は、低温圧送信が開始されてから2秒経過したときに最大輝度となり、その後のゲイン補正により診断に最適な輝度となる。
【0077】
すなわち、本実施形態に係るゲイン補正方法における低音圧期間TLは、スキャン開始前に設定されるものではなく、スキャン開始後に操作者の経験と感覚により決定される。
【0078】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、操作者が停止スイッチ13dを押すことで、低音圧送信が終了し、その時点までの低音圧送信の実行時間である低音圧期間TLが算出されるようになっている。すなわち、事前に低音圧期間TLを入力しておく必要がない。そのため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0079】
(第4実施形態)
次に、図11〜図14を用いて本発明の第4実施形態を説明する。図11は本発明の第4実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図、図12は同実施形態に係るホワイトノイズだけを表示させた状態で輝度値保持演算を実行した場合における輝度値保持画像の平均輝度の時間変化を示すグラフ、図13は同実施形態に係るゲイン補正テーブルを示すグラフである。
【0080】
本実施形態は、組織からのエコー信号が輝度値保持画像にあまり影響しない場合、すなわち輝度値保持画像からホワイトノイズの影響のみを取り除くだけで、微細血管が鮮明に表示される輝度値保持画像が得られるような場合に有効な手法である。
【0081】
(スキャンシーケンス)
本実施形態に係るスキャンシーケンスは、図11に示すように、前記スキャンシーケンスにおける低音圧送信の直前に無送信期間TNを組み込んだものである。この無送信期間TNは、超音波プローブ12による受信のみが実施され、これにより音波診断装置10に固有のホワイトノイズ等が測定される。
【0082】
ホワイトノイズは、各フレーム画像上においてランダムに発生するため、輝度値保持演算を実施すると、図12に示すように輝度値保持画像の平均輝度が時間の経過に伴って徐々に上昇する。そのため、ゲイン補正テーブルとして、図13に示すようにゲイン補正値が時間の経過に伴って負に向かって大きくなる曲線を用いて、ホワイトノイズにより生じる輝度値保持画像の平均輝度の上昇を相殺する。
【0083】
ところで、ホワイトノイズにより生じる輝度値保持画像の平均輝度の変化は、輝度値保持演算開始時におけるノイズレベルにより割合が異なる。そこで、輝度値保持演算開始時におけるホワイトノイズのレベルと、輝度値保持演算開始時から所定時間後における輝度値保持画像の平均輝度との関係を示す複数のゲイン補正テーブルを事前に内部記憶装置29に記憶させておき、輝度値保持演算開始時におけるホワイトノイズのレベルに応じた最適なゲイン補正テーブルを参照する。
【0084】
(ゲイン補正機能)
次に、図14を参照しながら、超音波診断装置10が実行するゲイン補正処理について説明する。図14は同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
まず操作者によるスイッチ13a、13bからの指示により、高音圧期間THが0.5秒に、低音圧期間TLが2秒にそれぞれ設定される(ステップS60)。当該設定後、操作者による開始スイッチ13cの操作により、本スキャンシーケンスが開始される(ステップS61)。
【0086】
本スキャンシーケンスでは、まずスキャン条件が高音圧送信に切り替わる(ステップS62)。そして、高音圧送信が0.5秒間実行されたら(ステップS63)、無送信期間TNだけ超音波送信が停止され、無送信状態で受信のみが行われる(ステップS64)。
【0087】
当該受信後、得られたエコー信号に基づいてノイズレベルが算出され、内部記憶装置29に記憶されている複数のゲイン補正テーブルの中から、ノイズレベルに最適なゲイン補正テーブルが選定される。そして、選定されたゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmが指定される(ステップS65)。
【0088】
当該ゲイン補正値指定後、スキャン条件が低音圧送信に切り替わり(ステップS66)、これと同時に、それ以前の輝度値保持演算に関する情報がリセットされる(ステップS67)。そして、各フレーム画像がゲイン補正値Gmに応じてゲイン補正され(ステップS68)、その後、低音圧送信と新たな輝度値保持演算が開始される(ステップS69)。
【0089】
そして、低音圧送信と輝度値保持演算が2秒実行されたら(ステップS70)、輝度値保持演算が停止され(ステップS71)、これと同時にスキャンシーケンスが自動的に終了する(ステップS72)。
【0090】
すなわち、本実施形態では、超音波送信が停止した無送信状態でのエコー信号からホワイトノイズ等の装置固有のノイズレベルを測定し、ホワイトノイズのレベルに応じたゲイン補正テーブルを選定する。そして、選定されたゲイン補正テーブルから、低音圧期間TLに応じたゲイン補正値Gmを指定する。
【0091】
(本実施形態による作用)
本実施形態によれば、低音圧送信を実行する前に、無送信で受信のみを実施して装置固有のホワイトノイズのレベルを測定し、ホワイトノイズのレベルに応じたゲイン補正テーブルを参照するようにしている。
【0092】
そのため、送信条件によりホワイトノイズのレベルが変化しても、ホワイトノイズにより生じる輝度値保持画像の平均輝度の変化が正確に予測されるから、送信条件の影響を受けることなく、微細血管が鮮明に表示される診断画像を得ることが出来る。
【0093】
なお、本実施形態では、第1実施形態に係るゲイン補正処理の流れに、ホワイトノイズのレベル測定を組み込んでいるが、これに限定されるものではなく、例えば第2〜第3実施形態に組み込んでも良い。
【0094】
本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成図。
【図2】同実施形態に係る画像生成回路の構成図。
【図3】同実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図。
【図4】同実施形態に係る入力装置の概略図。
【図5】同実施形態に係るフレーム画像の概略図。
【図6】同実施形態に係るゲイン補正前における輝度値保持画像の概略図。
【図7】同実施形態に係るゲイン補正後における輝度値保持画像の概略図。
【図8】同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の第3実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の第4実施形態に係るスキャンシーケンスを説明するための図。
【図12】同実施形態に係るホワイトノイズだけを表示させた状態で輝度値保持演算を実行した場合における輝度値保持画像の平均輝度の時間変化を示すグラフ。
【図13】同実施形態に係るゲイン補正テーブルを示すグラフ。
【図14】同実施形態に係る画像生成・表示方法におけるゲイン補正処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0096】
10…超音波診断装置、14…モニタ(画像表示手段)、21…送受信ユニット(送受信手段)、25…画像生成回路(画像生成手段)、25c…画像処理回路(画像処理手段、ゲイン補正手段)、29…内部記憶装置(ゲイン補正量生成手段)、Gm…ゲイン補正量、P…被検体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からのエコー信号を基に生成された複数のBモード画像を使用して、輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する超音波診断装置において、
前記最大値保持演算の実行時間に応じてゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、
前記ゲイン補正量生成手段により生成された前記ゲイン補正量に応じてゲインを補正するゲイン補正手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記ゲイン補正量生成手段は、事前に設定された設定時間に応じてゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記ゲイン補正量生成手段は、実際に最大値保持演算が実行された実行時間に応じてゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記ゲイン補正量生成手段は、前記超音波診断画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、
前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、
前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成するゲイン補正手段と、
前記ゲイン補正手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、
事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、
前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成するゲイン補正手段と、
前記ゲイン補正手段により生成された複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
前記ゲイン補正量生成手段は、前記補正輝度値保持画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項5または6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記最大値保持演算の実行時間が前記設定時間になった時点で、前記最大値保持演算を停止するとともに、それ以前の最大値保持演算をリセットすることを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項9】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、
前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、
前記複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する手段、
前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成する手段、
前記ゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び
前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段、
として機能させるための超音波診断用プログラム。
【請求項10】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、
前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、
事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成する手段、
前記ゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成する手段、
前記複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び
前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段、
として機能させるための超音波診断用プログラム。
【請求項1】
被検体からのエコー信号を基に生成された複数のBモード画像を使用して、輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する超音波診断装置において、
前記最大値保持演算の実行時間に応じてゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、
前記ゲイン補正量生成手段により生成された前記ゲイン補正量に応じてゲインを補正するゲイン補正手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記ゲイン補正量生成手段は、事前に設定された設定時間に応じてゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記ゲイン補正量生成手段は、実際に最大値保持演算が実行された実行時間に応じてゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記ゲイン補正量生成手段は、前記超音波診断画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、
前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、
前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成するゲイン補正手段と、
前記ゲイン補正手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得する超音波診断装置において、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する送受信手段と、
前記送受信手段が受信したエコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する画像生成手段と、
事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成するゲイン補正量生成手段と、
前記ゲイン補正量生成手段により生成されたゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成するゲイン補正手段と、
前記ゲイン補正手段により生成された複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段により生成された補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する画像表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
前記ゲイン補正量生成手段は、前記補正輝度値保持画像において、ノイズ成分が所定輝度以下で表示されるように、前記ゲイン補正量を生成することを特徴とする請求項5または6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記最大値保持演算の実行時間が前記設定時間になった時点で、前記最大値保持演算を停止するとともに、それ以前の最大値保持演算をリセットすることを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項9】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、
前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、
前記複数のBモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、輝度値保持画像を生成する手段、
前記最大値保持演算の実行時間に応じて前記輝度値保持画像のゲイン補正量を生成する手段、
前記ゲイン補正量に応じて前記輝度値保持画像のゲインを補正し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び
前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段、
として機能させるための超音波診断用プログラム。
【請求項10】
造影剤が投与された被検体を超音波で走査し、診断画像を取得するためにコンピュータを、
前記被検体に超音波を送信し、当該被検体からのエコー信号を受信する手段、
前記エコー信号に基づいて複数のBモード画像を生成する手段、
事前に設定された設定時間に応じて前記Bモード画像のゲイン補正量を生成する手段、
前記ゲイン補正量に応じて前記Bモード画像のゲインを補正し、複数の補正Bモード画像を生成する手段、
前記複数の補正Bモード画像を使用して輝度に関する最大値保持演算を実行し、補正輝度値保持画像を生成する手段、及び
前記補正輝度値保持画像を前記診断画像として表示する手段、
として機能させるための超音波診断用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−326178(P2006−326178A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157326(P2005−157326)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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