説明

路面のひずみ測定装置

【課題】車輪の接地領域で損傷を受け難い構造で、路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することができるひずみ測定装置を提供する。
【解決手段】ひずみ測定装置1はセンサ部6を有する。センサ部6は、フレキシブル基板2の裏面に、抵抗式ひずみゲージ3(またはひずみ受感部)を固着したゲージベース4を固着し、フレキシブル基板2の表面にシート状絶縁部材5を固着することで構成される。フレキシブル基板2には、各抵抗式ひずみゲージ3のひずみ受感部の両端部の導線接続部(タブ)14a,14bのうちの導線接続部14aに導通する薄膜状導体18と、導線接続部14bに導通する薄膜状導体19,20とが設けられている。ひずみゲージ3が路面のうちの車輪の接地領域に位置し、薄膜状導体18,19,20の端部18b,19b,20bが接地領域から車輪の幅方向で逸脱する領域に位置するようにセンサ部6のゲージベース4が路面に固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機など、車輪を有する移動体を走行させる路面のひずみを測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や航空機などの車輪には、車体あるいは機体の大型化に伴い、接地圧の高いタイヤや、サイドウォールを補強したタイヤが多用されている。そして、このようなタイヤを使用した移動体を走行させるアスファルト舗装などの路面は、大きなひずみが発生するため損傷を受けやすく、該路面の保守・管理などのために、該路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することが望まれている。
【0003】
この場合、路面のうちの車輪の接地領域(車輪が接地し得る領域)に複数の抵抗式ひずみゲージ(以下、単にひずみゲージということがある)を貼り付けることが考えられる。
【0004】
しかるに、個々のひずみゲージは、車輪の接地領域に比して微小であるので、路面に発生するひずみの分布を適切に測定するためには、多数のひずみゲージを必要とし、ひいては、それぞれのひずみゲージを測定器(多点測定器)に接続するための多数のリード線を、車輪の幅方向で該車輪の接地領域を横断させるように配線する必要がある。また、ひずみゲージを使用したひずみ測定は、リード線の抵抗値の変化の影響を補償するために、1個のひずみゲージに3本のリード線を接続する1ゲージ3線法で行なうことが一般的であり、その場合には、路面に固着するひずみゲージの個数の3倍の本数のリード線が必要となる。さらに、それらの多数のリード線を路面上に均一的に平坦に並べることは困難である。
【0005】
このため、多数のひずみゲージを路面に貼り付けて該路面のひずみ分布を測定しようとした場合には、それらのひずみゲージに接続するリード線の束が、車輪の接地領域内で部分的に嵩高いものとなる。そして、このような場合には、そのリード線の束の上に走行中の移動体の車輪のタイヤが接地することによって、該リード線の断線が生じやすいことが本願発明者の実験により確認された。
【0006】
その理由は次のように考えられる。すなわち、該リード線の束に車輪のタイヤが接地したときに、個々のリード線がタイヤの弾性変形に伴う引張力や圧縮力を受ける。より詳しくは、リード線の束のタイヤとの接触箇所では該リード線が車輪の幅方向で引張力を受け、タイヤの外周面の溝部では該リード線が車輪の幅方向で圧縮力を受ける。また、リード線の束が嵩高くなっているため、車輪から受ける接地荷重が該リード線の束に局所的に集中し、ひいては、上記の引張力や圧縮力が局所的に大きなものとなりやすい。この結果、リード線の束が車輪のタイヤの接地時に変形を生じやすく、ひいては、該リード線の断線が生じやすくなると考えられる。
【0007】
従って、このような不都合を回避しつつ、路面のひずみ分布を適切に計測するためには、車輪の接地領域で、できるだけ平坦で薄くなるような構造を採用することが望まれる。
【0008】
一方、例えば特許文献1の図5あるいは図6に見られるように、1つのシート状のゲージベース上に、複数のひずみ受感部と、各ひずみ受感部の両端に連なる薄膜状の配線パターンとをフォトエッチングなどにより一体に形成したひずみゲージが知られている。このようなひずみゲージでは、複数のひずみ受感部とこれに導通する薄膜状の配線パターンとが1つのゲージベース上に一体に形成されるので、平坦で薄いものとなる。
【0009】
そこで、このようなひずみゲージを車輪の接地領域に貼り付けて、該接地領域にリード線を配線しないようにすることが考えられる。
【0010】
しかるに、特許文献1に見られるひずみゲージでは、各ひずみ受感部の両端に連なる配線パターンが、抵抗素子であるひずみ受感部と同じ材質で一体に形成される。そして、路面のうちの車輪の接地領域は、各ひずみ受感部に比して大きな幅を有する領域であるため、その接地領域を横断するように配線パターンをゲージベース上に形成すると、個々のひずみ受感部毎の配線パターンの長さのばらつき幅が大きくなり、ひいては、それらの配線パターンの抵抗値のばらつきが大きくなる。その結果、個々のひずみ受感部毎の実質的なゲージ率あるいは感度が比較的大きくばらつくこととなり、路面のひずみ分布を精度よく計測することが困難となってしまう。
【特許文献1】特開2003−97906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、車輪の接地領域で損傷を受け難い構造で、路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することができるひずみ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の路面のひずみ測定装置は、4種類の基本的態様がある。その第1の態様は、移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、シート状のゲージベースの表面および裏面(該ゲージベースの厚み方向の両面)のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみゲージと、該ゲージベースとの間に前記複数の抵抗式ひずみゲージを介在させて該ゲージベースの前記一方の面に固着された単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみゲージの導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体とを備えるセンサ構造部を有し、該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみゲージが前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記ゲージベースを介して各抵抗式ひずみゲージに伝達されるように、該路面と前記フレキシブル基板との間に前記ゲージベースを介在させて該路面に固着され、前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする(第1発明)。
【0013】
この第1発明によれば、センサ構造部は、シート状のゲージベースとフレキシブル基板(所謂FPC基板(フレキシブルプリント基板))との間に複数のひずみゲージを挟みこんだような構造のものであるので、全体的に薄い平板状のものとなる。そして、このセンサ構造部が、前記複数の抵抗式ひずみゲージを前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置させ、且つ、該路面と前記フレキシブル基板との間に前記ゲージベースを介在させて該路面に固着されるので、車輪の接地領域で路面に生じるひずみがゲージベースを介して各抵抗式ひずみゲージに伝達されるようになる。これにより、該路面に生じたひずみに応じたひずみが各抵抗式ひずみゲージに生じるようになり、該抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部(ひずみに応じて抵抗値が変化する抵抗素子)の抵抗値変化が生じることとなる。なお、ゲージベースは、一般の抵抗式ひずみゲージの基台(ひずみ受感部となる抵抗素子を固着する基台)として使用されているものであり、該ゲージベースの表面および裏面のうちの一方の面を物体に固着したときに、該物体の表面に生じるひずみを該ゲージベースの他方の面側に伝達する機能を有する。
【0014】
この場合、各抵抗式ひずみゲージの導線接続部にそれぞれ一端部が導通された前記複数の薄膜状導体の他端部は露出しているので、各薄膜状導体の他端部にリード線などの配線を接続することができ、その配線を介して各抵抗式ひずみゲージを測定器に接続することで、各抵抗式ひずみゲージに生じたひずみ、ひいては、該抵抗式ひずみゲージの直下で路面に生じたひずみを、一般的なひずみ測定と同様に測定することができる。さらに、この場合、各薄膜状導体の他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するので、各薄膜状導体の他端部に接続される配線の束に車輪が接地することはない。従って、該配線が車輪との接触によって断線するような事態が防止される。また、車輪の接地領域におけるセンサ構造部は、薄い平板状のものとなるので、走行中の移動体の車輪が接地してもその接地面が比較的広いものとなるので、該センサ構造部が車輪から受ける力が局所に集中するような事態が防止される。ひいては、該センサ構造部が車輪の接地時に損傷を受けるような事態を防止できる。
【0015】
また、前記各薄膜状導体は、抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の比して十分に比抵抗が微小なものとなる導体(例えば銅、金、銀、アルミニウムなどの導体)であるので、それぞれの抵抗値およびそのばらつき幅が微小なものとなる。このため、各抵抗式ひずみゲージ毎の実質的なゲージ率あるいは感度をほぼ均一にすることができる。ひいては、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の抵抗値変化、ひいては、該抵抗式ひずみゲージの直下で路面に生じるひずみを精度よく測定できる。
【0016】
従って、第1発明によれば、車輪の接地領域で損傷を受け難い構造で、路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することができる。
【0017】
なお、第1発明における抵抗式ひずみゲージは、前記ゲージベースよりも小さいゲージベースの表面および裏面のうちの一方の面にひずみに応じて抵抗値が変化する抵抗素子をフォトエッチングなどにより固着したものであり、一般に市販されている抵抗式ひずみゲージを使用することができる。このことは、後述する第3発明においても同様である。
【0018】
また、本発明の路面のひずみ測定装置の第2の態様は、移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、シート状のゲージベースの表面および裏面(該ゲージベースの厚み方向の両面)のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみ受感部と、該ゲージベースとの間に前記複数の抵抗式ひずみ受感部を介在させて該ゲージベースの前記一方の面に固着された単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみ受感部の導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体とを備えるセンサ構造部を有し、該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみ受感部が前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記ゲージベースを介して各抵抗式ひずみ受感部に伝達されるように、該路面と前記フレキシブル基板との間に前記ゲージベースを介在させて該路面に固着され、前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする(第2発明)。
【0019】
この第2発明によれば、センサ構造部は、シート状のゲージベースとフレキシブル基板との間に複数の抵抗式ひずみ受感部(ひずみに応じて抵抗値が変化する抵抗素子)を挟みこんだような構造のものであるので、第1発明と同様に全体的に薄い平板状のものとなる。そして、このセンサ構造部が、前記複数の抵抗式ひずみ受感部を前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置させ、且つ、該路面と前記フレキシブル基板との間に前記ゲージベースを介在させて該路面に固着されるので、車輪の接地領域で路面に生じるひずみがゲージベースを介して各抵抗式ひずみ受感部に伝達されるようになる。これにより、該路面に生じたひずみに応じたひずみが各抵抗式ひずみ受感部に生じるようになり、該抵抗式ひずみ受感部の抵抗値変化が生じることとなる。
【0020】
この場合、各抵抗式ひずみ受感部の導線接続部にそれぞれ一端部が導通された前記複数の薄膜状導体の他端部は露出しているので、第1発明と同様に、リード線などの配線を介して各抵抗式ひずみ受感部を測定器に接続することができ、ひいては、各抵抗式ひずみ受感部の直下で路面に生じたひずみを測定することができる。さらに、この場合、各薄膜状導体の他端部が、前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するので、各薄膜状導体の他端部に接続される配線の束に車輪が接地することはない。従って、該配線が車輪との接触によって断線するような事態が防止される。また、車輪の接地領域におけるセンサ構造部は薄い平板状のものとなるので、第1発明と同様に、該センサ構造部が車輪の接地時に損傷を受けるような事態を防止できる。
【0021】
また、前記各薄膜状導体は、第1発明と同様に、それぞれの抵抗値およびそのばらつき幅が微小なものとなるため、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の抵抗値変化、ひいては、該抵抗式ひずみゲージの直下で路面に生じるひずみを精度よく測定できる。
【0022】
従って、第2発明によれば、車輪の接地領域で損傷を受け難い構造で、路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することができる。
【0023】
また、本発明の路面のひずみ測定装置の第3の態様は、移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板の表面および裏面のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみゲージと、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみゲージの導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体と、前記フレキシブル基板の一方の面および前記複数のひずみゲージを被覆するように該フレキシブル基板の一方の面に固着されたシート状絶縁部材とを備えるセンサ構造部を有し、該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみゲージが前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記フレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみゲージに伝達されるように、該路面と前記シート状絶縁部材との間に前記フレキシブル基板を介在させて該路面に固着され、前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする(第3発明)。
【0024】
この第3発明によれば、センサ構造部は、シート状絶縁部材とフレキシブル基板との間に複数の抵抗式ひずみゲージを挟みこんだような構造のものであるので、第1発明と同様に全体的に薄い平板状のものとなる。そして、このセンサ構造部が、前記複数の抵抗式ひずみゲージを前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置させ、且つ、該路面と前記シート状絶縁部材との間に前記フレキシブル基板を介在させて該路面に固着されるので、車輪の接地領域で路面に生じるひずみがフレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみゲージに伝達されるようになる。これにより、該路面に生じたひずみに応じたひずみが該抵抗式ひずみゲージに生じるようになり、該抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の抵抗値変化が生じることとなる。なお、フレキシブル基板は、一般にゲージベースと同様にひずみを伝達する機能を有する。
【0025】
この場合、各抵抗式ひずみゲージの導線接続部にそれぞれ一端部が導通された前記複数の薄膜状導体の他端部は露出しているので、第1発明と同様に、リード線などの配線を介して各抵抗式ひずみゲージを測定器に接続することができ、ひいては、各抵抗式ひずみゲージの直下で路面に生じたひずみを測定することができる。さらに、この場合、各薄膜状導体の他端部が、前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するので、各薄膜状導体の他端部に接続される配線の束に車輪が接地することはない。従って、該配線が車輪との接触によって断線するような事態が防止される。また、車輪の接地領域におけるセンサ構造部は薄い平板状のものとなるので、第1発明と同様に、該センサ構造部が車輪の接地時に損傷を受けるような事態を防止できる。
【0026】
また、前記各薄膜状導体は、第1発明と同様に、それぞれの抵抗値およびそのばらつき幅が微小なものとなるため、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の抵抗値変化、ひいては、該抵抗式ひずみゲージの直下で路面に生じるひずみを精度よく測定できる。
【0027】
従って、第3発明によれば、車輪の接地領域で損傷を受け難い構造で、路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することができる。
【0028】
また、本発明の路面のひずみ測定装置の第4の態様は、移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、シート状絶縁部材の表面および裏面のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみ受感部と、該シート状絶縁部材との間に前記複数の抵抗式ひずみ受感部を介在させて該シート状絶縁部材の前記一方の面および前記複数の抵抗式ひずみゲージに固着された単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみ受感部の導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体とを備えるセンサ構造部を有し、該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみ受感部が前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記フレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみ受感部に伝達されるように、該路面と前記シート状絶縁部材との間に前記フレキシブル基板を介在させて該路面に固着され、前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする(第4発明)。
【0029】
この第4発明によれば、センサ構造部は、シート状のゲージベースとフレキシブル基板との間に複数の抵抗式ひずみ受感部を挟みこんだような構造のものであるので、第1発明と同様に全体的に薄い平板状のものとなる。そして、このセンサ構造部が、前記複数の抵抗式ひずみ受感部を前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置させ、且つ、該路面と前記シート状絶縁部材との間に前記フレキシブル基板を介在させて該路面に固着されるので、第3発明と同様に、車輪の接地領域で路面に生じるひずみがフレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみ受感部に伝達されるようになる。これにより、該路面に生じたひずみに応じたひずみが該抵抗式ひずみ受感部に生じるようになり、該抵抗式ひずみ受感部の抵抗値変化が生じることとなる。
【0030】
この場合、各抵抗式ひずみ受感部の導線接続部にそれぞれ一端部が導通された前記複数の薄膜状導体の他端部は露出しているので、第1発明と同様に、リード線などの配線を介して各抵抗式ひずみ受感部を測定器に接続することができ、ひいては、各抵抗式ひずみ受感部の直下で路面に生じたひずみを測定することができる。さらに、この場合、各薄膜状導体の他端部が、前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するので、各薄膜状導体の他端部に接続される配線の束に車輪が接地することはない。従って、該配線が車輪との接触によって断線するような事態が防止される。また、車輪の接地領域におけるセンサ構造部は薄い平板状のものとなるので、第1発明と同様に、該センサ構造部が車輪の接地時に損傷を受けるような事態を防止できる。
【0031】
また、前記各薄膜状導体は、第1発明と同様に、それぞれの抵抗値およびそのばらつき幅が微小なものとなるため、各抵抗式ひずみ受感部の抵抗値変化、ひいては、該抵抗式ひずみ受感部の直下で路面に生じるひずみを精度よく測定できる。
【0032】
従って、第4発明によれば、車輪の接地領域で損傷を受け難い構造で、路面に発生するひずみ分布を精度よく測定することができる。
【0033】
補足すると、前記第3発明または第4発明における前記シート状絶縁部材は、ゲージベースであってもよいが、ひずみの伝達性が乏しい軟質のフィルム状のものであってもよい。
【0034】
前記第1発明または第2発明では、前記センサ構造部は、前記フレキシブル基板の表面および裏面のうち、前記ゲージベース側の面と反対側の面に固着された、シート状絶縁部材をさらに備えるようにしてもよい(第5発明)。
【0035】
この第5発明によれば、フレキシブル基板の前記反対側の面にいずれかの薄膜状導体を設けられているような場合であっても、該薄膜状導体の損傷を防止したり、絶縁性を確保することができる。
【0036】
また、前記第3発明または第4発明では、前記センサ構造部は、前記フレキシブル基板の表面および裏面のうち、前記シート状部材側の面と反対側の面に固着されたシート状のゲージベースをさらに備えるようにしてもよい(第6発明)。
【0037】
この第6発明によれば、フレキシブル基板は、ゲージベースを介して路面に固着されることとなるので、路面に生じるひずみが該ゲージベースおよびフレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみゲージまたは各抵抗式ひずみ受感部に伝達されることとなる。そして、この場合、フレキシブル基板の前記反対側の面にいずれかの薄膜状導体が設けられているような場合であっても、該薄膜状導体の損傷を防止したり、絶縁性を確保することができる。
【0038】
前記第1〜第4発明において、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部または各抵抗式ひずみ受感部の抵抗値変化(ひいては路面のひずみ)の測定は、例えば、該ひずみ受感部が1辺に組み込まれるホイートストンブリッジ回路を利用して行なうことができる。この場合、前記第1発明または第3発明においては、前記各抵抗式ひずみゲージの導線接続部に導通させる薄膜状導体は、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の一端部に設けられた導線接続部に導通させる第1の薄膜状導体と、該ひずみ受感部の他端部に設けられた導線接続部に導通させる第2の薄膜状導体および第3の薄膜状導体とからなることが望ましい(第7発明)。
【0039】
同様に、前記第2発明または第4発明においては、前記各抵抗式ひずみ受感部に導通させる薄膜状導体は、各抵抗式ひずみ受感部の一端部に設けられた導線接続部に導通させる第1の薄膜状導体と、該抵抗式ひずみ受感部の他端部に設けられた導線接続部に導通させる第2の薄膜状導体および第3の薄膜状導体とからなることが望ましい(第8発明)。
【0040】
これらの第7発明および第8発明によれば、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部、または、各抵抗式ひずみ受感部に3つの薄膜状導体が導通されることとなるので、所謂、1ゲージ3線法によるひずみ測定を行なうことが可能となり、環境温度の変化などに起因する各薄膜状導体の抵抗値変化や、各薄膜状導体の他端部に接続される配線の抵抗値変化の影響を補償して、精度のよいひずみ測定を行うことが可能となる。
【0041】
上記のように、各抵抗式ひずみゲージ毎、あるいは、各抵抗式ひずみ受感部毎に、第1〜第3の薄膜状導体を備える場合において、前記フレキシブル基板への前記第1〜第3の薄膜状導体の設け方は、種々様々の形態が考えられるが、例えば次のような形態で、フレキシブル基板に第1〜第3の薄膜状導体を設けることが好ましい。
【0042】
すなわち、前記フレキシブル基板は、第1層基板と第2層基板とを重合してなる2層のフレキシブル基板であって、各抵抗式ひずみゲージに対応する前記第1〜第3の薄膜状導体のうち、第1の薄膜状導体が前記第1層基板の表面および裏面のうちの第2層基板側の面と反対側の面に形成されると共に、第2の薄膜状導体と第3の薄膜状導体とが、第2層基板を介して互いに対向するように該第2層基板の表面および裏面にそれぞれ形成されており、該第2の薄膜状導体と第3の薄膜状導体とが、それぞれの一端部を通って前記フレキシブル基板の厚み方向に貫通するように該フレキシブル基板に穿設されたスルーホール内に設けられた導体部材を介して導通されていることが好ましい(第9発明)。
【0043】
この第9発明によれば、第1の薄膜状導体と第2の薄膜状導体との間に前記第1層基板が介在することとなるので、該第1の薄膜状導体と第2の薄膜状導体とを第1層基板の厚み方向(フレキシブル基板の厚み方向)で部分的な重なりを生じるようなパターンでそれらの薄膜状導体を第1層基板に形成しつつ、それらの薄膜状導体の間の絶縁性を確保することができる。また、第3の薄膜状導体は、前記第2層基板を介して第2の薄膜状導体に対向しているので、該第2層基板の厚み方向(フレキシブル基板の厚み方向)で重なりつつ、それらの薄膜状導体の間の絶縁性を確保することができる。このため、第1〜第3の薄膜状導体の絶縁性を確保しつつ、フレキシブル基板の面積(厚み方向で見た面積)を必要最小限に留めることができ、ひいては、センサ構造部の面積を必要最小限に留めることができる。この結果、センサ構造部の材料費、ひいては製造コストを低減できる。また、同時に、第2の薄膜状導体と第3の薄膜状導体とを対向させ、それらの一端部を通る前記スルーホール内に設けた導体部材により第2の薄膜状導体と第3の薄膜状導体との導通を容易に確保することができる。なお、前記導体部材としては、該スルーホールの内周面に施した金属メッキや該スルーホールに充填した半田などが挙げられる。
【0044】
また、前記第1発明または第3発明では、前記センサ構造部には、前記各抵抗式ひずみゲージおよび前記各薄膜状導体を避けて該センサ構造部の厚み方向に貫通する複数の貫通孔が穿設されていることが好ましい(第10発明)。同様に、前記第2発明または第4発明では、前記センサ構造部には、前記各抵抗式ひずみ受感部および前記各薄膜状導体を避けて該センサ構造部の厚み方向に貫通する複数の貫通孔が穿設されていることが好ましい(第11発明)。
【0045】
これらの第10発明または第11発明によれば、センサ構造部を路面に接着剤により固着するような場合に、該接着剤が各貫通孔に進入可能であると共に、該接着剤に混入している気泡を該貫通孔に通すことが可能となるので、該センサ構造部と路面との間で局所的な接着剤の溜まり部が生じたり、局所的に気泡が残存するような事態を防止できる。ひいては、センサ構造部の厚み方向の両面のうちの路面側の面を該路面に均一的に固着することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は本実施形態の路面のひずみ測定装置1のセンサ構造部6の表面側の平面図、図2は図1のII矢視図、図3はセンサ構造部6のフレキシブル基板2の第2層基板8の表面側の平面図、図4はセンサ構造部6の裏面側の平面図、図5はセンサ構造部6の一部分の分解斜視図、図6は図1のVI−VI線断面図、図7は本実施形態のひずみ測定装置1による路面のひずみ分布の測定例を示すグラフである。なお、本実施形態は、第1発明の実施形態である。
【0047】
本実施形態のひずみ測定装置1は、フレキシブル基板2と、複数の抵抗式ひずみゲージ3(以下、単にひずみゲージ3という)と、シート状のゲージベース4と、カバーフィルム5とを有するセンサ構造部6を備える。センサ構造部6は、その全体が概ね、薄い方形板状に構成されており、図2に示すようにその厚み方向を上下方向に向けた状態で路面Aに固着される。路面Aは、自動車、航空機など、走行用の車輪を有する移動体(図示省略)を走行させる路面である。なお、図2では、図示および説明の便宜上、センサ構造部6を厚く記載しているが、その厚さは実際には約0.2mm程度である。また、路面Aにおける移動体の移動方向は、図2の紙面に垂直な方向(図1に示す2つの二点鎖線の延在方向)である。
【0048】
フレキシブル基板2は、所謂、FPC基板(フレキシブルプリント基板)と言われるものである。本実施形態では、フレキシブル基板2は複層基板であり、方形状の第1層基板7と方形状の第2層基板8とを、それらの厚み方向で重合し、両基板7,8の間に介在させた接着剤9(図2参照)により両基板7,8を互いに貼り合わせる(固着する)ことにより構成されている。この場合、第2層基板8の横方向(図1および図2の紙面の左右方向)の寸法は、第1層基板7の横方向の寸法よりも若干大きいものとなっており、第2層基板8の一側部8a(図1および図2の左側部)が、第1層基板7の側縁(図1の左側縁)から張り出している。以下、このように張り出した第2層基板8の一側部8aを張り出し部8aという。
【0049】
なお、第1層基板7および第2層基板8は、ポリエステル(PET)、ポリイミドアミド(AI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの絶縁性の材質から成る薄膜シート状の基板であり、可撓性を有する。
【0050】
補足すると、第1層基板7および第2層基板8を、熱可塑性のポリイミドを基材とする材質により構成した場合には、両基板7,8を熱融着によって貼り合わせることによって、フレキシブル基板2を構成することも可能である。その場合には、接着剤9は不要である。
【0051】
以降の本実施形態の説明では、第1層基板7の厚み方向の両面のうち、第2層基板8側の面を第1層基板7の裏面、その面と反対側の面を第1層基板7の表面またはフレキシブル基板2の表面と定義する。また、第2層基板8の厚み方向の両面のうち、第1層基板7側の面を第2層基板8の表面、その面と反対側の面を第2層基板8の裏面またはフレキシブル基板2の裏面と定義する。
【0052】
第1層基板7の表面(フレキシブル基板2の表面)には、図1および図2に示すように、その表面を被覆するようにして、方形状のカバーフィルム5が固着されている。ただし、第1層基板7の表面のうち、第2層基板8の張り出し部8a側の側部(図1および図2の左側部)にはカバーフィルム5は固着されておらず、その側部の表面は露出している。該カバーフィルム5は、ポリエステル(PET)、ポリイミド(PA)、ポリイミドアミド(AI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの絶縁性の材質から成るフィルムである。このカバーフィルム5は、前記第5発明におけるシート状絶縁部材として機能するものであり、第1層基板7の表面に固着されている後述の複数の薄膜状導体18の絶縁性を確保したり、該薄膜状導体18を保護する機能を有する。本実施形態では、カバーフィルム5は、第1層基板7の表面との間に介在させた接着剤10(図2を参照)により、第1層基板7の表面に固着されている。
【0053】
補足すると、カバーフィルム5が熱融着性を有する材質から成る場合には、カバーフィルム5を第1層基板7に熱融着によって固着してもよい。その場合には、接着剤10は不要である。
【0054】
第2層基板8の裏面(フレキシブル基板2の裏面)には、図2および図4に示すように、その裏面を被覆するようにして、方形状のゲージベース4が固着されている。ただし、第2層基板8の裏面のうち、前記張り出し部8aには、ゲージベース4が固着されておらず、その張り出し部8aの裏面は露出している。このゲージベース4は、一般に抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部(抵抗素子)を固着する基台(測定対象物のひずみをひずみ受感部に伝達する基台)として機能するものであり、ポリイミドやエポキシなどの材質により薄膜シート状に形成されている。そして、ゲージベース4は、第2層基板8の裏面との間に介在させた接着剤11(図2参照)により、第2層基板8の裏面に固着されている。
【0055】
この場合、ゲージベース4の厚み方向の両面のうち、第2層基板8側の面(以下、ゲージベース4の表面という)には、前記複数のひずみゲージ3があらかじめ図示しない接着剤により固着されており、それらのひずみゲージ3が、ゲージベース4と第2層基板8との間にマス目状に配置されている。
【0056】
各ひずみゲージ3は、単品の抵抗式ひずみゲージとして一般に市販されているものであり、図5に示すように、小面積の方形状のゲージベース12上に、Cu−Ni合金やNi−Cr合金などの材質から成る抵抗素子であるひずみ受感部13をフォトエッチングなどにより固着したものである。ひずみ受感部13の両端部には、導線接続部としてのタブ14a,14bがひずみ受感部13と一体の形成されている。そして、本実施形態では、各タブ14a,14bには、それぞれ1本のゲージリード15a,15bがあらかじめ結線されている。これらのゲージリード15a,15bは、十分に細い導線である。
【0057】
フレキシブル基板2の第1層基板7の表面と、第2層基板8の表面と、第2層基板8の裏面とに、それぞれ、図1、図3、図4に示す如く、フォトエッチングや印刷などによって、複数の薄膜状導体18,19,20が固着されている。なお、図1、図3、図4においては、図示の便宜上、各薄膜状導体18,19,20は、その両端部を除いて細線で示している。
【0058】
これらの薄膜状導体18,19,20のそれぞれの個数は、ひずみゲージ3の個数と同数であり、個々のひずみゲージ3に、薄膜状導体18,19,20が1つずつ対応付けられている。また、これらの薄膜状導体18,19,20の材質は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)など、ひずみゲージ3のひずみ受感部13よりも比抵抗が十分に小さい導体である。
【0059】
なお、薄膜状導体18,19,20は、それぞれ、本発明における第1の薄膜状導体、第2の薄膜状導体、第3の薄膜状導体に相当するものである。
【0060】
図1に示す各薄膜状導体18は、その一端部18aが、該薄膜状導体18に対応するひずみゲージ3のタブ14aの近傍位置に設けられ、他端部18bが第1層基板7の表面のうちの第2層基板8の張り出し部8a側の側部(カバーフィルム5により被覆されていない部分)に設けられて、露出している。そして、各薄膜状導体18は、その両端部18a,18bの間で第1層基板7の表面上に延在して設けられている。また、各薄膜状導体18の端部18bは、第1基板7の縦方向(図1の上下方向)にほぼ等間隔で配列されている。
【0061】
図3に示す各薄膜状導体19は、その一端部19aが該薄膜状導体19に対応するひずみゲージ3のタブ14bの近傍位置に設けられ、他端部19bが第2層基板8の表面のうちの張り出し部8aに設けられて、露出している。そして、各薄膜状導体19は、その両端部19a,19bの間で第2層基板8の表面上に延在して設けられている。また、各薄膜状導体19の端部19bは、第2基板8の縦方向(図1の上下方向)にほぼ等間隔で配列されている。なお、薄膜状導体18と薄膜状導体19との間には、第1層基板7が介在するので、互いに絶縁されている。そこで、本実施形態では、フレキシブル基板2の厚み方向で、これらの薄膜状導体18,19を見たとき、それらの両端部を除く中間部が単一の線状に重なる(薄膜状導体19が薄膜状導体18の真下に存する)ようにそれらの薄膜状導体18,19が設けられている。
【0062】
図4に示す各薄膜状導体20は、各薄膜状導体19と同様に、その一端部20aが該薄膜状導体20に対応するひずみゲージ3のタブ14bの近傍位置に設けられ、他端部20bが第2層基板8の裏面のうちの張り出し部8aに設けられて、露出している。そして、各薄膜状導体20は、その両端部20a,20bの間で第2層基板8の裏面上に延在して設けられている。この場合、同一のひずみゲージ3に対応する薄膜状導体19,20は、その全長にわたって、第2層基板8を介して互いに対向するように設けられている。従って、フレキシブル基板2の厚み方向で、これらの薄膜状導体19,20を見たとき、同一のひずみゲージ3に対応する薄膜状導体19,20は、互いに重なり合っている。従って、各ひずみゲージ3毎の3つの薄膜状導体18,19,20の中間部は、フレキシブル基板2の厚み方向で見たとき、単一の線状に重なり合っている。
【0063】
各薄膜状導体18,19,20は、それに対応するひずみゲージ3のタブ14a,14bに次のように導通されている。すなわち、本実施形態では、フレキシブル基板2には、図5に示すように、各薄膜状導体18の一端部18aを通って該フレキシブル基板2の厚み方向に貫通するスルーホール21と、互いに対向する各薄膜状導体19,20のそれぞれの一端部19a,20aを通って該フレキシブル基板2の厚み方向に貫通するスルーホール22とが穿設されている。そして、スルーホール21には、ひずみゲージ3のタブ14aに結線されているゲージリード15aがフレキシブル基板2の裏面側から挿入されると共に半田(図示省略)が充填され、この半田により該ゲージリード15aと薄膜状導体18とが導通されている。ひいては、各ひずみゲージ3のタブ14aが該ひずみゲージ3に対応する薄膜状導体18に導通されている。
【0064】
また、スルーホール22には、図6に示すように、ひずみゲージ3のタブ14bに結線されているゲージリード15bがフレキシブル基板2の裏面側から挿入されると共に半田23が充填され、この半田23により該ゲージリード15bと薄膜状導体19,20とが導通されている。ひいては、各ひずみゲージ3のタブ14bが該ひずみゲージ3に対応する薄膜状導体19,20に導通されている。なお、半田23は、前記第9発明における導体部材に相当する。
【0065】
従って、本実施形態では、各ひずみゲージ3のタブ14aには、1つの薄膜状導体18だけが導通する一方、タブ14bには、2つの薄膜状導体19,20が導通されている。タブ14bに2つの薄膜状導体19,20を導通させているのは、各ひずみゲージ3のひずみを1ゲージ3線法で計測するためである。
【0066】
また、本実施形態では、センサ構造部6には、その厚み方向で貫通する複数の貫通孔24が穿設されている。これらの貫通孔24は、各ひずみゲージ3および各薄膜状導体18,19,20を避ける位置(各ひずみゲージ3および各薄膜状導体18,19,20が存在しない位置)で穿設されている。
【0067】
以上が、センサ構造部6の構造である。なお、前記接着剤9,10,11としては、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤、ポリイミド系接着剤などを使用すればよい。
【0068】
本実施形態のひずみ測定装置1により路面Aのひずみを測定する場合には、図2に示すように、センサ構造部6のゲージベース4の裏面(ゲージベース4の厚み方向の両面のうち、フレキシブル基板2側の面と反対側の面)を路面Aに対面させ、該ゲージベース4と路面Aとの間に介在させた接着剤Bによりセンサ構造部6を路面Aに固着する。すなわち、フレキシブル基板2と路面Aとの間にゲージベース4を介在させるようにしてセンサ構造部6を路面Aに固着する。このとき、センサ構造部6には複数の貫通孔24が穿設されているので、センサ構造部6と路面Aとの間で局所的に接着剤Bの溜まり部が形成されたり、局所的に気泡が残存するような事態が防止される。なお、接着剤Bの種類は、前記接着剤9,10,11と同じでよい。
【0069】
このようにセンサ構造部6を路面Aに固着することにより、各ひずみゲージ3の直下の箇所で路面Aに生じるひずみがゲージベース4および該ひずみゲージ3のゲージベース12を介して該ひずみゲージ3のひずみ受感部13に伝達され、そのひずみに応じたひずみ受感部13の抵抗値変化が生じるようになる。
【0070】
ここで、本実施形態では、路面Aのうちの、移動体の車輪の接地領域(移動体が走行するときにその車輪が接地し得る領域)は、例えば図1に示す2つの二点鎖線の間の領域である。そして、センサ構造部6を路面Aに固着するに際しては、該センサ構造部6に備えた複数(本実施形態では14個)のひずみゲージ3が、車輪の接地領域内に位置し、且つ、フレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20の他端部18b,19b,20bが、いずれも接地領域から車輪の幅方向(図1に示す二点鎖線の間隔方向)で逸脱した領域に位置するようにして、センサ構造部6が路面Aに固着される。従って、各薄膜状導体18,19,20の端部18b,19b,20bに、移動体の車輪が接地することがないようにセンサ構造部6が路面Aに固着されている。
【0071】
そして、各薄膜状導体18,19,20の端部18b,19b,20bには、各々、図示を省略するリード線が半田付けなどにより接続され、それらのリード線が図示を省略する測定器に接続される。さらに、その測定器によって、各ひずみゲージ3毎に、該ひずみゲージ3の直下で路面Aに生じるひずみが1ゲージ3線法により測定される。これにより、車輪の接地領域における路面Aのひずみ分布が測定されることとなる。
【0072】
この場合、リード線を接続する各膜状導体部18,19,20の他端部18b,19b,20bは、車輪の接地領域から逸脱しているので、該リード線を、該接地領域内を通過しないように配線することができる。このため、車輪の接地領域内でセンサ構造部6に車輪が接地しても、該車輪が各膜状導体部18,19,20の端部18b,19b,20bに接続されたリード線に接地することがなく、該リード線の断線を防止できる。
【0073】
また、車輪の接地領域におけるセンサ構造部6は、十分に薄い平板状のものとなっている。さらに、センサ構造部6は、その裏面(ゲージベース4の裏面)のほぼ全体にわたって、均一的に路面Aに接着させることができる。このため、該センサ構造部6に車輪が接地しても、該車輪からセンサ構造部6に作用する力が該センサ構造部6の局所に集中して該センサ構造部6が破損したり、該センサ構造部6が折れ曲がって該センサ構造部6が破損するような事態を防止できる。
【0074】
また、各薄膜状導体部18,19,20は銅など、比抵抗が十分に小さい導体により構成されているので、それぞれの抵抗値のばらつきは微小なものとなる。このため、各ひずみゲージ3毎に、実質的なゲージ率あるいは感度を、ほぼ同等にすることができ、それらのひずみゲージ3による路面Aのひずみ分布を精度よく測定することができる。
【0075】
図7は、そのひずみ分布の測定結果の一例を示している。この例は、前記接地領域内において、航空機の車輪をセンサ構造部6に接地させた場合のひずみ分布の測定結果の例である。なお、図7のX軸は、車輪の幅方向での路面Aの位置を示す座標軸、Y軸は、車輪の進行方向での路面Aの位置を示す座標軸である。この場合、センサ構造部6には、最大で910kNの接地荷重が作用するが、センサ構造部6の破損等の不都合を生じることなく、路面Aに発生したひずみ分布を測定することができた。なお、自動車の車輪のセンサ構造部6に接地させた場合でも、支障なく路面Aのひずみ分布を測定できる。
【0076】
また、本実施形態のセンサ構造部6では、薄膜状導体18と薄膜状導体19との間には、第1層基板7が介在し、また、薄膜状導体19と薄膜状導体20との間には、第2層基板8が介在するので、フレキシブル基板3の厚み方向で見て、それらの薄膜状導体18,19,20に重なりを持たせることができる。このため、本実施形態では、前記したように、各ひずみゲージ3毎の3つの薄膜状導体18,19,20は、それらの両端部を除く中間部がフレキシブル基板2の厚み方向で単一の線状に重なり合うように設けられている。この結果、フレキシブル基板3の厚み方向で見た面積を必要最小限に留めることができる。ひいては、センサ構造部6の厚み方向で見た面積を必要最小限に留めることができ、センサ構造部6の構成要素の材料費を低減できる。また、薄膜状導体18,19,20の中間部がフレキシブル基板2の厚み方向で重なり合うことで、周囲環境からもたらされる電磁誘導ノイズの影響を少なくすることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図8および図9を参照して説明する。図8は本実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部28に用いるゲージベースおよびひずみ受感部を示す平面図、図9は該センサ構造部28の部分断面図(図6と同様の断面図)である。なお、本実施形態におけるひずみ測定装置は、第1実施形態のものとセンサ構造部28の一部の構造だけが相違するので、その相違する部分を中心に説明し、第1実施形態のセンサ構造部6と同一の構成要素については第1実施形態と同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施形態は、第2発明の実施形態である。
【0077】
前記第1実施形態のセンサ構造部6では、ゲージベース12およびひずみ受感部13を有する複数のひずみゲージ3を使用し、これらのひずみゲージ3をゲージベース4の表面に固着するようにした。これに対して、本実施形態では、ゲージベース4の表面に、図8に示すように、複数のひずみ受感部13(抵抗式ひずみ受感部)をフォトエッチングなどにより直接的に固着するようにした。これらのひずみ受感部13は、第1実施形態のセンサ構造部6のひずみゲージ3と同じ配列で、ゲージベース4の表面に配置されている。また、各ひずみ受感部13の両端部のタブ14a,14bには、第1実施形態のセンサ構造部6のひずみゲージ3と同様に、各一本のゲージリード15a,15bが結線されている。
【0078】
そして、本実施形態のセンサ構造部28においては、このように複数のひずみ受感部13が固着されたゲージベース4が、図9に示す如く、フレキシブル基板2の裏面(第2層基板8の裏面)との間にひずみ受感部13を介在させて、接着剤11により該フレキシブル基板2の裏面に固着されている。なお、各ひずみ受感部13のタブ14aと該ひずみ受感部13に対応する薄膜状導体18との導通形態、並びに、各ひずみ受感部13のタブ14bと該ひずみ受感部13に対応する薄膜状導体19,20との導通形態は、第1実施形態と全く同じである。
【0079】
以上説明した以外のセンサ構造部28の構造は、第1実施形態のセンサ構造部6の構造と同じである。そして、路面Aのひずみ分布を測定する場合には、第1実施形態のセンサ構造部6と同様に、ひずみ受感部29が車輪の接地領域内に位置し、且つフレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの端部18b,19b,20bが該接地領域から車輪の幅方向で逸脱するようにして、センサ構造部28のゲージベース4が路面Aに接着剤Bを介して固着される。さらに、各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの他端部18b,19b,20bが、それぞれに接続されるリード線(図示省略)を介して測定器に接続され、この状態で、ひずみ分布の測定が第1実施形態と同様に行なわれる。
【0080】
かかる本実施形態においても、フレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの他端部18b,19b,20bに接続するリード線の断線や、車輪の接地領域におけるセンサ構造部28の損傷を生じることなく、該接地領域における路面Aのひずみ分布を適正に測定することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図10および図11を参照して説明する。図10は本実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部35の一部分の分解斜視図(図5と同様の分解斜視図)、図11は該センサ構造部35の部分断面図(図6と同様の断面図)である。なお、本実施形態におけるひずみ測定装置は、第1実施形態のものとセンサ構造部35の一部の構造だけが相違するので、その相違する部分を中心に説明し、第1実施形態のセンサ構造部6と同一の構成要素については第1実施形態と同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施形態は、前記第3発明の実施形態である。
【0081】
前記第1実施形態のセンサ構造部6では、フレキシブル基板2の裏面側でゲージベース4の表面に複数のひずみゲージ3が固着されている。これに対して本実施形態のセンサ構造部35では、図10および図11に示すように、各ひずみゲージ3をフレキシブル基板2の表面側に配置し、該フレキシブル基板2の表面(第1層基板7の表面)に図示しない接着剤により固着するようにした。なお、図10および図11では、1つのひずみゲージ3だけが図示されているが、実際には、複数(本実施形態では、第1実施形態のセンサ構造部6のひずみゲージ3の個数と同数)のひずみゲージ3がセンサ構造部35に備えられている。そして、これらのひずみゲージ3は、第1実施形態のセンサ構造部6のひずみゲージ3と同様の配列で、フレキシブル基板2の表面に固着されている。さらに、フレキシブル基板2の表面には、該表面との間に前記薄膜状導体18(ただし他端部18bを除く)およびひずみゲージ3を介在させて接着剤10により(あるいは熱融着により)、シート状絶縁部材としてのカバーフィルム5が固着され、このカバーフィルム5により各ひずみゲージ3が被覆されている。
【0082】
また、各ひずみゲージ3のタブ14a,14bには、第1実施形態と同様に各一本のゲージリード15a,15bが結線されている。そして、各ひずみゲージ3のタブ14aに結線されたゲージリード15aが、該ひずみゲージ3に対応する薄膜状導体18の一端部18aを通るスルーホール21にフレキシブル基板2の表面側から挿入され、該スルーホール21に充填された半田(図示省略)によりタブ14aが薄膜状導体18に導通されている。また、各ひずみゲージ3のタブ14bに結線されたゲージリード15bが、該ひずみゲージ3に対応する薄膜状導体19,20の一端部19a,20aを通るスルーホール22にフレキシブル基板2の表面側から挿入され、該スルーホール22に充填された半田23によりタブ14bが薄膜状導体19,20に導通されている。
【0083】
なお、図示は省略するが、センサ構造部35には、第1実施形態のセンサ構造部6と同様に、その厚み方向で貫通する複数の貫通孔が穿設されている。
【0084】
以上説明した以外のセンサ構造部35の構造は、第1実施形態のセンサ構造部6の構造と同じである。そして、路面Aのひずみ分布を測定する場合には、第1実施形態のセンサ構造部6と同様に、ひずみゲージ3が車輪の接地領域内に位置し、且つフレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの他端部18b,19b,20bが該接地領域から車輪の幅方向で逸脱するようにして、センサ構造部35のゲージベース4が路面Aに接着剤Bを介して固着される。すなわち、シート状絶縁部材としてのカバーフィルム5と路面Aとの間にフレキシブル基板2が介在するようにして路面Aにセンサ構造部35が固着されている。さらに、各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの他端部18b,19b,20bが、それぞれに接続されるリード線(図示省略)を介して測定器に接続され、この状態で、ひずみ分布の測定が第1実施形態と同様に行なわれる。なお、この場合には、各ひずみゲージ3と路面Aとの間にゲージベース4およびフレキシブル基板2が介在するので、路面Aに生じるひずみは、ゲージベース4、フレキシブル基板2、およびゲージベース12を介してひずみゲージ3のひずみ受感部13に伝達されることとなる。
【0085】
かかる本実施形態においても、フレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの端部18b,19b,20bに接続するリード線の断線や、車輪の接地領域におけるセンサ構造部35の損傷を生じることなく、該接地領域における路面Aのひずみ分布を適正に測定することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、フレキシブル基板2を第1実施形態のセンサ構造部6のものと同じにしたため、各薄膜状導体18の一端部18aを通るスルーホール21を備えているが、そのスルーホール21を省略し、各ひずみゲージ3のタブ14aに結線されたゲージリード15aを該ひずみゲージ3に対応する薄膜状導体18の一端部18aに直接的に半田付けするようにしてもよい。
【0087】
また、本実施形態において、カバーフィルム5の代わりに、ゲージベース4と同様のゲージベースを使用して、そのゲージベースの裏面(フレキシブル基板2側の面)にひずみゲージ3を固着した上で、該ゲージベースおよびひずみゲージ3を接着剤によりフレキシブル基板2の表面に固着するようにしてもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図12および図13を参照して説明する。図2は本実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部40の一部分の分解斜視図(図5と同様の分解斜視図)、図12は該センサ構造部40の部分断面図(図6と同様の断面図)である。なお、本実施形態におけるひずみ測定装置は、第3実施形態のものとセンサ構造部40の一部の構造だけが相違するので、その相違する部分を中心に説明し、第3実施形態のセンサ構造部35と同一の構成要素については第3実施形態と同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施形態は、前記第4発明の実施形態である。
【0088】
前記第3実施形態のセンサ構造部35では、ゲージベース12およびひずみ受感部13を有する複数のひずみゲージ3を使用した。これに対して、本実施形態のセンサ構造部40では、図12および図13に示すように、第3実施形態のセンサ構造部35に備えたカバーフィルム5の代わりに、これと同じ形状のシート状絶縁部材としてのゲージベース41を備えると共に、このゲージベース41の厚み方向の両面のうちのフレキシブル基板2側の面(裏面)に、前記第2実施形態のゲージベース4と同様に、複数のひずみ受感部13(抵抗式ひずみ受感部13)をフォトエッチングなどにより直接的に固着するようにした。そして、このようにひずみ受感部13を固着したゲージベース41を、フレキシブル基板2の表面との間にひずみ受感部13を介在させて、接着剤10によりフレキシブル基板2の表面に固着するようにした。
【0089】
なお、図12および図13では、1つのひずみ受感部13だけが図示されているが、実際には、複数(本実施形態では、第3実施形態のセンサ構造部35のひずみゲージ3の個数と同数)のひずみ受感部13がゲージベース41に固着されている。これらのひずみ受感部13の配列は、第3実施形態におけるひずみゲージ3の配列と同じである。また、各ひずみ受感部13の両端部のタブ14a,14bには、第3実施形態と同様に各一本のゲージリード15a,15bが結線されている。そして、各ひずみ受感部13のタブ14aと該ひずみ受感部13に対応する薄膜状導体18との導通形態、並びに、各ひずみ受感部13のタブ14bと該ひずみ受感部13に対応する薄膜状導体19,20との導通形態は、第3実施形態と全く同じである。
【0090】
補足すると、ゲージベース41は、前記カバーフィルム5と同様に、フレキシブル基板2の表面の各薄膜状導体18の端部18bを除いて、該フレキシブル基板2の表面のほぼ全体を被覆している。また、図示は省略するが、センサ構造部40には、ゲージベース41を含めて、その厚み方向で貫通する複数の貫通孔が第3実施形態のセンサ構造部35と同様に穿設されている。
【0091】
以上説明した以外のセンサ構造部40の構造は、第3実施形態のセンサ構造部35の構造と同じである。そして、路面Aのひずみ分布を測定する場合には、ひずみ受感部13が車輪の接地領域内に位置し、且つフレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの他端部18b,19b,20bが該接地領域から車輪の幅方向で逸脱するようにして、センサ構造部40のゲージベース4が路面Aに接着剤Bを介して固着される。すなわち、シート状絶縁部材としてのゲージベース41と路面Aとの間にフレキシブル基板2が介在するようにして路面Aにセンサ構造部40が固着される。さらに、各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの端部18b,19b,20bが、それぞれに接続されるリード線(図示省略)を介して測定器に接続され、この状態で、ひずみ分布の測定が第3実施形態と同様に行なわれる。なお、この場合には、各ひずみ受感部13と路面Aとの間にゲージベース4およびフレキシブル基板2が介在するので、路面Aに生じるひずみは、ゲージベース4およびフレキシブル基板2を介して各ひずみ受感部13に伝達されることとなる。
【0092】
かかる本実施形態においても、フレキシブル基板2の各薄膜状導体18,19,20のそれぞれの端部18b,19b,20bに接続するリード線の断線や、車輪の接地領域におけるセンサ構造部40の損傷を生じることなく、該接地領域における路面Aのひずみ分布を適正に測定することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、フレキシブル基板2を第1実施形態のセンサ構造部6のものと同じにしたため、各薄膜状導体18の端部18aを通るスルーホール21を備えているが、そのスルーホール21を省略し、各ひずみ受感部13のタブ14aに結線されたゲージリード15aを該ひずみ受感部13に対応する薄膜状導体18の一端部18aに直接的に半田付けするようにしてもよい。
【0094】
次に、前記各実施形態に関するいくつかの変形態様を説明する。
【0095】
[変形態様1]
前記各実施形態では、フレキシブル基板2は、第1層基板7が第2層基板8よりも上側(路面Aから離れる側)に存するように各センサ構造部6,28,35,40に組み込まれているが、該フレキシブル基板2の上下を反転させ、第1層基板7が第2層基板8の下側(路面Aに近づく側)に存するように各センサ構造部6,28,35,40に組み込んでもよい。
【0096】
この場合、第1実施形態または第2実施形態において、フレキシブル基板2の上下を反転させた場合には、各薄膜状導体18の一端部18aを通るスルーホール21を省略し、前記各タブ14aに結線されたゲージリード15aを直接的に薄膜状導体18の一端部18aに半田付けしてもよい。
【0097】
[変形態様2]
前記各実施形態では、スルーホール22が薄膜状導体19,20のそれぞれの一端部19a,20aを通るように設けられているが、薄膜状導体19,20の一端部19a,20aの近傍で、フレキシブル基板2の基体(薄膜状導体18,19,20が存在しない部分)にスルーホールを穿設するようにしてもよい。この場合、例えば第1実施形態または第2実施形態においてゲージリード15bを薄膜状導体19,20に導通させるためには、第1層基板7および第2層基板8を貼り合わせる前に、ゲージリード15bの中間部を第2層基板8の裏面側で薄膜状導体20の一端部20aに半田付けした後に、該ゲージリード15bの先端部を第2層基板8のスルーホールを介して該第2層基板8の表面側にスルーホールを介して突出させて、該2層基板8の表面側の薄膜状導体19の一端部19aに半田付けするようにすればよい。また、例えば第3実施形態または第4実施形態においてゲージリード15bを薄膜状導体19,20に導通させるためには、第1層基板7および第2層基板8を貼り合わせる前に、ゲージリード15bの第1層基板7のスルーホールに通した後に、該ゲージリード15bの中間部を第2層基板8の表面側で薄膜状導体19の一端部19aに半田付けし、さらに、該ゲージリード15bの先端部を第2層基板8のスルーホールを介して該第2層基板8の裏面側に突出させて、薄膜状導体20の一端部20aに半田付けするようにすればよい。
【0098】
上記と同様に、第1実施形態および第2実施形態では、スルーホール21についても、薄膜状導体18の一端部18aの近傍で、フレキシブル基板2の基体(薄膜状導体18,19,20が存在しない部分)に穿設するようにして、このスルーホールに通したゲージリード15aの先端部を薄膜状導体18の一端部18aに半田付けするようにしてもよい。なお、第3および第4実施形態では、ゲージリード15aを通すスルーホールは不要である。
【0099】
[変形態様3]
前記第1実施形態または第2実施形態において、例えば、各スルーホール22の内周面に、薄膜状導体19,20に導通する金属メッキ(半田メッキなど)を施しておき、フレキシブル基板2の裏面側でゲージリード15bを該金属メッキに半田付けするようにしてもよい。同様に、各スルホール21の内周面に、薄膜状導体18に導通する金属メッキ(半田メッキなど)を施しておき、フレキシブル基板2の裏面側でゲージリード15aを該金属メッキに半田付けするようにしてもよい。
【0100】
上記と同様に、前記第3実施形態または第4実施形態において、各スルーホール22の内周面に薄膜状導体19,20に導通する金属メッキ(半田メッキなど)を施しておき、フレキシブル基板2の表面側でゲージリード15bを該金属メッキに半田付けするようにしてもよい。なお、第3実施形態または第4実施形態においては、ゲージリード15aを薄膜状導体18に直接的に半田付けできるので、スルーホール21を備えた場合であっても、該スルーホール21の内周面に上記の如き金属メッキを施すことは省略してもよい。
【0101】
[変形態様4]
前記各実施形態では、各ひずみ受感部13の両端部のタブ14a,14bにそれぞれゲージリード15a,15bを結線するようにして、タブ14aと薄膜状導体18との導通、並びに、タブ14bと薄膜状導体19,20との導通をそれらのゲージリード15a,15bを介して行なうようにした。これに代えて、ゲージリード15a,15bを使用せずに、タブ14aと薄膜状導体18との導通、並びに、タブ14bと薄膜状導体19,20との導通を行なうようにすることも可能である。
【0102】
その一例を図14の断面図を参照して説明する。図14は、前記第1実施形態において、タブ14bと薄膜状導体19,20とをゲージリード15bを使用せずに導通される場合の例を代表的に示す断面図(図6と同様の断面図)である。
【0103】
この例では、ひずみゲージ3を固着したゲージベース4をフレキシブル基板2の裏面に接着剤11により固着するときに、各ひずみ受感部13のタブ14bを前記スルーホール22の箇所で薄膜状導体20の一端部20aに接触させる。なお、このとき、タブ14bの箇所には、接着剤11を塗布しないようにしておく。そして、ゲージベース4をフレキシブル基板2の裏面に固着した後に、各スルーホール22に半田23を充填し、この半田23によりタブ14bを薄膜状導体19,20に導通させる。
【0104】
図示は省略するが、各ひずみ受感部13のタブ14aと薄膜状導体18との導通も上記と同様に行なうことができる。この場合には、タブ14aを、前記スルーホール21の箇所でフレキシブル基板2の裏面に接触させる。そして、ゲージベース4をフレキシブル基板2の裏面に固着した後に、スルーホール21に半田を充填し、この半田によりタブ14aを薄膜状導体18に導通させればよい。
【0105】
第2〜第4実施形態においても、上記と同様に、ゲージリード15a,15bを使用せずに、タブ14aと薄膜状導体18との導通、並びに、タブ14bと薄膜状導体19,20との導通を行なうようにすることが可能である。ただし、第3実施形態においては、カバーフィルム5の代わりに、ゲージベースを使用し、このゲージベースの裏面にひずみゲージ3を固着しておく。
【0106】
なお、各実施形態において、各スルーホール21,22の内周面などに施した半田メッキや導電性接着剤を使用することで、ゲージリード15a,15bを使用せずに、タブ14aと薄膜状導体18との導通、並びに、タブ14bと薄膜状導体19,20との導通を行なうようにすることも可能である。
【0107】
[変形態様5]
前記各実施形態では、フレキシブル基板2は、2層構造のものであるが、例えば3層構造のものでもよい。例えば図15の分解斜視図に示すように、薄膜状導体18を表面に固着した第1層基板51と薄膜状導体18を表面に固着した第2層基板52と、薄膜状導体20を裏面に固着した第3層基板53とを、第2層基板52が第1層基板51と第3層基板53との間に挟み込まれるようにして相互に貼り合わせることで構成される3層構造のフレキシブル基板54をフレキシブル基板2の代わりに使用してもよい。なお、図15では、前記図5と同様に、1つのひずみゲージ3もしくはひずみ受感部13に対応する薄膜状導体18,19,20の一部分を図示している。
【0108】
補足すると、薄膜状導体20は、第3層基板53の表面に固着するようにしてもよい。
【0109】
[変形態様6]
また、フレキシブル基板2の代わりに、例えば図16の斜視図に示すような単層のフレキシブル基板56を使用してもよい。このフレキシブル基板56は、その表面に薄膜状導体18および薄膜状導体19を固着し、裏面に薄膜状導体20を固着したものである。なお、図16では、前記図5と同様に、1つのひずみゲージ3もしくはひずみ受感部13に対応する薄膜状導体18,19,20の一部分を図示している。
【0110】
補足すると、このフレキシブル基板56では、薄膜状導体19,20がフレキシブル基板56の同一の面(表面)に固着されるので、それらの薄膜状導体19,20が相互に接触しないように、薄膜状導体19,20のパターンを構成する必要がある。
【0111】
[変形態様7]
あるいは、例えば図17に示すような単層のフレキシブル基板60を使用してもよい。なお、図17は、フレキシブル基板60を使用したセンサ構造部61の一部分の分解斜視図を示している。そのフレキシブル基板60では、その表面(フレキシブル基板60の厚み方向の両面のうちの一方の面)にのみ、薄膜状導体18,19,20が固着されている。
【0112】
このようなフレキシブル基板60を使用した場合には、例えば次のようにしてセンサ構造部を構成できる。その場合の例を図17を参照して説明する。なお、この例は、前記第3発明の一実施形態となる例である。
【0113】
図17に示す例は、ひずみゲージ3を使用した例であり、前記第3実施形態と同様に、各ひずみゲージ3がフレキシブル基板60の表面に図示しない接着剤を介して固着される。なお、図17では、前記図5と同様に1つのひずみゲージ3と、それに対応する薄膜状導体18,19,20の一部分だけを図示しているが、実際には、複数のひずみゲージ3がフレキシブル基板60の表面に、前記図1に示したものと同様の配列で固着される。そして、薄膜状導体18,19,20は、個々のひずみゲージ3毎に設けられ、それらが、各ひずみゲージ3の近傍位置から、フレキシブル基板60の一側部まで適当なパターンで延在している。
【0114】
この場合、各ひずみゲージ3のひずみ受感部13の両端部のタブ14a,14bには、それぞれゲージリード15a,15bが結線されていることに加えて、さらに3本目のゲージリード15cがタブ14bに結線されている。そして、ゲージリード15a,15b,15cはそれぞれ薄膜状導体18,19、20の一端部18a,19a,20aに半田付けされる。これにより、タブ14aが薄膜状導体18に導通されると共に、タブ14bが薄膜状導体19,20に導通される。
【0115】
このように、フレキシブル基板60の表面に複数のひずみゲージ3を固着し、且つ、各ひずみゲージ3毎のゲージリード15a,15b,15cをそれぞれ該ひずみゲージ3に対応する薄膜状導体18,19,20に接続した状態で、シート状絶縁部材としてのカバーフィルム5を接着剤により、あるいは熱融着によりフレキシブル基板60の表面(ただし、各薄膜状導体18,19,20の他端部の箇所は除く)に固着することにより、センサ構造部61が構成される。なお、センサ構造部61には、前記各実施形態と同様に、該センサ構造部61の厚み方向で貫通する複数の貫通孔(図示省略)が穿設される。
【0116】
このようにセンサ構造部61を構成した場合には、フレキシブル基板60を、その裏面と路面Aとの間に介在させた接着剤により路面Aに固着することで、該路面Aのひずみが、フレキシブル基板60を介して各ひずみゲージ3に伝達されるようになる。この場合において、フレキシブル基板60に固着した各ひずみゲージ3が車輪の接地領域に位置し、且つ、各薄膜状度体18,19,20の他端部が、該接地領域から車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように、フレキシブル基板60が路面Aに固着される。なお、この場合、フレキシブル基板60と路面Aとの間にゲージベースを介在させる必要はない。
【0117】
そして、図示は省略するが、各薄膜状導体18,19,20の他端部を、これに接続したリード線を介して測定器に接続することによって、前記各実施形態と同様に、路面Aのひずみ分布(車輪の接地領域でのひずみ分布)を測定できる。
【0118】
補足すると、カバーフィルム5の代わりに、ゲージベースをフレキシブル基板60の表面に接着剤により固着するようにしてもよい。この場合には、そのゲージベースの厚み方向の両面のうちの路面Aに固着するようにして、路面Aのひずみが該ゲージベースを介して各ひずみゲージ3に伝達されるようにしてもよい。このようにすれば、前記第1発明の一実施形態が構成される。
【0119】
また、上記フレキシブル基板60を使用した場合、例えば次のようにしてセンサ構造部を構成することもできる。その場合の例を図18を参照して説明する。なお、図18はこの例におけるセンサ構造部の一部分の斜視図である。また、この例は、前記第4発明または第2発明の一実施形態となる例である。
【0120】
図18に示す例は、シート状のゲージベース65の厚み方向の両面のうちの一方の面(ここでは裏面とする)に、前記第2実施形態のゲージベース4と同様に、フォトエッチングなどにより固着した複数のひずみ受感部13を備える例である。この例では、図17のものと同様に、各ひずみ受感部13の両端部のタブ14a,14bには、それぞれゲージリード15a,15bが結線されていることに加えて、さらに3本目のゲージリード15cがタブ14bに結線されている。そして、ゲージリード15a,15b,15cはそれぞれ薄膜状導体18,19、20の一端部18a,19a,20aに半田付けされる。そして、フレキシブル基板60の表面に、該フレキシブル基板60との間に各ひずみ受感部13を介在させて、ゲージベース65の裏面が接着剤により固着され、これにより、センサ構造部66が構成される。なお、センサ構造部66には、前記各実施形態と同様に、該センサ構造部66の厚み方向で貫通する複数の貫通孔(図示省略)が穿設される。
【0121】
このようにセンサ構造部66を構成した場合には、フレキシブル基板60を、その裏面と路面Aとの間に介在させた接着剤により路面Aに固着することで、該路面Aのひずみが、フレキシブル基板60を介して各ひずみ受感部13に伝達されるようになる。このようにすることにより、前記第4発明の一実施形態が構成される。あるいは、ゲージベース65を、その表面と路面Aとの間に介在させた接着剤により路面Aに固着することで、該路面Aのひずみが、ゲージベース65を介して各ひずみ受感部13に伝達されるようになる。このようにすることにより、前記第2発明の一実施形態が構成される。
【0122】
なお、いずれの場合において、各ひずみ受感部13が車輪の接地領域に位置し、且つ、各薄膜状導体18,19,20の他端部が、該接地領域から車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように、フレキシブル基板60が路面Aに固着される。
【0123】
そして、図示は省略するが、各薄膜状導体18,19,20の他端部を、これに接続したリード線を介して測定器に接続することによって、前記各実施形態と同様に、路面Aのひずみ分布(車輪の接地領域でのひずみ分布)を測定できる。
【0124】
なお、各薄膜状導体18,19,20の一端部18a,19a,20aを通ってフレキシブル基板60の厚み方向に貫通するスルーホールを形成しておき、それぞれのスルーホールにゲージリード15a,15b,15cを挿入し、該スルーホールにフレキシブル基板60の裏面側から半田を充填するようにしてもよい。その場合、フレキシブル基板60の裏面には、カバーフィルムや、ゲージベースのようなシート状絶縁部材を固着して、スルーホールを被覆しておくことが望ましい。
【0125】
また、ゲージリード15a,15b,15cを使用せずに、ひずみ受感部13のタブ14aを薄膜状導体18に導通させると共に、タブ14bを薄膜状導体19,20に導通させるようにしてセンサ構造部を構成することも可能である。その例を図19の分解斜視図を参照して説明する。
【0126】
図19を参照して、前記図18に示したゲージベース65に固着した各ひずみ受感部13のタブ14aに導電性接着剤70を塗布しておくと共に、タブ14bに導電性接着剤71を塗布しておく。この場合、ゲージベース65の裏面(図19では上面)をフレキシブル基板60の表面に重ねたときに、導電性接着剤70が薄膜状導体18に接触し、導電性接着剤71が薄膜状導体19,20の両者に接触するようにそれらの導電性接着剤70,71をそれぞれタブ14a,14bに塗布しておく。また、各薄膜状導体18,19,20の一端部18a,19a,19bにもそれぞれ導電性接着剤72a,72b,72cを塗布しておく。そして、ゲージベース65の裏面のうちの導電性接着剤70,71の箇所以外の箇所に接着剤(図示省略)を塗布し、該ゲージベース65の裏面をフレキシブル基板60の表面に重ね合わせる。この状態で、熱プレスによって、ゲージベース65とフレキシブル基板60とをそれらの厚み方向で互いに押圧しつつ加熱する。これにより、ゲージベース65側の導電性接着剤70をフレキシブル基板60側の導電性接着剤72aに導通・接合させると共に、ゲージベース65側の導電性接着剤71をフレキシブル基板60側の導電性接着剤72b,72cに導通・接合させ、同時に、ゲージベース65をフレキシブル基板60に接着する。
【0127】
これによって、タブ14aが薄膜状導体18に導通すると同時に、タブ14bが薄膜状導体19,20に導通することとなる。
【0128】
なお、図19の例では、ゲージベース65にひずみ受感部13を直接的に固着した例を示しているが、ゲージベース65にひずみゲージを固着した場合でも、上記と同様のセンサ構造部を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部の表面側の平面図。
【図2】図1のII矢視図。
【図3】図1に示すセンサ構造部に備えたフレキシブル基板の第2層基板の表面側の平面図。
【図4】図1に示すセンサ構造部の裏面側の平面図。
【図5】図1に示すセンサ構造部の一部分の分解斜視図。
【図6】図1のVI−VI線断面図。
【図7】第1実施形態のひずみ測定装置による路面のひずみ分布の測定例を示すグラフ。
【図8】本発明の第2実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部に用いるゲージベースおよびひずみ受感部を示す平面図。
【図9】第2実施形態のセンサ構造部の部分断面図。
【図10】本発明の第3実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部の一部分の分解斜視図。
【図11】第3実施形態のセンサ構造部の部分断面図。
【図12】本発明の第4実施形態のひずみ測定装置のセンサ構造部の一部分の分解斜視図。
【図13】第4実施形態のセンサ構造部の部分断面図。
【図14】本発明の実施形態の変形態様に関するセンサ構造部の部分断面図。
【図15】本発明の実施形態の変形態様に関するフレキシブル基板の一部分の分解斜視図。
【図16】本発明の実施形態の変形態様に関するフレキシブル基板の一部分の斜視図。
【図17】本発明の実施形態の変形態様に関するセンサ構造部の一部分の分解斜視図。
【図18】本発明の実施形態の変形態様に関するセンサ構造部の一部分の分解斜視図。
【図19】本発明の実施形態の変形態様に関するセンサ構造部の一部分の分解斜視図。
【符号の説明】
【0130】
1…ひずみ測定装置、2,54,56,60…フレキシブル基板、3…ひずみゲージ、4,41,65…ゲージベース(シート状絶縁部材)、5…カバーフィルム(シート状絶縁部材)、6,28,35,40,61,66…センサ構造部、7…第1層基板、8…第2層基板、14a,14b…タブ(導線接続部)、18,19,20…薄膜状導体、22…スルーホール、23…半田(導体部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、
シート状のゲージベースの表面および裏面のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみゲージと、該ゲージベースとの間に前記複数の抵抗式ひずみゲージを介在させて該ゲージベースの前記一方の面に固着された単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみゲージの導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体とを備えるセンサ構造部を有し、
該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみゲージが前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記ゲージベースを介して各抵抗式ひずみゲージに伝達されるように、該路面と前記フレキシブル基板との間に前記ゲージベースを介在させて該路面に固着され、
前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項2】
移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、
シート状のゲージベースの表面および裏面のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみ受感部と、該ゲージベースとの間に前記複数の抵抗式ひずみ受感部を介在させて該ゲージベースの前記一方の面に固着された単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみ受感部の導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体とを備えるセンサ構造部を有し、
該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみ受感部が前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記ゲージベースを介して各抵抗式ひずみ受感部に伝達されるように、該路面と前記フレキシブル基板との間に前記ゲージベースを介在させて該路面に固着され、
前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項3】
移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、
単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板の表面および裏面のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみゲージと、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみゲージの導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体と、前記フレキシブル基板の一方の面および前記複数のひずみゲージを被覆するように該フレキシブル基板の一方の面に固着されたシート状絶縁部材とを備えるセンサ構造部を有し、
該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみゲージが前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記フレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみゲージに伝達されるように、該路面と前記シート状絶縁部材との間に前記フレキシブル基板を介在させて該路面に固着され、
前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項4】
移動体の走行用の車輪を接地させる路面のひずみを測定するひずみ測定装置であって、
シート状絶縁部材の表面および裏面のうちの一方の面に固着された複数の抵抗式ひずみ受感部と、該シート状絶縁部材との間に前記複数の抵抗式ひずみ受感部を介在させて該シート状絶縁部材の前記一方の面および前記複数の抵抗式ひずみゲージに固着された単層または複層のフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に設けられ、各抵抗式ひずみ受感部の導線接続部にそれぞれ一端部が導通された複数の薄膜状導体とを備えるセンサ構造部を有し、
該センサ構造部は、前記複数の抵抗式ひずみ受感部が前記路面のうちの前記車輪の接地領域に位置し、且つ、該路面のひずみが前記フレキシブル基板を介して各抵抗式ひずみ受感部に伝達されるように、該路面と前記シート状絶縁部材との間に前記フレキシブル基板を介在させて該路面に固着され、
前記複数の薄膜状導体は、それぞれの他端部が前記車輪の接地領域から該車輪の幅方向で逸脱した領域に位置するように前記フレキシブル基板に設けられていると共に、該他端部が配線を接続可能に露出されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の路面のひずみ測定装置において、前記センサ構造部は、前記フレキシブル基板の表面および裏面のうち、前記ゲージベース側の面と反対側の面に固着されたシート状絶縁部材をさらに備えることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項6】
請求項3または4記載の路面のひずみ測定装置において、前記センサ構造部は、前記フレキシブル基板の表面および裏面のうち、前記シート状部材側の面と反対側の面に固着されたシート状のゲージベースをさらに備えることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項7】
請求項1または3記載の路面のひずみ測定装置において、前記各抵抗式ひずみゲージの導線接続部に導通させる薄膜状導体は、各抵抗式ひずみゲージのひずみ受感部の一端部に設けられた導線接続部に導通させる第1の薄膜状導体と、該ひずみ受感部の他端部に設けられた導線接続部に導通させる第2の薄膜状導体および第3の薄膜状導体とからなることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項8】
請求項2または4記載の路面のひずみ測定装置において、前記各抵抗式ひずみ受感部に導通させる薄膜状導体は、各抵抗式ひずみ受感部の一端部に設けられた導線接続部に導通させる第1の薄膜状導体と、該抵抗式ひずみ受感部の他端部に設けられた導線接続部に導通させる第2の薄膜状導体および第3の薄膜状導体とからなることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の路面のひずみ測定装置において、前記フレキシブル基板は、第1層基板と第2層基板とを重合してなる2層のフレキシブル基板であって、各抵抗式ひずみゲージに対応する前記第1〜第3の薄膜状導体のうち、第1の薄膜状導体が前記第1層基板の表面および裏面のうちの第2層基板側の面と反対側の面に形成されると共に、第2の薄膜状導体と第3の薄膜状導体とが、第2層基板を介して互いに対向するように該第2層基板の表面および裏面にそれぞれ形成されており、
該第2の薄膜状導体と第3の薄膜状導体とが、それぞれの一端部を通って前記フレキシブル基板の厚み方向に貫通するように該フレキシブル基板に穿設されたスルーホール内に設けられた導体部材を介して導通されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項10】
請求項1または3記載の路面のひずみ測定装置において、前記センサ構造部には、前記各抵抗式ひずみゲージおよび前記各薄膜状導体を避けて該センサ構造部の厚み方向に貫通する複数の貫通孔が穿設されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。
【請求項11】
請求項2または4記載の路面のひずみ測定装置において、前記センサ構造部には、前記各抵抗式ひずみ受感部および前記各薄膜状導体を避けて該センサ構造部の厚み方向に貫通する複数の貫通孔が穿設されていることを特徴とする路面のひずみ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−79976(P2009−79976A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248798(P2007−248798)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年6月11日 社団法人 地盤工学会発行の「第42回地盤工学研究発表会 平成19年度発表講演集(2分冊の1)」に発表
【出願人】(501198039)国土交通省国土技術政策総合研究所長 (23)
【出願人】(390019998)東亜道路工業株式会社 (42)
【出願人】(000151520)株式会社東京測器研究所 (29)
【Fターム(参考)】