説明

身体内腔の閉塞及び/或は治療薬剤の送達を為すための方法及び装置

解剖学的通路の内腔の閉塞、及び/或は、薬或は他の薬物の人或は動物の対象への送達を為すための装置、システム、並びに、方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この特許出願は2003年6月27日付けで出願された下記の特許文献1の米国特許出願に対する優先権を主張するものであり、引用することでその全体をここに明白に合体させるものである。更に、この出願は1996年12月18日付けで出願された同時係属中の下記の特許文献2の米国特許出願の一部継続出願であり、2002年1月31日付けで公開された下記の特許文献3であり、引用することでその全体をここに明白に合体させる。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/483,587号
【特許文献2】米国特許出願第08/770,123号(Callister et al.)
【特許文献3】米国特許出願2002/0013589A1号
【0002】
発明の分野
この発明は医療的な装置、方法、並びに、システムに関し、より詳細には医療的な装置に関し、そして、より詳細には、身体内腔(例えば、卵管、輸精管、気管支、血管等々)の閉塞及び/或は局所的若しくは全身的な治療効果を求めての治療薬物の送達のために、その身体内腔内に移植される装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
人或は動物の対象の身体内における内腔内或は解剖学的通路内に塞栓装置或は閉塞装置を移植することが望ましい様々な状況が存在する。これら状況の少なくとも幾つかにおいて、塞栓装置或は閉塞装置の移植に続く少なくとも初期期間にわたって薬物(例えば、薬、タンパク質、細胞、生物学的物質、化学薬物、遺伝子治療調合液等々)を送達することが更に望ましい。
【0004】
例えば、避妊目的で、女性の卵管内或は男性の輸精管内に閉塞装置を移植することが知られている。そうした目的のために有用な移植可能な閉塞装置の例は、下記の特許文献4及び特許文献5に記載されており、それら双方の特許文献を引用することで、それら全体をここに明白に合体させる。これら装置の幾つかは、それら装置の移植に続いて組織内方成長を促進するように構成或は移植されて、そうした組織内方成長が生じた後、その内方成長した組織だけが或は移植された装置との組み合わせが卵管或は輸精管の内腔の完全な閉塞をもたらす。よって、装置の移植と内腔閉塞組織内方成長の完成との間の期間中、卵管或は輸精管の内腔は少なくとも部分的に開口を維持し得る。よって、装置の移植と内腔閉塞組織内方成長の完成との間の期間中、欲せざる妊娠を防止すべく代替的な避妊手段を提供することが望ましい。
【特許文献4】米国特許第6,096,052号(Callister et al.)、発明の名称“Occluding Device and Method of Use”
【特許文献5】米国特許第6,432,116号(Callister et al.)、発明の名称“Occluding Device and Method of Use”
【0005】
上記特許文献2は、卵管或は輸精管の内腔を閉塞すべく使用可能な内腔閉塞装置の様々な実施例を記載しており、その中の幾つかは避妊剤等の薬物を送達し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当業界には、(例えば、薬、タンパク質、細胞、生物学的物質、化学薬物、遺伝子治療調合液等々)薬物を送達できる新しい移植可能な内腔閉塞装置の開発の需要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、人或は獣医学的な対象の身体内腔(例えば、卵管、輸精管、気管支、血管、或は、他の解剖学的通路若しくは内腔)内に移植され得る装置を提供するものであり、それでその身体内腔の閉塞、及び/或は、その装置の移植に続く少なくともある期間にわたって、薬物(例えば、薬、タンパク質、細胞、生物学的物質、化学薬物、遺伝子治療調合液等々)の送達を為す。
【0008】
本発明に従えば、先の特徴を有する移植可能な閉塞及び/或は薬物送達装置が提供され、それが、a)i)身体内腔内に前進させられるように充分に小型である第1形態で配置可能であり、ii)次いで、管腔内部材が身体内腔内に移植される第2形態に膨張自在である膨張自在管腔内部材と、b)身体内腔内における管腔内部材の移植に続いく少なくとも何等かの期間の間、管腔内部材から何等かの目標組織内へ送達されるように装置内に或は装置上に配置された多量の薬物とを含む。幾つかの実施例において、管腔内部材は細胞或は組織の内方成長を促進すべく設計されたメッシュ材或は他のマトリックスを含み、その装置内に内方成長する細胞或は組織は該装置が移植されている身体内腔の閉塞を達成する。本発明は、移植可能な閉塞及び/或は薬物送達装置が送達カテーテル及び/或はガイドワイヤ及び/或は内視鏡装置と組み合わされて使用されるシステムを更に含む。
【0009】
更に本発明に従えば、断種(不妊)或は避妊のための方法が提供され、先の特徴を有する内腔閉塞及び/或は薬物送達装置が女性対象の卵管内或は男性対象の輸精管内に移植される。そうした適用例において、装置上或は装置内に配置された薬物は避妊或は殺精子剤を含み得て、それらは、卵管或は輸精管の完全な閉塞を達成すべく移植された装置に少なくとも必要とされる期間、対象における避妊効果を生じさせるべく効果的な濃度及び形態で装置によって送達される。更には本発明に従えば、気管支、細気管支、或は、肺における他の解剖学的通路内に先の特徴を有する内腔閉塞及び/或は薬物送達装置の移植によって、肺の疾患或は損傷を処理する方法が提供される。そうした適用例において、罹患或は損傷している肺(例えば、肺葉或は肺葉の一部)の一部への吸気の流れを停止すべく、装置は気管支を閉塞し得る。そうした適用例において、装置上或は装置内に配置された薬物は、抗菌剤、粘液溶解薬、気管支拡張薬、抗炎症薬、去痰薬、抗新生物剤、化学療法剤、免疫賦活剤等々の、肺内において治療効果を生じさせる薬剤を含み得る。
【0010】
更には、本発明に従えば、身体内腔の閉塞を生じさせて、装置の移植に続く少なくとも何等かの期間にわたって治療上或は診断上において効果的な量の薬物を解放するために、身体内腔(例えば、血管、リンパ本幹、胆道系の管等の身体内おける人工的内腔或は天然通路)内に先の特徴を有する装置を移植することによって、人或は動物の対象の疾患或は損傷を処理する変更されると共に普遍的な方法が提供される。
【0011】
更なる局面で、本発明の各種要素及び実施例は以下に記述される詳細な説明やそこで言及されている添付図面を読んで考慮することで当業者であれば明かとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
特に本発明は、身体の様々な通路の閉塞のための装置、方法、並びに、システムに関し、そうした装置上或はそうした装置内に薬或は薬分泌物質を配置することによる治療薬物の送達を含む。身体における種々の通路を閉塞する様々な局面において、特に有用であるこの発明の1つの目的は、恒久的な避妊を達成すべく卵管の閉塞である。卵管の閉塞が詳細に議論されることになるが、理解して頂けるように、ここに記載された装置、方法、並びに、システムは、とりわけ、男性患者の輸精管、動脈-静脈の奇形の病巣における動脈若しくは静脈、幼児の開いた動脈管を、栄養動脈と共に閉塞することが容易にできる。本発明は冠状動脈ステント、静脈若しくは動脈の塞栓フィルタ等の容器支持装置を操舵可能なシステムを介して所望箇所に送達する手段をも提供する。これら処置の全てはここに記載された本発明からの利益を得るが、これら装置、方法、並びに、システムに対する1つの特に有用で即座的な利益は、避妊目的での閉塞装置の卵管への送達にある。これら目的の少なくとも幾つかは新規な発明である、以下に記載される装置、方法、並びに、システムによって満たされる。幾つかの実施例におけるこの発明は所望箇所への治療薬物の送達をも有益な方式でもたらす。
【0013】
当業者であれば、ここに記載された発明の様々な組み合わせ、変更、並びに、均等物がこれら発明の範囲から逸脱すること無しに使用可能であることを理解して頂けるであろう。
【0014】
本発明は様々な身体通路の閉塞のための装置、方法、並びに、システムを提供する。それには、冠状血管構造若しくは脳血管構造において望ましい特に小径のステント等の血管ステントと共に、塞栓装置の送達のためのカテーテル・システムをも含む。典型的には、これら装置は、直接配置或は「オーバーザワイヤ(over-the-wire : OTW)」設計若しくは技法の何れかによって送達される。このOTW設計はガイドワイヤ及び送達カテーテルの操舵を可能とするが、それら装置は使用される除去可能なガイドワイヤよりも大きな内径を有する必要がある。しかしながらガイドワイヤの径は、それもその最も小さな機能的径でも、目標通路を介して横方向に充分に折り畳める小さな輪郭を許容するには余りにも大きい可能性がある。その折り畳み装置に基部における押し込み装置を用いる代替手段は、それを通過するためのガイドワイヤが不必要であるので、当該装置が非常に小さな折り畳み輪郭を持たせることができ、しかしながらそうしたシステムは身体内腔を通る当該システムの低減された操舵性を特にその折り畳み装置の末端部で有し得る。それら理由やその他の理由のため、身体通路を通って前進しながら、ガイドワイヤの操舵性を依然として許容する小径システムを有することが所望される。
【0015】
この発明の一局面に従った図中に示された本発明の複数例を参照すると、膨張自在な内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10が提供されており、当該装置は適切な送達カニューレ20(例えば、堅固若しくは柔軟な管、或は、マイクロカテーテル若しくはハイポチューブ等のカテーテル)を介して送達される。図2A及び図2Bに示されるように、装置10はその折り畳み形態にあって、送達カニューレ20の内腔内に挿入されている。送達カニューレ20は、当該カニューレ20を通じて延在する内腔を工夫する壁24を含む。ハブ26はその送達カニューレ20の基部端上に形成され得る。装置10はそのカニューレの内腔内に前進した後、カニューレ壁24はその装置が内腔内部に残留している間、該装置10を相対的な折り畳み形態で拘束する。この例において、長寸ロッド28及びプッシャ・ヘッド30を含むプッシャ装置22は送達カニューレ20から装置10の排除又は解放を促進すべく使用可能である。送達カニューレ20を出ると、装置10は放射方向膨張力の解放によってその膨張形態若しくは記憶形態を回復する。代替的には、装置10は膨張するか、或は、(温度変化の結果として径がより大きくなる等の)形状メモリの結果としてより大きな径を帯びるか若しくは特性又は有用性を変更する他の形状を帯びる可能性がある。
【0016】
球根状プッシャ・ヘッド30を伴うプッシャ28は、幾つかの実施例において、「プッシャ・ワイヤ」を備えるが、理解して頂きたいことは、装置10の基部に密着して配置されたプッシャ28を伴って、該装置10が圧縮形態でカニューレ20内に端部を装填されて得ることである。送達カテーテル20が身体内の卵管等の所望箇所内に配置されると、プッシャ28は長手方向に静止状態で保持されながらカニューレ20は基部方向に引き出され得る。これは、卵管或は肺の小管等の虚弱な身体内腔内にそれを進めるように実際に押し込むこと無しに、膨張閉塞装置を横たえる効果を有する。このようにして、身体内腔を通じて進めるように膨張された装置を押し込むことによって生ずる身体構造に対するあらゆる損傷が回避される。また、送達カテーテルの末端内に後方装填することによって、該カテーテルの全長を通じてそれを押し込める必要性はない。よって送達カニューレ20の末端部は、装置の移動を平滑且つ好都合に為すたぶん滑り剤で補強され得、そして、もしカテーテルの全長が補強されなければならない場合には、柔軟性にとっては望ましくないたぶんステンレス鋼ワイヤ或はその類によって補強され得る。そうした場合、「プッシャ」は装置を前方に放逐せず、そして身体内腔の長手方向全体にわたってそれを押し込むが、カテーテルがその装置を超えて引き出されながらそれをむしろ安定化する。それにもかかわらず、そうした理解を伴って、用語「プッシャ・ワイヤ」はその装置を記載すべくこの特許では使用される。
【0017】
図中に示された装置10の特定の実施例において、複数の第1脚セグメント15は中央頂点から発散する。各第1脚セグメント15は第2脚セグメント12と角度を成して結合されることによって、複数の二次的頂点14を図示の如くに形成している。装置10が身体内腔内で膨張するか或は膨張が許容されると、第2脚セグメント12は装置10が位置決めされている身体内腔の壁と接触すると共にその壁に対して一定の外向き力を付勢することによって、その身体内腔内で略静止位置を維持する。しばしばそれら第2脚セグメント12の内の少なくとも1つは、細い相対的に強固な材料で形成され得るか、及び/或は、装置10を然るべき位置に固定すべく内腔壁に留まる突起(例えばフック、かえし等)を含み得る。
【0018】
理解して頂けるように、装置10は図中に示されるように単一ユニットを含み得るが、本発明はシステムを含むと共に、それら複数の単一ユニット装置10が相互に整列されるか或は位置決めされて複合閉塞システム或は構造を身体内腔内に形成するような実施例を含む。そうした実施例において、整列或は隣接位置決めされた単一ユニット装置10は、任意選択的に、相互に結合或は連結され得て、一体構造を形成する。この点に関して、理解して頂けるように、(分離或は結合された)2つ或はそれ以上の装置10は送達カニューレ20内に装填され得て、プッシャ22によってその送達カニューレ20の末端部25から放逐され得る。代替的には、複数の装置10は一つずつ送達カニューレ20内に装填され、そしてそこから放逐されることによって、複数の装置10を身体内腔内に順次移植する。
【0019】
幾つかの実施例において、装置の形態は図中に示されるものから、ステントのように、膨張自在且つ折り畳み可能な略管形状に変更され得る。この一般的な性質の装置は特許文献4及び特許文献5に記載され、それらの全開示はあたかも完全に詳述されているようにここに合体させられている。
【0020】
装置10は組織内方成長を支援或は促進するように形成され、構成され、或は、そうした材料を含み得る。ここで使用されているように、用語「組織内方成長」は、限定されることはないが、特定の領域内、該領域上、若しくは、該領域周り、及び/或は、閉塞性装置内、該装置上、若しくは、該装置周りの組織形成となる細胞増殖及び/或は成長を含む。これは上皮化、傷跡形成、或は、他の細胞成長若しくは増殖であり得る。例えば、脚部12,15及び/或はマトリックス18は、通路のより効果的な閉塞を作り出すべく或は閉塞装置の身体内腔の壁へのより安定した結着となるべく、身体内での、上皮化、内皮化、粒状化、或は、他の増殖若しくは組織成長反応を促進する物質を包含し得る。例えば、ポリエステル・ファイバが装置10に結着され得て、該装置内或は該装置周りの組織内方成長が栓を形成し、それによって該装置が移植されている内腔を閉塞する。幾つかの実施例において、決断的に配置可能な壁研磨突起(例えば張り出し或は突起)は、カニューレ20の末端部上及び/或は装置10上に設けられ得て、卵管FT及び/或は装置10が移植されている他の身体内腔の上皮層を削り落とすか或は削剥することによって、組織内方成長反応を高めている。そうした決断的に配置可能な壁研磨突起は、身体内腔に入った際及び/或は装置10を配置する際に配置され得る。
【0021】
加えて、以下に詳細に記載されるように、治療薬、薬等の薬物(例えば、避妊ホルモン、殺精子剤、精子発生抑制剤、殺菌剤、抗生物質、抗真菌薬、化学療法薬、生物学的薬剤等)或は生物学的要因(血管内皮(増殖因子)、線維芽細胞増殖因子等々)は装置に或は該装置内に組み込まれ得て、何等かの所望効果(例えば、組織内方成長を加速、感染の防止/処理、移植された内腔閉塞装置の完全機能を許容するに少なくとも充分な期間にわたっての薬剤誘発性避妊の引き起こし、隣接組織における疾患或は異常の処理等々)をもたらす。この発明の移植可能な装置が妊娠を防ぐ目的で卵管、輸精管、或は、他の身体内腔を遮断すべく使用される際、その装置の内腔遮断効能(そしてそれ故の避妊対策としてその信頼性)は装置10の初期移植語の数週間或は数ヶ月にわたって最大化され得ず、そうした期間は移植された装置10にとっては完全な上皮化のため、或は、他の組織内方成長にとっては完成のために必要とされ得る。そうした例において、多量の避妊剤及び/或は殺精子剤が装置上或は該装置内に組み込まれ得て、該装置の内腔遮断効能が最大化させることを可能するに少なくとも充分である期間にわたって薬剤誘発性避妊をもたらす。この発明の装置10或は他の任意の内腔閉塞装置の内部或は上部に組み込まれ得る特定の薬物の例(例えば、薬、治療薬、生物学的要因等)は以下に記載される。
【0022】
図3A及び図3Bは、内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10のOTW送達のためのシステムを示す。このシステムは、図3Aに示されるように、内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10、先に記載した送達カニューレ20、並びに、ガイドワイヤ32がプッシャ装置28aの内腔を通過し、内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10を通過し、そして送達カニューレ20の内腔を通過し得るように長手方向に貫通して延在するガイドワイヤ内腔を有する変更プッシャ装置28aを一般には備える。代替的にはそして不図示であるプッシャ・ヘッド30aはその内部に溝を有することができ、それを通って、ガイドワイヤ32が摺動し得て、プッシャ29aと隣り合って長手方向に配置されることになる。任意選択的には、ガイドワイヤ32は当該ガイドワイヤの基部よりも柔軟である、及び/或は、偏向可能、柔軟、若しくは、操舵可能である末端部34を有し得る。動作中、ガイドワイヤ32は、内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10を移植することが望まれる所望の身体内腔(例えば卵管)内を前進させられ得る。その後、その内腔内に装置10及びプッシャ28aを有する送達カニューレ20は、該送達カニューレ20の末端部が装置10を移植することが望まれる箇所に隣接する箇所まで、先行して挿入されたガイドワイヤにわたって前進させられ得る。その後、プッシャ28aはガイドワイヤ32にわたって前進させられ得て、該プッシャ28aの拡大された末端部30aが、送達カニューレ20の末端部から内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10を放逐する。次いで装置10は身体内腔内で自己膨張して、該装置の第2脚セグメント12がその身体内腔の壁と係合する。その後、送達カニューレ20、プッシャ28a、並びに、ガイドワイヤ32は除去されて、身体内腔内に装置10を移植させる。
【0023】
図4乃至図4Cは図3A乃至図3Cに示されたOTWシステムが内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10を卵管内に移植すべく使用されている特定の手続きを示す。先ず、ガイドワイヤ32は子宮UTを通じて且つ卵管FT内を前進させられる。送達カテーテル20(その内部に位置決めされた折り畳み装置10及びプッシャ28a)は、図4Aで見られるように、ガイドワイヤ32にわたって前進させられる。その後、図4Bに示されるように、プッシャ28aはガイドワイヤ32にわたって前進させられて、プッシャ28aの拡大された末端部30aは装置10を送達カニューレ20の末端部25から押し出す。送達カニューレ20の末端部25を出ると、装置10はその膨張形態まで自己膨張し、それによって装置10の第2脚セグメント12が卵管FTの壁を付勢して、図4Cに示されるように、装置10を固定位置に保持する。次いで送達カニューレ20、プッシャ28a、並びに、ガイドワイヤ32は、子宮UTから引き出されて除去され、卵管内に装置10を移植させる。移植に次いで、組織が装置10内に内方成長して卵管FTの完全な閉塞を為す。そうした組織内方成長が生じている少なくとも期間中、装置10は患者に所望の治療効果(例えば、避妊或は殺精子)を生じさせる量の薬物(例えば、避妊或は殺精子薬物)を溶出し得る。任意選択的には、装置10は先に記載されたようにマトリックス18を含み得て、所望組織内方成長の促進及び/或は所望薬物の送達を為す。
【0024】
2つ以上の装置10が対象身体内に移植される場合、追加装置を送達すべく送達カニューレ20を除去する必要がない。例えば、もし装置10が両卵管内に移植される場合、送達カテーテル20は、各卵管FT毎に1つずつの2つの装置10を最初に含み得る。そうした場合、医師は患者の子宮を通じて送達カテーテル20を挿入し得て、一方の装置を2つの卵管FTの第1のものに送達し、そしてその第1装置10の送達後、送達カニューレ20を子宮UTから引き出す必要性無しに、医師は他方の卵管20内に送達カテーテル20を挿入し得て第2装置10を他方の卵管FT内に展開する。これは、送達カニューレ20を各卵管FTに対して除去及び置き換えの必要性がないため、全体的な手続き時間を高速化する長所を有する。加えて、その手続きに対する全体的なコストは低減され、その理由は、1つの送達カニューレ20と1つのプッシャ28aだけが2つの装置10を配置すべく使用されるためである。代替的には、本発明は内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10を送達カニューレ20の全長を通じて前進させることもできる。そうした場合、送達カニューレ20は装置10が配置されることになる箇所に前進させられる。ガイドワイヤ32は送達カニューレ20の位置決めを援助し得る。送達カニューレ20の満足のいく配置に続いて、ガイドワイヤ32は送達カニューレ20から除去され得て、次いで第1閉塞装置10が折り畳み形態で配置されて、その基部を通じてカニューレ20の内腔内に装填され得る。装置10が送達カニューレ20の内腔内に装填された後、標準的なプッシャ38(図2A及び図2Bを参照)が装置10を送達カニューレ20の長さ方向を通じて前進させ、その末端部25から出すように使用され得る。次いで装置10は膨張して、先に記載されたように、卵管FTの内腔内に移植させられる。
【0025】
この発明の更に別の局面に従えば、理解して頂けるように、拡大プッシャ・ヘッド30或は30aは装置10に近接した箇所でガイドワイヤ32上に実際上搭載され得て、ガイドワイヤ32が末端方向に前進されると共に(或は、カニューレ20が基部方向に引き出されると共に)、プッシャ・ヘッド30或は30aは装置10をそれと一緒に押圧する。
【0026】
図4A及び図4Bに示されるシステムのタイプの1つの主要な長所は、全システムが操舵可能であることであり、その理由は、ガイドワイヤ32の末端部34が身体通路を介してその所望箇所まで回転或は操舵されるように構成され得るからである。小孔が装置10の中央頂点16に形成され得て、ガイドワイヤ32がその孔を通過し得る。よって、ガイドワイヤ32のそうした回転は装置10に対して重大な作用を有せず、その理由は、送達カニューレ20内でのその折り畳み状態でさえ、ガイドワイヤ32が通過する装置10を通る小孔は依然として存在するからである。
【0027】
ガイドワイヤ32の末端部34は柔軟であり得て、従来のバネ先端を組み込み得るか、或は代替的に、プラスチック或はテフロン(登録商標)被覆から形成され得るか若しくは組み込み得て、その閉塞装置に対する結着ファイバの引っ掛けを防止する。加えて、装置10はガイドワイヤ32の縮径セグメント上に位置決めされ得て、その縮径セグメントが装置10よりも長寸であり得る。これは、基部或は末端においてガイドワイヤ32の軸線方向移動の限定された量を許容して、システムの曲げ性及び/或は操舵性を更に援助する。こうして送達カニューレ20は、ガイドワイヤ支持に対するより大きな支持或はより小さな支持の何れかを提供することができて、状況や脈管構造或は通路の曲折に依存して操縦される。ガイドワイヤ32が完全に除去されることはないが限定された範囲にわたって軸線方向に移動できる実施例において、低い輪郭の送達カニューレ20(例えば、ガイドワイヤ32の末端部の径と同一か或はそれよりも小さい径を有する送達カニューレ20)と組み合わせられた相対的に大きな径の末端部を有する操舵可能なガイドワイヤ32の使用を可能としている。当業者であれば理解して頂けるように、装置10は自己膨張式であり得るか、或は、バルーン・カテーテル若しくはその類の使用を介して圧力膨張され得る(例えば、可塑性変形可能)。幾つかの自己膨張式実施例における装置10は、温度形状メモリ、圧縮解除、或は、他の任意の適切手段の結果、その膨張形態を帯びることができる。装置10が図4Cに示されるようにその膨張形態を帯びると、該装置が位置決めされた身体内腔を横切って膨張し得て、装置10に形成されたガイドワイヤ通過孔或は開口が充分な大きさとなって、それによって、該ガイドワイヤ32がその膨張した装置10を通じて引っ込められて、該装置を然るべき位置に残すように、引き出しのために送達カニューレ20の内腔内に戻されることになる形態を装置10は帯びる。
【0028】
図9及び図9Aは、子宮内視鏡64が用いられて内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10の観察及び/或はその移植の促進を為す手続きの一例を示す。この子宮内視鏡64は、内腔或は作業チャネル70を有する長寸の柔軟性装置、発光レンズ又はポート68、並びに、受像レンズ又はポート66を備える。初めに子宮(内視)鏡64は、図示されるように、子宮UTを介して基部卵管FT内に前進させられる。次いで送達カニューレ20が子宮鏡64の作業チャネル70を通じて前進させられる。医師は、子宮鏡64を通じて、送達カニューレ20の該子宮鏡64の末端部からの前進を観察できる。長さ指示色付きゾーン及び/或はマーク72は送達カニューレ20上の複数の特定箇所に設けられて、子宮鏡64の末端部から前進させられた送達カニューレ20の長さを指示する。よって医師は、カニューレ20が卵管FT内における所望の深さ又は箇所まで前進させられたことを指示する特定色付きゾーン又は他の長さマーク72を見るまで、そのカニューレ20を前進させる。長さマーク72は送達カニューレ20上の複数箇所に形成されて、送達カニューレ20の末端部が、典型的には、卵管FTの壁内部分或は子宮管UTJ内における卵管口OSの末端における所望移植サイトに到達したことを、子宮鏡64を介して医師に指示する。幾つかの場合、装置10は卵管FTにおける他の場所にも移植され得て、例えば、卵管FTの地峡領域、卵管の地峡領域の末端或は膨大部領域内若しくは膨大部近辺等々。幾つかの実施例において、3つの分離したマーク72(例えば、定規タイプのハッシュマーク等の3つの異なる色付きゾーン或は可視マーク)医師は幾つかの識別された移植サイト(例えば、狭部内、狭部及び膨大部の間或はその間における遷移に跨るか、膨大部内)の内の1つまで送達カニューレ20を選択的に前進させる。送達カニューレ20の挿入の位置又は深さを決定する視覚的手段の代替は、超音波、電子或は画像に基づく誘導の使用である。超音波が送達カニューレ20の位置を決定すべく使用される実施例において、1つ或はそれ以上の反響マーカが該送達カニューレ20の先端部上或はその上の他の場所、及び/或は、該送達カニューレ20内の移植可能な装置10の先端部上或はその上の他の場所に配置され得て、超音波画像形成及び超音波誘導での装置10の適切な配置を促進する。任意選択的には、物理的障害が送達カニューレ20上に配置されて、挿入超過を防止する。
【0029】
装置を配置する別の手段は蛍光透視鏡誘導下である。この場合、1つ或はそれ以上の放射線不透過性マーカが送達カニューレ20及び/或は送達カニューレ20内の移植可能装置10の上部或はそれら先端上に配置され得て、送達カニューレ20及び蛍光透視鏡下の装置10の位置決めを促進する。
【0030】
内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10は、身体内への移植に続く何等かの期間にわたって、薬物(例えば、薬、治療薬、生体タンパク質、殺精子剤、生物学的要因、細胞調整、友好的な微生物等々)を送達(例えば溶出)し得る。この点に関して、装置10は図中に示されると共に先に記載された形態及び構造であり得て、管状構造内に含有されるファイバ等の薬剤溶出物体として構成され得るか、或は、他の任意の適切形態若しくは構造であり得る。移植された装置から送達される薬物の速度及び/或は量は、既知の薬送達技術に従えば、設計或は制御され得て、投薬量(例えば、子宮、卵管、肺、腫瘍若しくは他の組織、内臓、或は、解剖学的構造の内部での濃度)、送達の箇所(例えば、全身的、局所的、局部的、栄養動脈における指向性下流等々)、並びに、薬或は他の薬物が溶出されるか或は移植された装置によって送達される期間を共に制御する。また、幾つかの局面において、装置10からの薬物の送達は、装置10による溶出及び/或は装置10から特定条件の存在の結果として別の箇所への運搬が為される薬物等、月経周期における様々な時間、概日周期中の様々な血液化学状態、特定の生物学的要因、或は、提示された血圧、直面された血流の存在等の物理的或は医療的状態の結果としての様々な状態等の、患者の体液の物理的状態或は存在/流れに応答し得る。
【0031】
移植された装置から溶出或は送達される薬物は、図5A乃至図7Bに示される幾つかの例等の様々な方法で該装置10の上部或は内部に配置され得る。例えば、装置10或はその何らかの部分は、薬物が含有されている内腔或は内部キャビティを有する中空部材(例えば、管或はファイバ)から構成或はそれらを含み得て、次いでその薬物は中空部材の壁或は部分を通じて拡散、中空部材に形成された孔或は開口からの滲出或は移送、或は、他の任意の適切手段によってその中空部材から溶出し得る。図5は薬物送達マトリックス18が装置10上に配置されている該装置10の一例を示す。このマトリックス18は組織内方成長のためのマトリックス(例えば、足場、フォーム、或は、支持構造)として振る舞うばかりではなく、薬物の被覆、薬物の含浸、或は、薬物の含有をも為して、その薬物が装置10の移植に続いてマトリックス18から溶出或は送達される。図5Aは、マトリックス18或はその一部分が薬物が最初に含有されている内腔38を有する中空部材(例えば、中空ファイバ)から形成され、その壁36は薬物が拡散或は通過することによって、中空部材18aから薬物の解放或は溶出を生ずる。図5Bは、マトリックス18或はその一部分が、壁40とその壁40における一方端或は別の場所に形成された開口部42を介して開口する内部キャビティの内腔とを有する中空部材18Bから形成されており、中空部材18b内腔或は内部キャビティ内に含有される薬物は開口42から外部に出て、それによって中空部材18aからの薬物の解放或は溶出を生ずる。各中空部材18a,18bは押出成形され得るか、或は、その内径、壁厚、及び/或は、アウトレット開口サイズが、薬或は他の薬物が装置10から溶出されるか或は送達される速度を制御する。薬或は他の薬物が各中空部材18a,18b内に装填される量或は深さは経時的に薬の分散を制御する(即ち、中空ファイバ内のより大量の薬はその薬が送達されるより長い期間を提供する)。理解して頂けるように、付加的或は代替的には、図5A及び図5Bに示される中空部材18a,18bは脚部材12及び/或は15の全て或は一部を形成すべく使用され得て、マトリックス18からの薬物の溶出或は送達に加えて或はその代替として、薬物は脚部材12及び/或は15から溶出されるか或は送達される。
【0032】
図6乃至図6Cは、脚部材12及び/或は15の全て或は一部が薬或は他の薬物を含有或は送達するように構成されている他の例を示す。幾つかの実施例において、脚部材12及び/或は15の全て或は一部は中空、細胞状、透過性、或は、海綿状であり得て、それらは薬或は他の薬物を含有し得るか(図6B及び図6C参照)、或は、1つ或はそれ以上の貯蔵部材が装置10に結着され得て薬或は薬物を含有する(図6A参照)。次いで薬或は他の薬物は、半透性膜或は開口を通じて貯蔵所から拡散、漏洩、移送、或は、そこを通過し得る。
【0033】
例えば、図6Aに示されるように、薬或は他の薬物を含有する半透性貯蔵部材47は1つ或はそれ以上の脚12の端部に結着し得て、薬或は薬物が貯蔵部材47の壁を通じて拡散し、それによって薬或は薬物の治療効果のある投与量を所望期間にわたって対象に送達する。貯蔵部材47は移植された装置10から除去可能であり得るか或は除去可能であり得ず、幾つかの実施例において、貯蔵部材47は装置10が然るべき位置を維持している間に別の充満貯蔵部材47と原位置で置き換え可能である。例えば、装置10が避妊目的で卵管FT内に移植される適用例において、貯蔵部材47は子宮内視鏡64や、該内視鏡64の作業チャネル70を通過可能である把持装置或は鉗子等の適切な除去装置を介して後日に除去及び/或は置き換えが可能である。代替的には、貯蔵部材47は例えば注射器によって補充可能である。
【0034】
図6Bは、脚部材12の一部48が中空であって薬或は薬物を含有しており、そして半透性ウィンドウ50が、薬或は薬物の治療効果のある投与量が所望期間にわたって対象に送達されるように、それら薬或は薬物が拡散できる材料で形成されている一例を示す。
【0035】
図6Cは、脚部材12の一部44が中空であって薬或は薬物を含有し、複数の小さな穴46が脚12のその部分に形成されて、薬或は薬物がそれらの穴から滲出或は流出し、そして薬或は薬物の治療効果のある投与量が所望期間にわたって対象に送達されるような一例を示す。
【0036】
付加的或は代替的には、薬物は装置10の何等かの部分上に配置(例えば、接着或は付着)された粒子(例えば、顆粒、ビーズ、小胞、気泡、泡、カプセル、リポソーム、マイクロカプセル等々)に含み得るか或はそれに含有されて、装置10が移植された後に薬物がそれら粒子から解放される。
【0037】
図7乃至図7Bは、ペレット或はカプセル等の薬物送達インプラント52が内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10と分離、結着、及び/或は、関連されている別の例を示す。例えば、装置10が避妊目的で卵管FT内に移植されている実施例において、避妊薬物送達インプラント52が装置10の基部に移植されるか、その内部に移植されるか、或は、その末端に移植され得る。ペレットのマトリックスは幾つかの実施例において生物分解性であって(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等々から形成されている)、所望或は所定の期間後にそのペレットは溶解して消耗される。薬物送達ペレット或はインプラントを製作する方法は、下記の特許文献6乃至9を含んで当業界では以前より知られており、引用することでそれら全体をここに合体させる。
【特許文献6】米国特許第3,625,214号
【特許文献7】米国特許第3,991,750号
【特許文献8】米国特許第5,855,915号
【特許文献9】米国特許第6,306,914号
【0038】
理解して頂きたいことは、薬或は他の薬物は装置10の任意の部分或は任意の要素の内部に任意の適切な方法で組み込まれ得ることである。例えば薬或は薬物は、移植に続いて、装置10から流出、溶解、融解、漏れ、或は、そこを通過する物質(例えばプラスチック)と混合され得る。そうした実施例において、薬或は薬物の分子はプラスチックのポリマー鎖の間を移転或は通過するような大きさとされ得て、それら薬或は薬物が所望の期間にわたってそのプラスチックから濾し出されるか或はそこを通過する。特定の実施例において、薬或は薬物は、押出成形される被覆か、或は、装置の内部或はその上部に配置された物質の全て或は一部に適用される被覆を形成するか或はその被覆内に組み込まれ得て、それら薬或は薬物が所望の速度或は所望の期間にわたってその被覆から溶出するか或はそこを通過する。特定の実施例において、薬或は薬物は、装置10の全て或は一部に適用される被覆を形成するか或はその被覆内に組み込まれ得て(例えば、脚部材12及び/或は15は自己膨張ニッケル-チタニウム合金或は他の金属等の材料で形成され得て、それら薬或は薬物から構成される或は含有する被覆で被覆され得る)、それら薬或は薬物が所望の速度或は所望の期間にわたってその被覆から溶出するか或はそこを通過する。特定の実施例において、1つ或はそれ以上の穴、刻み目、或は、他の組織は脚部剤12及び/或は15、任意選択的なマトリックス18、或は、装置10の他の部分に穴開けされるか或は形成され得て、所望の薬或は薬物はそれらの穴、刻み目、或は、他の組織に配置され得て、薬或は薬物が所望期間にわたってそれらの穴、刻み目、或は、他の組織から溶出或はそこを通過する。それらの穴、刻み目、或は、他の組織の径及び/或は深さは、薬或は薬物が装置から溶出或はそこを通過する速度及び時間を制御すべく選択され得る。特定の実施例において、薬物は生理学的状態に応答し得て、それら状態に応じて薬物の送達を制御する。例えば、避妊目的で薬物が卵管内において解放される場合、その薬物の解放が患者の月経周期によってある程度まで制御され得る。特定の周知の生理学的状態は、卵巣からの卵子の解放(ここでは排卵と言われる)時或はその後まもなくして子宮或は卵管の内部で広がる。殺精子剤或は他の同様の避妊薬物のペレットは、排卵時に広がる生物学的状態に応じて溶解される薬物で被覆され得るが、他の時間での子宮及び卵管の内部で広がる生物学的状態では相対的に不溶性である。これは主に排卵時にその薬物の解放を生じ、よって、正にそれが効果的となる時に避妊を高める長期継続の避妊ペレットとなる。生物学的状態に応じる薬物の解放の別の例は、腫瘍への栄養動脈内に配置された化学療法剤等のように、より多量の薬物が増大血流に応じて解放される場合である。血流が減少すると、より少量の化学療法薬物が解放されて、腫瘍への血流が中断されながら減少された全身効果となる。血圧、概日周期、並びに、その類への反応もこの発明に従って設計され得る。
【0039】
図8及び図8Aに示されるように、本発明は移植可能な内腔閉塞及び/或は薬物送達装置54をも提供し、その装置は、卵管がその中の何処に装置54を有するかを指示する視覚的確認のため、卵管から解けるか或は子宮内に延在するフラグ或はマーカ60を更に備える。この特定の非限定例において、装置54は、組織内方成長を促進し、そしてそれが移植されている卵管或は他の身体内腔を閉塞するように設計されたメッシュ体56を備える。アーム58はメッシュ体56から延在して、マーカ60が図示されているように該アーム58に結着されている。任意選択的には、このフラグ或はマーカ60、及び/或は、装置54のメッシュ体56は、先に記載されたように薬物(例えば、避妊薬、抗真菌薬、抗生物質、骨盤内災症疾患等のSTD(性病)の処理のための薬剤、殺精子剤等々)を含有し得る。また任意選択的には、このフラグ或はマーカ60は、溶解性或は生物分解性であること、及び/或は、先に記載された内視鏡或は子宮内視鏡等を介して後日に回収可能及び除去可能である。装置のフラグ若しくはマーカ60或は他の任意の構成要素が身体から除去可能である実施例において、構成要素は、短期の移植だけに望ましい銅等の物質を含有し得る。
【0040】
本発明の薬物溶出移植可能装置10,54は様々な適用例において使用可能であり得る。例えば、先に記載されたように、該装置10,54が卵子移動或は移植を遮断する目的で卵管FTや女性の尿生殖路内の別の場所に移植される適用例において、装置10,54は、管腔内装置の移植に続く少なくとも何等かの初期期間、妊娠を抑制すべく女性避妊剤或は殺精子剤を付加的に溶出或は送達し得る。任意の効果的な避妊或は殺精子剤は、妊娠を回避する所望治療効果となる量が使用され得る。
【0041】
使用され得る避妊剤の特定例は、ノアプラント・システムに含有される避妊ホルモン(合成プロゲスチン、即ち、分子式(d(-)-13-β-エチル-17-α-エチニール-17-β-ハイドロキシゴン-4-en-3-one)と312.45の分子量を有するレボノルゲストレ、及び/或は、限定されるわけではないが、酢酸メドロキシブロゲステロン、ノルエチステロン・エナント、プロゲストゲン、レボノルゲストレ、(プロゲストゲンとしての)レボノルゲストレ、(エストロゲンとしての)エチニール・エストラジオール、(プロゲストゲンとしての)ノルプロゲストゲン、エチニール・エストラジオールと組み合わせられたレボノルゲストレ、ノルエチステロン・エナント、エチニール・エストラジオールと組み合わせられた乗るゲストゲン、キナクリン等々を含む他の様々な避妊ホルモン調合剤を含む。キナクリンはホルモンではない。むしろ、キナクリンは、化学的な非外科的不妊化を為すべく使用され得る。キナクリン塩酸ペレットは子宮内に直に挿入されると、キナクリンは液化して卵管内に流入して、恒久的な瘢痕化と為す。記録された失敗率やキナクリン不妊化に関係された持続副作用は低かったが、論争がキナクリンの長期安全性、効能を巡って展開され、生殖路感染に関連している。しかしながら、この発明の内腔遮断移植可能装置と組み合わせられた或はその一部としての卵管内のキナクリンの直接配置は、厄介な全身毒性無しに卵管内における局所的効果を促進するキナクリンの使用或はキナクリンの相対的に低レベルを可能としている。
【0042】
避妊のために装置10が卵管FT内に移植される適用例において装置10は、a)卵子が子宮UT内に移植されないように子宮組織(例えば子宮内膜)に対する効果を生じさせる、及び/或は、b)排卵の中断を生じさせる量の避妊剤を送達し得る。典型的には、排卵の中断を生じさせるべく送達される避妊薬剤の投与量は、子宮内膜内における卵子の非移植を生じさせるべく送達される投与量よりも多い。例えば、装置10は、レボノルゲストレ(d(-)-13-β-エチル-17-α-エチニール-17-β-ハイドロキシゴン-4-en-3-one)の約10マイクログラムから約70マイクログラムまでを送達し得る。この投薬量範囲(例えば、一日当たり約10マイクログラムから一日当たり約30マイクログラムまで)のより低い部分内におけるレボノルゲストレの投薬量は、投薬量範囲(例えば、一日当たり約30マイクログラムから一日当たり約70マイクログラムまで)のより高い部分における投薬量は排卵の中断を生じさせるべく使用され得る一方で、子宮内膜内における卵子の非移植を生じさせるべく使用され得る。しかしながらこの投薬量は変動し得て、この発明は任意の特定投薬量或は任意の特定剤に限定されない。実際、装置10から送達されべき特定の避妊剤の最適投薬量は、患者の年齢、装置10が卵管FT内に移植される特定箇所、装置10が一方のみ或は両方の卵管FTに移植されるか等の様々な因子に依存し得る。
【0043】
使用され得る特定の殺精子剤の特定例は、限定されるわけではないが、ノノキシノール-9、オクトキシノール-9、メンフェゴール、塩化ベンズアルコニウム、並びに、N-ドカサノールを含む。
【0044】
また、感染或は病原菌感染が問題である適用例において、装置は抗菌剤(例えば、殺菌剤、抗生物質、抗ウィルス剤、抗細胞間剤等々)を溶出或は送達し得る。移植された装置から溶出或は送達され得る抗菌剤の特定例は、限定されるわけではないが:アシクロビル;アマンタジン;アミノグリコシド抗生物質(例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、並びに、トブラマイシン);アモキシシリン;アモキシシリン/クラブラン酸;アンフォテリシンB;アンピシリン;アンピシリン/スルバクタン;アトバクオン;アジスロマイシン;セファゾリン;セファピリン;セフォタキシム;セフォテタン;セフポドキシム;セフタジジム;セフチゾキシム;セフトリアキソン;セフロキシム;セファレキシン;クロラムフェニコール;クロトリマゾール;シプロフロキサシン;クラリスロマイシン;クリンダマシン;ダブソーン;ジクロキサシリン;ドキシサイクリン;エリスロマイシン;フルコナゾール;フォスカネット;ガンシクロビル;ガンチフロザシン;イミペネム/シラスタチン;イソニアジド、イトラコナゾール+(スポラノックス(登録商標));ケトコナゾール;メトロニダゾール;ナフシリン;ナフシリン;ナイスタチン;ペニシリン;ペニシリンG;ペンタミジン;ビペラシリン/タゾバクタム;リファンピン;キヌプリスチン-ダルフォプリスチン;チカルシリン/クラブラン;トリメトプリム/スルファメトキサゾール;バラシクロビル;バイコマイシン;マフェナイド;スルファジアジン銀;ムピロシン;ナイスタチン;トリアムシノロン/ナイスタチン;クロトリマゾール/ベータメタゾン;クロトリマゾール;ケトコナゾール;ブトコナゾール;ミコナゾール;チオコナゾール、微生物を混乱させるか或は無能化する洗浄剤風化学薬品(例えば、ノノキノール-9、オクトキノール-9、塩化ベンズアルコニウム、メンフェゴール、並びに、N-ドカサノール)、目標細胞への病原菌結着の遮断及び/或は伝染性病原菌の入場の遮断する化学薬品(例えば、PC-515(カラギナン)等の硫酸化及びスルポン化ポリマー、Pro-2000、並びに、デキストリン2、硫酸);HIV或は他のレトロウィルスが細胞内で複製することを防止する抗レトロウィルス剤(例えば、PMPAゲル)、「植物体」として知られる植物から遺伝学的に構成された抗ウィルス抗体等の病原菌と戦う遺伝学的に構成されるか或は天然に生ずる抗体、病原菌に対して敵対的に為すべく組織の状態を変更する薬剤(膣pH(例えば、バッファ・ゲル及び造酸性)を変更する薬物、或は、膣内の過酸化水素の生産を為すバクテリア(例えば、乳酸菌)、を含む。
【0045】
また、幾つかの適用例において、薬物溶出移植可能装置は腫瘍近辺の身体内腔(例えば、血管、気管支、肝管、総胆管、膵管等々)内に配置されて、該装置は腫瘍を処理すべく1つ或はそれ以上の制癌剤を送達し得る。この発明において使用され得る制癌剤の特定例としては、限定されるわけではないが、アルキル化剤或は癌のDNAを攻撃することでガン細胞を直接殺す他の薬剤(例えば、シクロホスファミド、イソホスファミド)、ニトロソウレア或は細胞DNA修復に必要な変化を抑制することでガン細胞を殺す他の薬剤(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、代謝拮抗物質及び通常はDNA合成である特定の細胞機能に干渉することでガン細胞成長を遮断する他の薬剤(例えば、6メルカプトプリン及び5-フルオロウラシル(5FU))、抗腫瘍抗生物質及びDNAを結着するか或は挿入して、RNA合成を防止することで作用する他の化合物(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、並びに、ブレオマイシン)、植物性(ビンカ)アルカロイド及び植物から誘導される他の抗癌剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)、ステロイド・ホルモン、ホルモン阻害薬、ホルモン受容体拮抗薬及びホルモン応答性癌の成長に影響する他の薬剤(例えば、タモキシフェン、ハーセプチン、アミノグルテタミド及びフォルメスタン等のアロマターゼ抑制剤、レトロゾル及びアナストラゾル等のトリアゾル抑制剤、エグゼメスタン等のステロイド抑制剤)、抗血管形成タンパク質、小分子、遺伝子治療剤及び/或は腫瘍の血管形成或は脈管化を抑制する他の薬剤(例えば、メス-1、メス-2、サリドマイド(サロミド)、ベバシズマ(アバスチン)、スクワラミン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオザイム、AE-941(ネオバスタ)、CC-5013(レビミド)、ミジ-522(ビタクシン)、2-メトキシエストラジオール(2ME2、パンゼン)、カルボキシアミドトリアゾル(CAI)、コムブレタスタチンA4プロドラッグ(CA4P),SU6668、SU11248、BMS-275291、COL-3、EMD121974、IMC-1C11、IM862、TNP-470、セレコクシブ(セレブレクッス)、ロフェコキシブ(ビオクッス)、インターフェロンα、インターロイキン-12(IL-12)、或は、下記の非特許文献1で識別される化合物の内の任意のもの)、生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン、カルメッド・ゲラン菌(BCG)、モノシオナール抗体、インタールケン2、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)等々)、PGDFレセプター抑制因子、ハーセプチン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、カルムスチン、cクロラムブシル、シタラビン、ダカルバジン、エトポシド、フルカルバジン、フルオロウラシル、ゲムシタバイン、ヒドロキシウレア、イフォサファミド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルフォン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトアジトローネ、オキサリプラチン、プロカルバジン、ストレプトシン、タクソール、タキソテール、アナログ/コンジナー、並びに、ここには挙げられていない制癌剤と共にそのような化合物の誘導体、を含む。
【非特許文献1】サイエンス、第289冊、1197−1201頁、2000年8月17日
【0046】
幾つかの実施例において、内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10,54は制癌用途で使用され得る。図10及び図10Aに示される例において、腫瘍Tは動脈A及び静脈Vが貫通して走る肉茎Pを有する。本発明の内腔閉塞及び/或は薬物送達装置10はその動脈A内に移植されて該動脈を閉塞することによって、腫瘍への血流を切断、及び/或は、腫瘍Tへ抗新生物薬或は制癌薬物を送達を為す。これら適用例の内の幾つかにおいて、移植された装置10は、それが位置決めされている身体内腔を通じて、該装置の移植に続く少なくとも初期期間わたって腫瘍内に入る血液或は他の体液の何等かの流れを許容とすべく続行し得る(例えば、装置10内への組織内方成長が血管或は他の身体内腔の内腔を閉鎖するまで)。このようにして、装置10によって溶出或は送達された制癌薬物は移植に続く何等かの所望期間にわたって腫瘍T内に運ばれる。その後、装置10内への細胞内方成長は、制癌薬物の所望投与量が腫瘍Tに送達された後、動脈Aの漸進的で完全な閉塞を生じさせる。腫瘍Tへの血流のこの遮断は制癌薬によって殺されなかった任意の残存腫瘍細胞の幾らか或は全てを抑制するか或は殺すべく更なる役割を果たし得る。この薬の解放は栄養血管を通る血流の速度に基づき制御され得る。動脈Aは経時的に閉塞し、薬のより少ない総量は血流内で解放され、よってより少ない劇的な副作用と一般的にはなる化学療法剤のより少ない全身効果となる。他方、制癌薬物の濃度は、一般に、低減された流れに基づき血液中で僅かにより大きく濃縮されて、より大きく濃縮されるが、腫瘍Tに対してより局所的な治療効果となる。
【0047】
図11乃至図11Bに示されるこの発明の更に別の適用例において、移植可能管腔内装置10は肺L内に移植されて、その肺Lの一部への空気流を遮断する。図11に示されるように、気管Tは左右の主幹気管支MBに分岐されている。次いで、各主幹気管支MBは多数の二次的気管支SB内に分岐している。特に図示された非限定例において、装置10は、左肺Lの下方肺葉内に至る二次的気管支SBに移植される。この移植に続いて、装置10はその二次的気管支SBの即座或は漸進的な完全閉塞を生じさせ得て、空気が罹患肺葉或はその二次的気管支SBを通る空気を受け取る肺実質の領域に入ることを防止する。そうした漏洩或は疾患は、例えば、肺気腫気泡、外傷性肺穿刺、或は、医原性肺破裂から生じ得る。他の場合、装置10は気管支を通る気流を実質的に遮断せず、そして、可能であれば気管支の内腔を開口に保持する足場組み或はステント機能を実行すべく構成され得る。装置の何れのタイプでも、薬或は薬物は該装置によって隣接肺疾患組織内に溶出或は送達され得る。例えば、装置が肺の穿刺領域への閉鎖を為すべく移植された場合、その装置は抗生物質或は他の薬剤(例えば、気管支拡張薬、粘液溶解薬、去痰薬等々)を溶出して、肺組織内に存在するか或は発展している感染或は他の状態を局所的に阻止或は処理する。肺気腫或は慢性閉塞性肺疾患を処理すべく装置10が気管支内に移植されている場合、その装置はその根本的な状態或はその症状を処理するに効果的である治療剤を溶出し得る。
【0048】
そうした肺疾患を処理する目的で装置から溶出され得る薬の幾つかの例は、限定されるわけではないが:殺菌薬物(その内の幾つかの例は先に挙げられている);ベクロメサゾン(バンセリル、ベクロベント)、トリアムシノロン(アズマコルト)、フルニソリド(アエロビド)、フルチカゾン(フロベント)、ブデソニド(プルミコルト)、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン(メドロル、ソルメドロル、デポメトロル)、メチルプレドニゾロン(デポ-メドロル)、ヒドロコルチゾン(ソルコルテフ)、メチルプレドニゾロン(ソルメドロル)等のコルチコステロイド;メディエータ解放抑制剤、或は、クロモグリク酸ナトリウム(インタル)、ネドクロミルナトリウム(チレーデ)等のクロモネ、ロイコトリエン-レセプター抑制因子等の抗ロイコトリエン薬(例えば、ザフィアルカスト(アコレート));ロイコトリエン合成抑制剤(例えば、ジレウトン(ジフロー))及び他の抗ロイコトリエン(例えば、モンテルカスト(シングレイヤ)、粘液溶解薬及び去痰薬(例えば、グイフェニスン);βアドレナリン作用薬(例えば、エピネフリン(プライマティーン))、イソプロテレノール(イスプレール)、イソエタリン(ブロンコソル)、メタプロテレノール(アルペント、メタプレール)、アルブテロール(プロベンチル、ベントリン)、テルブタリン(プリキャニル、ブレチネ)、ビトルテロール(トルナレート)、ピルブテロール(マックスエア)、サルメテロール(セレベント)、メチル・キサンチン(例えば、カフェイン、テオフィリン、アミノフィリン、並びに、オクトリフィリン(コレジール))、並びに、抗コリン作用薬(例えば、アトロピン、臭化イプラトロピウム(アトロベント)等の気管支拡張薬、を含む。
【0049】
当業者には理解して頂けるように、様々な変更、追加、削除、組み合わせ、並びに、変形等は、この発明の意図された精神及び範囲から逸脱すること無しに、先に記載されると共に図中に示された各種例に対して為され得る。そうした全ての正当な変更、追加、削除、組み合わせ、並びに、変形等はこの開示に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1Aは、本発明に従った折り畳み形態での内腔閉塞及び/或は薬物送達装置の一実施例の側面図であり、図1Bは、膨張形態での図1Aの装置の側面図であり、図1Cは、膨張形態であると共に装置上における任意選択的な薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスを有する図1A及び図1Bの装置の側面図である。
【図2】図2Aは、送達カニューレ及びプッシャ装置と組み合わせられた図1A及び図1Bに示された内腔閉塞/薬物送達装置を含む本発明のシステムの一実施例の展開斜視図であり、図2Bは、プッシャが内腔閉塞/薬物送達装置を送達カテーテルの末端部から放逐すべく使用されている、図2Aのシステムの斜視図である。
【図3】図3Aは、移植可能な装置のオーバーザワイヤ送達用に設計された本発明のシステムの別の実施例の部分的な縦断面図であり、図3Bは、送達カテーテルの末端部から突出されたガイドワイヤを伴う図3Aのシステムを示す。
【図4】図4は、左卵管内に挿入された図3A及び図3Bのオーバーザワイヤ・システムを有する患者の子宮及び左卵管の断面図であり、図4A乃至図4Cは、図4に示されたシステムが患者の左卵管内に内腔閉塞/薬物送達装置を移植すべく使用される、手続きにおける3つのステップを示す。
【図5】図5は、任意選択的な薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスを上部に有する本発明の内腔閉塞/薬物送達装置の拡大斜視図であり、図5Aは、図5の装置の薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスの一部の拡大破断図であり、薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスが、患者の身体内への移植に続いて、薬物を送達すべく構成され得る1つの方式を図示し、図5Bは、図5の装置の薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスの一部の拡大破断図であり、薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスが、患者の身体内への移植に続いて、薬物を送達すべく構成され得る別の方式を図示す。
【図6】図6は、本発明の内腔閉塞/薬物送達装置の拡大斜視図であり、該装置はその上に任意選択的な薬物送達及び/或は内方成長支持マトリックスを有し、該装置の各種部分は、患者の身体内への移植に続いて薬物の制御された送達を実行すべく構成されており、図6Aは、図6の装置の一部の拡大図であり、該装置が、患者の身体内への移植に続いて、薬物の送達を為すべく構成され得る1つの方式を図示しており、図6Bは、図6の装置の一部の拡大図であり、該装置が、患者の身体内への移植に続いて、薬物の送達を為すべく構成され得る別の方式を図示しており、図6Cは、図6の装置の一部の拡大図であり、該装置が、患者の身体内への移植に続いて、薬物の送達を為すべく構成され得る更に別の方式を図示している。
【図7】図7は、折り畳み形態であると共にその薬物送達貯蔵所を有する、本発明に従った内腔閉塞/薬物送達装置の側面図であり、図7Aは、膨張形態で配置された図7の装置の側面図であり、図7Bは、図7及び図7Aの装置の薬物送達貯蔵所の拡大斜視図である。
【図8】図8は、任意選択的な視覚化部材を有する、本発明に従った内腔閉塞/薬物送達装置の別の実施例の斜視図であり、図8Aは、図8の装置の一部の拡大図である。
【図9】図9は、子宮鏡と左卵管内に挿入された本発明に従った送達システムとを有する患者の子宮及び左卵管の断面図であり、図9Aは、子宮鏡の末端部と図9のセグメント9Aの隣接部との拡大図であり、送達カテーテルの子宮鏡の作業チャネルからの前進を示す。
【図10】図10は、本発明の内腔閉塞/薬物送達装置が患者の左肺の気管支内に移植されている、患者の気管及び肺の概略図を示し、図10Aは、本発明の内腔閉塞/薬物送達装置がその中に移植されている、図10に示された左肺の気管支の拡大断面図であり、図10Bは、本発明の内腔閉塞/薬物送達装置の移植が肺実質の罹患或は損傷した部分への吸気の流れを遮断し得る方式を示す肺の断面図である。
【図11】図11は、本発明の閉塞送達装置が挿入された患者の肺を示し、図11Aは、破線円で示された図11の部分の拡張部分的破断図であり、図11Bは、然るべく配置された送達カテーテル及び閉塞装置を示す患者の肺の一部の破断図である。
【符号の簡単な説明】
【0051】
10,54 内腔閉塞及び/或は薬物送達装置
12 第2脚セグメント
15 第1脚セグメント
18 マトリックス
20 カニューレ
22 プッシャ装置
28 プッシャ
30 プッシャ・ヘッド
32 ガイドワイヤ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
人或は獣医学的な対象の身体内腔内への移植のための装置であって、
身体内腔の閉塞を生じさせるべく身体内腔内に移植可能である管腔内部材と、
前記管腔内部材の上部、内部、或は、近辺に配置されて、前記身体内腔内への前記管腔内部材の移植に続く少なくとも何等かの期間にわたって何等かの目標組織に送達される多量の治療薬物と、
を含む装置。
【請求項2】
前記装置が卵管内或は女性生殖器官の他の内腔内に移植されて、移植に続いてその内腔を閉塞するに効果的である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置によって送達される前記治療薬物が避妊剤を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記避妊薬物が、合成プロゲスチン、レボノルゲストレ、酢酸メドロキシブロゲステロン、ノルエチステロン・エナント、プロゲストゲン、レボノルゲストレ、(プロゲストゲンとしての)レボノルゲストレ、(エストロゲンとしての)エチニール・エストラジオール、(プロゲストゲンとしての)ノルプロゲストゲン、エチニール・エストラジオールと組み合わせられたレボノルゲストレ、ノルエチステロン・エナント、エチニール・エストラジオールと組み合わせられた乗るゲストゲン、並びに、キナクリンからなるグループから選択される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置によって送達される前記治療薬物が殺精子剤を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記殺精子剤が、ノノキシノール-9、オクトキシノール-9、メンフェゴール、塩化ベンズアルコニウム、並びに、N-ドカサノールから成るグループから選択される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置によって送達される前記治療薬物が抗菌剤を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記抗菌剤が、アシクロビル、アミノグリコシド、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アモキシシリン、アモキシシリン+クラブラン酸、アンフォテリシンB、アンピシリン、アンピシリン/スルバクタン、アトバクオン、アジスロマイシン、セファゾリン、セファピリン、セフォタキシム、セフォテタン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロトリマゾール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマシン、ダブソーン、ジクロキサシリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、フルコナゾール、フォスカネット、ガンシクロビル、ガンチフロザシン、イミペネム、シラスタチン、イミペネム+シラスタチン、イソニアジド、イトラコナゾール、ケトコナゾール、メトロニダゾール、ナフシリン、ナフシリン、ナイスタチン、ペニシリン、ペニシリンG、ペンタミジン、ビペラシリン、タゾバクタム、ビペラシリン+タゾバクタム、リファンピン、キヌプリスチン、ダルフォプリスチン、キヌプリスチン+ダルフォプリスチン、チカルシリン、クラブラン酸、チカルシリン+クラブラン酸、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、トリメトプリム+スルファメトキサゾール、バラシクロビル、バイコマイシン、マフェナイド、スルファジアジン銀、ムピロシン、ナイスタチン、トリアムシノロン、ナイスタチン、トリアムシノロン+ナイスタチン、クロトリマゾール+ベータメタゾン、ブトコナゾール、ミコナゾール、チオコナゾール、微生物を混乱させるか或は無能化する洗浄剤風薬物、ノノキノール-9、オクトキノール-9、塩化ベンズアルコニウム、メンフェゴール、N-ドカサノール、目標細胞への病原菌結着の遮断及び/或は細胞内への伝染性病原菌の入場の遮断する化学薬品、硫酸化及びスルポン化ポリマー、キラギナン、Pro-2000、デキストリン2硫酸、抗レトロウィルス剤、PMPAゲル、病原菌と戦う遺伝学的に構成されるか或は天然に生ずる抗体、病原菌に対して敵対的に為すべく組織の状態を変更する薬剤、膣pHを変更する薬物、バッファ・ゲル、造酸、膣内の過酸化水素の生産を為すバクテリア、並びに、乳酸菌、から成るグループから選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、輸精管の内腔或は男性生殖器官の他の内腔の内部に移植されて、その移植に続いての該内腔の閉塞に効果的である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置によって送達される前記治療薬物が殺精子剤を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記殺精子剤が、ノノキシノール-9、オクトキシノール-9、メンフェゴール、塩化ベンズアルコニウム、並びに、N-ドカサノールから成るグループから選択される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が気管支或は肺の他の内腔の内部に移植される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記薬物が経時的に漸次解放される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記管腔内部材が脚を有し、前記薬物がそれら脚から送達される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記脚が中空であり、前記薬物がそれら脚内に含有される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記脚がそれらの上部に配置された薬物送達粒子を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記脚が複数の孔を有し、前記薬物が最初にそれら孔内に含有される、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記管腔内部材がマトリックスを含み、前記薬物が最初にそのマトリックス内に含有される、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記マトリックスが複数の中空ファイバを含み、前記薬物が最初にそれら中空ファイバ内に含有される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記マトリックスが複数の孔を含み、前記薬物が最初にそれら孔内に含有される、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記薬物が最初に前記管腔内部材近辺に移植可能である薬物送達インプラント内に含有される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記管腔内部材がカプセルを含み、前記薬物が最初にそのカプセル内に含有される、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記カプセルが詰め替え可能である、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
人或は動物の対象の卵管における内腔内に閉塞装置を送達するための避妊送達システムであって、
前記対象の卵管内に配置される大きさの閉塞装置と、
前記閉塞装置が配置される前記卵管内に子宮を通じて挿入可能である送達カニューレであり、前記閉塞装置を前記卵管内に送達するために使用可能であり、前記卵管内を前進させられた当該送達カニューレの長さを判別すべく利用され得る少なくとも1つの長さマークを有する送達カニューレと、
前記送達カニューレと前記少なくとも1つの長さマークを見て前記卵管内に前進させられた前記送達カニューレの長さを決定すべく使用可能な画像形成装置と、
を備える避妊送達システム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのマークが前記送達カニューレ上の色付き領域を含む、請求項24に記載に避妊送達システム。
【請求項26】
前記指示が前記外側面における一連の定規様マークである、請求項24に記載の避妊送達システム。
【請求項27】
前記画像形成装置がスコープを含む、請求項24に記載の避妊送達システム。
【請求項28】
前記スコープが子宮内視鏡を含む、請求項27に記載の避妊送達システム。
【請求項29】
前記画像形成装置が超音波画像形成装置を含む、請求項24に記載の避妊送達システム。
【請求項30】
前記画像形成装置が蛍光透視鏡を含む、請求項24に記載の避妊送達システム。
【請求項31】
人或は動物の対象において避妊を生じさせるシステムであって、
前記対象の生殖通路内に移植可能な膨張自在閉塞部材であり、a)当該閉塞部材が前記生殖通路内に前進させることを可能とするような充分に小型である第1形態で利用可能であり、そして、b)次に、当該閉塞部材が前記生殖通路の壁と係合する第2形態に膨張できる膨張自在閉塞部材と、
前記生殖通路内への前記閉塞部材の移植に続き、ある期間にわたって、患者に薬理的避妊効果を生じさせるに充分な量で前記閉塞部材から送達される多量の避妊薬物と、
を含むシステム。
【請求項32】
前記薬物がホルモンを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記薬物がプロゲスチンを含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記薬物が合成プロゲスチンを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記薬物がレボノルゲストレを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
前記薬物が、(d(-)-13-β-エチル-17-α-エチニール-17-β-ハイドロキシゴン-4-en-3-one)を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項37】
前記薬物が、312.45の分子量を有する(d(-)-13-β-エチル-17-α-エチニール-17-β-ハイドロキシゴン-4-en-3-one)を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項38】
前記閉塞部材が、卵管の内腔内に移植される大きさであり且つそのように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項39】
前記閉塞部材が、当該閉塞部材内への組織或は細胞の内方成長を促進する、請求項31に記載のシステム。
【請求項40】
前記閉塞部材が、膨張自在なフレームと、該フレーム内或はその上に実質的に配置されたマトリックスとを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項41】
前記薬物が前記マトリックスの上部或は内部に配置される、請求項31に記載のシステム。
【請求項42】
前記薬物が経時的に漸次解放される、請求項31に記載のシステム。
【請求項43】
前記閉塞部材が複数の脚を有し、前記薬物がそれら脚から送達される、請求項31に記載のシステム。
【請求項44】
前記脚が中空であり、前記薬物がそれら脚内に含有される、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記脚がそれらの上部に配置された薬物送達粒子を有する、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記脚が複数の孔を有し、前記薬物が最初にそれら孔内に含有される、請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
前記閉塞部材がマトリックスを含み、前記薬物が最初に前記マトリックス内に含有される、請求項31に記載のシステム。
【請求項48】
前記マトリックスが複数の中空ファイバを含み、前記薬物が最初にそれら中空ファイバ内に含有される、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記マトリックスが複数の孔を含み、前記薬物が最初にそれら孔内に含有される、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
カプセルを更に含み、前記薬物が最初にそのカプセル内に含有される、請求項31に記載のシステム。
【請求項51】
前記カプセルが詰め替え可能である、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記閉塞部材が前記生殖通路の可逆的閉塞を為す、請求項31に記載のシステム。
【請求項53】
前記生殖通路の閉塞が、前記閉塞部材の少なくとも一部と、該閉塞部材内或は該閉塞部材のその一部内に成長した任意の組織とを除去することによって可逆的となっている、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記閉塞部材が前記生殖通路の閉塞を増大する炎症性反応を惹起する、請求項31に記載のシステム。
【請求項55】
前記閉塞部材が当該閉塞部材を前記生殖通路の壁に固定する手段を更に含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項56】
前記閉塞部材を前記生殖通路の壁に固定する前記手段が機械的連結装置を含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記閉塞部材を前記生殖通路の壁に固定する前記手段が接着剤を含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項58】
卵管或は輸精管を有する人或は動物の対象において妊娠を防止する方法であって、
i)卵管或は輸精管の閉塞を生じさせるべく該卵管或は輸精管の内部に移植可能であり、ii)前記閉塞部材の移植に続き、少なくともある期間にわたって、避妊或は殺精子を生じさせるべく効果的である充分な量で避妊或は殺精子の薬物を送達する装置を提供する段階と、
前記装置を卵管或は輸精管の内部に移植する段階と、
の諸段階を含む方法。
【請求項59】
前記薬物がホルモンを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記装置が卵管内に移植され、前記薬物がプロゲスチンを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記装置が卵管内に移植され、前記薬物が合成プロゲスチンを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記装置が卵管内に移植され、前記薬物がレボノルゲストレルを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記装置が、一日当たり、約10マイクログラムから約70マイクログラムまでのレボノルゲストレルを送達する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記装置が卵管内に移植され、前記薬物が(d(-)-13-β-エチル-17-α-エチニール-17-β-ハイドロキシゴン-4-en-3-one)を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記装置が卵管内に移植され、312.45の分子量を有する(d(-)-13-β-エチル-17-α-エチニール-17-β-ハイドロキシゴン-4-en-3-one)を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記装置が膨張自在なフレームと、そのフレームの内部或は上部に実質的に配置されたマトリックスとを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記マトリックスが組織内方成長を促進する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記薬物が最初に前記マトリックスの上部或は内部に配置される、請求項66に記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−521081(P2007−521081A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517792(P2006−517792)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020976
【国際公開番号】WO2005/000161
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(506013645)エイエムエス・リサーチ・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】