説明

身体運動評価装置、及び身体運動評価システム

本発明の身体運動評価装置11は、人体の動作に伴い発生する加速度に関する情報を検出する加速度検出手段12と、前記検出された加速度に関する情報に基づいて、予め定められた演算を行う演算手段13と、前記演算における所定の演算期間を設定するための演算制御手段14と、人体の第1の所定行動の開始又は完了の検出に関する情報を含む第1の行動検出信号を外部より受信する信号受信手段17とを備えた人体に装着可能な装置であって、演算制御手段14は、信号受信手段17により受信された前記第1の行動検出信号に基づいて前記演算の開始時を定め、前記開始時から所定の時間が経過するまでの期間を前記演算期間として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、リハビリテーション等において利用可能な身体運動評価装置、及び身体運動評価システムに関するものである。
【背景技術】
骨疾患などにより手術を受け、リハビリテーションを必要としている人は数多く存在し、その病状の回復速度を左右するのは、患者の自主的なトレーニングであると言われている。
また、近年、高齢社会の到来により、例えば、一人住まいの高齢者の安否を、遠隔地の医者や家族などが確認出来る様にしたいという要望が増加している。また、これとは別に、入院中の高齢者の体調管理をよりきめ細かく行いたいとの要望が増加してきている。
さらに、健常者においても、食生活の変化から貧血気味の人が増加しており、これに伴うめまいや立ちくらみなどにより転倒して危険な状況になる場合もある。
また、上記原因とは別に、めまいなどの平衡障害の原因として、前庭神経炎などの耳疾患、脳梗塞・脳出血・慢性脳循環不全症などの脳血管障害、高血圧・低血圧・起立性低血圧などの血圧異常などが考えられる。
この様な異常を早期に発見することは、健常者の健康上の安全を確保するという面においても重要である。
上述したリハビリテーションによる患者の回復状況や、高齢者の体調や、健常者の健康等を客観的に判断する従来の方法として次の様な方法が知られている。即ち、被検者の所定部位にターゲット(例えば、カラーマーカー)を取り付け、そのターゲットをテレビカメラで撮影することにより、被検者の動作解析を行う等の方法が知られている(例えば、特開平06−50983号公報参照。以下、これを特許文献1と称す)。
尚、特許文献1の全ての開示は、そっくりそのまま引用することにより、ここに一体化する。
しかし、上述のように、リハビリテーション後および病後の患者の体調の管理や、健常者の立ちくらみなどの異常状態を管理するための動作解析用のデータを取得する期間は、管理者が被検者の動作解析を行うために直接立ち会うことが出来る期間に限られていたので、被検者の状況を常時確認することが出来なかった。
また、その場合、被検者の動作データを取得及び処理する作業は、管理者の主観や個人的な判断に任されており、しかもその作業には大変な労力が必要であった。そのため、一般的には、そのようにして得られたデータを客観的な指標として評価することは困難であった。
また、特許文献1に記載のようにテレビカメラにより、被検者の運動の解析を行う方法では、テレビカメラが設置されている範囲でしか状況を把握することができなかった。そこで、この状況を常時、かつ客観的に評価できる方法が必要とされていた。
また、上記管理データについて客観的な評価を行うときには、管理者が、評価対象となる一定の行動のデータ範囲を取得された全データから手動で抽出する必要がある。しかし、この作業は管理者にとって大きな負担となる。
更に、リハビリテーション中の患者の回復状態を長期間にわたり定期的に評価する場合には、次のような課題があった。
即ち、一部のデータを評価し忘れたりする危険性があった。また、管理者の個人的な判断により、評価対象となるデータの抽出作業を行うので、切り出されたデータの範囲が、客観的に見て常に一定の条件を満たしているという保証が無かった。そのため、例えば、本来は評価対象とすべきでない他の行動のデータが混入した低い精度の評価結果しか得ることができないという課題があった。
【発明の開示】
本願発明は、上述した従来の課題を考慮して、被検者の運動機能の回復状態等を、従来に比べて簡単に、精度良く評価することができる、身体運動評価装置、及び身体運動評価システム等を提供することを目的とする。
第1の本発明は、人体の動作に伴い発生する加速度に関する情報を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出された前記加速度に関する情報に基づいて、あらかじめ定められた演算を行う演算手段と、
前記演算手段の前記演算における所定の演算期間を設定する演算制御手段と、
前記人体の第1の所定行動の開始又は完了の検出に関する情報を含む第1の行動検出信号を外部より受信するための信号受信手段と、を備えた、人体に装着可能な身体運動評価装置であって、
前記演算制御手段は、前記信号受信手段により受信された前記第1の行動検出信号に基づいて前記演算の開始時を定め、前記開始時から所定の時間が経過するまでの期間を前記演算期間として設定する身体運動評価装置である。
第2の本発明は、人体の動作に伴い発生する加速度に関する情報を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出された前記加速度に関する情報に基づいて、あらかじめ定められた演算を行う演算手段と、
前記演算手段における所定の演算期間を設定する演算制御手段と、
前記人体の第1の所定行動の開始又は完了の検出に関する情報を含む第1の行動検出信号を外部より受信するための、及び、前記人体の第2の所定行動の開始又は完了の検出に関する情報を含む第2の行動検出信号を外部より受信するための信号受信手段と、を備えた、人体に装着可能な身体運動評価装置であって、
前記演算制御手段は、前記信号受信手段により受信された前記第1の行動検出信号に基づいて前記演算の開始時を定め、前記第2の行動検出信号に基づいて前記演算の終了時を定め、前記演算の開始時から前記終了時までの期間を前記演算期間として設定する身体運動評価装置である。
第3の本発明は、前記加速度検出手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記信号受信手段により前記第1の行動検出信号を検出した時刻から前記加速度検出手段の電源を起動し、所定の時間が経過したあと前記加速度検出手段の電源を中断する上記第1の本発明の身体運動評価装置である。
第4の本発明は、前記加速度検出手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記信号受信手段により前記第1の行動検出信号を検出した時刻から前記加速度検出手段の電源を起動し、前記第2の行動検出信号を検出した時刻から前記加速度検出手段の電源を中断する上記第2の本発明の身体運動評価装置である。
第5の本発明は、人体の前記第1の所定行動の開始あるいは完了を検出し、前記第1の行動検出信号を出力する第1行動検出手段と、
上記第1又は上記第3の本発明の身体運動評価装置と、
を備えた身体運動評価システムである。
第6の本発明は、人体の前記第1の所定行動の開始あるいは完了を検出し、前記第1の行動検出信号を出力する第1行動検出手段と、
人体の前記第2の所定行動の開始あるいは完了を検出し、前記第2の行動検出信号を出力する第2行動検出手段と、
上記第2又は上記第4の本発明の身体運動評価装置と、
を備えた身体運動評価システムである。
第7の本発明は、前記第1行動検出手段が、赤外線投光手段又は電界発生手段であり、
前記信号受信手段が、(1)赤外線受光手段又は、(2)電界受信手段及び信号復調手段である上記第5の本発明の身体運動評価システムである。
第8の本発明は、前記第1行動検出手段と前記第2行動検出手段との少なくとも何れか一方が、赤外線投光手段又は電界発生手段であり、
前記信号受信手段が、(1)赤外線受光手段又は、(2)電界受信手段および信号復調手段である上記第6の本発明の身体運動評価システムである。
第9の本発明は、前記第1行動検出手段は、
(1)前記第1の行動検出信号を送信する信号送信手段と、
(2)所定の検知範囲を対象者が通過した通過状態を検出する通過検出手段、所定の扉の開閉を検出する扉開閉手段、又は所定の個所における対象者の荷重を検出する荷重検出手段と、
を備えた上記第5の本発明の身体運動評価システムである。
第10の本発明は、前記第1行動検出手段又は前記第2行動検出手段は、
(1)前記第1又は第2の行動検出信号を送信する信号送信手段と、
(2)所定の検知範囲を対象者が通過した通過状態を検出する通過検出手段、所定の扉の開閉を検出する扉開閉手段、又は所定の個所における対象者の荷重を検出する荷重検出手段と、
を備えた上記第6の本発明の身体運動評価システムである。
第11の本発明は、前記通過検出手段は、所定の検知範囲における床反力センサあるいは遮蔽物を検出する距離センサである上記第9又は10の本発明の身体運動評価システムである。
第12の本発明は、前記荷重検出手段は、トイレの便座上から対象者が離れた解離状態又は、前記トイレの便座上に前記対象者が着座した着座状態を検出する解離・着座検出手段である上記第9又は10の本発明の身体運動評価システムである。
第13の本発明は、前記解離・着座検出手段は、
(1)前記トイレの便座に加わる荷重を検出する荷重センサと、
(2)前記荷重センサにより検出した荷重から解離状態を判定する解離・着座状態判定手段と、
を備える上記第12の本発明の身体運動評価システムである。
第14の本発明は、前記解離・着座状態判定手段は、
(1)前記荷重センサにより検出された荷重が、第1の所定の値以下の荷重を検出した時点で前記解離状態と判定するか、又は、
(2)前記荷重センサにより検出された荷重が、第1の所定の値以下の荷重を検出し、かつ所定の時間が経過した時点で前記解離状態と判定する、
上記第13の本発明の身体運動評価システムである。
第15の本発明は、前記解離・着座状態判定手段は、前記荷重センサにより検出された荷重が、第1の所定の値以上であることが検出された時点で、前記対象者が着座状態であると判定する上記第13の本発明の身体運動評価システムである。
第16の本発明は、前記加速度検出手段は、
(1)前記人体の体軸方向の加速度である第1の加速度と、
(2)前記体軸方向に直交し且つ前記人体の正面方向の加速度である第2の加速度と、前記人体の体軸方向および人体の正面方向の両方に直交する第3の加速度との少なくとも何れか一方と、
を検出する上記第1又は2の本発明の身体運動評価装置である。
第17の本発明は、前記加速度検出手段は、前記検出された前記第1の加速度と前記第2の加速度とに基づいて、重力の加速度方向を検出する上記第16の本発明の身体運動評価装置である。
第18の本発明は、前記演算手段は、前記加速度検出手段により得られた信号の変化量の積算結果又は、前記信号の変動の周期を演算する上記第1、又は2の本発明の身体運動評価装置である。
第19の本発明は、前記身体運動評価装置は、
前記演算手段の演算結果を蓄積する蓄積手段と、
前記演算手段による演算結果を表示するための表示手段とをさらに備え、
前記表示手段は前記蓄積手段に蓄積された蓄積結果を時系列に表示する上記第5、又は6の本発明の身体運動評価システムである。
第20の本発明は、前記身体運動評価装置は、前記演算手段による前記演算結果又は、前記蓄積手段に蓄積された前記蓄積結果を送信する内部送信手段をさらに備え、
前記身体運動評価システムは、
(1)前記内部送信手段により送信された送信結果を受信する外部受信手段と、
(2)前記送信結果を表示する第2の表示手段と、
をさらに備えた上記第19の本発明の身体運動評価システムである。
第21の本発明は、前記内部送信手段は、前記蓄積手段に新規に蓄積結果が追加されたとき、又は前記演算手段により前記演算が行われたときに送信すべき内容を送信する上記第20の本発明の身体運動評価システムである。
第22の本発明は、前記外部受信手段により受信した受信結果を蓄積する第2の蓄積手段をさらに備えた上記第19の本発明の身体運動評価システムである。
第23の本発明は、前記第2の蓄積手段に蓄積された蓄積結果のうち任意の結果を選択し、前記選択した結果を前記第2の表示手段に表示させるための入力手段をさらに備えた上記第22の本発明の身体運動評価システムである。
第24の本発明は、上記第1又は2の本発明の身体運動評価装置の前記演算手段及び、前記演算制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
第25の本発明は、上記第24の本発明のプログラムを担持した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態1にかかる身体運動評価装置の概略構成図である。
第2図は、本発明の実施の形態1にかかる身体運動評価装置の概略構成図である。
第3図は、本発明の実施の形態1にかかる身体運動評価装置の概略構成図である。
第4図は、本発明の実施の形態1にかかる運用状況の一例である。
第5図は、本発明の実施の形態1にかかる運用状況の一例である。
第6図は、本発明の実施の形態1にかかる運用状況の一例である。
第7図は、本発明の実施の形態1にかかる第1行動検出手段/第2行動検出手段の組み合わせ例とその場所を示す図である。
第8図は、距離センサ及び通過センサの設置例を示す概略図である。
第9図は、本発明の実施の形態1にかかる解離・着座検出手段の構成を示す模式図である。
第10(a)図、第10(b)図は、本発明の実施の形態1にかかる荷重変化を示すグラフである。
第11図は、本発明の実施の形態1にかかる身体運動評価装置の動作状態での模式図である。
第12(a)図、第12(b)図は、本発明の実施の形態1にかかる手術直後と、手術から10日後における歩行の重力方向の加速度波形である。
第13図は、本発明の一実施の形態2にかかる身体運動評価装置の概略構成図である。
第14図は、本発明の実施の形態2にかかる歩行を行ったときの1歩の所要時間を示す図である。
第15図は、本発明の実施の形態3にかかる身体運動評価システムの概略構成図である。
第16図は、病院内での総合的な身体運動評価システムを示す図である。
第17図は、実施の形態4にかかる概略構成図である。
第18図は、実施の形態4にかかる離床検出手段の構成図である。
第19図は、実施の形態4にかかる姿勢センサの構成図である。
第20図は、実施の形態4にかかる平衡状態の評価を示す説明図である。
第21図は、実施の形態4にかかる平衡状態の評価を示す模式図である。
第22図は、実施の形態5にかかる概略構成図である。
第23図は、実施の形態6にかかる概略構成図である。
第24(a)図〜第24(c)図は、実施の形態4にかかる平衡状態の評価を示す模式図である。
【符号の説明】
11.身体運動評価装置
12.加速度検出手段
13.演算手段
14.演算制御手段
15.表示手段
16.行動検出手段
17.受信ポート
18.加速度電源
21.第1行動検出手段
22.第2行動検出手段
33.加速度電源制御手段
41.荷重センサ
51.距離センサ
61.床反力センサ
81.荷重センサ
82.距離センサ
83.通過センサ
84.床反力センサ
91.荷重センサ
92.信号処理センサ
93.解離・着座検出手段
111.立位状態
112.座位状態
113.臥位状態
131.蓄積手段
151.送信手段
152.受信手段
153.第2表示手段
161.第2蓄積手段
162.入力手段
211.離床検出手段
212.姿勢センサ
213.基地局
214.管理端末
221.荷重センサ
222.信号処理手段
231.加速度センサ
232.送信制御部
233.送信部
251.算出結果範囲
271.情報送信手段
272.情報受信手段
281.携帯電話
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図16を用いて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の身体運動評価システムの構成について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1の身体運動評価装置11及び身体運動評価システムの一例を示す概略構成図である。
以下に本実施の形態における身体運動評価装置11の構成を説明する。
本実施の形態の身体運動評価装置11は、人体(被検者)の動作に伴い発生する加速度を検出する加速度検出手段12と、前記加速度検出手段12により検出した前記加速度についてあらかじめ定めた演算を行う演算手段13と、前記演算手段13における演算期間を定める演算制御手段14と、前記演算手段13による演算結果を表示する表示手段を備えている。
なお、身体運動評価装置11は、被検者が装着することにより使用する。
前記演算制御手段14は、外部より被検者の所定行動の開始あるいは完了の検出に伴う行動検出信号を、信号受信手段17を介して受信し、前記行動検出信号を検出した時刻から所定の時間が経過するまでの期間を演算期間と定める。上記行動検出信号は、身体運動評価装置11の外部に設置された第1行動検出手段16から送信された信号である。
尚、図1に示すシステムにおいて、平行棒を使用する歩行訓練における被検者の行動を評価対象とする場合、次の様にして演算期間が設定される。
即ち、平行棒の一端から他端までの歩行(図4参照)に最長1分必要であるとする。その場合、被検者が上記一端を通過したことを第1行動検出手段16が検出し、演算制御手段14が、第1行動検出手段16からの信号を受信した後、例えば、予め定められた30秒が経過するまでの期間を演算期間として設定する。
また、図2に示す構成は、本発明の身体運動評価システムの他の例である。
この場合、図2のように、被検者の第1の所定行動の開始あるいは完了を検出する第1行動検出手段21と、被検者の第2の所定行動の開始あるいは完了を検出する第2行動検出手段22とを、身体運動評価装置11の外部に設置した構成である。これにより、第1行動検出手段21からの信号をもとに演算を開始し、第2行動検出手段22からの信号をもとに演算を終了するように設定することで演算期間を定めるようにしてもよい。
また、図3に示す構成は、本発明の身体運動評価システムの更に他の例である。
この場合、図3のように、前記加速度検出手段12の電源18を制御する加速度電源制御手段33を備えた構成である。
これにより、前記信号受信手段17により前記行動検出信号を検出した時刻から前記加速度検出手段12への電源の供給を開始し、所定の時間が経過したあと前記加速度検出手段12への電源の供給を中断するようにする構成にもできる。
このような構成により、評価時間帯以外の消費電力を制限することができる。
図4は本発明の実施の形態1の本システムの使用状況の一例を示すものである。
以下に、図4を参照しながら本実施の形態における身体運動評価システムの使用状況を説明する。
図4ではリハビリ室を想定しており、トレーニングメニューとして平行棒を用いた歩行訓練を行っている様子を示している。平行棒を用いた歩行訓練を通じて得られる被検者の運動評価データによれば、歩行訓練自体が一定の統一的な条件下で行われるものであるため、長期にわたって被検者の運動機能の回復状況を評価をする際、信頼性の高い結果を得ることが可能である。尚、この様に、統一的な条件下で行われる行動の場面を、単に、統一性のある行動場面と呼ぶ。
そのため、平行棒を用いた歩行訓練(以下、単位歩行訓練と呼ぶ)の運動評価を、客観性が高く、高精度で、しかも、継続的に行える様にするためには、被検者の歩行の期間のデータのみを自動的に抽出出来るという構成は、極めて重要な意味を持つ。
そこで、図4に示す様に、本実施の形態では、平行棒の両端にそれぞれ第1行動検出手段21及び第2行動検出手段22の機能を備えた荷重センサ41を装備している。これにより、それぞれの荷重センサ41に身体運動評価装置11の装着者が体重をかけたタイミングを、演算開始/演算終了の出力として、身体運動評価装置11に送信する行動検出情報送信手段を装備することで演算制御手段14を介して演算期間を設定するように構成する。
なお、ここで、複数の距離センサや焦電センサ(図8参照)等を、それらの検出領域が、荷重センサ41の検出領域を包含する様に設置することにより、被検者の存在を検出すると同時に、その被検者の移動方向をも検出しても良い。
この構成により、平行棒の範囲に被検者が侵入したのか、あるいは退場したのかを検出することが可能となる。これにより、平行棒の歩行訓練の期間を、更に高精度に抽出することが可能となる。
また、荷重センサ41と身体運動評価装置11との間の行動検出信号の通信としては無線通信が考えられる。
しかし、実際に平行棒の歩行訓練を行っている身体運動評価装置11の装着者とは別の装着者の装置11が、その無線通信を誤検知することを防ぐためには、無線通信の到達距離としては、数十センチ程度のあまり遠方まで送信できないものを用いるほうが好ましい。
また、図5は本発明の実施の形態1の本システムの使用状況の一例を示す。
図5ではトイレの入室時における入口から便座への着座までの行動を想定している。
このような行動は、日常生活を行う上で比較的一定の統一的な条件下で行われる行動であるため、長期にわたって被検者の運動評価をする際に、統一性のある行動場面とするにふさわしく、信頼性の高い結果を得ることが可能である。
そこで、トイレ入口に第1行動検出手段21として被検者の通過を検知する距離センサ51を装備し、トイレの便座に第2行動検出手段22として荷重センサ41を装備して、それぞれのセンサにおける検知タイミングを演算開始/演算終了の出力として身体運動評価装置11に送信することで演算制御手段14を介して演算期間を設定するように構成する。
なお、ここでは第1行動検出手段21として被検者の通過を検知する距離センサ51を装備したが、これは、床反力センサなどでもかまわない。
また、距離センサ51に代えて、複数の焦電センサ(図8参照)を用いて通過方向までを検知するような通過検知センサ用いることもできる。
このようにすると、移動の方向を同時に検出し、トイレに入室したのかあるいは退室したのかを検出することができるようになる。
そのため、被検者が便座に座っている期間を除いた、トイレの入室時と、退室時におけるそれぞれの期間をさらに高精度に抽出できるようになる。
また、図4と同様に距離センサ41および荷重センサ51と身体運動評価装置11との間の行動検出信号の通信としては無線通信が考えられる。
しかし、この場合も上述した様に、実際にトイレ入室行動を行っている身体運動評価装置11の装着者とは別の装着者の装置11による誤検知を防ぐために、無線通信の到達距離としては、数十センチ程度のあまり遠方まで送信できないものを用いるほうが好ましい。
さらに、時計などの時刻を検出する手段を装備することで、習慣的なトイレ使用行動のデータを、突発的なトイレ使用行動のデータから分離し、統一性のある行動場面としてトイレの入室行動及び退室行動を検出出来る。
また、図6は本発明の実施の形態1の本システムの使用状況の一例を示す。
図6では廊下の通過時における行動を想定している。
廊下の2箇所に第1行動検出手段21及び第2行動検出手段22の機能を備えた、被検者の通過を検知する床反力センサ61を装備している。
これにより、それぞれのセンサにおける検知タイミングを、演算開始/演算終了の出力として、身体運動評価装置11に送信することで演算制御手段14を介して演算期間を設定するように構成する。
なお、ここでは第1行動検出手段21及び第2行動検出手段22として被検者の通過を検知する床反力センサ61を装備する場合を説明したが、これに限らず例えば、距離センサ51などでもかまわない。
また、複数の焦電センサを用いて通過方向までを検知するような通過検知センサを、床反力センサ61の代わりに用いることもできる。
これにより、移動の方向を同時に検出し、廊下の移動方向を検出することができるようになり、さらに高精度に統一性のある行動場面を抽出できる。
また、図4と同様に距離センサ51および荷重センサ41と身体運動評価装置11との間の行動検出信号の通信としては無線通信が考えられる。
しかし、この場合も上述した様に、実際にトイレ入室行動を行っている身体運動評価装置11の装着者とは別の装着者の装置11による誤検知を防ぐために、無線通信の到達距離としては、数十センチ程度のあまり遠方まで送信できないものを用いるほうが好ましい。
また、もし廊下に手すりが装備されている場合で、かつ身体運動評価装置11の装着者が、歩行に際し手すりの補助を必要とする装着者であることがあらかじめ明らかな場合には、図4と同様に荷重センサを手すりに装着するよう構成しても構わない。
また、図7は、図4〜図6に示してきたような第1行動検出手段21及び第2行動検出手段22の組み合わせ例と、その設置場所等を示している。
図7に示した廊下に設置される通過検出センサの具体例としては、床反力センサ61や距離センサ51の他に、例えば、図8に示す様に、距離センサ82、通過センサ83の一例としての赤外線センサ等が挙げられる。尚、図7に示した各種センサの名称の下に、それらの具体的な設置場所を括弧書きで示した。
尚、上述したようなセンサの組み合わせのほかに、トイレなどへの入室を検出する扉開閉センサなどが使用できる。
また、図9は、本発明の一実施の形態の解離・着座検出手段93の構成を示す。
解離・着座検出手段91は、荷重センサ91および信号処理手段92を備え、トイレ便座に設置されて便座に加わる荷重を検出する。荷重センサ91に加わった荷重は、信号処理手段92で信号処理され、荷重センサ91に加わる荷重に対応した信号を連続信号として信号処理手段92から出力する。解離・着座検出手段93は、信号処理手段92から出力された信号を基にして解離状態の開始を検出する。
次に実施の形態1の身体運動評価システムの動作を説明する。
被検者がトイレ便座の上に座っているときは、荷重センサ91は、図10(a)に示す着座状態の荷重を検出する。被検者が用を足してトイレ便座から離れてゆくと、荷重センサ91が検出する荷重が減少し、被検者がトイレ便座から完全に離れた状態となると、荷重センサ91は、図10(a)に示す解離状態の荷重を検出する。
着座状態の荷重と解離状態の荷重の間には、第1の所定値が設定されており、荷重センサ91が第1の所定値を下回ったときに、解離・着座検出手段93は、被検者2の解離状態の開始を検出する。
また、被検者2が解離状態の開始から、所定の時間内に、運動の異状を生じ、トイレ便座の方へ倒れることも考えられる。このような場合には、トイレ便座には、図10(b)に示すように着座状態の荷重を越える大きな荷重が加わる。
このような荷重の閾値として第2の所定値を設定する。被検者2の解離状態の開始から所定時間内に、第2の所定値以上の荷重を荷重センサ91が検出した場合は、これをもとに解離状態であるという判定を解消する。
上記のように第2の所定値を設定し、被検者の解離状態の開始から所定の時間が経過するまでの間、荷重センサ91が、第1の所定値以下の荷重を連続して検出するか、第2の所定値以上の荷重を検出した場合を区別することで、統一性のある行動場面を抽出することができ、リハビリテーション経過をより正確に把握することができる。
図11は、身体運動評価装置11の動作状態での模式図を示したものである。
なお、身体運動評価装置11の内部に装備した加速度検出手段12は、本発明の人体の体軸方向よび本発明の人体の体軸方向に直交する方向に指向性を持った感度の2軸方向型の加速度検出手段12が想定されている。また、加速度検出手段12は、静電容量型などの重力方向を検出することができるものを用いる。
加速度検出手段12が装備されている身体運動評価装置11は、被検者の腰部に装着されることを想定しており、加速度検出手段12の傾きに伴って変化する重力加速度の大きさに比例する信号が身体運動評価装置11から出力として発信される。
図11は左から順番に立位111、座位112、臥位113の各状態を示している。ここで本発明の人体の体軸方向を、一例としてy軸の方向と対応させ、本発明の人体の体軸方向に直交する方向を、一例としてx軸の方向と対応させる。
立位111の場合には、重力方向がy軸と一致し、被検者の前方がx軸と一致する。座位112、および臥位113の場合は、x軸方向で検出される第1の加速度およびy軸方向で検出される第2の加速度の重力方向成分の合計が重力加速度値となる。
また、例えば被検者2が座位112から臥位113に変化した場合は、x軸方向およびy軸方向でそれぞれ生じた第1および第2の加速度の重力方向成分(x軸方向またはy軸方向と、重力方向が成す角度から算出される。)が合計されて、重力加速度値となる。
図12(a)は手術直後における歩行の重力方向の加速度波形を、図12(b)は手術から10日後における歩行の重力方向の加速度波形をそれぞれ示している。演算手段13は、各1歩に要する時間t,t・・・から、平均値tを算出し、表示手段15がその算出結果を表示する。これによりリハビリテーションの進行状況を、客観的な値として取得することができる。
尚、標示手段15による表示の例としては、後述する図13,図14により更に述べる。
(実施の形態2)
実施の形態2の運動評価装置の構成について図面を参照しながら説明する。図13は、本発明の実施の形態2の身体運動評価装置の概略構成図である。
以下に本実施の形態における身体運動評価装置の構成を説明する。
本実施の形態の運動評価装置は、図1の身体運動評価装置11における構成に加え、演算手段13での演算結果を蓄積する蓄積手段131および、その蓄積手段131により蓄積された評価結果を経時的に評価する評価手段132をさらに備えている。
この構成により、評価結果を以前のものと相対的に比較することができるようになるため、リハビリテーションの進行状況を時系列的に確認することができる。
また、図14は、身体運動評価装置11を装着した股関節手術患者が実際に歩行を行ったときの1歩所要時間を示したものである。グラフより、手術後の日数が経過するにつれて患者の歩行に要する時間が減少し、回復していることがわかる。
(実施の形態3)
実施の形態3の身体運動評価システムについて図面を参照しながら説明する。図15は、本発明の実施の形態3の身体運動評価システムの概略構成図である。
以下に本実施の形態における構成を説明する。
本実施の形態は、図13で示した身体運動評価装置をベースにして、身体運動評価装置11内にさらに内部送信手段151を装備し、さらに身体運動評価装置11の外部に、外部受信手段152および第2表示手段153を装備するシステム構成である。実施の形態2と同様の構成要素には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
身体運動評価装置11は、演算手段13での演算結果あるいは蓄積手段により蓄積された評価結果を、送信手段151により受信手段152に送信する。
受信手段152がこの運動を示す情報を受信し、第2表示手段153に表示することにより、遠隔地にいる医者が第2表示手段153を介して状況を把握することができ、たとえば自宅におけるリハビリテーションの進行状況を知ることができる。
また、ここでは遠隔の家族や親類に送信するようにしてもよく、遠隔において把握することができるようになる。
また、図16は、病院内での総合的な身体運動評価システムを示す図である。図16に示す様に、更に第2蓄積手段161を備え、PC端末に第2表示手段153及び入力手段162を備えることで、いつでも各患者毎のリハビリテーションの進行状況を把握することができる。
尚、本発明のプログラムは、例えば、被検者の動作に伴い発生する加速度に関する情報を検出する加速度検出手段12(図1参照)により検出された前記加速度に関する情報に基づいて、あらかじめ定められた演算を行う演算手段13及び、前記演算手段13の前記演算における所定の演算期間を設定する演算制御手段14の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
ここで、前記演算期間は、信号受信手段17により受信された記第1の行動検出信号に基づいて前記演算の開始時が定められて、前記開始時から所定の時間が経過するまでの期間として設定される(図1参照)。あるいは、前記演算期間は、信号受信手段17により受信された、第1行動検出手段21から送信される第1の行動検出信号に基づいて前記演算の開始時が定められ、第2行動検出手段22から送信される第2の行動検出信号に基づいて前記演算の終了時が定められ、前記演算の開始時から前記終了時までの期間として設定される(図2、図3参照)。
また、本発明に係るプログラムは、例えば、上述した本発明の身体運動評価システムの、加速度検出手段12および解離・着座検出手段93から得られる信号から、解離状態の開始から所定の時間が経過するまでの加速度を評価する、身体運動評価装置11としての全部又は一部の装置の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
本発明に係る媒体は、例えば、上述した本発明の身体運動評価システムの、加速度検出手段12および解離・着座検出手段93から得られる信号から、解離状態の開始から所定の時間が経過するまでの加速度を評価する、身体運動評価装置11としての全部または一部の装置の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムを担持した媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して前記機能を実行する媒体である。
尚、上記発明の上記「一部の装置」とは、1つの装置の内の、一部の手段を意味し、あるいは、1つの手段のうちの一部の機能を意味するものである。
次に、上述した本発明に関連する発明の実施の形態について、図17から図24を用いて説明する。
(実施の形態4)
実施の形態4の身体平衡状態評価システムの構成について図面を参照しながら説明する。
図17は本発明の実施の形態4の身体平衡状態評価システムの概略構成図を示すものである。
以下に本実施の形態における身体平衡状態評価システムの構成を説明する。
本実施の形態の身体平衡状態評価システムは、離床検出手段211、本発明の加速度検出手段の一例である姿勢センサ212、基地局213、本発明の身体平衡状態評価管理装置の一例である管理端末214とから構成される。
離床検出手段211と基地局213、管理端末214は接続されている。ここで、接続は有線で記述してあるが、無線の方法をとることもできる。
姿勢センサ212は被検者202の身体に装着されるか所持されている。姿勢センサ212毎に固有の姿勢センサ番号を持たせてもよい。姿勢センサ212から基地局213に送信された情報は管理端末214に送信され、また、離床検出手段211からも管理端末214に情報が送信される。
また、図18は、本発明の一実施の形態の離床検出手段211の構成を示す。離床検出手段211は、荷重センサ221および信号処理手段222を備え、ベッド201のキャスターの下に設置されてベッド201に加わる荷重を検出する。
荷重センサ221に加わった荷重は、信号処理手段222で信号処理され、荷重センサ221に加わる荷重に対応した信号を連続信号として信号処理手段222から出力する。離床検出手段211は、信号処理手段222から出力された信号を基にして離床状態の開始を検出する。
図19(a)は、加速度センサ231を用いて姿勢変化を検出する姿勢センサ212の模式図を示し、図19(b)は、姿勢センサ212を被検者202が装着した様子を示す。
姿勢センサ212は、重力成分を検出できる加速度センサ231、送信制御部232および送信部233から構成される。加速度センサ231は身体の姿勢の変化に伴う加速度を検出し、取得した加速度を送信部233から無線にて送信する。
なお、送信部233の制御は送信制御部232で行う。ここでは送信に無線を用いたが、有線で送信される構成であってもよい。
次に実施の形態4の身体平衡状態評価システムの動作を説明する。
被検者202がベッド201の上に横たわっているときは、荷重センサ221は、図24(a)に示す在床状態の荷重を検出する。在床状態の荷重は、例えば、ベッド201の荷重に被検者の体重を加えたものである。
被検者202が起きてベッド201から離れてゆくと、荷重センサ221が検出する荷重が減少し、被検者202が起き上がってベッド201から完全に離れた状態となると、荷重センサ221は、図24(a)に示す離床状態の荷重(例えばベッド201のみの荷重)を検出する。
在床状態の荷重と離床状態の荷重の間には、第1の所定値が設定されており、荷重センサ221が第1の所定値を下回ったときに、離床検出手段211は、被検者202の離床状態の開始を検出する。
そして、離床状態の開始の時点から、所定の時間が経過するまでの被検者の加速度が、姿勢センサ212により検出され、検出された加速度の情報が基地局213を介して管理端末214に送信される。
管理端末214は、姿勢センサ212で得られた加速度の情報を記憶装置(図示せず)に格納する。
上記所定の時間の例としては、例えば離床状態から2〜5秒が最も好ましい。被検者202が離床したときに上記所定の時間の間に立ちくらみ等の、身体の平衡状態の異状を生じると、姿勢センサ212により得られた加速度の情報が管理端末214の記憶装置に記録される。
姿勢センサ212の動作状態に関する説明は、既に図11を用いて述べた身体運動評価装置11、加速度検出手段12等についての説明を、下記に示す用語の読み替えにより、そのまま代用出来る。
従って、ここでは、重複した説明は省略する。上記用語の読替とは、身体評価装置11を姿勢センサ212に読み替え、加速度検出手段12を加速度センサ231に読み替え、且つ被検者2を被検者202に読み替えるものである。但し、加速度センサ231は、おもり(図示省略)等の手段により重力方向を検出することが出来る。
図20(a)、図20(b)は、管理端末214における身体の平衡状態算出用のテンプレート例について示したものである。
図20(a)は、上述した様に図11を代用して、所定の用語の読み替えをして述べた姿勢センサ212からの出力(重力加速度値)の平均値からの差分を示す図である。この平均値は、測定開始から終了までの期間(例えば、5秒間)に姿勢センサ212から出力された重力加速度の平均値であり、図中では、中央の0レベルとして表されている。
図20(b)は、姿勢センサ212から出力された重力加速度値を予め定められた時間(例えば、5秒間)積算して得られた値を、ランク別に分類するためのテーブルである。
図20(b)に示すテーブルは、想定される重力加速度の積算結果の範囲を予め定めたグループ毎に、ランクを定めたものであり、管理端末214に格納されている。
例えば、ある被検者の測定値として、図20(a)に示す値が得られた場合、それの5秒間の積算値が、2340であった場合、ランクは11となる。この積算処理及びランク分け処理は、管理端末214により行われる。
尚、図20(b)は、テーブルの一部を図示したものである。
また、ここでは、姿勢センサ212は、重力加速度のサンプリング値を出力する場合について述べたが、これに限らず例えば、そのサンプリング値の所定期間内の積算値を出力しても良い。
また、図21は、管理端末214における処理により得られたランクの時系列的な遷移を示した模式図である。例として脚部のリハビリテーション中の使用者が長期間継続使用し、例えば毎日起床時に上記のようなデータを取得する。
図21に示すように、日が経過するにつれて算出ランクが小さくなる(加速度の所定の時間における積算値が小さくなる)様子を確認することができる。算出ランクが小さくなるということは、離床時のふらつきが減少していることを示しており、すなわち患部が順調に治癒していることを示している。
この経過をたとえばディスプレイ(図示せず)に表示するなどすることにより、本人や担当医などが状況を把握することができる。
すなわち、上記のように被検者202の離床時の加速度のデータを経時的に観測すれば、被検者202の治癒経過を客観的に評価することができる。
なお、上記の説明では、被検者202は離床時に、一度にベッド201から離床することを前提としたが、例えば、被検者202が一度離床しようとしてベッド201から離れかけて、身体の平衡状態に異状が生じたのではなく、自らの意志で、または無意識に再度ベッド201に戻る場合も考えられる。
被検者202が離床後、例えば再度ベッドに座ると、図24(c)に示すように、荷重センサ221は、被検者202の離床後、再度、荷重を検出する。このときの荷重は、在床時の荷重以下の荷重である。
管理端末214は、このような状態を検出すると、一旦離床状態が開始され、被検者202の加速度が計測され始めていても、そのようなデータの管理端末214の記憶装置への取り込みを中止し、すでに取り込まれたデータを消去する。再度、被検者202が離床状態の開始から、所定の時間、荷重センサ221が第1の所定値以下の荷重を連続して検出した後に、このように得られたデータが管理端末214の記憶装置に格納される。
また、被検者202が離床状態の開始から、所定の時間内に、平衡状態の異状を生じ、ベッド201の方へ倒れることも考えられる。このような場合には、ベッドには、図24(b)に示すように在床時の荷重を越える大きな荷重が加わる。
このような荷重の閾値として第2の所定値を設定する。被検者202の離床開始から所定時間内に、第2の所定値以上の荷重を荷重センサ221が検出した場合は、管理端末214は、このようなデータを取得すべきデータと判断し、上記のデータは管理端末214の記憶装置に格納される。
上記のように第2の所定値を設定し、被検者202の離床状態の開始から所定の時間が経過するまでの間、荷重センサ221が、第1の所定値以下の荷重を連続して検出するか、あるいは、第2の所定値以上の荷重を検出した場合に、管理端末214が、姿勢センサ212から得られた加速度の情報を評価する。これにより、被検者202の医師または家族等は、より正確な身体の平衡状態の異状を観測することができ、また、被検者202の治癒経過をより正確に把握することができる。
(実施の形態5)
実施の形態5の身体平衡状態評価システムについて図面を参照しながら説明する。
図22は、本発明の実施の形態5の身体平衡状態評価システムの概略構成図を示すものである。
以下に本実施の形態における構成を説明する。
本実施の形態は、図17で示した身体平衡状態評価システムをベースに、管理端末214内にさらに情報送信手段271を装備し、さらに管理端末214から遠隔の場所に情報受信手段272を装備するシステム構成である。実施の形態4と同様の構成要素には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
姿勢センサ212は、図17と同様に被検者202の加速度情報を取得、収集し、身体の平衡状態を示す指標を算出する。算出された平衡状態を示す情報は、情報送信手段271により情報受信手段272に送信される。
情報受信手段272がこの平衡状態を示す情報を受信することにより、遠隔地にいる家族や医者などが状況を把握することができ、たとえばリハビリテーションの進行状況を知ることができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の身体平衡状態評価システムについて、図面を参照しながら説明する。
図23は、本発明の実施の形態6の身体平衡状態評価システムの概略構成図を示すものである。
以下に本実施の形態における構成を説明する。
図23は、情報受信手段として携帯電話282を用い、複数の使用者における使用状況を示したものである。本実施の形態は、図22で示したシステム情報受信手段272として、複数の携帯電話282を設定して構成している。実施の形態4、5と同様の構成要素には、同一の参照番号を付しその説明を省略する。
姿勢センサ212を装着した各被検者202の姿勢センサ212から得られる身体の平衡状態に関する情報から管理端末214は判定を行い、その結果を、情報送信手段81はそれぞれの使用者があらかじめ登録した担当医あるいは家族などが所有する携帯電話282の番号に個別に情報を送信する。
このような情報を受信した携帯電話282において、例えば独自の着信音やバイブレーション機能を用いれば、使用者の状況を遠隔的に把握することができ、例えばリハビリテーションの進行状況を把握出来る。
尚、上記関連発明に係るプログラムは、上述した本発明の身体平衡状態評価システムの、加速度検出手段および離床検出手段から得られる信号から、離床状態の開始から所定の時間が経過するまでの加速度を評価する、身体平衡状態評価管理装置としての全部又は一部の装置の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
また、上記関連発明に係る媒体は、上述した本発明の身体平衡状態評価システムの、加速度検出手段および離床検出手段から得られる信号から、離床状態の開始から所定の時間が経過するまでの加速度を評価する、身体平衡状態評価管理装置としての全部または一部の装置の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムを担持した媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して前記機能を実行する媒体である。
尚、上記発明の上記「一部の装置」とは、1つの装置の内の、一部の手段を意味し、あるいは、1つの手段のうちの一部の機能を意味するものである。
以上述べた様に、第1の関連発明は、ベッド上から被検者の身体が離れた離床状態を検出する工程と、前記身体に装着される加速度検出手段により、前記身体に加わる加速度を検出する工程と、前記離床状態の開始から所定の時間が経過するまでの前記加速度を評価する工程と、を備える身体平衡状態評価方法である。
第2の関連発明は、ベッド上から被検者の身体が離床した状態を検出する離床検出手段と、前記身体に装着され、前記身体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、前記加速度検出手段および前記離床検出手段から得られる信号から、前記離床状態の開始から所定の時間が経過するまでの前記加速度を評価する、身体平衡状態評価管理装置、とを備える身体平衡状態評価システムである。
第3の関連発明は、ベッド上から被検者の身体が離床した状態を検出する離床検出手段に接続され、前記身体に装着され、前記身体に加わる加速度を検出する加速度検出手段に接続され、前記離床検出手段および前記加速度検出手段から得られた信号から、前記離床状態の開始から所定の時間が経過するまでの前記加速度が評価される、身体平衡状態評価管理装置である。
第4の関連発明は、前記離床検出手段が、ベッドに加わる荷重を検出する荷重センサを備え、前記離床状態の開始は、前記荷重センサが、前記身体が在床状態にある荷重よりも小さい第1の所定の値以下の荷重を検出した時点であり、前記離床状態の開始から前記所定の時間が経過するまでの間、前記荷重センサが、前記第1の所定の値以下の荷重を継続して検出するか、前記身体が在床状態にある荷重より大きい第2の所定の値以上の荷重を検出した場合に、前記加速度が評価される、第3の関連発明の身体平衡状態評価管理装置である。
第5の関連発明は、前記加速度検出手段が、前記身体の体軸方向の加速度である第1の加速度と、前記身体の体軸方向に直交する方向の加速度である第2の加速度と、を検出し、検出された前記第1の加速度と前記第2の加速度とから、重力方向の加速度を検出する、第3または4の関連発明の身体平衡状態評価管理装置である。
第6の関連発明は、前記離床状態の開始から前記所定の時間が経過するまでの間において、前記加速度検出手段から得られた信号を積分することにより、前記身体の状態が評価される、第3から5のいずれかの関連発明の身体平衡状態評価管理装置である。
第7の関連発明は、前記積分された信号が毎日取得され、前記取得された信号を経時的に評価することにより、前記身体の状態が評価される、第6の関連発明の身体平衡状態評価管理装置である。
第8の関連発明は、第2の関連発明の身体評価管理システムの、前記加速度検出手段および前記離床検出手段から得られる信号から、前記離床状態の開始から前記所定の時間が経過するまでの前記加速度を評価する身体平衡状態評価管理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
第9の関連発明は、第8の関連発明のプログラムを担持した媒体であって、コンピュータで利用可能な媒体である。
尚、上記発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
又、上記発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
又、記録媒体としては、ROM等が含まれ、伝送媒体としては、インターネット等の伝送媒体、光・電波・音波等が含まれる。
又、上述した上記発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
尚、以上説明した様に、上記発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
また、上記発明によれば、加速度センサ231(又は、加速度検出手段12)により取得した加速度情報を管理端末214(又は、演算手段13)によって収集し、所定期間内のデータを積算し、加速度情報をランク分けしたり、あるいは、評価手段131により評価する。
これにより、近年小型化、高精度化、かつ低コスト化が進んでいる加速度センサを使用することにより、コンパクトに、安価にすることができるとともに、取りつけ位置を腰部などの体幹にすることにより取得データを実際の平衡状態にともなうデータとして評価でき、取得情報の信頼性も得られる。
また、上記発明は、算出結果を使用者や担当医に報知することで、一般の健康管理という観点からも有効に機能する。
また、上記発明によれば、被検者の動作に伴い発生するデータが一定の条件下で取得できる様にするために、例えば、起床時(又は、平行棒等を利用したリハビリテーションの開始時及び終了時)を自動的に検出するようにして、データの収集及び評価を行うものである。
これにより、一定条件下でのデータ収集を実現でき、一定条件において病後の体調等を客観的に評価することが可能となる。
上記発明は、被検者の身体の平衡状態又は、被検者の身体運動を評価するシステムを提案するものである。また、この評価に際し、例えば、起床時を検出することにより自動的に一定の条件に基づいたデータが収集でき、正確な評価をすることができる。
これにより、従来、有効な方法がなかった、リハビリテーション後、あるいは、病後などにおける被検者の運動機能状態や、体調の回復状態を簡便に且つ確実に管理することが出来る。
尚、姿勢センサ212及び管理端末214等の上記各種機能の全部又は一部の機能は、上述した身体運動評価装置11に内蔵された加速度検出手段12、演算手段13、演算制御手段14、評価手段132等により実現する様にしても良い。
【産業上の利用可能性】
本発明に係る身体運動評価装置、及び身体運動評価システムは、被検者の運動機能等を、従来に比べて簡単に、精度良く評価することができるという長所を有し、例えば、リハビリテーション後の被検者の運動機能の回復状態等を簡便に管理するシステムとして有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の動作に伴い発生する加速度に関する情報を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出された前記加速度に関する情報に基づいて、あらかじめ定められた演算を行う演算手段と、
前記演算手段の前記演算における所定の演算期間を設定するための演算制御手段と、
前記人体の第1の所定行動の開始又は完了の検出に関する情報を含む第1の行動検出信号を外部より受信するための信号受信手段と、を備えた、人体に装着可能な身体運動評価装置であって、
前記演算制御手段は、前記信号受信手段により受信された前記第1の行動検出信号に基づいて前記演算の開始時を定め、前記開始時から所定の時間が経過するまでの期間を前記演算期間として設定する身体運動評価装置。
【請求項2】
前記加速度検出手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記信号受信手段により前記第1の行動検出信号を検出した時刻から前記加速度検出手段の電源を起動し、所定の時間が経過したあと前記加速度検出手段の電源を中断する請求項1記載の身体運動評価装置。
【請求項3】
前記加速度検出手段は、
(1)前記人体の体軸方向の加速度である第1の加速度と、
(2)前記体軸方向に直交し且つ前記人体の正面方向の加速度である第2の加速度と、前記人体の体軸方向および人体の正面方向の両方に直交する第3の加速度との少なくとも何れか一方と、
を検出する請求項2記載の身体運動評価装置。
【請求項4】
前記加速度検出手段は、前記検出された前記第1の加速度と前記第2の加速度とに基づいて、重力の加速度方向を検出する請求項3に記載の身体運動評価装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記加速度検出手段により得られた信号の変化量の積算結果又は、前記信号の変動の周期を演算する請求項4記載の身体運動評価装置。
【請求項6】
人体の前記第1の所定行動の開始あるいは完了を検出し、前記第1の行動検出信号を出力する第1行動検出手段と、
請求項1又は請求項2記載の身体運動評価装置と、
を備えた身体運動評価システム。
【請求項7】
前記第1行動検出手段が、赤外線投光手段又は電界発生手段であり、
前記信号受信手段が、(1)赤外線受光手段又は、(2)電界受信手段及び信号復調手段である請求項6記載の身体運動評価システム。
【請求項8】
前記第1行動検出手段は、
(1)前記第1の行動検出信号を送信する信号送信手段と、
(2)所定の検知範囲を対象者が通過した通過状態を検出する通過検出手段、所定の扉の開閉を検出する扉開閉手段、又は所定の個所における対象者の荷重を検出する荷重検出手段と、
を備えた請求項7記載の身体運動評価システム。
【請求項9】
前記荷重検出手段は、トイレの便座上から対象者が離れた解離状態又は、前記トイレの便座上に前記対象者が着座した着座状態を検出する解離・着座検出手段である請求項8記載の身体運動評価システム。
【請求項10】
前記解離・着座検出手段は、
(1)前記トイレの便座に加わる荷重を検出する荷重センサと、
(2)前記荷重センサにより検出した荷重から解離状態を判定する解離・着座状態判定手段と、
を備える請求項9記載の身体運動評価システム。
【請求項11】
前記解離・着座状態判定手段は、
(1)前記荷重センサにより検出された荷重が、第1の所定の値以下の荷重を検出した時点で前記解離状態と判定するか、又は、
(2)前記荷重センサにより検出された荷重が、第1の所定の値以下の荷重を検出し、かつ所定の時間が経過した時点で前記解離状態と判定する、
請求項10記載の身体運動評価システム。
【請求項12】
前記解離・着座状態判定手段は、前記荷重センサにより検出された荷重が、第1の所定の値以上であることが検出された時点で、前記対象者が着座状態であると判定する請求項11記載の身体運動評価システム。

【国際公開番号】WO2004/026138
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【発行日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537588(P2004−537588)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011864
【国際出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究成果にかかる特許出願(平成14年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「人間行動適合型生活環境創出システム技術」再委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】