説明

車両に用いられるホイールサスペンション

車両に用いられるホイールサスペンションであって、ボディ(7)と、ホイール(8)と、少なくとも1つのリンク(2)とが設けられていて、該リンク(2)によってホイール(8)がボディ(7)に結合されており、軸受け(3)が設けられていて、該軸受け(3)によってリンク(2)が、少なくとも1つの旋回軸線(6)を中心にして旋回可能にボディ(7)に支承されており、該ボディ(7)に軸受け(3)の内側部分(9)が取り付けられており、さらに角度測定装置が設けられていて、該角度測定装置によってボディ(7)に対して相対的な前記旋回軸線(6)を中心としたリンク(2)の旋回が検出可能であり、前記角度測定装置が、信号発生器(25)として形成された構成エレメントと、センサ(18)として形成された構成エレメントとを有しており、両構成エレメントのうちの一方の構成エレメントが、リンク(2)の外側に取り付けられており、両構成エレメントのうちの他方の構成エレメントが、ボディ(7)に対して位置固定の保持装置(15)に、リンク(2)に対して間隔を置いて取り付けられている形式の、車両に用いられるホイールサスペンション。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられるホイールサスペンションであって、ボディと、ホイールと、少なくとも1つのリンクとが設けられていて、該リンクによってホイールがボディに結合されており、軸受けが設けられていて、該軸受けによってリンクが、少なくとも1つの旋回軸線を中心にして旋回可能にボディに支承されており、該ボディに軸受けの内側部分が取り付けられており、さらに角度測定装置が設けられていて、該角度測定装置によってボディに対して相対的な前記旋回軸線を中心としたリンクの旋回が検出可能であり、前記角度測定装置が、信号発生器もしくは発信器として形成された構成エレメントと、センサとして形成された構成エレメントとを有している形式のものに関する。
【0002】
さらに本発明は、このような形式のホイールサスペンションを備えた車両に関する。
【0003】
車両の前車軸に取り付けられる車高センサ装置のためには、ボールジョイントに組み込まれた角度センサが開発されている。この角度センサは従来汎用の車高センサに比べて著しく頑丈であり、より良好な信号品質を提供し、しかもより廉価である。たいていの車両の場合にはボールジョイントが組み込まれていない車両後車軸のためには、ラバーマウントもしくはゴム軸受けにおける車高の測定方法が開発されている。しかしこの測定方法には幾つかの欠点がある。たとえば軸受けのゴムトラック(Gummispur)内に磁石が持ち込まれなければならず、このことは軸受けの構成スペースの増大を招く。さらに、特殊な磁化を有する、プラスチック結合された磁石、磁気抵抗型のセンサ、外部の増幅器およびマイクロコントローラにより、ボールジョイントに設けられた角度センサに比べてコストが高められる。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10221873号明細書に基づき、バウンドセンサを備えたゴム軸受けが公知である。このゴム軸受けは内側リングと、外側リングと、内外両リングの間に配置されたゴムリングとを有している。外側リングには、保持装置を用いてホールセンサが取り付けられている。このホールセンサは2つの磁石の間に嵌め込まれており、両磁石は取付け部分を用いて内側リングに取り付けられている。内側リングが外側リングに対して回動させられると(このことはバウンドもしくはリバウンドに相当する)、ホールセンサは左右いずれかの側の磁石に向かって運動し、これによりホールセンサの範囲における磁界が変化する。磁界の変化は後置された電子装置を介して検出される。
【0005】
欧州特許出願公開第1707922号明細書には、外側ブシュと、内側ブシュと、両ブシュの間に配置されたエラストマ体とを備えたブシュ軸受けが開示されている。エラストマ体は2つの部分に分割されており、この場合、両エラストマ体部分の間に形成された間隙には、永久磁石と、電流磁気型のセンサとが磁気的に直列に接続されて、内側ブシュに固く結合されている。さらに、前記間隙には、導磁性の材料から成るリングが配置されている。このリングは前記磁気的な直列回路を環状に取り囲んでいて、両側にこの直列回路に対するエアギャップを有している。このリングは、内側ブシュに対する外側ブシュの回動が、形成されたエアギャップ長さの変化をもたらすように成形されている。このブシュ軸受けを用いて、ホイールを案内するリングが、車両の車両ボディに旋回可能に結合されている。
【0006】
この解決手段において不都合となるのは、軸受けのゴム体に磁石および/またはセンサが組み込まれ、このことが、本来の軸受けの構成スペースの増大ならびに比較的手間のかかる製作を招いてしまうことである。
【0007】
さらに、ドイツ連邦共和国特許第4429859号明細書には、車両に用いられるホイールサスペンションが開示されている。このホイールサスペンションはボディと、ホイールと、少なくとも1つのリンクとを備えており、このリンクによってホイールがボディに結合されている。このホイールサスペンションはさらに軸受けを備えており、この軸受けによってリンクが、少なくとも1つの旋回軸線を中心にして旋回可能にボディに支承されており、このボディには軸受けの内側部分が取り付けられている。さらに、角度測定装置が設けられており、この角度測定装置によってボディに対して相対的な前記旋回軸線を中心としたリンクの旋回が検出可能である。角度測定装置は、信号発生器(6a)として形成された構成部分と、センサとして形成された構成部分とを有している。信号発生器とセンサとを備えた角度測定装置はリンクの側方に配置されているので、一方ではこのような装置が広幅な構造を有するという不都合があり、他方ではセンサの駆動もしくは固持のための板ばねの形の、軸受けの外部に配置された付加的な構成部分が必要となる。
【0008】
上記公知先行技術を認識した上で、本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式のホイールサスペンションを改良して、軸受けの構造に角度測定装置の影響ができるだけ僅かにしか与えられないようなホイールサスペンションを提供することである。
【0009】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載のホイールサスペンションおよび請求項8に記載の車両により解決される。本発明の有利な改良形は請求項2〜請求項7もしくは請求項9に記載されている。
【0010】
車両、特に自動車に用いられる本発明によるホイールサスペンションは、上部構造もしくはボディと、ホイールと、少なくとも1つのリンクとを有しており、該リンクによってホイールがボディに結合されている。本発明によるホイールサスペンションはさらに軸受けを有しており、該軸受けによってリンクが、少なくとも1つの旋回軸線を中心にして旋回可能にボディに支承されており、該ボディに軸受けの内側部分が、特に相対回動不能に取り付けられている。本発明によるホイールサスペンションはさらに、角度測定装置を有しており、該角度測定装置によってボディに対して相対的な前記旋回軸線を中心としたリンクの旋回が検出可能である。この角度測定装置は信号発生器として形成された構成エレメントと、センサとして形成された構成エレメントとを有しており、両構成エレメントのうちの一方の構成エレメントはリンクの外側に取り付けられており、両構成エレメントのうちの他方の構成エレメントはボディに対して位置固定の保持装置に、リンクに対して間隔を置いて取り付けられている。さらに、信号発生器はリンクの外面に取り付けられており、センサは信号発生器のすぐ近くに配置されている。
【0011】
本発明によるホイールサスペンションでは、信号発生器もセンサも軸受けの外部に配置されているので、軸受けをセンサ装置に適合させる必要がない。したがって、軸受けとして、組み込まれたセンサ装置なしにエラストマ軸受けまたはゴム軸受けを使用することが可能となる。信号発生器は特に、センサが、旋回軸線を中心としたリンクの旋回角度または回転角度を特徴付ける特に電気的な信号もしくは該旋回角度もしくは回転角度を表す特に電気的な信号を供給または変調するようにセンサと協働するか、またはセンサと協働することができる。
【0012】
ホイールサスペンションにおいては磁気的な角度測定装置が有利であることが判っているので、信号発生器が磁石として形成されており、センサが、磁界に敏感な、つまり感磁界性のセンサまたは磁気センサとして形成されていると有利である。特に信号発生器は永久磁石により形成されているので、信号発生器に電気的な線路を供給する必要はない。しかし、択一的には信号発生器が電磁石として形成されていてもよい。
【0013】
磁石が、プラスチック周壁もしくはプラスチック被覆体を備えていると有利である。このプラスチック被覆体は磁石を環境影響因子から保護する。プラスチック被覆体が十分な大きさを有していると、このプラスチック被覆体によって磁石をリンクに固定することができ、特にリベット締結することができる。補足的または択一的には、たとえば磁石および/またはプラスチック被覆体をリンクに接着固定することが可能である。
【0014】
保持装置は特に金属薄板から形成されていて、スリットを備えていると有利である。この場合、センサは少なくとも1つの溝を備えたハウジングを有しており、該溝内に前記スリットの縁部が係合している。ハウジングは互いに背中合わせに位置する2つの溝または円形または部分円形の1つの溝を備えていると有利である。これにより、互いに向かい合って位置する2つのスリット縁部を前記溝内に係合させることができる。前記溝の幅は特に金属薄板の厚さよりも少しだけ小さく形成されているので、センサハウジングは金属薄板に摩擦接続的に保持されて、スリットに沿った望ましくないずれが防止されている。したがって、センサを簡単に保持装置に組み付け、かつ再び保持装置から簡単に取り外すことができる。保持装置は有利にはボディに取り付けられていて、前記スリットと共に段状に延びていてよい。したがって、センサのハウジングを段部の範囲でスリット内に押し込むことが可能となる。
【0015】
別の変化形では、保持装置が前記内側部分に取り付けられている。このためには、保持装置が2つの脚部を有していてよい。両脚部の間には前記内側部分が配置されており、この場合、センサは保持装置の、前記両脚部を互いに結合するベース部に取り付けられている。保持装置は前記内側部分に相対回動不能に取り付けられていると有利である。特に、前記両脚部のうちの少なくとも一方の脚部が突出部を有しており、この突出部は前記内側部分に設けられた溝内に係合する。したがって、溝内に係合した突出部は保持装置のための回動防止装置を形成する。
【0016】
軸受けはブシュ軸受け、ボールスリーブジョイントまたは別の軸受けまたは別のジョイントであってよく、有利にはエラストマ軸受けまたはゴム軸受けとして形成されている。特に軸受けは、前記内側部分を取り囲む外側部分を有しており、該外側部分は、たとえばリンクにより形成されているか、またはリンクに設けられた切欠き内に嵌め込まれており、この場合、外側部分と内側部分との間にエラストマ体が配置されていると有利である。この場合、外側部分と内側部分とは、エラストマ体を挟んで互いに結合されていてよい。外側部分は特に相対回動不能にリンクに結合されていて、有利には中空円筒状の外側のスリーブを形成している。さらに内側部分は一貫して延びる切欠きを備えており、かつ/またはボールスリーブまたは円筒状の内側のスリーブとして形成されていてよい。外側部分は特に内側部分に対して旋回軸線を中心にして回転可能である。エラストマ体が間に挟まれていると、この回転がエラストマ体の変形下に行われ得る。
【0017】
本発明の1実施態様では、磁石が、横方向リンクもしくはトランスバースリンクとして形成されたリンクのボディ側の端部に取り付けられる。この場合、機械的な保護のために磁石はプラスチック被覆体を備えている。磁石はトランスバースリンクに接着されているか、または大型のプラスチック部分もしくは大型のプラスチック被覆体の使用時ではリベット締結され得る。磁界に敏感な、つまり感磁界性のセンサは保持金属薄板を用いてトランスバースリンクのベース点もしくは基点(Fusspunkt)に取り付けられる。すなわち、保持金属薄板が形状接続、つまり係合に基づいた嵌合または摩擦接続を介して内側のスリーブに位置固定に結合されるか、または択一的にサブフレームもしくは補助フレームに取り付けられる。センサはその場合、補助フレームに対して相対的な横方向リンクもしくはトランスバースリンクの角度を測定する。
【0018】
本発明のためにはボールジョイントにおけるものと同じセンサを使用することができることにより、センサは個数効果により一層廉価となる。この実施態様ではゴム軸受けとして形成されている軸受けを変える必要はなく、構成スペースはほぼ維持される。センサは故障時には保持金属薄板構造体のすぐれた構成(Auspraegung)により容易に交換され得る。
【0019】
磁石とセンサとの間の規定の間隔範囲内では、センサにより送出された測定信号と、旋回軸線を中心としたリンクの回転角度との間の関係が線形である。リンクがさらに軸受けまたはゴム軸受けを挟んでホイールに取り付けられていて、かつ両ゴム軸受けの中心点を通って延びる軸線の延長上に磁石中心点が位置していると、この軸線を中心としたトランスバースリンクの回転(カルダン機構)はセンサ信号に影響を与えなくなる(対称軸線)。シミュレーションにより、対称軸線に対して直角に位置する、特に車両鉛直軸に対して平行に向けられた軸線を中心とした回転はセンサ信号に変化を生ぜしめないことが判った。磁石とセンサとの間の間隔変化による影響付与は、走行運転時に生じる範囲では検知不可能であった。
【0020】
本発明はさらに、車両ボディと、少なくとも1つのホイールサスペンションとを備えた車両、特に自動車に関する。該車両のホイールサスペンションは有利には本発明によるホイールサスペンションであって、上で挙げた全ての構成により改良されていてよい。特にホイールサスペンションのボディは車両ボディにより形成されているか、または該車両ボディに結合された補助フレームまたはサブフレーム(Fahrschemel)により形成されている。角度測定装置によって、車両ボディに対するホイールのバウンドが測定されると有利である。
【0021】
該車両は前車軸と後車軸とを有しており、この場合、前記少なくとも1つのホイールサスペンションが後車軸に設けられていると有利である。ホイールサスペンションの前記少なくとも1つのリンクが、車両ボディ、補助フレームおよび/またはサブフレームに枢着されていてよい。特にリンクは横方向リンクもしくはトランスバースリンクを形成していると有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例によるホイールサスペンションの斜視図である。
【図2】第1実施例による磁石装置の平面図である。
【図3】図2に示した磁石装置の横断面図である。
【図4】本発明の第2実施例によるホイールサスペンションの一部を示す断面図である。
【図5】第2実施例による保持装置を組付け前の状態で示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施例によるホイールサスペンションの斜視図である。
【図7】第1実施例による保持装置の変化実施例を示す平面図である。
【図8】特に第1実施例による本発明によるホイールサスペンションを備えた自動車の概略的な平面図である。
【0023】
図1には、本発明の第1実施例によるホイールサスペンション1の一部が斜視図で示されている。この場合、自動車5(図8参照)の補助フレーム4には、エラストマ軸受け3を挟んで車両横方向に延びるトランスバースリンク(コントロールアーム)2が枢着されている。エラストマ軸受け3によってトランスバースリンク2は補助フレーム4に対して旋回軸線6を中心にして旋回可能である。この補助フレーム4は自動車5の車両上部構造もしくは車両ボディ7(図8参照)に固く結合されている。したがって、トランスバースリンク2は車両ボディ7に対しても旋回軸線6を中心にして相対的に旋回可能である。補助フレーム4は車両ボディ7に帰属され得る。この場合、補助フレーム4の代わりに、サブフレーム(Fahrschemel)も使用可能である。択一的には、補助フレームまたはサブフレームの介在なしでも、エラストマ軸受け3を用いてトランスバースリンク2を車両ボディ7に枢着させることが可能である。
【0024】
トランスバースリンク2の、図1には見えていない端部は、車両ホイール8(図8参照)に結合されている。特に、トランスバースリンク2はこの場合、ジョイントまたはエラストマ軸受けを挟んでステアリングナックルに枢着されており、このステアリングナックルには車両ホイール8が回転可能に支承されている。
【0025】
エラストマ軸受け3は内側部分9と、この内側部分9を環状に取り囲む外側部分10とを有している。この場合、内側部分9と外側部分10との間にはエラストマ体11が配置されている。外側部分10はトランスバースリンク2に設けられた切欠き12内に、相対回動不能に嵌め込まれており、この場合、内側部分9は、補助フレーム4の特に金属薄板から形成された2つの支持体13の間に嵌め込まれていて、両支持体13に相対回動不能に結合されている。特に、内側部分9は一貫して延びる切欠きまたは孔を備えており、この切欠きまたは孔内にはピンが嵌め込まれている。このピンはエラストマ軸受け3を補助フレーム4に取り付けるために金属薄板製の支持体13を貫通する。
【0026】
補助フレーム4には、ねじまたはリベット16を用いて保持装置15が取り付けられている。この場合、保持装置15は金属薄板として形成されていて、スリット17を備えている。金属薄板として形成された保持装置15は段状に曲げられているので、スリット17も段状に延びる形状を有している。保持装置15には、磁界に敏感な、つまり感磁界性のセンサ18が取り付けられている。このセンサ18は全周の一部にわたって延びる溝20を備えたハウジング19内に嵌め込まれている。溝20内には、金属薄板として形成された保持装置15に設けられたスリット縁部が係合している。組付けのためには、センサ18を段部の範囲においてスリット17内に押し込むことができる。センサ18は再び保持装置15から取外し可能でもあり、故障時には交換され得る。センサ18は1つまたは複数の電気的な線路21によって電子評価装置22(図8参照)に接続されている。この電子評価装置22によってセンサ18の電気的な情報が処理可能である。
【0027】
センサ18の範囲では、トランスバースリンク2の外面に磁石装置23が取り付けられている。この磁石装置23はプラスチック被覆体24を備えた永久磁石25を有している(図3参照)。図2から判るように、プラスチック被覆体24は一貫して延びる2つの孔26を有している。トランスバースリンク2に組み付けられた状態では、磁石装置23をトランスバースリンク2に固定するために、これらの孔26を貫いてリベットが貫通している。択一的にまたは補足的に、プラスチック被覆体24および/または永久磁石25はトランスバースリンク2に接着またはその他の手段により固定されていてよい。永久磁石25の磁界はセンサ18が位置する個所において、旋回軸線6を中心としたトランスバースリンク2の旋回量に関連して変化し、この場合、この変化はセンサ18によって検出可能となる。センサ18は特にバーティカル・ホール原理(Vertical-Hall-Prinzip)によるホール素子の配置によって作動する。
【0028】
図7には、第1実施例による保持装置15の変化実施例が平面図で示されている。この保持装置15も金属薄板から成っていて、スリット17を備えているので、図7に示した変化実施例を、図1に示した保持装置15の代わりに使用することができる。
【0029】
図4には、本発明の第2実施例によるホイールサスペンション1の一部が断面図で図示されている。第1実施例に対して類似の特徴または同一の特徴は第1実施例の場合と同じ符号で示されている。エラストマ軸受け3の内側部分9には、保持装置15が取り付けられている。この保持装置15は第2実施例ではU字形に形成されていて、平行な2つの脚部27,28と、両脚部27,28を互いに結合する1つのベース部29とを有している。さらに、保持装置15はスリット17(図5参照)を有しており、このスリット17内には、感磁界性のセンサ18が押し込まれていて、ひいては保持装置15に固定されている。センサ18は第1実施例の場合と同様に、トランスバースリンク2の外面に取り付けられた永久磁石25と協働する。保持装置15は一貫して延びる2つの孔39を備えており、この場合、組付けの完了した状態でこれらの孔39と、内側部分9に設けられた一貫して延びる切欠きまたは孔30とを貫いて、有利には1つのピンが延びている。このピンによって内側部分9は補助フレーム4に相対回動不能に固定されている。保持装置15も内側部分9に対して相対回動不能になるようにするためには、一方の脚部27に設けられた孔39の範囲に突出部31が設けられている。この突出部31は内側部分9に設けられた溝または内側溝内に係合し、ひいては回動防止部を形成する。図5には、この保持装置15が組付け前の状態で平面図で図示されている。この場合、両脚部27,28はまだベース部29から折り曲げられていない。さらに、図5に示した状態では、突出部31がまだ脚部27から折り曲げられていない。
【0030】
図6には、本発明の第3実施例によるホイールサスペンション1の一部が斜視図で示されている。この場合、第1実施例に対して同一または類似の特徴は第1実施例の場合と同じ符号で示されている。永久磁石25は嵌込み体32を挟んでトランスバースリンク2に設けられた切欠き33内に嵌め込まれていて、第1実施例とは異なり直接にプラスチック被覆体によりカバーされていない。それどころか、永久磁石25はシ―ルベローズ34の内室に突入している。このシールベローズ34は嵌込み体32からセンサ18のハウジング19にまで延びている。センサ18もしくはセンサハウジング19は直接に補助フレーム4に装着されていて、折り曲げられた保持装置15によって補助フレーム4に取り付けられている。この保持装置15は補助フレーム4にねじ締結されている。
【0031】
図8には、自動車5の概略的な平面図が示されている。自動車5は2つのホイール40,41を備えた前車軸35と、本発明によるホイールサスペンション1を備えた後車軸36とを有している。後車軸36の第2の車両ホイール37も本発明によるホイールサスペンション38を介して車両ボディ7に結合されている。このホイールサスペンション38は、有利にはホイールサスペンション1に相応して形成されている。図8に示した車両5は第1実施例に関連して説明されているが、しかし本発明の全ての実施例が車両5において使用可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 ホイールサスペンション
2 トランスバースリンク
3 軸受け
4 補助フレーム
5 自動車
6 リンクの旋回軸線
7 車両ボディ
8 ホイール
9 軸受けの内側部分
10 軸受けの外側部分
11 軸受けのエラストマ体
12 リンクの切欠き
13 金属薄板製支持体
15 保持装置
16 ねじまたはリベット
17 スリット
18 センサ
19 センサのハウジング
20 センサハウジングに設けられた溝
21 電気的な線路
22 電子評価装置
23 磁石装置
24 プラスチック被覆体
25 永久磁石
26 プラスチック被覆体に設けられた孔
27 保持装置の脚部
28 保持装置の脚部
29 保持装置のベース部
30 内側部分に設けられた孔
31 保持装置に設けられた突出部
32 嵌込み体
33 リンクに設けられた切欠き
34 シールベローズ
35 自動車の前車軸
36 自動車の後車軸
37 ホイール
38 ホイールサスペンション
39 保持装置に設けられた孔
40 ホイール
41 ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられるホイールサスペンションであって、ボディ(7)と、ホイール(8)と、少なくとも1つのリンク(2)とが設けられていて、該リンク(2)によってホイール(8)がボディ(7)に結合されており、軸受け(3)が設けられていて、該軸受け(3)によってリンク(2)が、少なくとも1つの旋回軸線(6)を中心にして旋回可能にボディ(7)に支承されており、該ボディ(7)に軸受け(3)の内側部分(9)が取り付けられており、さらに角度測定装置が設けられていて、該角度測定装置によってボディ(7)に対して相対的な前記旋回軸線(6)を中心としたリンク(2)の旋回が検出可能であり、前記角度測定装置が、信号発生器(25)として形成された構成エレメントと、センサ(18)として形成された構成エレメントとを有しており、両構成エレメントのうちの一方の構成エレメントが、リンク(2)の外側に取り付けられており、両構成エレメントのうちの他方の構成エレメントが、ボディ(7)に対して位置固定の保持装置(15)に、リンク(2)に対して間隔を置いて取り付けられている形式のものにおいて、信号発生器(25)が、リンク(2)の外面に取り付けられており、センサ(18)が、信号発生器(25)のすぐ近くに配置されていることを特徴とする、車両に用いられるホイールサスペンション。
【請求項2】
信号発生器が磁石(25)として形成されており、センサが、感磁界性のセンサ(18)として形成されている、請求項1記載のホイールサスペンション。
【請求項3】
磁石(25)が、プラスチック被覆体(24)を備えていて、リンク(2)に接着されているか、またはリンク(2)にリベット締結されている、請求項2記載のホイールサスペンション。
【請求項4】
保持装置(15)がスリット(17)を有しており、センサ(18)が、少なくとも1つの溝(20)を備えたハウジング(19)を有しており、該溝(20)内に前記スリット(17)の縁部が係合している、請求項1から3までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項5】
保持装置(15)がボディ(7)に取り付けられていて、前記スリット(17)と共に段状に延びている、請求項4記載のホイールサスペンション。
【請求項6】
保持装置(15)が前記内側部分(9)に取り付けられていて、2つの脚部(27,28)を有しており、両脚部(27,28)の間に前記内側部分(9)が配置されており、センサ(18)が、保持装置(15)の、前記両脚部(27,28)を互いに結合するベース部(29)に取り付けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項7】
軸受け(3)が、前記内側部分(9)を取り囲む外側部分(10)を有しており、該外側部分(10)が、リンク(2)により形成されているか、またはリンク(2)に設けられた切欠き(12)内に嵌め込まれており、前記外側部分(10)と前記内側部分(9)との間にエラストマ体(11)が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のホイールサスペンション。
【請求項8】
車両ボディ(7)と、請求項1から7までのいずれか1項記載の少なくとも1つのホイールサスペンション(1)とを備えた車両において、ボディが、車両ボディ(7)により形成されているか、または該車両ボディ(7)に結合された補助フレーム(4)またはサブフレームにより形成されていることを特徴とする車両。
【請求項9】
前車軸(35)と後車軸(36)とが設けられており、ホイールサスペンション(1)が後車軸(36)に設けられており、リンク(2)が横方向リンクもしくはトランスバースリンクとして形成されている、請求項8記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−513116(P2010−513116A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541757(P2009−541757)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/DE2007/002269
【国際公開番号】WO2008/074309
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(506054589)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (151)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen AG
【住所又は居所原語表記】D−88038 Friedrichshafen,Germany
【Fターム(参考)】