説明

車両のダッシュパネル構造

【課題】 ダッシュパネル部材に対する車両用補機の取付け位置等を車種等に対応させて容易に変化させるとともに、生産性を効果的に向上させる。
【解決手段】 車室の前壁部を構成するダッシュパネル部材と、このダッシュパネル部材に取り付けられる車両用補機(ペダル部材)2とを具備した車両のダッシュパネル構造であって、ダッシュパネル部材の大部分を構成するダッシュパネル本体3と、上記ダッシュパネル部材の一部を構成するモジュールプレート4Aとを別体に形成し、かつこのモジュールプレート4Aを介して車両用補機2をダッシュパネル本体3に取り付けるとともに、このダッシュパネル本体3を補強する強度部材(ダッシュクロスメンバ)8の設置部に上記モジュールプレート4Aを取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の前壁部を構成するダッシュパネル部材を具備した車両のダッシュパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1,2に示すように、自動車の車室とエンジン室との仕切部に、中間の開口を挟んで上方にカウルトップを配設するとともに、下方にフロアパネルを前もって配設しておき、ブレーキペダル等のペダル部材や各種の計器等が予め組み付けられることによりモジュール化されたダッシュパネルを組立ラインで上記開口に取り付けることが行われている。
【特許文献1】特開平6−72354号公報
【特許文献2】特公平6−4429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1,2に開示された自動車のダッシュパネル構造では、ペダル部材等からなる車両用補機のダッシュパネルに対する組付け作業を容易化することができる。しかし、上記ダッシュパネルに対する車両用補機の取付け位置を車種等に応じて変化させる場合には、ペダル取付け部が異なる位置に設定された各種のダッシュパネルを取り揃える必要があるために、生産性が悪いという問題がある。
【0004】
すなわち、車室の前壁部を構成するダッシュパネルは所定の大きさを有しているために、その成形用に大形で高価な金型を使用する必要がある。この金型をダッシュパネルの種類に対応させて各種取り揃えた場合には、その製造コストが高くなるとともに、上記金型を保管するために広いスペースが必要になるという問題があり、生産性を向上させることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ダッシュパネル部材に対する車両用補機の取付け位置等を車種等に対応させて容易に変化させることができるとともに、生産性を効果的に向上させることができる車両のダッシュパネル構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車室の前壁部を構成するダッシュパネル部材と、このダッシュパネル部材に取り付けられる車両用補機とを具備した車両のダッシュパネル構造であって、ダッシュパネル部材の大部分を構成するダッシュパネル本体と、上記ダッシュパネル部材の一部を構成するモジュールプレートとを別体に形成し、かつこのモジュールプレートを介して車両用補機をダッシュパネル本体に取り付けるとともに、このダッシュパネル本体を補強する強度部材の設置部に上記モジュールプレートを取り付けたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両のダッシュパネル構造において、ダッシュパネル本体に車両用補機を設置するための開口部を設けるとともに、この開口部をモジュールプレートにより覆うように構成したものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両のダッシュパネル構造において、車幅方向に延びるダッシュクロスメンバからなる強度部材をダッシュパネル本体に取り付けるとともに、上記ダッシュクロスメンバの設置部にモジュールプレートを配設したものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載の車両のダッシュパネル構造において、車両用補機の設置部に対応した上下幅を有するダッシュクロスメンバをダッシュパネル本体に取り付けるとともに、上記ダッシュクロスメンバにモジュールプレートを取り付けたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項3記載の車両のダッシュパネル構造において、車両用補機の設置部の上辺部および下辺部に沿って上下一対のダッシュクロスメンバを設置するとともに、この両ダッシュクロスメンバの間にモジュールプレートを配設したものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、上記請求項3〜5の何れか1項に記載の車両のダッシュパネル構造において、フロアパネルの中央部に沿って車体の前後方向に延びるトンネル部の上面に、ダッシュクロスメンバの車幅方向中央部を固着したものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6の何れか1項に記載の車両のダッシュパネル構造において、車両用補機の取付け位置が相異なるように設定された複数のモジュールプレートを選択的にダッシュパネル本体に取り付けるように構成したものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、ダッシュパネル部材の大部分を構成するダッシュパネル本体の構造を共通化してその生産性を効果的に向上させることができるとともに、上記ダッシュパネル部材の一部分を構成するモジュールプレートを介してダッシュパネルに取り付けられる車両用補機の設置部を上記強度部材により補強することにより、この車両用補機の取付け剛性を簡単な構成で効果的に確保できるという利点がある。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、ダッシュパネル本体に設けられた開口部をモジュールプレートで閉塞することにより、ダッシュパネル部材のシール性を効果的に確保できるという利点がある。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、上記ダッシュパネル部材の一部分を構成するモジュールプレートを介してダッシュパネル部材に取り付けられる車両用補機の設置部を、車幅方向に延びるように設置されたダッシュクロスメンバにより補強することにより、この車両用補機の取付け剛性を簡単な構成で効果的に確保できるという利点がある。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、上記ダッシュパネル部材の一部分を構成するモジュールプレートを介してダッシュパネル部材に取り付けられる車両用補機の設置部を、その上下寸法に対応した上下幅を有するダッシュクロスメンバにより補強することにより、この車両用補機の取付け剛性を簡単な構成で効果的に確保できるという利点がある。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、上記ダッシュパネル部材の一部分を構成するモジュールプレートを介してダッシュパネル部材に取り付けられる車両用補機の設置部が、その上辺部および下辺部に沿って設置される上下一対のダッシュクロスメンバにより補強されるため、この車両用補機の取付け剛性が簡単な構成で効果的に確保されるという利点がある。
【0018】
請求項6の係る発明によれば、車幅方向に延びるダッシュクロスメンバからなる強度部材の車幅方向中央部がフロアパネルのトンネル部によって効果的に補強されるため、車両用補機の設置部を補強する上記強度部材の剛性が充分に確保されるという利点がある。
【0019】
請求項7の係る発明によれば、ダッシュパネル本体に取り付けられる車両用補機の取付け位置に対応したモジュールプレートを選択してダッシュパネル本体に取り付けることにより、簡単な構成でダッシュパネル本体に対する車両用補機の取付け位置を車種等に応じて容易に変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図4は、本発明に係るダッシュパネル構造を備えた車体の概略構成を示している。この車体には、車室の前壁部を構成するダッシュパネル部材1と、走行中に乗員により操作される操作ペダルを有するペダル部材2等からなる車両用補機とが設けられている。上記ダッシュパネル部材1は、車室の前面部を覆うように設置されるダッシュパネル本体3と、このダッシュパネル本体3とは別体に形成されたモジュールプレート4とを有し、上記ダッシュパネル部材1の大部分がダッシュパネル本体3によって構成されるとともに、ダッシュパネル部材1の一部が上記モジュールプレート4により構成されている。
【0021】
上記ダッシュパネル本体3は、フロアパネル5の前端部から斜め上方に延びる傾斜壁部6と、この傾斜壁部6の上端から略鉛直方向に起立する起立壁部7とを有し、この起立壁部7の上端が図外のカウルパネルに接合されるように構成されている。また、上記起立壁部7の後面、つまり車室内側の壁面には、車幅方向に延びるダッシュクロスメンバ8が取り付けられるとともに、その運転席側部分に上記ペダル部材2が取り付けられるペダル取付け部9が設けられている。
【0022】
上記ダッシュクロスメンバ8は、ペダル取付け部9の上下寸法に対応した上下幅を有する断面コ字状のクロスメンバ本体8aと、その上下両辺部に突設された取付けフランジ部8b,8cとを有する断面ハット状に形成され、上記両取付けフランジ部8b,8cがダッシュパネル本体3の後面にスポット溶接される等により、ダッシュパネル本体3の起立壁部7に固着されるようになっている。また、上記ダッシュクロスメンバ8の下辺部に設けられた取付けフランジ部8cの車幅方向中央部は、フロアパネル5の中央部に沿って車体の前後方向に延びるように設置されたトンネル部5aの上面に固着されるよう構成されている。
【0023】
上記ペダル取付け部9には、左右一対の下部取付けボルト10Aおよび上部取付けボルト10Bのねじ軸が、上記ダッシュパネル本体3およびダッシュクロスメンバ8を貫通して車室内側に突出した状態で設置されている。また、上記ペダル取付け部9に位置するダッシュパネル本体3およびクロスメンバ本体8aには、図外のマスターバックおよびアクセルケーブル等からなる車両用補機を設置するための設置孔11A,11Bからなる開口部が、下部取付けボルト10Aの設置部と上部取付けボルト10Bの設置部との間において、その下方部および上方部に形成されている。
【0024】
また、上記モジュールプレート4は、ペダル取付け部9の設置範囲に対応した大きさを有する基板12と、この基板12の中央部左右に固着された一対のスタッドボルト14とを有し、上記基板12には、下部取付けボルト10Aおよび上部取付けボルト10Bのねじ軸が挿通される挿通孔13が4個所に形成されている。また、上記モジュールプレート4は、図2に示すように、ペダル部材2が下方部に取り付けられる第1モジュールプレート4Aと、ペダル部材2が上方部に取り付けられる第2モジュールプレート4Bとの二種類を有し、これらが選択的に使用されるようになっている。
【0025】
すなわち、上記第1モジュールプレート4Aの基板12には、マスターバックおよびアクセルケーブル用の設置孔15Aがスタッドボルト14の設置部よりも下方側に形成され、この基板12の下方部にペダル部材2が取り付けられるようなっている。一方、上記第2モジュールプレート4Bの基板12には、マスターバックおよびアクセルケーブル用の設置孔15Bがスタッドボルト14の設置部よりも上方側に形成され、この基板12の上方部にペダル部材2が取り付けられるようになっている。
【0026】
そして、図3の矢印に示すように、上記ダッシュパネル本体3のペダル取付け部9に突設された下部取付けボルト10Aおよび上部取付けボルト10Bのねじ軸が、第1モジュールプレート4Aの挿通孔13にそれぞれ挿通された状態で、この第1モジュールプレート4Aがダッシュパネル本体3に取り付けられることにより、上記ペダル取付け部9の下方側に形成された設置孔11Aと、第1モジュールプレート4Aに形成された設置孔15Aとが連通した状態となるとともに、ペダル取付け部9の上方側に形成された設置孔11Bが第1モジュールプレート4Aの基板12により覆われた状態となるように構成されている。
【0027】
また、図4の矢印に示すように、上記ダッシュパネル本体3のペダル取付け部9に突設された下部取付けボルト10Aおよび上部取付けボルト10Bのねじ軸が、第2モジュールプレート4Bの挿通孔13にそれぞれ挿通された状態で、この第2モジュールプレート4Bがダッシュパネル本体3に取り付けられることにより、上記ペダル取付け部9の上方側に形成された設置孔11Bと、第2モジュールプレート4Bに形成された設置孔15Bとが連通した状態となるとともに、ペダル取付け部9の下方側に形成された設置孔11Aが第2モジュールプレート4Bの基板12により覆われた状態となるように構成されている。
【0028】
上記ペダル部材2は、モジュールプレート4の基板12上に取り付けられる取付け板16と、この取付け板16に設けられた支持ブラケット17,18と、この支持ブラケット17,18にそれぞれ枢支されたブレーキペダル19およびアクセルペダル20とを有し、上記取付け板16には、上部ペダル取付け部9に突設された下部取付けボルト10Aまたは上部取付けボルト10Bのねじ軸と、上記モジュールプレート4に突設されたスタッドボルト14のねじ軸とが挿通される挿通孔21が4個所に形成されている。
【0029】
上記のように構成された各部材を使用して車体を組み立てる場合には、ダッシュパネル部材1の大部分を構成するダッシュパネル本体3と、このダッシュパネル本体3に取り付けられる第1,第2モジュールプレート4A,4Bとを別体に形成した後、走行中に乗員により操作されるブレーキペダル19およびアクセルペダル20を有するペダル部材2を、上記第1,第2モジュールプレート4A,4Bの一方を介してダッシュパネル本体3に取り付けることによりダッシュパネル部材1を構成する。そして、このダッシュパネル部材1をカウルパネルとフロアパネル5との間に設置して車体に組み付けことにより、上記ペダル部材2がダッシュパネル部材1の所定位置に取り付けられた車体が組み立てられることになる。
【0030】
例えば、図3の矢印に示すように、第1モジュールプレート4Aに突設されたスタッドボルト14および上記下部取付けボルト10Aのねじ軸を、ペダル部材2の挿通孔21に挿通させた状態で、上記下部取付けボルト10A、上部取付けボルト10Bおよびスタッドボルト14のねじ軸にナット22をそれぞれ螺着することにより、上記ペダル部材2が第1モジュールプレート4Aを介してペダル取付け部9の下方側に取り付けられる。一方、図4の矢印に示すように、上記第2モジュールプレート4Bに突設されたスタッドボルト14および上部取付けボルト10Bのねじ軸を、ペダル部材2の挿通孔21に挿通させた状態で、上記上部取付けボルト10A、下部取付けボルト10Bおよびスタッドボルト14のねじ軸にナット22をそれぞれ螺着することにより、上記ペダル部材2が第2モジュールプレート4Bを介してペダル取付け部9の上方側に取り付けられることになる。
【0031】
上記のように車室の前壁部を構成するダッシュパネル部材1と、このダッシュパネル部材1に取り付けられるペダル部材2からなる車両用補機とを具備した車両のダッシュパネル構造において、ダッシュパネル部材1の大部分を構成するダッシュパネル本体3と、ダッシュパネル部材1の一部を構成すモジュールプレート4とを別体に形成し、かつこのモジュールプレート4を介して上記車両用補機をダッシュパネル本体3に取り付けるとともに、このダッシュパネル本体3を補強する上記ダッシュクロスメンバ8からなる強度部材の設置部に上記モジュールプレート4を取り付けるように構成したため、ダッシュパネル部材1の大部分を構成するダッシュパネル本体3の構造を共通化してその生産性を効果的に向上させることができるとともに、上記ダッシュパネル部材1の一部分を構成するモジュールプレート4を介してダッシュパネル本体3に取り付けられる車両用補機の取付け部9を上記強度部材により補強することにより、この車両用補機の取付け剛性を簡単な構成で効果的に確保できるという利点がある。
【0032】
また、上記実施形態に示すように、ペダル部材2からなる車両用補機の取付け位置が異なる位置に設定された第1,第2モジュールプレート4A,4Bを設け、これらを選択してダッシュパネル本体3に取り付けるように構成した場合には、ダッシュパネル部材1の大部分を構成するダッシュパネル本体3の構造を共通化しつつ、上記モジュールプレート4を介してダッシュパネル部材1に取り付けられるペダル部材2の取付け位置を変化させることにより、簡単な構成でダッシュパネル部材1に対するペダル部材2の取付け位置を車種等に応じて容易かつ適正に変化させることができるという利点がある。
【0033】
例えば、図5の実線で示すように、車高が低いともに、これに対応して乗員の着座位置が低い位置に設定された車種の場合には、第1モジュールプレート4Aを選択してダッシュパネル部材1のダッシュパネル本体3に取り付けることにより、ペダル部材2の取付け高さを低い位置Aに設定することができる。一方、図5の仮想線で示すように、車高が高いともに、これに対応して乗員の着座位置が高い位置に設定された車種の場合には、第2モジュールプレート4Bを選択してダッシュパネル部材1のダッシュパネル本体3に取り付けることにより、ペダル部材2の取付け高さを高い位置Bに設定することができる。
【0034】
したがって、複数種の車両にそれぞれ取り付けられるダッシュパネル本体3の構造を共通化してその生産性を効果的に向上させることができるとともに、車種に応じて上記ペダル部材2の設置高さを変化させることにより、このペダル部材2に設けられたブレーキペダル19およびアクセルペダル20を操作に適した位置に配設できるという利点がある。
【0035】
また、上記実施形態では、アクセルケーブルおよびマスターバックからなる車両用補機を設置するための設置孔15A,15Bからなる開口部を、ダッシュパネル本体3に設けるとともに、上記設置孔15A,15Bの一方を上記モジュールプレート4により覆うように構成したため、上記ダッシュパネル部材1のシール性を効果的に確保しつつ、上記車両用補機をダッシュパネル本体3に設置できるという利点がある。
【0036】
すなわち、上記のようにダッシュパネル本体3およびクロスメンバ本体8aに設けられたペダル取付け部9に位置する下方部と上方部とに、それぞれマスターバックおよびアクセルケーブル用の設置孔11A,11Bを形成し、図3の矢印に示すように、第1モジュールプレート4Aをダッシュパネル本体3に取り付けた場合に、下方の設置孔11Aと第1モジュールプレート4Aの設置孔15Aとを連通させることにより、これらの設置孔11Aおよび15Aを利用してマスターバックおよびアクセルケーブルを上記ペダル取付け部9の下方側に設置することができるとともに、上方の設置孔11Bを第1モジュールプレート4Aの基板12によって覆うことにより、上記ダッシュパネル本体3に不必要な開口部が形成されるのを防止してエンジンルーム内と車室内との間を効果的にシールすることができる。
【0037】
また、図4の矢印に示すように、第2モジュールプレート4Bをダッシュパネル本体3に取り付けた場合に、上方の設置孔11Bと第2モジュールプレート4Bの設置孔15Bとを連通させることにより、これらの設置孔11Bおよび15Bを利用してマスターバックおよびアクセルケーブルを上記ペダル取付け部9の上方側に設置することができるとともに、下方の設置孔11Aを第2モジュールプレート4Bの基板12によって覆うことにより、上記ダッシュパネル本体3に不必要な開口部が形成されるのを防止してエンジンルーム内と車室内との間を効果的にシールできるという利点がある。
【0038】
また、上記のように車幅方向に延びるダッシュクロスメンバ8からなる強度部材を介してダッシュパネル本体3に取り付けるとともに、上記ダッシュクロスメンバ8の設置部に、ペダル部材2をダッシュパネル部材1に取り付けるための上記モジュールプレート4を配設した場合には、簡単な構成で上記ペダル部材2の取付け剛性を充分に確保できるとともに、上記マスターバックおよびアクセルケーブル用の設置孔11A,11Bが形成されたダッシュパネル本体3のシール性を効果的に確保できるという利点がある。
【0039】
すなわち、上記実施形態では、ペダル部材2からなる車両用補機の設置部に対応した上下幅を有するダッシュクロスメンバ8をダッシュパネル本体3に取り付けるとともに、上記ダッシュクロスメンバ8にモジュールプレート4を取り付けたため、上記ダッシュクロスメンバ8により車両用補機の設置部全体を効果的に補強することにより、簡単な構成で上記車両用補機の取付け剛性を充分に確保することができる。また、ダッシュパネル本体3に設けられた車両用補機の設置部、つまりペダル部材2の取付け部9を上記ダッシュクロスメンバ8で覆うことにより、上記車両用補機の設置部におけるシール性を効果的に確保できるという利点がある。
【0040】
なお、図6および図7に示すように、断面ハット型に形成された一対のダッシュクロスメンバ23,24を上下方向に所定距離を置いて離間させた状態でダッシュパネル本体3の後面に設置するとともに、上記両ダッシュクロスメンバ23,24の間に設けられたペダル取付け部9にモジュールプレート4を介して上記ペダル部材2からなる車両用補機を取り付けるように構成してもよい。この場合においても、上記ダッシュクロスメンバ23,24により車両用補機の設置部を効果的に補強することにより、簡単な構成で上記車両用補機の取付け剛性を充分に確保できるという利点がある。
【0041】
また、上記実施形態では、フロアパネル5の中央部に沿って車体の前後方向に延びるトンネル部5aの上面に、ダッシュクロスメンバ8等からなる強度部材の車幅方向中央部を固着するように構成したため、車両用補機の設置部を補強する上記強度部材の剛性を効果的に向上させることができる。したがって、この強度部材による上記補強作用を充分に発揮させ、より効果的に車両用補機の設置部を補強することができるという利点がある。
【0042】
なお、上記のようにペダル部材2の取付け位置A,Bが相異なるように設定された二種類のモジュールプレート4A,4Bを、ダッシュパネル部材1に対して選択的に取り付けるように構成した上記実施形態に代え、ペダル部材2の取付け位置が相異なるように設定された三種類以上のモジュールプレートをダッシュパネル部材1に対して選択的に取り付けるように構成し、あるいはペダル部材2の取付け位置が左右方向に異なる位置に設定された複数種のモジュールプレートをダッシュパネル部材1に対して選択的に取り付けるように構成してもよい。
【0043】
また、上記ダッシュクロスメンバ8または上下一対のダッシュクロスメンバ23,24等からなる強度部材により、ペダル部材2からなる車両用補機の設置部を補強するように構成された上記実施形態に代え、ステアリングシャフトからなる車両用補機を、モジュールプレートを介してダッシュパネル本体3に取り付けるとともに、上記ステアリングシャフトの設置部をステアリング支持ブラケットからなる強度部材により補強するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るダッシュパネル構造の実施形態を示す斜視図である。
【図2】ペダル部材およびモジュールプレートの具体的構成を示す斜視図である。
【図3】ペダル部材を下方に設定した場合の構成を示す側面断面図である。
【図4】ペダル部材を上方に設定した場合の構成を示す側面断面図である。
【図5】車体の全体構成を示す説明図である。
【図6】本発明に係るダッシュパネル構造の別の実施形態を示す側面断面図である。
【図7】本発明に係るダッシュパネル構造の別の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ダッシュパネル部材
2 ペダル部材(車両用補機)
3 ダッシュパネル本体
4 モジュールプレート
5 フロアパネル
5a トンネル部
8,23,24 ダッシュクロスメンバ(強度部材)
15A,15B 設置孔(開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前壁部を構成するダッシュパネル部材と、このダッシュパネル部材に取り付けられる車両用補機とを具備した車両のダッシュパネル構造であって、ダッシュパネル部材の大部分を構成するダッシュパネル本体と、上記ダッシュパネル部材の一部を構成するモジュールプレートとを別体に形成し、かつこのモジュールプレートを介して車両用補機をダッシュパネル本体に取り付けるとともに、このダッシュパネル本体を補強する強度部材の設置部に上記モジュールプレートを取り付けたことを特徴とする車両のダッシュパネル構造。
【請求項2】
ダッシュパネル本体に車両用補機を設置するための開口部を設けるとともに、この開口部をモジュールプレートにより覆うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両のダッシュパネル構造。
【請求項3】
車幅方向に延びるダッシュクロスメンバからなる強度部材をダッシュパネル本体に取り付けるとともに、上記ダッシュクロスメンバの設置部にモジュールプレートを配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のダッシュパネル構造。
【請求項4】
車両用補機の設置部に対応した上下幅を有するダッシュクロスメンバをダッシュパネル本体に取り付けるとともに、上記ダッシュクロスメンバにモジュールプレートを取り付けたことを特徴とする請求項3に記載の車両のダッシュパネル構造。
【請求項5】
車両用補機の設置部の上辺部および下辺部に沿って上下一対のダッシュクロスメンバを設置するとともに、この両ダッシュクロスメンバの間にモジュールプレートを配設したことを特徴とする請求項3記載のダッシュパネル構造。
【請求項6】
フロアパネルの中央部に沿って車体の前後方向に延びるトンネル部の上面に、ダッシュクロスメンバの車幅方向中央部を固着したことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の車両のダッシュパネル構造。
【請求項7】
車両用補機の取付け位置が相異なるように設定された複数のモジュールプレートを選択的にダッシュパネル本体に取り付けるように構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両のダッシュパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−82585(P2006−82585A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266578(P2004−266578)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】