説明

車両のフロントピラー構造

【課題】結合壁部と前側壁部との結合に、スポット溶接を用いる場合には、汎用のスポット溶接機を使用することができ、レーザ溶接を用いる場合には、生産性を向上させることができると共に、結合壁部と前側壁部とをより精度良く結合させることができる車両のフロントピラー構造を提供する。
【解決手段】サイドアウタパネル20には、フロントピラー18に形成された閉断面部58を構成する一対の側壁部30,44における車両前側の端部を連結する前側壁部28が形成されており、第一インナパネル24には、前側壁部28と重ね合わされて結合された結合壁部40が形成されている。第二インナパネル26は、一対の側壁部30,44における車両後側の端部を連結する後側壁部48を構成しており、サイドアウタパネル20及び第一インナパネル24と別体に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイドロフォーム成形によって中空状に形成されたフロントピラー(中空部材)が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、第一フロントフランジを有するピラーインナパネルと、第一フロントフランジと重ね合わされて接合された第二フロントフランジを有するピラーアウタパネルとを備えたフロントピラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−182079号公報
【特許文献2】国際公開第2006/38430号パンフレット
【特許文献3】特開2006−182092号公報
【特許文献4】特開2010−13019号公報
【特許文献5】特開2010−13021号公報
【特許文献6】特開2007−30780号公報
【特許文献7】特開2007−38990号公報
【特許文献8】特開2008−6833号公報
【特許文献9】特開2008−6835号公報
【特許文献10】特開2008−94165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフロントピラーを製造するためには、ハイドロフォーム成形のための大掛かりな設備が必要となり、コストアップとなる。また、この種のフロントピラーにおいては、車室からの視界を向上させることが望まれる。
【0006】
一方、特許文献2に記載のフロントピラーにおいて、第一フロントフランジと第二フロントフランジとをスポット溶接する場合、ピラーインナパネルの第一リヤフランジとピラーアウタパネルの第二リヤフランジとを重ね合わせた状態では、第一フロントフランジと第二フロントフランジとに汎用のスポット溶接機における一対の電極を当接させることができない。このため、第一フロントフランジと第二フロントフランジとをスポット溶接するためには、例えば、特殊な電極や溶接方法等を用いる必要があり、コストアップとなる。
【0007】
また、この特許文献2に記載のフロントピラーにおいて、第一フロントフランジと第二フロントフランジとをレーザ溶接する場合、ピラーインナパネルの第一リヤフランジとピラーアウタパネルの第二リヤフランジとを重ね合わせた状態では、第一フロントフランジと第二フロントフランジとの間の隙間を管理することができない。このため、生産性が低下すると共に、第一フロントフランジと第二フロントフランジとを精度良く結合させることができない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、車室からの視界を向上させることができると共に、コストダウンすることができる車両のフロントピラー構造を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、結合壁部をスポット溶接により前側壁部と結合させる場合には、汎用のスポット溶接機を使用することができ、より一層コストダウンすることができる車両のフロントピラー構造を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、結合壁部をレーザ溶接により前側壁部と結合させる場合には、生産性を向上させることができると共に、結合壁部と前側壁部とをより精度良く結合させることができる車両のフロントピラー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両のフロントピラー構造は、フロントピラーに形成された閉断面部を構成する一対の側壁部のうち一方の側壁部と、前記一対の側壁部における車両前側の端部を連結すると共にウィンドシールドガラスの縦縁部の裏側に設けられて前記縦縁部が固定された前側壁部とを有する第一パネルと、前記一対の側壁部のうち他方の側壁部と、前記前側壁部に対する前記縦縁部と反対側に設けられてスポット溶接又はレーザ溶接により前記前側壁部と結合された結合壁部とを有する第二パネルと、前記一対の側壁部における車両後側の端部を連結する後側壁部の少なくとも一部を構成すると共に、前記第一パネル及び前記第二パネルと別体に構成され、且つ、前記第一パネル及び前記第二パネルと共に前記閉断面部を構成する別体部材と、を備えている。
【0012】
この車両のフロントピラー構造によれば、閉断面部には、一対の側壁部における車両前側の端部を連結する前側壁部が形成されており、この前側壁部は、ウィンドシールドガラスの縦縁部の裏側に設けられて縦縁部と固定されている。従って、例えば、この前側壁部から車両幅方向内側にフランジを延出させ、このフランジを縦縁部と固定させた場合に比して、フロントピラーの横幅を狭くすることができる。これにより、車室からの視界を向上させることができる。
【0013】
また、フロントピラーを構成する第一パネル及び第二パネルについては、例えばプレス成形等によってそれぞれ形成することができる。従って、例えば、フロントピラーをハイドロフォーム成形で一括して形成する場合に比して、大掛かりな設備を不要にできるので、コストダウンすることができる。
【0014】
しかも、結合壁部がスポット溶接により前側壁部と結合される場合、例えば、次の要領で、フロントピラーを組み立てることができる。すなわち、先ず、前側壁部と結合壁部とを重ね合わせて、第一パネルに対して第二パネルを仮の組付状態に保持する。そして、第一パネル及び第二パネルに対して別体部材を組み付ける前に、この別体部材の組付位置に形成された孔部からスポット溶接用の一方の電極を挿入してこの電極を結合壁部に当接させる。
【0015】
また、相手側の他方の電極を一方の電極と反対側から前側壁部に当接させる。そして、この状態で一対の電極間に電流を流す。これにより、前側壁部と結合壁部とがスポット溶接により結合され、第一パネルと第二パネルとが組み付けられる。続いて、この第一パネル及び第二パネルに対して別体部材を組み付ける。以上により、フロントピラーは組み立てられる。このように結合壁部と前側壁部との結合にスポット溶接を用いた場合には、例えば、アーク溶接やレーザ溶接のような片側溶接を用いた場合に比して、生産性及び精度を容易に確保することができる。また、別体部材の組付前には、この別体部材の組付位置に形成された孔部を利用してこの孔部に電極を挿入することができるので、汎用のスポット溶接機を使用することが可能となり、より一層コストダウンすることができる。
【0016】
一方、結合壁部がレーザ溶接により前側壁部と結合される場合、例えば、次の要領で、フロントピラーを組み立てることができる。すなわち、先ず、前側壁部と結合壁部とを重ね合わせて、第一パネルに対して第二パネルを仮の組付状態に保持する。そして、第一パネル及び第二パネルに対して別体部材を組み付ける前に、この別体部材の組付位置に形成された孔部に押し棒を挿入してこの押し棒を結合壁部に当接させる。
【0017】
また、この押し棒と反対側からレーザ溶接用の照射部を前側壁部に対向させる。そして、押し棒で結合壁部を押圧することで結合壁部と前側壁部との間の隙間を管理しながら、照射部からレーザ光を前側壁部に照射する。これにより、前側壁部と結合壁部とがレーザ溶接により結合され、第一パネルと第二パネルとが組み付けられる。続いて、この第一パネル及び第二パネルに対して別体部材を組み付ける。以上により、フロントピラーは組み立てられる。このようにすれば、結合壁部がレーザ溶接により前側壁部と結合される際に、結合壁部と前側壁部との間の隙間を管理することができる。従って、生産性を向上させることができると共に、結合壁部と前側壁部とをより精度良く結合させることができる。
【0018】
なお、上記組立方法は一例であって、前側壁部及び結合壁部は、直接重ねられて結合される以外に、他の壁部を介して結合されても良く、また、前側壁部及び結合壁部の外側に他の壁部が重ねられた状態でこれらが結合されても良い。
【0019】
請求項2に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1に記載の車両のフロントピラー構造において、前記別体部材が、前記後側壁部を有するインナパネルとされた構成とされている。
【0020】
この車両のフロントピラー構造によれば、インナパネルは、後側壁部の全体を有している。このため、第一パネル及び第二パネルに対してインナパネルを組み付ける前の状態では、一対の側壁部における後側壁部側の端部の間が孔部として形成される。これにより、孔部の開口面積を大きく確保することができるので、この孔部に上述の電極や押し棒を挿入して溶接作業を行う際には、その作業性を良好にすることができる。
【0021】
請求項3に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項2に記載の車両のフロントピラー構造において、前記一対の側壁部が、フロントシート側に延び、前記第一パネル及び前記第二パネルが、前記一対の側壁部における前記フロントシート側の端部に形成されると共に、前記一対の側壁部の前記フロントシート側に延びる方向に対して交差する方向へ延びて前記インナパネルの車両幅方向両端部と結合されたフランジをそれぞれ有する構成とされている。
【0022】
この車両のフロントピラー構造によれば、一対の側壁部におけるフロントシート側の端部に形成された一対のフランジは、一対の側壁部のフロントシート側に延びる方向に対して交差する方向へ延びている。従って、この一対のフランジがフロントシート側へ突出することを抑制することができる。
【0023】
請求項4に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1に記載の車両のフロントピラー構造において、前記第一パネル又は前記第二パネルに形成されて前記後側壁部の本体部を構成すると共に、前記前側壁部と前記結合壁部との溶接部の溶接方向の延長線上に孔部が貫通して形成された後側壁部本体部をさらに備え、前記別体部材が、前記孔部を閉塞して前記後側壁部の一部を構成すると共に、前記孔部の周縁部に嵌合された蓋部材とされた構成とされている。
【0024】
この車両のフロントピラー構造によれば、後側壁部本体部には、前側壁部と結合壁部との溶接部の溶接方向の延長線上に、上述の電極や押し棒を挿入させることが可能な孔部が貫通して形成されているが、この孔部の周縁部には、蓋部材が嵌合されている。従って、この蓋部材によって孔部の周囲を補強することができるので、フロントピラーの剛性を確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上詳述したように、本発明によれば、車室からの視界を向上させることができると共に、コストダウンすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両のフロントピラー構造が適用されたフロントピラーを有する車両におけるウィンドシールドガラスの周辺部の構成を示す側面図である。
【図2】図1の2−2線拡大断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る車両のフロントピラー構造が適用されたフロントピラー及びその周辺部の構成を示す図2に対応する断面図である。
【図4】図3に示される蓋部材を後側壁部本体部に嵌合する様子を説明する要部拡大断面図である。
【図5】図4に示されるマンドリルの頭部によって側壁部が変形される様子を説明する要部拡大断面図である。
【図6】図4に示される蓋部材及びマンドリルの変形例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0028】
なお、各図において示される矢印UP、矢印RR、矢印LHは、車両上下方向上側、車両前後方向後側、車両幅方向外側(左側)をそれぞれ示している。また、以下には、一例として、本発明の第一実施形態に係る車両のフロントピラー構造10が左ハンドル車に適用された例を説明する。
【0029】
図1に示されるように、車両12に設けられたウィンドシールドガラス14の縦縁部14A、及び、サイドガラス16の前縁部16Aとの間には、これらに沿って長手状のフロントピラー18が設けられている。このフロントピラー18には、本発明の一実施形態に係る車両のフロントピラー構造10が適用されている。
【0030】
このフロントピラー18は、図2に示されるように、サイドアウタパネル20、フロントピラーピラーリインフォース22(以下、ピラーリインフォース22と略称する)、第一インナパネル24、第二インナパネル26、及び、ブラケット64を有している。
【0031】
なお、サイドアウタパネル20は、本発明における第一パネルに相当し、第一インナパネル24は、本発明における第二パネルに相当する。また、第二インナパネル26は、本発明における別体部材及びインナパネルに相当する。
【0032】
サイドアウタパネル20には、縦縁部14Aの裏側に縦縁部14Aと対向して設けられた前側壁部28が形成されている。この前側壁部28における車両幅方向外側の端部には、図示しないフロントシート側(矢印A側)へ延びる側壁部30が形成されている。また、この側壁部30におけるフロントシート側の端部には、この側壁部30のフロントシート側に延びる方向に対して交差する方向の一例として、車両幅方向外側且つ車両後側に延びるフランジ32が形成されている。また、側壁部30における車両前側部には、車両幅方向外側且つ車両前側を向く当て壁部30Aが形成されている。
【0033】
ピラーリインフォース22は、サイドアウタパネル20の車両内側に設けられており、サイドアウタパネル20の略全体を車両内側から覆う形状及び大きさで形成されている。つまり、このピラーリインフォース22は、上述の前側壁部28、側壁部30、フランジ32と対向されてそれぞれを補強する前壁補強部34と、側壁補強部36と、フランジ補強部38とを有している。
【0034】
第一インナパネル24には、前側壁部28及び前壁補強部34に対する縦縁部14Aと反対側に設けられた結合壁部40が形成されている。この結合壁部40は、後述するように、前側壁部28及び前壁補強部34と重ねられた状態で、これらとスポット溶接による溶接部42によって結合されている。この結合壁部40の車両幅方向内側の端部には、図示しないフロントシート側に延びる側壁部44が形成されており、この側壁部44におけるフロントシート側の端部には、この側壁部44の延びる方向に沿ってフランジ46が形成されている。
【0035】
第二インナパネル26は、車両幅方向に延在する後側壁部48と、この後側壁部48の車両幅方向両端部に形成された一対のフランジ50,52とを有している。フランジ50は、フランジ32及びフランジ補強部38と重ねられた状態でこれらとスポット溶接による溶接部54によって結合されている。一方、フランジ52は、フランジ46と重ねられた状態でこのフランジ46とスポット溶接による溶接部56によって結合されている。
【0036】
ブラケット64は、縦縁部14Aと前側壁部28との間に設けられたフランジ66を有している。このフランジ66は、前側壁部28と結合されている。このフランジ66の車両前側の面には、接着剤68が塗布されており、縦縁部14Aは、この接着剤68によりフランジ66に接着されている。つまり、このフロントピラー18において、前側壁部28は、フランジ66を介して縦縁部14Aと固定されている。また、フランジ66の車両幅方向外側の端部には、車両前側に延びる取付部70が形成されている。
【0037】
そして、これら複数のパネルによって構成されたフロントピラー18では、上述の一対の側壁部30,44と、この一対の側壁部30,44における車両前側の端部を連結する前側壁部28と、一対の側壁部30,44における車両後側の端部を連結する後側壁部48とによって閉断面部58が構成されている。また、この閉断面部58は、一対の側壁部30,44が延びる方向に沿った縦幅W1よりも該延びる方向から見た横幅W2の方が狭く形成されている。つまり、この閉断面部58を有するフロントピラー18は、全体的には、横幅が狭く縦長の細幅化された構成とされている。
【0038】
なお、このフロントピラー18は、例えば、次の要領で組み立てられている。すなわち、先ず、前側壁部28に前壁補強部34及び結合壁部40を重ね合わせると共に、フランジ32にフランジ補強部38を重ね合わせて、サイドアウタパネル20に対してピラーリインフォース22及び第一インナパネル24を仮の組付状態に保持する。そして、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22及び第一インナパネル24に対して第二インナパネル26を組み付ける前に、一対の側壁部30,44におけるフロントシート側の端部の間に形成された孔部60からスポット溶接用の一方の電極62を挿入してこの電極62を結合壁部40に当接させる。
【0039】
また、図示しない相手側の他方の電極を一方の電極62と反対側から前側壁部28に当接させる。そして、この状態で一対の電極間に電流を流す。これにより、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40がスポット溶接により結合され、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22、及び、第一インナパネル24が組み付けられる。
【0040】
また、前側壁部28にフランジ66を重ね合わせ、サイドアウタパネル20に対してブラケット64を仮の組付状態に保持する。そして、例えば、結合壁部40及び前壁補強部34に形成された図示しない切欠部や孔部を通じて一方の電極62を前側壁部28に当接させると共に、この電極62と反対側から図示しない相手側の他方の電極をフランジ66に当接させる。そして、この状態で一対の電極間に電流を流す。これにより、フランジ66及び前側壁部28がスポット溶接により結合され、ブラケット64がサイドアウタパネル20に組み付けられる。
【0041】
続いて、フランジ補強部38にフランジ50を重ね合わせると共に、フランジ46にフランジ52を重ね合わせてサイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22及び第一インナパネル24に対して第二インナパネル26を仮の組付状態に保持する。そして、フランジ32、フランジ補強部38、及び、フランジ50をスポット溶接により結合すると共に、フランジ46とフランジ52をスポット溶接により結合する。以上により、フロントピラー18は組み立てられる。なお、孔部60の横幅、すなわち、一対の側壁部30,44におけるフロントシート側の端部間の隙間は、電極62を挿入するために必要な最小限の寸法に設定されている。
【0042】
また、このようにして組み立てられたフロントピラー18の車両前側には、アウタモール72が設けられている。このアウタモール72には、一対の把持部74が形成されており、この一対の把持部74で取付部70の先端部を把持することにより、アウタモール72は、取付部70に取り付けられている。また、このアウタモール72には、後述するウェザストリップ86側を向く当て部76が形成されている。この当て部76は、縦縁部14Aよりも車両幅方向外側に位置されている。また、当て部76の車両前側の端部には、車両内側に延びるモール部78が形成されており、このモール部78の先端側は、縦縁部14Aの表側に縦縁部14Aと離間して設けられている。
【0043】
また、このフロントピラー18には、図示しないヒンジを介してサイドドア80がスイング可能に連結されている。このサイドドア80は、上述のサイドガラス16とドアフレーム82とを備えている。ドアフレーム82には、その長手方向に沿ってガラスラン84が設けられており、サイドガラス16は、このガラスラン84を介してドアフレーム82に昇降可能に支持されている。
【0044】
また、ドアフレーム82におけるガラスラン84と反対側には、ウェザストリップ86(ドアウェザストリップ)が取り付けられている。ウェザストリップ86は、当て壁部30A及び当て部76に向けて膨出するシール部88と、当て部76に向けて延びるリップ部90とを有して構成されている。シール部88は、サイドドア80が閉状態とされたときには、弾性圧縮された状態で当て壁部30A及び当て部76に密着される構成とされており、リップ部90は、サイドドア80が閉状態とされたときには、車両後側から当て部76に押し当てられて弾性変形される構成とされている。
【0045】
一方、フロントピラー18のフランジ32、50及びフランジ補強部38には、ウェザストリップ92(オープニングウェザストリップ)が取り付けられている。ウェザストリップ92は、サイドガラス16側に膨出するシール部94と、このシール部94と反対側に延出するリップ部96とを有している。シール部94は、サイドドア80が閉状態とされたときには、ドアフレーム82に形成された突出部98に弾性圧縮された状態で密着される構成とされており、リップ部96は、後述するインナガーニッシュ102の端末部102Aに係止されている。
【0046】
また、フロントピラー18の車両内側には、側壁部44及び後側壁部48を車両内側から覆う樹脂製のインナガーニッシュ102がフロントピラー18の長手方向に沿って設けられている。また、このインナガーニッシュ102とフロントピラー18との間には、空間部104が形成されており、この空間部104には、例えば、ワイヤーハーネス、アンテナケーブル、排水ホースなどの配索部材106が収容されている。各配索部材106は、フロントピラー18の長手方向に沿って配索されている。
【0047】
さらに、縦縁部14Aの裏面には、不透明(黒色)のセラミック部108が形成されており、インナガーニッシュ102の側面部102Bは、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aと図示しない運転者の頭部とを結ぶ線L1に対して平行に設けられている。さらに、モール部78の先端78Aは、上述の線L1に対して車両幅方向外側に設けられている。
【0048】
なお、この場合の運転者とは、運転席を車両前後方向中央のスライド位置に設定すると共に、標準体格で且つ正しい運転姿勢の者を想定している。
【0049】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0050】
本発明の第一実施形態によれば、フロントピラー18に形成された閉断面部58は、縦幅W1よりも横幅W2の方が狭く形成されており、これにより、フロントピラー18は、全体的に横幅が狭く縦長の細幅化された構成とされている。従って、このフロントピラー18及びその周辺部によって構成されたフロントピラー部100の幅、すなわち、この場合、上述の線L1と、この線L1と平行でガラスラン84の先端を通る線L2との成す幅W3を狭めることができる。これにより、車室からの視界を向上させることができる(特に、運転席に対する視界の妨害角を狭めることができる)。
【0051】
また、閉断面部58には、一対の側壁部30,44における車両前側の端部を連結する前側壁部28が形成されており、この前側壁部28は、ウィンドシールドガラス14の縦縁部14Aの裏側に設けられて縦縁部14Aとフランジ66を介して固定されている。従って、例えば、この前側壁部28から車両幅方向内側にフランジを延出させ、このフランジを縦縁部14Aと固定させた場合に比して、フロントピラー18の横幅を狭くすることができる。これにより、車室からの視界をより向上させることができる。
【0052】
また、フロントピラー18を構成するサイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22、第一インナパネル24、及び、第二インナパネル26については、例えばプレス成形等によってそれぞれ形成することができる。従って、例えば、フロントピラー18をハイドロフォーム成形で一括して形成する場合に比して、大掛かりな設備を不要にできるので、コストダウンすることができる。
【0053】
また、ブラケット64、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22、第一インナパネル24、及び、第二インナパネル26の結合に全てスポット溶接が用いられているので、このことによってもコストダウンすることができる。
【0054】
また、上述のように、フランジ同士を重ね合わせて結合するフランジ結合部とは異なる形態の結合部であるフランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の結合部にもスポット溶接を用いている。従って、例えば、アーク溶接やレーザ溶接のような片側溶接を用いた場合に比して、生産性及び精度を容易に確保することができる。
【0055】
また、第二インナパネル26は、後側壁部48の全体を有している。このため、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22及び第一インナパネル24に対して第二インナパネル26を組み付ける前の状態では、一対の側壁部30,44における後側壁部48側の端部の間が孔部60として形成される。これにより、孔部60の開口面積を大きく確保することができるので、この孔部60に上述の電極62を挿入して溶接作業を行う際には、その作業性を良好にすることができる。
【0056】
また、このように第二インナパネル26の組付前には、この第二インナパネル26の組付位置に形成された孔部60を利用してこの孔部60に電極62を挿入することができるので、汎用のスポット溶接機を使用することが可能となり、より一層コストダウンすることができる。
【0057】
次に、本発明の第一実施形態の変形例について説明する。
【0058】
本発明の第一実施形態において、フランジ46は、図2の想像線(二点鎖線)で示されるように、側壁部44のフロントシート側に延びる方向に対して交差する方向の一例として、車両幅方向内側に延びていても良い。このようにフランジ32に加えてフランジ46もフロントシート側と異なる方向に延びていると、フランジ32,50及びフランジ補強部38と、フランジ46,52とがフロントシート側へ突出することを抑制することができる。
【0059】
また、フロントピラー18は、ピラーリインフォース22を備える代わりに、第一インナパネル24に側壁補強部36とフランジ補強部38とが一体に形成された構成とされていても良い。なお、この場合には、側壁補強部36とフランジ補強部38とが一体に形成された第一インナパネル24が本発明における第二パネルに相当する。
【0060】
また、フロントピラー18は、ピラーリインフォース22を省いた構成とされていても良い。
【0061】
また、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の溶接と、フランジ32、フランジ補強部38、及び、フランジ50の溶接と、フランジ46とフランジ52の溶接とにスポット溶接がそれぞれ用いられていたが、これらの溶接のうち少なくとも何れかに、その他の溶接、例えば、レーザ溶接等が用いられても良い。
【0062】
なお、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の溶接にレーザ溶接が用いられる場合には、次の要領で溶接が行われる。すなわち、先ず、前側壁部28に前壁補強部34及び結合壁部40を重ね合わせると共に、フランジ32にフランジ補強部38を重ね合わせて、サイドアウタパネル20に対してピラーリインフォース22及び第一インナパネル24を仮の組付状態に保持する。そして、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22及び第一インナパネル24に対して第二インナパネル26を組み付ける前に、孔部60に図示しない押し棒を挿入してこの押し棒を結合壁部40に当接させる。
【0063】
また、この押し棒と反対側からレーザ溶接用の図示しない照射部を前側壁部28に対向させる。そして、押し棒で結合壁部40を押圧することで前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の間の隙間を管理しながら、上述の照射部からレーザ光をフランジ66に照射する。これにより、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40がレーザ溶接により結合される。
【0064】
また、前側壁部28にフランジ66を重ね合わせ、サイドアウタパネル20に対してブラケット64を仮の組付状態に保持する。そして、例えば、結合壁部40及び前壁補強部34に形成された図示しない切欠部や孔部を通じて押し棒を前側壁部28に当接させると共に、この押し棒と反対側からレーザ溶接用の図示しない照射部をフランジ66に対向させる。そして、押し棒で前側壁部28を押圧することで前側壁部28及びフランジ66の間の隙間を管理しながら、上述の照射部からレーザ光をフランジ66に照射する。これにより、フランジ66及び前側壁部28がレーザ溶接により結合される。
【0065】
このようにすると、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40がレーザ溶接により結合される際に、これらの間の隙間を管理することができる。従って、生産性を向上させることができると共に、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40をより精度良く結合させることができる。
【0066】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0067】
図3に示されるフロントピラー118には、本発明の第二実施形態に係るフロントピラー構造110が適用されている。このフロントピラー118は、上述のフロントピラー18(図2参照)に対し、次の如く構成が変更されている。なお、本発明の第二実施形態において、本発明の第一実施形態と同様の構成には、同一符号を用い、その説明を省略する。
【0068】
フロントピラー118は、上述の第二インナパネル26(図2参照)が省かれた代わりに、本発明における第二パネルに相当するインナパネル124を備えている。このインナパネル124は、結合壁部40、側壁部44、後側壁部本体部125、及び、フランジ50を一体に有している。後側壁部本体部125は、後側壁部48の本体部を構成するものであり、溶接部42の溶接方向の延長線上に貫通して形成された孔部130を有している。この孔部130は、後述する如く電極62を挿入するために必要な最小限の寸法に設定されている。
【0069】
また、この孔部130は、本発明における別体部材に相当する蓋部材126によって閉塞されている。この蓋部材126は、孔部130の周縁部に嵌合されることで後側壁部本体部125に組み付けられており、後側壁部48の一部を構成している(後側壁部本体部125とで後側壁部48を構成している)。
【0070】
なお、このフロントピラー118は、例えば、次の要領で組み立てられている。すなわち、先ず、前側壁部28に前壁補強部34及び結合壁部40を重ね合わせると共に、フランジ32、フランジ補強部38、及び、フランジ50を重ね合わせて、サイドアウタパネル20に対してピラーリインフォース22及びインナパネル124を仮の組付状態に保持する。そして、後側壁部本体部125に蓋部材126を組み付ける前に、この蓋部材126の取付位置に形成された孔部130からスポット溶接用の一方の電極62を挿入してこの電極62を結合壁部40に当接させる。
【0071】
また、図示しない相手側の他方の電極を一方の電極62と反対側から前側壁部28に当接させる。そして、この状態で一対の電極間に電流を流す。これにより、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40がスポット溶接により結合される。
【0072】
また、前側壁部28にフランジ66を重ね合わせ、サイドアウタパネル20に対してブラケット64を仮の組付状態に保持する。そして、例えば、結合壁部40及び前壁補強部34に形成された図示しない切欠部や孔部を通じて一方の電極62を前側壁部28に当接させると共に、この電極62と反対側から図示しない相手側の他方の電極をフランジ66に当接させる。そして、この状態で一対の電極間に電流を流す。これにより、フランジ66及び前側壁部28がスポット溶接により結合され、ブラケット64がサイドアウタパネル20に組み付けられる。
【0073】
また、これらと同時又は前後して、フランジ32、フランジ補強部38、及び、フランジ50をスポット溶接により結合する。これにより、ブラケット64、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22、及び、インナパネル124が組み付けられる。
【0074】
続いて、図4の実線で示されるように、リベッタ140を用いて蓋部材126を後側壁部本体部125に組み付ける。なお、リベッタ140は、ジョーケース142と、ジョー144と、マンドレル146を有している。ジョーケース142は、筒状に形成されており、ジョー144は、ジョーケース142の内側に収容されている。マンドレル146は、頭部148と軸部150とを有して構成されており、頭部148における後述の底部134Aとの当接面148Aは、底部134A側に凸を成すテーパ状に形成されている。一方、蓋部材126は、有底筒状の筒状部134と、この筒状部134の開口側の外周部に形成されたフランジ136とを有している。
【0075】
そして、蓋部材126をジョーケース142の先端に乗せた状態で、筒状部134の底部134Aに形成された孔部138にマンドレル146の軸部150を挿通すると共に、マンドレル146の頭部148を底部134Aに当接させる。また、このようにしてリベッタ140に蓋部材126を装着した状態で、筒状部134をインナパネル124の孔部130に挿入し、フランジ136を孔部130の周縁部に係止させる。
【0076】
続いて、マンドレル146の軸部150をジョー144で把持した状態で、ジョー144を蓋部材126から離間する方向に後退させる。これにより、軸部150が引っ張られると共に、頭部148が底部134Aを押圧する。また、このときには、図5の実線で示されるように、底部134Aとの当接面148Aがテーパ状に形成された頭部148によって押圧されることにより底部134Aが湾曲するように変形され、この反力により筒状部134の側壁部134Bに対し底部134Aとの連結部を支点とした径方向外側へのモーメントMが作用し、側壁部134Bが樽状に変形する。そして、これにより、図4の想像線で示されるように、側壁部134Bが折り畳まれてインナパネル124に嵌合される。
【0077】
また、この変形後の側壁部134Bにおけるフランジ136側の部分が孔部130の内周面に押圧されると共に、この側壁部134Bとフランジ136とで孔部130の周縁部を挟み込むことにより、蓋部材126が孔部130の周縁部に嵌合されて後側壁部本体部125に組み付けられる。なお、軸部150は、ジョー144によって引っ張れることによりその長手方向中間部で破断される。以上により、フロントピラー118は組み立てられる。
【0078】
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について、上述の本発明の第一実施形態と異なる点を説明する。
【0079】
本発明の第二実施形態によれば、フロントピラー118を構成するサイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22、インナパネル124については、それぞれ例えばプレス成形等によって形成することができる。従って、例えば、フロントピラー118をハイドロフォーム成形で一括して形成する場合に比して、大掛かりな設備を不要にできるので、コストダウンすることができる。
【0080】
また、ブラケット64、サイドアウタパネル20、ピラーリインフォース22、及び、インナパネル124の結合に全てスポット溶接が用いられているので、このことによってもコストダウンすることができる。
【0081】
また、孔部130の周縁部には、蓋部材126が嵌合されているので、この蓋部材126によって孔部130の周囲を補強することができ、フロントピラー118の剛性を確保することができる。また、この蓋部材126を用いることにより、後側壁部本体部125(インナパネル124)の板厚や材料強度を増加させる必要が無くなるので、フロントピラー118の質量増加も抑制することができる。
【0082】
また、蓋部材126の組付前には、この蓋部材126の組付位置に形成された孔部130を利用してこの孔部130に電極62を挿入することができるので、汎用のスポット溶接機を使用することが可能となり、より一層コストダウンすることができる。
【0083】
次に、本発明の第二実施形態の変形例について説明する。
【0084】
本発明の第二実施形態において、フロントピラー118は、ピラーリインフォース22を省いた構成とされていても良い。
【0085】
また、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の溶接、フランジ32、フランジ補強部38、及び、フランジ46の溶接、フランジ50とフランジ52の溶接にスポット溶接が用いられていたが、その他の溶接、例えば、レーザ溶接等が用いられても良い。
【0086】
なお、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の溶接にレーザ溶接が用いられる場合には、次の要領で溶接が行われる。すなわち、先ず、前側壁部28に前壁補強部34及び結合壁部40を重ね合わせると共に、フランジ32にフランジ補強部38を重ね合わせて、サイドアウタパネル20に対してピラーリインフォース22及びインナパネル124を仮の組付状態に保持する。そして、後側壁部本体部125に蓋部材126を組み付ける前に、孔部130に図示しない押し棒を挿入してこの押し棒を結合壁部40に当接させる。
【0087】
また、この押し棒と反対側からレーザ溶接用の図示しない照射部を前側壁部28に対向させる。そして、押し棒で結合壁部40を押圧することで前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40の間の隙間を管理しながら、上述の照射部からレーザ光を前側壁部28に照射する。これにより、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40がレーザ溶接により結合される。
【0088】
また、前側壁部28にフランジ66を重ね合わせ、サイドアウタパネル20に対してブラケット64を仮の組付状態に保持する。そして、例えば、結合壁部40及び前壁補強部34に形成された図示しない切欠部や孔部を通じて押し棒を前側壁部28に当接させると共に、この押し棒と反対側からレーザ溶接用の図示しない照射部をフランジ66に対向させる。そして、押し棒で前側壁部28を押圧することで前側壁部28及びフランジ66の間の隙間を管理しながら、上述の照射部からレーザ光をフランジ66に照射する。これにより、フランジ66及び前側壁部28がレーザ溶接により結合される。
【0089】
このようにすると、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40がレーザ溶接により結合される際に、これらの間の隙間を管理することができる。従って、生産性を向上させることができると共に、フランジ66、前側壁部28、前壁補強部34、及び、結合壁部40をより精度良く結合させることができる。
【0090】
また、蓋部材126の筒状部134は、図6の想像線(二点鎖線)で示されるように、軸方向に貫通して形成されていても良い。なお、この場合に、マンドレル146は、頭部148が軸部150側に向かうに従って縮径するようにテーパ状に形成されたものが使用される。このようなマンドレル146を用いた場合でも、図6の実線で示されるように、軸部150が引っ張られたときには、筒状部134が樽状に変形され、蓋部材126が孔部130の周縁部に嵌合されて後側壁部本体部125に組み付けられる。
【0091】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0092】
次に、特許請求の範囲に記載された発明以外に、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0093】
つまり、前記閉断面部は、フロントシート側に延びると共に該延びる方向に沿った縦幅よりも該延びる方向から見た横幅の方が狭く形成されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造である。
【0094】
この構成によれば、フロントピラーは、横幅が狭く縦長の細幅化された構成とされるので、車室からの視界をより一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0095】
10,110 フロントピラー構造
14 ウィンドシールドガラス
14A 縦縁部
18,118 フロントピラー
20 サイドアウタパネル(第一パネル)
24 第一インナパネル(第二パネル)
26 第二インナパネル(別体部材、インナパネル)
28 前側壁部
30,44 一対の側壁部
40 結合壁部
42 溶接部
48 後側壁部
58 閉断面部
124 インナパネル(第二パネル)
125 後側壁部本体部
126 蓋部材(別体部材)
130 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントピラーに形成された閉断面部を構成する一対の側壁部のうち一方の側壁部と、前記一対の側壁部における車両前側の端部を連結すると共にウィンドシールドガラスの縦縁部の裏側に設けられて前記縦縁部が固定された前側壁部とを有する第一パネルと、
前記一対の側壁部のうち他方の側壁部と、前記前側壁部に対する前記縦縁部と反対側に設けられてスポット溶接又はレーザ溶接により前記前側壁部と結合された結合壁部とを有する第二パネルと、
前記一対の側壁部における車両後側の端部を連結する後側壁部の少なくとも一部を構成すると共に、前記第一パネル及び前記第二パネルと別体に構成され、且つ、前記第一パネル及び前記第二パネルと共に前記閉断面部を構成する別体部材と、
を備えた車両のフロントピラー構造。
【請求項2】
前記別体部材は、前記後側壁部を有するインナパネルとされている、
請求項1に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項3】
前記一対の側壁部は、フロントシート側に延び、
前記第一パネル及び前記第二パネルは、前記一対の側壁部における前記フロントシート側の端部に形成されると共に、前記一対の側壁部の前記フロントシート側に延びる方向に対して交差する方向へ延びて前記インナパネルの車両幅方向両端部と結合されたフランジをそれぞれ有する、
請求項2に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項4】
前記第一パネル又は前記第二パネルに形成されて前記後側壁部の本体部を構成すると共に、前記前側壁部と前記結合壁部との溶接部の溶接方向の延長線上に孔部が貫通して形成された後側壁部本体部を備え、
前記別体部材は、前記孔部を閉塞して前記後側壁部の一部を構成すると共に、前記孔部の周縁部に嵌合された蓋部材とされている、
請求項1に記載の車両のフロントピラー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−66685(P2012−66685A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212849(P2010−212849)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】