説明

車両の乗員保護装置

【課題】車両の衝突時において、可動シートがエアバッグ保護領域と非エアバッグ保護領域のいずれかの領域内に位置した場合、その領域に応じてシートベルトのフォースリミッタを可変にして、乗員を最適な拘束力で保護ができる。
【解決手段】
助手席18はエアバッグ保護領域P1と非エアバッグ保護領域P2間を移動自在に設けられている。助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置するか、非エアバッグ保護領域P2に位置するかを位置検出センサで検出する。シートベルト40のリトラクタ50は助手席18がエアバッグ保護領域P1に位置している場合、フォースリミッタ荷重を低荷重にするとともに、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置している場合には、フォースリミッタ荷重を高荷重にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアバッグと、シートベルトを備えた車両の乗員保護装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、乗員の体格を入力設定し、又は、体格を検出する体格検出手段(例えば、シートに設けられた感圧フィルムセンサ)と、車両の衝突を検出する衝突検出手段を備えている。さらに、前記乗員保護装置は、車両の衝突を衝突検出手段が検出すると、体格検出手段の検出信号に基づいて、体格に応じてシートベルトによる乗員拘束力の後半荷重(本明細書のフォースリミッタ荷重に相当する)を変更する変更手段を備えている。
【0003】
特許文献1では、シートに着座した乗員の体格に応じて、車両衝突時のフォースリミッタ荷重が変更されているため、体格が大きい乗員の場合は高いフォースリミッタ荷重で、車両衝突時の乗員の運動エネルギーを吸収できる。又、体格が小さい乗員の場合は低いフォースリミッタ荷重で、車両衝突時の乗員の運動エネルギーを吸収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−87209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような乗員保護装置によれば、例えば助手席であるシートに着座した乗員は、車両のインストルメントパネル上部のエアバッグが車両衝突時に展開することにより、前記シートベルトと協働して保護できる。
【0006】
ところで、例えば、助手席側のシートを、2列目シートと並ぶ位置と、運転席と並ぶ位置間を自由に移動させることにより、車両のユーティリティ性を挙げたい要望がある。運転席と並ぶ位置は、前記エアバッグとシートベルトにより、車両衝突時において乗員を保護する保護領域(エアバッグ保護領域に相当する)であり、2列目シートと並ぶ位置は、前記エアバッグ保護領域外である非エアバッグ保護領域となる。この場合、2列目シートと並ぶ位置にした際には、すなわち、非エアバッグ保護領域にシートが移動した際には、当該助手席のシートに着座した乗員をエアバッグとの協働による保護が行われないため、何らかの対策を取る必要がある。
【0007】
本発明の目的は、車両の衝突時において、可動シートがエアバッグ保護領域と非エアバッグ保護領域のいずれかの領域内に位置した場合、その領域に応じてシートベルトのフォースリミッタを可変にして、乗員を最適な拘束力で保護ができる車両の乗員保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、エアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ保護領域と前記エアバッグ保護領域外の非エアバッグ保護領域間を移動自在に設けられた可動シートに設けられて前記可動シートに着座した乗員を拘束するシートベルトと、前記可動シートが前記エアバッグ保護領域に位置するか、非エアバッグ保護領域に位置するかを検出するシート位置検出手段と、前記シートベルトのフォースリミッタ荷重を高荷重又は低荷重に変更可能なフォースリミッタ荷重設定機構と、前記フォースリミッタ荷重設定機構に作動して、フォースリミッタ荷重を高荷重又は低荷重に切替する切替手段と、前記可動シートが前記エアバッグ保護領域に位置していると前記シート位置検出手段が検出している際には、前記フォースリミッタ荷重設定機構のフォースリミッタ荷重を低荷重にするとともに、前記可動シートが前記非エアバッグ保護領域に位置していると前記シート位置検出手段が検出している際には、前記フォースリミッタ荷重設定機構のフォースリミッタ荷重を高荷重にするように前記切替手段を制御する制御手段を備えた車両の乗員保護装置を要旨としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、車両の衝突を検出する衝突検出手段と、前記エアバッグの展開を行うガス発生手段を備え、前記制御手段は、前記衝突検出手段の衝突の検出により、前記ガス発生手段のガス発生を行わせることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記制御手段は、前記衝突検出手段が車両の衝突を検出した際に、前記シート位置検出手段が非エアバッグ保護領域に前記可動シートが位置することを検出している場合には、前記ガス発生手段のガス発生を行わず、前記シート位置検出手段がエアバッグ保護領域に前記可動シートが位置することを検出している場合には、前記ガス発生手段のガス発生を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、車両の衝突時において、可動シートがエアバッグ保護領域と非エアバッグ保護領域のいずれかの領域内に位置した場合、その領域に応じてシートベルトのフォースリミッタを可変にして、乗員を最適な拘束力で保護ができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、衝突検出手段が車両の衝突を検出すると、制御手段は、ガス発生手段によりガスを発生させて、エアバッグを展開させ、エアバッグ保護領域に位置する可動シートに着座した乗員を保護できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、衝突検出手段が車両の衝突を検出した際に、シート位置検出手段が非エアバッグ保護領域に可動シートが位置することを検出している場合には、可動シートはエアバッグ保護領域に位置していないため、エアバッグの展開をさせなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エアバッグ保護領域に可動シートが位置する場合の概略側面図。
【図2】非エアバッグ保護領域に可動シートが位置する場合の概略側面図。
【図3】リトラクタ装置の概略断面図。
【図4】リトラクタ装置の概略断面図。
【図5】乗員保護装置の電気ブロック図。
【図6】(a)一実施形態の位置検出センサの概略側面図、(b)は他の実施形態の位置検出センサの概略側面図。
【図7】車両の概略平面図。
【図8】フォースリミッタ荷重の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態の車両の乗員保護装置100を図1〜図8を参照して説明する。
まず、車両の乗員保護装置100が適用される車両のフロアに配置されるシートについて説明する。
【0016】
図7に示すように、本実施形態の車両は、フロア10上に前後方向に3列シートが設けられている。車幅方向の右側には、前席である運転席14、2列目シートのリアシート15、及びベンチタイプの3列目シート16がそれぞれ配置されている。
【0017】
又、図1、図2、図7に示すように助手席側(本実施形態では車幅方向の左側)には互いに平行になるように離間配置された長尺状のシートレール17A,17Bが前後方向に延びるように配置されている。シートレール17A,17Bは、図1、図7に示すように、前端部が運転席14の左方に位置するとともにフロア10の前部に位置する。又、シートレール17A,17Bの後端部は、3列目シート16の前方において近接した位置に位置する。シートレール17A,17B上には、助手席18と2列目シートであるリアシート19がそれぞれ配置されている。各席14,15、16、18、19は、シートクッションと、シートクッションに対して傾動自在に取り付けられたシートバックを有する。
【0018】
図1、図7に示すように助手席18のシートクッション18aの下部には、車幅方向において離間するように一対のスライダレール20が固定され、前記シートレール17A,17B内に挿入されて前後方向に移動可能となっている。
【0019】
又、シートクッション18aの下部には、スライダレール20をシートレール17A,17Bの車両の前後方向における任意のスライド位置に保持するためのスライドロック機構(図示しない)が設けられており、このスライドロック機構は、図示しないロック解除レバーと作動連結されている。
【0020】
シートレール17Aは、図示はしないが、断面凹状に形成され、図6(a)に示すように運転席側に近い側の底壁22と、2列目シート側に近い側の底壁22の境界には、フロア10に配置された位置検出センサ25が設けられている。位置検出センサ25はプランジャ型のアクチュエータ25aを備えている。アクチュエータ25aは底壁22を介してシートレール17A内へ進退可能に突出されている。すなわち、位置検出センサ25は、エアバッグ保護領域P1と非エアバッグ保護領域P2の境界に設けられている。アクチュエータ25aは、前記境界を通過するスライダレール20の下面に当接した際に、図示しないバネに抗してスイッチ本体25b内に後退し、通過後には再び進出する。
【0021】
位置検出センサ25は、アクチュエータ25aが前記当接により作動する毎にオンオフが切替え可能となっており、オンからオフに切り替えられると、助手席18がエアバッグ保護領域P1から非エアバッグ保護領域P2に移動したことが検出される。すなわち、助手席18は、非エアバッグ保護領域P2に位置していることが検出可能である。
【0022】
又、位置検出センサ25がオフからオンに切り替えられると、助手席18が非エアバッグ保護領域P2からエアバッグ保護領域P1に移動したことが検出される。すなわち、助手席18は、エアバッグ保護領域P1に位置していることが検出可能である。なお、位置検出センサ25は、車両の図示しない電源がオンされるときの助手席18の初期位置は、エアバッグ保護領域P1に位置しているものとする。
【0023】
位置検出センサ25は、シート位置検出手段に相当する。
なお、助手席18の移動可能な範囲とは、図7に示すように、シートレール17A,17Bの全長において、リアシート19が最も3列目シート16側に位置したときの、残りの範囲である。
【0024】
図1に示すようにエアバッグ保護領域P1は、車両のインストルメントパネル30内に設けられたエアバッグ32が車両衝突時に展開した際に、エアバッグ保護領域P1内に助手席18がある場合には、同助手席18に着座した乗員Jを、エアバッグ32と、後述するシートベルト40との協働で保護可能な領域である。
【0025】
なお、エアバッグ32は、インストルメントパネル30内に畳まれた状態で収納されるとともに、エアバッグ32にガスを供給するためのインフレータ34を備えている。エアバッグ32は、図1、図2に示すように、インフレータ34からのガス供給を受けて乗員Jとインストルメントパネル30から助手席側に向かって膨張、展開されるようになっている。インフレータ34はガス発生手段に相当する。
【0026】
図2に示すように非エアバッグ保護領域P2は、エアバッグ32が車両衝突時に展開した際に、非エアバッグ保護領域P2内に助手席18がある場合には、同助手席18に着座した乗員Jを、後述するシートベルト40により保護可能な領域である。
【0027】
又、図示はしないが、リアシート19のシートクッション19aの下部にも助手席18と同様に、車幅方向において離間するようにそれぞれ一対のスライダレールが設けられるとともにシートレール17A,17Bの車両の前後方向における任意のスライド位置に保持するためのスライドロック機構(図示しない)が設けられている。このスライドロック機構は、図示しないロック解除レバーと作動連結されている。
【0028】
リアシート19は、図7に示すように、シートレール17A,17Bにおいて、領域P3を移動可能である。領域P3の前端は、非エアバッグ保護領域P2のエアバッグ保護領域P1との境界とし、領域P3の後端はシートレール17A,17Bの後端としている。前記助手席18は、可動シートに相当する。
【0029】
前記助手席18には、乗員Jに装着されて該乗員Jを拘束するためのシートベルト40を備えている。
シートベルト40の一端側は、図1に示すように、助手席18のシートバック18b内に固定された巻き取り装置としてのリトラクタ50に引き出し可能に巻き取られている。シートベルト40の他端側は、シートクッション18aの後部側方にアンカ41によって固定されている。
【0030】
前記シートベルト40は、乗員に対する非装着状態では、助手席18の幅方向一端側(車幅方向の外側)において、車両上下方向に延在されており、その上下方向における略中間部にはタングプレート42が設けられている。タングプレート42は、助手席18の幅方向内側(すなわち、運転席側)に配置されたバックル43に係脱可能とされている。このようにタングプレート42をバックル43に係止することにより、図1、図2に示すように、シートベルト40が乗員Jに装着される。
【0031】
シートベルト40は、3点式シートベルトであって、シートバック18bの肩部からタングプレート42(乗員Jの腰部)にかけてのショルダベルト部40aが乗員Jの上体に斜めに掛け渡されて装着されるとともに、タングプレート42からアンカ41にかけてのラップベルト部40bが着座した乗員Jの腰部に装着されるようになっている。
【0032】
次に、リトラクタ50について説明する。
図3、図4に示すように、リトラクタ50は、フレーム52と、フレーム52に回転可能に支持されたスプール54とを備えている。スプール54は、有底円筒状の筒部54aと、筒部54aの底部中心から突出されて筒部54aと同軸に設けられたトーションバー54bとを備えている。スプール54の筒部54aにはシートベルト40の一端側が巻き回されている。なお、図3,図4において、トーションバー54bの右端を回転自在に支持しているフレーム52の部位は図面では省略されている。
【0033】
トーションバー54bの端部(図面では右端部)には、車両の衝突に伴ってスプール54のシートベルト40を引き出す方向の回転をロックする公知のロック機構56が設けられている。
【0034】
ロック機構56は、トーションバー54bを介して該スプール54の一端に同軸的に連結されたロック部56aと、該ロック部56aに保持されたロックパウル56bと、ロックパウル56bが噛み合い可能にフレーム52に形成されたラチェット56cと、車両の前面衝突等に伴う衝撃の入力によってラチェット56cにロックパウル56bを噛み合わせる周知の感知機構(図示省略)とを有して構成されている。
【0035】
又、筒部54aの底面側にはプリテンショナー機構110が作動連結されている。プリテンショナー機構110は、公知の構造であるため、簡単に説明すると、プリテンショナー機構110は、スプール54と同軸的かつ一体に回転するピニオン(図示しない)と該ピニオンと噛合するラック(図示しない)と、前記ラック(図示しない)をピニオン側に駆動するアクチュエータ(図示しない)を備えている。前記アクチュエータは、マイクロガスジェネレータ(MGG)と、マイクロガスジェネレータ(MGG)が発生したガス圧によって作動するシリンダを有する。前記マイクロガスジェネレータがガスを発生すると、シリンダ内に供給されたガス圧によりシリンダの図示しないプッシュロッドが前記ラックを駆動して、前記ピニオンを介してスプール54をシートベルト40の巻き取り方向に回転させるようになっている。
【0036】
このように回転されたスプール54は、シートベルト40を強制的に巻き取り、該シートベルト40の弛みを除去する(張力を付与する)ようになっている。
又、図3,図4に示すようにフレーム52には、スプール54に隣接して、トーションバー62が回動自在に支持されている。トーションバー62の一端側には歯車63が一体に設けられている。歯車63は、筒部54aの外周に設けられた歯車58と噛合されている。以下、歯車63が筒部54aの外周に設けられた歯車58と噛合されている状態を第1状態という。
【0037】
トーションバー62の一端側を支持するフレーム52の軸孔52aは、トーションバー62の一端をスプール54から離間方向に移動自在な長孔52bが付設されている。長孔52bには、軸受部材64が設けられ、付勢手段としてのバネ部材65により、前記トーションバー62の一端を軸孔52a側に付勢されている。又、軸受部材64はバネ部材65に抗して長孔52b内を移動可能に形成されている。フレーム52には、図示しないマイクロガスジェネレータ(MGG)が発生したガス圧によって作動するシリンダ53を有する切替手段としての分離作動部66が設けられている。前記マイクロガスジェネレータが、ガスを発生し、シリンダ53内に導入されると、バネ部材65に抗してシリンダ53のプッシュロッド53aがトーションバー62の一端をスプール54から離間する方向に作動することにより、歯車63と歯車58間の噛合を解除するようにしている。この状態は、シリンダ53内にガスが充填されることにより、保持される(図4参照)。以下、この状態を第2状態という。
【0038】
リトラクタ50のフォースリミッタ機構60は、トーションバー54bを備えるスプール54とトーションバー62とにより構成されるとともに上記のように第1状態と第2状態との選択が可能になっている。
【0039】
(第1状態)
フォースリミッタ機構60は、第1状態になっているときに、ロック機構56によってロック部56aの引き出し方向回転がロックされると、乗員Jに作用する拘束荷重を制限しつつ、該乗員Jの車両前方への移動に伴うスプール54の引き出し方向への回転を許容する。
【0040】
そして、第1状態では、フォースリミッタ機構60は、乗員Jからシートベルト40を介して伝達される引き出し荷重が第1所定値E1を超えると、一端がロック部56aにてロックされたトーションバー54bとトーションバー62とが捩れることで、乗員Jのショルダに作用する拘束荷重(ショルダ荷重)を制限しつつシートベルト40の引き出しを許容し、衝撃エネルギーの一部を吸収するようになっている。このショルダ荷重は、後述する第2状態の拘束荷重(ショルダ荷重)よりも高荷重である。なお、拘束荷重(ショルダ荷重)はフォースリミッタ荷重に相当する。
【0041】
従って、第1状態では、フォースリミッタ機構60は、トーションバー54b及びトーションバー62により車両の前面衝突の際に受動的に作動するように構成されている。
(第2状態)
又、フォースリミッタ機構60は、第2状態になっているときに、ロック機構56によってロック部56aの引き出し方向回転がロックされると、乗員Jに作用する拘束荷重を制限しつつ、該乗員Jの車両前方への移動に伴うスプール54の引き出し方向への回転を許容する。
【0042】
そして、第2状態では、フォースリミッタ機構60は、乗員Jからシートベルト40を介して伝達される引き出し荷重が第2所定値E2を超えると、一端がロック部56aにてロックされたトーションバー54bが捩れることで、乗員Jのショルダに作用する拘束荷重(ショルダ荷重)を制限しつつシートベルト40の引き出しを許容し、衝撃エネルギーの一部を吸収するようになっている。このショルダ荷重は、前記第1状態のショルダ荷重よりも低荷重である。
【0043】
従って、第2状態では、フォースリミッタ機構60は、トーションバー54bにより車両の前面衝突の際に受動的に作動するように構成されている。
歯車58,63を介して互いに連結された第1状態と、連結が解除された第2状態を取りうるトーションバー54b及びトーションバー62とにより、フォースリミッタ荷重設定機構が構成されている。
【0044】
(乗員保護装置100電気的構成)
次に、乗員保護装置100の電気的構成を、図5を参照して説明する。
乗員保護装置100は、図5に示すように、制御手段としての乗員保護ECU70を備えている。
【0045】
乗員保護ECU70は、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)、分離作動部66のマイクロガスジェネレータ(MGG)、インフレータ34、位置検出センサ25及び衝突検出手段としての衝突センサ80のそれぞれに電気的に接続されており、これらの作動(タイミング)を制御するようになっている。本実施形態の乗員保護装置100は、シートベルト40、位置検出センサ25、リトラクタ50のトーションバー54b、トーションバー62を有するフォースリミッタ荷重設定機構、分離作動部66(切替手段)、衝突センサ80、インフレータ34及び乗員保護ECU70(制御手段)とにより、構成されている。
【0046】
すなわち、乗員保護ECU70は、車両の前面衝突を検出するための衝突センサ80からの信号に基づいてプリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)、及びインフレータ34の組み合わせ、又は、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)、インフレータ34及び分離作動部66のマイクロガスジェネレータ(MGG)の組み合わせを作動させるようになっている。
【0047】
衝突センサ80は、例えば複数のセンサで構成され、各種の衝突に対応する信号を出力するようになっている。
乗員保護ECU70は、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置しているときであって、車両の前面衝突の際には、プリテンショナー機構110、フォースリミッタ機構60、インフレータ34がこの順で作動されるように、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)、及びインフレータ34の作動タイミングを制御するようになっている。
【0048】
本実施形態では、乗員保護ECU70は、衝突センサ80から前面衝突に対応した信号が入力された場合に、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)を作動させ、このプリテンショナー機構110の作動後であって現実の衝突検知から所定時間t1経過後にインフレータ34を作動させるように構成されている。この所定時間t1は、上記の通り、前面衝突の検出からフォースリミッタ機構60の作動が開始されるまでの時間差として設定されている。従って、乗員保護装置100では、第1状態のフォースリミッタ機構60の作動開始と同時又はフォースリミッタ機構60の作動開始後であって作動中に、インフレータ34が作動されてエアバッグ32へのガス供給が開始されるようになっている。
【0049】
又、乗員保護ECU70は、助手席18がエアバッグ保護領域P1に位置しているときであって、車両の前面衝突の際には、プリテンショナー機構110、分離作動部66、フォースリミッタ機構60、インフレータ34がこの順で作動されるように、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)、分離作動部66のマイクロガスジェネレータ(MGG)及びインフレータ34の作動タイミングを制御するようになっている。
【0050】
本実施形態では、乗員保護ECU70は、衝突センサ80から前面衝突に対応した信号が入力された場合に、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)を作動させ、このプリテンショナー機構110の作動後であって現実の衝突検知から前記所定時間t1よりも早い経過時間t2(<t1)後に分離作動部66のマイクロガスジェネレータ(MGG)を作動させ、前記所定時間t1経過後にインフレータ34を作動させるように構成されている。
【0051】
従って、乗員保護装置100では、第2状態のフォースリミッタ機構60の作動開始と同時又は第2状態のフォースリミッタ機構60の作動開始後であって作動中に、インフレータ34が作動されてエアバッグ32へのガス供給が開始されるようになっている。
【0052】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成された乗員保護装置100の作用を説明する。
図1に示すように、助手席18が、エアバッグ保護領域P1内に位置するときは、位置検出センサ25は、助手席18がエアバッグ保護領域P1に位置していることを検出している。この場合は、前面衝突があると、乗員保護ECU70は下記の制御を行う。
【0053】
すなわち、車両の前面衝突を衝突センサ80が検出すると、乗員保護ECU70は、プリテンショナー機構110、分離作動部66、フォースリミッタ機構60、インフレータ34がこの順で作動するように、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)、分離作動部66のマイクロガスジェネレータ(MGG)及びインフレータ34の作動タイミングを制御する。
【0054】
具体的には、乗員保護ECU70は、衝突センサ80から前面衝突に対応した信号が入力されると、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)を作動させてガスを発生する。すると、シリンダ内に供給されたガス圧によりシリンダの図示しないプッシュロッドがラックを駆動して、前記ピニオンを介してスプール54をシートベルト40の巻き取り方向に回転させる。そして、このように回転されたスプール54は、シートベルト40を強制的に巻き取り、該シートベルト40の弛みを除去する(張力を付与する)。
【0055】
さらに、乗員保護ECU70により、プリテンショナー機構110の作動後であって現実の衝突検知から所定時間t1よりも早い経過時間t2(<t1)後に分離作動部66のマイクロガスジェネレータ(MGG)が作動されて、所定時間t1経過後にインフレータ34を作動させる。このため、乗員保護装置100では、第2状態のフォースリミッタ機構60の作動開始と同時又は第2状態のフォースリミッタ機構60の作動開始後であって作動中に、インフレータ34が作動されてエアバッグ32へのガス供給が開始される。
【0056】
この結果、図4に示す第2状態のフォースリミッタ機構60は、乗員Jからシートベルト40を介して伝達される引き出し荷重が第2所定値E2(<E1)を超えると、一端がロック部56aにてロックされたトーションバー54bが捩れることで、乗員Jのショルダに作用する拘束荷重(ショルダ荷重)を、図8の点線で示すように制限しつつシートベルト40の引き出しを許容し、衝撃エネルギーの一部を吸収する。合わせて、図1に示すように、助手席18に着座した乗員Jは、エアバッグ32が膨張展開した状態のエアバッグ32により、確実に保護される。
【0057】
このように、前面衝突のとき、助手席18がエアバッグ保護領域P1に位置する場合は、シートベルト40のショルダ荷重を低減させた上で、展開されたエアバッグ32により確実に乗員を保護できる。
【0058】
図2に示すように、助手席18が、非エアバッグ保護領域P2内に位置するときは、位置検出センサ25は助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置していることを検出している。この場合は、前面衝突があると、乗員保護ECU70は下記の制御を行う。
【0059】
すなわち、車両の前面衝突を衝突センサ80が検出すると、乗員保護ECU70は、プリテンショナー機構110、フォースリミッタ機構60、インフレータ34がこの順で作動されるように、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)及びインフレータ34の作動タイミングを制御する。
【0060】
この結果、乗員保護ECU70は、衝突センサ80から前面衝突に対応した信号を入力すると、プリテンショナー機構110のアクチュエータ(図示しない)を構成するマイクロガスジェネレータ(MGG)を作動させて、前述と同様にしてスプール54は、シートベルト40を強制的に巻き取り、該シートベルト40の弛みを除去する(張力を付与する)。
【0061】
さらに、乗員保護ECU70により、プリテンショナー機構110の作動後であって所定時間t1経過後にインフレータ34を作動させる。
このため、乗員保護装置100では、第1状態のフォースリミッタ機構60の作動開始と同時又は第1状態のフォースリミッタ機構60の作動開始後であって作動中に、インフレータ34が作動されてエアバッグ32へのガス供給が開始される。
【0062】
この結果、図3に示す第1状態のフォースリミッタ機構60は、乗員Jからシートベルト40を介して伝達される引き出し荷重が第1所定値E1を超えると、一端がロック部56aにてロックされたトーションバー54b及びトーションバー62がともに捩れることで、乗員Jのショルダに作用する拘束荷重(ショルダ荷重)をも図8の実線で示すように制限しつつシートベルト40の引き出しを許容し、衝撃エネルギーの一部を吸収する。
【0063】
なお、図2に示すように、本実施形態では、膨張展開した状態のエアバッグ32は、少なくとも助手席18に着座した乗員Jに対しては、作用しないことになるが運転席14側に着座した乗員の車幅方向内側への移動があった場合に保護できる。
【0064】
このように、前面衝突のとき、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置する場合は、シートベルト40のショルダ荷重(拘束荷重)を高くした上で、確実に乗員を保護できる。
【0065】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の乗員保護装置100は、エアバッグ32が展開して乗員Jを保護するエアバッグ保護領域P1とエアバッグ保護領域P1外の非エアバッグ保護領域P2間を移動自在に設けられた助手席18(可動シート)に設けられて助手席18に着座した乗員Jを拘束するシートベルト40と、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置するか、非エアバッグ保護領域P2に位置するかを検出する位置検出センサ25(シート位置検出手段)と、シートベルト40のフォースリミッタ荷重を高荷重又は低荷重に変更可能なリトラクタ50のトーションバー54b及びトーションバー62(フォースリミッタ荷重設定機構)を備えている。又、乗員保護装置100は、トーションバー54b及びトーションバー62(フォースリミッタ荷重設定機構)に作動して、フォースリミッタ荷重を高荷重又は低荷重に切替する分離作動部66(切替手段)と、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置していると位置検出センサ25が検出している際には、リトラクタ50のトーションバー54b及びトーションバー62のフォースリミッタ荷重を低荷重にするとともに、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置していると位置検出センサ25が検出している際には、フォースリミッタ荷重を高荷重にするように分離作動部66を制御する乗員保護ECU70(制御手段)を備える。
【0066】
この結果、本実施形態の乗員保護装置100によれば、車両の衝突時において、助手席18がエアバッグ保護領域P1と非エアバッグ保護領域P2のいずれかの領域内に位置した場合、その領域に応じてシートベルト40のフォースリミッタを可変にして、乗員を最適な拘束力で保護ができる。
【0067】
(2) 本実施形態の乗員保護装置100は、車両の衝突を検出する衝突センサ80(衝突検出手段)と、エアバッグ32の展開を行うインフレータ34(ガス発生手段)を備え、乗員保護ECU70は、衝突センサ80の衝突の検出により、インフレータ34のガス発生を行わせるため、エアバッグ保護領域P1に位置する助手席18に着座した乗員Jを保護できる。
【0068】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 前記実施形態では、シート位置検出手段は、位置検出センサ25をスイッチにて構成したが、スイッチに限定するものではない。可動シートの移動に応じて回転するロータに対してロータリエンコーダを設けてもよい。そして、例えば、シートレール17Aの前端を原点、又は後端を原点として、その原点からの離間距離を、前記ロータリエンコーダの回転量に基づいて乗員保護ECUが算出して、その離間距離がエアバッグ保護領域P1を規定する範囲内にあるか、非エアバッグ保護領域P2を規定する範囲内にあるかを判定することにより、シート位置検出を行うようにしてもよい。
【0069】
・ 前記実施形態では、シートベルト40は3点式シートベルトとしたが、4点式シートベルトとしてもよいことを勿論のことである。
・ 前記実施形態では、衝突センサ80から前面衝突に対応した信号が入力されると、乗員保護ECU70は、各部を制御するようにしたが、衝突センサ80から車両の側面衝突に対応した信号が入力された場合にも、前記実施形態と同様に各部を制御するようにしてもよい。
【0070】
・ 前記実施形態では、フロア10に位置検出センサ25を設けたが、図6に示すように助手席18側に設けても良い。
この場合、断面凹状に形成されたシートレール17Aは、図6(b)に示すように運転席側に近い側の底壁22は、2列目シート側に近い側の内底面とは高さが異なるように形成する。図6(b)に示すように、運転席側に近い側の内底面に符号22aを付し、2列目シート側に近い内底面には22bを付す。内底面22aと内底面22bとの間の境界にはスロープ22cが設けられている。
【0071】
内底面22aが設けられた領域は、助手席18が移動可能な範囲において、エアバッグ保護領域P1となり、内底面22b及びスロープ22cが設けられた領域は、助手席18が移動可能な範囲において、非エアバッグ保護領域P2となる。
【0072】
一方、図6(b)に示すように助手席18のスライダレール20の後部下面には、位置検出センサ25が固定されている。位置検出センサ25は、底壁22(すなわち、内底面22a,内底面22b,スロープ22c)に対して常時接触するように図示しないバネ等の付勢手段により下方に付勢されたプランジャ型のアクチュエータ25aが設けられている。アクチュエータ25aが内底面22aに位置する際には、位置検出センサ25により、例えばハイの信号を出力して、助手席18が、エアバッグ保護領域P1に位置していることを検出する。アクチュエータ25aが内底面22b又はスロープ22cに位置する際には、位置検出センサ25により、例えばローの信号を出力して、助手席18が、非エアバッグ保護領域P2に位置していることを検出する。
【0073】
なお、底壁22の内底面22aと内底面22bの高さ関係は逆の関係であってもよい。
・ 前記実施形態では、乗員保護装置100を、シートベルト40、位置検出センサ25、リトラクタ50のトーションバー54b、トーションバー62を有するフォースリミッタ荷重設定機構、分離作動部66(切替手段)、衝突センサ80、インフレータ34及び乗員保護ECU70(制御手段)とにより、構成した。この代わりに乗員保護装置100をシートベルト40、位置検出センサ25、リトラクタ50のトーションバー54b、トーションバー62を有するフォースリミッタ荷重設定機構、分離作動部66(切替手段)、及び乗員保護ECU70(制御手段)から構成してもよい。この場合、乗員保護ECU70を第1ECUとし、衝突センサ80、及びインフレータ34は、第2ECUに電気的に接続する。
【0074】
そして、助手席18がエアバッグ保護領域P1に位置しているときであって、車両の前面衝突の際には、衝突センサ80からの信号を第2ECUを介して第1ECUが受信した後、第1ECUにより、プリテンショナー機構110、フォースリミッタ機構60の順で作動制御し、この後、第2ECUでインフレータ34を作動制御するようにしてもよい。
【0075】
又、助手席18が非エアバッグ保護領域P2に位置しているときであって、車両の前面衝突の際には、衝突センサ80からの信号を第2ECUを介して第1ECUが受信した後、第1ECUにより、プリテンショナー機構110、分離作動部66、フォースリミッタ機構60の順で作動制御し、この後、第2ECUでインフレータ34を作動制御するようにしてもよい。
【0076】
・ 前記実施形態では、非エアバッグ保護領域P2に助手席18があるときに、前面衝突があった場合、エアバッグ32を膨張展開するようにしたが、乗員保護ECU70は、衝突センサ80の前面衝突の検出があった場合、エアバッグ保護領域P1に助手席18が位置したことを位置検出センサ25が検出していた場合には、インフレータ34のガス発生を行い、非エアバッグ保護領域P2に助手席18が位置したことを位置検出センサ25が検出していた場合には、インフレータ34のガス発生をしないように制御してエアバッグ32の膨張展開をさせないようにしてもよい。
【0077】
このようにすれば、助手席18はエアバッグ保護領域P1に位置せず、非エアバッグ保護領域P2に位置しているため、エアバッグ32の展開をさせなくすることができる。
【符号の説明】
【0078】
18…助手席(可動シート)、
25…位置検出センサ(シート位置検出手段)、
32…エアバッグ、34…インフレータ(ガス発生手段)、
40…シートベルト、50…リトラクタ、
66…分離作動部(切替手段)、70…乗員保護ECU(制御手段)、
100…車両の乗員保護装置、110…プリテンショナー機構、
P1…エアバッグ保護領域、P2…非エアバッグ保護領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ保護領域と前記エアバッグ保護領域外の非エアバッグ保護領域間を移動自在に設けられた可動シートに設けられて前記可動シートに着座した乗員を拘束するシートベルトと、
前記可動シートが前記エアバッグ保護領域に位置するか、非エアバッグ保護領域に位置するかを検出するシート位置検出手段と、
前記シートベルトのフォースリミッタ荷重を高荷重又は低荷重に変更可能なフォースリミッタ荷重設定機構と、
前記フォースリミッタ荷重設定機構に作動して、フォースリミッタ荷重を高荷重又は低荷重に切替する切替手段と、
前記可動シートが前記エアバッグ保護領域に位置していると前記シート位置検出手段が検出している際には、前記フォースリミッタ荷重設定機構のフォースリミッタ荷重を低荷重にするとともに、前記可動シートが前記非エアバッグ保護領域に位置していると前記シート位置検出手段が検出している際には、前記フォースリミッタ荷重設定機構のフォースリミッタ荷重を高荷重にするように前記切替手段を制御する制御手段を備えた車両の乗員保護装置。
【請求項2】
車両の衝突を検出する衝突検出手段と、
前記エアバッグの展開を行うガス発生手段を備え、
前記制御手段は、前記衝突検出手段の衝突の検出により、前記ガス発生手段のガス発生を行わせることを特徴とする請求項1に記載の車両の乗員保護装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記衝突検出手段が車両の衝突を検出した際に、前記シート位置検出手段が非エアバッグ保護領域に前記可動シートが位置することを検出している場合には、前記ガス発生手段のガス発生を行わず、前記シート位置検出手段がエアバッグ保護領域に前記可動シートが位置することを検出している場合には、前記ガス発生手段のガス発生を行わせることを特徴とする請求項2に記載の車両の乗員保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103603(P2013−103603A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248536(P2011−248536)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】