説明

車両の制御装置

【課題】快適な空調を実現しながら、エンジンのアイドリングを停止させておく時間をできるだけ長くして燃料消費量や排気ガスの排出量の低減効果を十分に得る。
【解決手段】車両の制御装置は、エバポレータ及びヒータコアを有する空調装置を備えており、車両の停止時にエンジンのアイドリングを停止させるように構成されている。空調装置は、エアミックスドアと、ヒータコアセンサと、エアコン制御ユニットとを備えている。エアコン制御ユニットは、冷房状態と暖房状態とのいずれであるかを判定する空調状態判定部(ステップSF3)を備え、アイドリング停止時に暖房状態であることが検出された場合には、ヒータコアの温度変化に基づいてエアミックスドアを制御する一方、アイドリング停止時に冷房状態であることが検出された場合には、ヒータコアの温度を固定値としエアミックスドアを制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのアイドリングを所定条件下で停止させるように構成された車両の制御装置に関し、特に、空調装置に関連した制御を行う技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の燃料消費量や排気ガスの排出量を低減する手段の1つとして、車両が信号待ち等で停止したときに、エンジンのアイドリングを自動停止させる、いわゆるアイドリング停止機能を備えた車両がある。
【0003】
また、一般に、車両には、空調装置が設けられており、上記アイドリング停止機能及び空調装置の両方を備えた車両の制御装置としては、例えば、特許文献1に開示されているものが知られている。特許文献1の空調装置は、エンジンにより駆動される補機としてのウォーターポンプから供給される熱媒体(エンジン冷却水)が流通する加熱用熱交換器と、補機としてのコンプレッサから供給される熱媒体(冷媒)が流通する冷却用熱交換器と、これらを収容するケーシングとを備えている。ケーシング内には、空調用空気が導入される空気通路が形成されるとともに、加熱用熱交換器を通過する空気量と冷却用熱交換器を通過する空気量とを変更して調和空気の温度を調節する温度調節部とが設けられている。
【0004】
そして、上記制御装置では、空調装置の動作モードを検出し、検出した動作モードに応じてエンジンのアイドリングを停止させておく時間を設定するようになっている。具体的には、例えば、強い冷房が要求されている場合に適した動作モード(ベントモード)になっていることを検出すると、エンジンのアイドリングを停止させておく時間を短くして補機の駆動時間を長く確保できるようにし、十分な空調能力を得るようにしている。
【特許文献1】特開2008−138622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような制御装置を備えた車両において、車室の空調状態が不快な状態になると、乗員はアイドリングが停止しないようにアイドリング停止機能を解除してしまう。その結果、燃料消費量や排気ガスの排出量の低減効果が得られなくなるので、アイドリング停止中であっても、できるだけ快適な空調状態が得られるようにしたい。
【0006】
しかしながら、アイドリングを停止した状態では熱媒体の供給が停止されるので、エンジン運転時と同じような空調制御を行っていたのでは快適な空調状態を維持し難いという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アイドリング停止中にも快適な空調を実現できるようにすることにより、アイドリングを停止させておく時間をできるだけ長く確保して燃料消費量や排気ガスの排出量の低減効果を十分に得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、空調装置が冷房状態にあるときと暖房状態にあるときとで、加熱用熱交換器の温度状態が調和空気の生成に与える影響に差異が生じることに着目し、冷房時及び暖房時の各々で、加熱用熱交換器の温度状態を制御に反映させる際の方法を変えるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、車両のエンジンによって駆動される補機により供給される熱媒体と車室への送風空気とを熱交換させる加熱用及び冷却用熱交換器を有する空調装置を備え、所定条件が成立したときに上記エンジンのアイドリングを停止させるように構成された車両の制御装置において、上記空調装置は、上記加熱用熱交換器を通過する空気量と上記冷却用熱交換器を通過する空気量とを変更して調和空気の温度を調節する温度調節部と、上記加熱用熱交換器の空気流れ下流側に配置され、該加熱用熱交換器の温度状態を検出する加熱側温度検出部と、上記加熱側温度検出部の検出結果に基づいて、所望温度の調和空気を生成すべく上記温度調節部を制御する制御部とを備え、上記制御部は、冷房状態と暖房状態とのいずれであるかを判定する空調状態判定部を備え、アイドリング停止時に該空調状態判定部が暖房状態であると判定した場合には、上記加熱側温度検出部で検出された上記加熱用熱交換器の温度状態の変化に基づいて上記温度調節部を制御する一方、アイドリング停止時に上記空調状態判定部が冷房状態であると判定した場合には、上記加熱用熱交換器の温度状態に関する制御値を所定の固定値とし該固定値に基づいて上記温度調節部を制御するように構成されているものとする。
【0010】
すなわち、空調装置が暖房状態にあるときには、空調用空気は主に加熱用熱交換器を通過し、このとき、アイドリングが停止していて熱媒体の供給が停止されていると、加熱用熱交換器の温度は早く低下し易い。加熱用熱交換器を通過する空気量が多いと空気の流速が速まり、その下流側にある加熱側温度検出部の検出結果は、加熱用熱交換器の温度状態と略相関するようになる。そして、制御部は、アイドリング停止時で、かつ、暖房状態である場合には、加熱側温度検出部で検出した加熱用熱交換器の温度状態の変化に基づいて温度調節部を制御するので、熱媒体の供給が停止した場合であっても、調和空気の温度を暖房に適した所望温度にすることが可能になる。
【0011】
一方、空調装置が冷房状態にあるときには、空調用空気は主に冷却用熱交換器を通過することになるので、加熱用熱交換器への熱媒体の供給が停止されていても、該加熱用熱交換器の温度は低下し難い。このとき、加熱用熱交換器を通過する空気量が少なく空気の流速が遅くなるので、下流側にある加熱側温度検出部の検出結果は、加熱用熱交換器の温度状態とは異なる周りの空気の温度状態となることがあり、加熱用熱交換器の温度状態との相関性が暖房時に比べて低下する。この相関性の低い検出結果が制御に反映されると、調和空気の温度が所望温度からずれてしまう。本発明では、冷房状態にあるときには、加熱用熱交換器の温度状態に関する制御値を所定の固定値として温度調節部を制御するので、加熱側温度検出部による相関性の低い検出結果が制御に反映されることはない。
【0012】
尚、冷房時における加熱用熱交換器の温度変化は上述の如くそれほど大きくないので、制御値を固定値としても問題とはならない。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、空調状態判定部は、温度調節部の動作状態を検出し、該温度調節部が車室内の空気の温度を上昇させる動作状態であることを検出したときに、暖房状態であると判定する構成とする。
【0014】
この構成によれば、温度調節部が車室内の空気の温度を上昇させる動作状態のときには、空調装置が暖房を行っているということであり、これに基づいて空調状態を判定することで、的確な判定結果が得られる。
【0015】
第3の発明では、第1の発明において、車室外の空気の温度を検出する外気温度検出部を備え、空調状態判定部は、上記外気温度検出部により検出された温度が所定値以下である場合には、暖房状態であると判定する構成とする。
【0016】
この構成によれば、車室外の空気の温度に基づいて空調状態を判定することで、車室外の状況に基づいた判定結果が得られる。
【0017】
第4の発明では、第2の発明において、車室外の空気の温度を検出する外気温度検出部を備え、空調状態判定部は、上記外気温度検出部により検出された温度が所定値以下である場合には、温度調節部の動作状態に関わらず、暖房状態であると判定する構成とする。
【0018】
この構成によれば、空調状態判定部は、温度調節部の動作状態よりも、車室外の空気の温度を優先して暖房状態であると判定する。従って、車室外の状況に基づいた判定結果が得られる。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、アイドリング停止時で、かつ、暖房状態である場合には、加熱用熱交換器の温度状態の変化に基づいて温度調節部を制御することで、調和空気の温度を暖房に適した所望温度にでき、また、空調装置が冷房状態にあるときには、加熱用熱交換器の温度状態に関する制御値を所定の固定値として温度調節部を制御するので、温度検出部による相関性の低い検出結果が制御に反映されることはない。これにより、アイドリング停止中に、暖房及び冷房の両方を快適に行うことができ、アイドリングを停止させておく時間をできるだけ長く確保して燃料消費量や排気ガスの排出量の低減効果を十分に得ることができる。
【0020】
第2の発明によれば、温度調節部が車室内の空気の温度を上昇させる動作状態のときに暖房状態であると判定するようにしたことで、空調状態を的確に判定することができる。
【0021】
第3の発明によれば、外気温度検出部により検出された温度が所定値以下である場合に暖房状態であると判定するようにしたので、空調状態の誤判定を防止できる。
【0022】
第4の発明によれば、外気温度検出部により検出された温度が所定値以下である場合には、温度調節部の動作状態に関わらず、暖房状態であると判定するようにしたので、車室外の状況に応じた判定結果を得ることができ、より一層快適な空調を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
本発明の実施形態に係る車両の制御装置は、乗用自動車に搭載されている。この車両の車室には、図1に示す空調装置1が配設されている。図3に示すように、車両の制御装置100は、空調装置1の他に、空調装置1を制御するエアコン制御ユニット2(制御部)と、当該車両のエンジンの点火装置4や燃料噴射装置5等を制御するエンジン制御ユニット3と、エンジン制御ユニット3に対しエンジンの始動及び停止要求信号を出力する車両制御ユニット6とを備えている。詳細は後述するが、車両側のアイドリング停止条件が成立し、かつ、空調装置1側のアイドリング停止条件が成立したときに、上記車両制御ユニット6によってエンジンのアイドリングを停止させるようにしている。
【0025】
上記空調装置1は、車室の前端部に配設されたインストルメントパネルIP(図2に示す)内に収容されている。インストルメントパネルIPの左右略中央部には、空調装置1の操作パネルBが配設されている。このインストルメントパネルIPの車体後方には、車体右側に運転席(図示せず)が配設され、左側に助手席(図示せず)が配設されている。インストルメントパネルIPの前端部には、フロントウインド(図示せず)の内面に向けて空調風が吹き出すデフロスタ口7が開口している。インストルメントパネルIPの上側の左右両端部には、サイドウインド(図示せず)の内面に向けて空調風が吹き出すデミスタ口8がそれぞれ開口している。インストルメントパネルIPの左右方向略中央部には、乗員の上半身に向けて空調風が吹き出すセンタベント口9が開口している。インストルメントパネルIPの左右方向両端部近傍にも、乗員の上半身に向けて空調風が吹き出すサイドベント口10が開口している。
【0026】
図1に示すように、上記空調装置1は、樹脂材を成形してなるケース20を備えている。このケース20には空気導入部21と温度調節部22と空調風分配部23とが設けられている。尚、ケース20は、例えば空気導入部21と温度調節部22と空調風分配部23とに3分割されたものや、空気導入部21と、温度調節部22及び空調風分配部23とに2分割されたものであってもよい。
【0027】
上記空気導入部21には、車室内で開口し車室内の空気をケース20内に取り入れるための内気導入口25と、車室外に連通するダクト(図示せず)に接続され車室外の空気をケース20内に取り入れるための外気導入口26とが形成されている。空気導入部21の内部には、上記内気導入口25と外気導入口26との一方を開いて他方を閉じる内外気切替ドア27が設けられている。この内外気切替ドア27は、ケース20の外面に固定された内外気アクチュエータ28(図3に示す)により動作して、内気導入口25及び外気導入口26の一方を開き他方を閉じるようになっている。この内外気アクチュエータ28は、サーボモータを内蔵した周知の構造のものである。この内外気アクチュエータ28により、動作モードとしての内外気モードが、内気のみをケース20に導入する内気導入モードと、外気のみをケース20に導入する外気導入モードとに切り替えられるようになっている。
【0028】
上記空気導入部21の内部における内外気切替ドア27よりも空気流れ方向下流側には、ケース20内に導入された空気を濾過するためのエアフィルタ31と送風ファン32とが下流側へ向けて順に設けられている。送風ファン32は遠心式ファンであり、回転軸が上下方向に延びるように配置されている。送風ファン32の下部には、該送風ファン32を回転駆動するためのブロアモータ33が配置されている。このブロアモータ33は、一部がケース20の外部に突出した状態で該ケース20に固定されている。
【0029】
上記空気導入部21の空気流れ方向下流側に上記温度調節部22が位置している。温度調節部22の内部には、冷風通路22aが形成されていて、この冷風通路22aには、冷却用熱交換器としてのエバポレータ35が収容されている。このエバポレータ35と、エンジンにより駆動される補機としてのコンプレッサー36(図3に示す)と、冷媒凝縮器(図示せず)と、膨張弁(図示せず)とで周知の冷凍サイクルが構成されている。エバポレータ35は、複数のチューブとフィン(共に図示せず)とを交互に並べて一体化したチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。エバポレータ35には、熱媒体としての冷媒が2本のクーラパイプ(図示せず)を介して給排され、この冷媒がチューブを流通するようになっている。エバポレータ35のフィン間を通過する空気がチューブを流通する冷媒と熱交換し、これによって空気が冷却される。また、エバポレータ35の空気流れ下流側には、エバポレータ35の温度状態(表面温度)を検出するための温度センサからなるエバセンサ37(冷却側温度検出部)が配設されている。
【0030】
上記温度調節部22内部のエバポレータ35よりも下流側には、加熱通路22bが形成されていて、この加熱通路22bには、加熱用熱交換器としてのヒータコア43が収容されている。このヒータコア43は、エバポレータ35と同様なチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。ヒータコア43には、上記エンジンにより駆動される補機としてのウォーターポンプ(図示せず)から熱媒体としてのエンジン冷却水が2本のヒータパイプ(図示せず)を介して給排されるようになっている。このヒータコア43を通過する空気がチューブを流通するエンジン冷却水と熱交換し、これによって空気が加熱される。また、ヒータコア43の空気流れ下流側には、ヒータコア43の温度状態を検出するための温度センサからなるヒータコアセンサ(加熱側温度検出部)38が配設されている。
【0031】
加熱通路22bの側方には、エバポレータ35を通過した空気を、ヒータコア43をバイパスして流すバイパス通路44が形成されている。バイパス通路44の下流側には、バイパス通路44を流れた空気と加熱通路22bを流れた空気とを混合させて所望温度の調和空気(吹出空気)を得るためのエアミックス空間45が形成されている。
【0032】
上記エバポレータ35とヒータコア43との間には、加熱通路22bの開閉度合いを変更するエアミックスドア46(温度調節ドア)が配設されている。エアミックスドア46は、ケース20の外面に固定されたエアミックスアクチュエータ48(図3に示す)により動作するようになっている。エアミックスアクチュエータ48は、上記内外気アクチュエータ28と同様に構成されている。
【0033】
上記エアミックスアクチュエータ48を動作させてエアミックスドア46による加熱通路22bの開度を変更することにより、バイパス通路44を流れる空気量と加熱通路22bを流れる空気量との比率が変更され、その結果、エバポレータ35を通過する空気量とヒータコア43を通過する空気量とが変更されて、エアミックス空間45で得られる調和空気の温度が変更される。
【0034】
エアミックスドア46の開度が0%のときには、加熱通路22bが全閉とされ、かつ、バイパス通路44が全開とされ、100%のときには加熱通路22bが全開とされ、かつ、バイパス通路44が全閉とされるようになっている。エアミックスドア46の開度は、上記した0%〜100%の間で任意の値に設定されるようになっている。
【0035】
上記温度調節部22の空気流れ方向下流側に、上記エアミックス空間45に連通する空調風分配部23が位置している。空調風分配部23の内部には、エアミックス空間45から分岐して延びるベント通路47、ヒート通路49及びデフロスタ通路59が形成されている。ベント通路47の下流端部はベント吹出口50としてケース20の外面に開口し、ヒート通路49の下流端部はヒート吹出口51として同様に開口し、デフロスタ通路59の下流端部はデフロスタ吹出口52として同様に開口している。
【0036】
ベント吹出口50には、インストルメントパネルIPのセンタベント口9及びサイドベント10に連通するベントダクト53の上流端が接続されている。また、ヒート吹出口51には、前席乗員の足下及び後席乗員の足下近傍まで延びるヒートダクト54(図2にその一部を示す)の上流端が接続されている。また、デフロスタ吹出口52には、インストルメントパネルIPのデフロスタ口7及びデミスタ口8に連通するデフロスタダクト55の上流端が接続されている。上記ベント通路47、ヒート通路49及びデフロスタ通路59は、空調風分配部23の内部に配設されたベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58により個別に開閉されるようになっている。
【0037】
上記ベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58は、図示しないが、リンク部材によって連結されており、吹出モードを切り替えるための吹出モードアクチュエータ60(図3に示す)により互いに連動して動作するようになっている。上記吹出モードアクチュエータ60は、上記内外気アクチュエータ28と同様にサーボモータを内蔵した周知の構造のものであり、ケース20の外面に固定されている。
【0038】
また、この空調装置1は、図3に示すように、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67を備えている。外気センサ65は、車両周囲の外気温度(車室外の空気の温度)を検出するための温度センサであり、フロントグリル(図示せず)近傍やドアミラー(図示せず)近傍等の車室外に配設されている。上記内気センサ66は、車室内温度を検出するための温度センサであり、図2に示すように、インストルメントパネルIPの運転席側に配設されている。この内気センサ66には、過渡応答を遅らせるために時定数が設けられている。上記日射センサ67は、車室内に差し込んでくる太陽光の強さである日射量を検出するためのものであり、インストルメントパネルIPの前端部に配設されている。
【0039】
上記インストルメントパネルIPの操作パネルBには、図3に示すように、温度設定スイッチ68、吹出モードスイッチ69、エアコンスイッチ70、内外気切替スイッチ71、ファンスイッチ72、エアコン優先スイッチ73、DEFスイッチ80が配設されている。上記温度設定スイッチ68は、乗員が車室の設定温度を所望温度に変更してセットするためのものである。上記吹出モードスイッチ69は、空調風の吹出モードを乗員が選択する場合に操作されるものである。吹出モードは、動作モードであり、空調風がデフロスタ口7及びデミスタ口8から吹き出すデフロスタモードと、デフロスタ口7、デミスタ口8及びヒートダクト54から吹き出すヒートデフモードと、センタベント口9及びサイドベント口10から吹き出すベントモードと、ヒートダクト54から吹き出すヒートモードと、センタベント口9、サイドベント口10及びヒートダクト54から吹き出すバイレベルモードとがある。
【0040】
上記エアコンスイッチ70は、冷凍サイクルのコンプレッサー36の動作モードを設定するためのものであり、コンプレッサー36を通常運転させるA/Cモードを選択するためのA/Cポジションと、弱冷房でよい場合のエコノミーモード(ECOモード)を選択するためのECOポジションと、コンプレッサー36を運転させないOFFモードを選択するためのOFFポジションとを備えており、乗員が3つのポジションから任意の1つを選択できるようになっている。内外気切替スイッチ71は、空気の導入モードを内気導入モードと外気導入モードとを切り替えるためのものである。ファンスイッチ72は、ファン32による送風量を多段階に増減させるためのものである。エアコン優先スイッチ73は、エンジンのアイドリングを停止させないエアコン優先モードと、アイドリングの停止を許可する所定条件の場合にはアイドリングを停止させるアイドリング停止モードとに切り替えるためのものである。つまり、この車両においては、乗員の意志により、アイドリング停止機能を解除することができるようになっている。
【0041】
DEFスイッチ80は、窓の曇を晴らす場合に操作するためのものであり、ONにすると、デフロスタモードとなって風量が増大されるようになっている。
【0042】
上記エアコン制御ユニット2は、図示しないが、中央演算処理装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、入出力ポート等を有しており、車載バッテリー(図示せず)から電力供給を受けて作動するようになっている。エアコン制御ユニット2の入出力ポートには、上記スイッチ68〜73が接続されるとともに、外気センサ65、内気センサ66、日射センサ67、エバセンサ37、ヒータコアセンサ38、ブロアモータ33、アクチュエータ28、48、60が接続されている。尚、エアコン制御ユニット2には、吹出モード、導入モード及び送風量を車室の空調状態に適するように自動的に設定する自動空調モードと、乗員が手動で設定する手動モードとがあり、乗員によって一方が選択されるようになっている。
【0043】
上記エンジン制御ユニット3には、点火装置4、燃料噴射装置5及びコンプレッサー36が信号線を介して接続されている。このエンジン制御ユニット3により、コンプレッサー36の電磁クラッチが断続制御されるようになっている。電磁クラッチが接続状態のときには、エンジンの動力がコンプレッサー36に伝わり、断状態のときには、動力が伝わらないようになっている。
【0044】
上記エンジン制御ユニット3と、エアコン制御ユニット2とは、信号線を介して接続されている。エアコン制御ユニット2がコンプレッサー36を作動させる必要があると判断したときには、コンプレッサーON信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサーON信号を受けたエンジン制御ユニット3はコンプレッサー36の電磁クラッチを接続状態にし、一方、エアコン制御ユニット2がコンプレッサー36を作動させる必要がないと判断したときには、コンプレッサーOFF信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサーOFF信号を受けたエンジン制御ユニット3は電磁クラッチを断状態にするようになっている。
【0045】
上記エアコン制御ユニット2は、自動空調モードとされている場合には、所定のプログラムに従って上記各センサ37、38、65〜67からの入力信号やスイッチ68〜73からの入力信号を処理し、空調装置1の動作モードを決定して、ブロアモータ33やアクチュエータ28、48、60を制御するように構成されている。
【0046】
また、エアコン制御ユニット2は、エンジンのアイドリング停止中に、エバポレータ35とヒータコア43との温度状態と、アイドリング停止前における吹出空気の予測温度とを得て調和空気の温度が所望温度となるように温度調節部22を制御し、さらに、エバポレータ35とヒータコア43との温度状態と吹出空気の予測温度とに基づいてエンジンのアイドリングを停止させておく時間を変更するようになっている。
【0047】
上記車両制御ユニット6には、乗員が操作する自動変速機のセレクトレバーがどの変速レンジ位置にあるかを検出するインヒビタスイッチ75、当該車両の車速を検出する車速センサ76及びブレーキペダルの踏み込み操作を検出するブレーキスイッチ77が信号線を介して接続されている。また、車両制御ユニット6と上記エアコン制御ユニット2とは信号線で接続されており、エアコン制御ユニット2からは、該エアコン制御ユニット2で生成されたアイドリング停止許可信号と禁止信号とのうち、一方の信号が出力されて車両制御ユニット6に入力されるようになっている。また、車両制御ユニット6からは、エンジンが停止しているか否かの判別信号がエアコン制御ユニット2に対し出力されるようになっている。尚、車両が手動変速機を搭載している場合には、シフトレバーがどの位置にあるかを検出するセンサを設け、このセンサの信号を車両制御ユニット6に入力するようにすればよい。
【0048】
上記車両制御ユニット6は、車両側のアイドリング停止条件が成立したときで、かつ、エアコン制御ユニット2からアイドリング停止の許可信号が出力されているときには、エンジンのアイドリングを所定時間だけ停止させるようになっているが、所定時間経過前に車両側の停止条件が成立しなくなったとき、または、エアコン制御ユニット2からアイドリング停止の禁止信号が出力されたときには、その時点でアイドリング停止を終了し、エンジンを再始動する。車両側のアイドリング停止条件とは、車速センサ76により検出された車速が0で車両が停止し、かつ、インヒビタスイッチ75によりセレクトレバーがニュートラルレンジ又はパーキングレンジに位置していることが検出され、かつ、ブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込み操作が検出されたときである。尚、車両制御ユニット6がエンジンのアイドリングを停止を許可する場合には、エンジン制御ユニット3に対してアイドリング停止許可信号を出力して、点火装置4や燃料噴射装置5を非作動状態にさせる。
【0049】
次に、上記エアコン制御ユニット2の具体的な制御動作を、図4、図6〜図10に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御は、車両のイグニッションスイッチがONとなったときにスタートし、所定サイクルで繰り返されるようになっている。
【0050】
車両のイグニッションスイッチがONにされると、図4に示すフローチャートのステップSA1に進み、エアコン制御ユニット2は、上記センサ37、38、65〜67やスイッチ68〜73からの信号を読み込む。
【0051】
その後、ステップSA2に進み、エアミックスドア46を制御する。エアミックスドア46の制御にあたり、まず、目標車室内温度を演算する。目標車室内温度は、温度設定スイッチ68の設定温度を含む空調条件に基づいて決定されるようになっている。そして、エバセンサ37やヒータコアセンサ38等の入力信号を考慮してエアミックスドア46の開度を演算し、エアミックスアクチュエータ48を作動させてエアミックスドア46を所望の開度とする。このエアミックスドア46の開度は、開度値として出力されるようになっている。また、後述するエアミックスドア開度補正制御でエアミックスドア46の開度が補正された場合には、その補正された開度となるようにエアミックスドア46を作動させる。
【0052】
しかる後、ステップSA3に進んで、吹出モードを選択し、この選択した吹出モードとなるように吹出モードアクチュエータ60を作動させるとともに、導入モードを選択し、この選択した導入モードとなるように内外気アクチュエータ28を作動させる。尚、吹出モードと導入モードとは、同じタイミングで切り替えるようにしてもよいし、異なるタイミングで切り替えるようにしてもよい。
【0053】
ステップSA3において吹出モードを選択する際には、夏場のように、外気センサ65により検出された外気温度が例えば約30℃以上で高く強めの冷房が必要な場合には、吹出モードをベントモードにし、導入モードを内気導入モードとする。吹出モードをベントモードにすることで、冷風が乗員の上半身に向けて直接供給され、また、導入モードを内気導入モードとすることで、車室外の空気よりも目標車室内温度に近い車室内の空気をケース20に取り込むことができ、効率の良い冷房が可能になる。また、外気温度が例えば約20℃で低く比較的弱めの冷房でよい場合には、吹出モードをバイレベルモードにし、導入モードを外気導入モードとする。一方、冬場のように、外気センサ65により検出された外気温度が例えば約10℃以下の低温で暖房が必要な場合には、吹出モードをヒートモードやヒートデフモードにし、導入モードを外気導入モードとする。導入モードを外気導入モードとすることで、乾燥した外気を車室に取り込んでウインドガラスの曇りが防止される。
【0054】
次いで、ステップSA4に進み、送風量が設定され、この設定された送風量となるように、ブロアモータ33に印加される電圧が変更される。この送風量は、内気センサ66で検出された車室内温度と目標車室内温度との差が大きいほど増加する。そして、ステップSA5に進み、コンプレッサー36を作動させるか停止させるかを決定する。ステップSA5では、エアコンスイッチ70により設定されたエアコンモードがA/Cモード又はECOモードとされているときにはコンプレッサー36を作動させ、OFFモードとされているときには、停止させる。ステップSA5においてコンプレッサー36を作動させるとした場合には、コンプレッサーON信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力され、このエンジン制御ユニット3によりコンプレッサー36の電磁クラッチが接続状態とされる。一方、コンプレッサー36を停止させるとした場合には、コンプレッサーOFF信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力され、電磁クラッチが断状態となる。
【0055】
図5に示すように、コンプレッサーON信号及びOFF信号は、エバセンサ37の検出温度に基づいて出力されるようになっている。すなわち、コンプレッサーON信号は、エバセンサ37の検出温度がTof+Diff(℃)となったときに出力され、コンプレッサーOFF信号は、エバセンサ37の検出温度がTof(℃)になったときに出力されるようになっている。従って、エバポレータ37の温度状態は、少なくとも、Tof(℃)とTof+Diff(℃)との間で変化している。
【0056】
図4のステップSA5に続くステップSA6では、アイドリング停止判定を行う。このアイドリング停止判定のフローチャートは、図6に示すようになっている。スタート後のSB1では、アイドリング停止最短時間(ISMIN)が設定される。最短時間(ISMIN)は、外気センサ65で検出された外気温度が0℃未満の暖房が必要な状況か、35℃以上の冷房が必要な状況であれば5秒とされ、0℃以上35℃未満であれば例えば10秒程度の長めに設定される。尚、最短時間(ISMIN)は、上記した値に限られるものではなく、アイドリング停止直後の再始動によってエンジンや始動装置が損傷しないように、アイドリング停止直後から所定時間経過してからエンジンが再始動されるようにするための短い時間であってもよい。
【0057】
ステップSB1に続くステップSB2では、詳細は後述するが、第1アイドリング停止判定が行われる。ステップSB2でアイドリング停止許可と判定されれば、続くステップSB3に進む。ステップSB2でアイドリング停止禁止と判定されれば、ステップSB10に進む。アイドリング停止許可とは、アイドリング停止状態を継続させるということであり、アイドリング停止禁止とは、エンジンを再始動させるということである。
【0058】
ステップSB2に続くステップSB3では、ベント吹出口50、ヒート吹出口51及びデフロスタ吹出口52から吹き出す調和空気の予測温度Tiを得る。これについては後述する。
【0059】
ステップSB3で吹出空気の予測温度Tiを得た後、ステップSB4に進む。ステップSB4では、エンジンが停止中(アイドリング停止中)であるか否かを判定する。ステップSB4でNOと判定されてアイドリング停止中でない場合には、ステップSB9に進む。
【0060】
一方、ステップSB4でYESと判定されてアイドリング停止中である場合には、ステップSB5に進み、後述する第2アイドリング停止判定を行う。ステップSB5の第2アイドリング停止判定でアイドリング停止禁止と判定されれば、ステップSB6に進む。一方、ステップSB5でアイドリング停止許可と判定されれば、ステップSB7に進む。ステップSB7では、エアミックスドア46の開度を補正するエアミックスドア開度補正制御が行われる。これについての詳細は後述する。
【0061】
ステップSB7に続くステップSB8では、コンプレッサー36をOFFするコンプレッサーOFF信号の出力値を設定する。ステップSB8に続くステップSB9では、アイドリング停止許可信号の出力値を設定する。コンプレッサーOFF信号及びアイドリング停止許可信号は、図4のフローチャートのステップSA6に続くステップSA7で車両制御ユニット6に出力される。これにより、車両のアイドリング停止条件が成立したときに、エンジンのアイドリングが停止され、エンジン停止となる。
【0062】
また、図6に示すフローチャートのステップSB5でアイドリング停止禁止と判定されて進んだステップSB6では、アイドリングが停止している時間(IS)が最短時間(ISMIN)以上であるか否かが判定される。ISがISMIN以上であれば、ステップSB10に進み、このステップSB10では、ステップSB7と同様にエアミックスドア開度補正制御が行われる。また、ステップSB10に続くステップSB11では、ステップSB8と同様にコンプレッサーOFF信号の出力値が設定される。その後、ステップSB12において、アイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。コンプレッサーOFF信号及びアイドリング停止禁止信号は、図4のフローチャートのステップSA6に続くステップSA7で車両制御ユニット6に出力される。ステップSB6でNOと判定されれば、ステップSB7に進む。
【0063】
次に、図6のフローチャートのステップSB2で行われる第1アイドリング停止判定について図7のフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートのスタート後のステップSC1では、エバセンサ37、ヒータコアセンサ38、外気センサ65、内気センサ66、日射センサ67に異常がなく、信号が正規の状態で出力されているか否かを判定する。ステップSC1でYESと判定されて、これらセンサ37、38、65〜67の1つでも異常がある場合には、正常な制御が行えないので、アイドリング停止禁止と判定する。ステップSC1でNOと判定されれば、センサ37、38、65〜67が正常であるので、続くステップSC2に進む。
【0064】
ステップSC2においては、外気センサ65で検出された外気温度がTa1よりも高く、かつ、Ta2よりも低いか否かが判定される。Ta1は、例えば氷点下近傍の低い値に設定され、また、Ta2は、例えば、50℃程度の高い値に設定されている。従って、ステップSC2においては、冬場で強めの暖房が必要な状況であるか否かと、炎天下のように強めの冷房が必要であるか否かが判定されることになる。外気温度がTa1以下であれば、ステップSC2でNOと判定され、強めの暖房を行うための熱源を確保すべく、アイドリング停止禁止と判定する。また、外気温度がTa2以上であれば、ステップSC2でONと判定され、強めの冷房を行うために、アイドリング停止禁止と判定する。
【0065】
一方、ステップSC2において、外気温度がTa1よりも高く、かつ、Ta2よりも低いYESと判定されると、ステップSC3に進む。
【0066】
上記ステップSC3においては、エアコン優先スイッチ73がONであるか否かが判定される。ステップSC3において、エアコン優先スイッチ73がONであるYESと判定されると、乗員が空調を優先したい状況であるため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC3において、エアコン優先スイッチ73がOFFであるNOと判定されると、ステップSC4に進む。
【0067】
ステップSC4では、DEFスイッチ80がONであるか否かが判定される。ステップSC4において、DEFスイッチ80がONであるYESと判定されると、窓の曇を晴らしたい状況であるため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC4において、DEFスイッチ80がOFFであるNOと判定されると、ステップSC5に進む。
【0068】
ステップSC5においては、目標車室内温度から内気センサ66で検出された車室内温度を差し引いた値が−5℃以上であるか否かが判定される。ステップSC5でNOと判定されると、目標車室内温度と車室内温度との差が大きく車室が快適な状態となっていないため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC5でYESと判定されると、ステップSC6に進む。
【0069】
上記ステップSC6においては、目標車室内温度から内気センサ66で検出された車室内温度を差し引いた値が+5℃以下であるか否かが判定される。ステップSC6でNOと判定されると、目標車室内温度と車室内温度との差が大きく車室が快適な状態となっていないため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC6でYESと判定されると、アイドリング停止許可と判定する。
【0070】
次に、図6のフローチャートにおけるステップSB3で行われる吹出空気の予測温度Tiを得る手順について図8のフローチャートに基づいて説明する。スタート後のステップSD1では、吹出温度の予測に必要な各種パラメータを読み込む。このパラメータとしては、エバセンサ37の出力値、ヒータコアセンサ38の出力値、アイドリング停止前のエアミックスドア46の開度である。
【0071】
ステップSD1に続くステップSD2では、エアコンスイッチ70で設定されたコンプレッサー36の動作モードを判定する。ステップSD2において、コンプレッサー36の動作モードがA/Cモード又はECOモードにあると判定されると、ステップSD3に進む。
【0072】
ステップSD3では、図示するような右上がりの直線グラフに基づいて吹出空気の温度を予測する。このグラフの横軸は、エアミックスドア46の開度を百分率で表しており、縦軸は、温度(℃)を表している。
【0073】
A点のエアミックスドア46の開度は0%で、温度はコンプレッサーOFF信号を出力するときの温度Tof(例えば、4℃)である。エアミックスドア46の開度が0%ということは、最大冷房時であり、バイパス通路44が全開とされて加熱通路22bが全閉となっており、導入された空気はエバポレータ35のみを通過することになる。この予測時には、温度をTofに固定してA点が動かないようにしている。その理由は、上述のようにコンプレッサー36が作動と停止とを繰り返すとエバポレータ35の温度状態が変化することになるが、その変化する温度状態を吹出空気の温度予測に使うと、予測ロジックが煩雑になることが考えられ、これを回避するためである。
【0074】
また、B点のエアミックスドア46の開度は100%で、温度は、アイドリング停止前にヒータコアセンサ38で検出された温度Th1である。エアミックスドア46の開度が100%ということは、最大暖房時であり、加熱通路22bが全開とされているので、吹出空気の温度は、ヒータコアセンサ38の検出温度と略同じになる。
【0075】
そして、吹出空気の予測温度Tiは、次式で求めることができる。
Ti(℃)=Tof+tanθ1×MIXac … (1)
tanθ1=(Th1−Tof)/100 … (2)
ここで、MIXacは、アイドリング停止直前のエアミックスドア46の開度である。
【0076】
ステップSD3で予測されたアイドリング停止前の吹出空気の予測温度Tiは、続くステップSD4で出力される。
【0077】
また、ステップSD2においてコンプレッサー36の動作モードがOFFモードにあると判定されると、ステップSD5に進む。ステップSD5では、図示するような右上がりの直線グラフに基づいて吹出空気の温度を予測する。このグラフの横軸及び縦軸は、ステップSD3のものと同じである。C点のエアミックスドア46の開度は0%で、温度は、アイドリング停止前のエバセンサ37から出力された温度Tmである。エアミックスドア46の開度が0%(バイパス通路44が全開)のときの吹出温度は、エバセンサ37の検出温度と略同じになる。また、D点のエアミックスドア46の開度及び温度は、ステップSD3におけるB点と同じである。
【0078】
そして、吹出空気の予測温度Tiは、次式で求めることができる。
Ti(℃)=Tm+tanθ1×MIXac … (3)
tanθ1=(Th1−Tm)/100 … (4)
【0079】
ステップSD5で予測されたアイドリング停止前の吹出空気の予測温度Tiは、続くステップSD4で出力される。上記のようにして得られた吹出空気の予測温度Tiは、図6に示すフローチャートのステップSB5の第2アイドリング停止判定及びステップSB7、SB10のエアミックスドア開度補正制御で用いられる。
【0080】
次に、図9に示すフローチャートに基づいて第2アイドリング判定の手順について説明する。スタート後のステップSE1では、吹出モードを判定する。ステップSE1において吹出モードがベントモードであると判定されると、ステップSE2に進む。ベントモードということは、冷房が要求されているということである。
【0081】
ステップSE2では、コンプレッサー36の動作モードを判定する。ステップSE2でコンプレッサー36の動作モードがA/Cモード又はECOモードにあると判定されると、ステップSE3に進み、エバセンサ37で検出されたエバポレータ35の温度状態と、吹出温度の予測温度Tiにα3を加えた値とを比較し、エバポレータ35の温度状態が予測温度Ti+α3以上であるか否か判定する。尚、α3は、空調フィーリング等に基づいて設定された任意の温度である。
【0082】
ステップSE3でYESと判定されてエバポレータ35の温度状態が吹出空気の予測温度Ti+α3以上であるときには、アイドリング停止禁止と判定する。これは、エバポレータ35の温度状態が予測温度Ti+α3以上であるということは、導入した空気を冷却できないということであり、乗員が望む冷房を行うことができないので、エンジンを再始動させるためである。
【0083】
ステップSE3でNOと判定されると、ステップSE5に進んで内外気モードを判定する。ステップSE5で内外気モードが外気モードであると判定されるとステップSE6に進み、エバセンサ37で検出されたエバポレータ35の温度状態が所定温度Te1以上であるか否かを判定する。この所定温度Te1は、25℃程度に設定しておくのが好ましい。ステップSE6でYESと判定されてエバポレータ35の温度が所定温度Te1以上であるときには、十分な冷房が行えないのでアイドリング停止禁止と判定する。
【0084】
また、ステップSE5で内外気モードが内気モードであると判定されるとステップSE7に進み、エバセンサ37で検出されたエバポレータ35の温度が所定温度Te2以上であるか否かを判定する。この所定温度Te2は、Te1よりも低い20℃程度に設定しておくのが好ましい。ステップSE7でYESと判定されてエバポレータ35の温度が所定温度Te2以上であるときには、十分な冷房が行えないのでアイドリング停止禁止と判定する。
【0085】
ステップSE6でNOと判定されると、アイドリング停止許可と判定する。また、ステップSE7でNOと判定された場合も、アイドリング停止許可と判定する。
【0086】
また、ステップSE2でコンプレッサー36の動作モードがOFFモードにあると判定されると、ステップSE4に進む。ステップSE4では、ステップSE3と同様に、エバポレータ35の温度状態と予測温度Tiにα4を加えた値とを比較し、エバポレータ35の温度状態が予測温度Ti+α4以上であるか否か判定する。YESの場合には、アイドリング停止禁止と判定し、NOの場合には、アイドリング停止許可と判定する。
【0087】
ステップSE1で吹出モードがバイレベルモードと判定された場合には、ステップSE8に進み、ステップSE2と同様に、コンプレッサー36の動作モードを判定する。ステップSE8でコンプレッサー36の動作モードがA/Cモード又はECOモードにあると判定されると、ステップSE9に進み、エバセンサ37で検出されたエバポレータ35の温度状態と、アイドリング停止前における吹出空気の予測温度Tiにα9を加えた値とを比較し、エバポレータ35の温度が吹出空気の予測温度Ti+α9以上であるか否か判定する。
【0088】
ステップSE9でYESと判定されると、アイドリング停止禁止とする。ステップSE9でNOと判定されると、ステップSE10に進み、エバセンサ37で検出されたエバポレータ35の温度が所定温度Te3以上であるか否かを判定する。この所定温度Te3は、30℃程度に設定しておくのが好ましい。ステップSE10でYESと判定されてエバポレータ35の温度が所定温度Te3以上であるときには、アイドリング停止禁止とする。ステップSE10でNOと判定されて進んだステップSE11では、ヒータコアセンサ38で検出されたヒータコア43の温度状態と吹出温度の予測温度Tiからβ11を差し引いた値とを比較し、ヒータコア43の温度が吹出温度の予測温度Ti−β11以下であるか否か判定する。ステップSE11でYESと判定されると、アイドリング停止禁止とする。ステップSE11でNOと判定すると、ステップSE12に進み、ヒータコアセンサ38で検出されたヒータコア43の温度が所定温度Th1以下であるか否かを判定する。ステップSE12でYESと判定されてヒータコア43の温度が所定温度Th1以下である場合には、ヒータコア43の温度が空気を加熱するのに十分な温度でないということであり、アイドリング停止禁止とする。ステップSE12でNOと判定されると、アイドリング停止許可とする。
【0089】
ステップSE8でコンプレッサー36の動作モードがOFFモードであると判定されると、ステップSE13に進み、ステップSE9と同様に、エバポレータ35の温度状態と予測温度Tiにα13を加えた値とを比較し、エバポレータ35の温度状態が予測温度Ti+α13以上であるか否か判定する。
【0090】
ステップSE13でYESと判定されると、アイドリング停止禁止とする。ステップSE13でNOと判定されると、ステップSE14に進み、ステップSE11と同様に、ヒータコア43の温度状態と予測温度Tiからβ14を差し引いた値とを比較し、ヒータコア43の温度状態が予測温度Ti−β14以下であるか否か判定する。ステップSE14でYESと判定されると、アイドリング停止禁止とする。ステップSE14でNOと判定されれば、ステップSE15に進み、ステップSE12と同様にヒータコアセンサ38で検出されたヒータコア43の温度が所定温度Th2以下であるか否かを判定する。ステップSE15でYESと判定されれば、アイドリング停止禁止とする。ステップSE15でONと判定されれば、アイドリング停止許可とする。
【0091】
また、ステップSE1で吹出モードがヒートモード、ヒートデフモード、デフロスタモードと判定された場合には、ステップSE16に進み、ステップSE11と同様に、ヒータコアセンサ38で検出されたヒータコア43の温度が吹出温度の予測温度Ti−β16以下であるか否か判定する。ステップSE16でYESと判定されれば、アイドリング停止禁止とする。ステップSE16でNOと判定されれば、ステップSE17に進み、このステップSE17では、ステップSE12と同様に、ヒータコアセンサ38で検出されたヒータコア43の温度が所定温度Th3以下であるか否かを判定する。ステップSE17でYESと判定されれば、アイドリング停止禁止とする。ステップSE17でNOと判定されれば、アイドリング停止許可とする。
【0092】
次に、図10に示すフローチャートに基づいてエアミックスドア開度補正制御の手順について説明する。スタート後のステップSF1では、エアミックスドア開度補正制御に必要な各種パラメータを読み込む。このパラメータとしては、エバセンサ37の出力値、ヒータコアセンサ38の出力値、エアミックスドア46の開度、吹出空気の予測温度Ti、外気温度である。
【0093】
ステップSF1に続くステップSF2では、次式を演算する。
Th(℃)=Th1−(Th1−Thi)×K … (5)
【0094】
ここで、Thは、エアミックス開度補正制御に用いるヒータコアの温度状態に関する制御値である。Th1は、アイドリング停止前にヒータコアセンサ38で検出された温度である。Thiは、アイドリング停止後にヒータコアセンサ38で検出された温度である。Kは、係数である。
【0095】
Kの算出方法について図11及び図12に基づいて説明する。Kは、図11に示すグラフに基づいて得られたK1と、図12に示すグラフに基づいて得られたK2とを比較して大きい方の値で設定している。
【0096】
まず、K1を得る図11のグラフについて説明する。図11のグラフの横軸は、エアミックスドア46の開度(%)を表しており、縦軸は、係数K1を表している。エアミックスドア46の開度が30%以下(空調装置1の構造等により任意に変更可)であると、K1は0.0となる。30%以下というのは、空調用空気の大部分が冷風通路22aを流れて調和空気は低温になるので、温度調節部22が車室内の空気の温度を低下させる動作状態であり、空調装置1は冷房状態にあるということになる。一方、エアミックスドア46の開度が50%以上(空調装置1の構造等により任意に変更可)であると、K1は1.0となる。50%以上というのは、加熱通路22bに流れる空調用空気の量が増えて調和空気が高温になるので、温度調節部22が車室内の空気の温度を上昇させる動作状態であり、空調装置1は暖房状態にあるということになる。エアミックスドア46の開度が30%よりも大きく50%よりも小さい場合には、K1は、エアミックスドア46の開度に比例して0.0〜1.0の間で値が設定される。
【0097】
次に、K2を得る図12のグラフについて説明する。図12のグラフの横軸は、外気温度(℃)を表しており、縦軸は、係数K2を表している。外気温度が10℃以下であると、K2は1.0となる。10℃以下というのは、暖房が行われる状況である。外気温度が20℃以上であると、K2は0.0となる。20℃以上というのは冷房が行われる状況である。外気温度が10℃よりも高く20℃よりも低い場合には、K2は、外気温度に比例して0.0〜1.0の間で値が設定される。
【0098】
このようにしてK1及びK2が得られ、大きい方をKとする。
【0099】
上記式(5)のKに0.0を代入すると、(Th1−Thi)項が消えるので、Th=Th1となり、Th(エアミックス開度補正制御に用いる制御値)は、Th1(アイドリング停止前にヒータコアセンサ38で検出された温度)となる。Th1は、固定値であり、例えば、85℃である。
【0100】
一方、式(5)のKに1.0を代入して整理すると、Th=Thiとなり、Thは、Thi(アイドリング停止後にヒータコアセンサ38で検出された温度)となる。アイドリング停止後にヒータコア43の温度は時間の経過とともに変化するので、Thiは、固定値とはならず、変化する値となる。Kに代入する値が、1.0よりも小さく0.0よりも大きい場合にもThは変化することになる。
【0101】
ステップSF2を経て進んだステップSF3では、ステップSF2の演算結果がTh=Th1であるか否かを判定する。ステップSF3でTh=Th1であると判定されたということは、空調装置1が冷房状態であるということである。ステップSF3が空調状態判定部である。
【0102】
ステップSF2でTh=Th1であると判定されて進んだステップSF4では、図示するような右上がりの直線グラフに基づいてエアミックスドア46の開度を補正する。このグラフの横軸は、エアミックスドア46の開度を表しており、縦軸は、温度を表している。E点のエアミックスドア46の開度は0%で、温度は、アイドリング停止直前のエバポレータ35の温度、即ち、コンプレッサー36のOFF信号を出力する際の温度Tofであり、この値は時間の経過に従ってエバポレータ35が暖められることによって上昇していく。エバポレータ35の温度状態がTmまで上昇した場合をF点で示す。
【0103】
G点のエアミックスドア46の開度は100%で、温度はアイドリング停止前のヒータコアセンサ38から出力された温度Th1である。このTh1は、上述の如く85℃に固定されている。
【0104】
すなわち、空調装置1が冷房状態にあるときには、空調用空気は主にエバポレータ35を通過することになるので、ヒータコア43へのエンジン冷却水の供給が停止されていても、ヒータコア43の温度は低下し難い。このとき、ヒータコア43を通過する空気量が少なく空気の流速が遅いので、下流側にあるヒータコアセンサ38の検出結果は、ヒータコア43の温度状態とは異なる周りの空気の温度状態となることがあり、ヒータコア43の温度状態との相関性が低下する。この相関性の低い検出結果が制御に反映されると、調和空気の温度が所望温度からずれてしまう。本実施形態では、冷房状態にあるときには、ヒータコア43の温度を所定の固定値としてエアミックスドア46を制御するので、ヒータコアセンサ38による相関性の低い検出結果が制御に反映されることはない。
【0105】
尚、冷房時におけるヒータコア43の温度変化は上述の如くそれほど大きくないので、上記固定値としても制御上、問題とはならない。
【0106】
また、ステップSF4における吹出空気の予測温度Tiは、図6に示すフローチャートのステップSB3で得られた値である。
【0107】
図10のステップSF4で用いるグラフは、アイドリング停止直後においては、E点とG点とを結ぶ直線となるが、アイドリングが停止したまま時間が経過すると、エバポレータ35の温度状態が上昇していくことから、グラフの傾きが徐々に緩やかになっていき、ある時点では、F点とG点とを結ぶ直線となる。このときに、吹出空気の予測温度Tiに対応する開度であるMIXiが、補正後のエアミックスドア46の開度となる。
【0108】
ステップSF4で得られたエアミックスドア46の開度は、続くステップSF5で出力される。
【0109】
また、ステップSF3においてTh=Th1でない場合は、空調装置1が暖房状態であるということである。この場合、ステップSF3からステップSF6に進み、このステップSF6では、図示するような右上がりの直線グラフに基づいてエアミックスドア46の開度を補正する。このグラフの横軸及び縦軸は、ステップSF4と同じである。
【0110】
H点のエアミックスドア46の開度は0%で、温度は、エバセンサ37から出力された温度Teである。I点のエアミックスドア46の開度は100%で、温度は、アイドリング停止後のヒータコアセンサ38から出力された温度Th1であり、この値は時間の経過に従ってヒータコア43が冷却されることによって下がっていく。Thまで下がった場合をJ点で示す。
【0111】
ステップSF6で用いるグラフは、アイドリング停止直後においては、H点とI点とを結ぶ直線となるが、アイドリングが停止したまま時間が経過すると、ヒータコア43の温度状態が下がっていくことから、グラフの傾きが緩やかになり、ある時点では、H点とJ点とを結ぶ直線となる。このときに、予測温度Tiに対応するエアミックスドア46の開度であるMIXiが補正後のエアミックスドア46の開度となる。
【0112】
すなわち、空調装置1が暖房状態にあるときには、ヒータコア43を通過する空調用空気の量が増え、しかも、アイドリングが停止していると、ヒータコア43へのエンジン冷却水の供給が停止されているので、ヒータコア43の温度は早く低下し易い。このとき、エアミックスドア46の開度が大きくヒータコア43を通過する空気量が多く空気の流速が速いので、その下流側にあるヒータコアセンサ38の検出結果は、ヒータコア43の温度状態と略相関している。そして、アイドリング停止時で、かつ、暖房状態である場合には、ヒータコアセンサ38の温度変化に基づいてエアミックスドア46の補正制御を行うので、エンジン冷却水の供給が停止した場合であっても、調和空気の温度を暖房に適した所望温度にすることが可能になる。
【0113】
ステップSF6で得られたエアミックス開度は、続くステップSF5で出力される。出力された開度となるように、図4のステップSA2でエアミックスドア46が制御される。
【0114】
また、ファンスイッチ72がOFFであるときのように空調装置1が作動していないときには、アイドリング停止許可信号を出力する。
【0115】
したがって、この実施形態に係る車両の制御装置100によれば、アイドリング停止時で、かつ、暖房状態である場合には、ヒータコア43の温度状態の変化に基づいてエアミックスドア46の開度補正を行うことで、調和空気の温度を暖房に適した所望温度にできる。また、空調装置1が冷房状態にあるときには、ヒータコア43の温度の温度状態に関する制御値を固定値としてエアミックスドア46の補正制御を行うので、ヒータコアセンサ38による相関性の低い検出結果が制御に反映されることはない。これにより、アイドリング停止中に、暖房及び冷房の両方を快適に行うことができ、アイドリングを停止させておく時間をできるだけ長く確保して燃料消費量や排気ガスの排出量の低減効果を十分に得ることができる。
【0116】
また、アイドリング停止前の吹出空気の温度が、図8のステップSD3及びステップSD5において予測される。この予測温度Tiは、アイドリングが停止する前で乗員が快適に感じるように設定されている温度である。一方、空調装置1のエバポレータ35及びヒータコア43の温度状態は、アイドリングが停止すると徐々に変化していき、この温度状態がエバセンサ37及びヒータコアセンサ38で検出される。そして、図10のステップSF4及びステップSF6においてアイドリング停止前の吹出空気の予測温度Tiと、アイドリング停止後のエバポレータ35及びヒータコア43の温度状態とに基づいて、エアミックスドア46の開度が補正され、図4のステップSA2においてアイドリング停止中の吹出空気の温度調節が行われるので、乗員に快適な空調が実現される。
【0117】
さらに、アイドリング停止中には、図9のステップSE3、SE4、SE9、SE11、SE13、SE14、SE16において、エバポレータ35及びヒータコア43の温度状態と、アイドリング停止前における吹出空気の予測温度Tiとが比較される。そして、同図のフローチャートに示すように、エバポレータ35及びヒータコア43の温度状態が吹出空気の温度調節を行うことができる温度状態であれば、アイドリング停止許可としてアイドリングを停止したままにしておくことが可能になる。一方、エバポレータ35及びヒータコア43の温度状態が吹出空気の温度調節を行うことが難しい状態であれば、アイドリング停止を禁止することで、アイドリングを停止させておく時間を短い側に変更して、快適な空調を行うことが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本発明に係る車両の制御装置は、エンジンにより駆動される補機から供給される熱媒体との熱交換によって車室内への送風空気を加熱又は冷却する熱交換器を有する車両において、車両の停止時にエンジンのアイドリングを自動停止させるようにする場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】空調装置の概略構造を説明する図である。
【図2】車室前側の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】エアコン制御ユニットの制御動作を示すフローチャートである。
【図5】コンプレッサーのON信号及びOFF信号の出力タイミングを説明する図である。
【図6】アイドリング停止判定の手順を示すフローチャートである。
【図7】第1アイドリング停止判定の手順を示すフローチャートである。
【図8】吹出温度の予測手順を示すフローチャートである。
【図9】第2アイドリング停止判定の手順を示すフローチャートである。
【図10】エアミックスドア開度補正制御の手順を示すフローチャートである。
【図11】係数K1を求めるためのグラフである。
【図12】係数K2を求めるためのグラフである。
【符号の説明】
【0120】
1 空調装置
2 エアコン制御ユニット(制御部)
22a 冷却通路
22b 加熱通路
44 エアミックス空間
46 エアミックスドア(温度調節ドア)
35 エバポレータ(冷却用熱交換器)
36 コンプレッサー(補機)
37 エバセンサ(冷却側温度検出部)
38 ヒータコアセンサ(加熱側温度検出部)
43 ヒータコア(加熱用熱交換器)
47 ベント通路
56 ベントドア
100 車両の制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンによって駆動される補機により供給される熱媒体と車室への送風空気とを熱交換させる加熱用及び冷却用熱交換器を有する空調装置を備え、所定条件が成立したときに上記エンジンのアイドリングを停止させるように構成された車両の制御装置において、
上記空調装置は、上記加熱用熱交換器を通過する空気量と上記冷却用熱交換器を通過する空気量とを変更して調和空気の温度を調節する温度調節部と、
上記加熱用熱交換器の空気流れ下流側に配置され、該加熱用熱交換器の温度状態を検出する加熱側温度検出部と、
上記加熱側温度検出部の検出結果に基づいて、所望温度の調和空気を生成すべく上記温度調節部を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、冷房状態と暖房状態とのいずれであるかを判定する空調状態判定部を備え、アイドリング停止時に該空調状態判定部が暖房状態であると判定した場合には、上記加熱側温度検出部で検出された上記加熱用熱交換器の温度状態の変化に基づいて上記温度調節部を制御する一方、アイドリング停止時に上記空調状態判定部が冷房状態であると判定した場合には、上記加熱用熱交換器の温度状態に関する制御値を所定の固定値とし該固定値に基づいて上記温度調節部を制御するように構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
空調状態判定部は、温度調節部の動作状態を検出し、該温度調節部が車室内の空気の温度を上昇させる動作状態であることを検出したときに、暖房状態であると判定することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
車室外の空気の温度を検出する外気温度検出部を備え、
空調状態判定部は、上記外気温度検出部により検出された温度が所定値以下である場合には、暖房状態であると判定することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両の制御装置において、
車室外の空気の温度を検出する外気温度検出部を備え、
空調状態判定部は、上記外気温度検出部により検出された温度が所定値以下である場合には、温度調節部の動作状態に関わらず、暖房状態であると判定することを特徴とする車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−188939(P2010−188939A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37037(P2009−37037)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000152826)株式会社日本クライメイトシステムズ (154)
【Fターム(参考)】