説明

車両の制御装置

【課題】アクセルペダルとクラッチペダルとを操作して発進を行う際に、不必要にエンジン回転数を上昇させることなくエンジンストールの発生を防止することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン11の出力を増減させるアクセルペダル61と、エンジン11から出力される駆動力を遮断する遮断状態と駆動力を伝達する伝達状態との間で切り替え可能なクラッチペダル35と、を備えた車両1の制御装置であって、車速、アクセルペダル61の操作、およびクラッチペダル35が遮断状態から伝達状態に移行を開始したか否かを検出し、車速が所定値未満で、アクセルペダル61の操作が検出されかつ遮断状態から伝達状態に移行を開始したことが検出された場合に、アクセルペダル61の操作量に応じた第1の制御量とアクセルペダル61の操作量が大きいときは小さいときよりも大きくなる第2の制御量とを含む制御量に基づいてエンジン11を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動変速機に駆動力を伝達する内燃機関を搭載した車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、手動変速機を搭載した車両は、手動クラッチ(以下単にクラッチともいう)を備えており、内燃機関としてのエンジンから出力された回転がクラッチを介して手動変速機を構成する変速機構に伝達されるようになっている。
【0003】
このような車両に搭載されるクラッチとしては、乾式単板式の摩擦クラッチが採用されており、クラッチペダルの操作に応じてエンジンの出力軸に接続されたフライホイールと変速機構の入力軸に接続されたクラッチディスクを係合あるいは解放することにより、エンジンから出力される回転を変速機構に伝達する伝達状態と当該回転を遮断する遮断状態との間で切り替えることが可能になっている。
【0004】
また、変速機構は、一般に、常時噛み合い式や同期噛み合い式手動変速機により構成されている。このような変速機構は、メインシャフトとカウンターシャフトとを備えており、それぞれのシャフト上に配置されたギヤ同士が常時噛み合ってギヤ対を構成している。さらに、このギヤ対はインプット側メインシャフト、アウトプット側メインシャフトおよびカウンターシャフトに複数設けられている。また各メインシャフトに設けられたギヤは、シャフト上で空転できるようになっており、このような空転できる各ギヤの側面にはそれぞれスリーブが設けられている。そして、スリーブが、軸方向に移動すると選択されたギヤを各メインシャフトに固定することができるようになっている。また、シフトレバーは、コントロールシャフトに接続され、シフトレバーが操作された際に複数のシフトフォークから何れかのシフトフォークが選択される。
【0005】
このとき、選択されたシフトフォークに対応するスリーブが各メインシャフトの軸方向に移動させられるようになっている。このため、シフトレバーの操作に応じていずれのギヤ対を介して、インプット側メインシャフトを構成する入力軸から入力された回転をアウトプット側メインシャフトを構成する出力軸に伝達するかを選択的に切り替えることにより、所望の変速段が形成されるようになっている。
【0006】
このような手動変速機および手動クラッチを備えた車両において特に発進時の操作について説明すると、まず運転者はクラッチペダルを踏み込んでクラッチを伝達状態から遮断状態に移行するよう操作した後に、変速機構が1速段を形成するようシフトレバーを操作する。そして、アクセルペダルを踏み込んでエンジン回転速度を上昇させながら、クラッチペダルを徐々に戻してクラッチを遮断状態から伝達状態に徐々に移行するよう操作し、エンジンからの駆動力が変速機構を介して駆動輪に伝達される。この時、運転者は、クラッチペダルの操作と併せて、アクセルペダルを踏み込んでエンジンの回転速度を上昇させて、当該エンジン回転速度に対応するエンジントルクとクラッチ操作に応じたクラッチトルクとを調和させることにより、円滑な運転が可能になっている。
【0007】
このような、手動変速機を備えた車両にあっては、発進時に前述したような、クラッチペダルの操作とアクセルペダルの操作とを調和させる必要があるが、このような操作は、すべての運転者にとって容易に行い得ることではなく、また煩わしい場合がある。
【0008】
例えば、発進時において、アクセルペダルを踏み込み、エンジンの回転速度の上昇に対してクラッチの係合が早いと、エンジンにかかる負荷が過大に増大して、エンジンストールを引き起こしてしまう。また反対に、エンジン回転速度の上昇に対してクラッチの係合が遅いと、クラッチの摩耗が増大し、燃費の悪化及び急発進等の問題を引き起こす虞がある。
【0009】
このような手動変速機を搭載した車両において、発進時にクラッチペダルの操作を容易にした車両の制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
この特許文献1に開示された車両の制御装置は、手動変速機および手動クラッチを備えた車両に搭載されるエンジンを制御するようになっており、車両の速度が所定値以下で、手動変速機が所定のギヤにシフトされ、かつ、アクセルペダルが踏まれておらずスロットル開度が所定値より小さいとき、エンジン回転速度をクラッチ位置に基づいて、アイドル回転速度より大きい目標エンジン速度に制御する制御ユニットを備えている。
【0011】
これにより、特許文献1に開示された車両の制御装置は、例えば発進時にエンジン回転速度がクラッチ位置に応じた目標回転速度に制御されるので、アクセルペダルを踏むことなく車両を円滑に発進することができる。
【0012】
また、手動変速機および手動クラッチを搭載した車両において、坂道発進等の際にドライバーの負担を軽減する車両の制御装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
この特許文献2に開示された車両の制御装置は、車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、路面の勾配を検出する勾配検出手段と、運転者の車両発進操作を検出する発進操作検出手段と、車両が所定の走行状態に移行したことを検出する走行状態検出手段と、車両の停止状態において発進操作が検出された時から前記走行状態への移行が検出されるまでの間、路面勾配に応じてエンジンのアイドル運転トルクを増大させるトルク制御手段とを備えている。
【0014】
これにより、路面勾配に応じてエンジンのアイドル運転トルクを増大させることができるので、車両発進時にアクセル操作量が不足したままクラッチが接続された場合であっても、エンジンストールや車両の後退を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−263138号公報
【特許文献2】特開平06−146945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述のような従来の車両の制御装置にあっては、アイドル発進時すなわちクラッチペダルのみを操作して発進を行うことに関して考慮されているが、通常発進時すなわちアクセルペダルとクラッチペダルとを操作して発進を行うことに関しては考慮されていない。したがって、アクセルペダルを踏んでエンジン回転数を上昇させながら発進する通常発進時には、アクセルペダルを操作せずにクラッチペダルを操作して発進するアイドル発進時よりも、クラッチペダルの操作が荒くなりエンジンストールの可能性が高くなる。
【0017】
さらに、アイドル発進時はクラッチストロークが最大の位置から少し戻されたストローク位置で、エンジンの出力軸と変速機構の入力軸との回転速度を同期させて、クラッチを伝達状態にすることができるが、通常発進時は、エンジンの回転速度が高くエンジンの出力トルクも大きいので、クラッチストロークが最大の位置から大幅に戻されたストローク位置で、エンジンの出力軸と変速機構の入力軸との回転速度を同期させることとなる。このため、アイドル発進時と比較して通常発進時の方が、小さいストローク位置でクラッチを操作する必要があり、このようなストローク位置では、ストローク位置の変化に対するクラッチトルクの変化量が大きい。したがって、特にクラッチペダルの操作とアクセルペダルの操作とを調和させるのが困難となり、エンジンストールの可能性が高くなる。
【0018】
したがって、上述のような特許文献1および特許文献2に記載のいずれのものも、アクセルペダルとクラッチペダルとを操作して車両を発進させる際のエンジンストールの発生の防止が十分に行われないという問題があった。
【0019】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、アクセルペダルとクラッチペダルとを操作して発進を行う際に、不必要にエンジン回転数を上昇させることなくエンジンストールの発生を防止することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る車両の制御装置は、上記目的達成のため、(1)内燃機関の出力を増減させる増減手段と、前記内燃機関から出力される駆動力を遮断する遮断状態と前記駆動力を伝達する伝達状態との間で切り替え可能な切替手段と、を備えた車両の制御装置であって、前記車両の速度を検出する手段と、前記増減手段の操作量を検出する手段と、前記切替手段が前記遮断状態から前記伝達状態に移行を開始したか否かを検出する手段と、前記検出された車両の速度が所定値未満で、前記増減手段の操作が検出されかつ前記遮断状態から前記伝達状態に移行を開始したことが検出された場合に、前記検出された操作量に応じた第1の制御量と前記検出された操作量が大きいときは小さいときよりも大きくなる第2の制御量とを含む制御量に基づいて前記内燃機関を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成により、増減手段と切替手段とを操作することに起因して、切替手段の操作が荒くなった場合であっても、制御手段がエンジンストールの発生の可能性の高さに応じて第2の制御量を大きく設定できるので、不必要に機関回転数を上昇させることなくエンジンストールを確実に防止することが可能となる。
【0022】
また、上記(1)に記載の車両の制御装置において、(2)前記制御手段は、前記検出された操作量が大きいときは小さいときよりも第2の制御量の最大値を大きくとることを特徴とする。
【0023】
この構成により、増減手段と切替手段とを操作することに起因して、切替手段の操作が荒くなった場合であっても、制御手段がエンジンストールの発生の可能性の高さに応じて第2の制御量の最大値を大きく設定できるので、不必要に機関回転数を上昇させることなくエンジンストールを確実に防止することが可能となる。
【0024】
また、上記(2)に記載の車両の制御装置において、(3)前記内燃機関の実機関回転数を検出する手段を備え、前記制御手段は、前記検出された操作量が大きいほど前記内燃機関の機関回転数の目標値を高く設定し、前記機関回転数の目標値と前記実機関回転数との差に応じて前記第2の制御量を設定することを特徴とする。
【0025】
この構成により、増減手段の操作量が大きく実機関回転数が急激に落ち込む可能性が高い発進時ほど制御手段が機関回転数の目標値を高く設定するので、内燃機関の実機関回転数が急激に低下を開始する前に設定した第2の制御量を含む制御量で内燃機関の出力を増加することが可能となり、エンジンストールを確実に防止することが可能となる。
【0026】
また、上記(3)に記載の車両の制御装置において、(4)前記制御手段は、前記内燃機関の実機関回転数が前記機関回転数の目標値よりも低下したことを条件に、前記第2の制御量の設定を開始することを特徴とする。
【0027】
この構成により、エンジンストールの発生が低い走行状態においては、制御手段が第2の制御量を設定しないので、不要に機関回転数を増加することを防止でき、燃費の悪化を防止することができる。
【0028】
また、上記(1)から(4)に記載の車両の制御装置において、(5)前記制御手段は、前記車両の速度が所定値以上となった場合には、前記第2の制御量の設定を終了することを特徴とする。
【0029】
この構成により、車両の発進時におけるエンジンストールの発生の可能性が低下したならば、制御手段は第2の制御量の設定を終了することができる。結果として、不必要な機関回転数の上昇を防止することができる。
【0030】
また、上記(1)から(5)に記載の車両の制御装置において、(6)前記制御手段は、前記切替手段が操作されていないと検出された場合には、前記第2の制御量の設定を終了することを特徴とする。
【0031】
この構成により、車両の発進時におけるエンジンストールの発生の可能性が低下したならば、制御手段は第2の制御量の設定を終了することができる。結果として、不必要な機関回転数の上昇を防止することができる。
【0032】
また、上記(1)から(6)に記載の車両の制御装置において、(7)前記第2の制御量は、少なくとも前記内燃機関のトルク量および前記内燃機関に吸入される空気量を調節するためのスロットル弁の開度のうちいずれか一方であることを特徴とする。
【0033】
この構成により、車両の発進時において、内燃機関のトルク量およびスロットル弁の開度を第2の制御量として内燃機関の出力を制御することが可能となり、エンジンストールを確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、アクセルペダルとクラッチペダルとを操作して発進を行う際に、不必要にエンジン回転数を上昇させることなくエンジンストールの発生を防止することができる車両の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両に搭載されるパワートレーンの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るクラッチ機構の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るクラッチ機構におけるクラッチストロークとクラッチトルクの関係を表すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係る目標回転数マップを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るガードマップを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るアシスト制御のタイミングチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るアシスト制御を示すフロー図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る開始条件判定制御を示すフロー図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るフィードバック制御を示すフロー図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る解除条件判定制御を示すフロー図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るアシスト制御の実施例を示すグラフであり、図11[A]は本発明の実施の形態に係るアシスト制御が行われた場合の発進時の車両特性を表すグラフであり、図11[B]は従来のアシスト制御が行われない車両における発進時の車両特性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態に係るエンジン11の制御装置について、図1ないし図11を参照して説明する。
まず、構成について説明する。
【0037】
図1に示すように、車両1に搭載されるパワートレーンは、主として、内燃機関としてのエンジン11と、運転者の操作により変速を実現可能な手動変速機12と、エンジン11から手動変速機12へのトルクの伝達を遮断可能なクラッチ機構13と、を備えている。
【0038】
エンジン11は、略筒状のシリンダが複数形成されるとともにエンジンマウントを介して車体に固定されたシリンダブロックと、軸線方向の摺動が可能となるよう各シリンダに収納されたピストンと、シリンダブロックに固定されたシリンダヘッドと、シリンダヘッドに形成された吸気ポート17および排気ポート18の開閉をそれぞれ切り替える吸気弁および排気弁とを有している。また、シリンダブロックとシリンダヘッドとピストンとによって、燃焼室19が画成されている。なお、本実施の形態においては、4気筒のガソリンエンジンを例に説明する。
【0039】
吸気ポート17は、吸気マニホールド21およびサージタンク22を介して吸気管23に連結されている。吸気管23の空気吸入口には、エアクリーナ24が設置されている。また、吸気管23には、スロットル弁25を有する電子スロットル装置26が設置されている。また、排気ポート18は、排気マニホールド27を介して排気管28に連結されている。
【0040】
各吸気ポート17の近傍には、燃料を噴射するためのインジェクタ29が設置されている。また、各燃焼室19の上方には、ガソリンと空気との混合気に着火するための点火プラグ16が設置されている。
【0041】
エンジン11は、さらに、出力軸としてのクランクシャフト32を有しており、クラッチ機構13を介して手動変速機12の入力軸を構成するインプットシャフト33に接続されている。クラッチ機構13は、クランクシャフト32の回転をインプットシャフト33に伝達する伝達状態と、インプットシャフト33への伝達を遮断する遮断状態との間で切り替わるようになっている。このクラッチ機構13における伝達状態と遮断状態との間の状態の遷移は、運転者により操作されるクラッチペダル35の踏み込み位置、すなわちクラッチストロークCsに対応しており、クラッチペダル35が踏み込まれていない状態では、クラッチ機構13は伝達状態となり、クランクシャフト32の回転がインプットシャフト33に伝達される。一方、クラッチペダル35が踏み込まれている状態では、クラッチ機構13は遮断状態となり、クランクシャフト32からインプットシャフト33への回転の伝達が遮断される。したがって、クラッチペダル35は、内燃機関から出力される駆動力を遮断する遮断状態と、駆動力を伝達する伝達状態との間で切り替え可能な切替手段を構成し、車両の制御装置を構成する。
【0042】
手動変速機12は、複数の歯車列によりインプットシャフト33の回転を所定の変速比により減速し、アウトプットシャフト36を回転するようになっている。また、手動変速機12は、運転者によるシフトレバー37の操作に応じて、インプットシャフト33とアウトプットシャフト36との間の動力伝達経路が切り替えられ、この伝達経路に応じた速度比が設定されるようになっている。
【0043】
シフトレバー37は、手動変速機12におけるインプットシャフト33とアウトプットシャフト36との間の動力の伝達を遮断するためのニュートラルポジションと、インプットシャフト33とアウトプットシャフト36との回転方向を互いに逆向きとし、車両1を後進させるためのリバースポジションと、手動変速機12の所定の変速比と対応付けられた1速〜5速ポジションとをとるようになっている。
【0044】
次に、本実施の形態におけるクラッチ機構13の構成について、図2に示す断面図を参照して、説明する。
クラッチ機構13は、いわゆる乾式単板式の摩擦クラッチにより構成されている。このクラッチ機構13は、クランクシャフト32と一体的に回転する円板形状のフライホイール42と、インプットシャフト33と一体回転するクラッチディスク43と、クラッチディスク43をフライホイール42側に押圧する円環状のプレッシャープレート44と、プレッシャープレート44に押圧力を与える円盤状のダイヤフラムスプリング45と、フライホイール42と一体回転するクラッチカバー46と、を備えている。
【0045】
フライホイール42は、クランクシャフト32を介して、エンジン11から出力されたトルクにより回転されるようになっている。クラッチディスク43、プレッシャープレート44、およびダイヤフラムスプリング45は、フライホイール42とクラッチカバー46との間に軸線が一致するように収容されている。
【0046】
また、クラッチディスク43は、インプットシャフト33にスプライン嵌合されている。このため、クラッチディスク43は、インプットシャフト33と一体回転しつつ、インプットシャフト33の軸方向へ移動可能となっている。
【0047】
プレッシャープレート44は、ダイヤフラムスプリング45の円環状の外周部45aに当接し、ダイヤフラムスプリング45によってフライホイール42側へ押圧されている。この押圧により、プレッシャープレート44がクラッチディスク43を押圧し、クラッチディスク43とフライホイール42との間で摩擦力が発生する。この摩擦力により、フライホイール42とクラッチディスク43とが係合、つまりクラッチが接続された状態となり、フライホイール42とクラッチディスク43とが、一体となって回転する。このようにして、エンジン11から手動変速機12への動力伝達が行われる。
【0048】
ダイヤフラムスプリング45は、中央部を盛り上げた円盤形状をしており、円環状の外周部45aの内周側に、中心に向かう複数の舌片状のレバーを形成した構造となっている。このダイヤフラムスプリング45の中央部にあたる舌片状のレバーの先端を、中央部45bとし、円環状の外周部45aと舌片状のレバーとの境目付近を、支持部45cとする。このように、ダイヤフラムスプリング45は、中央部45bが盛り上がった構造となっているため、皿バネとして機能する。
【0049】
ダイヤフラムスプリング45は、支持部45cがクラッチカバー46の端部46aに狭持され、外周部45aがプレッシャープレート44に当接し、中央部45bがレリーズスリーブ55の先端に当接している。
【0050】
クラッチペダル35(図1参照)の近傍には図示しないマスターシリンダが設けられている。このマスターシリンダはピストンと液室とにより構成されており、そのピストンの先端がクラッチペダル35に連結されている。マスターシリンダは、クラッチペダル35の操作に伴い、そのピストンがシリンダ部に対して出没するようになっている。
【0051】
また、レリーズフォーク54の近傍にはレリーズシリンダ52が設けられている。このレリーズシリンダ52はピストンと液室とにより構成されており、そのピストンの先端がレリーズフォーク54の端部(図2の上端部)に連結されている。
【0052】
マスターシリンダのシリンダ部とレリーズシリンダ52のシリンダ部とはクラッチ配管53を介して連通されている。そして、マスターシリンダのシリンダ部、レリーズシリンダ52のシリンダ部、およびクラッチ配管53の内部にはクラッチ液が充填されている。
【0053】
次に、クラッチ機構13の動作について説明する。
まず、クラッチペダル35が踏み込まれると、マスターシリンダのピストンがシリンダ部に進入し、これに伴ってレリーズシリンダ52のピストンがシリンダ部から脱出するようになる。これにより、レリーズフォーク54が回動し、レリーズスリーブ55がフライホイール42側へ押されて、同方向にレリーズスリーブ55が移動することにより、ダイヤフラムスプリング45の内端部が同方向へ弾性変形する。その結果、ダイヤフラムスプリング45のプレッシャープレート44を押し付ける力が弱まり、摩擦力が減少する。このように本実施の形態に係るクラッチ機構13にあっては、クラッチペダル35(図1参照)の踏み込み操作に応じて摩擦力が変化するようになっている。
【0054】
また、クラッチ機構13が伝達状態にあるときには、摩擦力が大きくなり、プレッシャープレート44、クラッチディスク43およびフライホイール42が一体となって回転し、エンジン11から手動変速機12への動力伝達が行われる。この状態において、伝達トルクが最大となる。
【0055】
また、クラッチ機構13が伝達状態と遮断状態の間の半伝達状態にあるときには、摩擦力が中程度となり、フライホイール42、クラッチディスク43およびプレッシャープレート44が滑りながら接続された状態となる。この状態において、伝達トルクの大きさは伝達状態における伝達トルクよりも小さくなる。
【0056】
このように構成されたクラッチ機構13は、図3に示すように、運転者によるクラッチペダル35の踏み込み量、すなわちクラッチストロークCsに応じたトルク容量Tcを有するようになっている。一般には、クラッチストロークCsの変化に応じたトルク容量の変化は、クラッチストロークCsが中央付近に位置するときに最大となる。例えば、図3においては、クラッチストロークCs1よりもクラッチストロークCs2の方が、クラッチストロークCsが微小変化した際のトルク容量Tcの変化が大きくなる。以下の説明においては、クラッチストロークCsの変化に応じるトルク容量の変化は、クラッチストロークCsが50[%]の近傍の場合に最大になるとして説明する。
【0057】
図1に戻り、手動変速機12のアウトプットシャフト36は、プロペラシャフト56、ディファレンシャルギヤ57およびドライブシャフト58を介して、左右の駆動輪59に接続されている。
【0058】
車両1は、さらに車両の制御装置を構成するエンジン制御装置100を搭載している。エンジン制御装置100は、公知のECU(Electronic Control Unit)により構成されている。エンジン制御装置100は、エンジン11から出力されるトルクの大きさを制御するようになっている。
【0059】
エンジン制御装置100は、双方向性バスを介して互いに接続されているCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入力ポート、および出力ポート等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムおよびマップに従って信号処理を行うことにより、エンジン11の出力制御などを実行するようになっている。出力ポートから出力された信号は、A/D変換器を介して図示しないアクチュエータなどに送信されるようになっている。
【0060】
また、エンジン制御装置100は、後述する各センサから入力される信号に基づいて、電子スロットル装置26のスロットル弁25の開度、インジェクタ29における燃料噴射量やタイミング、点火プラグ16における点火時期などを制御するようになっている。
【0061】
車両1は、さらに、エンジン回転数センサ40と、入力軸回転数センサ64と、車速センサ65と、車両1の速度を表す車速計68と、を備えている。
【0062】
エンジン11の実機関回転数を検出する手段を構成するエンジン回転数センサ40は、クランクシャフト32の回転に基づいて、エンジン11の実回転数Nerealを検出するようになっている。なお、エンジン回転数センサ40は、車両の制御装置を構成する。
【0063】
車両1の速度を検出する手段を構成する車速センサ65は、手動変速機12のアウトプットシャフト36の回転数を表す信号をエンジン制御装置100に出力するようになっており、エンジン制御装置100は、この信号に基づいて車速Vを算出するようになっている。なお、車速センサ65は、車両の制御装置を構成する。
【0064】
入力軸回転数センサ64は、手動変速機12のインプットシャフト33の回転数を表す信号をエンジン制御装置100に出力するようになっている。
【0065】
また、車両1は、増減手段を構成するアクセルペダル61と、アクセルペダル61の操作量を検出する手段を構成するアクセル開度センサ62とを備えている。アクセル開度センサ62は、例えばホール素子を用いた電子式のポジションセンサにより構成されており、アクセルペダル61が運転者により操作されると、アクセルペダル61の位置を示すアクセル開度Accを表す信号をエンジン制御装置100に出力するようになっている。エンジン制御装置100は、アクセル開度Accに応じた要求トルク量Teをエンジン11に生成させるよう、電子スロットル装置26のスロットル弁25の開度、インジェクタ29における燃料噴射のタイミングおよび点火プラグ16における点火時期を制御するようになっている。なお、アクセルペダル61およびアクセル開度センサ62は、車両の制御装置を構成する。
【0066】
また、車両1は、クラッチペダルスイッチ63を備えている。クラッチペダルスイッチ63は、クラッチペダル35のクラッチストロークCsが最小の0[%]の位置にあるか否かを検知する第1のセンサおよびクラッチストロークCsが最大の100[%]となる位置にあるか否かを検知する第2のセンサを有している。クラッチペダルスイッチ63は、運転者によりクラッチペダル35が最大限に踏み込まれている場合には、エンジン制御装置100にCsMAX=ONを表す信号を送信し、クラッチペダル35が踏み込まれていない場合には、エンジン制御装置100にCs=ONを表す信号を送信するようになっている。また、クラッチストロークCsが最小の位置でも最大の位置でもない場合には、CsMAX=OFFを表す信号およびCs=OFFを表す信号をエンジン制御装置100に送信するようになっている。したがって、クラッチペダルスイッチ63およびエンジン制御装置100は、切替手段が遮断状態から伝達状態に移行を開始したか否かを検出する手段を構成し、車両の制御装置を構成する。
【0067】
以下、本発明の実施の形態に係るエンジン制御装置100の特徴的な構成について説明する。
エンジン制御装置100は、車両1の発進時において、運転者によるクラッチペダル35の操作に起因してエンジンストールが発生することを防止するために、エンジン11が発生するトルクを増大させるアシスト制御を実行するようになっている。
【0068】
車両1の発進時において、運転者による車両1に対する加速度の期待が高いほど、アクセルペダル61の踏み込み量、すなわちアクセル開度Accは大きくなる。また、クラッチペダル35の最大の踏み込み位置からの戻し量も、車両1に対する加速度の期待が高いほど大きくなる。つまり、車両1に対する加速度の期待が高いほど、クラッチトルクTcを増加する必要が生じるため、クラッチストロークCsが小さい位置でクラッチ係合が行われることになる。
【0069】
ここで、クラッチストロークCsの微小変化量dCsに対するクラッチトルクの変化量dTcは、上述したように、クラッチストロークCsが小さくなるほど大きくなり、クラッチストロークCsが50[%]の近傍、すなわち図3におけるCs2の近傍において、クラッチストロークCsの微小変化量dCsに対するクラッチトルクの変化量dTcが最大となる。
【0070】
また、車両1の発進時における運動方程式は、以下のように表される。
Ie×dωe/dt =Te−Tc (1)
ここで、Ieはエンジン11の回転慣性モーメント、ωeはクランクシャフト32の角速度、Teはクランクシャフト32に伝達されるエンジン側トルク量、Tcはクラッチ側のトルク量を表している。一般に、クラッチ側のトルク量Tcは、滑りの発生を防止するため、エンジン側のトルク量Teより2、3倍大きい値をとる。そのため、運転者によりクラッチペダル35が急激に戻されると、クラッチ側のトルク量Tcが急激に増大し、結果として、エンジン側のトルク量Teが一定であるならばクランクシャフト32の角速度ωeが急激に低下することとなる。さらには、アクセルペダル61を踏み込まずに車両1を発進させるアイドル発進時と比較して、アクセルペダル61とクラッチペダル35が同時に踏み込まれる車両1の発進時においては、2つのペダルを同時に操作する必要が生じるため、クラッチペダル35の操作の正確性が低下しがちになり、クラッチ側のトルク量Tcが急激に増大する可能性が高まる。
【0071】
また、通常の発進時においては、アクセルペダル61の踏み込み量が大きいほど、クラッチ係合が行われるクラッチストロークCsが小さくなるので、実エンジン回転数Nerealが急激に落ち込む可能性が高くなる。それにもかかわらず、仮に従来の発進時のアシスト制御のように、トルクアシスト制御が開始される実エンジン回転数Nerealがアイドル回転数に設定されてしまうと、実エンジン回転数Nerealが急激に落ち込んだ場合には、アシスト制御が間に合わず、エンジンストールが発生する可能性が高くなる。
【0072】
そのため、本実施の形態においては、以下のようにアクセルペダル61の踏み込み量に応じて目標エンジン回転数Nerefを設定し、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回ったならば、アシスト制御を実行するようになっている。
【0073】
目標エンジン回転数Nerefは、以下の式(2)により設定する。
Neref=k×dTc/dCs (2)
ここで、dTcはトルク容量の微小変化量を表す。また、dCsはクラッチストロークの微小変化量を表す。また、kは係数であり、エンジン11やクラッチ機構13の諸元値から求まる値であり、予め実験的な測定により定められている。
【0074】
目標エンジン回転数Nerefは、図4に示すように、目標回転数マップとして予めROMに記憶されている。エンジン制御装置100は、アシスト制御の開始条件が成立すると、アクセル開度センサ62からアクセル開度Accを表す信号を取得し、アクセル開度Accに応じた目標エンジン回転数Nerefを設定するようになっている。したがって、本実施の形態に係るエンジン制御装置100は、検出されたアクセルペダル61の操作量が初期状態を基準に大きいほど内燃機関の目標機関回転数Nerefを高く設定する手段を構成する。また、エンジン制御装置100は、後述するフィードバック制御により、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefに追従するよう、エンジン11を制御するようになっている。なお、初期状態とは、アクセルペダル61が運転者により操作されていない状態を意味する。
【0075】
ここで、アクセル開度AccおよびクラッチストロークCsは、上述したように、いずれも車両1に対して運転者が期待する加速度に従う。したがって、本実施の形態に係る目標回転数マップにおいては、アクセル開度Accが最大となる位置と、クラッチストロークCsが50[%]の位置とが一致するように設定されている。
【0076】
また、エンジン制御装置100は、上述のように目標エンジン回転数Nerefを算出すると、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回らないよう、エンジン11の出力トルクを増加させるアシスト制御を実行するようになっている。
【0077】
エンジン制御装置100は、このアシスト制御において、実エンジン回転数Nerefを目標エンジン回転数Nerealに追従させるようフィードバック制御を実行し、エンジン11にアシストトルクを生成させるようになっている。
【0078】
エンジン制御装置100は、フィードバック制御において、目標エンジン回転数Nerefと実エンジン回転数Nerealとを用いて、以下の式(3)によってフィードバック値FB1を算出するようになっている。
【0079】
FB1(Neref−Nereal)
= Kp×(Neref−Nereal)
+ Ki×∫(Neref−Nereal)dt
+ Kd×d(Neref−Nereal)/dt (3)
Kp、Ki、Kdは、それぞれ比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインを表しており、エンジン11の特性に基づき予め定められている。ここで、本実施の形態においては、エンジン制御装置100は、フィードバック値FB1の算出時間を短縮するために、微分項を以下の式(4)ないし式(6)により算出する。
【0080】
d(Neref−Nereal)/dt ← Te−Tc (4)
Te=Fe(Acc、Ne) (5)
Tc=Fc(Cs) (6)
なお、式(5)におけるFeは、アクセル開度Accおよび実エンジン回転数Nerealとエンジン11から出力されるトルクTeとを対応付ける関数であり、エンジン11の出力特性に基づいて予め実験的に定められ、マップとしてROMに記憶されている。また、式(6)におけるFcは、クラッチストロークCsとクラッチトルクTcとを対応付ける関数であり、上述した図2の特性に基づいて予め実験的に定められ、マップとしてROMに記憶されている。ただし、この場合には、本実施の形態に係るクラッチペダルスイッチ63に代えて、クラッチストロークCsを0[%]から100[%]まで連続的に検出可能なクラッチペダルスイッチを用いるようにするのが好ましい。
【0081】
また、エンジン制御装置100は、算出されたフィードバック値FB1に対しガード処理を実行する。ガード処理は、図5に示すガードマップに基づいて実行されるようになっている。このガードマップは、予めROMに記憶されている。エンジン制御装置100は、上記の式(3)に基づいて算出されたフィードバック値FB1が所定値a以上の場合には、アシストトルク量ATeの算出に用いるフィードバック値FB2を一律にaとする。同様に、フィードバック値FB1が所定値−b以下の場合には、アシストトルク量ATeの算出に用いるフィードバック値FB2を一律に−bとする。所定値a、bとしては、アシスト制御の実行中に、アクセルペダル61の踏み込み量の急激な変動などに起因して、フィードバック値FB1の絶対値が大きくなりアシストトルク量ATeが急増あるいは急減し、車両1の加速度が急激に変化することを防止するための値であり、予め実験的な測定により求められている。
【0082】
なお、所定値aおよび所定値bは同じ値であってもよい。また、エンジン制御装置100は、アクセル開度Accに応じて所定値aおよび所定値bが変化するよう複数のガードマップをROMに記憶するようにしてもよい。この場合、所定のアクセル開度Accの範囲ごとに1つのガードマップを対応させる。そして、アクセル開度Accが小さい範囲に対応するガードマップにおいて設定される所定値a、bが、アクセル開度Accが大きい範囲に対応するガードマップにおいて設定される所定値a、bより小さい値となるようガードマップを構成する。
【0083】
また、エンジン制御装置100は、フィードバック値FB2に基づいて、エンジン11から出力されるトルク量を増大する。具体的には、エンジン制御装置100は、アクセルペダル61の踏み込み量に応じた要求トルク量Teとスロットル開度とを対応付けたスロットル開度マップを有している。また、エンジン制御装置100は、フィードバック値FB2とアシストトルク量ATeとを対応付けたアシストマップを有している。また、エンジン制御装置100は、アシストトルク量ATeに応じてスロットル開度を補正するための、アシストトルク量ATeとスロットル開度の増加量とを対応付けた開度補正マップを予めROMに記憶している。エンジン制御装置100は、フィードバック値FB2を算出すると、アシストマップを参照してアシストトルク量ATeを取得する。このとき、スロットル開度マップにより求められたスロットル開度を開度補正マップにより求められたスロットル開度の増加量により補正し、スロットル弁25を制御するようになっている。
【0084】
ここで、本実施の形態に係る要求トルク量Teは、本発明に係る第1の制御量を構成し、本実施の形態に係るアシストトルク量ATeは、本発明に係る第2の制御量を構成する。したがって、本実施の形態に係るエンジン制御装置100は、検出された操作量に応じた第1の制御量と検出された操作量が大きいときは小さいときよりも、少なくとも大きくなる第2の制御量とを含む制御量に基づいて内燃機関を制御する制御手段を構成する。つまり、本実施の形態においては、エンジン制御装置100は、検出された操作量が大きいときは小さいときよりも第2の制御量の最大値を大きくとるようになっている。また、エンジン制御装置100は、第2の制御量を、目標エンジン回転数Nerefと実エンジン回転数Nerealとの差に応じて設定する。
【0085】
なお、本実施の形態においては、エンジン制御装置100は、要求トルク量Teとアシストトルク量ATeとの和、すなわち本発明に係る第1の制御量と第2の制御量との和の制御量に基づいてエンジン11を制御する場合について説明した。しかしながら、エンジン制御装置100が、アシストトルク量ATeに代えて、要求トルク量に対する補正割合を第2の制御量として算出するようにしてもよい。この場合、エンジン制御装置100は、本発明に係る第1の制御量と第2の制御量との積の制御量に基づいてエンジン11を制御することとなる。
【0086】
また、要求トルク量Teおよびアシストトルク量ATeの代わりに、スロットル開度マップにより求まるスロットル開度および開度補正マップにより求まるスロットル開度の補正量が、本発明に係る第1の制御量および第2の制御量をそれぞれ構成するようにしてもよい。さらに、エンジン制御装置100は、開度補正マップの代わりに、燃料噴射量などエンジン11が生成するトルクを増大するための制御に対する制御量を補正するよう定義された補正マップを記憶するようにしてもよい。また、エンジン制御装置100は、スロットル開度と燃料噴射量との両方の値を補正するよう定義されたマップを記憶するようにしてもよい。
【0087】
また、エンジン制御装置100は、エンジンストールが発生する可能性が低下した場合には、アシスト制御を終了するようになっている。具体的には、エンジン制御装置100は、クラッチ機構13が伝達状態に完全に移行した場合あるいは車速Vが所定値Vtho以上となった場合には、エンジンストールが発生する可能性が低下したと判断し、アシスト制御を終了するようになっている。このとき、アシストトルク量ATeを徐々に0に近づけることにより、車両1の走行状態が急激に変化することを防止するようになっている。なお、所定値Vthoとしては、車両1の発進時にクラッチ機構13が伝達状態になった際に車両1が通常到達している車速として定められている。すなわち、エンジン制御装置100は、車両1の速度が所定値以上となった場合には、第2の制御量の設定を終了する。また、エンジン制御装置100は、切替手段が操作されていないと検出された場合には、第2の制御量の設定を終了する。
【0088】
次に、エンジン制御装置100におけるアシスト制御を図6に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0089】
まず、時間t0において、運転者によりイグニッションスイッチが操作されると、エンジン11が始動し、実エンジン回転数Nerealが上昇を開始する(実線87参照)。
【0090】
次に、時刻t1において、運転者によりクラッチペダル35が踏み込まれ、クラッチストロークCsがCsMAXとなる(実線82参照)。
【0091】
次に、時刻t2において、運転者によりシフトレバー37が操作され、シフトポジションがニュートラルポジションから1速ポジションに移動される(実線81参照)。
【0092】
次に、時刻t3において、運転者によりアクセルペダル61が踏み込まれアクセル開度Accが上昇するとともに(実線83参照)、スロットル開度が上昇する(実線84参照)。次に、時刻t4において、運転者によりクラッチペダル35が戻され始め、クラッチストロークCsが低下する(実線82参照)。このとき、アシスト制御の開始条件が成立し、アクセル開度Accに応じた目標エンジン回転数Nerefの算出を開始する(実線86参照)。
【0093】
ここで、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回った場合には、エンジン制御装置100は、アシストトルク量ATeの算出を開始する。具体的には、エンジン制御装置100は、アクセル開度Accに応じて定められる要求トルク量Teに、フィードバック値FB2から算出されるアシストトルク量ATe(実線88参照)を加算し、この値のトルク量を生成するようエンジン11を制御する。このとき、エンジン制御装置100は、要求トルク量Teにおけるアクセル開度(点線85参照)に対し、エンジン11から出力されるトルク量がアシストトルク量ATeだけ増加するようスロットル開度を高めるようになっている(実線84参照)。したがって、本実施の形態に係るエンジン制御装置100は、内燃機関の実機関回転数が機関回転数の目標値よりも低下したことを条件に、第2の制御量の設定を開始するようになっている。なお、エンジン制御装置100は、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回った場合にアシストトルク量ATeの算出を開始する代わりに、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回っているか否かにかかわらず上記の時刻t4においてアシストトルク量ATeの算出を開始してもよい。この場合、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回るまでは、エンジン制御装置100はアシストトルク量ATeを0に設定するようにする。
【0094】
次に、時刻t5において、運転者によるクラッチペダル35の踏み込みが終了すると(実線82参照)、エンジン制御装置100は、アシスト制御の解除条件が成立したと判断し、目標エンジン回転数Nerefの算出を終了する(実線86参照)。このとき、エンジン制御装置100は、エンジン11から出力されるトルク量が要求トルク量Teと一致するよう、スロットル開度を徐々に低下する(実線84参照)。
【0095】
次に、動作について図7ないし図10を参照して説明する。なお、以下に説明する処理は、予めROMに記憶されているプログラムによって実現され、所定の時間間隔でCPUによって実行される。
【0096】
図7に示すように、まず、エンジン制御装置100は、トルクアシストに対するフィードバック制御の開始条件が成立したか否かを判定するための開始条件判定制御を実行する(ステップS1)。開始条件判定制御については後述する。
【0097】
そして、エンジン制御装置100は、開始条件判定制御の結果、開始条件が成立していると判断した場合には(ステップS2でYES)、ステップS3に移行する。一方、エンジン制御装置100は、開始条件が成立していないと判断した場合には(ステップS2でNO)、RETURNに移行する。
【0098】
エンジン制御装置100は、次に、車両1の発進時にエンジンストールが発生することを防止するため、トルクアシストに対するフィードバック制御を実行する(ステップS3)。このフィードバック制御については後述する。
【0099】
エンジン制御装置100は、次に、フィードバック制御を解除する条件が成立したか否かを判定するための解除条件判定制御を実行する(ステップS4)。解除条件判定制御については後述する。
【0100】
そして、エンジン制御装置100は、解除条件判定制御の結果、解除条件が成立していると判断した場合には(ステップS5でYES)、ステップS6に移行し、目標エンジン回転数Nerefの算出を終了し、アシストトルク量ATeを0に設定する。一方、エンジン制御装置100は、解除条件が成立していないと判断した場合には(ステップS5でNO)、RETURNに移行する。
【0101】
次に、エンジン制御装置100により実行される開始条件判定制御について図8を参照して説明する。
【0102】
エンジン制御装置100は、アクセル開度センサ62、クラッチペダルスイッチ63、車速センサ65によりそれぞれ検出された信号を取得する(ステップS11)。
【0103】
エンジン制御装置100は、次に、クラッチペダル35が戻され始めているか否かを判断する(ステップS12)。具体的には、エンジン制御装置100は、ステップS11においてクラッチペダルスイッチ63から入力された信号が、クラッチペダル35が戻され始めていることを表す信号、すなわちCs=OFFかつCsMAX=OFFを表す信号であるならば(ステップS12でYES)、ステップS13に移行する。一方、エンジン制御装置100は、クラッチペダルスイッチ63から、Cs=ONあるいはCsMAX=ONを表す信号を取得したと判断した場合には(ステップS12でNO)、開始条件が成立していないと判断し(ステップS16)、RETURNに移行する。
【0104】
エンジン制御装置100は、次に、ステップS11においてアクセル開度センサ62から入力された信号が、アクセルペダル61が踏み込まれていることを表すON信号であるか否かを判断する(ステップS13)。具体的には、エンジン制御装置100は、ステップS11においてアクセル開度センサ62から入力された信号が、アクセルペダル61が踏み込まれていることを表すON信号であるならば(ステップS13でYES)、ステップS14に移行する。一方、エンジン制御装置100は、アクセル開度センサ62から、アクセル開度Accが0[%]であることを表すOFF信号を取得したと判断した場合には(ステップS13でNO)、開始条件が成立していないと判断し(ステップS16)、RETURNに移行する。
【0105】
エンジン制御装置100は、次に、ステップS11において車速センサ65から入力された信号に基づき、車速Vが所定値Vthoより小さいか否かを判断する(ステップS14)。エンジン制御装置100は、車速Vが所定値Vthoより小さいと判断した場合には(ステップS14でYES)、開始条件が成立していると判断し(ステップS15)、RETURNに移行する。一方、車速Vが所定値Vtho以上であると判断した場合には(ステップS14でNO)、開始条件が成立していないと判断し(ステップS16)、RETURNに移行する。
【0106】
なお、シフトレバー37がニュートラルポジションにあることを検出するニュートラルポジションセンサを車両1が備えている場合には、上記開始条件判定制御において、ニュートラルポジションセンサがシフトレバー37を検出していないことを開始条件に追加してもよい。また、シフトレバー37が1速ポジションにあることを検出するポジションセンサを車両1が備えている場合には、上記開始条件判定制御において、このポジションセンサがシフトレバー37を検出していることを開始条件に追加してもよい。
【0107】
次に、エンジン制御装置100により実行されるフィードバック制御について図9を参照して説明する。
【0108】
エンジン制御装置100は、まず、目標エンジン回転数Nerefを算出する(ステップS31)。具体的には、エンジン制御装置100は、アクセル開度センサ62からアクセル開度Accを取得すると、上述した目標回転数マップを参照し、アクセル開度Accに対応する目標エンジン回転数Nerefを取得する。なお、エンジン制御装置100は、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回るまでは、このステップS31を繰り返す。
【0109】
次に、エンジン制御装置100は、フィードバック値FB2を算出する(ステップS32)。具体的には、エンジン制御装置100は、まず、エンジン回転数センサ40から、実エンジン回転数Nerealを表す信号を取得する。次に、エンジン制御装置100は、ステップS31で取得した目標エンジン回転数Nerefと、実エンジン回転数Nerealと、上記の式(1)とを用いて、フィードバック値FB1を算出する。そして、エンジン制御装置100は、図5に示すガードマップを用いて、フィードバック値FB2を算出する。
【0110】
次に、エンジン制御装置100は、アシストトルク量ATeを算出する(ステップS33)。具体的には、エンジン制御装置100は、ROMに記憶されているアシストマップを参照し、フィードバック値FB2に対応するアシストトルク量ATeを算出する。
【0111】
次に、エンジン制御装置100は、要求トルク量Teとアシストトルク量ATeとの
和のトルク量がエンジン11により出力されるようエンジン11を制御する。具体的には、エンジン制御装置100は、ROMに記憶されているスロットル開度マップを参照し、アクセルペダル61の踏み込み量に応じた要求トルクTeに対応するスロットル開度を取得する。そして、エンジン制御装置100は、ROMに記憶されている開度補正マップを参照し、アシストトルク量ATeに応じてスロットル開度を増加するよう補正するための開度補正値を取得する。そして、エンジン制御装置100は、フィードバック値FB2を算出すると、スロットル開度マップにより求められたスロットル開度を開度補正マップにより求められた開度補正値により補正し、スロットル弁25を制御する。
【0112】
次に、エンジン制御装置100により実行される解除条件判定制御について図10を参照して説明する。
【0113】
エンジン制御装置100は、クラッチペダルスイッチ63および車速センサ65によりそれぞれ検出された信号を取得する(ステップS41)。
【0114】
エンジン制御装置100は、次に、クラッチペダル35が踏み込まれているか否かを判断する(ステップS42)。具体的には、エンジン制御装置100は、ステップS41においてクラッチペダルスイッチ63から入力された信号が、クラッチペダル35が踏み込まれていないことを表す信号、すなわちCs=ONかつCsMAX=OFFを表す信号であるならば(ステップS42でYES)、解除条件が成立していると判断し(ステップS44)、RETURNに移行する。
【0115】
一方、エンジン制御装置100は、クラッチペダルスイッチ63から、クラッチペダル35が踏み込まれている、すなわちCs=OFFを表す信号を取得したと判断した場合には(ステップS42でNO)、ステップS43に移行する。
【0116】
次に、エンジン制御装置100は、ステップS41において車速センサ65から入力された信号に基づき、車速Vが所定値Vtho以上であるか否かを判断する(ステップS43)。エンジン制御装置100は、車速Vが所定値Vtho以上であると判断した場合には(ステップS43でYES)、解除条件が成立していると判断し(ステップS44)、RETURNに移行する。一方、車速Vが所定値Vthoより小さいと判断した場合には(ステップS43でNO)、解除条件が成立していないと判断し(ステップS45)、RETURNに移行する。
【0117】
このようなアシスト制御の実施例を図11を参照して説明する。
【0118】
図11[A]は、本実施の形態に係るアシスト制御が実施される場合における車両1の発進時の特性を示すグラフである。
【0119】
なお、グラフ(a)は、実エンジン回転数Nerealおよびインプットシャフト33の回転数Niの変化を表している。また、グラフ(b)は、アシストトルク量ATeの変化を表している。また、グラフ(c)は、アクセル開度Accの変化を表している。また、グラフ(d)は、クラッチストロークCsの変化を表しており、クラッチペダル35が最大の位置、すなわちCsMAXから戻された量を表している。
【0120】
アクセルペダル61が踏み込まれた後に、クラッチペダル35が戻され始めると(グラフ(c)(d)参照)、エンジン制御装置100は、目標エンジン回転数Nerefの算出を開始する(グラフ(a)参照)。このとき、クラッチペダル35の戻し量が適切な値より多くなることに起因して実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefを下回ると、アシストトルク量ATeを算出し(グラフ(b)参照)、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefに追従するようフィードバック制御を行う。これにより、実エンジン回転数Nerealの急激な低下が防止され(グラフ(a)参照)、エンジンストールが発生することなく車両1が発進する。
【0121】
これに対し、図11[B]に示すように、アシスト制御が実施されない従来の車両においては、アクセルペダルが踏み込まれた後に、クラッチペダルが戻され始めた場合においても(グラフ(c)(d)参照)、エンジン制御装置はエンジンから出力されるトルク量を修正しない。そのため、クラッチペダルの戻し量が適切な値より多くなることに起因して実エンジン回転数Nerealが急激に低下しても(グラフ(a)参照)、実エンジン回転数Nerealがストール限界値以上に維持されず、結果としてエンジンストールが発生することとなる。
【0122】
以上のように、本実施の形態に係るエンジン制御装置100は、アクセルペダル61とクラッチペダル35とを操作することに起因して、クラッチペダル35の操作が荒くなった場合であっても、エンジンストールの発生の可能性の高さに応じてアシストトルク量ATeの最大値を大きく設定できるので、不必要にエンジン回転数を上昇させることなくエンジンストールを確実に防止することが可能となる。
【0123】
また、エンジン制御装置100は、アクセルペダル61の操作量が大きく実エンジン回転数Nerealが急激に落ち込む可能性が高い発進時ほど目標エンジン回転数Nerefを高く設定するので、エンジン11の実回転数が急激に低下を開始する前に設定したアシストトルク量ATeでエンジン11の出力トルクを増加することが可能となり、エンジンストールを確実に防止することが可能となる。
【0124】
また、エンジン制御装置100は、エンジンストールの発生が低い走行状態においては、アシストトルク量ATeを設定しないので、不要に実エンジン回転数Nerealを増加することを防止でき、燃費の悪化を防止することができる。
【0125】
なお、以上の説明においては、エンジン制御装置100は、実エンジン回転数Nerealが目標エンジン回転数Nerefに追従するようフィードバック制御を行う場合について説明した。しかしながら、エンジン制御装置100は、フィードバック制御を実行せずにアシスト制御を行うようにしてもよい。この場合、エンジン制御装置100は、アクセル開度Accと、スロットル開度の補正値あるいはアシストトルク量ATeとを対応付けたマップを予めROMに記憶しておく。そして、上述した開始条件が成立すると、解除条件が成立するまでの間、このマップに基づいてエンジン11から出力されるトルクを増大させる。また、アクセル開度Accが大きい場合には、アクセル開度Accが小さい場合と比較して、スロットル開度の補正値あるいはアシストトルク量ATeを大きい値に定めておくようにする。なお、この場合に設定されるスロットル開度の補正値あるいはアシストトルク量ATeは、アイドルアシスト制御において設定されるスロットル開度の補正値あるいはアシストトルク量ATeと比較して大きく設定すると、エンジン11の実回転数が急激に低下することを確実に防止できるので好ましい。
【0126】
また、以上の説明においては、運転者によりアクセルペダル61が操作され、アクセル開度Accが0より大きい場合におけるアシスト制御について説明した。しかしながら、エンジン制御装置100は、本実施の形態に係るアシスト制御に加え、運転者によりアクセルペダル61が操作されておらずアクセル開度が0の場合においてもエンジン11から出力されるトルクを増大するアイドルアシスト制御を実行するようにしてもよい。
【0127】
この場合、エンジン制御装置100は、車速センサ65から入力される信号が車速V=0を表しており、アクセル開度Accが0であり、かつ、クラッチペダルスイッチ63から入力される信号が、クラッチストロークCsが0[%]および最大値でないことを表す信号、すなわちCs=OFFかつCsMAX=OFFを表す信号であるならば、車両1のアイドル発進であると判断し、アイドルアシスト制御を実行する。
【0128】
そして、エンジン制御装置100は、アクセル開度センサ62から、アクセル開度Accが0より大きい値を表す信号を取得したならば、本実施の形態に係るアシスト制御に切り替えるようにする。
【0129】
以上説明したように、本発明に係る車両の制御装置は、アクセルペダルとクラッチペダルとを操作して発進を行う際に、不必要にエンジン回転数を上昇させることなくエンジンストールの発生を防止することができるという効果を奏するものであり、手動変速機を搭載した車両の制御装置に有用である。
【符号の説明】
【0130】
1 車両
11 エンジン
12 手動変速機
13 クラッチ機構
16 点火プラグ
17 吸気ポート
18 排気ポート
19 燃焼室
21 吸気マニホールド
23 吸気管
25 スロットル弁
26 電子スロットル装置
27 排気マニホールド
28 排気管
29 インジェクタ
32 クランクシャフト
33 インプットシャフト
35 クラッチペダル
36 アウトプットシャフト
37 シフトレバー
40 エンジン回転数センサ
42 フライホイール
43 クラッチディスク
44 プレッシャープレート
45 ダイヤフラムスプリング
46 クラッチカバー
52 レリーズシリンダ
53 クラッチ配管
56 プロペラシャフト
61 アクセルペダル
62 アクセル開度センサ
63 クラッチペダルスイッチ
65 車速センサ
100 エンジン制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の出力を増減させる増減手段と、前記内燃機関から出力される駆動力を遮断する遮断状態と前記駆動力を伝達する伝達状態との間で切り替え可能な切替手段と、を備えた車両の制御装置であって、
前記車両の速度を検出する手段と、
前記増減手段の操作量を検出する手段と、
前記切替手段が前記遮断状態から前記伝達状態に移行を開始したか否かを検出する手段と、
前記検出された車両の速度が所定値未満で、前記増減手段の操作が検出されかつ前記遮断状態から前記伝達状態に移行を開始したことが検出された場合に、前記検出された操作量に応じた第1の制御量と前記検出された操作量が大きいときは小さいときよりも大きくなる第2の制御量とを含む制御量に基づいて前記内燃機関を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出された操作量が大きいときは小さいときよりも第2の制御量の最大値を大きくとることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関の実機関回転数を検出する手段を備え、
前記制御手段は、前記検出された操作量が大きいほど前記内燃機関の機関回転数の目標値を高く設定し、前記機関回転数の目標値と前記実機関回転数との差に応じて前記第2の制御量を設定することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記内燃機関の実機関回転数が前記機関回転数の目標値よりも低下したことを条件に、前記第2の制御量の設定を開始することを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車両の速度が所定値以上となった場合には、前記第2の制御量の設定を終了することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記切替手段が操作されていないと検出された場合には、前記第2の制御量の設定を終了することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1の請求項に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記第2の制御量は、少なくとも前記内燃機関のトルク量および前記内燃機関に吸入される空気量を調節するためのスロットル弁の開度のうちいずれか一方であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1の請求項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−80449(P2011−80449A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235282(P2009−235282)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】