説明

車両の技術的フロント表面を取付ける装置

本発明は、技術的フロント表面と呼ばれる略垂直な機械要素(14)を、上部クロスバー等の車両(20)ボディ(18)の構造的横要素(16)に取付ける装置(10)に関するものであり、機械要素(14)は、クロスバー(16)の上面(27)で支持する少なくとも1つの略水平部(26)又は構造ノズルを含み、前記装置(10)は、車両(20)の車体(18)下でスライドして垂直に取付けられる、機械要素(14)用の少なくとも1つのキャリアプレート(28)を含む。本装置は、プレート(28)が、直立な機械要素(14)を受容するためのフォークと呼ばれる手段(30)を含み、この手段が、少なくとも1つの前傾した垂直位置と垂直位置との間で、上記要素を保持できることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の組立てラインで、「技術的フロント表面」として知られる略垂直な機械要素を取り付ける装置に関する。
【0002】
本発明は特に、自動車の組立てラインにおいて、少なくとも1つの冷却用ラジエータを特に含む、「技術的フロント表面」として知られる略垂直な機械要素を、車両ボディの上部クロスメンバ等の横断方向構造要素に取り付ける装置に関し、機械要素は、上部クロスメンバの上面で支持される、「構造ノズル」として知られる少なくとも1つの略水平部を含んでいる。前記装置は、機械要素を支持する少なくとも1つの支持プラットフォームを含み、このプラットフォームは、特に機械要素を車両ボディの横断方向構造要素に組付けできるように、車両ボディ下でスライドさせ、次いで垂直方向に上昇させる。
【背景技術】
【0003】
自動車ボディの「技術的フロント表面」として知られる略垂直な機械要素を取り付ける装置に関して、多数の例が知られている。
【0004】
従来、「技術的フロント表面」として知られる略垂直な機械要素は、「ソリ」としても知られるプラットフォームに載置され、車両下で導入される。状況によって、車両ボディをプラットフォームまで下げるか、プラットフォームを車両下で上昇させるかして、技術的フロント表面は車両ボディに取り付けられる。従来は、これを、車両下でソリを相対的に上昇させる間に、車両と衝突しないように、機械要素又は技術的フロント表面を車両の軸に略沿って取り付ける特殊な設計にすることで可能にしてきた。
【0005】
残念ながら、そうした設計は、あらゆる形状の技術的フロント表面に適用することができない。
【0006】
特に、特定の技術的フロント表面は、車両ボディの上部クロスメンバの上面で支持される、「構造ノズル」として知られる少なくとも1つの略水平部を含む。
【0007】
したがって、車両下でソリを相対的に上昇させている間に、クロスメンバの下で持上げられている技術的フロント表面の水平部がクロスメンバの下面とぶつかる可能性があるため、垂直移動では技術的フロント表面を該表面の取り付け位置に動かせないことが容易に理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車両下でソリを相対的に上昇させる従来式の移動の後に、技術的フロント表面を自動車ボディに取り付けることができる設計を提供することによって、この課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明は、前述した種類の装置であって、プラットフォームが、垂直な機械要素を受容するための「ヨーク」として知られる手段を含み、該ヨークが、少なくとも:
■「構造ノズル」として知られる略水平部が上部クロスメンバと衝突することなく、プラットフォームを用いて垂直な機械要素を上昇させることができるやや前傾した垂直位置と、
■「構造ノズル」として知られる略水平部を上部クロスメンバに取り付けることができ、且つ垂直な機械要素を直立させることができる垂直位置と
の間で上記要素を保持できることを特徴とする装置を提案する。
【0010】
本発明の他の特徴によれば:
−垂直な機械要素を受容するための「ヨーク」として知られる手段は、「構造ノズル」として知られる略水平部をクロスメンバに取り付けることができ、且つ垂直な機械要素を直立させることができる垂直位置を経由して、少なくとも:
■「構造ノズル」として知られる略水平部が上部クロスメンバと衝突することなく、プラットフォームを用いて垂直な機械要素を上昇させることができるやや前傾した垂直位置と、
■車両の推進装置の少なくとも1つの接続要素、特にパイプを、垂直な機械要素に接続することができるやや後傾した垂直位置と
の間で上記要素を更に保持でき、
−ヨークが底壁を備える断面形状を有し、底壁からはプラットフォームの後側に傾斜する面と、前側に傾斜する面とが延びて、これらの面がそれぞれ垂直な機械要素の後傾垂直位置と前傾垂直位置とに関連しており、
−係止爪がヨークと垂直な機械要素との間に介在していることにより、プラットフォームを自動車のボディ下で上昇させる間に、上記垂直な機械要素が前傾垂直位置に係止され、
−垂直な機械要素が、該要素を車両に対して位置決めする少なくとも1つの手段、特に略垂直指を備えており、該指の球状端部が、車両への取り付けの間に、下部クロスメンバの開口部を該開口部に接触せずに通過する。
【0011】
本発明の更なる特徴及び効果については、以下の詳細な記載、及びその理解を助けるための添付図面に関する説明を読むことにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】前傾位置にある本発明による装置を示しており、ソリが車両ボディ下に配置されている。
【図2】前傾位置にある本発明による装置を示しており、車両ボディ下でソリが上昇されている。
【図3】後傾位置にある本発明による装置を示しており、車両ボディ下でソリが上昇されている。
【図4】最終的な垂直位置にある本発明による装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記載では、同じ参照番号は、同じ構成要素又は同様の機能を実行する構成要素を指すものとする。
【0014】
図1は、自動車20の組立ラインにおいて、「技術的フロント表面」として知られる略垂直な機械要素14を、車両20のボディ18の横断方向構造要素16に取り付ける装置10を示す。
【0015】
車両20のボディ18は、例えば推進装置22を受容し、「技術的フロント表面」として知られる機械要素14は、例えば少なくとも1つの冷却用ラジエータ(図示せず)を含み、該ラジエータは、図4で説明するように、パイプ又はケーブル等の少なくとも1つの接続要素24によって推進装置22に接続される。
【0016】
例えば、車両20のボディ18の横断方向構造要素16は、車両20のボディ18の上部クロスメンバ16である。
【0017】
既知の方法では、機械要素14は、「構造ノズル」として知られる少なくとも1つの略水平部26を含み、図4に示したように、該水平部は、クロスメンバ16の上面27に載置され、取り付けられる。
【0018】
図1で説明するように、装置10は、機械要素14を支持する少なくとも1つの支持プラットフォーム28を含み、このプラットフォームが、車両20のボディ18の下でスライドし、図2以降の図面で説明するように垂直方向に上昇することにより、機械要素14が車両20のボディ18の横断方向構造要素16に組付可能となる。
【0019】
本発明によれば、プラットフォーム28は、垂直な機械要素14を受容するための「ヨーク」として知られる手段30を含み、ヨークは、少なくとも:
−「構造ノズル」として知られる略水平部26が上部クロスメンバ16と衝突することなく、プラットフォーム28を用いて垂直な機械要素14が上昇できる、図1に示したやや前傾した垂直位置と、
−「構造ノズル」として知られる略水平部26をクロスメンバ16の上面27に取り付けることができ、且つ垂直な機械要素14が直立できる図4に示した垂直位置と
の間で上記要素14を保持できる。
【0020】
好ましくは、図3で説明するように、「ヨーク」として知られる垂直な機械要素14を受容する手段30は、「構造ノズル」として知られる略水平部26をクロスメンバ16の上面27に取り付けることができ、且つ垂直な機械要素14を直立可能にする図4の垂直位置を経由して、少なくとも:
−図1に示すやや前傾した垂直位置と、
−車両の推進装置22の少なくとも1つの接続要素24、特にパイプを、垂直な機械要素14に接続することができる、図3に示す後傾した垂直位置と
の間で上記要素14を更に保持できる。
【0021】
したがって、取り付け工程の順で言うと、要素14は、まず図1及び図2で示すように、やや前傾した垂直位置にある。次に、図3で説明するように、垂直要素14は、接続要素24を接続可能にするために後傾させる。最後に、図4で説明するように、要素14を垂直位置に直立させる。
【0022】
本発明の好適実施例では、垂直な機械要素14を受容するための「ヨーク」として知られる手段30は底壁32を備える断面形状を有し、底壁32からは、プラットフォームの後側に傾斜する面34と前側に傾斜する面36とが延び、これらの面が、それぞれ垂直な機械要素14の前傾位置と後傾位置とに関連している。
【0023】
好ましくは、係止爪38がヨーク30と垂直な機械要素14との間に介在していることにより、上記垂直な機械要素14が前傾垂直位置に係止する。これにより、要素14がクロスメンバ16と衝突することなく、自動車ボディの下でプラットフォームを上昇させることができる。プラットフォーム28が上昇した後で、即ち接続要素24を結合する操作の前に、爪が係止解除される。その操作については図3に示す。
【0024】
この爪38を正確に作製するためにあらゆる技術手段を用いることができ、したがって、接続要素24を結合させる操作の前にオペレータがこの爪38を外す。図3はその操作を示す。
【0025】
最後に、垂直な機械要素14は、好ましくは、上記要素14を車両20に対して位置決めし、該要素14の幾何学的配置を保証する少なくとも1つの手段40を備える。
【0026】
例えば、この位置決め手段40は略垂直指40から成り、該指の球状端部42は、車両への取り付けの間に、下部クロスメンバ46の開口部44を該開口部に接触せずに、通過することができる。
【0027】
したがって、本発明により、有利には、車両20のボディ18の下で、技術的フロント表面14を容易に上昇させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(20)の組立てラインにおいて、少なくとも1つの冷却用ラジエータを特に含む、「技術的フロント表面」として知られる略垂直な機械要素(14)を、車両(20)のボディ(18)の上部クロスメンバ等の横断方向構造要素(16)に取付けるための装置(10)であって、機械要素(14)が、クロスメンバ(16)の上面(27)で支持される「構造ノズル」として知られる少なくとも1つの略水平部(26)を含み、前記装置(10)が、機械要素(14)を支持する少なくとも1つの支持プラットフォーム(28)であって、特に機械要素(14)を車両(20)のボディ(18)の横断方向構造要素(16)に組付可能にするために、車両(20)のボディ(18)下でスライドさせて、垂直方向に上昇させるプラットフォームを含んでおり、
プラットフォーム(28)が、垂直な機械要素(14)を受容するための「ヨーク」として知られる手段(30)を含み、このヨークが、少なくとも、
−「構造ノズル」として知られる略水平部(26)が上部クロスメンバ(16)と衝突することなく、プラットフォーム(28)を用いて垂直な機械要素(14)を上昇させることができるやや前傾した垂直位置と、
−「構造ノズル」として知られる略水平部(26)を上部クロスメンバ(16)に取り付けることができ、且つ垂直な機械要素(14)を直立させることができる垂直位置と
の間で前記要素(14)を保持できることを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
垂直な機械要素(14)を受容するための、「ヨーク」として知られる手段(30)が、更に、「構造ノズル」として知られる略水平部(26)をクロスメンバ(16)に取り付けることができ、且つ垂直な機械要素(14)を直立させることができる垂直位置を経由して、少なくとも、
−「構造ノズル」として知られる略水平部(26)が上部クロスメンバ(16)と衝突することなく、プラットフォーム(28)を用いて垂直な機械要素(14)を上昇させることができるやや前傾した垂直位置と、
−車両の推進装置(22)の少なくとも1つの接続要素(24)、特にパイプを、垂直な機械要素14に接続することができるやや後傾した垂直位置と
の間で要素(14)を保持できることを特徴とする、前請求項に記載の装置(10)。
【請求項3】
ヨーク(30)が、底壁(32)を備える断面形状を有し、底壁からはプラットフォームの後側に傾斜する面(34)と前側に傾斜する面(36)とが延びており、これらの面がそれぞれ垂直な機械要素(14)の後傾垂直位置及び前傾垂直位置と関連していることを特徴とする、請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
係止爪(38)が、ヨーク(30)と垂直な機械要素(14)との間に介在していることにより、プラットフォーム(28)が自動車(20)のボディ(18)下で上昇する間に、前記垂直な機械要素(14)が前傾垂直位置に係止されることを特徴とする、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
垂直な機械要素(14)が、前記要素を車両に対して位置決めする少なくとも1つの手段(40)、特に略垂直指(40)を備えており、この手段の球状端部(42)が、車両の取り付けの間に、下部クロスメンバ(46)の開口部(44)を、該開口部に接触することなく通過することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(10)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−504524(P2012−504524A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529605(P2011−529605)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051875
【国際公開番号】WO2010/037981
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】