説明

車両の路面傾斜角算出装置

【課題】本発明は、バラツキを抑え、精度良く路面の傾斜角を算出することのできる車両の路面傾斜角算出装置を提供することにある。
【解決手段】車速センサで検出される現在の車速Vが所定車速V0以下であれば(S14)、車速V、ブレーキ圧センサで検出されるブレーキ油圧P、走行負荷トルク検出部で検出される走行負荷トルクT及びタイマで計測される時間Sを積算し、車速積算値Vtotal、ブレーキ油圧積算値Ptotal、走行負荷トルク積算値Ttotal及び計測時間Stotalを算出し(S16)、車速センサで検出される現在の車速Vが0km/hで車両が停止したところで(S18)、車速積算値Vtotal、ブレーキ油圧積算値Ptotal、走行負荷トルク積算値Ttotal及び計測時間Stotalより坂路傾斜角θを算出する(S20-S32)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の路面傾斜角算出装置に係り、路面傾斜角の算出精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両用自動変速機の登降坂時に適切な変速特性を得るために、車両が走行している路面の勾配を駆動力、空気抵抗、転がり抵抗及び加速抵抗に基づいて検出している。
しかしながら、路面の勾配の検出において、ブレーキが操作されると制動力に応じて見掛け上の機関出力トルクが減少し、路面の勾配を誤って検出してしまうことからブレーキ操作時には路面勾配の算出を中止するようにしている。
【0003】
このようなことから、ブレーキ油圧から推定されたブレーキ制動力を加味して勾配抵抗を算出し、ブレーキ操作中でも路面の勾配を算出することのできる車両の勾配抵抗検出装置が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−207735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の車両の勾配抵抗検出装置では、ブレーキが操作され車両が減速中であれば、常にブレーキ油圧から勾配抵抗を算出し路面の勾配を算出するようにしている。
しかしながら、ブレーキ油圧に基づいて勾配抵抗を算出することは、同一勾配の坂であっても路面状況の変化によってブレーキ油圧が変化したり、車両減速中に小刻みにアクセル操作を行い加速を繰り返したりすることにより、勾配抵抗の算出結果にバラツキが生じ、路面の勾配算出の精度が低下することとなり好ましいことではない。
【0006】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、バラツキを抑え、精度良く路面の傾斜角を算出することのできる車両の路面傾斜角算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の車両の路面傾斜角算出装置は、車両の走行状態を検出する車両状態検出手段と、時間を計測する計時手段と、前記車両が走行する路面の傾斜角を算出する傾斜角算出手段とを備え、前記傾斜角算出手段は、前記車両が停止する直前の所定期間において、前記車両状態検出手段にて検出された検出値の積算を行うとともに、前記計時手段にて計測された時間を積算して前記所定期間の経過時間を算出し、該経過時間と前記車両状態検出手段にて検出された検出値の積算値とに基づいて前記車両が走行する路面の傾斜角を算出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の車両の路面傾斜角算出装置では、請求項1において、更に前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、前記所定期間とは、前記車速検出手段で検出される車速が所定車速以下となった時点から、前記車両が停止するまでの期間であることを特徴とする。
また、請求項3の車両の路面傾斜角算出装置では、請求項1或いは2において、前記車両状態検出手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車両のブレーキ油圧を検出するブレーキ油圧検出手段とからなり、前記傾斜角算出手段は、前記経過時間と前記所定期間の開始時に前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて実制動力を、前記ブレーキ油圧検出手段により検出したブレーキ油圧の前記所定期間における積算値に基づいて理論制動力を算出し、前記車両に作用する重力と前記実制動力と前記理論制動力との関係に基づいて路面の傾斜角を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の車両の路面傾斜角算出装置では、請求項3において、更に前記車両状態検出手段は、前記車両の加速及び減速時に発生する負荷である走行負荷トルクを検出する走行負荷トルク検出手段を備え、前記傾斜角算出手段は、更に前記車速検出手段により検出した前記車速の前記所定期間における積算値に基づいて車両に作用する走行抵抗を算出し、前記車両に作用する重力と前記走行抵抗と前記実制動力と前記理論制動力と前記走行負荷トルク検出手段により検出した走行負荷トルクの前記所定期間における積算値との関係に基づいて路面の傾斜角を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、傾斜角算出手段は、車両が停止する直前の所定期間において車両状態検出手段にて検出される検出値の積算と経過時間の算出とを行い、これらの積算値と経過時間とに基づいて車両が走行する路面の傾斜角を算出するようにしている。
これにより、車両の走行状態が変動しても、積算値の変動が抑えられ、路面の傾斜角の算出への影響を低減させることができる。
【0011】
従って、例えばブレーキの踏み込み量の変化によるブレーキ油圧、或いはアクセルペダルの操作量の変化による車速の変化といった走行状態の変動による影響を少なくして、バラツキを抑え精度良く車両が走行する路面の傾斜角を算出することができる。
また、請求項2の発明によれば、車両が停止する直前の所定期間を車速が所定車速以下となった時点から車両が停止するまでの期間としている。
【0012】
このように、所定車速から車両停止までを所定期間としているので車速が所定車速以下となった時点から車両状態検出手段にて検出された検出値の積算を行い、車両が走行する路面の傾斜角を算出すればよく、路面の傾斜角の算出精度を向上させるために、車両状態検出手段にて検出される検出値を常に記憶装置に記憶させ車両が停止した後に、車両停止から所定期間前までの検出値を記憶装置から読み込み積算し車両が走行する路面の傾斜角を算出する必要がなくなる。
【0013】
従って、検出値を常に記憶させるための記憶容量の大きい記憶装置が不要になり、記憶容量の小さい記憶装置でよいのでコストアップを抑制しつつ、バラツキを抑え精度良く車両が走行する路面の傾斜角を算出することができる。
また、請求項3の発明によれば、車両状態検出手段は、ブレーキ油圧検出手段と車速検出手段とで構成されており、車両に作用する重力と実制動力と理論制動力との関係に基づいて路面の傾斜角を算出しているので、あらたに傾斜角センサ等を専用に付加することなく精度良く車両が走行する路面の傾斜角を算出することができるので、コストアップを抑制しつつ、バラツキを抑え精度良く車両が走行する路面の傾斜角を算出することができる。
【0014】
また、請求項4の発明によれば、車両状態検出手段は、更に走行負荷トルク検出手段を備えており、車両に作用する重力及び車両に作用する走行抵抗と実制動力と理論制動力と走行負荷トルクの積算値との関係に基づいて路面の傾斜角を算出しているので、更にバラツキを抑え精度良く車両が走行する路面の傾斜角を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る車両の路面傾斜角算出装置の全体構成を示す制御ブロック図である。
【図2】本発明に係る車両の路面傾斜角算出装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本発明の実施形態に係る車両の路面傾斜角算出装置は、登降坂時に図示しない車両が走行している路面の傾斜角を算出するものであって、例えば各検出器により検出される検出結果に基づき図示しない車両の走行状態(減速状態)を算出し、当該車両が走行している路面の傾斜角を算出するように構成されている。
【0017】
図1は、本発明に係る車両の路面傾斜角算出装置の全体構成を示す制御ブロック図である。以下、車両の路面傾斜角算出装置の構成を説明する。
図1に示すように、本発明に係る車両の路面傾斜角算出装置10には、傾斜角算出部(傾斜角算出手段)11が備えられている。当該傾斜角算出部11は、車速センサ(車速検出手段)12で検出される車速V、ブレーキ圧センサ(ブレーキ油圧検出手段)13で検出されるブレーキ油圧P、走行負荷トルク検出部(走行負荷トルク検出手段)14にて検出される走行負荷トルクT及びタイマ(計時手段)15にて計時される時間Sが入力され、これらの入力条件に基づいて車両が走行している路面の傾斜角を算出する。
【0018】
傾斜角算出部11には、図1に示すように、計測区間判定ブロックB10、車速積算ブロックB12、ブレーキ油圧積算ブロックB14、走行負荷トルク積算ブロックB16、時間計測ブロックB18及び傾斜角算出ブロックB20が備えられている。
計測区間判定ブロックB10は、車速センサ12で検出される車速Vが所定車速V0以下であれば、車速V、ブレーキ油圧P、走行負荷トルクT及び時間Sの積算を開始する信号である計測トリガを車速積算ブロックB12、ブレーキ油圧積算ブロックB14、走行負荷トルク積算ブロックB16及び時間計測ブロックB18に供給するものである。
【0019】
車速積算ブロックB12は、計測区間判定ブロックB10より計測トリガが供給されると、車速センサ12で検出される車速Vを車両が停止するまで積算して車速積算値Vtotalを算出し、車速積算値Vtotalを傾斜角算出ブロック(傾斜角算出手段)B20に供給するものである。
ブレーキ油圧積算ブロックB14は、計測区間判定ブロックB10より計測トリガが供給されると、ブレーキ圧センサ13で検出されるブレーキ油圧Pを車両が停止するまで積算してブレーキ油圧積算値Ptotalを算出し、ブレーキ油圧積算値Ptotalを傾斜角算出ブロックB20に供給するものである。
【0020】
走行負荷トルク積算ブロックB16は、計測区間判定ブロックB10より計測トリガが供給されると、走行負荷トルク検出部14で検出される走行負荷トルクTを車両が停止するまで積算して走行負荷トルク積算値Ttotalを算出し、走行負荷トルク積算値Ttotalを傾斜角算出ブロックB20に供給するものである。
時間計測ブロックB18は、計測区間判定ブロックB10より計測トリガが供給されると、タイマ15で計時される時間Sを車両が停止するまで積算して計測時間(時間積算値)Stotalを算出し、計測時間Stotalを傾斜角算出ブロックB20に供給するものである。
【0021】
傾斜角算出ブロックB20は、車速積算ブロックB12にて積算された車速積算値Vtotal、ブレーキ油圧積算ブロックB14にて積算されたブレーキ油圧積算値Ptotal、走行負荷トルク積算ブロックB16にて積算された走行負荷トルクTtotal及び時間計測ブロックB18にて積算された計測時間Stotalに基づき、車両が走行している路面の傾斜角である坂路傾斜角θを算出するものである。
【0022】
次に、坂路傾斜角θの算出要領について説明する。
図2は、本発明に係る車両の路面傾斜角算出装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、車両電源ON時に繰り返し行なわれる。
図2に示すように、始めにステップS10では、車速積算ブロックB12、ブレーキ油圧積算ブロックB14、走行負荷トルク積算ブロックB16、時間計測ブロックB18にて、車速積算値Vtotal、ブレーキ油圧積算値Ptotal、走行負荷トルク積算値Ttotal及び計測時間Stotalを初期化する。そして、ステップS12に進む。
【0023】
ステップS12では、傾斜角算出ブロックB20にて、車速センサ12で検出される現在の車速Vを減速時の初速度Vstartとして記憶する。そして、ステップS14に進む。
ステップS14では、計測区間判定ブロックB10にて、車速センサ12で検出される現在の車速Vが所定車速V0以下か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で車速Vが所定車速V0以下であれば、ステップS16に進み、判別結果が偽(No)で車速Vが所定車速V0以下でなければ、ステップS10へ戻る。
【0024】
ステップS16では、車速積算ブロックB12、ブレーキ油圧積算ブロックB14、走行負荷トルク積算ブロックB16、時間計測ブロックB18にて、車速センサ12で検出される車速V、ブレーキ圧センサ13で検出されるブレーキ油圧P、走行負荷トルク検出部14で検出される走行負荷トルクT及びタイマ15で計測される時間Sを積算し、車速積算値Vtotal、ブレーキ油圧積算値Ptotal、走行負荷トルク積算値Ttotal及び計測時間Stotalを算出する。そして、ステップS18に進む。
【0025】
ステップS18では、計測区間判定ブロックB10にて、車速センサ12で検出される現在の車速Vが0km/hであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で車速Vが0km/h、即ち車両が停止していれば、ステップS20に進み、判別結果が偽(No)で車速Vが0km/hより高い、即ち車両が走行していれば、ステップS14へ戻る。
ステップS20では、傾斜角算出ブロックB20にて、計測時間Stotal内での車速V及びブレーキ油圧Pの算術平均値である平均車速Vave及び平均ブレーキ油圧Paveを、ステップS16で算出した車速積算値Vtotal及びブレーキ油圧積算値Ptotalより算出する。そして、ステップS22に進む。
【0026】
ステップS22では、傾斜角算出ブロックB20にて、ステップS12で記憶した初速度VstartをステップS16で算出した計測時間Stotalで徐算して減速度を算出し、当該減速度、車両の重量m及び重力加速度gより、車両の実際の制動力である実制動力Ftを算出する。そして、ステップS24に進む。
ステップS24では、傾斜角算出ブロックB20にて、ステップS20で算出した平均ブレーキ油圧Pave、図示しないフロントブレーキのブレーキ効力係数、ホイールシリンダ或いはピストンの面積、ディスクロータの有効半径或いはドラム半径及び車両の装着するタイヤのタイヤ動半径より、フロントブレーキの実制動力であるフロントブレーキ実制動力F1を算出する。そして、ステップS26に進む。
ステップS26では、ステップS20で算出した平均ブレーキ油圧Pave、図示しないリヤブレーキのブレーキ効力係数、ホイールシリンダ或いはピストンの面積、ディスクロータの有効半径或いはドラム半径及び車両の装着するタイヤのタイヤ動半径より、リヤブレーキの実制動力であるリヤブレーキ実制動力F2を算出する。そして、ステップS28に進む。
【0027】
ステップS28では、傾斜角算出ブロックB20にて、ステップS24で算出したフロントブレーキ実制動力F1とステップS26で算出したリヤブレーキ実制動力F2とを加算して、車両の制動力の理論値である理論制動力Fcを算出する。そして、ステップS30に進む。
ステップS30では、傾斜角算出ブロックB20にて、ステップS18で算出した平均車速Vaveより、車両が走行するときの空気抵抗等の抵抗値である走行抵抗Frを算出する。走行抵抗Frは、あらかじめ実験等により導いたマップあるいは計算式を用いて求めればよい。そして、ステップS32に進む。
【0028】
ステップS32では、傾斜角算出ブロックB20にて、ステップS22で算出した実制動力Ft、ステップS26で算出した理論制動力Fc、ステップS30で算出した走行抵抗Fr、ステップS16で算出した走行負荷トルク積算値Ttotal、車両の重量mと重力加速度gより、下記式(1)に基づいて、坂路傾斜角θを算出する。そして、本ルーチンをリターンする。
【0029】
坂路傾斜角θ
=sin−1((Ft−Fc−Fr−Ttotal)/(m・g))・・・(1)
このように、本実施形態では、車速Vが所定車速以下となると車両が停止するまでの車速センサ12で検出される車速Vとブレーキ圧センサ13で検出されるブレーキ油圧Pと走行負荷トルク検出部14で検出される走行負荷トルクTとタイマ15で計時される時間Sより坂路傾斜角θを算出している。詳しくは、車速Vと時間Sから算出された実制動力Ftから、ブレーキ油圧Pから算出された理論制動力Fcを減算し、この差に基づいて重力による影響を算出し、坂路傾斜角θを求める。これにより、あらたに傾斜角センサ等を専用に付加することなく坂路傾斜角θを算出することが可能となる。このように、本実施形態では、傾斜角センサを用いることなく坂路傾斜角θを算出することが可能となり、コストアップを抑制することができる。
【0030】
更に、本実施形態では、車速に基づく走行抵抗や走行負荷トルクも考慮し、これらを減算することで坂路傾斜角θを算出しているので、路面状態の変化やアクセル操作による加減速に伴う影響を排除して精度のよい坂路傾斜角θの算出が可能となる。
特に、本実施形態では、車速V、ブレーキ油圧P、走行負荷トルクT及び時間Sの積算値を用いて坂路傾斜角θを算出しているので、路面状況の変化やブレーキの操作の変動等、各種検出値の変動による坂路傾斜角θの算出誤差を低減させることが可能となる。例えば、車両が停止する直前の減速中にアクセルペダルを小刻みにON−OFFを行い加速を繰り返す場合や、勾配の変化がなく路面状況が変化しブレーキの踏み込み量により減速度を調整したりするような場合であっても、坂路傾斜角θを正確に算出することが可能となる。また、積算値を用いることで、ブレーキが操作されていない場合でも、車両が減速したときには坂路傾斜角θを算出することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、車速Vが所定車速以下となると車両が停止するまで車速V、ブレーキ油圧P、走行負荷トルクT及び時間Sを積算し、車両停止後に坂路傾斜角θを算出している。即ち、車速センサ12で検出される車速Vとブレーキ圧センサ13で検出されるブレーキ油圧Pと走行負荷トルク検出部14で検出される走行負荷トルクTとタイマ15で計時される時間Sを常に記憶装置に記憶させ車両が停止した後に、車両停止から所定期間前までの車速V、ブレーキ油圧P、走行負荷トルクT及び時間Sを記憶装置から読み込み積算し車両が走行する路面の傾斜角を算出する必要がなくなる。このように、本実施形態では、車速V、ブレーキ油圧P、走行負荷トルクT及び時間Sを常に記憶させるための記憶容量の大きい記憶装置が不要になり、記憶容量の小さい記憶装置でよいので更にコストアップを抑制しつつ、坂路傾斜角θを算出することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 路面傾斜角算出装置
11 傾斜角算出部(傾斜角算出手段)
12 車速センサ(車速検出手段)
13 ブレーキ圧センサ(ブレーキ油圧検出手段)
14 走行負荷トルク検出部(走行負荷トルク検出手段)
15 タイマ(計時手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状態を検出する車両状態検出手段と、
時間を計測する計時手段と、
前記車両が走行する路面の傾斜角を算出する傾斜角算出手段とを備え、
前記傾斜角算出手段は、前記車両が停止する直前の所定期間において、前記車両状態検出手段にて検出された検出値の積算を行うとともに、前記計時手段にて計測された時間を積算して前記所定期間の経過時間を算出し、該経過時間と前記車両状態検出手段にて検出された検出値の積算値とに基づいて前記車両が走行する路面の傾斜角を算出することを特徴とする車両の路面傾斜角算出装置。
【請求項2】
更に前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記所定期間とは、前記車速検出手段で検出される車速が所定車速以下となった時点から、前記車両が停止するまでの期間であることを特徴とする、請求項1に記載の車両の路面傾斜角算出装置。
【請求項3】
前記車両状態検出手段は、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車両のブレーキ油圧を検出するブレーキ油圧検出手段とからなり、
前記傾斜角算出手段は、前記経過時間と前記所定期間の開始時に前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて実制動力を、前記ブレーキ油圧検出手段により検出したブレーキ油圧の前記所定期間における積算値に基づいて理論制動力を算出し、前記車両に作用する重力と前記実制動力と前記理論制動力との関係に基づいて路面の傾斜角を算出することを特徴とする、請求項1或いは2に記載の車両の路面傾斜角算出装置。
【請求項4】
更に前記車両状態検出手段は、
前記車両の加速及び減速時に発生する負荷である走行負荷トルクを検出する走行負荷トルク検出手段を備え、
前記傾斜角算出手段は、更に前記車速検出手段により検出した前記車速の前記所定期間における積算値に基づいて車両に作用する走行抵抗を算出し、前記車両に作用する重力と前記走行抵抗と前記実制動力と前記理論制動力と前記走行負荷トルク検出手段により検出した走行負荷トルクの前記所定期間における積算値との関係に基づいて路面の傾斜角を算出することを特徴とする、請求項3に記載の車両の路面傾斜角算出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−21786(P2012−21786A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157532(P2010−157532)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】