説明

車両の連動ブレーキ装置

【課題】第1車輪ブレーキをブレーキ作動せしめるべく第1ブレーキ操作部材を操作するのに応じて第2車輪ブレーキをブレーキ作動せしめることを可能とした車両の連動ブレーキ装置において、第1ブレーキ操作部材を操作するのに応じてブレーキ力のバランスを適正に保持しつつ第1および第2車輪ブレーキを連動してブレーキ作動せしめ、第1車輪ブレーキのブレーキ力が高くなり過ぎることを回避する。
【解決手段】第1車輪ブレーキBRAの所定値以上のブレーキ反力が反力伝達手段26Aで第2車輪ブレーキBFA側にブレーキ力増大側で伝達され、反力伝達手段26Aによって第2車輪ブレーキBFA側に伝達されるブレーキ反力に対応した力が、ブレーキ力抑制手段28Aによってブレーキ力を弱める側で第1車輪ブレーキBRAに作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の連動ブレーキ装置に関し、特に、第1車輪ブレーキをブレーキ作動せしめるべく第1ブレーキ操作部材を操作するのに応じて第2車輪ブレーキをブレーキ作動せしめることを可能とした車両の連動ブレーキ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の前、後輪ブレーキを連動させるようにした自動二輪車の前、後輪ブレーキ連動装置が、たとえば特許文献で開示されている。
【特許文献1】実開昭50−53842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で開示されたものでは、後輪ブレーキで生じる反力が所定値以上になるとその反力を前輪ブレーキに作用せしめるようにして、前輪ブレーキを後輪ブレーキに連動させるようにしており、その配分は一定のため、ペダル操作だけで高い前輪ブレーキ力を得ようとすると、後輪ブレーキ力が高くなり過ぎる。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、第1ブレーキ操作部材を操作するのに応じてブレーキ力のバランスを適正に保持しつつ第1および第2車輪ブレーキを連動してブレーキ作動せしめ、第1車輪ブレーキのブレーキ力が高くなり過ぎるのを回避し得るようにした車両の連動ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、第1車輪ブレーキをブレーキ作動せしめるべく第1ブレーキ操作部材を操作するのに応じて第2車輪ブレーキをブレーキ作動せしめることを可能とした車両の連動ブレーキ装置において、第1車輪ブレーキの所定値以上のブレーキ反力を第2車輪ブレーキ側にブレーキ力増大側で伝達する反力伝達手段と、該反力伝達手段によって第2車輪ブレーキ側に伝達されるブレーキ反力に対応した力をブレーキ力を弱める側で第1車輪ブレーキに作用せしめるブレーキ力抑制手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ブレーキ力抑制手段が、前記第1ブレーキ操作部材のブレーキ操作力を伝達するようにして第1ブレーキ操作部材および第1車輪ブレーキ間を結ぶ第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系の第1車輪ブレーキ側の端部と、第2車輪ブレーキに連なる連動用ブレーキ力伝達系との間に設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ブレーキ力抑制手段が、第1ブレーキ操作部材と、第2車輪ブレーキに連なる連動用ブレーキ力伝達系との間に設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、第1車輪ブレーキは、そのブレーキ作動時の反力発生に応じて回動するブレーキパネルを備えるドラムブレーキであり、前記ブレーキ力抑制手段は、第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系および連動用ブレーキ力伝達系が、前記ブレーキパネルにその回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能に支承されるイコライザアームに連結されて成ることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記連動用ブレーキ力伝達系は、アウターケーブル内にインナーケーブルが移動可能に挿通されて成るブレーキケーブルから成り、前記反力伝達手段が、その反力伝達時には前記アウターケーブルを圧縮するようにして連動用ブレーキ力伝達系に接続されることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記反力伝達手段は、第1車輪ブレーキが所定値以上の反力を発生するのに応じて牽引される第1リンク部材と、第1リンク部材の牽引作動に応じて回動するようにして第1リンク部材に連結される第2リンク部材とから成ることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成に加えて、前記第1車輪ブレーキは、車体フレームにスイングアームを介して揺動可能に支承される後輪に装着されるとともにそのブレーキ作動時の反力発生に応じて回動するブレーキパネルを備えるドラムブレーキであり、前記第2リンク部材が、前記スイングアームに支持されて前記ブレーキパネルを支承するパネルホルダに回動可能に支承されることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明の構成に加えて、前記第2リンク部材が前記スイングアームに回動可能に支承されることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項6記載の発明の構成に加えて、前記第1車輪ブレーキは、車体フレームにスイングアームを介して揺動可能に支承される後輪に装着され、前記第2リンク部材が前記車体フレームに回動可能に支承されることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明の構成に加えて、前記第1車輪ブレーキが、車体フレームにスイングアームを介して揺動可能に支承される後輪に装着されるとともにそのブレーキ作動時の反力発生に応じて回動するブレーキパネルを備えるドラムブレーキであり、前記第1ブレーキ操作部材として車体フレームに回動可能に支承されるブレーキペダルの操作力を第1車輪ブレーキのブレーキアームに伝達する第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系の前記ブレーキペダルへの連結点をE、前記スイングアームが下方位置にある状態での第1リンク部材のブレーキパネルへの連結点をB、後輪の車軸の中心をC、前記ブレーキアームへの前記第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系の連結点をDとし、前記スイングアームが上方位置にある状態での第1リンク部材の前記ブレーキパネルへの連結点をB′、前記車軸の中心をC′、前記ブレーキアームへの前記第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系の連結点をD′としたときに、前記第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系および前記ブレーキアームが非作動状態にあるときに∠BCD=∠B′C′D′かつED=E′D′を満足する状態での前記連結点B,B′を結ぶ直線を底辺とする二等辺三角形の頂点の集合である直線上に、第1リンク部材の第2リンク部材への連結点が定められることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項5記載の発明の構成に加えて、前記連動用ブレーキ力伝達系が、第2ブレーキ操作部材および第2車輪ブレーキ間を結ぶ前輪ブレーキ用ブレーキケーブルの途中に、ベルクランクを介して接続されることを特徴とする。
【0016】
さらに上記目的を達成するために、請求項12記載の発明は、第1車輪ブレーキをブレーキ作動せしめるべく第1ブレーキ操作部材を操作するのに応じて第2車輪ブレーキをブレーキ作動せしめることを可能とした車両の連動ブレーキ装置において、第1ブレーキ操作部材の操作に応じて前進作動するようにして第1ブレーキ操作部材に連接される第1マスタピストンの前端を第2車輪ブレーキに接続される第1液圧室に臨ませた第1マスタシリンダと、第1液圧室に常時通じる第2液圧室に前端を臨ませた第2マスタピストンがその後退時には第2液圧室の液圧を解放するようにしてシリンダ体に摺動自在に嵌合されて成る第2マスタシリンダと、第1車輪ブレーキの所定値以上のブレーキ反力を第2マスタピストンにその前進方向に作用せしめ得る反力伝達手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、第1ブレーキ操作部材の操作によってブレーキ作動する第1車輪ブレーキで生じる反力が所定値以上になると、第1車輪ブレーキからの反力が反力伝達手段を介して伝達されることにより第2車輪ブレーキがブレーキ作動する。しかも反力伝達手段によって伝達される反力に応じた力がブレーキ力抑制手段から第1車輪ブレーキにブレーキ力を弱める側で作用するので、第2車輪ブレーキのブレーキ力を増大する側に第1ブレーキ操作部材を操作しても第1車輪ブレーキのブレーキ力の増加は一定の割合で抑制される。すなわち第1および第2車輪ブレーキをそれらのブレーキ力のバランスを適正に保持しつつ連動作動せしめることが可能となる。
【0018】
また請求項2記載の発明によれば、ブレーキ力抑制手段を第1車輪ブレーキの周囲に配置することで、第1ブレーキ操作部材の周辺構造を簡略化することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、ブレーキ力抑制手段を第1ブレーキ操作部材および連動用ブレーキ力伝達系間に設けることで、第1車輪ブレーキの周辺構造を簡略化することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、反力伝達手段からの反力伝達作用によって連動用ブレーキ力伝達系が第2車輪ブレーキをブレーキ作動せしめるように作動するのに応じたイコライザアームの回動により、第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系を第1車輪ブレーキのブレーキ力を弱める側に作動させることができ、ブレーキ力抑制手段を、第1車輪ブレーキであるドラムブレーキの周囲にまとめて簡単に構成することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、反力伝達手段からの反力作用によって第2車輪ブレーキに連なるブレーキケーブルのアウターケーブルが圧縮され、それに応じて第2車輪ブレーキをブレーキ作動せしめることが可能となり、インナーケーブルの端部をもう一系統の入力点として利用することが可能となる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、第1車輪ブレーキからの反力によって第1リンク部材が牽引されることにより第2リンク部材が回動するので、第1車輪ブレーキからの反力作用方向を第2リンク部材で変換することができ、反力伝達手段からの第2車輪ブレーキ側への反力伝達構造の配置上の自由度を増大することができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、反力伝達手段が備える第1および第2リンク部材を、スイングアームの揺動に伴う反力伝達経路の遊びを考慮することを不要として、後輪に装着されるドラムブレーキの周囲にコンパクトにまとめて配置することができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、反力伝達手段が備える第1および第2リンク部材を、スイングアームの揺動に伴う反力伝達経路の遊びを考慮することを不要として配置することができる。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、車体フレームに第2リンク部材が回動可能に支承されることにより、ばね下重量を軽減することができる。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、揺動するスイングアームの後端にドラムブレーキのブレーキパネルが設けられ、第2リンク部材が車体フレームに回動可能に連結される状態で、連動ブレーキ系の遊び量変化を小さく抑えるように、第1および第2リンク部材の連結点を定めることができる。
【0027】
請求項11記載の発明によれば、第2ブレーキ操作部材の操作力に加えて、連動用ブレーキ力伝達系から伝達される反力を第2車輪ブレーキに作用せしめる構造を簡単に構成することができる。
【0028】
さらに請求項12記載の発明によれば、第1ブレーキ操作部材の操作によってブレーキ作動する第1車輪ブレーキで生じる反力が所定値以上になると、第1車輪ブレーキからの反力が反力伝達手段を介して第2マスタピストンに伝達されることにより、第2マスタシリンダでは第2マスタピストンの前進によって第2液圧室の解放状態が解除される。それにより相互に通じている第1および第2液圧室に前記反力伝達手段から伝達される反力に応じた液圧が発生し、その液圧が第2車輪ブレーキに作用することによって第2車輪ブレーキがブレーキ作動する。しかも反力伝達手段によって伝達される反力に応じた液圧で第1マスタシリンダの第1マスタピストンは第1ブレーキ操作部材をその操作力を弱める側に押圧することになり、第2車輪ブレーキのブレーキ力を増大する側に第1ブレーキ操作部材を操作しても第1車輪ブレーキのブレーキ力の増加が一定の割合で抑制される。すなわち第1および第2車輪ブレーキをそれらのブレーキ力のバランスを適正に保持しつつ連動作動せしめることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0030】
図1〜図8は本発明の一実施例を示すものであり、図1はブレーキ装置の構成を示すための自動二輪車の簡略化した側面図、図2は図1の2矢示部拡大図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2で示した部分の斜視図、図5は後輪ブレーキの非作動状態を示す図1の要部拡大図、図6は連動状態となる直前の後輪ブレーキの作動状態を示すための図5に対応した図、図7は図1の7矢示部拡大図、図8はブレーキペダル入力に対するブレーキ力の変化を示す図である。
【0031】
先ず図1において、この自動二輪車の車体フレームFがその前後方向中間部に備えるピボットプレート15には、後輪WRの車軸16を後部間で支持する左右一対のスイングアーム17L,17Rの前端部が揺動可能に支承され、車体フレームFおよび両スイングアーム17L,17R間には、図示しないリヤクッションユニットが設けられる。また車体フレームFが前端に備えるヘッドパイプ18には、下端部で前輪WFを軸支するフロントフォーク19が操向可能に支承され、バー状の操向ハンドル20がフロントフォーク19の上部に連結される。
【0032】
前記後輪WRには、第1車輪ブレーキである後輪ブレーキBRAが装着され、前輪WFには第2車輪ブレーキである前輪ブレーキBFAが装着され、後輪ブレーキBRAおよび前輪ブレーキBFAはともにドラムブレーキである。
【0033】
前記車体フレームFのピボットプレート15には、第1ブレーキ操作部材であるブレーキペダル21が踏み込み操作を可能として回動可能に支承されており、ピボットプレート15およびブレーキペダル21間には戻しばね22が縮設される。このブレーキペダル21の操作によるブレーキ操作力は、第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系である後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aを介して後輪ブレーキBRAに伝達される。また操向ハンドル20の右側には第2ブレーキ操作部材としてのブレーキレバー24が回動操作を可能として取付けられており、このブレーキレバー24の操作によるブレーキ操作力は、前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25を介して前輪ブレーキBFAに伝達される。
【0034】
しかもブレーキペダル21の踏み込み操作によって後輪ブレーキBRAをブレーキ作動せしめたときに、後輪ブレーキBRAで生じる反力が所定値以上となったときには、反力伝達手段26A、連動用ブレーキ力伝達系である連動用ブレーキケーブル27Aおよび前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25を介して前記反力が前輪ブレーキBFAにブレーキ力増大側で伝達され、前記反力伝達手段26Aによって前輪ブレーキBFA側に伝達されるブレーキ反力に対応した力は、ブレーキ力抑制手段28Aによってブレーキ力を弱める側で後輪ブレーキBRAに作用せしめられる。
【0035】
図2および図3を併せて参照して、後輪WRは、ホイールハブ31と、該ホイールハブ31を同軸に囲繞するリム32と、ホイールハブ31およびリム32間を結ぶ複数のスポーク33,33…と、リム32に装着されるタイヤ34とから成るものであり、ホイールハブ31は、左右一対のスイングアーム17L,17Rの後部に、それらのスイングアーム17L,17Rの長手方向に沿う位置を調節可能として両端部が支持される車軸16を同軸に囲繞する内筒部31aと、該内筒部31aを同軸に囲繞する外筒部31bと、内筒部31aおよび外筒部31bの中間部間を連結する連結壁部31cとを一体に有するものであり、内筒部31aの左右両端部は、車軸16を囲繞する円筒状のディスタンスカラー35を内輪相互間に介在させた左側および右側ボールベアリング36,37をそれぞれ介して車軸16に回転自在に支承され、前記各スポーク33,33…は、前記外筒部31bの外周に連結される。
【0036】
ところで前記連結壁部31cは、前記内筒部31aおよび外筒部31bの軸方向中央部よりも左側に偏倚した部分を相互に連結するものであり、ホイールハブ31の左端側には、前記連結壁部31cを閉塞端とした複数の係止凹部38…が周方向に等間隔をあけて形成される。一方、左側ボールベアリング36および左側のスイングアーム17L間には、内端を左側ボールベアリング36の内輪に当接させて車軸16を囲繞する円筒状のドリブンフランジカラー39と、該ドリブンフランジカラー39の外端に内端を当接させるとともに外端を左側のスイングアーム17Lの内側面に当接させる円筒状の左サイドカラー40とが介装される。
【0037】
左側のスイングアーム17Lおよび前記ホイールハブ31間には、前記ドリブンフランジカラー39との間にドリブンフランジベアリング41を介装させたドリブンフランジ42が配置されており、該ドリブンフランジ42にはドリブンスプロケット43が締結され、車体フレームFに搭載されるパワーユニット(図示せず)からの動力を伝達するドライブチェーン44がドリブンスプロケット43に巻き掛けられる。しかも前記ドリブンフランジ42には、ホィールハブ31が備える複数の係止凹部38…に挿入される係合突部42a…が一体に突設され、前記ホイールハブ31の周方向に沿う前記係止凹部38…の両側面と、前記各係合突部42a…との間にはダンパラバー45…がそれぞれ介装される。すなわちパワーユニットからドリブンフランジ42に伝達される動力は前記ダンパラバー45…を介してホイールハブ31に伝達されることになる。
【0038】
後輪ブレーキBRAは、前記連結壁部31cよりも右側でホイールハブ31に装着されるドラムブレーキであり、ブレーキドラムとして機能する前記外筒部31bと、該外筒部31bの右端開口部を閉じるようにして外筒部31bの右端部に気密に嵌合されるブレーキパネル46と、外筒部31bの内周に摩擦係合することを可能として前記ブレーキパネル46に支軸47…をそれぞれ介して一端部が回動可能に支承される一対のブレーキシュー48…と、両ブレーキシュー48…を前記各支軸47…の軸線まわりに回動駆動すべく前記両ブレーキシュー48…の他端部間に配置されてブレーキパネル46に回動可能に支承されるブレーキカム軸49と、該ブレーキカム軸49の前記ブレーキパネル46からの突出端部に基端部が固定されるブレーキアーム50等を備える従来周知のものである。
【0039】
右側のスイングアーム17Rの後部内面には、前記車軸16を挿通せしめる貫通孔53を後部に有するパネルホルダ54が当接されており、該パネルホルダ54の前部外面には右側のスイングアーム17Rの長手方向に延びる凹部55が設けられ、前記右側のスイングアーム17Rの内面に突設される突部56が該凹部55に係合される。
【0040】
ところでブレーキパネル46の中央部には、車軸16を囲繞してパネルホルダ54側に延びる円筒部46aが一体に設けられており、ホイールハブ31および車軸16間に設けられる右側ボールベアリング37の内輪に内端を当接させて車軸16を囲繞するとともに前記ブレーキパネル46の円筒部を貫通する円筒状の右サイドカラー57の外端が、前記パネルホルダ54が備える貫通孔53の途中に形成される環状段部53aに外端を当接させるようにして前記貫通孔53の内端側に嵌合される。
【0041】
前記右サイドカラー57と、ブレーキパネル46の円筒部46aとの間には、前記円筒部46aの両端に係合する鍔部58a…を一体に有する一対のブッシュ58…が介装されており、両ブッシュ58…のうち外方側のブッシュ58の外端はパネルホルダ54に当接される。すなわちブレーキパネル46は、右側のスイングアーム17Rの内面側に支持されるパネルホルダ54と、ホイールハブ31との間に挟まれるように配置され、パネルホルダ54に支承されている。
【0042】
さらに図4を併せて参照して、ブレーキパネル46の上部には前方に延びる腕部46bが一体に設けられており、その腕部46bに下方から対向するようにして前記パネルホルダ54にはばね受け座59が一体に形成される。而して前記腕部46bおよびばね受け座59間にはコイル状のばね60が介装されており、後輪ブレーキBRAがブレーキ作動することによって生じるブレーキ反力は図2の矢印61の方向でブレーキパネル46に作用するが、そのブレーキ反力が前記ばね60で定まる所定値以上となったときに、ブレーキパネル46は前記矢印61で示す方向に回動することになる。
【0043】
ところで後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aは、アウターケーブル62内にインナーケーブル63が移動可能に挿通されて成るものであり、車体フレームFにおけるピボットプレート15に固着されるステー64(図1参照)にアウターケーブル62の一端部が支持され、そのアウターケーブル62の一端から突出したインナーケーブル63の一端はブレーキペダル21の踏み込み操作に応じて前方に牽引されるようにしてブレーキペダル21に連結される。
【0044】
またアウターケーブル62の他端に装着されたケーブルキャップ65は、ブレーキパネル46の外面に一体に設けられたケーブル支持部46cに前方側から嵌合することで支持される。このケーブルキャップ65から突出したインナーケーブル63の他端部に設けられるケーブルエンドスクリュー66は、ブレーキアーム50の先端部に回動可能に支持された連結軸67をその一直径線に沿って貫通し、連結軸67からのケーブルエンドスクリュー66の突出部には連結軸67の外面に後方側から係合するナット68が螺合され、ブレーキパネル46およびブレーキアーム50間には、前記連結軸67をナット68に当接係合させる方向にブレーキアーム50を回動付勢してブレーキカム軸49を囲繞するねじりばね69が設けられる。而してブレーキペダル21の踏み込み操作によってインナーケーブル63が牽引されることにより、ブレーキアーム50が図2の反時計方向に回動し、それにより後輪ブレーキBRAがブレーキ作動することになる。
【0045】
また前記ナット68のケーブルエンドスクリュー66への螺合位置を調節することで後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aの遊び量を調節することが可能であり、前記ケーブルキャップ65およびケーブルエンドスクリュー66間には、インナーケーブル63を囲繞するブーツ70が介装される。
【0046】
反力伝達手段26Aは、直線状に延びる第1リンク部材71と、第1リンク部材71に連結される略L字状の第2リンク部材72とから成るものである。第1リンク部材71は後輪ブレーキBRAが所定値以上の反力を発生するのに応じて牽引されるようにして一端が前記ブレーキパネル46の下部に連結ピン73を介して連結される。また第2リンク部材72の中間部は支持ピン74を介してパネルホルダ54の上部に回動可能に支承され、第2リンク部材72の一端部は、第1リンク部材71の牽引により図2の時計方向に回動するようにして第1リンク部材71の他端部に連結ピン75を介して連結される。
【0047】
連動用ブレーキケーブル27Aは、アウターケーブル77内にインナーケーブル78が移動可能に挿通されて成るものであり、該連動用ブレーキケーブル27Aの一端部は前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25の途中に接続される。またアウターケーブル77の他端に装着されたケーブルキャップ79は、第2リンク部材72の他端部に回動可能に支承された連結軸76に前方側から当接、嵌合し、このケーブルキャップ79から突出したインナーケーブル78の他端部にはケーブルエンドスクリュー80が設けられ、ケーブルキャップ79およびケーブルエンドスクリュー80間にはインナーケーブル78を囲繞するブーツ81が設けられる。
【0048】
而して後輪ブレーキBRAで生じるブレーキ反力がばね60で定める所定値以上になると、反力伝達手段26Aの第2リンク部材72は第1リンク部材71がブレーキパネル46で牽引されるのに応じて図2の時計方向に回動し、連動用ブレーキケーブル27Aのアウターケーブル77に装着されたケーブルキャップ79を前方側に押圧することになる。すなわち反力伝達手段26Aは、その反力伝達時に連動用ブレーキケーブル27Aのアウターケーブル77を圧縮するようにして連動用ブレーキケーブル27Aの途中に接続されることになり、連動用ブレーキケーブル27Aは、そのアウターケーブル77の圧縮による反力によってインナーケーブル78が前方側に作動することになる。
【0049】
またブレーキ力抑制手段28Aは、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aの後輪ブレーキBRA側の端部と、連動用ブレーキケーブル27Aとの間に設けられるものであり、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aの後輪ブレーキBRA側の端部および連動用ブレーキケーブル27Aの端部が、ブレーキパネル46にその回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能に支承されるイコライザアーム85の両端部に連結されて成る。
【0050】
前記イコライザアーム85の中間部はブレーキカム軸49に回動可能に支承されており、前記連動用ブレーキケーブル27Aのケーブルエンドスクリュー80は、イコライザアーム85の上部に回動可能に支承される連結軸86をその一直径線に沿って貫通し、該連結軸86からのケーブルエンドスクリュー80の突出部には連結軸86の外面に後方側から係合するナット87が螺合され、ケーブルキャップ79および前記連結軸86間には、該連結軸86をナット87に当接係合させる方向にイコライザアーム85を回動付勢するコイル状のばね82がブーツ81を囲繞するようにして設けられる。
【0051】
また後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aにおけるケーブルエンドスクリュー66の前部には、前方側の係止鍔部66aと、後方側の係止鍔部66bとが前後に間隔をあけて設けられており、前記イコライザアーム85の下部には、前記両係止鍔部66a,66b間で当該ケーブルエンドスクリュー66を跨ぐようにして二股に形成される係合板部85aが一体に設けられる。
【0052】
而して後輪ブレーキBRAが非作動状態にあるときには、図5で示すように、イコライザアーム85は係合板部85aが前方側の係止鍔部66aに後方側から係止する位置にある。而して後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aのインナーケーブル63が牽引されることによって後輪ブレーキBRAがブレーキ作動すると、後方側の係止鍔部66bが後方から係合板部85aに近接することになり、後輪ブレーキBRAの作動に伴って生じるブレーキ反力が所定値以上となる直前では、図6で示すように、前記係合板部85aが後方側の係止鍔部66bに前方側から係合する位置まで後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aのインナーケーブル63が前方に牽引される。そして後輪ブレーキBRAで生じるブレーキ反力が所定値以上になると、反力伝達手段26Aの作動に応じて連動用ブレーキケーブル27Aのアウターケーブル77が圧縮されることによるインナーケーブル78の前方側への作動により、イコライザアーム85が図6の時計方向に付勢され、前記係合板部85aが後方側の係止鍔部66bに前方側から係合していることにより後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aのインナーケーブル63が後方側に引っ張られることになる。すなわち反力伝達手段26Aで伝達されるブレーキ反力に対応した力が、ブレーキ力抑制手段28Aからブレーキ力を弱める側で後輪ブレーキBRAに作用することになる。
【0053】
図7において、前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25は、上下に分割された一対のアウターケーブル88,89内にインナーケーブル90が移動可能に挿通されて成るものであり、インナーケーブル90の一端はブレーキレバー24の操作に応じて牽引されるようにして該ブレーキレバー24に連結され、またインナーケーブル90の他端はドラムブレーキである前輪ブレーキBFAのブレーキアーム91(図1参照)に連結される。また上方のアウターケーブル88の一端は前記ブレーキレバー24の近傍で操向ハンドル20に支持される。下方のアウターケーブル89の一端は、ヘッドパイプ18の近傍で車体フレームFに固定される支持ステー92の下部に設けられる円筒状の支持部92aに下方から嵌合、支持され、下方のアウターケーブル89の他端は前輪ブレーキBFAが備えるブレーキパネル93(図1参照)に支持される。
【0054】
ところで連動用ブレーキケーブル27Aが備えるアウターケーブル77の一端は、前記支持ステー92の上部に設けられる円筒状の支持部92bに後方側から嵌合、支持され、そのアウターケーブル77の一端から突出したインナーケーブル78の一端は、ベルクランク94の一端部に連結される。
【0055】
略L字状に形成されるベルクランク94の中間部は支軸95を介して支持ステー92の中間部に回動可能に支承されており、このベルクランク94の他端部に設けられる円筒状の支持部94aに、前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25における上方のアウターケーブル88の他端部が上方から嵌合、支持される。また支持ステー92には、前記ベルクランク94の図7での時計方向への回動端を規制するストッパ92cが一体に設けられる。
【0056】
而して連動用ブレーキケーブル27Aのインナーケーブル78が、反力伝達手段26Aからの反力伝達に応じて後方側に牽引されるように作動すると、ベルクランク94が図7の反時計方向に回動し、それにより前記上方のアウターケーブル88が圧縮されることになり、上方のアウターケーブル88の圧縮に伴う反力によってインナーケーブル90に牽引力が作用することになり、前輪ブレーキBFAがブレーキ作動することになる。
【0057】
すなわち連動用ブレーキケーブル27Aは、ブレーキレバー24および前輪ブレーキBFA間を結ぶ前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25の途中に、ベルクランク94を介して接続されることになる。
【0058】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、ブレーキペダル21の操作によってブレーキ作動する後輪ブレーキBRAで生じる反力が所定値以上になると、後輪ブレーキBRAからの反力が反力伝達手段26Aを介して伝達されることにより前輪ブレーキBFAがブレーキ作動する。しかも反力伝達手段26Aによって伝達される反力に応じた力がブレーキ力抑制手段28Aから後輪ブレーキBRAにブレーキ力を弱める側で作用するので、前輪ブレーキBFAのブレーキ力を増大する側にブレーキペダル21を操作しても後輪ブレーキBRAのブレーキ力の増加は一定の割合で抑制され、後輪ブレーキBRAのブレーキ力が高くなり過ぎることはない。
【0059】
すなわち図8で示すように、ブレーキペダル21によるブレーキ操作入力がある値F以上になると、後輪ブレーキBRAのブレーキ力増加割合が低下し、その分だけ前輪ブレーキBFAがブレーキ力を発揮するようになり、後輪ブレーキBRAおよび前輪ブレーキBFAをそれらのブレーキ力のバランスを適正に保持しつつ連動作動せしめることが可能となる。
【0060】
またブレーキ力抑制手段28Aは、ブレーキペダル21のブレーキ操作力を伝達するようにしてブレーキペダル21および後輪ブレーキBRA間を結ぶ後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aの後輪ブレーキBRA側の端部と、前輪ブレーキBFAに連なる連動用ブレーキケーブル27Aとの間に設けられるものであり、ブレーキ力抑制手段28Aを後輪ブレーキBRAの周囲に配置することで、ブレーキペダル21の周辺構造を簡略化することができる。
【0061】
またブレーキ力抑制手段28Aは、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aの後輪ブレーキBRA側の端部および連動用ブレーキケーブル27Aの端部が、後輪ブレーキBRAのブレーキパネル46にその回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能に支承されるイコライザアーム85の両端部に連結されて成るものであるので、反力伝達手段26Aからの反力伝達作用によって連動用ブレーキケーブル27Aが前輪ブレーキBFAをブレーキ作動せしめるように作動するのに応じたイコライザアーム85の回動力により、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Aを後輪ブレーキBRAのブレーキ力を弱める側に作動させることができ、しかもブレーキ力抑制手段28Aを、後輪ブレーキBRAの周囲にまとめて簡単に構成することができる。
【0062】
また反力伝達手段26Aは、その反力伝達時には連動用ブレーキケーブル27Aのアウターケーブル77を圧縮するようにして連動用ブレーキケーブル27Aに接続されており、反力伝達手段26Aからの反力作用によって前輪ブレーキBFAに連なる連動用ブレーキケーブル27Aのアウターケーブル77が圧縮され、それに応じて前輪ブレーキBFAをブレーキ作動せしめることが可能となる。
【0063】
また反力伝達手段26Aは、後輪ブレーキBRAが所定値以上の反力を発生するのに応じて牽引される第1リンク部材71と、第1リンク部材71の牽引作動に応じて回動するようにして第1リンク部材71に連結される第2リンク部材72とから成り、後輪ブレーキBRAからの反力作用方向を第2リンク部材72で変換することができ、反力伝達手段26Aからの前輪ブレーキBFA側への反力伝達構造の配置上の自由度を増大することができる。
【0064】
しかも第2リンク部材72は、スイングアーム17Rに支持されて後輪ブレーキBRAのブレーキパネル46を支承するパネルホルダ54に回動可能に支承されるものであるので、スイングアーム17Rの揺動に伴う反力伝達経路の遊びを考慮することを不要として、後輪WRに装着されるドラムブレーキの周囲に反力伝達手段26Aをコンパクトにまとめて配置することができる。
【0065】
さらに連動用ブレーキケーブル27Aが、ブレーキレバー24および前輪ブレーキBFA間を結ぶ前輪ブレーキ用ブレーキケーブル25の途中に、ベルクランク94を介して接続されるので、ブレーキレバー24の操作力に加えて、連動用ブレーキケーブル27Aから伝達される反力を前輪ブレーキBFAに作用せしめる構造を簡単に構成することができる。
【0066】
図9は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0067】
ブレーキペダル21の踏み込み操作によってドラムブレーキである後輪ブレーキBRBをブレーキ作動せしめたときに、後輪ブレーキBRBで生じる反力が所定値以上となったときには、反力伝達手段26B、前輪ブレーキBFA(第1実施例参照)に連なる連動用ブレーキ力伝達系である連動用ブレーキケーブル27Bを介して前記反力が前輪ブレーキBFAにブレーキ力増大側で伝達され、前記反力伝達手段26Bによって前輪ブレーキBFA側に伝達されるブレーキ反力に対応した力は、ブレーキ力抑制手段28Bによってブレーキ力を弱める側で後輪ブレーキBRBに作用せしめられる。
【0068】
後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Bは、ピボットプレート15に設けられたステー64に一端部が支持されるアウターケーブル62と、該アウターケーブル62内に移動可能に挿通されるインナーケーブル63とを備え、インナーケーブル63の一端はブレーキペダル21に連結される。またアウターケーブル62の他端に装着されたケーブルキャップ65は、後輪ブレーキBRBが備えるブレーキパネル96の外面に一体に設けられたケーブル支持部96aに前方側から嵌合することで支持される。このケーブルキャップ65から突出したインナーケーブル63の他端部に設けられるケーブルエンドスクリュー97は、後輪ブレーキBRBが備えるブレーキアーム98の先端部に連結位置を調節可能として連結される。而してブレーキペダル21の踏み込み操作によってインナーケーブル63が牽引されることにより、ブレーキアーム98が図9の反時計方向に回動し、それにより後輪ブレーキBRBがブレーキ作動することになる。
【0069】
反力伝達手段26Bは、直線状に延びる第1リンク部材99と、直線状に延びて第1リンク部材99に連結される第2リンク部材100とから成るものである。第1リンク部材99は後輪ブレーキBRBが所定値以上の反力を発生するのに応じて牽引されるようにして一端が前記ブレーキパネル96の下部に連結ピン101を介して連結される。また後輪WR(第1実施例参照)の車軸16を後端部で支持するとともに前端部がピボットプレート15に揺動可能に支承されるスイングアーム17R′の長手方向中間部における上部には、第2リンク部材100の一端部が支持ピン102を介して回動可能に支承されており、第2リンク部材100の中間部には、第1リンク部材99の牽引により第2リンク部材100が図9の時計方向に回動するようにして第1リンク部材99の他端部が連結ピン103を介して連結される。
【0070】
一方、前記スイングアーム17R′の長手方向中間部における下部にはばね受け部材104が固着されており、第2リンク部材100の中間部からは、前記ばね受け部材104に前方から対向する腕部100aが下方に垂下され、腕部100aおよびばね受け部材104間には、第2リンク部材100を図9の反時計方向に回動付勢するばね105が縮設される。しかもスイングアーム17R′には、前記ばね105が発揮するばね力による第2リンク部材100の前記反時計方向への回動端を規制するストッパ106が一体に突設される。
【0071】
而してブレーキペダル21の踏み込み操作によって後輪ブレーキBRBがブレーキ作動したときのブレーキ反力によって、ブレーキパネル96は図9の時計方向に回動しようとするが、ブレーキパネル96には、前記ばね105のばね力が反力伝達手段26Bを介して図9の反時計方向に作用しており、前記ブレーキ反力がばね105のばね力以上になったときにブレーキパネル96が図9の時計方向に回動し、それにより反力伝達手段26Bの第1リンク部材99が牽引されることになる。
【0072】
連動用ブレーキケーブル27Bは、前後に分割された一対のアウターケーブル107,108内にインナーケーブル109が移動可能に挿通されて成るものであり、前方側のアウターケーブル107の一端は、支持ステー92の上部の支持部92b(図7参照)に後方側から嵌合、支持され、インナーケーブル109の一端はベルクランク94(図7参照)に連結される。また前記前方のアウターケーブル107の他端に装着されるケーブルキャップ111はスイングアーム17R′の途中に設けられる支持部110に支持される。また後方のアウターケーブル108の一端にはケーブルキャップ112が装着されており、両ケーブルキャップ111,112間にはインナーケーブル109を囲繞するブーツ113が設けられる。後方のアウターケーブル108の他端にはケーブルキャップ114が装着されており、そのケーブルキャップ114から突出したインナーケーブル109の他端に設けられるケーブルエンド115がピン116を介して後輪ブレーキBRBのブレーキパネル96に連結される。
【0073】
また後方の前記アウターケーブル108の一端に装着されたケーブルキャップ112は、反力伝達手段26Bにおける第2リンク部材100の他端に連結ピン119を介して連結される。
【0074】
而して後輪ブレーキBRBで生じるブレーキ反力がばね105で定める所定値以上になると、反力伝達手段26Bの第2リンク部材100は第1リンク部材99がブレーキパネル96で牽引されるのに応じて図9の時計方向に回動し、連動用ブレーキケーブル27Bのアウターケーブル109に装着されたケーブルキャップ112を後方側に押圧することになる。すなわち反力伝達手段26Bは、その反力伝達時に連動用ブレーキケーブル27Bのアウターケーブル109を圧縮するようにして連動用ブレーキケーブル27Bの途中に接続されることになり、連動用ブレーキケーブル27Bのインナーケーブル109が、アウターケーブル108の圧縮による反力によって後方側に付勢されることになる。
【0075】
またブレーキ力抑制手段28Bは、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Bの後輪ブレーキBRB側の端部と、連動用ブレーキケーブル27Bとの間に設けられるものであり、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Bの後輪ブレーキBRB側の端部および連動用ブレーキケーブル27Aが、基端部がブレーキパネル96にブレーキカム軸49を介して回動可能に支承されるイコライザアーム118の先端部に、後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Bの後端のケーブルエンドスクリュー97と、連動用ブレーキケーブル27Aが備える後方側のアウターケーブル108の他端に装着されるケーブルキャップ114が並列して連結されて成る。
【0076】
而して後輪ブレーキBRBがブレーキ作動するのに伴って生じるブレーキ反力が所定値以上となると、反力伝達手段26Bの作動に応じて連動用ブレーキケーブル27Bのアウターケーブル108が圧縮されることによってイコライザアーム118が図9の時計方向に回動し、前後輪ブレーキ用ブレーキケーブル23Bのインナーケーブル63が後方側に引っ張られることになる。すなわち反力伝達手段26Bで伝達されるブレーキ反力に対応した力が、ブレーキ力抑制手段28Bからブレーキ力を弱める側で後輪ブレーキBRBに作用することになる。
【0077】
この第2実施例によっても上記第1実施例と同様の効果を奏することができる。
【0078】
図10〜図12は本発明の第3実施例を示すものであり、図10は連動ブレーキ装置の要部を示す側面図、図11は図10の11矢示部拡大図、図12は第1および第2リンク部材の連結点の位置設定を説明するための図である。
【0079】
第1ブレーキ操作部材であるブレーキペダル21′が車体フレームFのピボットプレート15に回動可能に支承されており、このブレーキペダル21′の踏み込み操作によってドラムブレーキである後輪ブレーキBRCをブレーキ作動せしめたときに、後輪ブレーキBRCで生じる反力が所定値以上となったときには、反力伝達手段26C、前輪ブレーキBFA(第1実施例参照)に連なる連動用ブレーキ力伝達系である連動用ブレーキケーブル27Cを介して前記反力が前輪ブレーキBFAにブレーキ力増大側で伝達され、前記反力伝達手段26Cによって前輪ブレーキBFA側に伝達されるブレーキ反力に対応した力はブレーキ力抑制手段28Cによってブレーキ力を弱める側で後輪ブレーキBRCに作用せしめられる。
【0080】
ブレーキペダル21′は、第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系であるブレーキロッド23Cを介して、後輪ブレーキBRCが備えるブレーキアーム120に連結され、ブレーキペダル21′の踏み込み操作によってブレーキロッド23Cが牽引されることにより、ブレーキアーム120が図10の反時計方向に回動し、それにより後輪ブレーキBRCがブレーキ作動することになる。
【0081】
反力伝達手段26Cは、直線状に延びる第1リンク部材121と、第1リンク部材121に連結される略L字状の第2リンク部材122とから成るものである。後輪ブレーキBRCが備えるブレーキパネル123の下部には、第1リンク部材121の一端が連結ピン124を介して連結される。またブレーキペダル21′をピボットプレート15に回動可能に支承する支軸125の後方斜め上で前記ピボットプレート15には、第2リンク部材122の中間部が支持ピン126を介して回動可能に支承されており、第2リンク部材122の一端部には、第1リンク部材121の牽引により第2リンク部材122が図10および図11の反時計方向に回動するようにして第1リンク部材121の他端部が連結ピン127を介して連結される。
【0082】
第2リンク部材122の他端部には、上方に向いたばね受け部122aが一体に設けられており、このばね受け部122aに上方から対向するばね受け部128がピボットプレート15に突設されており、両ばね受け部122a,128間には第2リンク部材122を図10および図11の時計方向に回動付勢するばね129が縮設される。しかもピボットプレート15には、前記ばね129が発揮するばね力による第2リンク部材122の前記時計方向への回動端を規制するストッパ130が突設される。
【0083】
而してブレーキペダル21′の踏み込み操作によって後輪ブレーキBRCがブレーキ作動したときのブレーキ反力によって、ブレーキパネル123は図10の時計方向に回動しようとするが、ブレーキパネル123には、前記ばね129のばね力が反力伝達手段26Cを介して図10の反時計方向に作用しており、前記ブレーキ反力がばね129のばね力以上になったときにブレーキパネル123が図10の時計方向に回動し、それにより反力伝達手段26Cの第1リンク部材121が牽引されることになる。
【0084】
連動用ブレーキケーブル27Cは、アウターケーブル131内にインナーケーブル132が移動可能に挿通されて成るものであり、アウターケーブル131の一端は、支持ステー92の上部の支持部92b(図7参照)に後方側から嵌合、支持され、該アウターケーブル131の他端は、前記第2リンク部材122の他端に設けられる支持部122bに支持される。またインナーケーブル132の一端はベルクランク94(図7参照)に連結される。
【0085】
ブレーキ力抑制手段28Cは、ブレーキペダル21′と、連動用ブレーキケーブル27Cとの間に設けられるものであり、連動用ブレーキケーブル27Cにおけるインナーケーブル132の他端に設けられるケーブルエンド133が、支軸125の近傍でブレーキペダル21′に連結ピン134を介して連結されて成る。
【0086】
而して後輪ブレーキBRCで生じるブレーキ反力がばね129で定める所定値以上になると、反力伝達手段26Cの第2リンク部材122は第1リンク部材121がブレーキパネル123で牽引されるのに応じて図11の反時計方向に回動し、連動用ブレーキケーブル27Cのアウターケーブル131を前方側に押圧することになる。すなわち反力伝達手段26Cは、その反力伝達時に連動用ブレーキケーブル27Cのアウターケーブル131を圧縮することになり、連動用ブレーキケーブル27Cのインナーケーブル132は、アウターケーブル131の圧縮による反力によって前方側に付勢されることになる。
【0087】
また後輪ブレーキBRCがブレーキ作動するのに伴って生じるブレーキ反力が所定値以上となると、反力伝達手段26Cの作動に応じて連動用ブレーキケーブル27Cのアウターケーブル131が圧縮されることによってブレーキ力抑制手段28Cは、ブレーキペダル21′を操作入力減少側に引き上げることになる。すなわち反力伝達手段26Cで伝達されるブレーキ反力に対応した力が、ブレーキ力抑制手段28Cからブレーキ力を弱める側で後輪ブレーキBRCに作用することになる。
【0088】
ところで、揺動するスイングアーム17Rの後端にブレーキパネル123が設けられるのに対し、反力伝達手段26Cの第2リンク部材122は固定のピボットプレート15に回動可能に連結されるものであり、第1および第2リンク部材121,122の連結点すなわち連結ピン127の位置によっては連動ブレーキ系の遊び量変化が大きくなるものであり、その遊び量変化を少なくするためには、図12の直線L上に連結ピン127の中心が配置されればよい。
【0089】
ここで、ブレーキロッド23Cのブレーキペダル21′への連結点をE、スイングアーム17Rが実線で示すように下方位置にある状態での第1リンク部材121のブレーキパネル123への連結点をB、車軸16の中心をC、ブレーキアーム120へのブレーキロッド23Cの連結点をDとし、スイングアーム17Rが鎖線で示すように上方位置にある状態での第1リンク部材121のブレーキパネル123への連結点をB′、車軸16の中心をC′、ブレーキアーム129へのブレーキロッド23Cの連結点をD′としたときに、∠BCD=∠B′C′D′=αとしてブレーキアーム120を非作動状態とし、ED=E′D′としてブレーキロッド23Cも非作動状態となるようにブレーキパネル123をレイアウトしたときに、AB=A′B′となるようにしたBB′を底辺とする二等辺三角形の頂点Aの集合である直線L上に、連結ピン127の中心が配置されることにより、連動ブレーキ系の遊び量変化を小さく抑えることができる。
【0090】
この第3実施例によれば、上記第1および第2実施例と同様の効果を奏することができるとともに、ブレーキ力抑制手段28Cがブレーキペダル21′および連動用ブレーキケーブル27C間に設けられることにより、後輪ブレーキBRCの周辺構造を簡略化することができ、また車体フレームFのピボットプレート15に、反力伝達手段26Cの第2リンク部材122が回動可能に支承されるので、スイングアーム17Rを含むばね下重量を軽減することができる。
【0091】
図13および図14は本発明の第4実施例を示すものであり、図13は連動ブレーキ装置の構成を示す側面図、図14は図13の14矢示部拡大図である。
【0092】
前輪ブレーキBFBは、3つの油圧シリンダ141,142,143が並列して設けられるブレーキキャリパ144を有するディスクブレーキであり、第1ブレーキ操作部材であるブレーキレバー24の操作に応じて作動する前輪用マスタシリンダMFから出力されるブレーキ油圧を導くブレーキホース145がブレーキキャリパ144に接続されており、このブレーキホース145で導かれるブレーキ油圧は前記油圧シリンダ141〜143のうち両側の油圧シリンダ141,143に作用する。
【0093】
車体フレームFのピボットプレート15には、第1ブレーキ操作部材であるブレーキペダル21″が支軸125を介して回動可能に連結されており、ピボットプレート15およびブレーキペダル21″間には戻しばね22が縮設される。
【0094】
前記ブレーキペダル21″の踏み込み操作によってドラムブレーキである後輪ブレーキBRCをブレーキ作動せしめるべく、ブレーキペダル21″は、第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系であるブレーキロッド23Cを介して、後輪ブレーキBRCが備えるブレーキアーム120に連結され、ブレーキペダル21″の踏み込み操作によってブレーキロッド23Cが牽引されることにより、ブレーキアーム120が図13の反時計方向に回動し、それにより後輪ブレーキBRCがブレーキ作動することになる。
【0095】
前記ピボットプレート15には、上下に延びるシリンダ軸線を有して並列配置される第1および第2マスタシリンダM1,M2が設けられており、第1マスタシリンダM1は、ピボットプレート15に支持されるシリンダ体146に上下に延びるようにして設けられる第1シリンダ孔147に、第1マスタピストン148が摺動可能に嵌合されて成る。
【0096】
第1マスタピストン148は、その前端である上端を、第1マスタピストン148およびシリンダ体146間に形成される第1液圧室149に臨ませるようにして第1シリンダ孔147に摺動可能に嵌合されており、第1液圧室149には第1マスタピストン148を後退させる方向すなわち第1液圧室149の容積を増大する方向に付勢するばね150が収納される。
【0097】
第1マスタピストン148の後端すなわち下端には、上下に延びる入力杆151の前端が首振り可能に連接されており、この入力杆151の中間部およびシリンダ体146間には、第1シリンダ孔147の下端開口部を覆うブーツ152が設けられる。
【0098】
一方、前記入力杆151の下端に連結されたクレビス153が、前記ブレーキペダル21″に設けられた入力アーム154に連結ピン155を介して連結されており、後輪ブレーキBRCをブレーキ作動せしめるべくブレーキペダル21″を操作すると、第1マスタピストン148は、第1液圧室149の容積を減少させるようにして上方に前進作動する。
【0099】
第2マスタシリンダM2は、第1シリンダ孔147に並列してシリンダ体146に設けられる第2シリンダ孔157に、第2マスタピストン158が摺動可能に嵌合されて成る。
【0100】
第2マスタピストン158は、その前端である上端を、第2マスタピストン158およびシリンダ体146間に形成される第2液圧室159に臨ませるようにして第2シリンダ孔157に摺動可能に嵌合されており、第2液圧室159には第2マスタピストン158を後退させる方向すなわち第1液圧室159の容積を増大する方向に付勢するばね160が収納される。
【0101】
しかもシリンダ体146の上部には、第1および第2液圧室149,159を相互に連通する油路161が設けられており、この油路161に通じるようにして一端がシリンダ体146に接続されるブレーキホース162の他端が、前輪ブレーキBFBにおけるブレーキキャリパ144に接続され、ブレーキホース162で導かれる油圧は、ブレーキキャリパ144が備える3つの油圧シリンダ141〜143のうち中央部の油圧シリンダ142に作用する。
【0102】
ところで車体フレームFの図示しな部分にはリザーバ163が取付けられており、リザーバ163に連なるホース164が、シリンダ体146に嵌合、固定される接続管165に接続される。而してシリンダ体146には、第2マスタピストン158が図14で示すように後退限にある状態では第2液圧室159を接続管165側に連通させるプライマリポート166が設けられており、第2マスタピストン158の後退時には第2液圧室159の液圧はプライマリポート166から接続管165およびホース164を介してリザーバ163側に解放される。
【0103】
また前記プライマリポート166よりも下方でシリンダ体146には前記接続管165内に常時通じるセカンダリポート167が設けられており、第2液圧室159の液圧が低下したときにはセカンダリポート167から第2液圧室159にブレーキ油が補給される。
【0104】
第2マスタピストン158の後端すなわち下端には、上下に延びる入力杆168の前端が首振り可能に連接されており、この入力杆168の中間部およびシリンダ体146間には、第2シリンダ孔157の下端開口部を覆うブーツ169が設けられる。
【0105】
後輪ブレーキBRCのブレーキパネル123と、第2マスタシリンダM2の第2マスタピストン158に連接される入力杆168との間には、後輪ブレーキBRCの所定値以上のブレーキ反力を第2マスタピストン158にその前進方向に作用せしめ得る反力伝達手段26Dが設けられる。
【0106】
この反力伝達手段26Dは、直線状に延びる第1リンク部材121と、第1リンク部材121に連結される略L字状の第2リンク部材170とから成るものである。後輪ブレーキBRCが備えるブレーキパネル123の下部には、第1リンク部材121の一端が連結ピン124を介して連結される。また第2マスタシリンダM2の下部後方でピボットプレート15には、第2リンク部材170の中間部が支持ピン171を介して回動可能に支承されており、第2リンク部材170の一端部には、第1リンク部材121の牽引により第2リンク部材170が図14の反時計方向に回動するようにして第1リンク部材121の他端部が連結ピン172を介して連結される。
【0107】
第2リンク部材170の他端部は、前記第2マスタピストン158に連接されている入力杆168の下端部に連結ピン173を介して連結されており、第1リンク部材121の牽引により第2リンク部材170が図14の反時計方向に回動することにより、第2マスタピストン158は第2液圧室159の容積を減少するように前進作動する。
【0108】
また第2リンク部材170には、その回動軸線から半径方向に延びる腕部170aが一体に設けられており、この腕部170aに前方から対向するばね受け座174がピボットプレート15に形成される。而して腕部170aおよびばね受け座174間には、第2リンク部材170を図14の時計方向に回動付勢するばね175が縮設される。しかもピボットプレート15には、前記ばね175が発揮するばね力による第2リンク部材170の前記時計方向への回動端を規制するストッパ176が突設される。
【0109】
この第4実施例によれば、ブレーキペダル21″の操作によってブレーキ作動する後輪ブレーキBRCで生じる反力がばね175のばね力で定まる所定値以上になると、後輪ブレーキBRCからの反力が反力伝達手段26Dを介して第2マスタシリンダM2の第2マスタピストン158に伝達されることにより、第2マスタシリンダM2では第2マスタピストン158の前進によって第2液圧室159の解放状態が解除される。それにより相互に通じている第1および第2液圧室149,159に反力伝達手段26Dから伝達される反力に応じた液圧が発生し、その液圧前輪ブレーキBFBに作用することによって前輪ブレーキBFBがブレーキ作動する。
【0110】
しかも反力伝達手段26Dによって伝達される反力に応じた液圧で第1マスタシリンダM1の第1マスタピストン148はブレーキペダル21″をその操作力を弱める側に押圧することになり、前輪ブレーキBFBのブレーキ力を増大する側にブレーキペダル21″を操作しても後輪ブレーキBRCのブレーキ力の増加は一定の割合で抑制される。
【0111】
すなわち後輪ブレーキBRCおよび前輪ブレーキBFBを,それらのブレーキ力のバランスを適正に保持しつつ連動作動せしめることが可能となる。
【0112】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1実施例のブレーキ装置の構成を示すための自動二輪車の簡略化した側面図である。
【図2】図1の2矢示部拡大図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2で示した部分の斜視図である。
【図5】後輪ブレーキの非作動状態を示す図1の要部拡大図である。
【図6】連動状態となる直前の後輪ブレーキの作動状態を示すための図5に対応した図である。
【図7】図1の7矢示部拡大図である。
【図8】ブレーキペダル入力に対するブレーキ力の変化を示す図である。
【図9】第2実施例の連動ブレーキ装置の要部を示す側面図である。
【図10】第3実施例の連動ブレーキ装置の要部を示す側面図である。
【図11】図10の11矢示部拡大図である。
【図12】第1および第2リンク部材の連結点の位置設定を説明するための図である。
【図13】第4実施例の連動ブレーキ装置の構成を示す側面図である。
【図14】図13の14矢示部拡大図である。
【符号の説明】
【0114】
17R・・・スイングアーム
21,21′,21″・・・第1ブレーキ操作部材であるブレーキペダル
23A,23B・・・第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系としての後輪ブレーキ用ブレーキケーブル
23C・・・第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系としてのブレーキロッド
24・・・第2ブレーキ操作部材としてのブレーキレバー
25・・・前輪ブレーキ用ブレーキケーブル
26A,26B,26C,26D・・・反力伝達手段
27A,27B,27C・・・連動ブレーキ力伝達系としての連動用ブレーキケーブル
28A,28B,28C・・・ブレーキ力抑制手段
46,96・・・ブレーキパネル
54・・・パネルホルダ
71,99,121・・・第1リンク部材
72,100,122・・・第2リンク部材
77,108・・・アウターケーブル
78,109・・・インナーケーブル
85,118・・・イコライザアーム
94・・・ベルクランク
146・・・シリンダ体
148・・・第1マスタピストン
149・・・第1液圧室
158・・・第2マスタピストン
159・・・第2液圧室
BFA,BFB・・・第2車輪ブレーキである前輪ブレーキ
BRA,BRB,BRC・・・第1車輪ブレーキである後輪ブレーキ
F・・・車体フレーム
M1・・・第1マスタシリンダ
M2・・・第2マスタシリンダ
WR・・・後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車輪ブレーキ(BRA,BRB,BRC)をブレーキ作動せしめるべく第1ブレーキ操作部材(21,21′)を操作するのに応じて第2車輪ブレーキ(BFA)をブレーキ作動せしめることを可能とした車両の連動ブレーキ装置において、第1車輪ブレーキ(BRA〜BRC)の所定値以上のブレーキ反力を第2車輪ブレーキ(BFA)側にブレーキ力増大側で伝達する反力伝達手段(26A,26B,26C)と、該反力伝達手段(26A〜26C)によって第2車輪ブレーキ(BFA)側に伝達されるブレーキ反力に対応した力をブレーキ力を弱める側で第1車輪ブレーキ(BRA〜BRC)に作用せしめるブレーキ力抑制手段(28A,28B,28C)とを備えることを特徴とする車両の連動ブレーキ装置。
【請求項2】
前記ブレーキ力抑制手段(28A,28B)が、前記第1ブレーキ操作部材(21)のブレーキ操作力を伝達するようにして第1ブレーキ操作部材(21)および第1車輪ブレーキ(BRA,BRB)間を結ぶ第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系(23A,23B)の第1車輪ブレーキ(BRA,BRB)側の端部と、第2車輪ブレーキ(BFA)に連なる連動ブレーキ力伝達系(27A,27B)との間に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項3】
前記ブレーキ力抑制手段(28C)が、第1ブレーキ操作部材(21′)と、第2車輪ブレーキ(BFA)に連なる連動ブレーキ力伝達系(27C)との間に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項4】
第1車輪ブレーキ(BRA,BRB)は、そのブレーキ作動時の反力発生に応じて回動するブレーキパネル(46,96)を備えるドラムブレーキであり、前記ブレーキ力抑制手段(28A,28B)は、第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系(23A、23B)および連動ブレーキ力伝達系(27A,27B)が、前記ブレーキパネル(46,96)にその回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能に支承されるイコライザアーム(85,118)に連結されて成ることを特徴とする請求項2記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項5】
前記連動ブレーキ力伝達系(27A〜27C)は、アウターケーブル(77,108,131)内にインナーケーブル(78,109,132)が移動可能に挿通されて成るブレーキケーブルから成り、前記反力伝達手段(26A〜26C)が、その反力伝達時には前記アウターケーブル(77,108,131)を圧縮するようにして連動ブレーキ力伝達系(27A〜27C)に接続されることを特徴とする請求項2記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項6】
前記反力伝達手段(26A〜26C)は、第1車輪ブレーキ(BRA〜BRC)が所定値以上の反力を発生するのに応じて牽引される第1リンク部材(71,99,121)と、第1リンク部材(71,99,121)の牽引作動に応じて回動するようにして第1リンク部材(71,99,121)に連結される第2リンク部材(72,100,122)とから成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項7】
前記第1車輪ブレーキ(BRA)は、車体フレーム(F)にスイングアーム(17R)を介して揺動可能に支承される後輪(WR)に装着されるとともにそのブレーキ作動時の反力発生に応じて回動するブレーキパネル(46)を備えるドラムブレーキであり、前記第2リンク部材(72)が、前記スイングアーム(17R)に支持されて前記ブレーキパネル(46)を支承するパネルホルダ(54)に回動可能に支承されることを特徴とする請求項6記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項8】
前記第1車輪ブレーキ(BRB)は、車体フレーム(F)にスイングアーム(17R)を介して揺動可能に支承される後輪(WR)に装着され、前記第2リンク部材(100)が前記スイングアーム(17R)に回動可能に支承されることを特徴とする請求項6記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項9】
前記第1車輪ブレーキ(BRC)は、車体フレーム(F)にスイングアーム(17R)を介して揺動可能に支承される後輪(WR)に装着され、前記第2リンク部材(122)が前記車体フレーム(F)に回動可能に支承されることを特徴とする請求項6記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項10】
前記第1車輪ブレーキ(BRC)が、車体フレーム(F)にスイングアーム(17R)を介して揺動可能に支承される後輪(WR)に装着されるとともにそのブレーキ作動時の反力発生に応じて回動するブレーキパネル(123)を備えるドラムブレーキであり、前記第1ブレーキ操作部材として車体フレーム(F)に回動可能に支承されるブレーキペダル(21′)の操作力を第1車輪ブレーキ(BRC)のブレーキアーム(120)に伝達する第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系(23C)の前記ブレーキペダル(21′)への連結点をE、前記スイングアーム(17R)が下方位置にある状態での第1リンク部材(121)のブレーキパネル(123)への連結点をB、後輪(WR)の車軸(16)の中心をC、前記ブレーキアーム(120)への前記第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系(23C)の連結点をDとし、前記スイングアーム(17R)が上方位置にある状態での第1リンク部材(121)の前記ブレーキパネル(123)への連結点をB′、前記車軸(16)の中心をC′、前記ブレーキアーム(129)への前記第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系(23C)の連結点をD′としたときに、前記第1車輪ブレーキ用ブレーキ力伝達系(23C)および前記ブレーキアーム(120)が非作動状態にあるときに∠BCD=∠B′C′D′かつED=E′D′を満足する状態での前記連結点B,B′を結ぶ直線を底辺とする二等辺三角形の頂点の集合である直線(L)上に、第1リンク部材(121)の第2リンク部材(122)への連結点が定められることを特徴とする請求項9記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項11】
前記連動ブレーキ力伝達系(27A〜27C)が、第2ブレーキ操作部材(24)および第2車輪ブレーキ(BFA)間を結ぶ前輪ブレーキ用ブレーキケーブル(25)の途中に、ベルクランク(94)を介して接続されることを特徴とする請求項5記載の車両の連動ブレーキ装置。
【請求項12】
第1車輪ブレーキ(BRC)をブレーキ作動せしめるべく第1ブレーキ操作部材(21″)を操作するのに応じて第2車輪ブレーキ(BFB)をブレーキ作動せしめることを可能とした車両の連動ブレーキ装置において、第1ブレーキ操作部材(21″)の操作に応じて前進作動するようにして第1ブレーキ操作部材(21″)に連接される第1マスタピストン(148)の前端を第2車輪ブレーキ(BFB)に接続される第1液圧室(149)に臨ませた第1マスタシリンダ(M1)と、第1液圧室(149)に常時通じる第2液圧室(159)に前端を臨ませた第2マスタピストン(158)がその後退時には第2液圧室(159)の液圧を解放するようにしてシリンダ体(146)に摺動自在に嵌合されて成る第2マスタシリンダ(M2)と、第1車輪ブレーキ(BRC)の所定値以上のブレーキ反力を第2マスタピストン(158)にその前進方向に作用せしめ得る反力伝達手段(26D)とを備えることを特徴とする車両の連動ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−62559(P2006−62559A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248624(P2004−248624)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】