説明

車両充電装置

【課題】交流電力を変換して直流電力を出力する場合に、電力の変換効率の低下を抑止する車両充電装置を提供する。
【解決手段】交流電力を直流電力に変換する変換部を複数備え、変換部各々の入力端子から交流電力を供給し、変換部各々の出力端子各々を接続して変換部各々から出力される直流電力を合成して出力する電力供給部と、車両に充電する電力を出力可能であり、かつ変換部各々の入力電力と出力電力を用いて求められる変換効率が最も高くなる変換部を選択し、選択した変換部を駆動させる制御部と、を備える車両充電装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両充電装置を用いて電気自動車やハイブリッド自動車を急速充電する場合は、交流を直流に変換する変換効率が重要になる。例えば、入力電力50kWで出力電力が45kWの場合、変換効率は90%となる。また、最大出力電力に対して出力する電力が小さいほど変換効率は悪くなる傾向にある。
【0003】
例えば、オン状態とオフ状態との状態を切り替える電源ユニットを複数備える電源装置が知られている。この電源装置の各電源ユニットは、その電源ユニットの出力電力を生成するために消費される電力に対するその出力電力の比である電源効率の、その電源ユニットの出力電力に対する特性が異なる複数の駆動モードのいずれか1つの駆動モードにより駆動されるように構成される。また、電源装置は電源ユニットの出力電力に基づいて、その電源ユニットの駆動モードを複数の駆動モードのいずれか1つに設定する。その結果、各電源ユニットの出力電力のバラつきが緩和され、電源装置としての出力電力によって電源効率が過度に低下することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−140138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、交流電力を変換して直流電力を出力する場合に、電力の変換効率の低下を抑止する車両充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様のひとつである車両充電装置は、電力供給部、制御部を備えている。電力供給部は、交流電力を直流電力に変換する変換部を複数備え、上記変換部各々の入力端子から交流電力を供給し、上記変換部各々の出力端子各々を接続して上記変換部各々から出力される直流電力を合成して出力する。
【0007】
制御部は、車両に充電する電力を出力可能であり、かつ上記変換部各々の入力電力と出力電力を用いて求められる変換効率が最も高くなる上記変換部を選択し、選択した上記変換部を駆動させる。
【発明の効果】
【0008】
実施の態様によれば、交流電力を変換して直流電力を出力する場合に、電力の変換効率の低下を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施形態1の車両充電装置と車両の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施形態1の車両充電装置1の一実施例を示す図である。
【図3】図3は、実施形態1における車両充電装置1の動作の一実施例を示す図である。
【図4】図4は、実施形態1の判定テーブルのデータ構造の一実施例を示す図である。
【図5】図5は、実施形態2における車両充電装置1の動作の一実施例を示す図である。
【図6】図6は、実施形態2の変換部使用テーブルのデータ構造の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
実施形態1について説明する。
図1は、車両充電装置と車両の一実施例を示す図である。車両充電装置1は、電力供給部3、検出部4、制御部5、記録部6、通信部7などを備えている。
【0011】
電力供給部3は、交流電力を直流電力に変換する変換部を複数備え、変換部各々の入力端子から交流電力を供給し、変換部各々の出力端子各々を接続して変換部各々から出力される直流電力を合成して出力する。電力供給部3の詳細については後述する。
【0012】
検出部4は、車両2に電力を供給する給電ケーブル11の電力を計測するために設けられる電圧計などである。検出部4は、電圧計で計測した電圧値を制御部5に送信する。なお、検出部4により計測される電圧値は、車両2のバッテリ8の電圧値に近似した値である。
【0013】
制御部5は、充電電力指令値の示す電力以上の電力を出力可能であり、かつ変換部各々の入力電力と出力電力を用いて求められる変換効率が最も高くなる変換部を選択し、選択した変換部だけを駆動させる指示を、選択した変換部に通知する。制御部5は車両充電装置1の各部を制御する。変換効率は(出力電力/入力電力)で表すことができる。例えば、入力電力50kWで出力電力が45kWの場合、変換効率は90%となる。また、最大出力電力に対して出力する電力が小さいほど変換効率は悪くなる傾向にある。例えば、最大出力電力が50kWの変換部の場合に、稼働率が100%のときには変換効率は90%で出力電力が45kWになるが、稼働率が20%のときには変換効率は90%より低下する傾向にある。例えば、変換効率が80%になる。また、制御部5はCentral Processing Unit(CPU)やプログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)など)を用いることが考えられる。制御部5の動作については後述する。
【0014】
記録部6は、制御部5が実行するプログラムやデータが記録されている。また、記録部はRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどが考えられる。なお、記録部にはパラメータ値、変数値などのデータを記録してもよいし、実行時のワークエリアとして用いてもよい。
【0015】
通信部7は、送信部と受信部を有している。通信部7の受信部は、車両2の通信部10と通信をして、車両2のバッテリ8の充電状態を示す情報や車両2から充電を許可する情報などを、信号ケーブル12を介して取得する。充電状態を示す情報は、例えば、チャデモ規格の場合であれば充電電流指令値などである。その後、通信部7は充電状態を示す情報を制御部5に送信する。通信方式として、Controller Area Network(CAN)などが考えられる。
【0016】
車両2は、バッテリ8、制御部9、通信部10などを備えている。本例では便宜上バッテリ8、制御部9、通信部10だけを示している。車両2は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などが考えられる。バッテリ8は、給電ケーブル11を介して直流電力が充電される。なお、バッテリ8として、例えば、リチウムバッテリなどが考えられる。
【0017】
制御部9は処理部と記録部を有し、処理部は車両2の各部を制御する。処理部は、Central Processing Unit(CPU)やプログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)など)を用いることが考えられる。記録部は、処理部が実行するプログラムやデータが記録されている。また、記録部はRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどが考えられる。なお、記録部にはパラメータ値、変数値などのデータを記録してもよいし、実行時のワークエリアとして用いてもよい。
【0018】
通信部10は、車両充電装置1の通信部7と通信をして、車両2のバッテリ8の充電状態を示す情報などを、車両充電装置1の通信部7に送信する。充電状態を示す情報は、例えば、チャデモ規格の場合であれば充電電流指令値などである。通信方式として、Controller Area Network(CAN)などが考えられる。
【0019】
電力供給部3、制御部5、記録部6について説明する。
図2は、電力供給部、制御部、記録部の一実施例を示すブロック図である。
電力供給部3は、例えば、変換部21a、21b、21c、21d、21eを有している。変換部21各々は、系統電力(交流電力)を所定の電圧値の直流電力に変換するコンバータである。例えば、変換部21として交流−直流変換器(AC−DC変換器)などが考えられる。本例では、5つの変換部21a、21b、21c、21d、21eが記載されているが、5つに限定されるものではない。変換部21a、21b、21c、21d、21eのそれぞれの入力端子には系統電力が供給される。本例では、3相AC200Vが供給される。ただし、供給される系統電力は3相AC200Vに限定されるものではない。さらに、変換部21各々は出力電力や変換効率が異なる種類の変換部を用いてもよい。
【0020】
また、変換部21a、21b、21c、21d、21e各々には、後述する制御部5から出力される充電電力指令値を受信する端子が設けられている。充電電力指令値は、例えば、変換部21a、21b、21c、21d、21eを選択するための信号であり、変換部21を駆動させる信号である。例えば、変換部21a、21b、21c、21d、21e各々の出力電力に対応するパルス幅の信号を出力する信号などが考えられる。
【0021】
次に、変換部21が充電電力指令値を受信すると選択されたことを示す情報を受信した変換部21は、駆動することができる状態になる。選択されていない変換部21は駆動できない状態になる。変換部21a、21b、21c、21d、21eのそれぞれの出力端子には系統電力が変換された直流電力が出力される。出力端子各々は給電ケーブル11と接続されており、変換部21から出力される直流電力は合成される。
【0022】
制御部5は判定部22を有している。判定部22は、検出部4で計測した電圧値と、通信部7を介して受信した充電電流指令値とを取得して、充電に使用する充電電力を求める。ただし、判定部22が取得するデータは上記電圧値と上記充電電流指令値に限定されるものではなく、充電電力が求められればよい。次に、制御部5は求めた充電電力に対応する電力を出力可能な変換部を選択し、選択した変換部に、例えば、充電電力指令値を送信する。
【0023】
制御部5、記録部6の動作について説明する。
図3は、車両充電装置の動作の一実施例を示すフロー図である。
ステップS1では、制御部5が車両2への充電許可を示す情報と車両2に供給する電流量を示す充電電流指令値とを、通信部7から受信する。また、制御部5は検出部4から計測値として電圧値を受信する。ただし、車両2に充電する電力量が求められればよいため、制御部5が取得するデータは上記電圧値と上記充電電流指令値に限定されるものではない。
【0024】
ステップS2では、判定部22がステップS1で取得した情報を用いて充電電力を求め、充電電力に対応する処理に移行する。例えば、充電電力が10kWである場合にはステップS3に移行し、充電電力が20kWである場合にはステップS5に移行し、充電電力が30kWである場合にはステップS7に移行する。また、充電電力が40kWである場合にはステップS9に移行し、充電電力が50kWである場合にはステップS11に移行する。本例では、判定値として10kW、20kW、30kW、40kW、50kWを用いているが、上記判定値に限定されるものではない。変換部21の種類により判定値を変更する。
【0025】
また、ステップS2では判定部22が、求めた充電電力を用いて使用する変換部21を選択する判定を行う。変換部21を選択する判定には、例えば、記録部6に記録されている判定テーブルを用いることが考えられる。図4に判定テーブルのデータ構造の一実施例を示す。図4の判定テーブル41は判定、「充電電力」「変換部」を有している。「充電電力」には、車両2のバッテリ8を充電するための電力が記録されている。本例では、電力値として「10kW」「20kW」「30kW」「40kW」「50kW」が記録されている。「変換部」には、変換部を識別する識別子に関連付けられて、充電電力各々で選択される変換部を識別する情報が記録されている。本例では、変換部21を識別する識別子として、図2に示した変換部21a、21b、21c、21d、21eを識別する「21a」「21b」「21c」「21d」「21e」が記録されている。本例の変換部21a、21b、21c、21d、21e各々は、出力電力が定格10kWで変換効率が90%とする。また、図4の例では変換部21aは、充電電力「10kW」「20kW」「30kW」「40kW」「50kW」各々で選択されるため、全ての「充電電力」で「ON」が設定されている。変換部21bは、充電電力「20kW」「30kW」「40kW」「50kW」各々で選択されるため、充電電力「20kW」「30kW」「40kW」「50kW」で「ON」が設定されている。変換部21cは、充電電力「30kW」「40kW」「50kW」各々で選択されるため、充電電力「30kW」「40kW」「50kW」で「ON」が設定されている。変換部21dは、充電電力「40kW」「50kW」各々で選択されるため、充電電力「40kW」「50kW」で「ON」が設定されている。変換部21eは、充電電力「50kW」各々で選択されるため、充電電力「50kW」で「ON」が設定されている。
【0026】
ステップS1で取得した情報を用いて求めた充電電力が10kWであれば、判定部22は判定テーブル41を参照して変換部21aを選択する。ステップS1で取得した情報を用いて求めた充電電力が20kWであれば、判定部22は判定テーブル41を参照して変換部21a、21bを選択する。ステップS1で取得した情報を用いて求めた充電電力が30kWであれば、判定部22は判定テーブル41を参照して変換部21a、21b、21cを選択する。ステップS1で取得した情報を用いて求めた充電電力が40kWであれば、判定部22は判定テーブル41を参照して変換部21a、21b、21c、21dを選択する。ステップS1で取得した情報を用いて求めた充電電力が50kWであれば、判定部22は判定テーブル41を参照して変換部21a、21b、21c、21d、21eを選択する。
【0027】
本例では、判定値として充電電力10kW、20kW、30kW、40kW、50kWを用いているが、上記判定値に限定されるものではない。変換部21の種類により判定値を変更することが考えられる。すなわち、制御部5は車両2に充電する電力を出力可能であり、かつ上記変換部21各々の入力電力と出力電力を用いて求められる変換効率が最も高くなる変換部21の組み合わせを選択することが可能な、判定値を用いる。なお、変換部21の組み合わせは、変換部21の種類により異なるので、充電電力が出力可能であり、かつ変換効率が最も高くなる変換部21の組み合わせを用いる。変換部21の組み合わせは、例えば、予め演算により求めた組み合わせを後述する判定テーブル41に示すように記録することが考えられる。
【0028】
ステップS3では、制御部5が1つの変換部21に充電電力指令値を送信する。例えば、選択した変換部21aに充電電力指令値を出力する。ステップS4では、車両充電装置1から10kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力10kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力10kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21aは入力電力10kW付近のとき変換効率が90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。
【0029】
ステップS5では、制御部5が2つの変換部21に充電電力指令値を送信する。例えば、選択した変換部21a、21bに充電電力指令値を出力する。ステップS6では、車両充電装置1から20kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力20kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力20kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21a、21bは入力電力10kW付近のとき変換効率が共に90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。
【0030】
ステップS7では、制御部5が3つの変換部21に充電電力指令値を送信する。例えば、選択した変換部21a、21b、21cに充電電力指令値を出力する。ステップS8では、車両充電装置1から30kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力30kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力30kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21a、21b、21cは入力電力10kW付近のとき変換効率が共に90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。
【0031】
ステップS9では、制御部5が4つの変換部21に充電電力指令値を送信する。例えば、選択した変換部21a、21b、21c、21dに充電電力指令値を出力する。ステップS10では、車両充電装置1から40kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力40kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力40kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21a、21b、21c、21dは入力電力10kW付近のとき変換効率が共に90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。
【0032】
ステップS11では、制御部5が5つの変換部21に充電電力指令値を送信する。例えば、選択した変換部21a、21b、21c、21d、21eに充電電力指令値を出力する。ステップS12では、車両充電装置1から50kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力50kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。本実施形態では、選択された変換部21a、21b、21c、21d、21eは入力電力10kW付近のとき変換効率が共に90%であるので、高出力の変換部1台のときと同じ変換効率とすることができる。
【0033】
実施形態1によれば、電力供給源から入力される交流電力を変換して直流電力を出力する場合に、電力の変換効率の低下を抑止することができる。
実施形態2について説明する。
【0034】
実施形態2では、制御部5は変換部21が選択される毎に、選択された回数と変換部が駆動した時間を記録部6に記録する。また、制御部5は変換部21を選択する場合、駆動した時間が少ない変換部21を選択する。さらに、制御部5は変換部21を選択する場合、駆動した時間が同じであるときは選択された回数が少ない変換部21を選択する。
【0035】
実施形態2の制御部5、記録部6の動作について説明する。
図5は、実施形態2の車両充電装置の動作の一実施例を示すフロー図である。
ステップS501では、制御部5が車両2への充電許可を示す情報と車両2に供給する電流量を示す充電電流指令値とを、通信部7から受信する。また、制御部5は検出部4から計測値として電圧値を受信する。ただし、車両2に充電する電力量が求められればよいため、制御部5が取得するデータは上記電圧値と上記充電電流指令値に限定されるものではない。
【0036】
ステップS502では、判定部22がステップS501で取得した情報を用いて充電電力を求め、充電電力に対応する処理に移行する。例えば、充電電力が10kWである場合にはステップS503に移行し、充電電力が20kWである場合にはステップS508に移行し、充電電力が30kWである場合にはステップS513に移行する。また、充電電力が40kWである場合にはステップS518に移行し、充電電力が50kWである場合にはステップS523に移行する。本例では、判定値として充電電力10kW、20kW、30kW、40kW、50kWを用いているが、上記判定値に限定されるものではない。変換部21の種類により判定値を変更することが考えられる。
【0037】
ステップS503では、制御部5が記録部6に記録されている変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得する。例えば、記録部6に記録されている変換部使用テーブル61を用いて、変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得することが考えられる。図6に実施形態2の変換部使用テーブル61のデータ構造の一実施例を示す。図6の変換部使用テーブル61は、「変換部」に関連付けられた「選択回数」「使用時間」を有している。
「変換部」には、変換部を識別する識別子として、図2に示した変換部21a、21b、21c、21d、21eを識別する「21a」「21b」「21c」「21d」「21e」が記録されている。本例の変換部21a、21b、21c、21d、21e各々は、出力電力が定格10kWで変換効率が90%とする。「選択回数」には、「変換部」に関連付けられて変換部が選択された回数を示す情報が記録されている。本例では、「選択回数」として変換部21aを示す「21a」に関連付けられて変換部21aが選択された回数を示す「m1」が記録されている。また、変換部21bを示す「21b」に関連付けられて変換部21bが選択された回数を示す「m2」が記録されている。また、変換部21cを示す「21c」に関連付けられて変換部21cが選択された回数を示す「m3」が記録されている。また、変換部21dを示す「21d」に関連付けられて変換部21dが選択された回数を示す「m4」が記録されている。また、変換部21eを示す「21e」に関連付けられて変換部21eが選択された回数を示す「m5」が記録されている。「使用時間」には、「変換部」に関連付けられて変換部を使用した時間を示す情報が記録されている。本例では、「使用時間」として変換部21aを示す「21a」に関連付けられて変換部21aを使用した時間を示す「n1」が記録されている。また、変換部21bを示す「21b」に関連付けられて変換部21bを使用した時間を示す「n2」が記録されている。また、変換部21cを示す「21c」に関連付けられて変換部21cを使用した時間を示す「n3」が記録されている。また、変換部21dを示す「21d」に関連付けられて変換部21dを使用した時間を示す「n4」が記録されている。また、変換部21eを示す「21e」に関連付けられて変換部21eを使用した時間を示す「n5」が記録されている。
【0038】
ステップS504では、制御部5がステップS503で取得した変換部21各々の選択回数、使用時間を用いて、使用時間が少ない順に変換部21を1台選択する。このとき、時間が同じ変換部21がある場合には、選択回数が少ない変換部21を選択する。
【0039】
ステップS505では、制御部5が選択した1台の変換部21に充電電力指令値を送信する。ステップS506では、車両充電装置1から10kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。
【0040】
ステップS507では車両2への充電が完了すると、制御部5が前回の選択回数に1を加算すると共に、今回充電した時間を前回の使用時間に加算して記録する。例えば、変換部使用テーブル61の「変換部」に関連付けられた「選択回数」「使用時間」に、今回の結果を反映した選択回数と使用時間を記録する。
【0041】
例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力10kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力10kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21は入力電力10kW付近のとき変換効率が90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。さらに、使用時間の短い変換部21を優先的に用いるので、変換部の寿命を延ばすことができる。
【0042】
ステップS508では、制御部5が記録部6に記録されている変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得する。例えば、記録部6に記録されている変換部使用テーブル61を用いて、変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得することが考えられる。
【0043】
ステップS509では、制御部5がステップS508で取得した変換部21各々の選択回数、使用時間を用いて、使用時間が少ない順に変換部21を2台選択する。このとき、時間が同じ変換部21がある場合には、選択回数が少ない変換部21を選択する。
【0044】
ステップS510では、制御部5が選択した2台の変換部21に充電電力指令値を送信する。ステップS511では、車両充電装置1から20kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。
【0045】
ステップS512では車両2への充電が完了すると、制御部5が選択した2台の変換部21各々の前回の選択回数に1を加算すると共に、今回充電した時間を前回の使用時間に加算して記録する。例えば、変換部使用テーブル61の「変換部」に関連付けられた「選択回数」「使用時間」に、今回の結果を反映した選択回数と使用時間を記録する。
【0046】
例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力10kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力10kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21は入力電力10kW付近のとき変換効率が90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。さらに、使用時間の短い変換部21を優先的に用いるので、変換部の寿命を延ばすことができる。
【0047】
ステップS513では、制御部5が記録部6に記録されている変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得する。例えば、記録部6に記録されている変換部使用テーブル61を用いて、変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得することが考えられる。
【0048】
ステップS514では、制御部5がステップS513で取得した変換部21各々の選択回数、使用時間を用いて、使用時間が少ない順に変換部21を3台選択する。このとき、時間が同じ変換部21がある場合には、選択回数が少ない変換部21を選択する。
【0049】
ステップS515では、制御部5が選択した3台の変換部21に充電電力指令値を送信する。ステップS516では、車両充電装置1から30kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。
【0050】
ステップS517では車両2への充電が完了すると、制御部5が選択した3台の変換部21各々の前回の選択回数に1を加算すると共に、今回充電した時間を前回の使用時間に加算して記録する。例えば、変換部使用テーブル61の「変換部」に関連付けられた「選択回数」「使用時間」に、今回の結果を反映した選択回数と使用時間を記録する。
【0051】
例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力10kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力10kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21は入力電力10kW付近のとき変換効率が90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。さらに、使用時間の短い変換部21を優先的に用いるので、変換部の寿命を延ばすことができる。
【0052】
ステップS518では、制御部5が記録部6に記録されている変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得する。例えば、記録部6に記録されている変換部使用テーブル61を用いて、変換部21各々の過去に選択された回数と選択されたときに使用した時間を取得することが考えられる。
【0053】
ステップS519では、制御部5がステップS518で取得した変換部21各々の選択回数、使用時間を用いて、使用時間が少ない順に変換部21を4台選択する。このとき、時間が同じ変換部21がある場合には、選択回数が少ない変換部21を選択する。
【0054】
ステップS520では、制御部5が選択した4台の変換部21に充電電力指令値を送信する。ステップS521では、車両充電装置1から40kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。
【0055】
ステップS522では車両2への充電が完了すると、制御部5が選択した4台の変換部21各々の前回の選択回数に1を加算すると共に、今回充電した時間を前回の使用時間に加算して記録する。例えば、変換部使用テーブル61の「変換部」に関連付けられた「選択回数」「使用時間」に、今回の結果を反映した選択回数と使用時間を記録する。
【0056】
例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力10kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。しかし、出力電力10kWを出力する場合には、該変換部の変換効率が90%より低下する。本実施形態では、選択された変換部21は入力電力10kW付近のとき変換効率が90%であるので、高出力の変換部1台のときよりも、電力の変換効率の低下を抑止することができる。さらに、使用時間の短い変換部21を優先的に用いるので、変換部の寿命を延ばすことができる。
【0057】
ステップS523では、制御部5が変換部21を5台選択する。ステップS524では、制御部5が選択した5台の変換部21に充電電力指令値を送信する。ステップS525では、車両充電装置1から50kWの充電電力が車両2に供給され、充電が開始される。ステップS526では車両2への充電が完了すると、制御部5が選択した5台の変換部21各々の前回の選択回数に1を加算すると共に、今回充電した時間を前回の使用時間に加算して記録する。例えば、変換部使用テーブル61の「変換部」に関連付けられた「選択回数」「使用時間」に、今回の結果を反映した選択回数と使用時間を記録する。例えば、入力電力50kWのときの変換効率が90%の変換部を1台用いて出力電力50kWを出力する場合、入力電力50kW付近では変換効率90%で出力電力45kWを出力できる。本実施形態では、選択された変換部21a、21b、21c、21d、21eは入力電力10kW付近のとき変換効率が共に90%であるので、高出力の変換部1台のときと同じ変換効率とすることができる。
【0058】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 車両充電装置
2 車両
3 電力供給部
4 検出部
5 制御部
6 記録部
7 通信部
8 バッテリ
9 制御部
10 通信部
11 給電ケーブル
12 信号ケーブル
21、21a、21b、21c、21d、21e 変換部
22 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換する変換部を複数備え、前記変換部各々の入力端子から交流電力を供給し、前記変換部各々の出力端子各々を接続して前記変換部各々から出力される直流電力を合成して出力する電力供給部と、
車両に充電する電力を出力可能であり、かつ前記変換部各々の入力電力と出力電力を用いて求められる変換効率が最も高くなる前記変換部を選択し、選択した前記変換部を駆動させる制御部と、
を備えることを特徴とする車両充電装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記変換部が選択される毎に、前記変換部が駆動した時間を前記記録部に記録し、
前記変換部を選択する場合、駆動した時間が少ない前記変換部を選択することを特徴とする請求項1に記載の車両充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記変換部を選択する場合、前記駆動した時間が同じであるときは前記選択された回数が少ない前記変換部を選択することを特徴とする請求項2に記載の車両充電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−143083(P2012−143083A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294475(P2010−294475)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】