説明

車両用の収納構造

【課題】車両のデッドスペースを有効活用して、利便性の高い車両用の収納構造を提供する。
【解決手段】車両の後部開口部に連結されたバックドアの下部ドア12に設けられた収納構造1において、下部ドア12の内面に形成された凹部123に凹状の収納部材20が嵌め込まれ、収納部材20にはその収納開口部22を開閉する蓋体30が取り付けられ、ロック部材によって蓋体30のロック状態とロック解除状態が切替可能となっている。収納部材20は、ボルト242により、下部ドア12内部のリインフォースメント125に固定されている。これにより、デッドスペースであった下部ドア12内部を、走行時や下部ドア12の開閉時にも収納物が飛び出したり落下したりすることのない収納スペースとして有効活用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の収納構造に関し、より具体的には、車両後部の開口部を覆うバックドアに設けられた収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車室内の壁面に凹部を形成し、小物や工具の収納スペースとする収納構造が知られている。例えば、特許文献1および特許文献2に記載の収納構造では、ラゲージサイドトリム等の内装部品に凹部を形成することにより、車室内壁面に開口部を有する収納部が設けられている。そして、このような収納構造では、収納部に収納された小物や工具の落下を防ぐために、開口部を完全に覆ってロックすることができる開閉自在の蓋体が、開口部に取り付けられている。
【0003】
また、特許文献3に記載の収納構造では、車両後部の開口部に設けられた、車両の水平方向に開閉可能な横開き方式のバックドアにおいて、ドアトリムに開口部を有するポケット状の収納部を形成し、収納部を完全に覆わないポケットカバー体によって、小物等の落下を防いでいる。
【特許文献1】特開平9−109781号公報
【特許文献2】特開2004−42762号公報
【特許文献3】特開2004−82949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の収納構造は、車室内壁面に設けられたものに限られており、車両の収納スペースを最大限に活用できているとはいえなかった。また、特許文献3に記載の収納構造のように、バックドア内面のドアトリムを利用したものは、ポケット状に形成され、開口部を完全に覆って固定される蓋体を有しないため、車両走行時やバックドアの開閉時に、収納部内に収納された小物等が落下する虞があった。特に、バックドアが横開き方式ではなく、上下に分割された2つのドアが各々上下に開閉する上下開き方式の場合には、ポケット状の収納部では、バックドアを開いた時に、収納部内に収納された小物等が落下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、車両のデッドスペースを有効活用して、利便性の高い車両用の収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の車両用の収納構造は、車両後部に設けられた車両開口部に連結され、前記車両開口部を覆うバックドアを備えた車両用の収納構造であって、前記バックドアのインナパネルとアウタパネルとの間に設けられたリインフォースメントに固定され、前記インナパネル側に収納開口部を有するように嵌め込まれた凹状の収納部材と、前記収納開口部を覆う蓋体と、前記蓋体を前記収納開口部に対して開閉自在に前記収納部材に係合させる係合部材と、前記蓋体が前記収納開口部を覆った位置で前記蓋体を前記収納部材に固定するロック部材とを備えている。
【0007】
また、請求項2に係る発明の車両用の収納構造は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記バックドアは、前記車両開口部の上部を覆い車両の上方向に回動して開く上部ドアと、前記車両開口部の下部を覆い車両の下方向に回動して開く下部ドアとを備え、前記収納部材は、前記下部ドアの下部ドアインナパネルと下部ドアアウタパネルとの間に設けられた前記リインフォースメントに固定され、前記下部ドアインナパネル側に前記収納開口部を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明の車両用の収納構造は、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記蓋体は、複数に分割されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の車両用の収納構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記収納部材は、一部に開口部を有する隔壁を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明の車両用の収納構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記収納部材内部に収納された物品を固定する固定部材をさらに備えている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の車両用の収納構造では、バックドアのインナパネルとアウタパネルによって形成される空間に収納部材を配置することにより、デッドスペースを有効活用して収納スペースを増設することができる。また、収納部材の収納開口部を開閉自在の蓋体で覆い、蓋体が収納開口部に対して閉じられた状態で、ロック部材によって収納部材に固定することができるため、車両走行時やバックドアの開閉時に、収納部材内に収納された工具や小物等の収納物が飛び出して落下することがない。さらに、収納部材はバックドア内部のリインフォースメントに固定されているため、車両走行時やバックドアの開閉時にがたついたり、バックドアへの嵌め込みが緩む虞がない。
【0012】
また、請求項2に係る発明の車両用の収納構造では、請求項1に記載の発明の効果に加え、各々が上下に回動して開閉する上部ドアと下部ドアを有するバックドアのうち、フロアに連結して開く下部ドアに収納部材を設けたことにより、下部ドアを開けた時に収納部材の収納開口部が上向きになるため、蓋体を開けたときにも収納物が落下せず、かつ収納物の出し入れ作業が容易である。また、上下開閉方式のバックドアでは、下部ドアの開閉に伴って収納開口部の方向が上向きになったり横向きになったりするが、蓋体が収納開口部に対して閉じられた状態で、ロック部材によって収納部材に固定することができるため、収納部材内に収納された小物等が落下することがない。
【0013】
また、請求項3に係る発明の車両用の収納構造では、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、収納部材を覆う蓋体が複数に分割されているため、収納部材内に複数の物品を収納する場合に、特定の箇所だけ蓋体を開けて、所望の物品のみを出し入れすることができる。
【0014】
また、請求項4に係る発明の車両用の収納構造では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、収納部材内に隔壁を設けて収納空間を分割したことにより、複数の物品を区分けして収納することができる。また、隔壁の一部に開口部を設けているため、隔壁に隔てられた1つの収納空間では納まらない長尺の物品も、開口部を通して他の収納空間も利用することにより、収納部材内に納めることができる。
【0015】
さらに、請求項5に係る発明の車両用の収納構造では、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、固定部材によって、収納部材内に収納した収納物を固定することができるため、車両走行時やバックドアの開閉時に収納物が揺れ動いて収納部材内で散乱したり、破損したりするのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した車両用の収納構造の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1〜図2を参照して、本実施形態に係る収納構造1の概略構成について説明する。図1は、車両2に設けられた収納構造1の斜視図である。また、図2は、収納構造1において、蓋体30を収納部材20に対して閉じた状態を示す平面図である。
【0017】
図1に示す車両2は、後部開口部6にバックドア10を有する車両である。バックドア10は、後部開口部6の上部を覆う上部ドア11と下部を覆う下部ドア12とを備えており、各々が、ヒンジを介して、車両2の上または下方向に回動して開閉する。また、下部ドア12は、荷物の積み下ろしをしやすくするため、開放されたときに、車両後部に設けられたラゲージルーム4のフロア5に対して下部ドア12の内面が略同一平面となるように、後部開口部6にダンパで保持されている。。そして、下部ドア12には、収納構造1が設けられている。図2は、図1で車両2に設けられている収納構造1部分を拡大した平面図である。詳細は後述するが、収納構造1においては、下部ドア12内面に形成された凹部に凹状の収納部材20が嵌め込まれ、図2に示すように、その収納開口部22を蓋体30が覆った状態でロック部材40によって固定されている。なお、図1および図2に示すように、収納構造1において、4つのロック部材40が隣接して並列されている長辺の側が、車両2の後部方向である。これ以降、収納構造1について前後、左右、上下の方向を指す場合、車両2の前後、左右、上下の方向と対応させて説明するものとする。また、上下方向については、図1のように下部ドア12が開かれているときの方向で表すものとする。
【0018】
次に、図3〜図7を参照して、収納構造1の主要構成要素の1つである収納部材20の構成について説明する。図3は、収納部材20の上方向からの斜視図であり、図4は、後述する蓋体30を固定した状態の収納部材20の下方向からの斜視図である。また、図5は、図4におけるA−A矢視断面図であって、ボルト242を用いて収納部材20を下部ドア12に固定した状態の収納構造1を示している。図6は、図4におけるB−B矢視断面図であって、ベルト取付部27にベルト51を装着した状態の収納構造1を示している。そして図7は、C−C矢視断面図であって、クリップ281を用いて収納部材20をインナパネル121に固定した状態の収納構造1を示している。
【0019】
まず、図3および図5を参照して、収納部材20の概略構成について説明する。図3に示すように、収納部材20は、車両2の左右方向に沿って長い略直方体形状の凹みとして形成された収納凹部21と、収納凹部21の開口である収納開口部22を額縁状に囲むように形成された外周部23を備えている。なお、収納凹部21および外周部23は、樹脂により一体成形されている。図5に示すように、下部ドア12の外郭を構成するインナパネル121とアウタパネル122のうち、インナパネル121は、アウタパネル122方向に凹んだドア内凹部123を備えている。そして、収納部材20は、収納開口部22がインナパネル121側になるようにドア内凹部123内に嵌め込まれ、外周部23がインナパネル121に重なって、下部ドア12のドアトリムを構成している。また、ドア内凹部123の底面にはインナパネル開口部124が設けられており、このインナパネル開口部124を介して、収納凹部21の底面24は、アウタパネル122に対向している。
【0020】
次に、図3〜図6を参照して、収納部材20が備える収納凹部21の詳細な構成について説明する。図3に示すように、収納凹部21は、収納凹部21の底面24から収納凹部21と同じ高さまで立設され、その長手方向(車両2の左右方向)の幅を2分する隔壁25によって、2つの収納区画211、212に分けられている。これにより、複数の物品を各収納区域211、212ごとに分けて収納することができる。また、隔壁25の中央部には、間隙251が設けられており、収納凹部21の2つの収納区画211、212がこの間隙251によって繋がっている。これにより、2つの収納区画211または212のいずれか1つだけでは収まりきらない細長い物品を、2つの収納区画211および212にわたって収納することができる。
【0021】
また、図3および図4に示すように、収納凹部21の底面24には、長手方向に沿って4つ(収納区画211および212に各々2つずつ)のボルト取付孔241が1列に並設されている。図5に示すように、ボルト取付孔241は、収納凹部21の底面24に設けられた円盤状の凹みと、凹みの中心に空けられた円形の穴を備えている。一方、インナパネル121とアウタパネル122の間、すなわち、収納凹部21の底面24とアウタパネル122の間には、下部ドア12を補強する目的で、リインフォースメント125が配置されている。本実施形態では、底面24に設けられたボルト取付孔241の円形の穴にボルト242を嵌め込み、リインフォースメント125にボルト242を挿通してナット243に螺合させることにより、収納部材20をリインフォースメント125に固定している。これにより、車両2の走行時や下部ドア12の開閉時に収納部材20ががたついたり、下部ドア12への嵌め込みが緩む虞がない。なお、ボルト取付孔241の凹み部分は、ボルト242を嵌め込んだときにボルト242の頭部がこの凹み部分と同じ高さとなるよう構成されている。
【0022】
さらに、図3、図4および図6に示すように、収納凹部21の底面24には、ベルト取付孔271、ベルト支持部273、リブ274および盲蓋275から構成されるベルト取付部27が設けられている。図3に示すように、ベルト取付孔271は同一の長方形状を有する長孔272を長孔272の長手方向に沿って2つ並べた構成から成り、合計8つのベルト取付孔271が設けられている。このベルト取付孔271は、収納凹部21の底面24の短手方向に沿って1組2つずつが、4組(収納区画211および212に各々2組ずつ)に分かれて並んでいる。図6に示すように、収納凹部21の裏面には、ベルト取付孔271を構成する一対の長孔272、272の間に、収納凹部21内の収納物を固定するベルト51を摺動可能に支持する突起であるベルト支持部273が設けられている。そして、ベルト51が一対の長孔272、272の一方に収納凹部21の内側から外側へ通され、ベルト支持部273を経由してもう一方の長孔272を外側から内側へと通されて、ベルト取付孔271に断面U字状に掛け渡されている。さらに、このベルト51は、底面24の短手方向に沿って並ぶもう一対のベルト取付孔271にも、同様にして掛け渡されている。そして、ベルト51の両端には、ベルト51の長さを調節するとともに、ベルト51の両端を固定する留め具52が装着されている。また、図4および図6に示すように、収納凹部21の裏面には、ベルト支持部273上を掛け渡されたベルト51を保護するリブ274が、ベルト取付孔271の周囲を平面視長方形状に取り巻いて立設されている。さらに、ベルト取付孔271の周囲に設けられたリブ274が形成する長方形状の空間は、ベルト取付孔271を通してリインフォースメント125等が見えないように、盲蓋275で閉塞されている。なお、ベルト51および留め具52が、本発明の「固定部材」に相当する。
【0023】
次に、図3、図4および図7を参照して、収納部材20が備える外周部23の詳細な構成について説明する。図3および図7に示すように、外周部23には段差が設けられており、収納開口部22に隣接する部分が最も低く、外周側ほど高く形成されている。ここで、最も外周側に位置し、収納開口部22に略平行な平面を外周面238、外周面238の内周から収納開口部22方向に落ち込む段差の壁面を外周壁235ということとする。そして、外周壁235の下端から、収納開口部22に至る段差部分は、後述する蓋体30が収納開口部22を覆って塞ぐときに嵌合する蓋体嵌合部231である。収納開口部22から外周面238までの高さは、蓋体30の厚さにほぼ等しくなるように形成されている。
【0024】
図3に示すように、車両2の前方向の外周壁235には、長手方向に1列に並んだ6つの蓋体係止孔236が設けられている。この蓋体係止孔236は、後述する蓋体30の係合片32が挿通されることにより、蓋体30を収納部材20に開閉自在に係止して連結するための穴である。また、前述した外周部23の蓋体嵌合部231の収納開口部22に隣接する面は、車両2の後ろ方向、すなわち、前述した蓋体係止孔236が設けられた外周壁235とは収納凹部を挟んで反対側の面が幅広くなっており、この面には、長手方向に沿って1列に4つのロック孔232が設けられている。図3および図4に示すように、ロック孔232は細長い長方形状の穴で、蓋体30に設けられたロック部材40がこれに係合することにより、蓋体30を閉じた状態で収納部材20に固定することができる。なお、蓋体30の収納部材20への取付けおよび固定動作については、後で詳述する。
【0025】
また、図4に示すように、外周部23の最外縁に位置する外周面238の裏面には、収納凹部21を取り巻くように、複数のクリップ取付座部28が設けられている。図7に示すように、このクリップ取付座部28にクリップ281の鍔部282を嵌め込み、下部ドア12のインナパネル121に設けられた固定穴にクリップ281の脚部283を差込むことにより、収納部材20がインナパネル121に固定されている。前述したように、収納部材20は、底面24でもボルト242によりリインフォースメント125に固定されているため(図5参照)、下部ドア12への固定は確実である。さらに、外周部23裏面には、クリップ取付座部28近傍で外周部23を周回する帯状のシール部材26が設けられ、外周部23とインナパネル121との隙間を密封している。
【0026】
次に、図6、図8および図10を参照して、蓋体30の構成について説明する。図6は、ベルト取付部27にベルト51を装着した状態の収納構造1の縦断面図である。図8は、蓋体30の上方向からの斜視図である。図10は、蓋体30に取り付けられた後述するロック部材40の縦断面図である。図6および図8に示すように、蓋体30は、樹脂をブロー成形することにより中空扁平状に形成された、車両2の左右方向に長い平面視長方形状の部材である。蓋体30を収納部材20に対して閉じたときに車室内側となる表面301は略平面状で、ラゲージルーム4のフロア5と同様のカーペット33が貼り付けられている。図8に示すように、蓋体30表面301の車両2の後ろ方向に対応する長辺沿いには、蓋体凹部351とロック部材挿入孔352を備えたロック部材取付部35が4つ並設されている。蓋体凹部351は、浅い皿型の凹みであり、図10に示すように、後に詳述するロック部材40を取り付けた際、ロック部材40のつまみ44の上面443が蓋体30の表面301と略同一平面に位置するよう、つまみ42と略同一の高さを有している。また、ロック部材挿入孔352は、後述するロック部材40を挿入して取付けるための穴であり、ロック部材取付部35の底面に設けられている。一方、図6に示すように、蓋体30の裏面302には、前述した収納部材20の蓋体嵌合部231に嵌合するように段差が設けられている。また、裏面302の、蓋体30を収納開口部22に対して閉じたときに1組のベルト取付部27が並んで設けられたのと対向する部位には、ベルト51および留め具52を用いて収納凹部21の高さ程度の収納物を固定した際、留め具52が収まるように、固定具収納部36が凹設されている。裏面302にはさらに、図示しない補強用の溝状リブが、蓋体30の短手方向に沿って複数並設されている。
【0027】
また、図8に示すように、前述した蓋体30の車両2の前方向に対応する長辺には、6つの係合片32が突設されている。係合片32は、前述した収納部材20の外周壁235に設けられた6つの蓋体係止孔236に挿通させることにより、蓋体30を収納部材20に開閉自在に係止するものである。この係合片32が、本発明の「係合部材」に相当する。また、前述したように、収納部材20の収納凹部21は、長手方向に2つの収納区画211、212に分割されている。よって、蓋体30も、収納区画211、212に対応した右蓋部材311と左蓋部材312の2つに分割されており、右蓋部材311または左蓋部材312のみを開閉することができるよう構成されている。
【0028】
次に、図2および図9〜図12を参照して、ロック部材40の構成について説明する。図2は、蓋体30をロックした状態の収納構造1を示す平面図である。図9は、ロック部材40の平面図である。また、図10および図11は、図2のD−D矢視断面図であって、各々、ロック部材40による蓋体30のロック解除状態およびロック状態(図2)を示している。図12は、図2に示すロック状態にあるロック部材40周辺部を収納部材20の下方向から観察した斜視図である。
【0029】
図2に示すように、ロック部材40は、前述した蓋体30のロック部材取付部35に嵌め込まれ、蓋体30を収納開口部22に対して閉じた状態で収納部材20に固定するものである。図10および図11に示すように、ロック部材40は、蓋体30のロック部材取付部35の蓋体凹部351に嵌合する皿型部材41と、皿型部材41の底面に連結され、蓋体30を貫通する円筒形状のシリンダ部材42と、シリンダ部材42内部に挿通された棒状のロックピン43と、ロックピン43の一端に連結され、皿型部材41の底面から蓋体30の表面301方向へ突出するように設けられたつまみ44と、蓋体30の裏面302側でロックピン43に連結されたロック爪45を備えている。
【0030】
図10および図11に示すように、皿形部材41は、ロック部材取付部35の蓋体凹部351に沿って浅い皿型に形成されており、図9に示すように、平面視では円形状を有するとともに、蓋体凹部351に沿って立ち上がった最外縁の外周部413によって環状に縁取られている。図10および図11に示すように、皿型部材41の底面は、蓋体凹部351の底面に設けられたロック部材挿入孔352に嵌合されており、皿型部材41の底面中心部には、ロック部材挿入孔352より一回り小さいロックピン挿入孔412が設けられている。このロックピン挿入孔412とロック部材挿入孔352が重なって、蓋体30を貫通する1つの穴を形成している。
【0031】
ロックピン挿入孔412には、ロックピン挿入孔412の内径と同一の外径を有する円筒形状のシリンダ部材42が、皿型部材41の底面(蓋体30の表面301側)と同じ位置まで挿入されている。シリンダ部材42は、蓋体30の裏面302側で、ロック部材挿入孔352に嵌め込まれた皿型部材41の底面に当接する鍔状の固定部421を有し、皿型部材41とシリンダ部材42の固定部421が、蓋体30を挟み込んで固定している。シリンダ部材42には、棒状のロックピン43が挿通されており、蓋体30の表面301側の一端につまみ44が連結され、裏面302側にはロック爪45が連結されている。
【0032】
つまみ44は、指でつまんで捻ることにより、ロックピン43の軸を中心としてロックピン43を回動させ、後述するロック爪45をロック状態とロック解除状態の間で切替ることができる。図9に示すように、つまみ44は、平面視では、皿形部材41の外周部413の内側の円を、円中心部に向かって湾曲する2つの円弧で左右対称に切り取った形状を有するとともに、図10に示すように、皿型部材41の凹部411の底面から凹部411の高さまで突出している。
【0033】
図11および図12に示すように、ロックピン43の蓋体30の裏面302への突出部分には、ロック爪45が連結されている。ロック爪45は、細長い直方体形状を有し、その長手方向とロックピン43の軸とが直交するように、蓋体30の裏面302側でロックピン43に連結されている。ロック爪45の平面視形状は、前述の収納部材20に設けられたロック孔232の形状よりも一回り小さい略長方形である。そして、ロック爪45の長手方向の長さは、ロック孔232の短手方向の長さよりも長く構成されている。よって、図10に示すように両者の長手方向を一致させれば、ロック爪45をロック孔232に挿脱させることができる。反対に、図11及び図12に示すように、ロック爪45とロック孔232の長手方向が一致しないときは、ロック爪45がロック孔232に係止する。
【0034】
次に、蓋体30の収納部材20への取付けおよび開閉動作と、ロックおよびその解除動作について説明する。このとき、図1に示すように、動作がしやすいようバックドア10が開放され、下部ドア12は蓋体30が車両2の上方向を向くように開かれている。蓋体30を収納部材20に取り付けて閉じる場合には、まず、収納部材20の外周壁235に設けられた6つの蓋体係止孔236(図3参照)に蓋体30に設けられた6つの係合片32(図8参照)をそれぞれあわせて挿通させる。蓋体係止孔236には、短手方向(上下方向)にわずかな遊びが設けられているため、挿通させた係合片32と蓋体係止孔236との当接部を回転軸として、蓋体30を上下方向に回動させることにより、蓋体30を収納開口部22に対して開閉することができる。ここでロック部材40のつまみ42を回転させて、図10に示すように蓋体30のロック爪45と収納部材20のロック孔232の長手方向を一致させると、ロックピン43とともにロック爪45がロック孔232に挿通され、収納部材20に設けられた蓋体嵌合部231に蓋体30の裏面302の段差をあわせて嵌め込むことができる。そして、再びつまみ42を回転させて、図11および図12に示すようにロック爪45がロック孔232に係止する状態で留めると、蓋体30が収納開口部22を完全に閉塞して固定されたロック状態となる(図4参照)。蓋体30を開ける場合は、逆の手順となる。すなわち、まず、図11および図12に示すようにロック爪45がロック孔232に係止した状態から、つまみ42を回転させて、図10に示すように蓋体30のロック爪45と収納部材20のロック孔232の長手方向を一致させ、ロック解除状態とする。そして、ロック部材40のつまみ42を指でつまみ、蓋体30を上方向に持ち上げる。すると、係合片32を中心として蓋体30が上方向に回動され、収納開口部22が開放された状態に蓋体30を開くことができる。蓋体30を収納部材20から外すときには、蓋体30の係合片32を、収納部材20の蓋体係止孔236から脱着すればよい。
【0035】
次いで、図6を参照して、収納部材20内に収納された収納物の固定動作について説明する。前述のようにして蓋体30を開くと、図6の2点鎖線で示すように、ベルト取付孔271に掛け渡されたベルト51が収納凹部21の底面に置かれている。よって、ベルト51の留め具52を外し、例えば三角板、工具等の収納物を収納凹部21内に収める。そして、ベルト51を収納物に掛け渡し、留め具52でベルト51の長さを調節して固定する。このとき、ベルト51はベルト取付部27内で摺動させることができるため、留め具52を所望の位置に調節することができる。よって、収納物が収納凹部21の高さまで達する場合には、蓋体30を閉じたときに留め具52が蓋体30の裏面302の固定具収納部36の位置にあるよう調節すれば、蓋体30が押し上げられることなく、収納凹部21内にきちんと収めることができる。なお、各収納区域211、212について、ベルト51が2本ずつ設けられているため、収納物の大きさに応じて使用するベルト51の本数を変えることができる。また、図4に示すように、収納区域211と212とでは、車両2の左右方向のベルト取付孔271の間隔が異なっている。よって、収納物の大きさに応じて、適切なベルト51の間隔を有する収納区域211、212を選択することが可能である。このように収納部材20内に収められた収納物が動かないように固定できるため、車両2の走行中や下部ドア12の開閉中に、収納部材20内部で収納物が散乱したり、破損したりする事態を回避することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の収納構造1によれば、これまで使用されていなかったバックドア10内のデッドスペースを活用して、車両走行時やバックドア10の開閉時に収納物が飛び出して落下することのない収納スペースを増設することができる。
【0037】
なお、上記の実施形態に示される収納構造1は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施形態では、上下開閉式のバックドア10の下部ドア12に収納構造1を設ける構成としたが、1枚のバックドアを車両の水平方向に回動させて開閉する横開き方式のバックドアに収納構造1を適用することも可能である。また、収納構造1の形状は、下部ドア12の形状にあわせて車両2の左右方向に長くされていたが、適用するバックドアの部位の構造にあわせて変更してもよい。
【0038】
また、本実施形態では、収納凹部21および蓋体30を2つに分割しているが、収納が想定される物品の大きさに応じて、より多くの区画に分割することも可能である。さらに、ロック部材40については、本実施形態の構成や形状に限らず、蓋体30が収納開口部22を完全に覆った状態で固定することができればよい。よって、例えば、スライドロック式やクリップ式のロック部材を用いてもよい。また、本実施形態では、ベルト51を用いて収納部材20に収納された小物等を固定するよう構成されているが、小物等を固定できればどのような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】車両2に設けられた実施の形態に係る収納構造1の斜視図である。
【図2】収納構造1において、蓋体30を収納部材20に対して閉じた状態を示す斜視図である。
【図3】収納部材20の上方向からの斜視図である。
【図4】蓋体30を固定した状態の収納部材20の下方向からの斜視図である。
【図5】図4におけるA−A矢視断面図である。
【図6】図4におけるB−B矢視断面図である。
【図7】図4におけるC−C矢視断面図である。
【図8】蓋体30の上方向からの斜視図である。
【図9】ロック部材40の平面図である。
【図10】ロック部材40による蓋体30のロック解除状態を示す図2におけるD−D矢視断面図である。
【図11】ロック部材40による蓋体30のロック状態を示す図2におけるD−D矢視断面図である。
【図12】ロック状態にあるロック部材40周辺部の収納部材20の下方向からの斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 収納構造
2 車両
6 後部開口部
10 バックドア
11 上部ドア
12 下部ドア
121 インナパネル
122 アウタパネル
125 リインフォースメント
20 収納部材
21 収納凹部
22 収納開口部
23 外周部
232 ロック孔
236 蓋体係止孔
24 底面
241 ボルト取付孔
242 ボルト
243 ナット
25 隔壁
251 間隙
27 ベルト取付部
30 蓋体
32 係合片
40 ロック部材
51 ベルト
52 留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部に設けられた車両開口部に連結され、前記車両開口部を覆うバックドアを備えた車両用の収納構造であって、
前記バックドアのインナパネルとアウタパネルとの間に設けられたリインフォースメントに固定され、前記インナパネル側に収納開口部を有するように嵌め込まれた凹状の収納部材と、
前記収納開口部を覆う蓋体と、
前記蓋体を前記収納開口部に対して開閉自在に前記収納部材に係合させる係合部材と、
前記蓋体が前記収納開口部を覆った位置で前記蓋体を前記収納部材に固定するロック部材とを備えたことを特徴とする車両用の収納構造。
【請求項2】
前記バックドアは、前記車両開口部の上部を覆い車両の上方向に回動して開く上部ドアと、前記車両開口部の下部を覆い車両の下方向に回動して開く下部ドアとを備え、
前記収納部材は、前記下部ドアの下部ドアインナパネルと下部ドアアウタパネルとの間に設けられた前記リインフォースメントに固定され、前記下部ドアインナパネル側に前記収納開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用の収納構造。
【請求項3】
前記蓋体は、複数に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用の収納構造。
【請求項4】
前記収納部材は、一部に開口部を有する隔壁を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用の収納構造。
【請求項5】
前記収納部材内部に収納された物品を固定する固定部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用の収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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